JP2010222045A - 缶体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高いパネリング強度と軸座屈強度を兼ね備えた缶体を提供する。
【解決手段】円筒状の缶胴1の1箇所以上に、缶胴全周に沿って突設された環状リブ2を有し、該環状リブ2は、缶胴1の一部を缶胴軸線方向で折り重ねた構造を有し、缶胴面からの環状リブ2の突出長さaが1mm以上である。環状リブ2が缶胴1のパネリング強度を高めるとともに、環状リブ2を構成する缶胴部分は缶胴軸線方向で折り重ねられ、閉じた構造となっているため、この部分から缶胴軸線方向での荷重に対して座屈することがない。このため高いパネリング強度と軸座屈強度を兼ね備えた缶体とすることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、飲料缶詰、食品缶詰などに好適な金属缶体に関するものである。
金属缶は、製造コスト低減の観点から、金属素材の使用量を低減する試みが進められている。そのための方法として、3ピース缶では、金属素材の板厚を薄くするゲージダウンが進められており、また、2ピース缶では、ゲージダウンとともに、缶胴をしごき加工などで薄肉化する方法が推進されている。しかし、こうしたゲージダウンや薄肉化を行うことで、缶体に必要な強度が低下するため、缶体強度の低下を缶胴の構造によって補うための検討が行われている。
特許文献1では、極薄溶接缶胴を有する3ピース缶について、複数本のビードを設けることにより、缶胴の耐圧強度を実用的な強度にまで補強するとともに、缶胴に施される印刷文字や印刷図柄のビードによる歪みを回避して、そのような歪みに起因する装飾効果の減殺や文字の読み難さを解消する技術を提案している。この技術では、板厚が0.12〜0.16mmの表面処理鋼板から形成され、側面継目部が抵抗シーム溶接法により接合されている極薄溶接缶胴に対して、その缶胴の中央部で、缶胴の上下両端に缶蓋を巻締めた状態の缶の高さの2〜15%の寸法の高さ方向の成形範囲巾内に、深さが0.1〜1.0mmで、ピッチが2〜10mmのビードを複数本形成するものである。
特許文献2では、缶胴と缶底が一体的に形成された2ピース缶用の缶体について、軽量缶とするためにその缶胴を全体的に薄肉化しても、薄肉化された缶胴のパネル強度(耐バキューム性)と座屈強度をバランス良く強化することにより、陰圧缶詰としても充分に使用できる技術を提案している。この技術は、缶胴と缶底が一体的に形成された2ピース缶用の缶体において、缶体の上端近傍に形成される通常のネック部を除く缶胴の適所に、補強用の屈曲部分を缶胴の円周方向に沿って略環状に形成するとともに、この補強用の屈曲部分の板厚を、全体的に薄肉化された缶胴において他の部分(薄肉部分)よりも厚肉(厚肉部分)となるように形成するものである。
特開2000−72143号公報 特開2001−335018号公報
特許文献1では、缶内圧が負圧になる缶詰の場合に、缶胴が外圧によって凹まされる、いわゆるパネリング現象を回避することができるとしている。しかし、缶蓋を巻締固着するなどの際に缶胴に上方(軸線方向)から外力が加えられることで、缶胴が軸線方向に押し潰されて座屈する現象である軸座屈に対し、特許文献1で用いられているようなビード構造は、却ってその強度を低下させることが知られている。つまり、特許文献1の技術ではパネリング現象を回避することはできても、軸座屈現象を同時に回避することは困難である。
特許文献2では、パネリング現象および軸座屈現象の両者に対して効果があるとしている。しかし、特許文献2の技術は、缶胴に対して部分的に他の部分よりも厚い部分を設ける必要があり、3ピース缶への適用は不可能である。
したがって本発明の目的は、2ピース缶、3ピース缶のいずれにも適用可能であって、高いパネリング強度と軸座屈強度を兼ね備えた缶体を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]円筒状の缶胴の1箇所以上に、缶胴全周に沿って突設された環状リブを有し、該環状リブは、缶胴の一部を缶胴軸線方向で折り重ねた構造を有し、缶胴面からの環状リブの突出長さが1mm以上であることを特徴とする缶体。
