JP6269423B2 - 電力増幅装置および電力増幅方法 - Google Patents

電力増幅装置および電力増幅方法 Download PDF

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Description

本発明は、電力増幅装置および電力増幅方法に関する。
今日において、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)またはパルス密度変調(PDM:Pulse Density Modulation)を用い、スイッチング回路で電力増幅を行うデジタルアンプ装置(D級アンプ装置)が知られている。デジタルアンプ装置は、例えば最大で90%以上等の高効率増幅が可能であり、また、発熱量も少ない。このため、ミニオーディオコンポーネント、カーオーディオ、または、携帯音楽プレーヤ等に用いられている。
ここで、複数のデジタルアンプ装置を並列動作させる場合、アンプゲインのバラツキ、および、電源電圧のバラツキ等を考慮する必要がある。このため、無帰還型デジタルアンプおよび無帰還型電源を組み合わせて電源電圧を変動させることで、複数のデジタルアンプ装置を並列動作させる方式が知られている(第1の方式)。
また、特許文献1(特表2013−521699号公報)には、デジタルアンプ復調器(LCフィルタ)前から局部電流帰還することで電流制限し、複数のデジタルアンプ装置を並列動作させる方式が開示されている(第2の方式)。
さらに、特許文献2(特開平7−131272号公報)には、事前に出力負荷の値を入力し、状態のフィードバックを行うことで、複数のデジタルアンプ装置を並列動作させる方式が開示されている(第3の方式)。
特表2013−521699号公報 特開平7−131272号公報
しかし、第1の方式の場合、並列動作時のアンプゲインのバラツキ等で、アンプ間異常電流を防ぐために、高くなるまで電源電圧を変動させる必要がある。このため、回路素子の高耐圧化が必要となり、部品寸法が大きくなり、また、コスト高となる問題がある。また、第1の方式の場合、電源電圧の制約から、並列接続可能な台数が制限される問題がある。
特許文献1に開示されている第2の方式の場合、局部電流帰還と復調後からの電圧帰還が行われているため、総合的には電圧帰還タイプのデジタルアンプとなっている。このため、第2の方式の場合、負荷変動に対して電流帰還率の調整が困難となる問題がある。また、第2の方式の場合、直接、負荷電流を計測していないため、電流精度が低い方式である。また、第2の方式の場合、並列接続する台数が制限される問題もある。
特許文献2に開示されている第3の方式の場合、事前に負荷を測定し、パラメータを計算する必要がある。このため、複雑な制御が必要となり、コスト高となる問題がある。また、第3の方式の場合、負荷の変動に対応困難な問題がある。負荷の変動とは、例えば以下の場合である。家屋の1階のスピーカ装置および家屋の2階のスピーカ装置が負荷として設定されている状態において、1階のスピーカ装置のみから音声出力を得ようとする場合、音声出力先の選択操作により、1階のスピーカ装置のみを選択する。これにより、家屋の1階のスピーカ装置および2階のスピーカ装置に対応する負荷が、1階のスピーカ装置のみの負荷に変動する。一例ではあるが、負荷の変動とは、このような場合である。
このように、従来の方式では、複数のデジタルアンプ装置を並列接続した場合に、良好な動作が困難となる問題があった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、複数が並列接続された場合でも、良好に動作させることができるような電力増幅装置および電力増幅方法の提供を目的とする。
上述した課題を解決するための手段として、本発明は、入力信号を増幅して負荷に供給する増幅部と、増幅部の出力段に設けられ、増幅部から出力される出力信号の電流を検出する電流検出回路と、所定の帰還量で、検出された電流を帰還する電流帰還回路と、所定の帰還量で、出力信号の電圧を帰還する電圧帰還回路と、帰還された電流および帰還された電圧を用いて入力信号を調整する調整部とを有し、電流帰還回路の帰還量、および、電圧帰還回路の帰還量は、当該電力増幅装置と他の電力増幅装置を並列接続した際に、各電力増幅装置の間の出力電圧のバラツキを吸収する帰還量にそれぞれ調整されている
また、上述した課題を解決するための手段として、本発明は、増幅部が、入力信号を増幅して負荷に供給する増幅ステップと、増幅部の出力段に設けられた電流検出回路が、増幅部から出力される出力信号の電流を検出する電流検出ステップと、電流帰還回路が、所定の帰還量で、検出された電流を帰還する電流帰還ステップと、電圧帰還回路が、所定の帰還量で、出力信号の電圧を帰還する電圧帰還ステップと、調整部が、帰還された電流および帰還された電圧を用いて入力信号を調整する調整ステップとを有し、電流帰還ステップの帰還量、および、電圧帰還ステップの帰還量は、当該電力増幅装置と他の電力増幅装置を並列接続した際に、各電力増幅装置の間の出力電圧のバラツキを吸収する帰還量にそれぞれ調整されている
本発明は、複数が並列接続された場合でも、良好に動作させることができる。
図1は、本発明を適用した第1の実施の形態となる電力増幅装置のブロック図である。 図2は、第1の実施の形態となる電力増幅装置の動作原理を説明するための図である。 図3は、第1の実施の形態となる電力増幅装置を並列接続した状態を示すブロック図である。 図4は、第1の実施の形態となる電力増幅装置の等価回路図である。 図5は、第1の実施の形態となる電力増幅装置の並列接続時における設計条件の一例を示す図である。 図6は、第1の実施の形態となる電力増幅装置の並列接続時における各設計条件を示す図である。 図7は、第1の実施の形態となる電力増幅装置の並列接続時における出力抵抗の電流帰還量に対する依存性を説明するための図である。 図8は、第1の実施の形態となる電力増幅装置の並列接続時におけるゲインの電流帰還量に対する依存性を説明するための図である。 図9は、第1の実施の形態となる電力増幅装置の並列接続時におけるゲインの出力付加抵抗に対する依存性を説明するための図である。 