JP6268341B2 - 新規なラパマイシン類似体 - Google Patents

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Description

要約
本発明は、新規なラパマイシン類似体、その製造法ならびに特に、ループスおよび/または多発性硬化症(MS)を処置するための治療へのその使用に関する。
発明の背景
ループスは、腎臓を含む多くの臓器が影響を受け得る多系統自己免疫疾患である。ループスは、その病態生理が、複数の自己抗原、特に核起源のものに対して向けられた自己抗体の産生により現れる慢性炎症性疾患である。免疫系のこの調節不全は、自己寛容の喪失をもたらし、T細胞とB細胞の両方により媒介される(Reddy et al, Arthritis Research & Therapy, 2008, 10: R127;およびこの文献中の参考文献)。ループスの処置のために承認された医薬品はほとんどない(Francis & Perl, 2009; Mok, 2010)。これらには、プレドニゾン(再燃および維持療法)、ヒドロキシクロロキン(円板状ループスおよびSLE)、アスピリン(関節炎および胸膜炎)、トリアムシノロンヘキサセトニド(円板状ループス)およびごく最近ではベンリスタ(SLE)が含まれる。さらに、アザチオプリン(副腎皮質ステロイド節約剤(corticosteroid sparing agent))、より積極的なレジメンでは、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、またはシクロスポリンおよびタクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤のバリエーションと組み合わせた副腎皮質ステロイドを含むいくつかの他の剤が定期的に処方される(Mok, 2010)。進行性多巣性白質脳症感染との潜在的関連を通してリツキシマブについて安全性への懸念が引き起こされているが、上に列挙される剤に不耐性または不応性の患者のために、静注用免疫グロブリンおよびB細胞枯渇剤(depleting agent)リツキシマブを含むいくつかの生物学的剤が利用されている。
いくつかの新規な剤がループスを処置するために開発中である。これらには、上記免疫抑制療法(アザチオプリン、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル)および強い効果を示すが有意な有害事象を示すいくつかのB細胞標的抗体療法を使用するより安全な方法を見出すための研究が含まれる(概要については、Mok, 2010; Francis & Perl, 2009参照)。
mTOR (mammalian target of rapamycin)活性が、ループスおよび多発性硬化症(MS)を含む自己免疫患者のT細胞で上方制御されていること(Fernandez et al., 2009a, b)ならびにラパマイシンおよびその類似体によるmTORC1の阻害により抗原誘導性IL-2駆動性のTおよびB細胞増殖が阻害されることが示されている。さらに、ラパマイシンおよびその類似体の活性は、全てのT細胞サブタイプの増殖を遮断するわけではなく、実際には免疫自己寛容を維持するのに重要な制御性T細胞(Treg)の選択的増殖を誘導する(Donia et al., 2009; Esposito et al., 2010)。
SLEにおける異常なT細胞活性化は、ミトコンドリア膜電位の持続的上昇と関連し、これが今度は一連の代謝およびストレス性入力により制御される(Perl et al., 2004; Fernandez et al, 2009; Fernandez & Perl, 2009)。mTORは、これらの入力のセンサーであり、結果として、ループスT細胞ではmTORシグナル伝達の上昇が観察され、この効果はラパマイシンによる処置により正常化される(Perl et al., 2004; Fernandez et al., 2009)。さらに、2つの独立した研究により、ループス/腎炎関連疾患において調節不全である遺伝子ネットワークが同定された。これらの遺伝子ネットワークの異常転写とmTORシグナル伝達との間には強い相関があり、ラパマイシンによる処置により遺伝子転写のレベルが無症候性レベルまで戻る(Reddy et al., 2008; Wu et al., 2007)。
ラパマイシンは、ループスの前臨床マウスモデルで経口投与されると有効である。例えば、ループス腎炎のニュージーランドブラックホワイトNZBW/F1マウスモデルを使用すると、ラパマイシンは、ループス腎炎の臨床経過を有意に改善した(Stylianou et al., 2010; Liu et al., 2008)。Liuら(2008)による研究では、ラパマイシンによる処置により、有意にアルブミン尿が低減し、生存が改善し、脾腫が縮小し、腎機能が保護され、血清抗dsDNA抗体レベルが低下した。生理食塩水処置マウスの腎臓切片により、著しいメサンギウム増殖、管内タンパク質円柱沈着による管拡張および間質の白血球浸潤が明らかになった。対照的に、ラパマイシン処置マウスは、腎臓における組織学的変化が比較的軽度であった。また、ラパマイシン処置により、有意に糸球体の免疫複合体沈着量が減少し、T細胞、B細胞およびマクロファージによる間質浸潤が抑制され、さらにRANTESの腎内発現が下方制御された。Stylianouら(2010)は、未処置マウスで、健常対照と対照的に、AktおよびmTORが、過剰発現しており、重要な活性化残基でリン酸化されており、ラパマイシンが同様に生存を延長し、正常な腎機能を維持し、タンパク尿を正常化し、ネフリンおよびポドシンレベルを回復し、抗dsDNA力価を低下させ、組織病変を改善し、AktおよびmTOR糸球体発現活性化を低下させることを見出した。NZBW/F1マウスでラパマイシンを使用した追加の成功例も公開されている(Alperovich et al., 2007; Liu et al., 2008b)。ラパマイシンはまた、マウスSLEのMRL/lprモデルにおいて、生存を延長し、腎臓を含むいくつかの臓器の炎症性変化を低減することも示されている(Wamer et al., 1994)。
ラパマイシンは、他の免疫抑制薬物療法での処置が失敗した9人のSLE患者の臨床試験の一部として、ヒトで研究されている(Fernandez et al., 2006)。ラパマイシンは、9人の患者全員で、耐容性が良好であり、疾患活性の低下および制御に有効であることが分かった。BILAG(British Isles Lupus Assessment Group)スコアおよびSLEDAI(SLE Disease Activity Index)による疾患活性ならびにラパマイシン開始時および最後のフォローアップ来診時(処置の6〜48か月後)の併用プレドニゾン用量が報告された。BILAG疾患再燃指数は、7人の患者で低下し、1人の患者で変化せず、1人の患者で増加した。後者の患者では、BILAGスコア(疾患再燃を検出する高感度手段であると考えられる)の増加は、プレドニゾン用量の調節を要さない最後の観察期間中の一過性関節痛のためであった。最後のフォローアップ時、処置前と比較した9人の患者のBILAGスコアの平均±SEMの低下は1.93±0.9(P=0.0218)であった。SLEDAIは、5.3±0.8(範囲2〜8)(P=0.00002)低下した。ラパマイシンによる処置後、7人の処方患者のプレドニゾンの一日用量の平均±SEMの低下は26.4±6.7mg(P=0.0062)であった。患者のうち3人は、シクロホスファミド処置ループス腎炎であった。3人全員で、腎炎はラパマイシン処置の期間の間中寛解のままであり、正常な血清クレアチニンレベルおよび300mg/24時間未満の尿タンパク質レベルであった。
ラパマイシンで処置していない7人の対照SLE患者の臨床的特徴を測定した。これらの患者の疾患活性スコアは、6〜48か月のラパマイシン処置を受けた患者のスコアより高かった(平均BILAGスコア5.00対2.11[P=0.02];平均SLEDAIスコア3.14対1.55[P=0.11])。これらの所見は、ラパマイシン処置がSLEで有益であるという考えと一致する。7人の健常対照、7人のSLE対照および6人のラパマイシン処置SLE患者のT細胞をCa2+シグナル伝達およびミトコンドリア膜電位の研究のために使用した。ミトコンドリア過分極(MHP)が持続し続けたが、ベースライン[Ca2+]cおよび[Ca2+]mならびにT細胞活性化誘導性の速いCa2+流はラパマイシン処置患者で正常化した。ラパマイシンを受けていないSLE患者のT細胞は、各時点でCa2+レベルの有意な上昇を示し、健常対照のレベルに対するP値は時間0で0.0008〜16分で0.023の間に及んだ。対照的に、ラパマイシン処置SLE患者のT細胞でのCD3/CD28誘導性のCa2+流のレベルは、健常ドナーの細胞のレベルと有意には異ならなかった。
要約すると、ラパマイシンは、マウスループスで正の効果を示し、9人のラパマイシン処置患者のヒト臨床研究での所見により、ラパマイシンがSLEの疾患活性を有効に制御することができることが示された。関節炎は9人の患者全員で改善し、3人の患者のシクロホスファミド処置腎炎はラパマイシン処置中寛解のままであった。1日1回経口投与および小さいサイズの丸剤が患者全員に好まれ、耐容性が良好であった。有効性の欠如または有害作用のために薬物を中断した患者はいなかった。
ループスの患者は、アテローム性動脈硬化のリスクが高い(Gorman & Isenberg, 2004)。実際、種々の推定により、ループス患者の死の最大30%が冠動脈疾患によるおそれがあると示唆されている(Aranow & Ginzler, 2000; Petri et al., (1992); Gorman & Isenberg, 2004)。ラパマイシンおよび他の臨床的に使用されているラパマイシン類似体は、ヒト患者の循環脂質/トリグリセリドおよびコレステロールレベルの上昇を引き起こすことが知られている(Morisett et al., 2002)。脂質/トリグリセリドおよびコレステロールの血中レベル上昇とアテローム性動脈硬化/心血管疾患との間の確立した関連性を考えると、mTOR阻害剤としてラパマイシンと同様に有効であるが、脂質/トリグリセリドおよびコレステロールレベルの上昇への効果が有意に低いラパマイシン類似体は、ループスおよびmTOR阻害が有効となり得る他の疾患の処置に極めて有効となるだろう。ラパマイシンまたは改善された類似体が薬理学的剤として有効となり得る疾患の範囲には、ループス、多発性硬化症、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病が含まれるがそれに限定されない。ラパマイシンまたはラパマイシン類似体が有効な処置となり得る神経学的適応症の近年の概要が公開されている(Bove et al., 2011)。