[2]上記[1]の缶体において、缶胴面からの環状リブの突出長さが5mm以下であることを特徴とする缶体。
[3]上記[1]または[2]の缶体において、缶胴平行部において環状リブで区画された部分の缶胴軸線方向での長さが45mm以下であることを特徴とする缶体。
本発明の缶体は、缶胴全周に沿って突設された環状リブが缶胴のパネリング強度を高めるとともに、この環状リブを構成する缶胴部分は缶胴軸線方向で折り重ねられ、閉じた構造となっているため、この部分から缶胴軸線方向での荷重に対して座屈することがない。このため高いパネリング強度と軸座屈強度を兼ね備えた缶体とすることができる。また、本発明の缶体は、環状リブを除く缶胴本体は通常の円筒缶胴と同様に平滑であるため、印刷や図柄を歪めることがないという利点もある。
本発明を3ピース缶に適用した場合の一実施形態を示す正面図 図1の実施形態における環状リブが形成された缶胴部位の縦断面図 本発明の他の実施形態における環状リブが形成された缶胴部位の縦断面図 本発明の缶体の形態例(缶体の正面図)を示す説明図 本発明の缶体が有する環状リブの成形方法の一例を示すものであって、成形工程を順に示す説明図 図5(A),(B)の各成形工程での成形部の拡大縦断面図 ビード構造を備えた溶接缶の正面図
金属缶に必要な強度には、主として以下に挙げるような2つの種類がある。まず、缶内圧が負圧になる缶詰の場合に、缶胴が外圧によって凹まされる、いわゆるパネリング座屈に対抗するための缶強度がある。本発明ではこれをパネリング強度と呼ぶ。また、缶蓋を巻締固着する際に缶胴に上方(缶胴軸線方向)から外力が加えられることで、缶胴が軸線方向に押し潰されて座屈することに対抗する缶強度がある。本発明ではこれを軸座屈強度と呼ぶ。
本発明では、金属缶のコスト低減のために金属素材の板厚を低減するゲージダウンについて、3ピース缶の場合に現在用いられている最低レベルである0.15mm程度の板厚を0.10mmまでゲージダウンすることを目標とした。
本発明を創案するに当たり、板厚0.10mm、JIS−G3303における調質度DR−8の原板を用いた錫めっき鋼板を用い、以下に示すような実験を行った。
まず、従来広く用いられているビード加工により缶体強度を向上させる技術の検証を行うため、ビード構造を備えた溶接缶を試作し、缶強度を測定した。ビードを備えた缶体の外観を図7(正面図)に示す。
試作した缶体は、缶胴内径dを52.38mm、巻締め部間の長さeを80mmとし、内容量140gとなる缶に相当するものとした。また、ビードは、深さfを0.6mm、ピッチgを4mmとし、缶胴の両端に缶蓋を巻き締めた状態の缶高さの65%の範囲に成形した。比較のために、缶胴にビード加工の無い缶体も試作した。
パネリング強度の測定は、以下のように行った。供試缶体は、試作した缶胴に内容物を充填せず、その両端に大気圧の下で蓋を巻締めで固着したものを用いた。供試缶体を空気圧で内部を加圧でき且つ内部の圧力を検出する圧力検出器を備えた容器の中に置き、容器を密閉した後、加圧を開始するとともに、容器内部の圧力の時間変化を測定し、加圧により缶体が座屈する際に生じる加圧容器内の急激な圧力変化(低下)が検出された後に加圧を停止した。この際、加圧の速度は15.7kPa/sとした。パネリング強度は、前記の急激な圧力変化の直前の圧力とした。
また、軸座屈強度の測定は、以下のように行った。供試缶体はパネリング強度の測定と同様のものを用いた。それぞれ水平な一対の加圧板を備え、それらが接近するように鉛直方向に移動することで物体を加圧することができ、且つ加圧に要する荷重を測定する荷重検出器を備えた圧縮試験機を用い、供試缶体を缶体軸線方向が鉛直になるように加圧板の間に置き、加圧を開始するとともに荷重の時間変化を測定し、加圧により缶体が座屈する際に生じる荷重変化点(荷重−時間線図の勾配の変化点)が検出された後に加圧を停止した。この際、加圧の速度は20mm/minとした。軸座屈強度は、前記の荷重変化点の荷重とした。
