JP6268754B2 - 直動案内装置 - Google Patents
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Description
この転動体通過振動は、予圧や外部荷重によって負荷を受けながらスライダの負荷転動溝を転動している転動体が、負荷圏から非負荷圏に出る際に負荷が開放されること、また反対に、非負荷圏から負荷圏に進入する際に新たに負荷を負うことにより現れる。
また、転動溝の条数を増やすことで、ボール1個当たりに対する荷重も低下させることができるため、転動体通過振動もさらに低減するとしている。
また、特許文献2及び特許文献3に記載された直動案内装置では、転動体としてボールのみを用いているため、直動案内装置の負荷容量が小さく、大荷重に耐え得ないことがある。
そこで、本発明は上記の問題点に着目してなされたものであり、その目的は、従来の直動案内装置と比較して、直動案内装置の負荷容量を増加させることができ、且つ転動体通過振動を低減させることができる直動案内装置を提供することにある。
上記レール側第1転動体軌道面に対向する少なくとも2列のスライダ側第1転動体軌道面と、上記スライダ第1転動体軌道面間に上記レール側第2転動体軌道面と対向して設けられたスライダ側第2転動体軌道面とを有して上記案内レールに相対移動可能に跨架されたスライダと、
上記レール側第1転動体軌道面と上記スライダ側第1転動体軌道面とによって構成された少なくとも2列の第1軌道内、及び上記レール側第2転動体軌道面と上記スライダ側第2転動体軌道面とによって構成された第2軌道の少なくとも何れかに装填された複数の第1転動体と、
第2軌道に装填された少なくとも1つの第2転動体とを有する。
第1軌道及び第2軌道にそれぞれ装填された上記ボールが、当該各ボールの中心点が上記長手方向に直交する面において同一直線上又は同一円弧状に位置するように設けられ、
隣接する第1軌道又は第2軌道に挿入された上記ボールが、上記長手方向に沿って千鳥状に配列されてもよい。
また、上記直動案内装置においては、第1転動体がボールであり、第2転動体がころであり、
このような直動案内装置であれば、少なくとも1つのころを第1軌道(転動体転動路)間に差し渡して設けているので、スライダを案内レールに相対移動させた際に転動体(例えば、ボール、ころ)の位相が少なくとも2列の間でずれる可能性を低減することができる。よって、従来技術に係る直動案内装置と比較して、転動体通過振動を低減させることができる。
また、上記直動案内装置は、上記転動体の径をdとしたとき、隣接する上記負荷転動路に挿入された上記転動体間のピッチaが下記式(1)を満たしてもよい。
dcos45°<a≦d・・・・・・・・・・・・・・・・式(1)
また、上記の直動案内装置において、上記レール側ころ軌道面、上記スライダ側ころ軌道面、及び上記ころの少なくとも一つにクラウニングを設けたこととしてもよい。
このような直動案内装置であれば、レール側ころ軌道面、スライダ側ころ軌道面、及びころの少なくとも一つにクラウニングを設けているので、クラウニングを設けていないころと比べて、ころ転動面ところ軌道面の境界領域で発生する接触応力は小さくなる。よって、クラウニングを設けていない直動案内装置と比較して直動案内装置の耐久性を向上させることができる。
このような直動案内装置であれば、ころの少なくとも1つを転動体間であって転動体に接触させて設けているので、スライダを案内レールに相対移動させた際に転動体の位相がずれるおそれを低減することができる。よって、従来技術に係る直動案内装置と比較して、転動体通過振動をより低減させることができる。
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る直動案内装置100の構造、動作及び効果について、図1〜4を参照しつつ説明する。
図1は本実施形態に係る直動案内装置100の斜視図である。本実施形態に係る直動案内装置100は、図1に示すように直線状に延びた案内レール10と、案内レール10に沿ってその長手方向(軸方向)に移動可能に跨架されたスライダ20と、案内レール10とスライダ20との間に配置された、複数のボール(第1転動体)30(例えば、図2を参照)及び複数のころ(第2転動体)40(例えば、図2を参照)と、を含んで構成されている。以下、上述の各部分の構造について説明する。
案内レール10の構造について図2を用いて説明する。図2は、図1に示されたA−A′線における断面図である。図2に示すように、案内レール10は、平坦な上面11と、上面11の裏面にある平坦な下面12と、左右の側面13とで構成されている。左右の側面13には、図面上側に設けられた第1の凸部14と、第1の凸部14と離れて図面下側に設けられた第2の凸部15とを備えている。ここで、右側面の第1の凸部14の形状と左側面の第1の凸部14の形状とは左右対称である。また、右側面の第2の凸部15の形状と左側面の第2の凸部15の形状も左右対称である。