図10は、第1の実施の形態となる電力増幅装置の並列接続時におけるゲインの出力電流に対する依存性を説明するための図である。 図11は、本発明を適用した第2の実施の形態となる電力増幅装置のブロック図である。 図12は、第2の実施の形態となる電力増幅装置の等価回路図である。 図13は、本発明を適用した第3の実施の形態となる電力増幅装置の等価回路図である。 図14は、本発明を適用した第4の実施の形態となる電力増幅装置の等価回路図である。 図15は、本発明を適用した第4の実施の形態となる電力増幅装置の動作を説明するためのフローチャートである。 図16は、本発明を適用した第5の実施の形態となる電力増幅装置の等価回路図である。 図17は、本発明を適用した第5の実施の形態となる電力増幅装置の動作を説明するためのフローチャートである。 図18は、本発明を適用した第6の実施の形態となる電力増幅装置のブロック図である。 図19は、本発明を適用した第6の実施の形態の変形例となる電力増幅装置のブロック図である。 図20は、本発明を適用した第6実施の形態の電力増幅装置の動作原理を説明するための図である。 図21は、本発明を適用した第6実施の形態の電力増幅装置の電流帰還量の切り替え前における、ゲインの出力電流に対する依存性を説明するための図である。 図22は、本発明を適用した第6実施の形態の電力増幅装置の電流帰還量の切り替え後における、ゲインの出力電流に対する依存性を説明するための図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を適用した実施の形態となる電力増幅装置を詳細に説明する。
(概要)
実施の形態の電力増幅装置は、復調後の音声信号の電流帰還および電圧帰還を融合させる方式となっている。実施の形態の電力増幅装置は、復調後の音声信号の電流帰還量および電圧帰還量を容易に設定でき、高精度にアンプ間のバラツキを吸収できる。また、高耐圧化する必要もなく、簡単な回路構成で実現可能となっている。また、負荷変動に対しても自動的に対応でき、良好な並列動作を可能とする。
また、実施の形態の電力増幅装置は、負荷抵抗が小さくなり出力電流が増え、閾値電流に至った際に、電流帰還量を切り替え、負荷電流を抑制する。これにより、実施の形態の電力増幅装置は、音声歪等を低減する。また、実施の形態の電力増幅装置は、アンプ出力にパワーFETを直列に挿入する必要がないため、無駄な発熱を防止できる。また、実施の形態の電力増幅装置は、短絡電流から計算して、電流帰還量を可変することで、回線短絡の負荷および不完全負荷短絡の両方に対応する。また、出力電流を制御中でも、音声信号の歪を抑えることができ、音声を明瞭にスピーカ装置に伝達することができる。また、電流帰還量を自由に設定できるため、どのようなジャンルの製品、使用環境、使用場所にも良好に対応することができる。
(第1の実施の形態)
図1に、本発明の第1の実施の形態となる電力増幅装置1のブロック図を示す。この図1に示す電力増幅装置1は、シングルエンド型の例である。電力増幅装置1は、入力端子2、オペアンプ回路3、PWM変調回路4、電圧増幅回路5、ローパスフィルタ(LPF:復調回路)6、電流検出回路7、電圧帰還回路8、電流帰還回路9、加算器10、および、出力端子11a,11bを有している。このような電力増幅装置1は、スピーカ装置等の負荷12に接続されている。なお、電圧増幅回路5は、増幅部の一例である。また、加算器10は、調整部の一例である。
入力端子2には、音声信号(Vin)が供給される。オペアンプ回路3は、入力された音声信号を、所定の利得で増幅して出力する。PWM変調回路4は、増幅された音声信号にパルス幅変調処理を施す。PWMは、「Pulse Width Modulation」の略記である。PWM変調回路4の代わりに、デルタシグマ変調器(ΔΣ変調器)を用いてもよい。
電圧増幅回路5は、パルス幅変調処理された音声信号の電圧を、所定分、増幅する。具体的には、例えば2つの出力用パワーMOSFETを用い、パルス幅変調処理された音声信号のパルス幅のタイミングで、比較的高い電圧をスイッチングする。MOSFETは、「Metal-Oxide-semiconductor Field-Effect Transistor」の略記である。これにより、電圧振幅が大きなパルス幅変調処理された音声信号を得ることができる。LPF6は、音声信号ラインに直列挿入接続されたコイル6Rと、コイル6Rの出力側と接地との間に並列接続されたコンデンサ6Cとを有している。LPF6は、パルス幅変調処理された音声信号から高周波成分を除去し、出力端子11a,11bを介して負荷12に供給する。
電圧帰還回路8は、LPF6により高周波成分が除去された音声信号の電圧値(β0)を負帰還する。電流帰還回路9は、電流検出回路7により検出された、LPF6により高周波成分が除去された音声信号の電流値に対応する電圧値(β1)を負帰還する。加算器10は、入力された音声信号に、負帰還された各電圧値(β0,β1)を加算処理する。これにより、複数の電力増幅装置1が並列接続した場合に、各電力増幅装置1間のアンプゲインおよび電源電圧のバラツキ等を吸収して、良好な並列動作を可能とする。
次に、実施の形態のデータ発生装置1が、良好な並列動作を可能とする原理を説明する。図2は、上述の電力増幅装置1を、2つ並列接続した場合における、LPF6後の出力電流Io(横軸)と、LPF6後の出力電圧(Vo)との関係を示している。この図2において、電圧帰還量β0が大きい場合(β1=0、β0≫0)、オーディオ性能は良いのであるが、各電力増幅装置1の並列動作に支障が出る。なお、オーディオ性能が良いとは、音声信号の電圧の変動が少ないことを言う。これに対して、電流帰還量β1が大きい場合(β1≫0、β0=0)、各電力増幅装置1の並列動作は良好であるが、オーディオ性能に支障を来す。
