JP4121832B2 - 成形容器の製造方法と製造装置及び成形容器 - Google Patents

成形容器の製造方法と製造装置及び成形容器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形容器の製造方法と製造装置及び該方法により得られる成形容器、特に紙を主体とする素材で従来と比べて特段にしわの発生が極端に少なく且つ高い絞り率まで深絞り成形が可能な絞り成形容器の製造方法と製造装置及びそれにより得られる絞り成形容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に流通している開口面積に対してある程度以上の深さを有する紙容器は、胴部と底部が別体の2ピースからなる紙コップ形状のものが殆どである。しかしながら、2ピースの紙コップの場合、予めポリエチレン等の樹脂をラミネートした原紙を扇形に打ち抜いて形成した胴部ブランクと円形に打ち抜いて形成した底部ブランクを、成形機で成形して樹脂を加熱溶融させて胴部側面及び底部を融着させているため、工程数も多くまたコップ内面には原紙の端面が露出するため、内容物によっては原紙に強耐水性、耐油性等の特別な処理を施す必要がある。また、樹脂の融着により成形する為、ラミネート材として使用できる樹脂が限定される等の問題点がある。反面、一枚のブランクを絞り成形した絞り成形紙容器の場合、紙コップのように溶融接着を行わずに成形ができ、且つ原紙の端面が露出しないので、紙コップ状容器の欠点を克服できる利点がある。そのため、2ピースからなるコップ状紙容器に代わるワンピースからなる深絞り成形紙容器を得ることが、従来より種々提案されている。しかしながら、次のような紙の特性上から深絞りが困難であるため、絞り成形紙容器は、トレー等の浅い容器を除いて未だ実用化に至っていないのが実情である。
【0003】
紙は伸縮性がなく且つ熱可塑性がないため、1枚のブランクから絞り成形して紙容器を製造すると、胴壁及びフランジに不規則に凹凸になったしわが多く発生し、発生したしわは圧力や熱をかけても消えず且つ平らにならないのでひだとなって目立ち、容器外観を損ねて見苦しくなる。紙容器の絞り成形は、絞り率が大きい程大きくしわ発生し、且つ紙に金属のような展性がないため、すぐに絞り限界に達し、亀裂や底抜けが発生する欠点がある。これらの問題点を解決するために、従来種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、従来、紙に展性や熱可塑性を付与するために、素材として木材パルプ繊維に合成樹脂を分散させ混抄した混抄シートや合成紙、又は合成フィルムと紙との多層構造の複合シートを使用して、熱プレス成形により樹脂を溶融させることにより、深絞り成形を可能する方法が多く提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。また、成形方法としては、上記原紙を使用し、多段プレスによって、まず底部のみを成形し、次に上縁部を成形し、最後に容器胴体部を成形する方法が提案されている(例えば文献1)。また1回又は複数回の絞りしごき成形により胴部の素材に対する密度比を1.06以上にすることによって側壁部の剥離強度を高めることが提案されている(文献3参照)。しかしながら、深絞りにしわやひだの発生は避けられないため、従来一般に予めブランクに放射状にスコアを形成するか、ダイスやパンチにブリーツ形成用の溝を形成することによって、しわの発生均一化するようにしている(例えば、特許文献1、特許文献4参照)か、ブランクに予め接着剤を塗布しておき、成形時に生じるひだ同士を接着させて規則的なひだを有するようなカップを成形することが提案されている(特許文献5)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−176130号公報(第2‐4頁、第1−2図)
【特許文献2】
特開平8−113227号公報(第2‐4頁、第1図)
【特許文献3】
特開昭61−118225号公報(第2‐4頁、第1図)
【特許文献4】
特開平8−318926号公報(第4頁、第4−5図)
【特許文献5】
特開平9−56319号公報(第1−3頁、第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来提案されている深絞り成形容器の素材として、合成樹脂との混抄紙や合成紙、あるいは合成樹脂層を多く含む多層紙を採用した容器の場合、合成樹脂の熱可塑性により深絞り成形性は増すが、使用済みの容器の資源としての再利用が難しく、紙容器としての利点を損なう欠点がある。また、従来の深絞り成形方法では、素材樹脂成分をかなり多く含む場合を除き、大きなしわの発生は避けられないので、予めブランクにスコア又はダイスやパンチにブリーツ形成用の溝を形成するか、あるいは文献5に記載のようにブランクに接着剤を塗布してひだやしわの発生を均一化しようとしているが、それだけ工程数が増えコスト高になると共に、大きなしわの発生による外観を損なっていることは依然として避けられない問題として残っている。
図10は、ブランクにスコアを形成してから絞り成形された従来の市販の紙製深絞り容器の底面から高さ35mmの位置の断面を電子顕微鏡で35倍に拡大して撮影したものであり、しわの発生状況が観察される。該写真において、ほぼ等間隔にループ状に屈曲している部分が罫線位置を中心に屈曲した部分であり、胴部壁内外周面から内方又は外方に突出して折り曲がっており、ひだの発生が目立つと共に、触感も違和感を与える欠点は解消されていない。
【0007】