レール側ボール溝16a、17aの断面形状は、円弧状であり、それらの円弧の曲率は、例えば全て同一である。また、レール側ころ軌道面16b、17bの幅は、例えば全て同じ幅である。
なお、本実施形態では、ボール溝16a、17aが設けられた案内レール10について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ボール溝16a、17aに代えて、ころ軌道面を設けた案内レールであってもよい。
スライダ20は、案内レール10上に長手方向に移動可能に設けられたスライダ本体21と、スライダ本体21の長手方向両端部に取り付けられた一対のエンドキャップ28と、エンドキャップ28のさらに端部に設けられたサイドシール29とを備えている(図1を参照)。
スライダ本体21は、図2に示すように、横断面の形状が略コ字状をなしており、案内レール10上に横断するように延びる胴部22と、胴部22の両端部に設けられた1対の袖部23とを備えている。
両袖部23の内側面23aには、レール側ころ軌道面16b、17bと対向する位置にスライダ側第2転動体軌道面24b、25b(以下、「ころ軌道面」、又は「スライダ側ころ軌道面24b、25b」ともいう。)がそれぞれ設けられている。つまり、図面右側の袖部23の内側面23aには、レール側ころ軌道面16b、17bに対向するスライダ側ころ軌道面24b、25bが合計2列設けられている。同様に、図面左側の袖部23の内側面23aには、レール側ころ軌道面16b、17bに対向するスライダ側ころ軌道面24b、25bが合計2列設けられている。
案内レール10に設けられたレール側ボール溝16a、17aと、これらに対向するスライダ本体21に設けられたスライダ側ボール溝24a、25aとで、ボール転動路31(第1軌道、図4を参照)が構成されている。したがって、本実施形態に係るボール転動路31は、図面右側に4列設けられており、図面左側に4列設けられている。なお、このボール転動路31内を後述するボール30が転動する。
なお、本実施形態では、スライダ本体21に第1の保持器26及び第2の保持器27を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、直動案内装置の負荷容量を増加させるために、スライダ本体21に第1の保持器26及び第2の保持器27を設けなくてもよい。
本実施形態では、転動体としてボール30が用いられている。上述のボール転動路31内には、複数のボール30が転動自在に装填されている。また、上述のころ転動路41内には、複数のころ40が装填されている。そして、ころ40はボール転動路31間に差し渡して設けられている。ここで、「ころ40はボール転動路31間に差し渡して」とは、ころ40を一方のボール転動路31から他方のボール転動路31へ掛け渡すことをいう。ボール30及びころ40の材料としては、SUJ2、SCr420、SAE320、SNCM815、SUS440C、SPCC、S25C等がある。
また、本実施形態では、ころ40にクラウニングを設けるとともに、レール側ころ軌道面16b及びスライダ側ころ軌道面24bにもクラウニングをそれぞれ設ける場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、レール側ころ軌道面16b、スライダ側ころ軌道面24b、ころ40のうち少なくとも1つにクラウニングが設けられていれば良い。この場合であっても、クラウニングを設けていないころと比較して、ころ転動面ところ軌道面の境界領域42(図4、7、8、9、10参照)で発生する接触応力を小さくすることができるため、ころ40または軌道面からの剥離の発生率が少なくなる。よって、直動案内装置の耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態では、案内レール10の側面13にボール溝及びころ軌道面を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、案内レール10の側面13にボール溝及びころ軌道面を設けるととともに、案内レール10の上面11にも例えば2列のボール溝及び1列のころ軌道面を設けてもよい。この場合には、さらに負荷容量を増加させることができる。なお、この場合には、上述の実施形態で説明した第1の保持器を取り外してもよい。
