JP6270088B2 - ポリウレタンエラストマーの製造方法 - Google Patents

ポリウレタンエラストマーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特に低蓄熱性に優れるポリウレタンエラストマーの製造方法に関する。
更に詳しくは、本発明は、ウレタンプレポリマーのポットライフ(可使時間)が適度に長く作業性に優れており、且つ、低蓄熱性であり、耐熱変形性、耐摩耗性、機械的強度、及び反発弾性などの優れた性能を有するポリウレタンエラストマーの製造方法に関する。
従来から、ポリウレタンエラストマーは、耐摩耗性、機械的強度、耐溶剤性、耐油性などの優れた性能を有することから、例えば、ロール、キャスター等の工業部品、ソリッドタイヤ、ベルト等の自動車部品、紙送りロール、複写機用ロール等のオフィス・オートメーション機器部品、スポーツ用品、レジャー用品、防振材、パッキン等の弾性体として、広範囲の用途に利用されてきた。
ポリウレタンエラストマーは、分子末端に水酸基を有する比較的高分子量のポリオール成分と過剰のポリイソシアネート成分とを反応させて得られるウレタンプレポリマーに、硬化剤と必要に応じて添加剤を配合して組成物を調製して、これに鎖延長反応させ、硬化させることにより得られる。
従来のポリウレタンエラストマーでは、トリレンジイソシアネート(以下「TDI」と云う)を含むポリイソシアネート成分と、ポリオール成分〔ポリテトラメチレングリコール(以下「PTMG」と云う)、ポリエステルジオール、ポリプロピレングリコール(以下「PPG」と云う)などのポリオール〕とを反応して得られるウレタンプレポリマーを含む主剤と、硬化剤として4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)(以下「MBOCA」と云う)を反応させて得ていた。
しかしながら、このような従来タイプのポリウレタンエラストマーは、例えば、TDIとPTMGとを2.0当量比で反応させて得たウレタンプレポリマーを、MBOCAにより硬化させる製造工程において、ポットライフが短すぎて、作業性に大変劣るという問題があった。
また、粘性の高いポリウレタンエラストマーの場合には、使用中に動的繰り返し荷重を長時間受け続けると内部蓄熱が増して溶融破壊するという重大な問題があった。
製紙産業や鉄鋼産業などで用いられる弾性体(例えば、ロール、ベルト、タイヤなど)では、過酷な条件(高摩擦、高圧縮、高速回転など)で長時間連続使用されるため、エラストマーの熱分解に伴う劣化や剥離、破損などが起きやすい。そのため、このようなトラブルを防止する目的で、特に低蓄熱性で、耐熱変形性に優れ、且つ、耐久性に優れるポリウレタンエラストマーの開発が切望されていた。
かかる問題を解決するために、これまで種々の提案がなされてきた。
例えば、2,6−異性体を1重量%を超えて含有する2,4−及び2,6−TDI混合物とポリオールとからなり、NCO基とOH基の当量比を1.2以上5.0以下で製造したプレポリマーを、減圧蒸留法にて、遊離のTDIを留去し、その含有量を1重量%以下とし、かつ、2,6−TDIのイソシアネート基がプレポリマー末端イソシアネート残基として含まれるプレポリマー組成物、が知られている(特許文献1参照)。
前記特許文献1は、ポットライフが延長され、プレポリマーを硬化剤と反応させることにより、作業性を改善すると共に、ヒステリシス損を低減できる、という。
しかしながら、特許文献1では、(1)未反応TDIの除去にバッチ式の減圧蒸留法を採用しているため、除去が不充分であり未反応TDIがプレポリマー中に多量に残存してしまうこと、(2)バッチ式の減圧蒸留法では時間が掛かりすぎ、熱履歴に伴い副反応が起き易く、オリゴマーが多量に副生し、硬化後のポリウレタンエラストマーの粘性が高くなり過ぎて蓄熱し易いこと、などの問題があった。
また、ポリウレタンプレポリマーを芳香族ポリアミンにより硬化してポリウレタンエラストマーを製造する方法において、該ポリウレタンプレポリマーが(1)2,6−異性体を1重量%以上含有する2,4−及び2,6−トリレンジイソシアナートの混合物と、Mw/Mn比が1.2〜2.0で平均分子量が500〜4,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール単独若しくはこれに分子量400以下の低分子グリコールを該ポリヒドロキシ化合物全量に対して20重量%以下含有する混合物とを反応させ、(2)未反応トリレンジイソシアナートの含有量を1重量%以下とし、(3)2,6−トリレンジイソシアナートのイソシアナート基がポリウレタンプレポリマーの末端イソシアナート基として含有される低発熱性ポリウレタンエラストマー組成物、が知られている(特許文献2参照)。
前記特許文献2は、損失弾性率が低く、走行試験時の発熱温度が低く、且つ、耐久時間が長い、という。
しかしながら、前記特許文献2では、ウレタンプレポリマーを合成後、更に、鎖伸長剤として低分子量グリコールを加えて得られる一括合成型プレポリマーと硬化剤とを反応させて得られるポリウレタンエラストマーであり、このような一括合成型プレポリマーでは、(1)未反応MDIが多量に残存してしまうこと、(2)TDI/ポリオールとグリコールによる副反応が起こるため、硬化時のエラストマーの粘性が高くなり過ぎて、蓄熱しやすいこと、などの問題があった。
更に、有機ポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物とを反応せしめて得られる分子末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを、芳香族ポリアミンにより硬化してポリウレタンエラストマーを製造する方法において、該ポリウレタンプレポリマーが、(1)2,6−異性体を1重量%以上含有する2,4−トリレンジイソシアネート及び2,6−トリレンジイソシアネートの混合物のNCO基とポリヒドロキシ化合物のOH基との当量比を4.0〜6.0で反応させ、(2)2,6−トリレンジイソシアネートのイソシアネート基がポリウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基として含有され、(3)過剰の未反応トリレンジイソシアネートを、プレポリマー中の含有量が1重量%以下になるよう蒸発温度が140〜170℃、蒸発圧力が0.1〜5mmHgで薄膜蒸留除去し、蒸発器から留出したプレポリマーを5分以内に100℃以下に冷却する低発熱性ポリウレタンエラストマーの製造方法、が知られている(特許文献3参照)。
前記特許文献3は、得られるポリウレタンエラストマーが、走行試験時の発熱温度が低く、且つ耐久時間が長い、という。
しかしながら、特許文献3でも、(1)未反応TDIが多く残存するため、ポットライフが短く作業性に劣ること、(2)ウレタンオリゴマーが比較的多量に副生するため、硬化時のポリウレタンエラストマーの粘性が高くなり過ぎ、蓄熱しやすいこと、などの問題があった。
特開昭61−221215号公報 特開平4−008719号公報 特開平4−202417号公報