また、文献3には、しごき率が0.2〜20%の範囲で絞りしごき加工を行なうことが提案されているが、樹脂層を多層含む素材の場合についての実施例が示されているだけであり、どの程度の深絞り成形を行ったか開示されてない。本発明者が、紙を主体とする素材での深絞りで、文献3に示されている方法でしごき率が0.2〜20%の範囲で単に絞りしごき成形しても、しわの発生を目立ないように抑えることはできず、実用化に耐え得る深絞り紙容器を得ることはできなかった。
【0008】
以上のように、従来提案されている絞り成形の紙容器の製造方法は、特に深絞り容器での大きなしわの発生は避けられず、外観を損ね美観・デザインの良さが求められる近年の包装容器への適用は困難で、トレー状の極めて浅い容器にしか実用化されてない。そこで、本発明は、従来の絞り成形紙容器で発生する上記問題点を解消して、深絞りしても目立つような大きなしわを発生させることなく、しぼり成形できる紙容器を製造する成形容器の製造方法と装置、及び絞り成形容器を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは絞り成形技術と素材について種々の観点から実験と研究を繰返した結果、絞り成形技術では絞りしごき加工が通常の深絞り成形よりもしわの発生を抑制でき、且つプレス中の紙の破断や底抜けが少なく紙容器の深絞りに有効であることが分かったが、従来提案されている通常の絞りしごき加工法では依然としてしわの発生や破断,及び成形後の開口部の波打ちと高さ方向の不揃いが発生し、未だ商品化に耐え得る美麗な絞り容器を得ることができなかった。しかしながら、さらに研究した結果、絞りしごき加工におけるフランジ押えとダイス上面のクリアランス、パンチ外周面とダイス内周面とのクリアランスを調整しながらしごき絞り成形する方法を見出し(本発明者はそれを「定厚フランジしごき絞り法」と名付けた)、従来の紙コップに適用される素材を使用しても、従来の方法と比べて特段にしわが目立たず美麗に絞り成形でき、また成形後の開口部の高さ方向の不揃いは、原紙の抄紙方向と密接な関係があり、抄紙方向に対応してブランク形状を予め調節することにより解決することができることを見出し本発明に到達したものである。
【0010】
即ち、上記課題を解決する本発明の成形容器の製造方法は、紙を主体とする一枚のブランクから絞り加工により成形容器を製造する方法であって、フランジ押えとダイス上面とでブランクを定厚に押えながら、パンチ外周面とダイス内周面とでブランクを定厚に圧縮して絞り加工して、ブランクを有底で胴壁が垂直な容器に成形することを特徴とするものである。前記成形容器の製造方法において、フランジ押えとダイス上面とのクリアランスをブランク厚さの80〜130%とし、且つパンチの外周面とダイス内周面とのクリアランスをブランク厚さの60〜110%の範囲に調整し、フランジ押えとダイス上面とで1枚のブランクを定厚に押えながら、パンチ外周面とダイス内周面とでブランクを定厚に圧縮して絞り加工するのが望ましい。より望ましくは、フランジ押えとダイス上面とのクリアランスをブランク厚さの90〜110%とし、パンチの外周面とダイス内周面とのクリアランスをブランク厚さの80〜90%の範囲に調整することによって、絞りしごき加工でより良好に深絞りすることができる。
【0011】
前記ブランクは、ブランク原紙の抄紙方向の寸法が抄紙方向と直角方向の寸法より所定割合長くなるような異形形状(例えば断面円形の紙容器の場合は、楕円形状)に形成することにより、しごき成形加工中のブランク原紙繊維方向の相違による変形度合いの変化が調整され、絞りしごき加工後の容器開口端部の軸方向長さの不均一変形を抑制することができる。さらに、前記パンチの外周面を粗面加工して、絞りしごき加工中でのパンチとブランクとの摩擦力を高め、ブランクとパンチの滑りを確実に防止するようにすることがより望ましい。
【0012】
また、上記課題を解決する本発明に係るテーパー状胴部を有する成形容器の製造方法は、フランジ押えとダイス上面とで紙を主体とするブランクを定厚に押えながら、パンチ外周面とダイス内周面とでブランクを定厚に圧縮して絞り加工して、ブランクを有底で胴壁が垂直な容器に成形する1次成形工程、該1次成形工程で得られた胴壁が垂直な容器を、オス、メスのテーパー型を用いてプレスすることにより、胴壁をテーパー状に拡張するテーパー加工工程、前記オス、メスのテーパー型で保持したまま、カール成型面によりカール加工を行うカール加工工程からなる2次成形工程からなることを特徴とするものである。
【0013】
そして、上記課題を解決する本発明の成形容器製造装置は、胴壁が垂直な紙を主体とする容器を絞り成形する絞り成形容器の製造装置であって、相対的に上下駆動される絞り加工面が軸方向に互いに垂直面となっているパンチとダイス、該ダイス上面に対向配置されるフランジホルダー、及びプランジャーに固定された底部成形型とから構成され、前記ダイス上面に対向配置される前記フランジホルダーとダイス上面とは、成形加工するブランクの厚さ対応して絞り成形加工中一定高さのクリアランスを有するようにスペーサで調整するようにしてなることを特徴とするものである。
【0014】