多発性硬化症(MS)は、アストログリオーシス、脱髄ならびに乏突起膠細胞およびニューロンの喪失をもたらす炎症により特徴づけられる中枢神経系(CNS)の慢性自己免疫障害である(Brinkmann et al., 2010; Compston & Coles, 2002)。MSは若年および中年成人の神経障害の主因であり、世界中で推定250万人に発症している(Multiple Sclerosis International Federation. Atlas of MS Database. Multiple Sclerosis International Federation website [online], http://www.atlasofms.org/index.aspx(2008))。有病率はコーカサス人で最大であり、欧州、カナダ、米国、オーストラリア、ニュージーランドおよび北アジアで高い有病率が報告されている(Rosati, 2001; Noseworthy et al., 2000)。ほとんどの患者は、20〜40歳の間に診断される(2:1の女性対男性比)(Compston & Coles, 2002)。診断で、患者の約85%が神経機能障害の再発性急性憎悪(再発)、引き続く回復を特徴とする再発-寛解型MS(RRMS)である。再発の相当な割合(42〜57%)が機能の不完全な回復をもたらし、恒久的障害および欠陥につながり得る(Lublin et al., 2003)。疾患発症の6〜10年以内に、RRMSの患者の30〜40%は、あまり炎症性でなく、より神経変性の疾患経過が先立つように見える二次性進行型MSに進行する(Weinshenker et al., 1989)。二次性進行型MSは、再発の重畳の有無にかかわらず、障害の着実な進行を呈する。
MSの治療方針は通常、症状の管理ならびに再発の頻度を低下させるおよび障害の進行を遅らせるための疾患修飾薬の使用を伴う。確立された第一選択療法-インターフェロンβ(IFN-β)産物および酢酸グラチラマー(Copaxone; Teva)-は、2年にわたってプラセボと比較して再発率の約30〜35%の低下をもたらす(PRISMS Study Group, 1998; The IFNB Multiple Sclerosis Study Group, 1993; Jacobs et al., 1996; Johnson et al., 1995)。IFN-β1aが、RRMSの患者の障害の進行を低減することも示されている(Goodin et al., 2002)。これらの剤は、注射により投与され(投与スケジュールは、毎日皮下注射から毎週筋肉内注射に及ぶ)、いくつかの段階で免疫系に影響を及ぼし得る。頻度の高い副作用には、インフルエンザ様症状および注射部位反応が含まれ、これらは耐容性およびコンプライアンスに影響を及ぼし得る(Patti, 2010)。IFN-β療法に関してあまり一般的に報告されていない有害事象には、肝機能障害および血球減少が含まれる(Rice, et al., 2001)。
さらに近年承認された療法、ナタリズマブ(Tysabri; Elan/Biogen-Idec)は、リンパ球上のインテグリンα4β1(最晩期抗原4としても知られている)のα4サブユニットに特異的なヒト化モノクローナル抗体である(Steinman, 2005; Putzki et al., 2010)。ナタリズマブは、4週間毎に静脈内注入を通して投与され、他の承認製品と比べて強化された有効性をもたらすように思われる(Putzki et al., 2010)。しかしながら、ナタリズマブは、過敏反応および進行性多巣性白質脳症、まれであるが脳の重度障害性または致死的感染性脱髄疾患と関連している(Steinman, 2005)。別の製品、細胞増殖抑制剤、ミトキサントロン(細胞標的は同定されていない)が再発性MSの重症型への使用について承認されている。しかしながら、累積用量関連心臓毒性および二次性白血病のリスクにより、投与することができる総量が限られている(Kingwell, et al., 2010)。その安全性プロファイルのために、ナタリズマブおよびミトキサントロンは、現在第二および第三選択療法としてのみ使用されている。MSのために開発中の薬物には、CD20を標的化してB細胞を減少させるモノクローナル抗体リツキシマブ、オクレリズマブおよびオファツムマブ、ならびにCD52を標的化してTおよびB細胞といくつかの単球由来樹状細胞を減少させるアレムツズマブ(Campath-1H)が含まれる(Buttmann, 2010)。また、経口剤クラドリビン(細胞傷害性アデノシンデアミナーゼ耐性プリンヌクレオシド)、フマレート(核因子E2関連因子2転写経路の活性化因子)、ラキニモド(その細胞標的が同定されていない)およびテリフルノミド(ピリミジンのデノボ合成において律速段階を触媒するジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼの細胞増殖抑制性阻害剤)を含む低分子も開発中である。これらの剤全てが、CNSへの免疫系媒介攻撃を阻害する目的でリンパ球ならびに他の細胞を標的化している(Niino, & Sasaki, 2010)。スフィンゴシン一リン酸(S1P)受容体調節剤フィンゴリモド(FTY720/Gilenya; Novartis)は、米国食品医薬品局により承認されたRRMSのための最初の経口治療薬であった(Brinkmann et al., 2010)。試験は今までにフィンゴリモドの耐容性が良好であることを示しているが、生じた副作用には、頭痛、上気道感染症、息切れ、下痢および悪心が含まれる。さらに、一般的には軽度であるが、肝酵素および血圧のレベルの上昇が観察されている。TRANSFORMS臨床試験(Trial Assessing Injectable Interferonvs. FTY720 Oral in RRMS; ClinicalTrials. gov number, NCT00340834)において、高用量のフィンゴリモドを服用していた患者で、ヘルペスウイルス感染症から生じた死亡が2例あった(Garber, 2008参照)。これらの2人の患者が受けた処置の他の局面が寄与し得るが、感染症のリスク上昇をもたらし得るその免疫調節作用を考えると、フィンゴリモドの役割を排除することはできない。
現在利用可能な療法の制限を考えると、より有効なおよびより簡便な処置を提供する経口MS処置の開発が、近年の相当な創薬および開発努力の焦点となっている。
MSにおけるラパマイシンおよびその類似体の有効性は、イムノフィリン/ニューロフィリン阻害による神経保護活性、および選択的mTORC1阻害により駆動される抗炎症/免疫抑制活性、および両機構を通して駆動され得る再有髄化特性の組み合わせにおそらく起因する。ラパマイシンおよびその類似体は、イムノフィリンFKBP12に最初に結合した後、mTOR複合体1(mTORC1)を阻害するその能力を通してT細胞増殖を調節する免疫抑制性、抗炎症性分子である。mTOR活性は、MSおよびループスを含む自己免疫障害を患っている個体で上方制御されており(Fernandez et al., 2009a, b)、ラパマイシンおよびその類似体によるmTORC1の阻害により抗原誘導性IL-2駆動T(およびB)細胞増殖が阻害される。ラパマイシンおよびその類似体は、全てのT細胞サブタイプの増殖を遮断するわけではなく、実際には免疫自己寛容を維持するのに重要な制御性T細胞(Treg)の選択的増殖を誘導する(Donia et al, 2009; Esposito et al, 2010)。
ラパマイシンおよびその類似体は、イムノフィリンのFK506結合タンパク質(FKBP)ファミリーに密に結合する(Cao & Konsolaki, 2011; Gerard et al., 2011)。FKBPファミリーは、種々のタンパク質-タンパク質相互作用ドメインおよび汎用的細胞機能を有するタンパク質からなる(Kang et al., 2008)。全てのFKBPがプロリルシス/トランスイソメラーゼ(PPIase)活性を有するドメインを含有している。ラパマイシンまたは類似体がこのドメインに結合すると、mTORの阻害を通して免疫抑制を媒介しながら、そのPPIase活性を阻害する。より大きなメンバー、FKBP51およびFKBP52はHsp90と相互作用し、ステロイドホルモンシグナル伝達を制御することが示されているシャペロン活性を示す。これらの研究から、FKBPタンパク質は普遍的に発現しているが、神経系で比較的高レベルの発現を示すことが明らかである。この発現と一致して、FKBPは、神経保護と神経変性の両方と関係づけられている(Cao & Konsolaki, 2011; Gerard et al., 2011; Bove et al., 2011; Kang et al., 2008)。ラパマイシンはFKBP12およびFKBP52を含むいくつかのニューロフィリンのPPIase活性のnM阻害剤であり、これらのタンパク質との結合がその神経保護効果に寄与することが示されている(Ruan et al, 2008)。FKBP52はタウに結合し、タウタンパク質過剰発現は神経突起伸長および神経保護の阻害と関連する(Chambraud et al., 2010)。FKBP52は、TRPC1チャネル開口の制御を介して神経成長円錐の化学走化性誘導を制御する(Shim et al., 2009)。これらのデータは、FKBP52ノックダウン/阻害について観察される神経突起伸長増進、軸索再生および神経保護効果についての関連を提供する。FKBP12は、イムノフィリンの神経保護効果の主要なメディエーターとして何度も提案されており、例えば、抗FKBP12抗体を添加した場合、酸素-ブドウ糖剥奪誘導損傷に対するFK506保護が存在せず(Labrande et al., 2006)、FKBP12の発現はパーキンソン病、アルツハイマー病およびある型の認知症の患者の脳で増加する(Avramut et al., 2002)。FKBP12はまた、αシヌクレイン凝集の最も強力なエンハンサーとして意味づけられている(Gerard et al., 2010, Deleersnijder et al., 2011)。
ラパマイシンは、MSの前臨床実験モデルで有効であることが示されている。例えば、PLP139-151誘導性の再発寛解型実験的自己免疫脳脊髄炎(RR EAE)に冒されたSJL/jマウスへのラパマイシン投与の効果が報告されている(Esposito et al., 2010)。疾患のピークまたは最初の臨床的発作の最後での経口または腹腔内処置により、RR-EAEの臨床経過が劇的に改善した。処置中止は、疾患の早期再発をもたらした。臨床応答は、中枢神経系脱髄および軸索喪失の低下と関連していた。TeffとTreg細胞の両方へのラパマイシンの二重作用が、疾患経過と密接に平行するその比の調節をもたらした。データは、ラパマイシンがRR-EAEを阻害することを示し、免疫機構についての証拠を与え、この化合物を、多発性硬化症を処置するための潜在的候補薬として示した。第2の例(Donia et al., 2009)では、MSの前臨床モデルとして役立つDark Agouti(DA)ラットの遅延性再発性実験的アレルギー性脳髄膜炎(PR-EAE)の経過へのラパマイシンの効果を評価した。データは、3mg/kgで28連続日にわたるラパマイシンの経口投与が、DAラットのPR-EAEの経過を有意に改善することを示した。薬物療法を受けたラットは、ビヒクルで処置した対照ラットよりも有意に臨床累積スコアが低く、罹患期間が短かった。
ラパマイシンのMSにおける臨床的有用性は直接示されているが、その近い類似体およびmTOR阻害剤テムシロリムスは、後期第2相試験まで試験されており、ここではテムシロリムスの有効性および安全性が、臨床的に明確な再発寛解型MS(RRMS)または再発した二次性進行型MSの患者で評価された(Kappos et al., 2005; Moraal et al., 2010)。多施設、無作為、二重盲検、プラセボ対照、第2相臨床試験が19〜57歳の296人の患者で行われた。患者は、経口テムシロリムス(2、4または8mg)を1日1回またはプラセボを9か月間受けた。主要エンドポイントは、MRIにおける9か月での新たなGd増強T1病巣の累積数とした。脳の総容積、再発回数、平均EDSSスコア、他のMRI測定および健康結果を副次エンドポイントとした。