パネリング強度、軸座屈強度の測定結果を表1に示す。ここで、それぞれの強度の合格基準は以下の値を採用した。パネリング強度は、缶に内容物を充填した後に行われる加熱殺菌処理であるレトルト処理時に缶に作用する圧力の代表的な値として、147kPaを合格基準とした。また、軸座屈強度は、缶胴に対して蓋を取り付ける巻締め時に缶に作用する軸方向荷重の代表的な値として、1.47kNを合格基準とした。なお、これらの合格基準の値は缶の径、高さなどのサイズに関係なく設定される値である。これは、レトルト処理や巻締めが缶のサイズに拘わりなくほぼ一定の条件で行われていることによる。表1によれば、加工無しの缶体は、パネリング強度は合格基準を下回っているが、軸座屈強度は合格基準以上である。一方、ビード加工することにより、パネリング強度は向上して合格基準以上となる。しかし、軸座屈強度は低下して、合格基準を下回る値となる。このように、ビード加工はパネリング強度の向上には効果的であるが、一方で軸座屈強度を著しく低下させる。
そこで、本発明者らは、パネリング強度と軸座屈強度を兼ね備えた缶体の構造について検討を行った。ビードは缶胴の剛性を高めるために効果的であるが、一方で軸座屈に関しては、ビード部分が変形の起点となって座屈が生じる。これに対して、缶胴の1箇所以上に、缶胴の一部を缶胴軸線方向で折り重ねた構造を有する環状リブを設けた構造とすることにより、上記ビードと同様の高いパネリング強度が得られる一方で、高い軸座屈強度を維持できることが判った。
図1および図2は本発明を3ピース缶に適用した場合の一実施形態を示すもので、図1は正面図、図2は環状リブが形成された缶胴部位の縦断面図である。図において、1は円筒状の缶胴、3a,3bは缶胴両端に接合される缶蓋の巻き締め部である。
この実施形態の缶体(金属缶)は、缶胴1の軸線方向(缶胴長手方向)のほぼ中央部に、缶胴内面の全周に沿って突設された環状リブ2を有している。この環状リブ2は、缶胴1の一部をその軸線方向で折り重ねた構造を有する。すなわち、この環状リブ2は、缶胴1の一部分を全周で缶胴内側に凸状に成形・突出させるとともに、この突出部分を、その上下の板部どうしが接するように扁平状に成形した(押し潰した)ものである。
本実施形態の環状リブ2は、缶胴部分を2重に折り重ねた構造であるが、より多重に折り重ねた構造としてもよい。
図3は、本発明の他の実施形態を示すものであり、環状リブが形成された缶胴部位の縦断面図である。この実施形態の環状リブ2は、缶胴部分を4重に折り重ねた構造を有する。すなわち、この環状リブ2は、缶胴軸線方向で隣接した2箇所において、缶胴の一部分を全周で缶胴内側に凸状に成形・突出させるとともに、この2つの突出部分を、各々の上下の板部どうしが接し、且つ2つの突出部分どうしも接するように扁平状に成形した(押し潰した)ものである。
このように缶胴部分を多重に折り重ねた構造の環状リブ2は、特にパネリング強度の向上に有効である。
図7に代表的な構造を示したビードは、平滑な缶胴面に対して凹凸状に成形され、ビード構造自体が缶胴面の一部を構成している。このビードは、本発明の缶体が有する環状リブ2と同様に缶胴の剛性を高め、これによってパネリング強度の向上に寄与するが、その凹部・凸部が缶胴内側・外側に開いた構造であるため、缶胴軸線方向での荷重に対して容易に座屈してしまう。これに対して、本発明の缶体が有する環状リブ2は、ビードと同じく缶胴1の一部を変形させたものであり、缶胴1のパネリング強度を高めるが、それを構成する缶胴部分は缶胴軸線方向で折り重ねられ、閉じた構造となっており、環状リブ2は実質的に缶胴面を構成していない。このため缶胴1は、缶胴体軸線方向での荷重に対して環状リブ2の部位から座屈することがない。以上の点から、本発明の缶体は高いパネリング強度と軸座屈強度を兼ね備えたものとなる。また、本発明の缶体は、環状リブを除く缶胴本体は通常の円筒缶胴と同様に平滑であるため、印刷や図柄を歪めることがないという利点もある。
本発明の缶体の缶強度(パネリング強度、軸座屈強度)を先に述べたと同様の方法で測定した。その測定結果を表1に併せて示す。ここで、供試缶体は、板厚0.1mm、JIS−G3303における調質度DR−8の原板を用いた錫めっき鋼板を製缶した溶接缶であり、缶胴内径を52.38mm、巻締め部間の長さを80mmとし、内容量140gとなる缶に相当するものとした。環状リブ2は、缶胴軸線方向の中央部位置に、缶内側に向けて突出するように成形し、缶胴面からの突出長さを1.5mmとした。表1に示されるように、本発明の缶体のパネリング強度は、加工無しの缶体に較べて大きく向上し、合格基準に達しおり、また、軸座屈強度は加工無しの缶体よりも若干低いものの、これも合格基準に達している。