そして、本発明に係るテーパー状胴部を有する成形容器の製造装置は、紙を主体とする一枚のブランクから絞り加工により成形容器を製造する装置であって、相対的に上下駆動される絞り加工面が軸方向に互いに垂直面となっているパンチとダイス、該ダイス上面に成形加工するブランクの厚さに対応して成形加工中一定高さのクリアランスを有するように対向配置されるフランジホルダー、及びプランジャーに固定された底部成形型とから構成されてなる胴壁が垂直な容器を絞り成形する第1次成形装置と、内周面が末広がり状にテーパー面となっている雌型ブロック、該雌型ブロックのテーパー面とほぼ同角度のテーパー面を有する雄型ブロック、前記雌型ブロックに嵌合可能に配置されたノックアウトテーブル、開口端縁をカール加工するカール成形型面を有するカール成形型からなり、前記雌型ブロックと前記ノックアウトテーブルが下部フレーム側に設けられ、前記雄型ブロックと前記カール成形型が上部の昇降ヘッドに設けられて構成され、1次成形された胴壁が垂直な容器の胴壁をテーパー状に広げ、開口端縁をカール加工する第2次成形装置の組合せからなることを特徴とするものである。前記雌型ブロック上端縁には、テーパー面に続いて、昇降ヘッドに固定されている前記カール成形型の下端に形成されている上側カール成形面と協同して容器開口端をカールするための下側カール成形面が一体に形成されているのが望ましい。
【0015】
また、本発明の紙を主体とする絞り成形容器は、請求項1〜3の何れか1項に記載の成形容器の製造方法で製造され、有底で垂直な胴壁からなることを特徴とするもの、又は請求項9に記載の有底で胴壁が垂直な絞り成形容器をオス、メスのテーパー型を用いてプレスすることにより得られた胴壁がテーパー状であることを特徴とするものである。上記製造方法で得られた本発明の絞り成形紙容器は、紙を主体とする絞り成形容器であって、胴壁に発生しているしわの殆どが、胴壁の内面又は外面から胴壁内方に向かう微小な線状窪みとなっていることを特徴とする。前記しわは、胴部の板厚方向に所定深さを有する線状(切れ目状)を呈し、該線状しわが胴部断面で胴部内面と胴部外面とで概ね交互に表れることにより、殆ど目立つことがなく、逆にしわが微細な模様となって独特の風合いを呈する容器を得ることができる。
【0016】
また、上記製造方法で得られた本発明の絞り成形容器は、胴部の紙繊維密度が底部から上部に向けて次第に高くなっていることを特徴とするものであり、絞り率が20%以上絞り成形されている。本発明に係る絞り成形容器は、紙を主体とする最大延び率7.5%以内の素材から成形されているものである。また、紙を主体とする素材とは、素材全体厚さに占める紙層厚さ又は紙繊維の占める割合が多い場合ばかりでなく、素材全体厚さに占める割合が50%以下であっても、紙層が他の樹脂層等と比べて主層を構成している場合をいう。以上のような本発明の成形容器は、胴壁がほぼ垂直なカップ状容器ばかりでなく、胴部がテーパー状をし、且つその開口端部がカール加工されている容器にも適用できる。さらに、断面が円形に限らず楕円形状、四角状等の多角形、あるいは深絞りに限らず、トレー状等の浅い絞り紙容器にも適用できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では図4に示す胴壁11が垂直となっていて、底部周縁にスタック用の環状突起12を有する円筒状の1次成形容器10を絞りしごき加工により深絞り成形する場合について説明する。図1は、絞りしごき加工方法を示す概略図であり、図2はその要部拡大図である。
【0018】
絞りしごき加工は、パンチとダイス間のクリアランスをブランクの厚みよりも小さく設定してブランクをパンチ外周面とダイス外周面とで素材を強圧縮しながら、絞り成形する加工であるが、例えば円筒容器の場合、パンチとダイスが相対的に接近することによって円板状のブランクの中心部にまずパンチ底面が当たり、ついでパンチ外周縁肩部とダイス内周肩部とでブランクの挾み付けが開始され、その状態でパンチが降下することによって、パンチ外周縁肩部とダイス内周肩部の挾み付けが順次進行し、次第に円筒形に絞られていく。その場合、ブランク表面は、円形平面からその外周部が最終胴部径まで次第に縮径変形するが、金属のように展性がないため、金属の深絞り加工の場合のような縮みフランジにおける伸び−縮み変形がなく、縮径による周方向長さの縮小分は、他方向への伸びに変換されることがないので不規則なしわとなって発生する。フランジ部で発生したしわは、紙の特質上から胴部のしごき加工で圧縮あるい加熱されても是正されることなく、そのまま胴部に残ることになる。
【0019】
しかしながら、本発明者は、このようなしわの発生に影響を及ぼす要因について種々研究した結果、しわの発生に影響を及ぼす要因として、▲1▼ブランク厚に対するしわ押えとダイス上面とのクリアランス、▲2▼ブランク厚に対するパンチ外周面とダイス内周面とのクリアランス、▲3▼ブランクとしわ押え・パンチ外周面及びダイス内周面との摩擦、▲4▼パンチとダイスの角度、及び▲5▼ブランキングがあり、これらの要因を適切に管理することによって、通常の紙容器のブランクであっても、しわの発生を細かく分散させ目立たないように成形でき、且つ深絞り成形ができることがわかった。
【0020】
本実施形態の絞り成形紙容器の製造方法は、これらの要因に着目してなされたものであり、通常の紙容器のブランクであっても、しわの発生を細かく分散させ目立たないように成形できるようにしたものである。
本実施形態の絞り成形容器製造装置における絞りしごき加工装置は、主な構成として、図1に示すように、適宜の駆動装置により上下駆動されるパンチ2、ダイス3、ダイス上面に対向配置されるフランジホルダー4、及びプランジャー5に固定された底部成形型6とから構成されているが、本実施形態ではフランジホルダーが成形加工中、ブランクの厚さに対して所定の間隔、すなわちフランジ部クリアランスを維持するように、ダイス3とフランジホルダー4との間のブランク10に邪魔にならない位置にスペーサ7を設けている。該スペーサ7はダイス3上面又はフランジホルダー4の下面の何れかに着脱可能に取付けてよく、特にその位置が限定されるものではない。