8mgテムシロリムスを受けた患者は、プラセボと比較してMRIにおける新たなGd増強T1病巣の累積数の有意な減少(47.8%)を達成した(p=0.010)。MRIエンドポイントは用量反応を示し、8mg用量は32週間で主要エンドポイントについて統計学的有意性に達した(p=0.024)。脳容積データは、プラセボと比較して8mg群において36週間で脳容積萎縮の減少を示唆した。8mg群は、プラセボに対して患者につき再発回数の51%の減少を示した(p=0.023)。無再発患者の割合および障害の進行における用量関連傾向も認められた。重篤有害事象は、全ての処置群にわたって同様の頻度で起こった。アフタ性口内炎/口腔内潰瘍、高脂血症、発疹および月経機能障害がプラセボに対して8mg群でより頻繁に観察された。MSの再発型の患者において9か月にわたる経口8mg用量のテムシロリムス投与は、許容できるリスク/ベネフィットプロファイルで、新たな増強MRI病巣の発生率および再発回数に有意な有益効果をもたらしたことが結論づけられた。
ラパマイシン(シロリムス)(図4)は、ピペコリン酸ラクトンに結合した1,2,3-トリカルボニル部分を有するストレプトマイセス・ハイグロスコピクス(Streptomyces hygroscopicus)NRRL5491(Sehgal et al., 1975; Vezina et al.,1975;米国特許第3,929,992号;米国特許第3,993,749号)により産生される親油性マクロライドである(Paiva et al., 1991)。本発明の目的のために、ラパマイシンはFindlayら(1980)またはChemical Abstracts(11th Cumulative Index, 1982-1986 p60719CS)の付番様式に優先してMcAlpineら(1991)の付番様式により記載される。
ラパマイシンは、生物活性の広いスペクトルのために有意な治療価値を有する(Huang et al, 2003)。この化合物は、哺乳類ラパマイシン標的 (mTOR)、細胞生存および増殖を媒介するホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)/Akt(プロテインキナーゼB)シグナル伝達経路の下流のセリン-スレオニンキナーゼ、の強力な阻害剤である。この阻害活性は、ラパマイシンがイムノフィリンFK506結合タンパク質12(FKBP12)に結合した後に得られる(Dumont, F.J.およびQ.X. Su, 1995)。T細胞では、ラパマイシンがIL-2受容体からのシグナル伝達およびその後のT細胞の自己増殖(autoproliferation)を阻害して免疫抑制をもたらす。ラパマイシンは移植片拒絶を予防するために臓器移植患者を処置するための免疫抑制剤として市販されている(Huang et al, 2003)。免疫抑制に加えて、ラパマイシンは、がんへの治療用途を見出しており(Vignot et al, 2005)、かついくつかの疾患、例えば、がん、再狭窄などの心血管疾患、多発性硬化症およびループスなどの自己免疫疾患、関節リウマチ、真菌感染症ならびにアルツハイマー病、パーキンソン病およびハンチントン病などの神経変性疾患の処置に潜在的治療用途を有する。
種々の疾患状態へのその有用性にもかかわらず、ラパマイシンは、いくつかの主要な欠点を有する。その使用に関連する最も重篤な有害事象は高脂血症である。高脂血症は、用量減少および治療離脱につながるおそれがある。特に、SLEにおいてこのクラスが有するいかなる可能性も、これらの患者の生まれつき高い脂質レベルのために制限される(Aranow & Ginzler, 2000; Petri et al., (1992); Gorman & Isenberg, 2004)。ラパマイシンはまた、化合物を細胞から排出してラパマイシンが欠乏するまで細胞膜を透過させる細胞膜排出ポンプP-糖タンパク質(P-gp; LaPlante et al, 2002, Crowe et al, 1999)の基質でもある。これにより、投与後の化合物の吸収が乏しくなる。さらに、がん細胞の多剤耐性の主要な機構は細胞膜排出ポンプを介しているので、ラパマイシンは多剤耐性(MDR)がん細胞に対してあまり有効ではない。ラパマイシンはまた、チトクロムP450酵素により大規模に代謝される(Lampen et al, 1998)。肝臓初回通過時の喪失が高く、これがさらにその低い経口バイオアベイラビリティに寄与する。ラパマイシンの低いバイオアベイラビリティにおけるCYP3A4およびP-gpの役割は、CYP3A4および/またはP-gp阻害剤の投与によりCYP3A4トランスフェクトCaco-2細胞からのラパマイシンの流出が減少したこと(Cummins et al, 2004)、ならびにCYP3A4阻害剤の投与によりラパマイシンの小腸代謝が低下したこと(Lampen et al, 1998)を示す研究で確認された。ラパマイシンの低い経口アベイラビリティにより有意な個体間変動性がもたらされ、不定の治療成績および臨床管理の困難をもたらす(Kuhn et al, 2001, Crowe et al, 1999)。
そのため、高脂血症を含む副作用が減少し、P-gpの基質ではない、および代謝的により安定であり得、それゆえバイオアベイラビリティが改善し得る新規なラパマイシン様化合物を開発することが必要とされている。
分子の化学的に利用可能な部位を使用した合成ラパマイシン類似体の範囲が報告されている。以下の化合物の記載は、図4に記載のラパマイシン分子の付番システムに適合させた。誘導体化または置換のために化学的に利用可能な分子上の部位には、C40およびC28水酸基(例えば、米国特許第5,665,772号;米国特許第5,362,718号)、C39およびC16メトキシ基(例えば、国際公開公報第96/41807号;米国特許第5,728,710号)、C32、C26およびC9ケト基(例えば、米国特許第5,378,836号;米国特許第5,138,051号;米国特許第5,665,772号)が含まれる。トリエンを標的化するC17、C19および/またはC21での水素化により、抗真菌活性は保持されたが、免疫抑制は相対的に喪失した(例えば、米国特許第5,391,730号;米国特許第5,023,262号)。分子の安定性(例えば、C32、C40および/またはC28でのオキシムの形成、米国特許第5,563,145号、米国特許第5,446,048号)、代謝攻撃に対する耐性(例えば、米国特許第5,912,253号)、バイオアベイラビリティ(例えば、米国特許第5,221,670号;米国特許第5,955,457号;国際公開公報第98/04279号)およびプロドラッグの製造(例えば、米国特許第6,015,815号;米国特許第5,432,183号)の有意な改善が誘導体化により達成された。
本発明の目的は、副作用のいくつかまたは全てがない、治療において有益な効果を保持したラパマイシンのさらなる誘導体を同定することである。さらに、より強力にFKBP12を阻害する分子を有することが有利である。
第1の局面では、本発明は、以下の式(I)
Figure 0006268341
により定義される新規なラパマイシン類似体またはその薬学的に許容される塩を提供する。
式(I)の化合物(および任意のその薬学的に許容される塩)は、以下、「本発明の化合物」またはその一般名「37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシン」と呼ぶ。
定義
冠詞「a」および「an」は本明細書においてその冠詞の文法上の目的語の一つまたは複数(すなわち、少なくとも一つ)を指すために使用される。例として、「類似体(an analogue)」は、1種の類似体または複数の類似体を意味する。
本明細書において使用する場合、用語「ループス」は、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎、急性皮膚エリテマトーデス、亜急性皮膚エリテマトーデス、慢性皮膚エリテマトーデス、薬物誘発性エリテマトーデス、新生児エリテマトーデスを含むがそれに限定されるわけではない。
本明細書において使用する場合、用語「多発性硬化症」または「MS」は、再発寛解型、二次性進行型および一次性進行型多発性硬化症を含むがそれに限定されるわけではない。
本明細書において使用する場合、用語「バイオアベイラビリティ」は、薬物または他の物質が投与後に生物活性部位で吸収されるかまたは利用可能になる程度または割合を指す。この特性は、化合物の溶解度、腸への吸収率、タンパク質結合度および代謝等を含むいくつかの因子に依存する。当業者によく知られているバイオアベイラビリティの種々の試験を本明細書において記載する(Trepanier et al, 1998, Gallant-Haidner et al, 2000も参照)。
本明細書において使用する場合、用語「実質的に純粋な形」は、化合物が発酵プロセス、特に式(II)(下記参照)のスターター酸をrapK遺伝子またはそのホモログを除去または不活性化するように遺伝子改変したラパマイシン産生株に供給する工程を含む発酵プロセスで産生される、他の化合物(特にポリケチドまたは他のラパマイシン類似体)を実質的に含まない形で提供されることを意味する。例えば、化合物の純度は、それが提供される形のポリケチド含量に関して少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも98%、特に少なくとも99%である。したがって、薬学的製品としての製剤化の前と後の両方で、本発明の化合物は、適切にはポリケチド含量の少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも98%、例えば、少なくとも99%である。
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される無機もしくは有機酸または塩基から形成される従来の塩、ならびに四級アンモニウム酸付加塩を含む。適当な酸塩のより具体的な例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ギ酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、パモ酸、マロン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ヒドロキシナフトエ酸、ヨウ化水素酸、リンゴ酸、ステアリン酸、タンニン酸の塩などが挙げられる。それ自体は薬学的に許容されないが、シュウ酸などの他の酸も、本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩を得る際の中間体として有用な塩の調製に有用となり得る。適当な塩基塩のより具体的な例としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミンおよびプロカイン塩が挙げられる。
本発明は、37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンまたはその薬学的に許容される塩の溶媒和物を包含する。溶媒和物の例としては水和物が挙げられる。