Figure 2010222045
本発明の缶体では、環状リブ2を缶胴軸線方向の2箇所に設けることができる。この環状リブ2の本数は、必要とされる強度や後述する部分pの長さLなどに応じて適宜選択すればよい。
また、上述した実施形態では、環状リブ2は缶胴内面側に突出するように形成してあるが、反対に、缶胴外面側に突出するように形成してもよい。この場合には、缶胴1の一部分を全周で缶胴外側に凸状に成形・突出させるとともに、この突出部分を、その上下の板部どうしが接するように扁平状に成形する(押し潰す)ことで、缶胴1の一部をその軸線方向で折り重ねた構造の環状リブ2を形成する。また、缶胴軸線方向の複数箇所に環状リブ2を設けるとともに、一部の環状リブ2を缶胴内面側に、他の環状リブ2を缶胴外面側にそれぞれ突出するように形成してもよい。環状リブ2を缶胴内面側・外面側のいずれに突出させるかは、缶体の意匠性などを考慮して適宜決めればよい。
本発明の缶体では環状リブ2の缶胴面からの突出長さa(缶胴径方向での突出高さ)は1mm以上とする。この突出長さaが1mm未満では、パネリング強度の向上効果が小さい。これは、このような突出長さaが小さい環状リブ2では、リブ自体の強度が低いため、缶胴1の剛性を十分に高めることができないためであると考えられる。
一方、突出長さa大きすぎるとパネリング強度の向上効果が小さくなる。これは、突出長さaが大きくなると、環状リブ2の構造が缶胴周方向で不均一になりやすくなることが原因であると考えられる。このため突出長さaは5mm以下であることが好ましい。
本発明の缶体において、環状リブ2は、缶胴1の周方向で均一な突出長で形成されることが望ましい。
また、缶胴平行部において環状リブ2で区画された部分p(缶胴部分)の缶胴軸線方向での長さLが45mm以下であることが好ましい。図4(イ)〜(ハ)は、本発明の缶体の形態例(缶体の正面図)を示すものである。缶胴平行部とは、径が一定の缶胴部分を指し、図4(イ)、図4(ハ)のように缶胴全体の径が一定である場合には、缶胴全体=缶胴平行部である。一方、図4(ロ)のように缶胴両端に縮径したネック部100を有する場合には、このネック部100を除いた部分が缶胴平行部である。
図4(イ)〜(ハ)に、缶胴平行部において環状リブ2で区画された部分pの缶胴軸線方向での長さLを示す。図4(イ)のように缶胴全体=缶胴平行部で且つ環状リブ2が1本である場合には、部分pの長さLは、環状リブ2の中央部から巻き締め部3a,3bの各端面までの長さである。図4(ロ)のように缶胴両端にネック部100を有する場合には、部分pの長さLは、環状リブ2の中央部から各ネック部100の基端部までの長さである。また、図4(ハ)のように環状リブ2が2本以上ある場合には、隣接する2本の環状リブ2の中央部間の長さも、部分pの長さLとなる。
本発明の缶体は、環状リブ2で区画される2つ以上の部分pを有することになるが、環状リブ2を設ける缶胴軸線方向での位置や、環状リブ2の本数は任意であるので、部分pの缶胴軸線方向での長さLも基本的に任意である。一方、本発明者らによる検討の結果、環状リブ2を設けることによる缶体のパネリング強度の向上効果は、部分pの缶胴軸線方向での長さLによって異なり、長さLが45mmを超えるような部分pが存在すると、缶体のパネリング強度の向上効果が低下することが判った。ここで、長さLが45mmを超える部分pが存在する場合としては、複数ある部分pのうちの一部の部分p(例えば、2つある部分pのうち1つの部分p)の長さLが45mmを超える場合と、複数ある部分pの全部の長さLが45mmを超える場合がある。
長さLが45mmを超える部分pが存在すると、パネリング強度の向上効果が低下するのは、各々の部分pは補強構造のない平坦な領域であるためパネリング強度が弱く、その長さLがある程度大きくなると、単位面積あたり作用する外圧が同じでも外圧によって作用する力が増大するためである。