本発明の目的は、ウレタンプレポリマーのポットライフ(可使時間)が適度に長く作業性に優れ、且つ、得られるポリウレタンエラストマーが低蓄熱性であり、使用環境温度(30℃〜130℃)において熱変形し難く(耐熱変形性に優れ)、耐摩耗性、機械的強度、及び反発弾性などの優れた性能を有するポリウレタンエラストマーの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意検討を進めた結果、TDIを含むポリイソシアネート成分及び特定の高分子量領域にあるポリオール成分をイソシアネート基と水酸基の当量比(以下「NCO/OH当量比」)が特定の範囲で反応して得られる分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(A)と、TDIを含むポリイソシアネート成分及び特定の低分子量領域にあるポリオール成分をNCO/OH当量比が特定の範囲で反応して得られる分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(B)とを、それぞれ別々に合成し混合して得られるプレポリマー混合物(AB)を、薄膜蒸留装置に供給して、前記プレポリマー混合物(AB)に含まれる未反応TDIを蒸留して、プレポリマー混合物中の未反応TDIの含有量を0.4質量%以下にまで低減後、プレポリマー混合物(ab)を得て、次いで、前記プレポリマー混合物(ab)を含む主剤と硬化剤(C)とを配合して得られる組成物を熱硬化させるポリウレタンエラストマーの製造方法であれば、前記プレポリマー混合物(ab)のポットライフが適度に長く作業性に優れており、得られるポリウレタンエラストマーが低蓄熱性であり、且つ、使用環境温度(30℃〜130℃)において熱変形し難く(耐熱変形性に優れ)、熱分解に伴う劣化や剥離、破損などを起こさないことを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、トリレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート成分及び数平均分子量が600〜3000の範囲のポリオール成分をNCO/OH当量比が2〜4の範囲で反応して得られる分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)と、トリレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート成分及び数平均分子量が50〜300のポリオール成分をNCO/OH当量比が2〜4の範囲で反応して得られる分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(B)とを、それぞれ別々に合成し混合して得られるプレポリマー混合物(AB)を薄膜蒸留装置に供給して、前記プレポリマー混合物(AB)に含まれる未反応トリレンジイソシアネートを蒸留して、ISO 10283に規定するガスクロマトグラフィー法に準拠し測定した未反応トリレンジイソシアネートの含有量を0.4質量%以下にまで低減後、プレポリマー混合物(ab)を得て、次いで、前記プレポリマー混合物(ab)を含む主剤と硬化剤(C)を配合して得られる組成物を熱硬化させることを特徴とするポリウレタンエラストマーの製造方法に関するものである。
尚、本発明では、特に断りのない限り、イソシアネート基を「NCO基」で、水酸基を「OH基」で表す。また、NCO基の当量とポリオールOH基の当量との比を「NCO/OH当量比」として表記する。
本発明は、ウレタンプレポリマーのポットライフ(可使時間)が適度に長く作業性に優れ、且つ、得られるポリウレタンエラストマーが低蓄熱性であり、熱履歴に伴うオリゴマーの副生がなく、使用環境温度(30℃〜130℃)において熱変形し難く(耐熱変形性に優れ)、熱分解に伴う劣化や剥離、破損などを起こさず、優れた性能(耐摩耗性、機械的強度、反発弾性など)を発現できる。
≪ウレタンプレポリマー(A)とウレタンプレポリマー(B)≫
先ず、本発明で必須に用いるウレタンプレポリマー(A)とウレタンプレポリマー(B)について、以下に説明する。
本発明は、TDIを必須に含むポリイソシアネート成分及び数平均分子量(以下「Mn」と云う)が600〜3000の範囲の高分子量のポリオール成分をNCO/OH当量比が2〜4の範囲で反応して得られる分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(A)と、TDIを必須に含むポリイソシアネート成分及び数平均分子量が50〜300の範囲の低分子量のポリオール成分とをNCO/OH当量比が2〜4の範囲で反応して得られる分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(B)とを、それぞれ別々に合成し混合して、プレポリマー混合物(AB)を調整する。
しかしながら、本発明において、前記(A)を用いない場合には、得られるポリウレタンエラストマーは、エラストマー性が充分に発現できず、且つ低蓄熱性に劣り、本発明の目的を達成できない。一方、前記(B)を用いない場合には、得られるポリウレタンエラストマーは、硬化後の強度に劣るため、本発明の目的を達成できない。
なお、本発明で云う「トリレンジイソシアネ−ト(TDI)」とは、特に断りのない限り、その2,4体、又は2,6体、若しくはそれらの混合物を意味する。
本発明で用いるTDIは、合成品でも市販品でもいずれであってもよい。市販品としては、例えば、コスモネートT−80(商標;三井化学株式会社製、2,4体/2,6体=80/20質量比の混合物)、コロネートT−100(商標;東ソー株式会社製、2,4体)、コロネートT−80(商標;同社製、2,4体/2,6体=80/20質量比の混合物)、コロネートT−65(商標;同社製、2,4体/2,6体=65/35質量比の混合物)などが挙げられるが、特に限定しない。
前記ウレタンプレポリマー(A)及びウレタンプレポリマー(B)のいずれの合成時においても、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、TDI以外のポリイソシアネート成分をTDIと併用してもよい。
TDIと併用可能な前記ポリイソシアネート成分としては、公知のものが何れも使用でき、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(MDI;その4,4’体、2,4’体又は2,2’体、若しくはそれらの混合物、クルードMDI)、MDI変性体(カルボジイミド変性体、ヌレート変性体、ビュレット変性体、ウレタンイミン変性体など)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート(TODI)等の芳香族ポリイソシアネ−ト、あるいはイソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)等の脂環式ポリイソシアネート、あるいはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、適度な反応性、優れた機械的強度や反発弾性を得ることができるなどの理由から、MDIが好ましい。これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
また、前記ウレタンプレポリマー(A)の合成時に用いるポリオール成分としては、特に限定せず、例えば、ラクトン変性ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。
前記ラクトン変性ポリオールとしては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)の開環重合等によって合成されるポリテトラメチレングリコール(PTMG)に、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ-バレロラクトン等のラクトンを付加重合させてなるものである。
また、前記ポリエステルポリオールとしては、通常、ジカルボン酸もしくはその反応性誘導体〔例えば、酸無水物、低級アルキルエステル(ジメチルエステル、ジエチルエステルなどの炭素数が1〜4のアルキルエステル)、酸ハロゲン化物(酸クロライドなど)〕と、ジオールとを原料にして製造されるものである。
前記ジカルボン酸(もしくはその反応性誘導体)としては、特に限定しないが、芳香族骨格を有するジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸などのジカルボン酸、あるいは芳香族骨格を有しないジカルボン酸として、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。