以下の本発明による化合物への言及は、37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンとその薬学的に許容される塩の両方(およびその任意の溶媒和物)を含む。
発明の説明
本発明の化合物は、ラパマイシンとの構造的関連性にもかかわらず、驚くほど異なる薬理学的プロファイルを示す。特に、本発明の化合物は、ラパマイシンまたは特定の公知の類似体と比べて、短い半減期および反復投与後の有意に低下した脂質レベルを示し、ラパマイシンと比べて高いバイオアベイラビリティ、増加した細胞膜透過性および減少した流出を示すと予想され、P-gpの基質としてより不適であり得る。
したがって、本発明の化合物の有利な特性は、
-ラパマイシンおよび他の類似体と類似のまたはこれらより大きい効力を有する、mTORの良好な阻害(S6キナーゼのリン酸化の阻害により測定される)(実施例3参照);
-ラパマイシンと比べて短い半減期(ラットでの試験に基づく、実施例4参照);および
-ラパマイシン類似体CCI-779と同様の有効性に必要なレベルでの反復経口投与後の高脂血症発生率の低下(マウスでの試験に基づく、実施例5参照)。
-神経保護効果の増加につながる、ラパマイシンよりも強力なFKBP12の阻害
を含む。
ループスおよびMSなどの疾患の処置において、より長期の曝露から生じる副作用(高脂血症など)が有意に減少すると予想されるので、短い半減期は治療指数の改善につながると予想される。
本発明の化合物は、以下の式(II)のスターター酸
Figure 0006268341
をrapK遺伝子またはそのホモログを除去または不活性化するように遺伝子改変したラパマイシン産生株に供給することにより、直接発酵産物として産生され得る化合物であって
式中、R1はH、またはC1-6アルキル基、例えば、メチルもしくはエチルなどのアルキル基を表す。
本文脈において、「ホモログ」により、その産物がrapK遺伝子産物RapKの機能と同等の機能を有するコリスメーターゼ(chorismatase)である遺伝子を意味する(Andexer et al., 2011)。
このような方法に適した条件は、その内容の全体が参照により組み入れられる、国際公開公報第04/007709号および国際公開公報第06/016167号に記載されている。具体的には、rapK遺伝子を欠く、ラパマイシン産生生物、ストレプトマイセス・ハイグロスコピクスの突然変異株を生成し、これをS.ハイグロスコピクスΔrapKと呼ぶ(BIOT-4010;実施例1参照)。他の適当な産生株には、S.ハイグロスコピクスMG2-10(pLL178)という、S. ハイグロスコピクスNRRL5491の派生株が含まれる。S.ハイグロスコピクスMG2-10の生成は、国際公開公報第04/007709号の実施例2に記載されており、適当な産生株を生成するために、これは、pLL178などの発現プラスミドを使用して、raplJMNOQLで補完したほうがよい(国際公開公報第06/016167号の実施例7に記載)。次いで、典型的には24時間で外因性供給材、例えば、(1R*,2R*,4S*)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸を添加する、26℃などの適当な温度での、それに限定されるわけではないがMD6などの適当な媒体中での、BIOT-4010、またはS.ハイグロスコピクスMG2-10(pLL178)などの類似の株の発酵(国際公開公報第04/007709号、国際公開公報第06/016167号)が、本発明の化合物、37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンを製造するのに十分である(実施例2参照)。ピーク力価は、接種から3〜8日の間に観察される。式(II)の化合物の酸型は(1R,2R,4S)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸である。
ラパマイシン産生株には、ストレプトマイセス・ハイグロスコピクス、アクチノプラテス(Actinoplates)種N902-109(Nishida et al(1995)参照)およびストレプトマイセス種A91-261402が含まれる(国際公開公報第94/18207号参照)。他のラパマイシン産生株は国際公開公報第95/06649号に述べられている。上記2つの特許出願の内容は、全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本発明はまた、実質的に純粋な形の本発明の化合物を提供する。本発明の化合物は、フラッシュクロマトグラフィー、分取HPLCおよび/または結晶化などの従来の分離技術により、例えば、他の発酵成分(他のポリケチド成分を含む)から精製され得る。
したがって、実質的に純粋な形の本発明の化合物を調製する方法は、(i)以下の式(II)のスターター酸
Figure 0006268341
をrapK遺伝子またはそのホモログを除去または不活性化するために遺伝子改変したラパマイシン産生株に供給する工程と;(ii)本発明の化合物を単離および精製する工程と、を含む方法であって、
式中、R1はHまたはアルキル基を表す。
本発明は、特にループスおよび/または多発性硬化症(MS)の処置に医薬として使用するための本発明の化合物を提供する。具体的な態様では、本発明は、ループスの処置への本発明の化合物の使用を提供する。
本発明はまた、有効量の本発明の化合物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、ループスおよび/または多発性硬化症(MS)を処置する方法を提供する。
本発明はまた、ループスおよび/または多発性硬化症(MS)を処置するための薬品を製造するための本発明の化合物の使用を提供する。
本発明の化合物はまた、免疫抑制の誘導もしくは維持、ニューロン再生の刺激または真菌感染症、移植拒絶反応、移植片対宿主病、自己免疫障害、炎症疾患、血管疾患もしくは線維性疾患の処置に有用となり得る。
本発明はまた、1種または複数の薬学的に許容される希釈剤または担体と共に本発明の化合物を含む薬学的組成物を提供する。
本発明の局面は、1種または複数の薬学的に許容される希釈剤または担体と共に、組成物のポリケチド含量の少なくとも95%、例えば、少なくとも98%、特に、少なくとも99%の量で組成物中に存在する、上に定義する式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物である。
本発明の化合物またはその製剤は、任意の従来法により投与され得、例えば、非限定的に、非経口的に、経口的に、局所的に(頬側、舌下もしくは経皮を含む)、医療機器(例えば、ステント)を介して、吸入によりまたは注射(皮下もしくは筋肉内)を介して投与され得る。処置は、単一用量または一定期間にわたる複数用量からなっていてもよい。
本発明の化合物を単独で投与することが可能であるが、これを1種または複数の許容される担体と共に薬学的製剤として提供することが好ましい。担体は、本発明の化合物と適合性であるおよびそのレシピエントに有害でないという意味において「許容され」なければならない。適当な担体の例は、以下でより詳細に記載する。
本発明の化合物は単独でまたは他の治療剤と組み合わせて投与することができ、2種(またはそれ以上)の剤の同時投与により、有意に低用量の各剤を使用することが可能になり、それによって見られる副作用が減少する。そのため、一態様では、本発明の化合物は、ループスを処置するための別の治療剤と同時投与され、そのために好ましい剤には、NSAID-例えば、ナプロキセン、イブプロフェン;抗マラリア薬-ヒドロキシクロロキン、クロロキン、キナクリン;副腎皮質ステロイド-例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、メドロール;免疫抑制剤-アザチオプリン、メトトレキサート、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン;その他-例えば、ダプソン、リツキシマブ、ベリムマブが含まれるがそれに限定されるわけではない。
一態様では、本発明の化合物は、MSを処置するための別の治療剤と同時投与され、好ましい剤には、インターフェロンβ-1b、インターフェロンβ-1a、グラチラマー、ミトキサントロン、シクロホスファミドおよび副腎皮質ステロイド(例えば、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、デキサメタゾン)が含まれるがそれに限定されるわけではない。MSを処置するためのさらなる治療剤には、フィンゴリモド、ナタリズマブ、アレムツズマブ、フマル酸ジメチルおよびテリフルノミドが含まれる。
同時投与により、当業者に明らかなように、同じ処置レジメンの一部として2種以上の治療剤を患者に送達する任意の手段が含まれる。2種以上の剤は単一製剤で同時に投与してもよいが、これは必須ではない。剤は異なる製剤でおよび異なる時に投与してもよい。
製剤は、好都合には単位剤形で提供され得、薬学の技術分野において周知の方法のいずれかにより調製され得る。このような方法は、有効成分(本発明の化合物)を1種または複数の副成分を構成する担体と合わせる工程を含む。一般に、製剤は、有効成分を液体担体もしくは微細固体担体または両方と均一におよび緊密に合わせる工程、および次いで、必要に応じて、製品を成形する工程により調製される。
本発明の化合物は、通常、薬学的に許容される剤形の、有効成分を含む薬学的製剤の形、任意で非毒性有機もしくは無機酸、または塩基、付加塩の形で、静脈内に、経口的にまたは任意の非経口的経路により投与される。障害および処置される患者、ならびに投与経路に応じて、組成物を異なる用量で投与することができる。
注射用途に適した本発明の薬学的組成物には、無菌水溶液または分散液が含まれる。さらに、組成物は、このような無菌注射液または分散液の即座の調製用の無菌粉末の形であることができる。全ての場合で、最終的な注射可能形は無菌でなければならず、容易な注射可能性(syringability)に有効に流体でなければならない。
薬学的組成物は、製造および保管の条件下で安定でなければならず、したがって、好ましくは細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、植物油およびこれらの適当な混合物を含有する溶媒または分散媒体であることができる。
例えば、本発明の化合物は、即時放出、遅延放出または制御放出用途のために、香味剤または着色剤を含有してもよい錠剤、カプセル剤、オビュール(ovule)、エリキシル剤、液剤または懸濁剤の形態で経口的に、頬側にまたは舌下に、投与することができる。
経口投与に適した本発明の化合物の液剤または懸濁剤は、賦形剤、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド、分散剤、例えば、ポリソルベート80、界面活性剤および可溶化剤、例えば、ポリエチレングリコール、Phosal 50 PG(ホスファチジルコリン、大豆脂肪酸、エタノール、モノ/ジグリセリド、プロピレングリコールおよびパルミチン酸アスコルビルからなる)を含有してもよい。