ここで、図2において、Vo1は、並列接続された2つの電力増幅装置1のうち、一方の電力増幅装置1の出力電圧を示している。また、Vo2は、並列接続された2つの電力増幅装置1のうち、他方の電力増幅装置1の出力電圧を示している。並列接続された各電力増幅装置1の間に、Vo1とVo2のような出力電圧のバラツキ(Vo1>Vo2)が生じても、Vo1とVo2の出力電圧差に対応する傾きが大きくなるに連れ、出力電流変動幅ΔIoが小さくなり、各電力増幅装置1の良好な並列動作を可能とすることができる。そして、電圧電流帰還比β1/β0の比率を調整することで、オーディオ性能を確保したうえで、各電力増幅装置1の良好な並列動作を可能とすることができる。だだし、電圧電流帰還比β1/β0の傾きを大きくし過ぎると、オーディオ性能(ゲイン変動、歪率、定格出力、PSRR)の低下が顕著となり、実用に耐えない。PSRRは、「Power Supply Rejection Ratio:電源電圧変動除去比」の略記である。
このため、実施の形態の電力増幅装置1は、並列接続された各電力増幅装置1の出力電圧Vo1と出力電圧Vo2のバラツキ量が大きい場合、電圧電流帰還比β1/β0の比率を大きくし、出力電流Ioに対する出力電圧Voの傾きを大きくする。これにより、様々なバラツキに対応した、良好な並列動作を可能としている。
また、実施の形態の電力増幅装置1は、復調回路として動作するLPF6の後段から帰還を掛けるため、電流帰還量β1および電圧帰還量β0の値を、それぞれ独立かつ簡単に調整できる。
なお、図2の例は、2台の電力増幅装置1を並列接続した例であるが、図3は、3台の電力増幅装置1を並列接続した例である。この例の場合、入力端子2から入力された音声信号は、各電力増幅装置1の加算器10を介してオペアンプ回路3にそれぞれ供給され、また、各電力増幅装置1の出力端子11a,11bは、それぞれ負荷12に接続されるように、3台の電力増幅装置1が並列接続されている。この場合も、各電力増幅装置1の出力電圧のバラツキの範囲が分かれば、出力電流Ioに対する出力電圧Voの傾き傾きを調整することで、3台の電力増幅装置1の並列接続も良好なものとすることができる。4台以上の電力増幅装置1の並列接続も同様である。
次に、電力増幅装置1のアンプゲイン、ループゲインおよび出力抵抗の導出の仕方を説明する。図4は、図1に示した電力増幅装置1の等価回路図である。この図4において、内部抵抗Roは、電圧増幅回路5のMOSFETのオン抵抗、および、LPF6のコイル6R(Lo)の直流抵抗等である。電流検出回路7は、センス抵抗Rs(電流検出抵抗Rs)に置換されている。電流検出回路7は、電流検出抵抗Rsの両端の電位差(電圧)を、LPF6で復調された音声信号の電流値ioとして検出する。なお、音声信号の電流値io=出力電圧Vo/負荷12の抵抗値RLである。
電流帰還回路9は、「調整された電流帰還量β1×電流検出抵抗Rs×音声信号の電流値io」の電圧値を、加算器10に負帰還する。なお、この例では、LPF6で復調された音声信号の電流値ioを電流検出抵抗Rsで検出したが、電流検出抵抗Rsの代わりにトランスを挿入し、その2次電圧で検出してもよい。電圧帰還回路8は、「LPF6から出力された音声信号の電圧値Vo×調整された電圧帰還量β0」の電圧値を、加算器10に負帰還する。また、図4におけるZoは、電力増幅装置1の出力インピーダンス(電力増幅装置1の出力抵抗)を示している。
このような電力増幅装置1の等価回路において、電力増幅装置1のアンプゲイン(Gain)は以下の数1式で、ループゲイン(Loop Gain)は、以下の数2式で、出力抵抗Zoは以下の数3式で、それぞれ算出される。なお、各式中、「A」は、オペアンプ回路3、電圧増幅回路5の利得等の電力増幅装置1の内部ゲインを示す。また、「A×β0≫1」、「A×β1≫1」とする。
Gain=∂Vo/∂Vin≒A/(1+A×(β0+β1×(Rs/Zo))) ≒1/(β0+β1×(Rs/Zo)・・・(数1式)
Loop Gain≒A×(β0+β1×(Rs/Zo)) ・・・(数2式)
Zo=∂Vo/∂io≒(((1+A×β1)/(1+A×β0))×Rs)+((1/(1+A×β0))×Ro) ≒(β1/β0)×Rs・・・(数3式)
電力増幅装置1のアンプゲイン(Gain)、ループゲイン(Loop Gain)、および、出力抵抗Zoは、それぞれ電圧帰還量β0および電流帰還量β1が融合して成立する。
次に、電力増幅装置1の設計条件を説明する。図5は、それぞれ並列接続され、スピーカ装置等の負荷12に接続された3台の電力増幅装置1を模式的に示した図である。このように複数の電力増幅装置1を並列接続した際に、良好な並列動作を示し、また、良好なオーディオ性能を得るには、以下の第1〜第7の条件を満足するように、電力増幅装置1を設計する必要がある。
(第1の条件)
アンプゲイン(Gain)は、システム設計時に一律に決定されるが、ここでは一例として27dBとする。
(第2の条件)
電力増幅装置1の出力パワーもシステム設計時に一律に決定されるが、ここでは一例として最大90W/4Ωとする。
(第3の条件)
アンプ動作として、音質改善のため、Loop Gain ≧ 20dB以上とする(オーディオ性能向上)。
(第4の条件)
並列動作する各電力増幅装置1の出力電圧のバラツキを、図5に示すように±10%以下とする。
(第5の条件)
並列動作する各電力増幅装置1の最大電圧バラツキ(±10%)時に流れる循環電流を、図5に示すように2.5A以下とする。
(第6の条件)
循環電流を2.5Aとするための、電力増幅装置1の出力抵抗Zoを導出する。
(第7の条件)
負荷12が低下した場合(大電流出力時)の、電力増幅装置1のゲイン変動幅を、3dB以内とする。
このような第1〜第7の条件を満足する電圧帰還量β0および電流帰還量β1は、限られた範囲で存在する。第1〜第7の条件を満足するポイントを見つけることができれば、電圧帰還量β0および電流帰還量β1が互いに強調および融合し、良好な並列動作および良好なオーディオ性能を得ることができる。