また、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等を併用してもよい。
前記ジオールとしては、特に限定しないが、芳香族骨格を有するジオールとして、例えば、ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールAF、ビスフェノールSi2、及びこれらのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール類、あるいは芳香族骨格を有しないジオールとして、例えば、エチレングリコール(EG)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等の脂肪族ジオール類や、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール類などが挙げられる。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。
その他に必要に応じて使用できる前記ポリエステルポリオールの原料としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、しょ糖、アコニット糖等のアルコール類;あるいはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類などが挙げられる。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。
前記ポリエステルポリオールには、上記以外のカルボン酸、ジオール、ジアミン等を併用して得られるポリエステルジオール又はポリアミドポリエステルジオールも含まれる。
また、前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレンプロピレングリコール(PEPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、2−メチル−1,3−プロパンアジペート、3−メチル−1,5ペンタンアジペート等が挙げられ、これらの中でも、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)が好ましい。前記ポリエーテルポリオールは、直鎖、分岐、環状の何れの構造を有していてもよい。
また、前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸と脂肪族ポリオールとをエステル化反応して得られるもの等を使用することができる。具体的には、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のようなジオールと、ジメチルカーボネートやジフェニルカーボネートやホスゲン等との反応生成物などが挙げられる。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。
また、前記ウレタンプレポリマー(A)の合成時に用いる前記ポリオール成分には、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、低分子量グリコールを併用してもよい。前記低分子量グリコールとしては、分子量が50〜300の範囲のものが好ましく、50〜200の範囲のものがより好ましい。
前記低分子量グリコールとしては、例えば、エチレングリコール(EG)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等の脂肪族ジオール類;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上の水酸基含有化合物などが挙げられる。前記低分子量グリコールは、直鎖、分岐、環状などの何れの構造を有していてもよい。
前記ウレタンプレポリマー(A)の合成時に用いる前記ポリオール成分のMnは、600〜3000の範囲であり、好ましくは600〜2000の範囲である。前記(A)の合成時に用いるポリオール成分のMnがかかる範囲であれば、機械的強度をより向上でき、且つ低蓄熱性などの優れた性能を得ることができる。
また、前記ウレタンプレポリマー(A)の合成時に用いる前記ポリオール成分の水酸基価は、好ましくは56.1〜187.0mgKOH/g(以下単位略す)の範囲である。前記ポリオール成分の水酸基価がかかる範囲であれば、大幅な粘度上昇が抑えられ、適度な粘性を有するウレタンプレポリマーを得ることができる。
前記ウレタンプレポリマー(A)の合成時において、TDIを含むポリイソシアネート成分が有するイソシアネート基の当量の合計と、ポリオール成分が有する水酸基の当量の合計との比(即ち、NCO/OH当量比)は、2〜4の範囲である。前記(A)の合成時のNCO/OH当量比をかかる範囲に設定して反応すれば、引張強度、伸び等の物性バランスに優れた低蓄熱性ポリウレタンエラストマーを得ることができる。
しかしながら、前記(A)の合成時のNCO/OH当量比が2未満の場合には、粘度、機械強度、低蓄熱性などの物性に劣ってしまう。一方、前記(A)の合成時のNCO/OH当量比が4を超える場合には、残存するTDIが過剰になり過ぎて、低蓄熱性などの性能が劣ってしまう。
次に、ウレタンプレポリマー(B)について説明する。
本発明で必須に用いるウレタンプレポリマー(B)の合成時に用いるポリオール成分とは、前記ウレタンプレポリマー(A)の合成において低分子量グリコールとして例示したグリコールを何れも使用できる。
前記低分子量グリコールの分子量としては、50〜300の範囲であり、好ましくは50〜200の範囲である。前記低分子量グリコールの分子量がかかる範囲であるならば、反応性の制御がより容易にでき、且つ、機械的強度、低蓄熱性などの優れた性能が得られるため、好ましい。
前記ウレタンプレポリマー(B)の合成時において、TDIを含むポリイソシアネート成分が有するイソシアネート基の当量の合計と、分子量が50〜300のポリオール成分が有する水酸基の当量の合計との比(即ち、NCO/OH当量比)は、2〜4の範囲である。前記(B)の合成時のNCO/OH当量比をかかる範囲に設定して反応すれば、未反応TDIが少なく低粘度なウレタンプレポリマーを得ることができる。
しかしながら、前記(B)の合成時のNCO/OH当量比が2未満の場合には、副反応を起こし易く、高粘度になる恐れがある。また、前記(B)の合成時のNCO/OH当量比が4を超える場合には、未反応TDIの含有量が多くなってしまい、低蓄熱性などの性能が著しく劣ってしまう。
前記ウレタンプレポリマー(A)と前記ウレタンプレポリマー(B)の合成は、いずれも常法に従えばよく、特に限定しない。例えば、反応装置に、不活性雰囲気下(例えば窒素)で、TDIを含むポリイソシアネート成分やポリオール成分などの所定量の原料を、一括、分割、滴下などの安全(特に異常発熱や突沸などに注意)且つ効率的な方法で仕込み、攪拌しながら行えばよい。反応温度は、特に限定しないが、好ましくは40℃以上で、より好ましくは60〜100℃の範囲である。
前記ウレタンプレポリマー(A)と前記ウレタンプレポリマー(B)の合成は、バッチ式、半連続式、連続式などのいずれの方式を採用してもよく、特に限定しない。その中でも、(1)蒸留効率が高く、プレポリマー混合物から短時間で未反応TDIの留去が可能であること、(2)熱履歴に伴うウレタンオリゴマーの副生が殆どないこと、などの理由から、連続式が好ましい。
≪プレポリマー混合物(AB)とプレポリマー混合物(ab)≫