このような錠剤は、微結晶セルロース、乳糖(例えば、乳糖一水和物もしくは無水乳糖)、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウムおよびグリシン、ブチルヒドロキシトルエン(E321)、クロスポビドン、ヒプロメロースなどの賦形剤、デンプン(好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモもしくはタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよび特定の複合ケイ酸塩(complex silicate)などの崩壊剤、ならびにポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシ-プロピルセルロース(HPC)、マクロゴール8000、ショ糖、ゼラチンおよびアカシアなどの造粒結合剤を含有してもよい。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルクなどの潤滑剤を含めてもよい。
類似の型の固形組成物をゼラチンカプセル中の充填剤として使用してもよい。この点について好ましい賦形剤には、乳糖、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。水性懸濁剤および/またはエリキシル剤については、本発明の化合物を、種々の甘味剤または香味剤、着色料または染料、乳化剤および/または懸濁化剤、ならびに水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンなどの希釈剤、ならびにこれらの組み合わせと組み合わせてもよい。
錠剤は、任意で1種または複数の副成分と共に、圧縮または成型により製造することができる。圧縮錠剤は、任意で結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤または分散剤と混合した散剤または顆粒剤などの自由流動形態の有効成分を適当な機械中で圧縮することにより調製することができる。成型錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を適当な機械中で成型することにより製造することができる。錠剤は、任意でコーティングまたは刻み目を付けてもよく、例えば、所望の放出プロファイルをもたらすように変化する割合のヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用して、その中の有効成分の徐放または制御放出をもたらすように製剤化してもよい。
経口投与に適した本発明による製剤は、それぞれ所定量の有効成分を含有するカプセル剤、カシェ剤もしくは錠剤などの個別の単位として;散剤もしくは顆粒剤として;水溶液もしくは非水性の液中の液剤もしくは懸濁剤として;または水中油型液体乳剤もしくは油中水型液体乳剤として提供することができる。有効成分は、ボーラス、舐剤またはペースト剤として提供することもできる。
口への局所投与に適した製剤には、着香基剤、通常はショ糖およびアカシアまたはトラガント中に有効成分を含むロゼンジ剤;ゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシアなどの不活性基剤中に有効成分を含む香錠;ならびに適当な液体担体中に有効成分を含む含嗽剤が含まれる。
特に上記の成分に加えて、本発明の製剤は、当の製剤の型に鑑みて当技術分野において慣用的な他の剤を含んでもよく、例えば、経口投与に適したものは、香味剤を含んでもよいことを理解されたい。
局所投与に適した薬学的組成物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、液剤、ペースト剤、ゲル剤、含浸包帯、スプレー剤、エアゾール剤または油剤、経皮装置、粉剤などとして製剤化することができる。これらの組成物は、活性剤を含有する従来法を介して調製することができる。したがって、これらはまた、保存剤、薬物浸透を補助する溶媒、クリーム剤もしくは軟膏剤中の軟化薬、およびローション用のエタノールもしくはオレイルアルコールなどの適合性の従来の担体および添加剤を含んでもよい。このような担体は、組成物の約1%〜最大約98%存在してもよい。より一般に、これらは、組成物の最大約80%を形成する。単なる例示として、クリーム剤または軟膏剤は、十分な量の約5〜10重量%の化合物を含有する十分な量の親水性材料および水を混合して所望の稠度を有するクリーム剤または軟膏剤を生成することにより調製される。
経皮投与に適した薬学的組成物は、長期間レシピエントの表皮との密着を保持することを意図した個別のパッチとして提供することができる。例えば、活性剤は、イオン泳動によりパッチから送達され得る。
外部組織、例えば、口および皮膚への塗布のために、組成物は、好ましくは局所軟膏剤またはクリーム剤として塗布される。軟膏剤に製剤化する場合、活性剤をパラフィン系または水混和性軟膏基剤のいずれかと共に使用することができる。
あるいは、活性剤を水中油型クリーム基剤または油中水型基剤と共にクリーム剤に製剤化してもよい。
非経口投与のために、流体単位剤形は、有効成分および無菌ビヒクル、例えば、非限定的に、水、アルコール、ポリオール、グリセリンおよび植物油、好ましくは水を利用して調製される。有効成分は、使用するビヒクルおよび濃度に応じて、ビヒクルに懸濁または溶解することができる。溶液の調製において、有効成分は、適当なバイアルもしくはアンプルに充填しかつ密封する前に注射用の水に溶解および濾過滅菌することができる。
有利には、局部麻酔薬、保存剤および緩衝剤などの剤をビヒクルに溶解することができる。安定性を強化するために、組成物をバイアルに充填し、水を真空下で除去した後に凍結することができる。次いで、乾いた凍結乾燥粉末をバイアルに密閉し、使用前に注射用の付随するバイアルの水を供給して液体を再構成することができる。
非経口懸濁剤は、有効成分を溶解させる代わりにビヒクルに懸濁させることおよび滅菌を濾過により達成することができないことを除いては、液剤と実質的に同じ様式で調製される。有効成分は、無菌ビヒクルに懸濁する前にエチレンオキシドに曝露することにより滅菌することができる。有利には、界面活性剤または湿潤剤を組成物に含めて有効成分の均一分布を容易にする。
本発明の化合物はまた、当技術分野において公知の医療機器を使用して投与してもよい。例えば、一態様では、本発明の薬学的組成物を、米国特許第5,399,163号;米国特許第5,383,851号;米国特許第5,312,335号;米国特許第5,064,413号;米国特許第4,941,880号;米国特許第4,790,824号;または米国特許第4,596,556号に開示されている装置などの、無針皮下注射装置を用いて投与することができる。本発明に有用な周知のインプラントおよびモジュールの例としては、制御された速度で医薬品を分配するための植え込み型マイクロ注入ポンプを開示する米国特許第4,487,603号;皮膚を通して薬品を投与するための治療装置を開示する米国特許第4,486,194号;正確な注入速度で医薬品を送達するための医薬品注入ポンプを開示する米国特許第4,447,233号;連続薬物送達用の可変流量植え込み型注入装置を開示する米国特許第4,447,224号;マルチチャンバ区画を有する浸透圧薬物送達システムを開示する米国特許第4,439,196号;および浸透圧薬物送達システムを開示する米国特許第4,475,196号が挙げられる。具体的な態様では、薬物溶出ステント、例えば、国際公開公報第01/87263号および関連する刊行物に記載されているものまたはPerin(Perin, EC, 2005)により記載されているものに相当するものを使用して、ヒドロキシノルボニルラパマイシン類似体が投与され得る。多くの他のこのようなインプラント、送達システムおよびモジュールが、当業者に知られている。
本発明の化合物の投与すべき投与量は、特定の化合物、関与する疾患、対象、ならびに疾患の性質および重症度ならびに対象の健康状態、ならびに選択する投与経路によって変化する。適当な投与量は当業者が容易に決定することができる。例えば、限定されることなく、1日最大15mgまで、例えば、1日0.1〜15mgの用量(またはより低頻度で高用量を与える)が企図され得る。
組成物は、投与方法に応じて、0.1%、例えば、0.1〜70%、好ましくは5〜60%、より好ましくは10〜30%の本発明の化合物を含有してもよい。
本発明の化合物の個々の投薬の最適量および間隔は、処置される状態の性質および程度、投与の形、経路および部位、ならびに処置される特定の対象の年齢および状態により決定されること、および医師が使用すべき適当な投薬を最終的に決定することが当業者により認識されるだろう。この投薬は、適当なだけ反復され得る。副作用が出た場合、通常の臨床診療にしたがって投薬の量および/または頻度を変更または減少させることができる。
本明細書において言及する全ての%値は、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、%w/wである。
[本発明1001]
以下の式(I) の化合物またはその薬学的に許容される塩:
Figure 0006268341

[本発明1002]
実質的に純粋な形の本発明1001の化合物。
[本発明1003]
医薬として使用するための本発明1001または本発明1002の化合物。
[本発明1004]
1種または複数の薬学的に許容される希釈剤または担体と共に、本発明1001または本発明1002の化合物を含む薬学的組成物。
[本発明1005]
1種または複数の薬学的に許容される希釈剤または担体と共に本発明1001の式(I)の化合物を含む薬学的組成物であって、該式(I)の化合物は組成物のポリケチド含量の少なくとも95%w/wの量で該組成物中に存在する、薬学的組成物。
[本発明1006]
ループスの処置に使用するための本発明1001または本発明1002の化合物。
[本発明1007]
多発性硬化症の処置に使用するための本発明1001または本発明1002の化合物。
[本発明1008]
有効量の本発明1001または本発明1002の化合物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、ループスまたは多発性硬化症を処置する方法。
[本発明1009]
ループスまたは多発性硬化症を処置するための薬品を製造するための本発明1001または本発明1002の化合物の使用。
[本発明1010]
以下の式(II)のスターター酸を、rapK遺伝子またはそのホモログを除去または不活性化するように遺伝子改変したラパマイシン産生株に供給する工程を含む、本発明1001の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を調製する方法:
Figure 0006268341
式中、R 1 はHまたはアルキル基を表す。
[本発明1011]
(i)以下の式(II)のスターター酸を、rapK遺伝子またはそのホモログを除去または不活性化するように遺伝子改変したラパマイシン産生株に供給する工程と;(ii)式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を単離および精製する工程とを含む、本発明1002の実質的に純粋な形の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を調製する方法:
Figure 0006268341
式中、R 1 はHまたはアルキル基を表す。
