JP6269363B2 - 電磁接触器 - Google Patents
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特許文献1に記載された電磁接触器は、一対の固定接触子及びこれら一対の固定接触子に接離可能な可動接触子を有する接点機構と、この接点機構を駆動する電磁石ユニットとを備えている。電磁石ユニットは、接点機構の可動接触子に連結軸で連結された可動プランジャと、励磁することにより電磁石ユニットで励磁力を発生させて可動プランジャを駆動する励磁コイルとを備えている。
そして、密封容器を形成する収容室内において、接点機構を収容する接点機構収容空間と可動プランジャを収容する可動プランジャ収容空間とは、連結軸を挿通した仕切り部材によって仕切られている。
従って、本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、可動プランジャ収容空間において、可動プランジャの周鍔部を収容する周鍔部収容空間と可動プランジャの円筒部の下側に形成される下側空間との間の圧力差を解消することにより、釈放動作及び投入動作の際に、可動プランジャ及び可動接触子の円滑な動作を可能とした電磁接触器を提供することにある。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る電磁接触器は、図1乃至図4に示されており、電磁接触器1は、接点機構2と、接点機構2を駆動する電磁石ユニット3と、接点機構2、後述する連結軸37及び可動プランジャ35を収容する密封された収容室4とを備えている。
接点機構2は、収容室4を構成する接点機構収容ケース5内に収容されており、この接点機構収容ケース5は、金属製の角筒体6と、この角筒体6の上端を閉塞する平板状のセラミック製の絶縁基板7とを備えている。角筒体6は、下端部に外方に突出するフランジ部6aを有し、そのフランジ部6aが収容室4を構成する後述の磁気ヨーク8の上面にシール接合されている。絶縁基板7には、一対の貫通孔7a、7bが所定間隔をあけて形成されている。絶縁基板7の上面における貫通孔7a、7bの周囲及び絶縁基板7の下面における角筒体6が接触する位置には、メタライズ処理が施されている。
ここで、第1固定接触子23は、導電体金属部からなる側面視C字形状の導電板であり、絶縁基板7の下面に沿って外側に延長する上板部23aと、上板部23aの外側端部から下方に延長する中間板部23bと、中間板部23bの下端部から上板部23aと平行に内側に延長する下板部23cとを備えている。下板部23cは、可動接触子25の下方に延び、その上面に可動接触子25の第1接点部が接触する第1接点部23dを備えている。
第1固定接触子23及び第2固定接触子24のそれぞれは、それぞれの下端面に突出形成されたピンを第1導体部21及び第2導体部22のそれぞれに固定することにより、第1導体部21及び第2導体部22のそれぞれに固定されている。ピンの第1導体部21、第2導体部22への固定方法としては、ろう付け、螺合等があげられる。
更に、第1固定接触子23には、アークの発生を規制する合成樹脂製の絶縁カバー26が装着され、第2固定接触子24にも、アークの発生を規制する合成樹脂製の絶縁カバー27が装着されている。これにより、第1固定接触子23の内周面では下板部23cの上面側の第1接点部23dのみが露出される。また、第2固定接触子24の内周面では下板部24cの上面側の第2接点部24dのみが露出される。
連結軸37の上下方向略中央部には、フランジ部37aが外方に向けて突出形成されている。可動接触子25は、その貫通孔を連結軸37の上方から挿通してフランジ部37a上に載置される。そして、連結軸37の上方から接触スプリング39を挿通し、固定部材38を連結軸37の上方から連結軸37に挿通し、接触スプリング39で所定の付勢力を得るように接触スプリング39の上端を固定部材38によって止める。
また、接点機構収容ケース5の角筒体6の内周面には、図1に示すように、有底角筒状に形成された絶縁筒部14が配設されている。この絶縁筒部14は、図1及び図4に示すように、中央部に連結軸37の挿通用孔14eを有する平板部14aと、平板部14aの可動接触子25が延びる方向の両端縁から下方に延びる一対の下方延出部14bと、各下方延出部14bの下端から外方に延びる一対の底壁部14cと、平板部14a、一対の下方延出部14b、及び一対の底壁部14cの周囲を囲むように上方に延びる周壁部14dとを備えている。絶縁筒部14は、絶縁性の例えば合成樹脂を成形することによって形成される。この絶縁筒部14は、金属製の角筒体6に対するアークの影響を遮断する絶縁機能を有する。