本実施形態に係る直動案内装置では、ボール転動路31間に差し渡されたころ40でボール30を挟んでいる。このため、案内レール10に沿ってスライダ本体21を相対移動させた場合、隣り合うボール転動路31内のボール30は、位相がずれることなく(つまり、位相が揃った状態で)ボール転動路31内を転動する。また、ボール30で荷重を受けつつ、さらにボール転動路31間に差し渡されたころ40でも荷重を受けることができる。
まず、図5を用いて転動体通過振動の発生機構について説明し、その後本実施形態に係る直動案内装置の効果について説明する。
[転動体が軌道面を通過するときの周期的な振動の発生機構]
ここでは、隣り合う2列のボール転動路31を有する直動案内装置を想定する。図5(a)は、従来技術に係る直動案内装置であって、隣り合う2本のボール転動路31には複数のボール30が装填されている状態を模式的に示した図である。この直動案内装置において、2列のボール30の配置がボールの直径dの1/2だけずれた状態を仮定する(図5(b)参照)。このとき、図面上列のボール転動路31にあるボール30の数は、図面下列のボール転動路31にあるボール30の数よりも少なくなっている。直動案内装置に予圧が与えられていて、外部荷重が作用していない場合には、図面上列のボール荷重の総計は図面下列のボール荷重の総計と等しくなる。そのため、図面上列のボール1個当たりの荷重は、図面下列のボール1個当たりの荷重よりも大きくなる。よって、図面上列のボール30は図面下列のボール30よりも大きく変形する。このため、図5(a)の場合(つまり、ボールの位相がずれていない場合)と比較して、スライダ20は下方に移動する。
そして、スライダ20がボール径dの2倍の距離だけ移動すると、ボール30の位置は最初の状態(つまり、図5(a)の状態)と同じになる。
このように、スライダ20がボール径dの2倍の距離移動するごとに、直動案内装置には周期的な振動が現れる。
本実施形態に係る直動案内装置100であれば、ボール転動路31間に差し渡されたころ40でボール30を挟んでいる。このため、案内レール10に沿ってスライダ20を相対移動させた場合、隣り合うボール転動路31に装填されたボール30は、位相がずれることなくボール転動路31内を転動することができる。つまり、図5(b)、(c)に示した、スライダ20の移動に伴うボール配置の変化を抑制することができる。よって、本実施形態に係る直動案内装置100であれば、従来技術に係る直動案内装置と比較して、転動体通過振動を低減することができる。
また、本実施形態に係る直動案内装置100であれば、レール側ころ軌道面16b、17bと、スライダ側ころ軌道面24b、25bと、ころ40と、にそれぞれクラウニングを設けているので、クラウニングを設けていない従来技術に係る直動案内装置と比較して、直動案内装置の耐久性を向上させることができる。
以下、ボール30ところ40の配置関係についての変形例に係る直動案内装置の構造、動作及び効果について、図6を参照しつつ説明する。
<構造・動作>
本変形例に係る直動案内装置の構造は、上述の直動案内装置100の構造と概ね同じであるが、ボール30ところ40の配置関係(配列順)のみが異なっている。そこで、ボール30ところ40の配置関係のみについて説明し、その他の構成については第1の実施形態に係る直動案内装置100と同一であるので説明を省略する。
本変形例に係る直動案内装置であれば、ボール30とボール30との間には少なくとも1つのころ40がボール転動路31間に差し渡して配置されている。このため、案内レール10に沿ってスライダ20を相対移動させた場合、隣り合うボール溝(例えば、ボール溝16a)に装填されたボール30は、位相がずれることなくボール転動路31内を転動することができる。よって、本変形例に係る直動案内装置であっても、従来技術に係る直動案内装置と比較して、転動体通過振動を低減することができる。
上述のように本実施形態では、ころ40には、ころ40の転動方向から見てボール30よりもころ40の端面40a側にのみクラウニングが設けられている場合について説明した。また、ころ軌道面16b、24bには、ころ40側に向かって凸状をなすクラウニングが設けられている場合について説明した(図4を参照)。しかしながら、本実施形態は、これに限定されるものではない。ころ40及びころ軌道面16b、24bの形状は、例えば、図7〜10に示すような形状であってもよい。以下、本実施形態の変形例1〜4を図7〜10を参照しつつ説明する。
図8は、ころ40及びころ軌道面16b、24bの形状についての第2の変形例を示す図である。本変形例において、ころ40は、第1の変形例で説明したころと同一形状のころである。そして、ころ軌道面16b、24bは、平坦な面である。
図10は、ころ40及びころ軌道面16b、24bの形状についての第4の変形例を示す図である。本変形例において、ころ40は、図4に示したころと同一形状のころである。そして、ころ軌道面16b、24bは、第2の変形例と同様な平坦な面である。