本発明では、前記ウレタンプレポリマー(A)と前記ウレタンプレポリマー(B)を、それぞれ別々に合成し混合して得られるプレポリマー混合物(AB)を薄膜蒸留装置に供給して、前記プレポリマー混合物(AB)に含まれる未反応TDIを蒸留して、後述するISO 10283に規定するガスクロマトグラフィー法に準拠し測定した未反応TDIの含有量を0質量%にまで完全に留去して、又は、0.4質量%以下にまで低減して、蒸留後のプレポリマー混合物(ab)を得る。
前記プレポリマー混合物(ab)中の未反応TDIの含有量がかかる範囲であれば、ポットライフが適度に長く作業性に優れる主剤を得ることができる。
しかしながら、前記プレポリマー混合物(ab)中の未反応TDIの含有量が、0.4質量%を超える場合には、(1)ポットライフが短すぎて作業性に劣ること、(2)ウレタンオリゴマーが多量に副生し、硬化時の粘度が高くなり過ぎて蓄熱しやすいこと、などの問題を起こしてしまう。
本発明において、前記ウレタンプレポリマー(A)と前記ウレタンプレポリマー(B)との混合比〔即ち(A)/(B)質量比〕としては、好ましくは95/5〜50/50である。前記ウレタンプレポリマー(A)と(B)との混合比がかかる範囲であれば、優れた作業性、機械的強度、及び低蓄熱性などの性能を発現できる。
≪硬化剤(C)≫
本発明では、前記プレポリマー混合物(ab)を含む主剤と硬化剤(C)とを配合して組成物を調製し、得られた組成物を予め加熱しておいた型に注入して、硬化後取り出してウレタンエラストマー成形品を得る。
前記硬化剤(C)としては、公知のイソシアネート基反応性化合物(以下「NCO基反応性化合物」と云う。)を使用できる。
前記硬化剤(C)が有する官能基としては、活性水素含有基であればよく、例えば、水酸基、アミノ基などが挙げられる。
前記硬化剤(C)の分子量は、特に限定しないが、好ましくは60〜300の範囲であり、より好ましくは60〜150の範囲である。前記硬化剤(C)の分子量がかかる範囲であれば、耐摩耗性、引張強度、伸び等の物性バランスが一層向上したポリウレタンエラストマーを得ることができる。
前記硬化剤(C)としては、前記ウレタンプレポリマー(A)及び(B)に対して良好な反応性を有しており、且つ、ポリウレタンエラストマーの品質に悪影響を与えないものであればよく、例えば、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下「MBOCA」と云う。)、ポリアミノクロロフェニルメタン化合物、ポリアミノクロロフェニルメタン化合物とポリテトラメチレングリコールの混合物などのポリアミノ化合物、あるいはエチレングリコール(EG)、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどの脂環式ジオール、あるいはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3官能以上の多官能化合物、あるいはトリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミン類などが挙げられる。これらは単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。
前記硬化剤(C)の中でも、使用量がより少量であっても硬化反応を円滑に進行でき、且つ、安定した品質の製品を得ることから、MBOCAが好ましい。
前記硬化剤(C)の使用量としては、プレポリマー混合物(ab)100質量部に対して、好ましくは5〜50質量部の範囲である。前記(C)の使用量がかかる範囲内であるならば、迅速且つ均一に攪拌混合でき、硬化反応を円滑に進行させ、安定した品質の製品を得ることができ、耐磨耗性や引張強度、伸びなど機械的特性の優れた性能を有するポリウレタンエラストマーを得ることができる。
また、本発明において、〔硬化剤(C)中のNCO基と反応し得る基の合計モル数〕/〔プレポリマー混合物(ab)中のNCO基の全モル数〕としては、好ましくは0.5〜1.5モル比の範囲、より好ましくは0.7〜1.3モル比(即ち、0.7〜1.3当量比)の範囲である。前記モル比(当量比)の比がかかる範囲であるならば、耐摩耗性、引張強度、伸び等の物性バランスに優れたポリウレタンエラストマーを得ることができる。
≪低蓄熱性ポリウレタンエラストマーの製造方法≫
次に、本発明の低蓄熱性ポリウレタンエラストマーの製造方法について、より具体的に以下に説明する。
本発明の製造方法は、例えば、以下のような〔工程1〕〜〔工程6〕を含む一連の工程からなる。
尚、各工程の設定条件(温度、時間、圧力、不活性ガス使用の有無や種類、供給量、排出量、添加剤など)は、特に限定しない。また、添加剤を用いる場合、添加剤が支障なく添加でき、且つ、均一な配合と混合が可能であれば、何れの工程で如何なる方法を選択し組み合わせて添加しても差し支えない。
〔工程1〕分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(A)の調整
反応装置に、TDIを含むポリイソシアネート成分とポリオール成分(Mn=600〜3000)とをNCO/OH当量比が2〜4の範囲になるように常法に従い発熱に充分注意しながら仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら、設定温度(好ましくは60℃〜100℃の範囲)で反応させて、ウレタンプレポリマー(A)を得る。
〔工程2〕分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(B)の調整
前記工程1とは別の反応装置を用いて、TDIを含むポリイソシアネート成分とポリオール成分(分子量=50〜300)とをNCO/OH当量比が2〜4の範囲になるように常法に従い発熱に充分注意しながら仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら、設定温度(好ましくは60℃〜100℃の範囲)で反応させて、ウレタンプレポリマー(B)を得る。
〔工程3〕プレポリマー混合物(ab)を含む主剤の調整
前記ウレタンプレポリマー(A)と(B)とを混合してプレポリマー混合物(AB)として薄膜蒸留装置に供給し、前記プレポリマー混合物(AB)に含まれる未反応TDIを薄膜蒸留にて留去・低減させる。
プレポリマー混合物中に含まれる未反応TDIを薄膜蒸留する際の終点の確認方法は、ISO 10283に規定するガスクロマトグラフィー法に準拠して行う。
即ち、終点とは、プレポリマー混合物中の未反応TDIの含有量が0質量%にまで留去された時点、又は0.4質量%以下にまで低減された時点であり、その時点に得られた混合物をプレポリマー混合物(ab)とする。
尚、本発明では、前記プレポリマー混合物(ab)を主剤としてもよく、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、その他のプレポリマーや添加剤などを配合して主剤してもよい。
〔工程4〕2液硬化型ポリウレタン組成物の調整(主剤と硬化剤との混合)
次いで、前記〔工程3〕で得られたプレポリマー混合物(ab)を含む主剤と、MBOCAを含む硬化剤(C)とをNH/NCO=0.9当量比で配合し、直ちに攪拌混合して組成物(即ち、2液硬化型ポリウレタン組成物)を調整する。
尚、本発明では、前記プレポリマー混合物(ab)を含む主剤と前記硬化剤(C)とを含有する組成物の硬化反応において、前記主剤と前記硬化剤(C)の混合完了時点から、前記組成物の粘度が5万mPa・sに到達するまでの時間(t)は、300秒以上である。
〔工程5〕注型工程
前記組成物を予め80℃に保温しておいた金型内に注入する。
〔工程6〕硬化工程
前記組成物を金型内に注入後、直ちに設定温度条件(80℃)にて1時間保持し硬化反応させた後、更に110℃で16時間アフタキュアを行い、成形品を取り出す。
型より抜き出した成形品は、必要に応じて、溝入れ加工、切削加工、切断加工、研摩加工などの適当な加工方法を施し、用途に応じた形状に整えればよく、加工方法は特に限定しない。