スプール33は、図1に示すように、固定プランジャ32を挿通する中央円筒部33aと、中央円筒部33aの下端部から半径方向外側に突出する下フランジ部33bと、中央円筒部33aの上端部から半径方向外側に突出する上フランジ部33cとを備えている。そして、図1乃至図3に示すように、スプール33の中央円筒部33a、下フランジ部33b、及び上フランジ部33cで構成される収納空間に励磁コイル34が巻装されている。
また、スプール33の中央円筒部33a内に配置された固定プランジャ32の上部には、有底筒状に形成されたキャップ9が配置され、このキャップ9の開放端に設けられた半径方向外側に突出するフランジ部9aが、磁気ヨーク8の下面にシール接合されている。これにより、接点機構収容ケース5及びキャップ9が磁気ヨーク8の可動プランジャ貫通孔8a介して連通される密封した容器(収容室4)が形成されている。
可動プランジャ35の円筒部35aには、その下端面から上方に延びる復帰スプリング収容凹部35bが形成されている。キャップ9の底部と復帰スプリング収容凹部35bの上端面との間には、可動プランジャ35を上方に付勢する復帰スプリング36が配設されている。
そして、永久磁石11の上面には、永久磁石11と同一外形で可動プランジャ35の周鍔部35cよりも小さい内径の貫通孔12aを有する補助ヨーク12が固定されている。連結軸37は、貫通孔12aを上下方向に挿通している。
そして、この収容室4は、図1に示すように、連結軸37を挿通した仕切り部材10によって接点機構2を収容する接点機構収容空間Aと可動プランジャ35を収容する可動プランジャ収容空間Bとを仕切るよう構成されている。
このように、接点機構収容空間Aと周鍔部収容空間B1と下側空間B2とが独立していると、接点機構収容空間Aと周鍔部収容空間B1の内部圧力と下側空間B2の内部圧力との間に差が生じ、可動プランジャ35及び可動接触子25の釈放動作及び投入動作の際に、可動プランジャ35の動きが重く、可動プランジャ35及び可動接触子25が円滑に動作しないことがある。
また、第2連通部40は、可動プランジャ35の円筒部35aの外側面に周鍔部収容空間B1と下側空間B2とを連通させるように直線状に延びる複数のスリット35dで構成されている。これにより、円筒部35aに簡単なスリット35dを形成することで、周鍔部収容空間B1の内部圧力と下側空間B2の内部圧力とを均一化することができる。
これにより、接点機構収容空間A内における絶縁筒部14を挟む接点機構2側の接点機構収容空間Aと仕切り部材10側の接点機構収容空間Aとは筒部連通部14fのみならず、筒部貫通孔14gを介しても連通し、接点機構2側の接点機構収容空間A内の内部圧力及び仕切り部材10側の接点機構収容空間A内の内部圧力を均一にすることができる。
なお、絶縁筒部14は必ずしも設ける必要はなく、絶縁筒部14を設けない場合、第1連通部15は、絶縁筒部14のない接点機構収容空間Aと周鍔部収容空間B1とを連通させることになる。
今、第1固定接触子23に接続された第1導体部21が例えば大電流を供給する電力供給源に接続され、第2固定接触子24に接続された第2導体部22が負荷装置に接続されているものとする。
この状態で、電磁石ユニット3における励磁コイル34が非励磁状態にあって、電磁石ユニット3で可動プランジャ35を下降させる励磁力を発生していない釈放状態にあるものとする。
このため、可動プランジャ35に連結軸37を介して連結されている接点機構2の可動接触子25の第1接点部及び第2接点部が、第1固定接触子23の第1接点部23d、第2固定接触子24の第2接点部24dに対して上方に所定距離だけ離間している。このため、第1固定接触子23及び第2固定接触子24の間の電流路が遮断状態にあり、接点機構2が開極状態となっている。
この釈放状態から、電磁石ユニット3の励磁コイル34に通電すると、この電磁石ユニット3で励磁力が発生し、可動プランジャ35を復帰スプリング36の付勢力及び永久磁石11の吸引力に抗して下方に押し下げる。この可動プランジャ35の下降が、周鍔部35cの下面が磁気ヨーク8の上面に当たることで停止する。
このため、電力供給源の大電流が、第1固定接触子23、可動接触子25、第2固定接触子24を通じて負荷装置に供給される閉極状態となる。
そして、接点機構2の閉極状態から、負荷装置への電流供給を遮断する場合には、電磁石ユニット3の励磁コイル34への通電を停止する。
励磁コイル34への通電を停止すると、電磁石ユニット3で可動プランジャ35を下方に移動させる励磁力がなくなることにより、可動プランジャ35が復帰スプリング36の付勢力によって上昇し、周鍔部35cが補助ヨーク12に近づくに従って永久磁石11の吸引力が増加する。