実施の形態の電力増幅装置1は、以下に説明するように導出された電圧帰還量β0および電流帰還量β1を用いることで、良好な並列動作および良好なオーディオ性能を得ている。まず、図6は、各項目に対応する条件または設定値(代表値)をまとめた図である。上述したが、この図6に示すように電力増幅装置1のアンプゲインは27dBに設定される。電力増幅装置1の最大出力パワーは、最大90W/4Ωに設定される。電力増幅装置1の内部ゲインAは70dBに設定される。電流検出抵抗Rsの抵抗値は、50mΩに設定される。電力増幅装置1の内部抵抗Roは、50mΩに設定される。ループゲインは、20dB以上に設定される。電力増幅装置1の出力電圧のバラツキは、±10%以下とする。許容可能な循環電流は、±2.5A以下とする。電力増幅装置1のアンプゲインの変動幅(負荷依存)は、3dB以下とする。
このような条件下において、図6の電力増幅装置1のアンプゲインが27dBであるため、数1式を用いて、電圧帰還量β0=0.045を算出する。すなわち、電圧帰還のみの場合(β1=0)、数1式を変形すると、β0=1/Gainとなる。図6からアンプGainは27dB(22.4倍)であるため、電圧帰還量β0=1/22.4=0.045を算出できる。
次に、図6に示す最大出力パワー90W/4Ω、各電力増幅装置1の出力電圧のバラツキ±10%以下、および、許容循環電流±2.5A以下の各条件から、数3式を用いて、電力増幅装置1の出力抵抗Zoを算出する。この条件に対応する出力抵抗Zoの数4式は、以下のようになる。
Zo=(√90W×√4Ω×(1.1−0.9))/2.5A≒1.5Ω・・・(数4式)
この数式から、出力抵抗Zo≧1.5Ωが必要となることがわかる。また、図7は、電圧帰還量β0が0.045の場合における、出力抵抗Zoと電流帰還量β1との関係(依存性)を示す図である。この図7からわかるように、出力抵抗Zo≧1.5Ωとなる電流帰還量β1は、β1≧1.35であることがわかる。
次に、図6に示すように、負荷12の負荷変動(無負荷、4Ω、8Ω、20Ω)によるゲイン変動幅を3dB以下とする必要がある。図8は、電圧帰還量β0が0.045の場合における、電力増幅装置1のアンプゲインと電流帰還量β1との関係(依存性)を示す図である。上述の数1式および図7からわかるように、負荷変動が3dB以内となる電流帰還量β1は、β1≦1.45となる。
図7および図8から、電流帰還量β1の最適値は、「1.35≦β1≦1.45」の範囲であることがわかる。従って、電圧帰還量β0の設計値は、β0=0.045、電流帰還量β1の設計値は、β1=1.40(1.35と1.45の中間の値)となる。この電圧帰還量β0の設計値および電流帰還量β1の設計値を、上述の数2式に代入すると、ループゲインとして46dBの値が算出される。図6に示すようにループゲインの条件は、20dB以上である。このため、電圧帰還量β0=0.045の設計値、および、電流帰還量β1=1.40の設計値は、ループゲインの条件を満足する。
次に、電圧帰還量β0=0.045、電流帰還量β1=1.40の各設計値、および、電力増幅装置1の最大出力パワーを90W/4Ωの条件で実施の形態の電力増幅装置1を検証した結果、以下の検証結果を得られた。
図9は、27dBが条件として設定されている電力増幅装置1のアンプゲインと、負荷12の負荷抵抗RLとの関係(アンプゲインの負荷抵抗依存性)を示す図である。また、図10は、27dBが条件として設定されている電力増幅装置1のアンプゲインと、電力増幅装置1から負荷12に供給される出力電流Ioとの関係(アンプゲインの出力電流依存性)を示す図である。
電力増幅装置1の電圧帰還量β0をβ0=0.045とし、電流帰還量β1をβ1=1.40として最適化することで、図9に示すように負荷12が90Ωを境に電圧帰還と電流帰還が自動的に変動する。また、図10に示すように出力電流が1Aとなったときを境に電圧帰還と電流帰還が自動的に変動する。
すなわち、図9に示す電流帰還量β1=1.40の特性曲線を見ると、負荷12の負荷抵抗RLが4Ωのときに、ゲイン変動幅(負荷依存)が3dB以下の条件を満たす最低負荷抵抗値となる。以後、負荷抵抗RLが徐々に増えるに連れ、電流帰還量β1も徐々に増加して、電力増幅装置1のアンプゲインが27dBまでの範囲内で変化し、負荷抵抗RLの変動に対応する。そして、負荷抵抗RLの値が90Ωとなったときを境にして、電圧帰還量β0の効果が優勢となる。図9に示す電流帰還領域は、負荷抵抗RLが4Ω〜90Ωの範囲で、電流帰還量β1の効果が優勢であることを示している。また、図9に示す電圧帰還領域は、負荷抵抗RLが90Ω以上の範囲で、電圧帰還量β0の効果が優勢であることを示している。
次に、図10に示す電流帰還量β1=1.40の特性曲線を見ると、電力増幅装置1の出力電流Ioの値が4.75Aのときに、ゲイン変動幅(負荷依存)が3dB以下の条件を満たす電流変動最大値となる。すなわち、電力増幅装置1の出力電流Ioの値が0.1A〜4.75Aの出力電流変動範囲内において、ゲイン変動幅(負荷依存)が3dB以下の条件を満たす。また、出力電流Ioの値が0.1A〜1Aの出力電流変動範囲内では、電圧帰還量β0の効果が優勢となる。図10に示す電圧帰還領域は、電圧帰還量β0の効果が優勢となる範囲を示している。また、出力電流Ioの値が1A〜4.75Aの出力電流変動範囲内では、電流帰還量β1の効果が優勢となる。図10に示す電流帰還領域は、電流帰還量β1の効果が優勢となる範囲を示している。出力電流Ioの値が1A〜4.75Aの出力電流変動範囲内では、電流帰還量の効果が優勢になり、電力増幅装置1のアンプゲインを所定の値まで低下させる。
これにより、複数の電力増幅装置1を並列接続して動作させた際に、各電力増幅装置1間で電圧差が発生した場合、電流帰還の効果により差電圧を吸収し、各電力増幅装置1の並列動作を安定させることができる。また、 出力電流Ioの値が1A以下で小さいときには、電圧帰還の効果により、オーディオ性能を十分に引き出すことができる。設定した電圧帰還量β0に対して、電流帰還量β1の範囲は、音質を考慮する場合は大きな値が好ましく、各電力増幅装置1の並列動作の安定性を図る場合は小さい値が好ましい。
以上の説明から明らかなように、第1の実施の形態の電力増幅装置1は、LPF6で復調した音声信号の電流値を電流帰還回路9で所定量、負帰還し、LPF6で復調した音声信号の電圧値を電圧帰還回路8で所定量、負帰還する。そして、加算器10において、入力される音声信号に加算する。復調後の音声信号から検出した電流値の電流帰還量β1と電圧帰還量β0を自由に設定できるため、並列接続された複数の電力増幅装置1間の出力電圧のバラツキを高精度に吸収できる。