NZBWF1ループスモデルにおけるタンパク尿の推移への37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンの効果を示す図である(実施例5参照)。 NZBWF1ループスモデルにおけるトリグリセリドへの37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンの効果を示す図である(実施例5参照)。 NZBWF1ループスモデルにおけるコレステロールへの37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンの効果を示す図である(実施例5参照)。 ラパマイシンおよび37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンの構造を示す図である。
一般的方法
当業者は、以下に記載するものおよびGallant-Haindnerら、2000およびTrepanierら、1998およびこれらの文献中の参考文献を含むがそれに限定されるわけではない、当業者に知られているインビボおよびインビトロ法を使用して本発明の化合物の薬物動態およびバイオアベイラビリティを決定することができるだろう。化合物のバイオアベイラビリティは、その各々が本明細書において実施例に記載されるインビトロ試験により決定され得るいくつかの因子(例えば、水溶性、細胞膜透過性、タンパク質結合および代謝の程度ならびに安定性)により決定され、これらの因子の一つまたは複数の改善が化合物のバイオアベイラビリティの改善につながることが当業者により認識されるだろう。あるいは、本発明の化合物のバイオアベイラビリティは、以下または本明細書において実施例により詳細に記載されるインビボ法を使用して測定され得る。
インビボでバイオアベイラビリティを測定するために、化合物を腹腔内に(i.p.)または静脈内に(i.v.)と経口的に(p.o.)の両方で試験動物(例えば、マウスまたはラット)に投与することができ、血液試料を定期に採取して薬物の血漿中濃度が経時的にどのように変化するかを調べる。経時的な血漿中濃度の時間経過を使用して、標準モデルを用いて百分率として化合物の絶対バイオアベイラビリティを計算することができる。典型的なプロトコルの例を以下に記載する。
例えば、マウスまたはラットに、i.v.で1もしくは3mg/kgの本発明の化合物、またはp.o.で1、5もしくは10mg/kgの本発明の化合物を投与する。血液試料を5分、15分、1時間、4時間および24時間間隔で採取し、試料中の本発明の化合物の濃度をLCMS-MSを通して決定する。次いで、血漿中または全血中の濃度の時間経過を使用して、血漿中または血中の濃度-時間曲線下面積(AUC-体循環に達する未変化薬物の総量に直接比例する)、最大(ピーク)の血漿中または血中の薬物濃度、最大の血漿中または血中の薬物濃度が生じる時間(ピーク時間)などの主要パラメータ、化合物の終末半減期、全身クリアランス、定常状態分布容積およびF%を含むバイオアベイラビリティの正確な決定に使用される追加の因子を得ることができる。次いで、これらのパラメータを非コンパートメントまたはコンパートメント法により分析して、予測バイオアベイラビリティを得る。この種の方法の例については、Gallant-Haidnerら、2000およびTrepanierら、1998およびこれらの文献中の参考文献を参照されたい。
本発明の化合物の有効性は、本明細書において記載されている、および当業者に知られている神経変性疾患のインビボモデルで試験することができる。このようなモデルには、アルツハイマー病については、ヒト家族性アルツハイマー病(FAD)p-アミロイド前駆体(APP)を発現する動物、ヒト野生型APPを過剰発現する動物、p-アミロイド1-42(pA)を過剰発現する動物、FADプレセニリン-1(PS-1)を発現する動物(例えば、German and Eisch, 2004)が含まれるがそれに限定されるわけではない。多発性硬化症については、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデル(Bradl, 2003参照)がある。パーキンソン病については、1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(MPTP)モデルまたは6-ヒドロキシドーパミン(6-OHDA)モデル(例えば、Emborg, 2004; Schober A. 2004参照)がある。ハンチントン病については、高度に伸長したCAG反復を保有するヒトハンチントン病(HD)遺伝子のエキソン1をマウス生殖細胞系に導入することにより作成されるR6系モデル(Sathasivam et al, 1999)およびその他(Hersch and Ferrante, 2004参照)を含むいくつかのモデルが存在する。
材料および方法
材料
特に明示しない限り、以下の実施例に使用する全ての試薬は、商業的供給源から得た。
(1R*,2R*,4S*)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸、すなわち、(±)2-エキソ-ノルボルナンカルボン酸を、Guら、2011の方法により調製した。
(1R,2R,4S)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸をAvenozaら、1992の方法により調製した。
(1R,2S,4S)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸をAvenozaら、1992の方法により調製した。
培養
S.ハイグロスコピクスBIOT-4010またはMG2-10を、28℃で培地1寒天平板上に維持した(以下参照)。培地1上で培養後に胞子ストックを調製し、蒸留水中20%w/vグリセロール:10%w/v乳糖中に保存し、-80℃で保管した。凍結ストック0.1mLを250mLフラスコ中の50mL培地2(以下参照)に接種することにより栄養培地を調製した。培地を28℃、300rpmで36〜48時間インキュベートした。
生成法
栄養培地を培地3に2.5〜5%v/vで接種した。26℃、300rpmで6〜7日間培養を行った。
供給手順
(1R,2R,4S)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸、(1R,2S,4S)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸または(1R*,2R*,4S*)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸((±)2-エキソ-ノルボルナンカルボン酸としても知られている)の供給/添加を接種24〜48時間後に行い、特に明示しない限り1〜2mM最終濃度で供給した。
培地1:
Figure 0006268341
次いで、121℃、20分オートクレーブ処理して培地を滅菌した。
MD6培地(小規模発酵培地)
Figure 0006268341
滅菌前に、Sigmaα-アミラーゼ(BAN250)0.4mLを培地1Lに添加した。培地を121℃で20分間滅菌した。滅菌後、無菌40%フルクトース0.35mLおよびL-リジン0.10mL(水中140mg/mL、濾過滅菌)を各7mLに添加した。
RapV7種培地
Figure 0006268341
次いで、121℃、20分オートクレーブ処理して培地を滅菌した。オートクレーブ処理後にd-グルコース(10g/Lまで)を添加した。
MD6培地(小規模発酵培地)
Figure 0006268341
培地をpH6.0に調整し、0.4mL/Lα-アミラーゼ(Sigma A7595-液体、>250単位/g)を添加し、培地を121℃で30分間滅菌した。オートクレーブ処理後、d-フルクトース(20g/Lまで)およびl-リジン(塩酸塩)(2g/Lまで)を添加した。
MD6/5-1培地(中規模発酵培地)
Figure 0006268341
培地を121℃で30分間滅菌した。滅菌後、フルクトース15g/Lを添加した。48時間後、L-リジン0.5g/Lを添加した。
分析法
方法A
注入量:0.005〜0.1mL(感度に応じて必要な量)。HPLCを、Agilent「Spherisorb」「Rapid Resolution」カートリッジSB C8、3ミクロン、30mm×2.1mmで、
移動相A:0.01%純水中ギ酸
移動相B:0.01%アセトニトリル中ギ酸
流速:1mL/分
の移動相を流して行った。
0分で5%Bから2.5分で95%Bまで直線勾配を使用し、4分まで95%Bで維持し、次のサイクルまでに5%Bに戻した。検出は、254nmでのUV吸光度および/またはMicromass Quattro-Micro装置を使用した質量分析エレクトロスプレーイオン化(ポジティブまたはネガティブ)によった。
方法B
注入量:0.02mL。HPLCを、3ミクロンBDS C18 Hypersil(ThermoHypersil-Keystone Ltd)カラム、150×4.6mmで、50℃に維持し、
移動相A:アセトニトリル(100mL)、トリフルオロ酢酸(1mL)、脱イオン水で1Lにした1M酢酸アンモニウム(10mL)。
移動相B:脱イオン水(100mL)、トリフルオロ酢酸(1mL)、アセトニトリルで1Lにした1M酢酸アンモニウム(10mL)。
流速:1mL/分
の移動相を流して行った。
10分にわたって55%Bから95%Bまで直線勾配を使用し、その後2分95%B、0.5分55%Bおよびさらに2.5分55%Bとした。化合物検出は280nmでのUV吸光度によった。
方法C
HPLCシステムはAgilent HP1100を含み、3ミクロンBDS C18 Hypersil(ThermoHypersil-Keystone Ltd)カラム、150×4.6mmで、40℃に維持し、
移動相A:脱イオン水。
移動相B:アセトニトリル。
流速:1mL/分
の移動相を流して行った。
このシステムをBruker Daltonics Esquire3000エレクトロスプレー質量分析計に接続した。ポジティブネガティブ切替を500〜1000ダルトンのスキャン範囲にわたって使用した。10分にわたって55%Bから95%Bまで直線勾配を使用し、その後2分95%B、0.5分55%Bおよびさらに2.5分55%Bとした。
方法D
注入量:0.025mL。HPLCを、3ミクロンGemini NX C18(Phenomenex)カラム、150×4.6mmで、50℃に維持し、
移動相A:ギ酸(0.1%)を含む脱イオン水。
移動相B:ギ酸(0.1%)を含むアセトニトリル
流速:1mL/分
の移動相を流して行った。
10分にわたって55%Bから95%Bまで直線勾配を使用し、その後2分95%B、0.5分55%Bおよびさらに2.5分55%Bとした。化合物検出は280nmでのUV吸光度によった。
方法E
移動相A 10mM酢酸アンモニウム/水
移動相B ACN
カラム FluoroSep-RP Phenyl HS、50×2.1mm、5 m
カラム温度 周囲
オートサンプラー針洗浄溶液 10%ACN/水中0.5%ギ酸
注入量 0.012ml
オートサンプラー温度 10℃
WYE-126657保持時間 3.8分。
IS(WAY-130779)保持時間 3.8分。
合計実行時間6.7分。
勾配プログラム
Figure 0006268341
質量分析条件
Sciex API 4000(シリアル番号:V09300509)Batman
実験:MRM(多重反応モニタリング)
Figure 0006268341
・(M+NH4)+は親イオンである。