このことからして、パネリング強度の面では部分pの長さLは短いほど有利である。しかし、部分pの長さを短くするには、缶胴1の長さを短くするか、環状リブ2の本数を増やす必要があるが、前者は必要な内容量を確保できなくなるという点で現実的ではなく、また、後者はコストの上昇を招く問題がある。したがって、これらの観点から、部分pの長さLは10mm以上とすることが望ましい。
また、缶胴1の縦断面において、環状リブ2は缶胴本体に対して直角であることが好ましい。また、環状リブ2の基端部20、すなわち環状リブ2が缶胴本体から立ち上がるコーナー部の曲率は、軸座屈強度の面では小さい方が望ましいが、缶胴の表面被覆を損傷させないようにするという観点からは、缶胴1の素材板厚tの0.5倍以上とすることが望ましい。また、同様な理由から、環状リブ2の先端部21は、缶胴1の素材板厚tの1倍以上の曲率とすることが望ましい。
環状リブ2を缶胴1に成形する方法は任意であるが、例えば、図5および図6に示すような方法で成形することができる。図5(A),(B)は成形工程を順に示す説明図、図6(A),(B)は図5(A),(B)の各成形工程での成形部の拡大縦断面図である。
まず、図5(A)、図6(A)に示すように、外周に断面山形状の環状凸条40(雄型)を備えた円筒状の外型4を缶胴1の外側に、外周に断面谷形状の環状溝50(雌型)を備えた円筒状の内型5を缶胴1の内側に、それぞれ配置し、これら外型4と内型5で缶胴1を挟圧し、環状凸条40と環状溝50で缶胴部分を缶胴内側に断面山形状に突出させる予備成形加工を施す(この予備成形加工部2xを図5(B)、図6(B)に示す)。そして、このように缶胴1を挟圧した状態で外型4と内型5を回転させることで、缶胴1の全周にわたり環状凸条40と環状溝50による上述したような予備成形加工がなされる。
次いで、図5(B)、図6(B)に示すように、円筒状の挟圧型6を缶胴1の内側に配置し、この挟圧型6で上記予備成形加工部2xを上下方向で挟圧し、扁平状に成形する(押し潰す)。挟圧型6は、軸線方向で接離可能な上型60と下型61を有し、これら上型60と下型61で上記予備成形加工部2xを上下方向で挟圧しつつ、挟圧型6を回転させることにより、缶胴1の全周にわたり予備成形加工部2xが扁平状に成形され(押し潰され)、環状リブ2が形成される。
なお、缶外面側に環状リブ2を形成する場合には、図5および図6とは逆に、内型5の外周に断面山形状の環状凸条を設け、外型4の外周に断面谷形状の環状溝を設け、これらにより缶胴部分の予備成形加工を行い、しかる後、缶胴外側に配置した挟圧型6で予備成形加工部を上下に挟圧し、これを扁平状に成形すればよい。
本発明の缶体に用いる金属素材に特別な制限はないが、耐食性確保の観点からは、金属素材として表面処理鋼板を用いるのが望ましい。表面処理としては、例えば、錫、亜鉛、ニッケル、クロム、或いはそれらの合金の1種または2種以上によるめっき処理が好ましく、さらに、その上層にクロメート処理やリン酸塩処理のような化成処理を施したものも好適である。表面処理鋼板としては、特に、従来から飲料容器に用いられている錫めっき鋼板(ぶりき)、電解クロメート処理鋼板(ティンフリー・スチール)が好適である。また、各種表面処理鋼板に、樹脂フィルムを被覆したラミネート鋼板が、耐食性や環境適合性など面から特に好適である。
本発明を3ピース缶に適用する場合、素材鋼板の板厚は、容器の軽量化の観点から0.085〜0.155mmが好適である。
長方形の鋼板を素材とし、その対向する端部を接合して円筒とする方法は、十分な接合強度を備えた方法であれば特に規定しないが、溶接法、接着法、半田法などを用いことができる。これらのうち、特に接合強度の高い溶接法が好適である。溶接法としては、シーム溶接などの通電溶接や、レーザー溶接を適用することができる。