本発明では、薄膜蒸留条件(例えば、プレポリマー混合物供給量、蒸留温度、蒸留圧力、内部コンデンサー温度など)を制御しながら、連続式又は半連続式に未反応TDIを薄膜蒸留することが、プレポリマー混合物中の未反応TDIの含有量を効率的に0〜0.4質量%にまで留去し大幅に低減でき、且つ、熱履歴に伴うオリゴマーの副生が殆どないポリウレタンエラストマーを得ることができるので、好ましい。
また、本発明では、得られるプレポリマー混合物のポットライフが適度に長く作業性に優れ、且つ、ポリウレタンエラストマーが低蓄熱性であり、使用環境温度(30℃〜130℃)において熱変形し難く(耐熱変形性に優れ)、熱分解に伴う劣化や剥離、破損などを起こさず、特に弾性体(例えばロールやベルトなど)として利用できる。
本発明で得られるポリウレタンエラストマーは、低蓄熱性及び耐熱変形性という優れた性能を有している。
本発明では、ポリウレタンエラストマーの低蓄熱性と耐熱変形性の評価と判定は、後述の如く、評価用の成形品を作製し、動的熱機械測定を行い、貯蔵弾性率、損失弾性率、及び損失係数(tanδ)を測定し、30℃から130℃の間のエネルギー損失因子(α)と、30℃と130℃での貯蔵弾性率の比(β)を算出することにより求めることができる。
前記エネルギー損失因子(α)が500未満の場合、低蓄熱性である。一方、前記エネルギー損失因子(α)が500以上の場合、高蓄熱性である。
また、前記貯蔵弾性率の比(β)が4.5未満の場合、耐熱変形性に優れる。一方、貯蔵弾性率の比(β)が4.5以上の場合、耐熱変形性に劣る。
本発明において、薄膜蒸留条件(例えば、ホルダー保温温度、蒸留温度(外部壁面温度)、留去後のプレポリマー混合物温度(残留物温度)、内部コンデンサー温度(蒸留物温度)、プレポリマー混合物供給速度、減圧度などの諸条件)は、個々の設備能力に合せて適宜設定すればよく、特に限定しない。
尚、前記薄膜蒸留条件は、当然ながら蒸留状態、運転状態、及び安全面を確認しながら随時適正値或いは適正範囲内に調整すればよい。
本発明の製造方法で得られる低蓄熱性ポリウレタンエラストマーには、反応や製品性能などに悪影響を及ぼさない範囲であれば、任意の段階で公知の添加剤を添加することができる。
前記添加剤としては、例えば、充填剤(炭酸塩、珪酸、珪酸塩、水酸化物、硫酸塩、硼酸塩、チタン酸塩、金属酸化物、炭素物、有機物等)、酸化防止剤、脱泡剤、紫外線吸収剤、砥粒、顔料、増粘剤、界面活性剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、ブレンド用樹脂など公知慣用のものを、本発明の目的を阻害しない範囲で、製造工程の何れの段階においても用いることができる。尚、前記添加剤はほんの一例であって、特にその種類を限定するものではない。
以上の如く、本発明では、特定の運転条件で行う薄膜蒸留法を採用しているので、2つの異なるウレタンプレポリマー(A)及び(B)を混合して得られるプレポリマー混合物中の未反応TDIの含有量を0質量%にまで留去でき、又は0.4質量%以下という従来にない低レベルにまで大幅に低減できるので、熱履歴に伴うオリゴマーの副生が殆どないポリウレタンエラストマーを得ることができる。
また、本発明では、得られるプレポリマー混合物のポットライフが適度に長く作業性に優れ、低蓄熱性であり、且つ使用環境温度(30℃〜130℃)において熱変形し難く(耐熱変形性に優れ)、熱分解に伴う弾性体(例えばロールやベルトなど)の劣化や剥離、破損などの問題がないポリウレタンエラストマーを得ることができる。
本発明の製造方法で得られるポリウレタンエラストマーは、特に低蓄熱性であり、且つ機械的強度に優れるので、例えば、ロール、キャスター等の工業部品、ソリッドタイヤ、ベルト等の自動車部品、紙送りロール、複写機用ロール等のオフィス・オートメーション機器部品、スポーツ用品、レジャー用品、防振材、パッキンなどの如く、過酷な条件(高摩擦、高圧縮、高速回転など)で長時間連続使用される弾性体としての用途に特に有用である。
以下、本発明を実施例により、一層具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。
また、本発明では、特に断りのない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
尚、本発明で用いた測定方法及び評価方法は、以下の通りである。
〔ポットライフ(可使時間)の評価方法と判定基準〕
本発明では、作業性の判断基準として、ポットライフ(可使時間)を測定する。
プレポリマー混合物(ab)を含む主剤(50℃)と硬化剤(C)(120℃)を、それぞれ保温し、次いで室温環境下にて前記主剤と前記硬化剤(C)を撹拌混合して、組成物(2液硬化型ポリウレタン組成物)を調整した。
その際、前記主剤と前記硬化剤(C)の混合完了時点から、前記組成物の粘度が5万mPa・sに到達するまでの時間(t、秒)を測定し、ポットライフとした。
尚、前記組成物の粘度の測定は、B型粘度計(型式:TVB−10、東機産業株式会社製)を用いて、恒温槽温度:80℃、ローター:No.M4にて測定した。
ポットライフの判定は下記の基準に従い行なった。
○:ポットライフが300秒以上の場合、ポットライフが適度に長く作業性に優れる。
×:ポットライフが300秒未満の場合、ポットライフが短く作業性に劣る。
〔低蓄熱性と耐熱変形性の評価方法と判定基準〕
実施例及び比較例で得たポリウレタンエラストマーを用い、評価用の成形品を作製し、下記条件にて動的熱機械測定を行い、貯蔵弾性率、損失弾性率及び損失係数(tanδ)を測定した。
測定機器 :動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル株式会社製)
型式 :DMS6100
測定周波数 :10Hz
測定温度範囲:30℃〜130℃
上記測定結果を基に、下記式(1)により〔30℃から130℃の間のエネルギー損失因子α〕を算出した。
〔30℃から130℃の間のエネルギー損失因子α〕=〔tanδ×1012〕/〔貯蔵弾性率×(1+(tanδ)2)〕・・・(1)
また、下記式(2)により、〔30℃と130℃での貯蔵弾性率の比β〕を算出した。
〔30℃と130℃での貯蔵弾性率の比β〕=〔30℃での貯蔵弾性率〕/〔30℃での貯蔵弾性率〕・・・(2)
30℃から130℃の間のエネルギー損失因子(α)による低蓄熱性の判定は、下記の基準に従い行なった。
○:エナルギー損失因子(α)が500未満の場合、低蓄熱性である。
×:エナルギー損失因子(α)が500以上の場合、高蓄熱性である。
30℃と130℃での貯蔵弾性率の比(β)による耐熱変形性の判定は、下記の基準に従い行なった。
○:貯蔵弾性率の比(β)が4.5未満の場合、耐熱変形性に優れる。
×:貯蔵弾性率の比(β)が4.5以上の場合、耐熱変形性に劣る。
〔未反応トリレンジイソシアネート(TDI)の定量方法と判定基準〕
実施例及び比較例で得られたプレポリマー混合物に含まれる未反応TDIの含有量(質量%)をISO 10283に規定するガスクロマトグラフィー法に準拠して測定した。
〔ポリウレタンエラストマーの硬度の測定方法〕
JIS K7312に準拠して、硬度計(タイプD)にて測定した。
〔ポリウレタンエラストマーの最大抗張力の測定方法と判定基準〕
JIS K7312に準拠して、3号試験片を用いて、測定温度23℃で測定し、最大抗張力の判定を下記の基準に従い行なった。
○:最大抗張力が40MPa以上の場合、良好。
×:最大抗張力が40MPa未満の場合、不良。
〔ポリウレタンエラストマーの破断伸びの測定方法と判定基準〕
JIS K7312に準拠して、3号試験片を用いて、測定温度23℃で測定し、破断伸びの判定を下記の基準に従い行なった。
○:伸びが200%を以上の場合、良好。
×:伸びが200%未満の場合、不良。
〔実施例1〕