実施例1. S. ハイグロスコピクスBIOT-4010またはMG2-10の生成
S. ハイグロスコピクスMG2-10を生成するための方法論については、国際公開公報第2004/007709号の実施例2を参照する。この株をBIOT-4010の代わりに使用して、形質転換後、pLL158などのrapIJMNOLを発現するベクターを用いて標準的プロトコルを使用して、37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンを生成することができる(国際公開公報第2006/016167号、Gregory et al., 2012)。
BIOT-3410は、突然変異誘発および高産生変異体の選択により生成されるS. ハイグロスコピクスNRRL5491のラパマイシン産生株の高産生派生株であり、BIOT-4010は、S. ハイグロスコピクスMG2-10について記載したのと同様の方法論を使用してrapKを特異的に欠失させたBIOT-3410の変異体である。そのため、BIOT-4010は、選択株に基づくS. ハイグロスコピクスMG2-10の高産生変異体である。しかしながら、S. ハイグロスコピクスNRRL5491自体または派生株を使用して本発明の化合物を産生する株を生成することもできるだろう。
本発明者らの戦略は、rapKの5'末端に近い天然のMfel部位を利用した。組み込みのための相同性の上流および下流領域を作成するために、pR19からの7.3kbp Ncolフラグメント(Schwecke et al., 1995)を、Ncolで消化し、脱リン酸化したpLitmus28にクローニングし、コスミド-2からの4.2kbp Nhel/Pstlフラグメント(Schwecke et al., 1995)をPstl-Spelで消化したpLitmus28にクローニングした。これにより、中間体プラスミドpLitmus28-7.3およびpLitmus28-4.2がそれぞれ得られた。Mfel部位からの所望の欠失をrapKの内部部位に導入するために、2種のオリゴヌクレオチドを使用して、プラスミドpR19を鋳型として用いて(Schwecke 1995)必要な領域を増幅した
Figure 0006268341
。得られた1.5kbp PCR産物をT4ポリヌクレオチドキナーゼで処理し、EcoRVで消化し脱リン酸化したpLitmus28にクローニングし、クローニングPCR産物を配列決定した。このプラスミドからの1.5kbp Mfel-BglIIフラグメントを切除し、pLitmus28-4.2の2.3kbp Mfel-BglIIフラグメントを置換するために使用した。コンストラクトを完成させるために、このプラスミドの3.3kbp Mfel-HindIIIフラグメントを同様に消化したpLitmus28-7.3に連結した。最後に、欠失コンストラクトをHindIII/Xbalフラグメントとして接合ストレプトマイセスベクターpKC1132に移植した(Bierman et al., 1992)。最終コンストラクトをpSG3998と命名した。
プラスミドpSG3998を電気穿孔により大腸菌(E. coli)ET12567:pUZ8002に形質転換し、アプラマイシン(50μg/mL)、カナマイシン(25μg/mL)およびクロラムフェニコール(12.5μg/mL)を含有する2TYプレート上で選択し、これらを一晩30℃でインキュベートした。コロニーを使用して同じ抗生物質を含有する液体2TY培地(4mL)に接種し、30℃および250rpmで一晩インキュベートした。一晩培養液約0.8mLを使用して同じ抗生物質を含有する2TY(10mL)に接種し、約0.5のOD(595nm)に達するまで30℃および250rpmでインキュベートした。培養液を4000rpmで遠心分離し、2TYで2度洗浄し、得られた細胞ペレットを2TY(0.25mL)に懸濁した。BIOT-3401の胞子を解凍し、遠心分離(4000rpm)によりペレット化し、2TY(1mL)に懸濁する前に2TY(1mL)で洗浄した。次いで、胞子を氷の直接上に置く前に50℃で10分間熱ショックに曝露した。1接合当たり約100μLの胞子ストックを使用し、2TY(150μL)を添加して体積を0.25mLに調整した。洗浄した大腸菌細胞0.25mLを調整したBIOT-3401胞子ストックと混合し、乾燥R6プレートの上に直ちに広げることにより、接合を行った。プレートを短時間乾燥させ、クリングフィルムに包み、37℃で2〜3時間インキュベートした。次いで、各プレートを、ナリジクス酸(50mg/L溶液15μL)を含有する無菌水(1mL)で重層し、乾燥させ、37℃で一晩インキュベートした。次いで、プレートを、アプラマイシン(100mg/L溶液15μL)を含有する無菌水(1mL)で重層し、37℃でインキュベートした。4〜7日後に接合完了体コロニーが現れ、これらをアプラマイシン(50μg/mL)およびナリジクス酸(25μg/mL)を含有する培地1プレート上にピックし、アプラマイシン(50μg/mL)およびナリジクス酸(25μg/mL)を含有する培地1プレートに再パッチする(re-patching)前に37℃で3〜4日間インキュベートした。次いで、このパッチ工程を、抗生物質を用いず培地1プレート上で3ラウンド反復し、良好な増殖が目に見えるまで37℃でインキュベートした。次いで、パッチを培地1プレートに移し、28℃でインキュベートして胞子形成を促進した(約7〜10日)。胞子を回収し、脱脂綿を通して濾過し、希釈系列を調製した。希釈系列のアリコート(100μL)を培地1プレート上に置き、胞子がコロニー上に見えるまで28℃でインキュベートした。コロニーを、アプラマイシン(50μg/mL)を含むおよび含まないプレートに並列にパッチした。次いで、候補二次組換え体である、アプラマイシン感受性コロニーを培養してラパマイシン産生を評価した。24時間後に、外因性トランス-4-ヒドロキシCHCAを産生培地に添加することにより非産生菌をさらに試験して、ラパログ(rapalog)ムタシンセシス(mutasynthetic)産生を確認およびrapKの所望の破壊を検証した。最良株をBIOT-4010と命名した。
実施例2. 発酵および試験化合物の単離
1.1 発酵および37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンの単離
液体培養(小規模)
BIOT-4010の単一寒天プラグ(agar plug)を使用してフォーム栓(foam bung)で塞いだFalconチューブ(50mL)中のRapV7種培地(7mL)に接種し、28℃および300rpm(2.5cm行程)で48時間培養した。MD6産生培地(7mL)に大口径チップを使用してこの種培地(0.5mL)を接種し、26℃および300rpm(2.5cmスロー)で6日間発酵させた。(1R,2R,4S)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸、(1R,2S,4S)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸または(1R*,2R*,4S*)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸((±)2-エキソ-ノルボルナンカルボン酸としても知られている)を24時間培養後に産生培地に添加した。供給材を典型的にはメタノール中0.32Mストック溶液として調製し、50μLを各チューブに添加して2mMの最終濃度を得た。
(1R,2R,4S)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸を供給した結果として37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンが得られ、これは8.4分の保持時間を有する(方法D)。(1R,2S,4S)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸を供給すると、8.3分の保持時間を有する異なるヒドロキシノルボルニルラパマイシン(すなわち、37S-ヒドロキシノルボルニルラパマイシン)が得られる(方法D)。
発酵(予備)
Figure 0006268341
抽出および精製
発酵ブロスを遠心分離(3000rpm、30分)により清澄化し、全物質の5%未満を含有する場合、上清を捨てた。細胞ペーストをアセトニトリル(2体積)に懸濁し、室温で1時間攪拌した。得られたスラリーを遠心分離し、上清をデカントした。この手順を反復し、上清を合わせ、減圧下40℃でアセトニトリルを除去した。得られた水性スラリーを等体積の酢酸エチルで2回抽出し、有機分画を合わせ、減圧下40℃で溶媒を除去した。得られた粗抽出物を37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシン含量について分析し、クロマトグラフ分離前に4℃で保管した。
粗抽出物をメタノール:水(80:20; 200〜300mL)に溶解し、等体積のヘキサンで2回抽出した。メタノール:水相を保持し、減圧下40℃で溶媒を除去して粘性液体残渣を得た。この物質を最初にクロロホルム(1L)、次いで、クロロホルム中それぞれ1%、2%および3%メタノールの1L体積で溶出してフラッシュシリカゲル(25×5cmカラム)上でクロマトグラフした。約250mLの分画を取り、HPLCにより分析した。溶媒を、BC319を含有する分画から除去して固体残渣を残した。これをさらに酢酸エチル:ヘキサン(1:1)で溶出してフラッシュシリカゲル(20×2.5cmカラム)上でクロマトグラフした。約200mLの分画を取り、HPLCにより分析した。(1R,2R,4S)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸の供給に相当するピーク(上記)を含有する分画をプールし、溶媒を除去して固体残渣を残した。これを21mL/分の流速で水(A)およびアセトニトリル(B)の勾配:T=0分、50%B;T=25分、100%Bで溶出して逆相シリカゲル(Waters XTerra C18-ODS2、10ミクロン粒径、19×250mm)上でクロマトグラフした。(1R,2R,4S)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸の供給に相当するピーク(上記)を含有する分画をプールし、真空中で溶媒を除去して37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンを得た。
実施例3-ジャーカット細胞株におけるS6キナーゼ阻害についてのインビトロ生物検定
37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンを、ジャーカットヒトT細胞株で、mTOR基質、S6Kのリン酸化の阻害について試験した。ジャーカットT細胞を、37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシン、CCI-779(テムシロリムス)またはラパマイシンにより37℃で4時間処理した。細胞を回収し、溶解し、等量の細胞可溶化物をウエスタンブロットにより分析した。このアッセイで、37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンは、表1に示すように、他のラパマイシン類似体と比べて類似のまたは強力なThr389上のS6Kリン酸化の阻害を示した。
(表1)
Figure 0006268341