【0021】
その要部を図2に拡大して示すように、ダイス上面とフランジホルダー下面とのクリアランス(以下、フランジ部クリアランスという)FCは、ブランク10の板厚の80〜110%、望ましくは90〜110%程度となるようにスペーサ7によって設定される。また、パンチ外周面とダイス内周面との隙間(以下、胴部クリアランスという)BCは、ブランクの板厚の60〜110%、望ましくは80〜90%となるように設定されている。フランジ部クリアランスFC及び胴部クリアランスBCは、絞りしごき加工におけるしわの発生に影響を及ぼし、とりわけフランジ部クリアランスFCは、しわの発生に最も大きな影響を及ぼす。紙容器にける従来の絞りしごき加工の場合、例えば、特許文献3では、しごき率、すなわちブランク厚さに対するパンチ外周面とダイス内周面との胴部クリアランスのみに着目しているが、しわの発生はフランジ部で生じるので、ブランク厚に対するフランジ部クリアランスの影響が最も大きく、それが適切でないとしわの不規則な発生は避けられない。
【0022】
従来、金属板の絞り成形では一般にしわ押えによってフランジを所定の力(しわ押え力)によって、フランジに伸びと縮み変形を促進させることによりしわの発生を押えている。しわ押えの機能は、しわ押え力によりフランジ押圧することによりしわの発生を押えると共にしわ押え力によりブランクとの摩擦力を発生さて成形に必要な張力を付与することにあり、そのしわ押え力を適性にコントロールすることが重要な技術的事項となっていて、例えば、しわ押え力を行程の進行に従って可変制御あるいはファージ制御することが提案されている。
【0023】
しかながら、本発明者の実験によれば、紙ブランクの場合は、紙に展性がないためしわ押え力でブランクを所定圧力で押圧するよりも、むしろブランクを強く押圧しない程度の所定間隔(ブランク厚の80〜130%、望ましく90〜110%程度)に保ち、且つ後述するようにパンチ外周面とダイス内周面をブランクの厚さに対してブランクを所定厚さに圧縮する程度に一定間隔に保って、絞りしごき成形することによって、しわの発生が表裏面に微細化され、殆ど目立なくするようにできることが分かった。本発明者は、そのよう加工方法を「定厚フランジしごき絞り法」と定義した。
【0024】
胴部クリアランスBCを、ブランクの厚さより狭い間隔に保つことによって、パンチ外周面とダイス内周面とに進入してくるブランクを所定圧力で圧縮して保持し、その状態でパンチが下降して順次しごきながら絞り成形が進むので、ブランクの繊維密度は高くなるがブランクには張力を掛けずに絞り成形ができる。従って、パンチ底部からブランクへの押圧力は殆ど作用しないので、底抜けや胴部が張力によって破断することなく成形できる。そのため、本発明で成形した成形容器は、胴部の紙繊維密度が底部から上部に向けて次第に高くなっている。
【0025】
本発明者の実験によれば、ブランクが紙原紙のみか、片側ラミネート紙,又は両側ラミネート紙であるか、あるいはラミネート樹脂の種類により必ずしも一様でないが、フランジ部クリアランスFCをブランク厚さの80〜130%で、胴部クリアランスBCをブランク厚さの60〜110%の範囲にして、絞りしごき加工すると良好に成形できた。胴部クリアランスBCが、ブランク厚さの110%以上であるとラミネート有無にかかわらず原紙が破断し、絞り成形することができなかった。また、60%以下では、パンチの噛合い抵抗が大きく絞り成形することができなかった。胴部クリアランスは、特に、紙厚の約80〜90%の範囲の場合が成形性が最も良好であった。
【0026】
フランジ部クリアランスと絞り性の関係は、フランジ部クリアランスFCが広がるとフランジ部のしわ及び胴部の黒ずみが増加し、外観が悪くなる傾向が見られた。特に、紙厚の130%以上になると、しわ及び黒ずみが目立つ傾向にあり、外観上紙厚の80〜130%、特に90〜110%の範囲が良好であった。外観の黒ずみは、フランジの縮径による紙厚が圧縮力を受け、密度が高くなるが、クリアランスが大きいと縮径による圧縮力が不均一に作用したため、部分的に高密度部が発生し、高密度部が黒ずみとなって表れたものと考えられる。
【0027】
また、本実施形態では、パンチ2の外周面をサンドブラスト処理して粗面加工をしてブランク内面との摩擦力を高めている。絞り成形中に、パンチ外周面とブランクとの間に滑りが発生すると、ブランクに張力が負荷され、ブランクが破裂する恐れがあるので、ダイス内周面とパンチ外周面で滑りが発生しないように強圧縮してしごき成形している。したがって、滑りを発生させないためには、しごき率を高めればよいが、しごき率をあまり高めると逆にブランクとダイス内周面との摩擦も強まり、しごき加工性を阻害することになる。本実施形態では、その問題を解決するために、パンチ2の外周面をサンドブラスト処理してある。それにより、ブランクとパンチの摩擦が大きくなり、ブランクとパンチ間で滑りが生じることなく、良好にしごき加工ができる。なお、ブランクとダイス内周面との間は摩擦がなく良好に滑るのが望ましいので、滑面加工してある。
【0028】