反応装置に、コスモネートT−80(商標;三井化学株式会社製、2,4−TDI/2,6−TDI=80/20質量比の混合物)761部と、PTMG850(商標;三菱化学株式会社製、ポリテトラメチレングリコール、Mn=850のもの)1239部を仕込み、NCO/OH当量比=3.00にて加熱撹拌しながら70℃で反応させて、分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(A1)(NCO基当量344のもの)を得た。
前記(A1)の合成の時とは別の反応装置に、コスモネートT−80を1662部と、ジエチレングリコール(以下「DEG」という)を339部仕込み、NCO/OH当量比=3.00にて加熱撹拌しながら70℃で反応させて、分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(B1)(NCO基当量158のもの)を得た。
ホルダー中で、前記ウレタンプレポリマー(A1)と前記(B1)とを(A1)/(B1)=75/25質量比で混合して、プレポリマー混合物(AB1)(NCO基当量464のもの)を調整し、ホルダー内で内温60℃に保温した。
次いで、前記ホルダー内の前記プレポリマー混合物(AB1)(未反応TDIの含有量が17%のもの)を短行程蒸留装置KDL5型(UIC GmbH社製)に連続的に供給しながら、下記の蒸留条件にて薄膜蒸留処理を行った。
ホルダー保温温度(混合物保温温度):60℃
滴下速度:600g/hr
蒸留温度(外部壁面温度):170℃
プレポリマー受け温度(残留物温度):60℃
内部コンデンサー温度(蒸留物温度):10℃
減圧度:20Pa
回転数:400rpm
その結果、蒸留後の未反応TDIの含有量が0.01%未満であり、未反応TDI量が大幅に低減したプレポリマー混合物(ab1)(NCO基当量473のもの。室温にて淡黄色液状)を得た。
次いで、混合容器に、前記プレポリマー混合物(ab1)(50℃に加温)と、硬化剤として溶融状態(120℃に加温)の3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下「MBOCA」)とを、NH/NCO=0.9当量比で仕込み、直ちに攪拌混合して組成物(1)を調製し、80℃に加熱した金型に前記組成物(1)を注入した。直ちに金型の蓋をして、乾燥機(80℃)中で1時間放置(一次キュア)後、更に110℃で16時間アフタキュア(二次キュア)を行い、本発明のポリウレタンエラストマー(1)を得て、それを用いて成形品(1)を作製した。
前記組成物(1)は、第1表に示した如く、ポットライフ(MBOCA添加から5万mPa・s到達までの時間)が330秒であり、適度に長く作業性に優れていた。
また、前記ポリウレタンエラストマー(1)は、低蓄熱性であり、且つ、使用環境温度(30℃〜130℃)において熱変形し難く(耐熱変形性に優れ)、熱分解に伴う劣化や剥離、破損などを起こさず耐久性に優れていた。
〔実施例2〕
反応装置に、コスモネートT−80を821部と、PTMG750(商標;三菱化学株式会社製、PTMG850とPTMG650を混合しMn=750にしたもの)を1179部仕込み、NCO/OH当量比=3.00にて加熱撹拌しながら70℃で反応させて、分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(A2)(NCO基当量318のもの)を得た。
ホルダー中で、前記ウレタンプレポリマー(A2)と前記(B1)とを(A2)/(B1)=79/21質量比で混合して、プレポリマー混合物(AB2)(NCO基当量464のもの)を調整し、ホルダー内で内温60℃に保温した。
次いで、前記ホルダー内の前記プレポリマー混合物(AB2)(未反応TDIの含有量が17%のもの)を短行程蒸留装置KDL5型(UIC GmbH社製)に連続的に供給しながら、実施例1と同様の蒸留条件にて薄膜蒸留処理を行った。
その結果、蒸留後の未反応TDIの含有量は0.01%未満であり、未反応TDI量が大幅に低減したプレポリマー混合物(ab2)(NCO基当量466のもの。室温にて淡黄色液状)を得ることができた。
次いで、混合容器に、前記プレポリマー混合物(ab2)(50℃に加温)と、硬化剤として溶融状態(120℃に加温)のMBOCAとを、NH/NCO=0.9当量比で仕込み、直ちに攪拌混合して組成物(2)を調製し、80℃に加熱した金型に前記組成物(2)を注入した。直ちに金型の蓋をして、乾燥機(80℃)中で1時間放置(一次キュア)後、更に110℃で16時間アフタキュア(二次キュア)を行い、本発明のポリウレタンエラストマー(2)を得て、それを用いて成形品(2)を作製した。
前記組成物(2)は、第1表に示した如く、ポットライフ(MBOCA添加から5万mPa・s到達までの時間)が318秒であり、適度に長く作業性に優れていた。
また、前記ポリウレタンエラストマー(2)は、低蓄熱性であり、且つ、使用環境温度(30℃〜130℃)において熱変形し難く(耐熱変形性に優れ)、熱分解に伴う劣化や剥離、破損などを起こさず耐久性に優れていた。
〔実施例3〕
反応装置に、コスモネートT−80を927部と、PTMG650(商標;三菱化学株式会社製、ポリテトラメチレングリコール、Mn=650のもの)を1173部仕込み、NCO/OH当量比=3.00にて加熱撹拌しながら70℃で反応させて、分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(A3)(NCO基当量296のもの)を得た。
ホルダー中で、前記ウレタンプレポリマー(A3)と前記(B1)とを(A3)/(B1)=86/14質量比で混合して、プレポリマー混合物(AB3)(NCO基当量464のもの)を調整し、ホルダー内で内温60℃に保温した。
次いで、前記ホルダー内の前記プレポリマー混合物(AB3)(未反応TDIの含有量が17%のもの)を短行程蒸留装置KDL5型(UIC GmbH社製)に連続的に供給しながら、実施例1と同様の蒸留条件にて薄膜蒸留処理を行った。
その結果、蒸留後の未反応TDIの含有量は0.01%未満であり、未反応TDI量が大幅に低減したプレポリマー混合物(ab3)(NCO基当量467のもの。室温にて淡黄色液状)を得ることができた。
次いで、混合容器に、前記プレポリマー混合物(ab3)(50℃に加温)と、硬化剤として溶融状態(120℃に加温)のMBOCAとを、NH/NCO=0.9当量比で仕込み、直ちに攪拌混合して組成物(3)を調製し、80℃に加熱した金型に前記組成物(3)を注入した。直ちに金型の蓋をして、乾燥機(80℃)中で1時間放置(一次キュア)後、更に110℃で16時間アフタキュア(二次キュア)を行い、本発明のポリウレタンエラストマー(3)を得て、それを用いて成形品(3)を作製した。
前記組成物(3)は、第1表に示した如く、ポットライフ(MBOCA添加から5万mPa・s到達までの時間)が330秒であり、適度に長く作業性に優れていた。
また、前記ポリウレタンエラストマー(3)は、低蓄熱性であり、且つ、使用環境温度(30℃〜130℃)において熱変形し難く(耐熱変形性に優れ)、熱分解に伴う劣化や剥離、破損などを起こさず耐久性に優れていた。
〔実施例4〕
反応装置に、コスモネートT−80を417部とコロネートT−100(商標;東ソー株式会社製、2,4−TDIが99%以上のもの)417部と、PTMG650(商標;三菱化学株式会社製、ポリテトラメチレングリコール、Mn=650のもの)1267部を仕込み、NCO/OH当量比=2.50にて加熱撹拌しながら70℃で反応させて、分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(A4)(NCO基当量366のもの)を得た。
ホルダー中で、前記ウレタンプレポリマー(A4)と前記(B)とを(A4)/(B1)=84/16質量比で混合して、プレポリマー混合物(AB4)(NCO基当量464のもの)を調製し、ホルダー内で内温60℃に保温した。