このような開極開始状態となると、可動接触子25の第1接点部及び第2接点部と、第1固定接触子23の第1接点部23d及び第2固定接触子24の第2接点部24dとの間にアークが発生し、アークによって電流の通電状態が継続されることになる。
また、この釈放動作の際に、接点機構収容空間Aの内部圧力が高くなることによって可動接触子25が周鍔部周空間B1側(下方側)へ押し戻されることはなく、可動プランジャ35及び可動接触子25の動作を安定的に行なうことができる。
そして、可動プランジャ35の釈放動作が終了すると、可動プランジャ35の周鍔部35cの上面が補助ヨーク12の下面に接触し、開極終了となる。
次に、本発明の第2実施形態に係る電磁接触器を図5及び図6を参照して説明する。図5及び図6において、図1乃至図4に示す部材と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
第2実施形態の電磁接触器は、図5及び図6に示されており、この電磁接触器1は、第1実施形態の電磁接触器1と基本構成は同様であり、接点機構2と、接点機構2を駆動する電磁石ユニット3と、接点機構2、連結軸37及び可動プランジャ35を収容する密封された収容室4とを備えている。
そして、この収容室4は、第1実施形態の電磁接触器1と同様に、図5に示すように、連結軸37を挿通した仕切り部材10によって接点機構2を収容する接点機構収容空間Aと可動プランジャ35を収容する可動プランジャ収容空間Bとを仕切るよう構成されている。
このように、周鍔部収容空間B1と下側空間B2とが独立していると、周鍔部収容空間B1の内部圧力と下側空間B2の内部圧力との間に差が生じ、可動プランジャ35及び可動接触子25の釈放動作及び投入動作の際に、可動プランジャ35の動きが重く、可動プランジャ35及び可動接触子25が円滑に動作しないことがある。
また、第3連通部41は、連結軸37の上端から下端に貫通するように形成された、接点機構2側の接点機構収容空間Aと下側空間B2とを連通させる貫通孔で構成されている。これにより、接点機構2側の接点機構収容空間Aの内部圧力と下側空間B2の内部圧力とを均一化することができる。
これにより、接点機構収容空間A内における絶縁筒部14を挟む接点機構2側の接点機構収容空間Aと仕切り部材10側の接点機構収容空間Aとは筒部連通部14fのみならず、筒部貫通孔14gを介しても連通し、接点機構2側の接点機構収容空間A内の内部圧力及び仕切り部材10側の接点機構収容空間A内の内部圧力を均一にすることができる。
なお、第2実施形態の電磁接触器1において、第1実施形態の電磁接触器1のように、可動プランジャ35の円筒部35aの外周面に、周鍔部収容空間B1と下側空間B2とを連通させる第2連通部40を形成してもよい。
以上のように、第1実施形態に係る電磁接触器1においては、一対の固定接触子23、24及びこれら一対の固定接触子23、24に接離可能な可動接触子25を有する接点機構2と、可動接触子25に連結軸37で連結された可動プランジャ35を有する、接点機構2を駆動する電磁石ユニット3と、接点機構2、連結軸37及び可動プランジャ35を収容する密封された収容室4とを備えている。そして、収容室4は、連結軸37を挿通した仕切り部材10によって接点機構2を収容する接点機構収容空間Aと可動プランジャ35を収容する可動プランジャ収容空間Bとを仕切るよう構成されている。そして、可動プランジャ収容空間Bにおいて、可動プランジャ35の周鍔部35cを収容する周鍔部収容空間B1と可動プランジャ35の円筒部35aの下側に形成される下側空間B2とが形成され、仕切り部材10に接点機構収容空間Aと周鍔部収容空間B1とを連通させる第1連通部15を設けるとともに、可動プランジャ35の円筒部35aに周鍔部収容空間B1と下側空間B2とを連通させる第2連通部40を設けている。
また、第1実施形態の電磁接触器1においては、第2連通部40は、円筒部35aの側面に形成された、周鍔部収容空間B1と下側空間B2とを連通させるスリット35dで構成されている。これにより、円筒部35aに簡単なスリット35dを形成することで、周鍔部収容空間B1の内部圧力と下側空間B2の内部圧力とを均一化することができる。
また、第2実施形態に係る電磁接触器1において、第3連通部41は、連結軸37に形成された、接点機構収容空間Aと下側空間B2とを連通させる貫通孔で構成されている。これにより、連結軸37に簡単な貫通孔を形成することで、周鍔部収容空間B1の内部圧力と下側空間B2の内部圧力とを均一化することができる。
例えば、収容室4は、一対の固定接触子23、24及び可動接触子25を有する接点機構2、連結軸37及び可動プランジャ35を収容できる密閉構造のものであれば、磁気ヨーク8と、接点機構収容ケース5と、キャップ9とで構成する必要は必ずしもない。