上記変形例に係る直動案内装置であっても、上述した第1の実施形態に係る直動案内装置100と同等の作用効果を奏することができる。
図11は、本発明に係る直動案内装置の第2の実施形態の構成を示す上記長手方向に直交する断面図である。また、図12は、本発明に係る直動案内装置の第2の実施形態の構成を示す図であり、(a)は図11のZ部分の拡大図、(b)は図11の2b−2b線に沿う断面図である。また、図13は、直動案内装置におけるボールのピッチとボールの数との関係を示す図11の2b−2b線に沿う断面図に相当する概略断面図であり、(a)は負荷転動路の数を3列として、隣接する負荷転動路内のボール同士を千鳥状に配設しない態様、(b)は負荷転動路の数を3列として、隣接する負荷転動路内のボール同士のなす角度θを30°とした千鳥状に配設した態様、(c)は負荷転動路の数を3列として、隣接する負荷転動路内のボール同士のなす角度θを45°とした千鳥状に配設した態様、(d)は負荷転動路の数を3列として、隣接する負荷転動路内のボール同士のなす角度θを60°とした千鳥状に配設した態様、(e)は負荷転動路の数を2列として、隣接する負荷転動路内のボール同士を千鳥状に配設しない態様を示す。なお、図12(a),(b)及び図13では、説明の便宜上、ハッチング表示していない。
図11に示すように、本実施形態の直動案内装置100は、長手方向に延びる案内レール10と、該案内レール10上に上記長手方向に相対移動可能に跨架されたスライダ20とを備えている。
案内レール10の幅方向の両側面には、それぞれ上記長手方向に延びる転動面16,17が片側二条列ずつ、合計4条列形成されている。これらの転動面は、図12(a)に示すように、3条のレール側第1転動体軌道面16a(17a),レール側第2転動体軌道面16b(17b),レール側第1転動体軌道面16a(17a)が並列に形成されている。以下、レール側第1転動体軌道面16a(17a)を転動溝16a(17a)と呼ぶ。
また、スライダ20は、スライダ本体21と、該スライダ本体21の上記長手方向の両端に固定されたエンドキャップ(図示せず)とを有する。スライダ20のスライダ本体21には、その両袖部23,23の内側面にそれぞれ転動面16,17に対向する転動面24、25が片側二条列ずつ、合計4条列形成されている。また、スライダ20の内側面に形成された転動面24(25)には、図12(a)に示すように、転動面16(17)に対向し、それぞれ上記長手方向に延びる3条のスライダ側第1転動体軌道面24a(25a),スライダ側第2転動体軌道面24b(25b),スライダ側第1転動体軌道面24a(25a)が並列に形成されている。以下、スライダ側第1転動体軌道面24a(25a)を転動溝24a(25a)と呼び、スライダ側第2転動体軌道面24b(25b)を転動溝24b(25b)と呼ぶ。
ここで、本実施形態では、第1軌道及び第2軌道に挿入される複数のボール30A,30B,30Cのそれぞれの中心が上記長手方向に直交する断面形状において同一直線上又は同一円弧上に存在するように転動面16,24にそれぞれ並列に形成される。なお、第1軌道とは、転動溝16a(17a)と転動溝24a(25a)とで構成される軌道であり、第2軌道とは、転動溝16b(17b)と転動溝24b(25b)とで構成される軌道である。なお、本実施形態では、図12(a)に示すように、ボール30A,30B,30Cのそれぞれの中心が上記長手方向に直交する断面形状において直線L上に存在するように、転動面16,24に転動溝16a、転動溝16b、転動溝24a、及び転動溝24bがそれぞれ並列に形成されている。
本実施形態では、第1転動体と第2転動体とがボールである。ボール30は、図12(b)に示すように、第1軌道及び第2軌道に挿入されるボール30の長手方向(ある第1軌道又はある第2軌道における配列方向)の位置が、隣接する第1軌道又は第2軌道に挿入されるボール30と、長手方向に対してオフセットするように配置され、ボール30A〜30Cがそれぞれ互い違いになるように配置される。すなわち、転動溝16aと転動溝24aとの間に挿入されたボール30Aと、転動溝16bと転動溝24bとの間に挿入されたボール30Bと、転動溝16aと転動溝24aとの間に挿入されたボール30Cとは、上記長手方向に沿って千鳥状に配列される。
dcos45°<a≦d・・・・・・・・・・・式(1)
スライダの負荷圏内に数多くのボールを配置したい場合、このように転動溝を配置することで、省スペースながら数多くのボールを配置することができる。