また、並列接続された複数の電力増幅装置1間の出力電圧のバラツキを高精度に吸収できるため、各電力増幅装置1を並列動作させるために電源電圧を高く変動させる必要がない。このため、高耐圧素子を用いる必要がなく、電力増幅装置1の低コスト化を実現できる。
また、並列動作する各電力増幅装置1に接続された負荷12の負荷変動にも自動に対応できる。このため、事前に負荷を計測する必要がなく、また、シンプルかつ素子点数が少ない回路構成で実現できる。
電力増幅装置1の出力パワーおよび負荷変動幅は、製品ジャンル、使用環境、および、使用場所等で異なるため、製品毎に電流帰還量β1と電圧帰還量β0の割合の最適化が必要となる。しかし、実施の形態の電力増幅装置1の場合、電流帰還量β1と電圧帰還量β0の割合を自由に設定できる。このため、どのような、仕様の電力増幅装置1にも適用可能となる自由度の高さを有している。
また、低音を再生するスピーカーユニットであるウーファは、電流帰還タイプと電圧帰還タイプに分かれるが、上述の電流帰還および電圧帰還を適用すれば、音質と大電流駆動の最適化が可能となり、音質(引き締まり感)の調整を容易とすることができる。
また、第1の実施の形態の電力増幅装置1は、一方のチャンネルに正相で音声信号を入力し、他方のチャンネルに逆相で音声信号を入力し、それぞれの出力の正極同士をスピーカ装置に接続することで、ステレオアンプの2つの出力をブリッジ接続してモノラルアンプとして使用するBTL接続にも適用可能である。BTLは、「Bridged Transless」の略記である。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態となる電力増幅装置の説明をする。上述の第1の実施の形態の電力増幅装置1は。LPF6の出力段に、電流検出回路7を設けたものであった。この第2の実施の形態の電力増幅装置1は、図11に示すように、出力端子11bと接地との間に電流検出回路7を設けたものである。以下、このような差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
図12に、第2の実施の形態の電力増幅装置1の等価回路図を示す。この図12に示すように、第2の実施の形態の電力増幅装置1の場合、電流検出回路7の電流検出抵抗Rsを、出力端子11bと接地との間に挿入接続している。そして、電流検出抵抗Rsの両端の電圧を、出力電流Ioの現在値として検出し、電流帰還回路9を介して加算器10に負帰還する。これにより、上述の第1の実施の形態の電力増幅装置1と同じ効果を得ることができる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態となる電力増幅装置の説明をする。この第3の実施の形態の電力増幅装置1は、電流検出回路7からの電流検出出力から、デジタルアンプ特有のスイッチングノイズを除去するフィルタを設けたものである。以下、このような差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
図13は、第3の実施の形態の電力増幅装置1の等価回路図である。第3の実施の形態の電力増幅装置1の場合、図13に示すように電流検出回路7の電流検出抵抗Rsで検出された電流検出出力からデジタルアンプ特有のスイッチングノイズを除去するフィルタ20を有している。
電力増幅装置1においては、上述のように電圧増幅回路5は、例えば2つの出力用パワーMOSFETを用い、パルス幅変調処理された音声信号のパルス幅のタイミングで、比較的高い電圧をスイッチングする。このため、音声信号にスパイクノイズ状のスイッチングノイズが重畳する。フィルタ20は、電流検出抵抗Rsで検出された電流検出出力からスイッチングノイズを除去し、電流帰還回路9に供給する。
これにより、電流帰還回路9の誤動作を防止でき、出力電流ioの安定度を高めることができる他、上述の各実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、フィルタ20を電流帰還回路9内に組み込んでもよい。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態となる電力増幅装置の説明をする。この第4の実施の形態の電力増幅装置1は、上述の電圧帰還量β0および電流帰還量β1の決定を、マイクロコンピュータ装置(マイコン)の制御で自動で行うようにしたものである。以下、このような差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
図14は、第4の実施の形態の電力増幅装置1の等価回路図である。第4の実施の形態の電力増幅装置1の場合、制御部の一例であるマイコン25が、電圧帰還量β0および電流帰還量β1を制御する。具体的には、マイコン25は、ユーザにより入力された所望のアンプゲインに対応する、上述のように最適化した電圧帰還量β0を、電圧帰還回路8に対して設定する。次に、マイコン25は、最適化された電圧帰還量β0から、予め設定した電力増幅装置1の出力抵抗Zoに対する電流帰還量β1を最適化する。なお、ユーザが所望の出力抵抗Zoを入力することで、マイコン25が自動的に電流帰還量β1を最適化してもよい。
一例として、マイコン25は、音質を考慮する場合、電流帰還量β1を大きな値とし、並列接続された各電力増幅装置1の並列動作の安定性を考慮する場合、電流帰還量β1を小さい値として電流帰還回路9に設定する。なお、電力増幅装置1を並列動作させない場合、マイコン25は、電流帰還回路9に対して小さな値、または、ゼロの値の電流帰還量β1を設定してもよい。
図15のフローチャートに、第3の実施の形態の電力増幅装置1におけるマイコン25の動作の流れを示す。まず、ステップS1では、ユーザがアンプゲインの切り替えを行うか否かの入力を行う。アンプゲインの切り替えを行わないことを示す入力操作がされた場合(ステップS1:No)、マイコン25は、ステップS7に処理を進め、予め設定されているアンプゲインの値を読み込み、処理をステップS3に進める。