以上は、装置面からの本発明の特徴であるが、本発明はブランクの形状にも特徴を有している。通常、絞り成形容器におけるブランクの形状は、容器の形状に合わせて打ちぬき形成される。例えば、円筒状容器の場合のブランク形状は円形であるが、本実施形態では図3に示すように、ブランク9を楕円形状にし、該ブランクから図4に示す胴壁が垂直な円筒状容器11を絞り成形により得ている。ブランク10は、原紙の抄紙方向を長軸とし、抄紙方向と直角方向を短軸とする楕円形状となる異形形状に形成されている。なお、上記実施形態は、円筒容器用のブランクの場合であるが、断面楕円状容器の場合は逆にブランクを円形に近い形状、矩形状容器の場合はブランクの縦横比を成形後の容器縦横と違う縦横比とする等、しごき成形加工中のブランク原紙の繊維方向の相違による変形度合いの変化が調整されるように、ブランク原紙の抄紙方向の寸法が抄紙方向と直角方向の寸法より所定割合長くなるような異形形状に形成する。
【0029】
ブランクを異形形状に形成したのは次の理由による。
絞り成形、特に絞りしごき成形の場合、縮径変形によりフランジ部にしわが発生するため、最後の開口端部は、周方向のみならず軸方向にも波打ち、開口端が不揃いとなる傾向にある。そのため、従来金属缶の絞りしごき成形容器の場合、成形後にトリミングを行い開口端を切り揃えている。しかしながら、本発明者は紙ブランクの場合、開口端の不揃いが、紙の抄紙方向によって相違することを見出し、抄紙方向に対応してブランク形状を予め調節することによって、成形後の容器開口端の不揃いが殆どなくなり、トリミング加工を省くことができることが分かった。即ち、紙の場合、繊維が抄紙方向に配列される傾向にあるため、抄紙方向とそれと直角方向とで延び・引張強度が相違する。その性質を利用して、断面円形容器の場合、ブランクを構成する原紙の抄紙方向を長軸とし、抄紙方向と直角方向を短軸とする楕円形状にした結果、成形後の容器開口端の不揃いが殆どなくなり、トリミング加工を省くことができた。
【0030】
次に、上記のようにして得られた円筒状の1次成形容器10から、図5に示すような胴壁11がテーパ状に傾斜し且つ開口端部にカール部13を有する2次成形容器15を成形する方法の実施形態について説明する。
【0031】
図6〜図8は、本実施形態に係るテーパー・カール付け装置である2次成形装置19を示している。なお、本発明の2次成形装置は以下の構造に限定されるものではない。
本実施形態の2次成形装置であるテーパー・カール加工装置は、雌型ブロック20、雄型ブロック21、ノックアウトテーブル22、カール成形型23からなり、雌型ブロック20とノックアウトテーブルが下部フレーム24側に設けられ、雄型ブロック21とカール成形型23が上方の昇降ヘッド25に設けられている。雌型ブロック20は、内周面が上広がり状にテーパー面26となって、該テーパー面の下端内周縁には1次成形容器10の環状突起12を受ける環状受部27が形成され、該環状受部27とノックアウトテーブル22とで、雌型に嵌合される1次成形容器11を受けて保持するようになっている。また、雌型ブロック20の上端縁には、昇降ヘッド25に固定されているカール成形型23の下端に形成されている上側カール成形面30と協同して容器開口端をカールするための下側カール成形面28が、テーパー面26に続いて一体に形成されている。なお、雌型ブロックの環状受部27は必ずしも設ける必要はなく、1次成形容器11を直接ノックアウトテーブル22で受けるようにしてもよい。
【0032】
下端に上側カール成形面30を有するカール成形型23は、円筒状に形成されその上端が昇降ヘッド25に取り付け固定され、その内周面に雄型ブロック21の上部が上下方向に変位可能に嵌合している。該雄型ブロック21の上面には、昇降ヘッド25のフランジ部を貫通して設けられたボルト状のガイドピン32が螺着されて、該ガイドピンを介して上下変位可能に支持され、常時は図6に示すように該ガイドピン32に設けられたスプリング33によって下方に付勢されている。該構成により、カール加工中にカール成形型の下方への変位量に対応してクッションするようになっている。雄型ブロック21は、その下方外周面の下端が1次成形容器11の開口部に嵌合する外径を有し、該下端から雌型ブロックのテーパー面26とほぼ同角度のテーパー面31となって、その上方部が垂直円柱面32となっている。また、雄型ブロック21は、その下面中央部にカール加工中一次成形容器の底面をノックアウトテーブルに押圧して固定する押圧パッド34を有している。該押圧パッド34は、雄型ブロック21を貫通するガイドピン35及びスプリング36を介して、雄型ブロツクに対してクッション可能に取り付けられている。
【0033】
本実施形態の2次成形装置は、以上のように構成され、円筒状に一次成形された一次成形容器11は、図6に示す雌型20に供給され、その下端外周縁部が雌型20の環状受部27に支持されると共にその中央部のパネル面がノックアウトテーブル面に支持される。この状態で昇降ヘッドが下降することによって、まず雄型21のテーパー面31下端が仮想線で示すように、一次成形容器11の開口部に嵌合する。テーパー面31の下端直径は一次成形容器の開口部の内径より僅かに小さく形成されているので容易に嵌合される。その後、昇降ヘッド25がさらに下がることによって、雄型のテーパー面31によって次第に胴部壁11が拡げられてテーパー加工される。該テーパー加工は、一次成形容器が絞りしごき成形加工により成形されているので、胴部素材が圧縮されて高密度になっていることと微細なしわがあるため、最初からテーパー状に絞り加工する場合と比べて、テーパー加工に対して容易に拡がり、胴部が破断することがなく、且つ美麗にテーパー加工できる。以上のようにして、雄型底面が図7に示すように、一次成形容器10の底面に当るまで下降することによって、フランジ加工が終了する。
【0034】