ここで、ボールの配列態様と、有効幅におけるボールの数との関係について、図13(a)〜(e)を参照して説明する。なお、上記「有効幅」とは、ある1列の所定の数のボールの寸法を意味するものであり、本実施形態では、1列中の7個分のボールの寸法を「有効幅」とした。よって、上記「有効幅におけるボールの数」とは、複数列のボールのうち、最外列の「有効幅」中に含まれるボールの数を指す。
そこで、図13(e)のように2列の負荷転動路を形成する転動面16,24の間に、転動溝16a,16b、24a,24bを1列追加して、図13(a)〜(d)のように3列の負荷転動路を形成し、隣接する負荷転動路に挿入されたボール30A,30B,30Cのそれぞれの中心を結んだ線と各負荷転動路が設けられた方向(図11中の2b−2b線に相当)とがなす角度θを変化させたときの有効幅Dにおけるボール30の数の変化を考察する。
また、図13(c)に示すように、各負荷転動路が設けられた方向(図中、Sで示す)に対して、隣接する負荷転動路に挿入されたボール30A,30B,30Cの配列方向がなす角度θが45°である態様では、隣接する負荷転動路に挿入されたボール間のピッチa=dcos45°となり、有効幅Dにおけるボールの数は14個となる。
このように、隣接する負荷転動路に挿入されたボール30A,30B,30Cのそれぞれの中心を結んだ線と各負荷転動路が設けられた方向とがなす角度θが45°を超えると、有効幅Dにおけるボール30の数が負荷転動路を2列とした場合よりも減少してしまう。
このような構成を有することによって、従来よりもスライダ内の負荷転動体数をさらに増やすことができる。その結果、ボール1個当たりに対する荷重をさらに低下させることができ、転動体通過振動の低減、及び負荷容量の増加が可能になる。
図14は、本発明に係る直動案内装置の第3の実施形態の構成を示す上記長手方向に直交する断面図である。また、図15は、本発明に係る直動案内装置の第3の実施形態の構成を示す図であり、(a)は図14のY部分の拡大図、(b)は図14の5b−5b線に沿う断面図である。なお、本実施形態の直動案内装置は、転動溝間に挿入されるボールの態様が上述した第2の実施形態と異なるだけであるため、第2の実施形態と重複又は相当する部材等については図に同一符号を付して説明を省略する。
ここで、スペーサーボール50の径はボール30の径以下とする。また、スペーサーボール50の材料としては、例えば、鋼材や高分子材料が用いられる。スペーサーボール50の材料として用いられる鋼材としては、SUJ2、SCr420、SAE320、SNCM815、SUS440C、SPCC、S25Cが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ABS樹脂等の各樹脂を使用することができる。
これらの樹脂は単独又は混合して用いてもよい。
さらに、ポリα−オレフィン系ポリマーとそれ以外の樹脂とを、より均一な状態で分散させるために、必要に応じて適当な相溶化剤を加えてもよい。
そこで、中央の転動溝12,22にスペーサーボール50を挿入することで、ボール30,30同士の競り合いを軽滅し、動摩擦力の増大を防ぐことができるため、ボールをスムーズに転がすことができる。また、耐摩耗性を考慮すればスペーサーボールの材料はポリスチレンが良い。
図16は、本発明に係る直動案内装置の第4の実施形態の構成を示す上記長手方向に直交する断面図である。また、図17は、本発明に係る直動案内装置の第4の実施形態の構成を示す図であり、(a)は図16のX部分の拡大図、(b)は図16の7b−7b線に沿う断面図である。なお、本実施形態の直動案内装置は、転動溝の構成が上述した第2の実施形態と異なるだけであるため、第2の実施形態と重複又は相当する部材等については図に同一符号を付して説明を省略する。また、図17(a),(b)では、説明の便宜上、ハッチング表示していない。
図18は、本発明に係る直動案内装置の第5の実施形態の構成を示す図であり、(a)は上記長手方向に直交する断面図、(b)は(a)のX部分の拡大図、(c)は(b)のD部分の拡大図、(d)は(b)のE部分の拡大図である。なお、本実施形態の直動案内装置は、転動溝の構成が上述した第2の実施形態と異なるだけであるため、第2の実施形態と重複又は相当する部材等については図に同一符号を付して説明を省略する。また、図18(a)〜(d)では、説明の便宜上、ハッチング表示していない。
dcos45°<a≦d・・・・・・・・・・・・・・・・式(1)
同様に、転動溝16b,16aと、転動溝24b,24aと、転動溝16aの溝肩と、転動溝24aの溝肩とも上記長手方向に直交する断面において円弧R(矢印で表示)でつなぐように形成される。