これに対して、アンプゲインの切り替えを行うことを示す入力操作がされた場合(ステップS1:Yes)、マイコン25は、ステップS2でユーザから入力されるアンプゲインの値を取得し、ステップS3に処理を進める。
ステップS3では、マイコン25が、ユーザから、電力増幅装置1の出力抵抗Zoの切り替えを指示する入力操作がなされたか否かを判別する。電力増幅装置1の出力抵抗Zoの切り替えを指示する入力操作を検出しない場合(ステップS3:No)、マイコン25は、ステップS8において、予め設定されている出力抵抗Zoの値を読み込み、処理をステップS5に進める。
これに対して、電力増幅装置1の出力抵抗Zoの切り替えを指示する入力操作を検出した場合(ステップS3:Yes)、マイコン25は、ステップS4において、ユーザから入力された出力抵抗Zoの値を取得し、処理をステップS5に進める。
ステップS5では、マイコン25が、アンプゲインおよび出力抵抗Zoを用いて、電圧帰還量β0および電流帰還量β1を算出する。そして、ステップS6において、マイコン25は、算出した電圧帰還量β0を図14に示すように電圧帰還回路8に設定すると共に、算出した電流帰還量β1を、電流帰還回路9に設定する。
これにより、電圧帰還回路8に対する電圧帰還量β0、および、電流帰還回路9に対する電流帰還量β1の設定を、それぞれ自動で行うことができる他、上述の各実施の形態と同じ効果を得ることができる。
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態となる電力増幅装置の説明をする。上述の第4の実施の形態では、マイコン25が、当該マイコン25が設けられている電力増幅装置1に対して電圧帰還量β0および電流帰還量β1を自動的に設定するものであった。これに対して、第5の実施の形態の電力増幅装置は、並列接続された電力増幅装置1にそれぞれ設けられているマイコン同士で通信を行う。そして、各マイコンが、良好な並列動作および良好なオーディオ性能を可能とする電圧帰還量β0および電流帰還量β1を、当該マイコンが設けられている各電力増幅装置1に対して、それぞれ自動的に設定するようにしたものである。以下、このような差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
図16は、第5の実施の形態の電力増幅装置1の等価回路図である。この図16に示すように、第5の実施の形態の電力増幅装置1の場合、並列接続された各電力増幅装置1にそれぞれ設けられているマイコン25a、マイコン25bが、自機の電圧帰還量β0を検出して、並列接続されている他の電力増幅装置1のマイコンに通知する。各電力増幅装置1のマイコン25a、マイコン25bは、自機の電圧帰還量β0と他の電力増幅装置1から通知された電圧帰還量β0とを比較する。各電力増幅装置1のマイコン25a、マイコン25bは、比較結果を通信し合うことで、演算に用いる電圧帰還量β0を決定する。そして、各電力増幅装置1のマイコン25a、マイコン25bは、決定した電圧帰還量β0および自機となる電力増幅装置1の出力抵抗Zoを用いて電流帰還量β1を算出し、電流帰還量β1および電圧帰還量β0の自動設定を行う。
図17のフローチャートは、第5の実施の形態の電力増幅装置1における、電流帰還量β1および電圧帰還量β0の自動設定動作の流れを示している。この図17のフローチャートのステップS11では、各電力増幅装置1のマイコン25a、マイコン25bが、それぞれ自機となる電力増幅装置1の現在の電圧帰還量β0および電流帰還量β1を検出する。そして、マイコン25aが自機の電力増幅装置1の電圧帰還量β0をマイコン25bに送信し、マイコン25bが自機の電力増幅装置1の電圧帰還量β0をマイコン26aに送信し、処理がステップS12に進む。
ステップS12では、マイコン25a、マイコン25bが、自機の電圧帰還量β0と、通信で取得した他の電力増幅装置1の電圧帰還量β0とを比較する。そして、比較結果が例えば0.5以上で2以下か否かを判別する(0.5≦β0(A)/β0(B)≦2)。なお、β0(A)は自機の電圧帰還量である。また、β0(B)は、通信で取得した他の電力増幅装置1の電圧帰還量である。
各電圧帰還量β0の比が0.5以上で2以下ではないということは、各電圧帰還量β0の比が所定以上であることを意味する。この場合(ステップS12:No)、マイコン25a、マイコン25bは、ステップS18に処理を進め、各電圧帰還量β0の中間の値を、自機に設定する電圧帰還量β0として決定する((β0(A)+β0(B))/2=設定するβ0)。
これに対して、各電圧帰還量β0の比が0.5以上で2以下である場合(ステップS12:Yes)、マイコン25a、マイコン25bは、ステップS13に処理を進める。ステップS13では、マイコン25a、マイコン25bが、他の電力増幅装置1の電圧帰還量β0よりも、自機の電圧帰還量β0の方が大きいか否かを判別する(β0(A)>β0(B))。
他の電力増幅装置1の電圧帰還量β0よりも、自機の電圧帰還量β0の方が大きいものと判別した場合(ステップS13:Yes)、マイコン25a、マイコン25bは、ステップS14およびステップS15において、自機の電圧帰還量β0を、自機に設定する電圧帰還量β0として決定する。これに対して、他の電力増幅装置1の電圧帰還量β0よりも、自機の電圧帰還量β0の方が小さいものと判別した場合(ステップS13:No)、マイコン25a、マイコン25bは、ステップS19およびステップS15において、通信により取得した他の電力増幅装置1の電圧帰還量β0を、自機に設定する電圧帰還量β0として決定する。すなわち、マイコン25a、マイコン25bは、大きい方の電圧帰還量β0を採用する。これは、電圧帰還量β0の値が大きい方が、音質が向上するためのである。
次に、マイコン25a、マイコン25bは、ステップS16において、自機に設定されている出力抵抗Zoおよび決定した電圧帰還量β0を用いて、上述のように電流帰還量β1を算出する。そして、ステップS17において、マイコン25a、マイコン25bは、決定した電圧帰還量β0を自機の電圧帰還回路8に設定すると共に、算出した電流帰還量β1を自機の電流帰還回路9に設定して、図17のフローチャートの処理を終了する。これにより、並列接続された各電力増幅装置1同士が通信により、自動的に電流帰還量β1および電圧帰還量β0を決定して自機に設定できる他、上述の各実施の形態と同じ効果を得ることができる。