図7に示す状態から昇降ヘッドがさらに下降することによってカール加工が開始される。カール成形型23が下降して、上側カール成形面30が容器開口端に突き当たってさらに下降することにより、容器開口端が上側カール成形面30に沿って外側にU字状に曲げられ開口端縁が下側に向く。その状態からカール成形型23がさらに下降することにより、容器の開口端縁が下側カール成形面28に突き当り、さらに下降することによって下側カール成形面28に沿って円弧状に曲げられ、最終的に図8に示すように円形カール状のカール部13が成形され、2次成形容器15が完成する。該カール加工行程中、2次成形容器は、底面が押圧パッド34によって所定の押圧力によってノックアウトテーブル22に押え付けられ、且つテーパー側壁は雄型ブロックのテーパー面31がクッションしながら所定の圧力で容器の胴壁11を雌型内周面に対して挾み付けているので、動くことがなく安定してカール加工ができる。しかも、カール加工は、テーパー加工と同様に、胴部素材が圧縮されて高密度になっていることと微細なしわがあるため、容易に且つ均一に美麗に形成できるという特徴を有する。
【0035】
【実施例】
まず、本発明の定厚フランジしごき絞り法における、▲1▼ブランク厚さに対するフランジ部クリアランス、及び胴部クリアランスの影響、▲2▼ダイス肩部及びパンチ肩部のアール寸法の影響を調べる試験を行なったので、その結果を示す。
【0036】
試験例1
ブランク厚さに対するフランジ部クリアランス、及び胴部クリアランスを表1及び表2に示すように変化させて、本発明の定厚フランジしごき絞り法による絞り成形性を評価した。また、胴部クリアランスを一定にしてフランジ部クリアランスを変化させた際のしわ、及び胴部黒ずみを観察した。
実験に供した素材は、▲1▼生原紙(坪量340g/m、最大伸び率6% )、▲2▼前記生原紙の片側に30μmのPPフィルムをラミネートしたもの(最大伸び率 6% )、▲3▼前記生原紙の片側に30μmのPEフィルムをラミネートしたもの(最大伸び率6% )を使用した。加工条件は次の通りである。
(加工条件)
胴部クリアランス: 表1参照
フランジ部クリアランス: 表2参照
ダイス温度: 30℃、50℃、70℃
パンチ肩部アール径: 1.0mm
ダイス肩部アール径: 1.25mm
絞り速度: 35mm/s
【0037】
【表1】
Figure 0004121832
【表2】
Figure 0004121832
【0038】
その結果を表3〜表5に示す。
【表3】
Figure 0004121832
【0039】
【表4】
Figure 0004121832
【0040】
【表5】
Figure 0004121832
【0041】
以上の結果より、生原紙の場合、ダイス温度が30℃の場合よりも70℃の場合が成形性がよく、ダイス温度の成形性への影響はあるが、その影響は他の場合に比べて僅かであり、70℃以上ではその後殆ど成形性には変化がなかった。素材▲2▼の場合は、ダイス温度50℃〜70℃の場合が成形性が良く、素材▲3▼の場合は、ダイス温度70℃以上の場合が成形性が良かった。これは、素材に含まれる樹脂層の融点の相違によるものであり、融点が高い樹脂層を含む程高温での成形性がよくなるが、本発明の方法では従来の絞り成形におけるダイス加熱温度に比べてかなり低い温度で成形が可能であった。一方、胴部クリアランスの影響は、何れの場合もブランク厚以下の場合が成形性で加工が可能で、ブランク厚の約80〜98%での成形性が良好で、110%を超えるとラミネートの有無に関わらずブランクが破断し、絞ることはできなかった。また、フランジ部クリアランスは、胴部クリアランス以上での加工が可能であった。特に、ブランク以上のフランジ部クリアランスとなると、胴部の加工範囲が広がる傾向にあった。しかし、フランジ部クリアランスが130%以上になるとしわ、黒ずみが目立つ傾向にあり、ブランク厚の100〜110%が最も良好であった。ブランクの材質との関係では、生原紙のまま、外側片側ラミネート紙の場合が成形性がよく、内側ラミネート紙の場合は、成形範囲が狭い傾向がみられた。これは、パンチとラミネートフイルム間で滑りが発生してしまい、ブランクを確実に挟みこむことができず、破れてしまうものと考えられる。
【0042】
実施例1
上記試験例に基づき次のような条件で、筒状容器を製造した。
〔ブランク〕
素材:低密度ポリエチレン(15μm)/カップ原紙(340g/m2)/低密度ポリエチレン(15μm)
素材厚さ:0.466〜0.485mm
素材の最大伸び率: 6%
ブランク形状:楕円形状(長軸(抄紙方向):155.5mm,短軸(抄紙方向と直角方向):149.5mm)
〔加工条件〕
フランジ部クリアランス: 0.45 mm(92.8%)
胴部クリアランス: 0.40mm(82.35%)
ダイス温度 : 100 ℃
R形状 :パンチ肩部 1.0mm、ダイス肩部 1.25mm
〔成形目標容器形状〕胴壁が垂直な円筒状カップ:胴部直径80mm、胴部高さ40mm絞り率 50%
【0043】
上記条件に基づき、本発明の定厚フランジしごき絞り法によって、カップを成形した。その結果、胴部や底部に破断が生じることなく目標とする寸法・形状の容器を成形することができた。成形後の容器を観察すると、容器開口部の周方向及び高さ方向の波打ちや傾斜がなく、トリミングをしなくても商品として実用化が可能なものが得られた。また、得られた容器の内外周面に大きなしわは観察されず、内外面に微小なしわが多く発生していることが観察された。その状況を電子顕微鏡で観察した結果を図9に示す。図10(a)は、容器の底面から35mmの位置から採集した断面試料の反射電子像であり、(a)が倍率35倍、(b)がその要部を倍率100倍に拡大したものである。これらの図において、上側が容器内面側、下側が容器外面側である。