以上説明したように、本発明によれば、従来よりもスライダ内の負荷転動体数をさらに増やすことができる。その結果、ボール1個当たりに対する荷重をさらに低下させることができ、転動体通過振動の低減、及び負荷容量の増加が可能になる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。
16a レール側第1転動体軌道面
16b レール側第2転動体軌道面
17a レール側第1転動体軌道面
17b レール側第2転動体軌道面
20 スライダ
24a スライダ側第1転動体軌道面
24b スライダ側第2転動体軌道面
25a スライダ側第1転動体軌道面
25b スライダ側第2転動体軌道面
30 ボール(第1転動体)
31 ボール転動路(第1軌道)
40 ころ(第2転動体)
41 ころ転動路(第2軌道)
50 スペーサーボール
100 直動案内装置
Claims (6)
- 長手方向に平行に延びる少なくとも2列のレール側第1転動体軌道面と、前記レール側第1転動体軌道面間に設けられたレール側第2転動体軌道面とを外面に有する案内レールと、
前記レール側第1転動体軌道面に対向する少なくとも2列のスライダ側第1転動体軌道面と、前記スライダ側第1転動体軌道面間に前記レール側第2転動体軌道面と対向して設けられたスライダ側第2転動体軌道面とを有して前記案内レールに相対移動可能に跨架されたスライダと、
前記レール側第1転動体軌道面と前記スライダ側第1転動体軌道面とによって構成された2列の第1軌道内に装填された複数の第1転動体と、
前記レール側第2転動体軌道面と前記スライダ側第2転動体軌道面とによって構成された第2軌道内に装填された第2転動体とを有し、
前記レール側第1転動体軌道面と前記レール側第2転動体軌道面、及び、前記スライダ側第1転動体軌道面と前記スライダ側第2転動体軌道面は、前記長手方向から見たときに、隣接する前記第1転動体及び前記第2転動体の各々の一部が重なるように隣接して形成され、
前記第1転動体はボールであり、前記第2転動体の全てがスペーサーボールであることを特徴とする直動案内装置。 - 隣接する前記第1ボール及び前記第2ボールは、当該各ボールの中心点が前記長手方向に直交する面において同一直線又は同一円弧上に位置するように設けられ、
隣接する前記第1ボール及び前記第2ボールは、前記長手方向に沿って千鳥状に配列され、且つ、前記第1ボールの径をdとしたとき、隣接する前記第1ボールと前記第2ボールとの間のピッチaが下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の直動案内装置。
dcos45°<a≦dcos30°・・・・・・・・・・・・式(1) - 長手方向に平行に延びる少なくとも2列のレール側第1転動体軌道面と、前記レール側第1転動体軌道面間に設けられたレール側第2転動体軌道面とを外面に有する案内レールと、
前記レール側第1転動体軌道面に対向する少なくとも2列のスライダ側第1転動体軌道面と、前記スライダ側第1転動体軌道面間に前記レール側第2転動体軌道面と対向して設けられたスライダ側第2転動体軌道面とを有して前記案内レールに相対移動可能に跨架されたスライダと、
前記レール側第1転動体軌道面と前記スライダ側第1転動体軌道面とによって構成された2列の第1軌道内に装填された複数の第1転動体と、
前記レール側第2転動体軌道面と前記スライダ側第2転動体軌道面とによって構成された第2軌道内に装填された第2転動体とを有し、
前記レール側第1転動体軌道面と前記レール側第2転動体軌道面、及び、前記スライダ側第1転動体軌道面と前記スライダ側第2転動体軌道面は、前記長手方向から見たときに、隣接する前記第1転動体及び前記第2転動体の各々の一部が重なるように隣接して形成され、
前記第1転動体がボールであり、前記第2転動体がころであり、
前記ころは、前記2列の第1軌道間に差し渡して設けられていることを特徴とする直動案内装置。 - 前記第2軌道及び前記ころの少なくとも何れか一方にクラウニングが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の直動案内装置。
- 前記レール側第1転動体軌道面と前記レール側第2転動体軌道面、及び、前記スライダ側第1転動体軌道面と前記スライダ側第2転動体軌道面は、前記長手方向に直交する断面において円弧でつなぐように形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の直動案内装置。
- 前記第2転動体の少なくとも1つが、前記第1転動体間であって前記第1転動体に接触させて設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の直動案内装置。
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