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態となる電力増幅装置の説明をする。上述の各実施の形態の電力増幅装置において、負荷12が変動することで負荷抵抗が小さくなった場合、電力増幅装置から負荷12に流れる電流量が変化し、良好な並列動作およびオーディオ特性に支障をきたすおそれがある。このため、第6の実施の形態の電力増幅装置1は、負荷抵抗が小さくなり、出力電流が閾値電流以上となった際に、電流帰還量を多くするように電流帰還回路を制御し、負荷12に流れる電流量を抑制するようにしたものである。以下、このような差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
図18は、第6の実施の形態の電力増幅装置のブロック図である。この図18に示すように、第6の実施の形態の電力増幅装置の場合、電流帰還量β1の切り替え機能を備えた可変電流帰還回路30を有している。可変電流帰還回路30は、LPF6の後段で、電流検出回路7により検出された音声信号の現在の電流量に応じて、電流帰還量β1(電流帰還量小)←→電流帰還量β2(電流帰還量大)の間で電流帰還量の切り替えを行う。
なお、以下、電流帰還量の切り替えは、電流帰還量β1および電流帰還量β2の間で、2段階の切り替えを行うこととして説明を進める。しかし、電流帰還量の切り替えは、3段階以上で行っても良いし、アナログ的な無段階の切り替えを行ってもよい。また、LPF6の後段に電流検出回路7を設けることとしたが、図19に示すように、出力端子11bと設置との間に電流検出回路7を設けてもよい。いずれの場合も、後述と同様の効果を得ることができる。
このような第6の実施の形態の電力増幅装置の原理を説明する。図20は、電力増幅装置1の出力電流Ioと出力電圧Voとの関係を示す図である。電力増幅装置に接続されている負荷12の負荷抵抗が変動して小さくなった場合、図20に示す電流帰還量β1/電圧帰還量β0の傾きのままでは、出力電流Io1が大きくなり(Io1→Io1(大))、良好な並列動作およびオーディオ特性に支障をきたすおそれがある。
このため、可変電流帰還回路30は、電流帰還制御を行っている間、電流検出回路7で検出される現在の出力電流値と、所定の閾値(閾値電流)とを比較する。そして、負荷抵抗が小さくなり、出力電流Ioが増えることで、出力電流Ioの電流量が閾値(閾値電流)以上となった場合、電流帰還量β1(電流帰還量小)から電流帰還量β2(電流帰還量大)に、電流帰還量の切り替えを行う。これにより、図20に示すように、負荷12側に流れる量が多くなった出力電流Io(大)を、出力電流Io2の電流量に抑制することができる。これにより、負荷抵抗が変動して小さくなった場合に、出力電流Io1が大きくなり、良好な並列動作およびオーディオ特性に支障をきたす不都合を防止することができる他、上述の各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、このような電流抑制制御を行うことで、出力電流Ioの電流量が閾値(閾値電流)未満となった場合、可変電流帰還回路30は、電流帰還量β2(電流帰還量大)から電流帰還量β1(電流帰還量小)に、電流帰還量を戻す。
可変電流帰還回路30の電流帰還量β1(電流帰還量小)および電流帰還量β2(電流帰還量大)は、以下のように導出する。まず、電力増幅装置のアンプゲインの仕様(27dB:図6参照)、および、ループゲイン(音質改善)から電圧帰還量β0を算出する。この例の場合、図7を用いて説明したように、電圧帰還量β0=0.045となる。
次に、算出した電圧帰還量β0、電力増幅装置の出力電圧のバラツキによる並列動作時の各電力増幅装置間の循環電流、および、ゲイン変動幅から、電流帰還量β1(電流帰還量小)の限られた範囲を検出する。そして、算出した電圧帰還量β0と、必要なアンプゲインの降下量から、電流帰還量β2(電流帰還量大)を導出する。
このように導出した電流帰還量β1および電流帰還量β2の一例を図21に示す。図21は、電力増幅装置1のアンプゲインと出力電流との関係(アンプゲインの出力電流に対する依存性)を示す図である。この例の場合、図6を用いて説明したように最大出力パワーは90W/4Ω、電圧帰還量β0=0.045、電流帰還量β1(電流帰還量小)=1.4、電流帰還量β2(電流帰還量大)=17となっている。
この例の場合、図21に示すように、出力電流の最大電流量は、4.75Aとなり、0A〜4.75Aの範囲が出力電流の許容可能な変動範囲(出力電流変動範囲)となる。可変電流帰還回路30の、上述の閾値電量は、4.75Aに設定されている。
なお、出力電流が0A〜1.0Aの範囲は、電圧帰還量β0の効果が優勢となる電圧帰還領域であることを示している。また、出力電流が1.0A以上の範囲は、電流帰還量β1(及び電流帰還量β2)の効果が優勢となる電流帰還領域であることを示している。そして、電流帰還領域のうち、出力電流が1.0A以上が、過負荷領域であることを示している。
このように電流帰還量回路30の電流帰還量β1(電流帰還量小)を1.4、電流帰還量β2(電流帰還量大)を17に設定した場合において、出力電流Ioが例えば6Aになると(4.75Aの電流閾値以上となると)、可変電流帰還回路30は、電流帰還量β1から電流帰還量β2へ、電流帰還量の切り替えを行う。これにより、この例の場合、図22に示すように、電力増幅装置のアンプゲインの降下量を10dB降下させ、出力電流量を抑制することができる。従って、第6の実施の形態の電力増幅装置は、スピーカ装置または回線の短絡等により、負荷抵抗が下がったとしても、負荷に流れる電流量を自動的に抑制することができ、良好な並列動作およびオーディオ特性に支障をきたす不都合を防止することができる他、上述の各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、第6の実施の形態の電力増幅装置は、閾値電流以上の電流が負荷に流れる場合、可変電流帰還回路30により、自動的に電流量を抑制するため、音声歪等が生ずる不都合を防止できる。また、電力増幅装置の出力に対して、直列にパワーFETを挿入しなくてもよいため、一切の無駄な発熱を防止できる。