【0044】
この写真から明らかなように、胴部内外面から外側に向けて突出して折り重なってひだとなるようなしわは全く観察されず、胴部内外面から内側に向かって進む微小しわが観察されるのみである。しかも、前記しわは胴部の内周面と外周面に交互に現れている。したがって、外側から観察すると微小な線状の縦しわとしか観察されないので、外観を損なうことがなく、美観が要求される現在の容器として十分適用できる成形カップを得る事ができた。このように、本発明の方法によれば、従来の絞り成形では得ることができなかった開口直径に対する胴部高さの比(又は絞り率)が50%以上で、図10に示すような従来の絞り成形容器の場合のような胴部の内外面から外方に突出して折り重なるような形状のしわのない絞り成形容器を得ることができた。また、本実施例で得られた絞り成形容器は、胴部の繊維密度が底部から胴部の高さ方向にそって増大し、胴壁密度が傾斜している。それは、絞りしごき成形の結果、絞りしごき加工が進むにつれて繊維が圧縮される結果によるものである。そして、その繊維密度の増大によってしわの吸収分散効果がもたらされるものと推測される。
【0045】
実施例2
実施例1で得られた胴壁が垂直な円筒状カップを、図6に示す2次成形装置により、次の条件でテーパー加工及びカール加工して、コップ状容器を製造した。
〔加工条件〕
テーパー角度: 6°
開口端カール径:3mm
【0046】
その結果、テーパー加工時やカール加工時の破断や不規則なしわの発生等のトラブルがなく、所望する形状にテーパー加工及びカール加工された絞り成形紙容器を得ることができ、本発明の方法及び装置が深絞り成形紙容器を得るのに有用であることが確認された。
【0047】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、紙を主体とする絞り成形容器において、深絞りしても目立つような大きなしわを発生させることなく、従来と比べて特段にしわが目立ず、美麗に絞り成形でき、従来樹脂成分を多くした素材でしか実用化ができないとされていた深絞り紙容器を、紙を主体とする深絞り容器の実用化を可能とする。そして、請求項1及び2の発明によれば、定厚フランジしごき絞り法によって、生原紙のまま、あるいは薄い樹脂をラミネートした原紙でも、良好に深絞りができ、紙容器の製造工程を飛躍的に単純化でき、生産コスト低減することができる。特に、本発明によれば、絞りしごき加工により発生したしわが塞がれて微細な線状となり、より美麗な絞り成形紙容器を得ることができる。そして、液体内容物にも適用できる密封性を高めることができる絞り成形紙容器を得ることができる。
【0048】
また、請求項3の発明によれば、さらに絞りしごき加工後の容器口端の上下方向の波打ち等の不均一変形を防ぐ事ができ、トリミング工程を省くことができるので、製造工程をより単純化することができる。請求項4によれば、パンチの外周面とブランクの滑りを確実に防止でき、良好にしごき加工ができる。
【0049】
そして、請求項5に記載の本発明の絞り成形紙容器の製造方法によれば、1枚のブランクを絞りしごき成形してから、テーパー加工及びカール加工するので、素材が圧縮されて細かいしわが発生している状態でテーパー加工されることになり、素材の密度が基の状態に戻される傾向を受け、テーパー加工のときに胴部が拡がり易く、直接テーパー状に絞り加工する場合と比べてテーパー加工及びカール加工が容易にでき、且つ美麗にできる。
【0050】
また、本発明の絞り成形紙容器の製造装置によれば、単純な構造で1枚の紙ブランクから、胴壁が垂直な絞りしごき成形容器を製造することができる。さらに、胴壁が垂直な絞りしごき成形容器を製造する一次成形加工と、且つその後にテーパー及びカール加工の2次成形加工とを組合せて製造でき、しわが目立ず、美麗に絞り成形できる絞り成形容器を確実に得ることができる。また、本発明で得られる絞り成形容器は、外側から観察すると微小な線状の縦しわ(窪み)としか観察されないので、外観を損なうことがなく、美観が要求される近年の容器として十分適用でき、従来の絞り成形では得ることができなかった開口直径に対する胴部高さの比が50%以上の絞り成形容器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る胴部が垂直な絞り容器を絞りしごき成形する絞り成形紙容器の製造装置を示す概略図である。
【図2】その要部断面拡大図である。
【図3】本発明の実施形態に係るブランクの平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る絞り成形紙容器の断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るテーパー加工・カール加工した絞り成形紙容器の加工前と加工後の状態を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るテーパー加工及びカール加工を行う2次成形加工装置の断面概略図である。
【図7】そのテーパー加工を終了した状態での断面概略図である。
【図8】そのカール加工を終了した状態での断面概略図である。
【図9】実施例の容器のしわの発生状況を示す容器の底面から35mmの位置から採集した容器胴部断面の反射電子像であり、(a)が倍率35倍、(b)がその要部を倍率100倍に拡大したものである。
【図10】従来の絞り容器の発生状況を示す容器胴部断面の倍率35倍の反射電子像である。