次いで、前記ホルダー内の前記プレポリマー混合物(AB4)(未反応TDIの含有量が12%のもの)を短行程蒸留装置KDL5型(UIC GmbH社製)に連続的に供給しながら、実施例1と同様の蒸留条件にて薄膜蒸留処理を行った。
その結果、蒸留後の未反応TDIの含有量は0.01%未満であり、未反応TDI量が大幅に低減したプレポリマー混合物(ab4)(NCO基当量469のもの。室温にて淡黄色液状)を得ることができた。
次いで、混合容器に、前記プレポリマー混合物(ab4)(50℃に加温)と、硬化剤として溶融状態(120℃に加温)のMBOCAとを、NH/NCO=0.9当量比で仕込み、直ちに攪拌混合して組成物(4)を調製し、80℃に加熱した金型に前記組成物(4)を注入した。直ちに金型の蓋をして、乾燥機(80℃)中で1時間放置(一次キュア)後、更に110℃で16時間アフタキュア(二次キュア)を行い、本発明のポリウレタンエラストマー(4)を得て、それを用いて成形品(4)を作製した。
前記組成物(4)は、第1表に示した如く、ポットライフ(MBOCA添加から5万mPa・s到達までの時間)が306秒であり、適度に長く作業性に優れていた。
また、前記ポリウレタンエラストマー(4)は、低蓄熱性であり、且つ、使用環境温度(30℃〜130℃)において熱変形し難く(耐熱変形性に優れ)、熱分解に伴う劣化や剥離、破損などを起こさず耐久性に優れていた。
〔実施例5〕
反応装置に、コスモネートT−80を833部と、PTMG650を1267部仕込み、NCO/OH当量比=2.50にて加熱撹拌しながら70℃で反応させて、分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(A5)(NCO基当量366のもの)を得た。
ホルダー中で、前記ウレタンプレポリマー(A5)と前記(B1)とを(A5)/(B1)=83/17質量比で混合して、プレポリマー混合物(AB5)(NCO基当量464のもの)を調整し、ホルダー内で内温60℃に保温した。
次いで、前記ホルダー内の前記プレポリマー混合物(AB5)(未反応TDIの含有量が12%のもの)を短行程蒸留装置KDL5型(UIC GmbH社製)に連続的に供給しながら、実施例1と同様の蒸留条件にて薄膜蒸留処理を行った。
その結果、蒸留後の未反応TDIの含有量は0.01%未満であり、未反応TDI量が大幅に低減したプレポリマー混合物(ab5)(NCO基当量474のもの。室温にて淡黄色液状)を得ることができた。
次いで、混合容器に、前記プレポリマー混合物(ab5)(50℃に加温)と、硬化剤として溶融状態(120℃に加温)のMBOCAとを、NH/NCO=0.9当量比で仕込み、直ちに攪拌混合して組成物(5)を調製し、80℃に加熱した金型に前記組成物(5)を注入した。直ちに金型の蓋をして、乾燥機(80℃)中で1時間放置(一次キュア)後、更に110℃で16時間アフタキュア(二次キュア)を行い、本発明のポリウレタンエラストマー(5)を得て、それを用いて成形品(5)を作製した。
前記組成物(5)は、第1表に示した如く、ポットライフ(MBOCA添加から5万mPa・s到達までの時間)が324秒であり、適度に長く作業性に優れていた。
また、前記ポリウレタンエラストマー(5)は、低蓄熱性であり、且つ、使用環境温度(30℃〜130℃)において熱変形し難く(耐熱変形性に優れ)、熱分解に伴う劣化や剥離、破損などを起こさず耐久性に優れていた。
〔比較例1〕
比較例1は、後述する操作で得た分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(A6)について、薄膜蒸留処理を行わずに、前記(A6)中の未反応TDIを残存させたままで、次工程の硬化反応を行った。尚、前記(A6)は、単独に合成したものであり、2種以上のウレタンプレポリマーを混合したものではない。
反応装置に、コロネートT−100(商標;東ソー株式会社製、2,4−TDIが99%以上のもの)784部と、PTMG1000(商標;三菱化学株式会社製、ポリテトラメチレングリコール、Mn=1000のもの)1064部を仕込み、NCO/OH当量比=1.80にて加熱攪拌しながら70℃で反応させた。
その後、鎖伸長剤としてDEGを153部仕込み、加熱攪拌しながら70℃で反応させて、分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(A6)(NCO基当量516のもの。室温にて淡黄色液状)を得た。
次いで、混合容器に前記ウレタンプレポリマー(A6)と、溶融状態のMBOCAを、NH/NCO=0.9当量比で仕込み、攪拌混合して組成物(6)を調製し、80℃に加熱した金型に前記組成物(6)を注入した。直ちに金型の蓋をした後、乾燥機(80℃)中で1時間放置後、更に110℃で15時間アフタキュアを行い、ポリウレタンエラストマー(6)を得て、それを用いて成形品(6)を作製した。
第2表に示した如く、前記組成物(6)は、未反応TDI含有量が1.21%(ガスクロ法)であり多かった。また、ポットライフ(MBOCA添加から5万mPa・s到達までの時間)が184秒であり、大変短く作業性に劣っていた。
また、前記組成物(6)を用いて得た前記ウレタンエラストマー(6)は、高蓄熱性であり、且つ、使用環境温度(30℃〜130℃)において熱変形し易く(耐熱変形性に劣り)、熱分解に伴う劣化や剥離、破損などを生じやすく耐久性に劣っていた。
〔比較例2〕
比較例2は、後述する操作で得た分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(A7)について、薄膜蒸留処理を行わずに、前記(A7)中の未反応TDIを残存させたままで、次工程の硬化反応を行った。尚、前記(A)は、単独に合成したものであり、2種以上のウレタンプレポリマーを混合したものではない。
反応装置に、コロネートT−100を774部、及びPTMG1000を1041部仕込み、NCO/OH当量比=1.60にて加熱攪拌しながら70℃で反応させた。
その後、鎖伸長剤としてDEGを184部仕込み、加熱攪拌しながら70℃で反応させて、分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(A7)(NCO基当量620のもの。室温にて淡黄色液状)を得た。
次いで、混合容器に前記ウレタンプレポリマー(A7)と、溶融状態のMBOCAを、NH/NCO=0.9当量比で仕込み、攪拌混合して組成物(7)を調製し、80℃に加熱した金型に前記組成物(7)を注入した。直ちに金型の蓋をした後、乾燥機(80℃)中で1時間放置後、更に110℃で15時間アフタキュアを行い、ポリウレタンエラストマー(7)を得て、それを用いて成形品(7)を作製した。
第2表に示した如く、前記組成物(7)は、ポットライフ(MBOCA添加から5万mPa・s到達までの時間)が275秒であり、大変短く作業性に劣っていた。
また、前記組成物(7)を用いて得た前記ウレタンエラストマー(7)は、高蓄熱性であり、且つ、使用環境温度(30℃〜130℃)において熱変形し易く(耐熱変形性に劣り)、熱分解に伴う劣化や剥離、破損などを生じやすく耐久性に劣っていた。
〔比較例3〕
比較例3は、後述する操作で得た分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(A8)について、薄膜蒸留処理を行った。尚、前記(A8)は、単独に合成したものであり、2種以上のウレタンプレポリマーを混合したものではない。
反応装置に、コスモネートT−80(商標;三井化学株式会社製、2,4−TDI/2,6−TDI=80/20質量比の混合物)436部と、コロネートT−100を436部仕込み、混合した。
次いで、PTMG1000を966部仕込み、NCO/OH当量比=2.00にて加熱撹拌しながら70℃で反応させた。