また、ハイインピーダンス回線での回線短絡(例えば2Ω〜6Ω)の負荷、および、不完全負荷短絡(例えば6Ω以上)の両方に対応できる。また、ローインピーダンス回線の場合は、回線短絡(例えば1Ω〜3Ω)の負荷、および、不完全負荷短絡(例えば12Ω以上)の両方に対応できる。いずれの場合にも、短絡電流から計算して、電流帰還量を可変(β1→β2)させることで実現する。
すなわち、第6の実施の形態の電力増幅装置は、様々な負荷短絡に対しても簡単な回路で対応でき、無駄な発熱もない。また、出力電流を制御中でも、音声信号の歪を抑え、音声を明瞭にスピーカ装置に伝達することができる。また、電流帰還量も自由に設定できるため、製品のジャンル、使用環境、使用場所にかかわらず、最適化することができる。
また、一方のチャンネルに正相で音声信号を入力し、他方のチャンネルに逆相で音声信号を入力し、それぞれの出力の+同士をスピーカ装置に接続することで、ステレオアンプの2つの出力をブリッジ接続してモノラルアンプとして使用するBTL接続にも適用可能である。
なお、第6の実施の形態の電力増幅装置において、電流帰還量β1と電流帰還量β2とを切り替えることとした。しかし、電流帰還量β1と電流帰還量β2の電流帰還ループを別々に持たせても良い。この場合、電流帰還量β1→電流帰還量β1と電流帰還量β2の重畳動作となる(重畳動作:β1+β2)。
上述の各実施の形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な各実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。例えば、上述の各実施の形態の電力増幅装置1は、いわゆるデジタルアンプに本発明を適用した例であったが、本発明は、アナログアンプに適用してもよい。この場合でも、上述と同じ効果を得ることができる。また、本発明は、ハイインピーダンス出力アンプ、または、ローインピーダンス出力アンプのいずれにも適用してもよい。さらに、本発明は、モータ駆動制御アンプの並列動作にも適用してもよい。各実施の形態および各実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 電力増幅装置
2 入力端子
3 オペアンプ回路
4 PWM変調回路
5 電圧増幅回路
6 ローパスフィルタ(LPF)
6R コイル
6C コンデンサ
7 電流検出回路
8 電圧帰還回路
9 電流帰還回路
10 加算器
11a 出力端子
11b 出力端子
12 負荷
15 内部抵抗
20 フィルタ
25 マイクロコンピュータ(マイコン:CPU)
25a マイクロコンピュータ(マイコン:CPU)
25b マイクロコンピュータ(マイコン:CPU)
30 可変電流帰還回路

Claims (7)

  1. 入力信号を増幅して負荷に供給する増幅部と、
    前記増幅部の出力段に設けられ、前記増幅部から出力される出力信号の電流を検出する電流検出回路と、
    所定の帰還量で、検出された前記電流を帰還する電流帰還回路と、
    所定の帰還量で、前記出力信号の電圧を帰還する電圧帰還回路と、
    帰還された前記電流および帰還された前記電圧を用いて前記入力信号を調整する調整部と
    を有し、
    前記電流帰還回路の帰還量、および、前記電圧帰還回路の帰還量は、当該電力増幅装置と他の電力増幅装置を並列接続した際に、各電力増幅装置の間の出力電圧のバラツキを吸収する帰還量にそれぞれ調整されていること
    を特徴とする電力増幅装置。
  2. 前記入力信号をデジタル変調して、前記増幅部に供給する変調回路と、
    出力信号をデジタル復調して出力する復調回路と
    を有することを特徴とする請求項1に記載の電力増幅装置。
  3. 前記電流検出回路は、前記出力信号の出力端子と、接地との間のラインに設けられていること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力増幅装置。
  4. 前記電流検出回路で検出された電流の検出出力に重畳しているノイズを除去するフィルタを有すること
    を特徴とする請求項2または請求項3に記載の電力増幅装置。
  5. 入力された当該電力増幅装置のアンプゲインから前記電圧の帰還量を最適化して前記電圧帰還回路に設定すると共に、最適化した前記電圧の帰還量から、当該電力増幅装置の出力抵抗に対応する前記電流の帰還量を最適化して前記電流帰還回路に設定する制御部と
    を有することを特徴とする請求項1〜請求項のうち、いずれか一項に記載の電力増幅装置。
  6. 前記制御部は、並列接続された他の電力増幅装置に設けられている制御部と通信を行うことで、最適化された前記電圧の帰還量を決定して前記電圧帰還回路に設定すると共に、最適化された前記電流の帰還量を決定して前記電流帰還回路に設定すること
    を特徴とする請求項に記載の電力増幅装置。
  7. 増幅部が、入力信号を増幅して負荷に供給する増幅ステップと、
    前記増幅部の出力段に設けられた電流検出回路が、前記増幅部から出力される出力信号の電流を検出する電流検出ステップと、
    電流帰還回路が、所定の帰還量で、検出された前記電流を帰還する電流帰還ステップと、
    電圧帰還回路が、所定の帰還量で、前記出力信号の電圧を帰還する電圧帰還ステップと、
    調整部が、帰還された前記電流および帰還された前記電圧を用いて前記入力信号を調整する調整ステップと
    を有し、
    前記電流帰還ステップの帰還量、および、前記電圧帰還ステップの帰還量は、当該電力増幅装置と他の電力増幅装置を並列接続した際に、各電力増幅装置の間の出力電圧のバラツキを吸収する帰還量にそれぞれ調整されていること
    を特徴とする電力増幅方法。
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