【符号の説明】
2 パンチ 3 ダイス
4 フランジフォルダー 5 プランジャー
6 底部成形型 7 スペーサー
9 ブランク 10 一次成形容器
11 胴壁 12 環状突起
13 カール部 15 二次成形容器
20 雌型ブロツク 21 雄型ブロック
22 ノックアウトテーブル 23 カール成形型
24 下部フレーム 25 昇降ヘッド
26 テーパー面 27 環状受部
28 下側カール成形面 30 上側カール成形面
31 テーパー面

Claims (14)

  1. 紙を主体とする一枚のブランクから絞り加工により成形容器を製造する方法であって、フランジ押えとダイス上面とでブランクを定厚に押えながら、パンチ外周面とダイス内周面とでブランクを定厚に圧縮して絞り加工して、ブランクを有底で胴壁が垂直な容器に成形することを特徴とする成形容器の製造方法。
  2. フランジ押えとダイス上面とのクリアランスをブランク厚さの80〜130%とし、且つパンチの外周面とダイス内周面とのクリアランスをブランク厚さの60〜110%の範囲に調整し、フランジ押えとダイス上面とで1枚のブランクを定厚に押えながら、パンチ外周面とダイス内周面とでブランクを定厚に圧縮して絞り加工する請求項1に記載の成形容器の製造方法。
  3. 前記ブランクは、ブランク原紙の抄紙方向の寸法が抄紙方向と直角方向の寸法より所定割合長くなるような異形形状に形成することにより、絞り成形後の容器開口端部の軸方向長さの不均一変形を抑制したことを特徴とする請求項1又は2に記載の成形容器の製造方法。
  4. 前記パンチの外周面が粗面加工され、絞りしごき加工中でのパンチとブランクとの摩擦力を高め、フランクとパンチの滑りを防止するようにしてなる請求項1、2又は3に記載の成形容器の製造方法。
  5. フランジ押えとダイス上面とで紙を主体とするブランクを定厚に押えながら、パンチ外周面とダイス内周面とでブランクを定厚に圧縮して絞り加工して、ブランクを有底で胴壁が垂直な容器に成形する1次成形工程、該1次成形工程で得られた胴壁が垂直な容器を、オス、メスのテーパー型を用いてプレスすることにより、胴壁をテーパー状に拡張するテーパー加工工程、前記オス、メスのテーパー型で保持したまま、カール成型面によりカール加工を行うカール加工工程からなる2次成形工程からなることを特徴とする絞り成形容器の製造方法。
  6. 胴壁が垂直な紙を主体とする容器を絞り成形する絞り成形容器の製造装置であって、相対的に上下駆動される絞り加工面が軸方向に互いに垂直面となっているパンチとダイス、該ダイス上面に対向配置されるフランジホルダー、及びプランジャーに固定された底部成形型とから構成され、前記ダイス上面に対向配置される前記フランジホルダーとダイス上面とは、成形加工するブランクの厚さ対応して絞り成形加工中一定高さのクリアランスを有するようにスペーサで調整するようにしてなることを特徴とする絞り成形容器の製造装置。
  7. 紙を主体とする一枚のブランクから絞り加工により成形容器を製造する装置であって、相対的に上下駆動される絞り加工面が軸方向に互いに垂直面となっているパンチとダイス、該ダイス上面に成形加工するブランクの厚さに対応して成形加工中一定高さのクリアランスを有するように対向配置されるフランジホルダー、及びプランジャーに固定された底部成形型とから構成されてなる胴壁が垂直な容器を絞り成形する第1次成形装置と、内周面が末広がり状にテーパー面となっている雌型ブロック、該雌型ブロックのテーパー面とほぼ同角度のテーパー面を有する雄型ブロック、前記雌型ブロックに嵌合可能に配置されたノックアウトテーブル、開口端縁をカール加工するカール成形型面を有するカール成形型からなり、前記雌型ブロックと前記ノックアウトテーブルが下部フレーム側に設けられ、前記雄型ブロックと前記カール成形型が上部の昇降ヘッドに設けられて構成され、1次成形された胴壁が垂直な容器の胴壁をテーパー状に広げ、開口端縁をカール加工する第2次成形装置の組合せからなることを特徴とする絞り成形容器の製造装置。
  8. 前記雌型ブロック上端縁には、テーパー面に続いて、昇降ヘッドに固定されている前記カール成形型の下端に形成されている上側カール成形面と協同して容器開口端をカールするための下側カール成形面が一体に形成されている請求項7に記載の絞り成形容器の製造装置。
  9. 請求項1〜3の何れか1項に記載の成形容器の製造方法で製造され、有底で垂直な胴壁からなることを特徴とする紙を主体とする絞り成形容器。
  10. 請求項9に記載の有底で胴壁が垂直な絞り成形容器をオス、メスのテーパー型を用いてプレスすることにより得られた胴壁がテーパー状であることを特徴とする紙を主体とする絞り成形容器。
  11. 前記紙を主体とする絞り成形容器において、胴壁に発生しているしわの殆どが、胴壁の内面又は外面から胴壁内方に向かう微小な線状窪みとなっていることを特徴とする請求項9又は10に記載の紙を主体とする絞り成形容器。
  12. 前記しわが、胴部の板厚方向に所定深さを有する線状を呈し、該線状しわが胴部断面で胴部内面と胴部外面とで概ね交互に表れている請求項11に記載の紙を主体とする絞り成形容器。
  13. 前記紙を主体とする絞り成形容器において、胴部の紙繊維密度が底部から上部に向けて次第に高くなっていることを特徴とする請求項9〜12の何れか1項記載の紙を主体とする絞り成形容器。
  14. 前記胴壁の開口端部がカール加工されている請求項10に記載の紙を主体とする絞り成形容器。
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