その後、鎖伸長剤としてDEGを163部仕込み、加熱攪拌しながら70℃で反応させて、分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(A8)(NCO基当量400のもの。室温にて淡黄色液状)を得た。
前記ウレタンプレポリマー(A8)をホルダー内で内温60℃にて保温した。
次いで、前記ホルダー内の前記ウレタンプレポリマー(A8)(未反応TDIの含有量が4%のもの)を短行程蒸留装置KDL5型(UIC GmbH社製)に連続的に供給しながら、実施例1と同条件にて薄膜蒸留処理を行った。
その結果、未反応TDI量を大幅に低減でき、未反応TDIの含有量が0.01%未満であるウレタンプレポリマー(a8)(NCO基当量489)を得た。
次いで、混合容器に前記ウレタンプレポリマー(a8)と、溶融状態のMBOCAを、NH/NCO=0.9当量比で仕込み、攪拌混合して組成物(8)を調製し、80℃に加熱した金型に前記組成物(8)を注入した。直ちに金型の蓋をした後、乾燥機(80℃)中で1時間放置後、更に110℃で15時間アフタキュアを行い、ポリウレタンエラストマー(8)を得て、それを用いて成形品(8)を作製した。
第2表に示した如く、前記組成物(8)は、ポットライフ(MBOCA添加から5万mPa・s到達までの時間)が240秒であり、大変短く作業性に劣っていた。
また、前記組成物(8)を用いて得た前記ウレタンエラストマー(8)は、高蓄熱性であり、且つ、使用環境温度(30℃〜130℃)において熱変形し易く(耐熱変形性に劣り)、熱分解に伴う劣化や剥離、破損などを生じやすく耐久性に劣っていた。
〔比較例4〕
比較例4は、後述する操作で得た分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(A9)について、薄膜蒸留処理を行った。尚、前記(A9)は、単独に合成したものであり、2種以上のウレタンプレポリマーを混合したものではない。
反応装置に、コスモネートT−80を484部と、コロネートT−100を484部仕込み、混合した。
次いで、PTMG650(商標;三菱化学株式会社製、ポリテトラメチレングリコール、Mn=650のもの)881部を仕込み、NCO/OH当量比=2.00にて加熱撹拌しながら70℃で反応させた。
その後、鎖伸長剤としてDEGを151部仕込み、加熱攪拌しながら70℃で反応させて、分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(A9)(NCO基当量360のもの。室温にて淡黄色液状)を得た。
前記ウレタンプレポリマー(A9)をホルダー内で内温60℃にて保温した。
次いで、前記ホルダー内の前記ウレタンプレポリマー(A9)(未反応TDIの含有量が5%のもの)を短行程蒸留装置KDL5型(UIC GmbH社製)に連続的に供給しながら、実施例1と同条件にて薄膜蒸留処理を行った。
その結果、未反応TDI量を大幅に低減でき、未反応TDIの含有量が0.01%未満の分子末端にNCO基を有するウレタンプレポリマー(a9)(NCO基当量361)を得た。
次いで、混合容器に前記ウレタンプレポリマー(a9)と、溶融状態のMBOCAを、NH/NCO=0.9当量比で仕込み、攪拌混合して組成物(9)を調製し、80℃に加熱した金型に前記組成物(9)を注入した。直ちに金型の蓋をした後、乾燥機(80℃)中で1時間放置後、更に110℃で15時間アフタキュアを行い、ポリウレタンエラストマー(9)を得て、それを用いて成形品(9)を作製した。
第2表に示した如く、前記組成物(9)は、ポットライフ(MBOCA添加から5万mPa・s到達までの時間)が192秒であり、大変短く作業性に劣っていた。
また、前記組成物(9)を用いて得た前記ウレタンエラストマー(9)は、高蓄熱性であり、且つ、使用環境温度(30℃〜130℃)において熱変形し易く(耐熱変形性に劣り)、熱分解に伴う劣化や剥離、破損などを生じやすく耐久性に劣っていた。
前記ウレタンエラストマー(9)は、破断伸びに劣っていた。
Figure 0006270088
Figure 0006270088
実施例1〜5及び比較例1〜4に記載の略号は、下記の化合物を意味する。
コスモネートT−80;商標、三井化学株式会社製、2,4−トルエンジイソシアネート/2,6−トルエンジイソシアネート=80/20質量比の混合物。
PTMG650 ;商標、三菱化学株式会社製、ポリテトラメチレングリコール、数平均分子量650のもの。
PTMG750 ;商標、三菱化学株式会社製、PTMG850とPTMG650を混合しMn=750にしたもの。
PTMG850 ;商標、三菱化学株式会社製、ポリテトラメチレングリコール、数平均分子量850のもの。
PTMG1000 ;商標、三菱化学株式会社製、ポリテトラメチレングリコール、数平均分子量1000のもの。
DEG ;ジエチレングリコール。
MBOCA ;3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン。
本発明は、ウレタンプレポリマーのポットライフ(可使時間)が適度に長く作業性に優れ、且つ、得られるポリウレタンエラストマーは、低蓄熱性であり、熱履歴に伴うオリゴマーの副生がなく、使用環境温度(30℃〜130℃)において熱変形し難く(耐熱変形性に優れ)、熱分解に伴う劣化や剥離、破損などを起こさず耐久性に優れ、耐摩耗性、機械的強度、反発弾性などの優れた性能を発現でき、例えば、ロール、キャスター等の工業部品、ソリッドタイヤ、ベルト等の自動車部品、紙送りロール、複写機用ロール等のオフィス・オートメーション機器部品、スポーツ用品、レジャー用品、防振材、パッキンなどの弾性体として広範囲の用途に利用できる。

Claims (3)

  1. トリレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート成分及び数平均分子量が600〜3000の範囲のポリオール成分をイソシアネート基と水酸基の当量比(NCO/OH)が2〜4の範囲で反応して得られる分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)と、
    トリレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート成分及び数平均分子量が50〜300のポリオール成分をイソシアネート基と水酸基の当量比(NCO/OH)が2〜4の範囲で反応して得られる分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(B)とを、
    それぞれ別々に合成し混合して得られるプレポリマー混合物(AB)を薄膜蒸留装置に供給して、前記プレポリマー混合物(AB)に含まれる未反応トリレンジイソシアネートを蒸留して、ISO 10283に規定するガスクロマトグラフィー法に準拠し測定した未反応トリレンジイソシアネートの含有量を0.4質量%以下にまで低減後、プレポリマー混合物(ab)を得て、
    次いで、前記プレポリマー混合物(ab)を含む主剤と硬化剤(C)を配合して得られる組成物を熱硬化させることを特徴とするポリウレタンエラストマーの製造方法。
  2. 前記硬化剤(C)が、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンである請求項1記載のポリウレタンエラストマーの製造方法。
  3. 前記プレポリマー混合物(ab)を含む主剤と前記硬化剤(C)とを含有する組成物の硬化反応において、前記主剤と前記硬化剤(C)の混合完了時点から、前記組成物の粘度が5万mPa・sに到達するまでの時間(t)が、300秒以上である請求項1記載のポリウレタンエラストマーの製造方法。
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