また、本発明を2ピース缶に適用する場合、缶胴部は絞り加工などで成形されることになる。その際、缶胴部と元の鋼板の板厚は異なる。本発明の目的は缶体の軽量化にあるため、缶胴部を元の板厚よりも薄くすることが望ましい。その際の缶胴部の板厚は0.085〜0.155mmが好適である。この缶胴部の板厚を得るためには、元の鋼板板厚は0.18〜0.24mm程度であることが望ましい。2ピース缶を得るための絞り加工の方法には、DRD(Draw and Redraw)加工法、DTR(Draw and Thin Redraw)加工法、DI(Draw and Ironing)加工法、ストレッチドロー加工法、薄肉化深絞りしごき加工法などを適用することができる。缶胴を元の板厚よりも薄くするため、絞り加工後にしごき加工を行うDI加工或いは薄肉化深絞りしごき加工法などが望ましい。
[実施例1]
板厚0.10mm、JIS−G3303における調質度DR−8の鋼板に錫めっき付着量1.1g/mの錫めっきを施し、この錫めっき鋼板の両面に、後に溶接される部分を除いてPETフィルムを熱融着法でラミネートしたラミネート鋼板を素材とし、缶内径52.38mm、66.25mmの溶接缶胴を製造した。この溶接缶胴に対して、溶接部の内面補修塗装およびその焼付けを行った後、図5および図6に示す方法で環状リブを成形加工した。溶接缶胴の両端に缶蓋を巻き締め、表1に関する試験と同じ方法でパネリング強度と軸座屈強度を測定した。その結果を、缶内径、環状リブの構成などとともに表2に示す。なお、表2において、環状リブの本数:0の実施例(No.7,No.9,No.15)は、環状リブを設けなかった比較例の缶体である。パネリング強度の評価は、147kPa以上を“合格”(○)、157kPa以上を“特に優れる”(◎)とした。
表2によれば、溶接缶胴に環状リブを設けた本発明例の缶体は、軸座屈強度が低下することなく、パネリング強度が向上していることが判る。なかでも、環状リブの突出長さaが5mm以下で且つ部分pの長さLが45mm以下である本発明例の缶体は、特に優れた缶強度を有している。
Figure 2010222045
[実施例2]
板厚0.21mm、JIS−G3303における調質度T−3CAの鋼板にクロムめっきを施し、金属クロム付着量とクロム水酸化物付着量がそれぞれクロム換算で120mg/m、15mg/mのティンフリースチールとした後、その両面にPETフィルムを熱融着法でラミネートしたラミネート鋼板を素材として用いた。このラミネート鋼板の表面に加工潤滑剤となるパラフィンワックスを塗布した後、薄肉化深絞りしごき加工により、缶内径52.38mm、66.25mmの絞り缶胴を製造した。この絞り缶胴に対し、パラフィンワックスを除去するために200℃で3分の熱処理を施した後、図5および図6に示す方法で環状リブを成形加工した。絞り缶胴の一端に缶蓋を巻き締め、表1に関する試験と同じ方法でパネリング強度と軸座屈強度を測定した。その結果を、缶内径、環状リブの構成などとともに表3に示す。なお、表3において、環状リブの本数:0の実施例(No.23,No.25,No.31)は、環状リブを設けなかった比較例の缶体である。パネリング強度の評価は、実施例1と同様とした。
表3によれば、絞り缶胴に環状リブを設けた本発明例の缶体は、軸座屈強度が低下することなく、パネリング強度が向上していることが判る。なかでも、環状リブの突出長さaが5mm以下で且つ部分pの長さLが45mm以下である本発明例の缶体は、特に優れた缶強度を有している。
Figure 2010222045
1 缶胴
2 環状リブ
2x 予備成形加工部
3a,3b 巻き締め部
4 外型
5 内型
6 挟圧型
20 基端部
21 先端部
40 環状凸条
50 環状溝
60 上型
61 下型
100 ネック部
p 部分

Claims (3)

  1. 円筒状の缶胴の1箇所以上に、缶胴全周に沿って突設された環状リブを有し、該環状リブは、缶胴の一部を缶胴軸線方向で折り重ねた構造を有し、缶胴面からの環状リブの突出長さが1mm以上であることを特徴とする缶体。
  2. 缶胴面からの環状リブの突出長さが5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の缶体。
  3. 缶胴平行部において環状リブで区画された部分の缶胴軸線方向での長さが45mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の缶体。
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