また、仕切り部材10は、収容室4を接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとを仕切るよう構成されているものであれば、永久磁石11と、補助ヨーク12と、異物侵入防止部材13とで構成する必要は必ずしもない。
更に、第1連通部15は、接点機構収容空間Aと周鍔部収容空間B1とを連通させるように仕切り部材10に形成すればよく、仕切り部材10を、永久磁石11、補助ヨーク12、異物侵入防止部材13とで構成した場合には、その形成場所は、永久磁石11、補助ヨーク12、異物侵入防止部材13のいずれであってもよい。また、連通部は、永久磁石11、補助ヨーク12、異物侵入防止部材13のうち任意の組合せの部材に形成してもよい。
また、第1連通部15は、接点機構収容空間Aと周鍔部収容空間B1とを連通させるものであれば、その形状は任意である。
また、第1連通部15の数も任意である。
また、第2連通部40は、周鍔部収容空間B1と下側空間B2とを連通させるものであれば、その形状は問わず、円筒部35aの外側面に形成された、周鍔部収容空間B1と下側空間B2とを連通させるスリット35dで形成される場合のみならず、例えば、可動プランジャ35を上下方向に貫通する貫通孔であってもよい。
また、第3連通部41は、接点機構収容空間Aと下側空間B2とを連通させるものであれば、その形状は問わず、連結軸37に上下方向に貫通するように形成された、接点機構収容空間Aと下側空間B2とを連通させる貫通孔で形成される場合のみならず、例えば、連結軸37の外側面に形成されたスリットであってもよい。
2 接点機構
3 電磁石ユニット
4 収容室
10 仕切り部材
15 第1連通部
23 第1固定接触子(固定接触子)
24 第2固定接触子(固定接触子)
25 可動接触子
35 可動プランジャ
35a 円筒部
35b 周鍔部
35d スリット(第2連通部)
37 連結軸
40 第2連通部
41 第3連通部
A 接点機構収容空間
B 可動プランジャ収容空間
B1 周鍔部収容空間
B2 下側空間
Claims (4)
- 一対の固定接触子及びこれら一対の固定接触子に接離可能な可動接触子を有する接点機構と、
前記可動接触子に連結軸で連結された可動プランジャを有する、前記接点機構を駆動する電磁石ユニットと、
前記接点機構、前記連結軸及び前記可動プランジャを収容する密封された収容室とを備え、
前記収容室は、前記連結軸を挿通した仕切り部材によって前記接点機構を収容する接点機構収容空間と前記可動プランジャを収容する可動プランジャ収容空間とを仕切るよう構成され、
前記可動プランジャ収容空間において、前記可動プランジャの周鍔部を収容する周鍔部収容空間と前記可動プランジャの円筒部の下側に形成される下側空間とが形成され、
前記仕切り部材に前記接点機構収容空間と前記周鍔部収容空間とを連通させる第1連通部を設けるとともに、前記収容室又は前記円筒部に前記周鍔部収容空間と前記下側空間とを連通させる第2連通部を設けることを特徴とする電磁接触器。 - 前記第2連通部は、前記円筒部の側面に形成された、前記周鍔部収容空間と前記下側空間とを連通させるスリットで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁接触器。
- 一対の固定接触子及びこれら一対の固定接触子に接離可能な可動接触子を有する接点機構と、
前記可動接触子に連結軸で連結された可動プランジャを有する、前記接点機構を駆動する電磁石ユニットと、
前記接点機構、前記連結軸及び前記可動プランジャを収容する密封された収容室とを備え、
前記収容室は、前記連結軸を挿通した仕切り部材によって前記接点機構を収容する接点機構収容空間と前記可動プランジャを収容する可動プランジャ収容空間とを仕切るよう構成され、
前記可動プランジャ収容空間において、前記可動プランジャの周鍔部を収容する周鍔部収容空間と前記可動プランジャの円筒部の下側に形成される下側空間とが形成され、
前記仕切り部材に前記接点機構収容空間と前記周鍔部収容空間とを連通させる第1連通部を設けるとともに、前記連結軸に前記接点機構収容空間と前記下側空間とを連通させる第3連通部を設けることを特徴とする電磁接触器。 - 前記第3連通部は、前記連結軸に形成された、前記接点機構収容空間と前記下側空間とを連通させる貫通孔で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の電磁接触器。
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