実施例4-薬物動態分析
37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンの薬物動態を、雄スプラーグドーリーラットで特徴づけた。各群は4匹の絶食動物からなっていた。1群に、DMSO/80%PEG200に溶解した約7.5mg/kgの試験物の単一ボーラス静脈内用量を投与した。他の群に、0.2%tween-80、0.7%エタノールおよび9.1%プロピレングリコールに溶解した32.8mg/kgの単一経口用量を投与した。試料を0.25、0.5、1、2、4、6、8および24時間で採取し、以下の通り抽出した。試料を、血液のアリコート(0.05ml)により抽出し、検証QC試料を、氷上に置いた2mL 96ウェルプレートの個々のウェルに入れた。水50μLアリコートを、試料を含有する各ウェルに添加した。スパイク溶液の10μLアリコートを対応する標準に添加し、ACN10μLを検証QC試料に添加した。次いで、プレートを穏やかにボルテックスして混合した。次いで、96ウェルプレートを試料抽出のためにTomtec Quadra 96-320に移した。100ng/mLでWAY-130799(内部標準)を含有するACNの400μL体積を、試料および単一ブランク(二重ブランク試料を除く)を含有する各ウェルに添加した。二重ブランク試料を、ISを含有しないACNで抽出した。プレートを4分間ボルテックスし、次いで、試料を3400rpmで5分間遠心分離した。上清400μL体積を各試料からクリーンなプレートに移し、N2下35℃で液体を蒸発させた。試料を150μL の30%ACN/水中で再構成した。次いで、試料を方法Eにより分析し、標準曲線に対して定量化した。得られたデータから、当業者に知られている方法(一般的方法参照)によりPK値を計算することができた。
表2はこの試験から計算した薬物動態パラメータを示している。
(表2)
Figure 0006268341
比較して、ラットにおけるラパマイシンの半減期は約31時間となる(http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/EPAR_-_Scientific_Discussion/human/000273/WC500046434.pdf)。
データから分かるように、37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンは、ラットにおいてラパマイシンと比べて短い半減期を示し、ヒトにおいても同様にそのようになると予想され得る。37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンは、ラパマイシンより高いバイオアベイラビリティを有すると予想される。
実施例5-SLEのインビボNZBWF1モデルにおける評価
この試験の目的は、全身性エリテマトーデスのNZBWF1/Jマウスモデルにおける、37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシン、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)の阻害剤の効果を評価することであった。CCI-779(テムシロリムス)、正の比較物質(comparator)として使用する別のmTOR阻害剤は、このモデルにおいて疾患を改善するのに効果的である。手短に言えば、26週齢の雌NZBWF1/Jマウスを、14週間、毎日経口的にビヒクル(Phosal)、CCI-779または1、5または10mg/kgの37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンで処置した。各腎臓の半分を回収し、ルーチンな組織学的処理のために10%中性緩衝化ホルマリンに供した。さらに、各腎臓の別の半分をOCT(登録商標)培地中で凍結し、IgG、IgMおよびC3についての免疫組織学的染色に供した。腎臓のヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)-と過ヨウ素酸-Schiff(PAS;ヘマトキシリン対比染色を伴う)-染色組織切片、ならびにIgG、IgMおよびC3についての免疫組織学的染色(ヘマトキシリン対比染色を伴う)腎臓の組織切片を試験した。
各動物の腎臓の各H&E染色組織切片について、炎症性病巣および管内タンパク質様(すなわち、硝子様)円柱の総数を両腎臓でカウントした。炎症性病巣が癒合している場合には、癒合病巣に寄与した各々約100個の細胞の病巣の数をカウントすることにより個々の病巣の数を評価した。市販の画像解析ソフトウェアパッケージ(Image-Pro Plus v.5.1、Media Cybernetics、Silver Spring、MD)を使用して、各動物の腎臓のPAS染色組織切片に形態計測を行った。各動物の各PAS染色組織切片について、Zeiss Axiolmager. A1顕微鏡およびZeiss AxioCam HRcデジタル顕微鏡カメラを使用して1388×1040解像度で5つの40倍率のカラー顕微鏡写真を撮影した。各顕微鏡写真が1個または2個の糸球体を有する、各腎皮質中の糸球体の顕微鏡写真を撮影した。糸球体係蹄の周縁を手動で追跡し、その係蹄の総面積、その係蹄中の青色核物質の総面積およびその係蹄中の濃ピンク色物質(PAS陽性物質と解釈される)の総面積を決定することにより、1動物当たり計10個の糸球体(腎臓一つ当たり5個)を形態計測学的に評価した。全ての面積を、そのパラメータについての事前設定基準を満たす総画素数としてキャプチャした。糸球体内のIgG、IgMおよびC3についての免疫組織化学的染色を、無し(0)、わずか(1)、軽度(2)、中等度(3)または重度(4)として主観的に評価した。腎臓中の炎症性病巣およびタンパク質様円柱の群平均数、ならびに糸球体形態計測と糸球体内のIgG、IgMおよびC3についての免疫組織化学的染色についての群平均スコアを評価した。腎臓中の炎症性病巣およびタンパク質様円柱;糸球体形態計測;ならびに糸球体内のIgG、IgMおよびC3についての免疫組織化学的染色についての群平均の概要を表3に要約する。
(表3)炎症、タンパク質様円柱、糸球体形態計測パラメータおよび免疫組織化学的染色についての群平均の概要
Figure 0006268341
Phosal処置マウスの顕微鏡的所見は、単核炎症性細胞が腎臓に浸潤している;尿細管中のタンパク質様円柱;細胞充実性が増加し、PAS陽性メサンギウム基質が増加した大きな糸球体;ならびに糸球体内のIgG、IgMおよびC3についての大量の免疫組織化学的染色であった。10mg/kgのCCI-779による処置は、これらの所見の全てについて評価される全てのパラメータについての実質的に低い群平均をもたらした。類似のまたはより低用量レベル(5および10mg/kg)の37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンによる処置も、Phosalによる処置と比べて全てのパラメータについて実質的に低い群平均をもたらした。5または10mg/kgの37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンの有益な効果は、CCI-779(10mg/kg)のものと概して類似であった(図1参照)。10mg/kg、37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンを含む全ての用量レベルでの、このアッセイでの37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンはまた、コレステロールとトリグリセリドレベルの両方の上昇の低下も示した(図2および図3)。これにより、CCI-779と同様の有効性に要する用量レベルで、37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンは、ラパマイシン、CCI-779および類似のラパマイシン類似体の主要な副作用の一つである高脂血症の低下をもたらすことが明らかとなった。
実施例6-FKBP12のインビトロ阻害の評価
この試験の目的は、PPIaseアッセイを使用して、FKBP12、ラパマイシンの神経再生活性の標的に対する37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンの効果を評価することであった。
Figure 0006268341
Ki値を±標準誤差として表し、%CVは変動係数である。
データから分かるように、37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンは、ラパマイシン、FK506および異性体37S-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンよりも強力にFKBP12のPPIase活性を阻害する。
実施例7-単層アッセイでのインビトロ抗腫瘍活性の評価
この試験の目的は、37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンが膠芽腫がん細胞株SF268およびU87MGならびに前立腺がん細胞株DU145およびPC3を阻害する能力を評価することであった。37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンおよびラパマイシンについてのデータは、2つの実行の平均である。
Figure 0006268341
分かるように、37R-ヒドロキシノルボルニルラパマイシンは単層アッセイにおいてがん細胞増殖阻害でラパマイシンおよびCCI-779よりも強力である。
参考文献
Figure 0006268341
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Figure 0006268341
Figure 0006268341
Figure 0006268341
特許および特許出願を含む本出願で言及する全ての参考文献は、可能な限り最大限に参照により本明細書に組み入れられる。本明細書および以下の特許請求の範囲の全体を通して、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、単語「含む(comprise)」ならびに「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」などの変形は、明言する整数、工程、整数の群または工程の群の包含を意味するが、任意の他の整数、工程、整数の群または工程の群の除外を意味しないことが理解される。

Claims (10)

  1. 以下の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:
    Figure 0006268341
  2. 実質的に純粋な形の請求項1記載の化合物。
  3. 1種または複数の薬学的に許容される希釈剤または担体と共に、請求項1または請求項2記載の化合物を含む薬学的組成物。
  4. 1種または複数の薬学的に許容される希釈剤または担体と共に請求項1記載の式(I)の化合物を含む薬学的組成物であって、該式(I)の化合物は組成物のポリケチド含量の少なくとも95%w/wの量で該組成物中に存在する、薬学的組成物。
  5. ループスの処置に使用するための、請求項3または請求項4記載の薬学的組成物。
  6. 多発性硬化症の処置に使用するための、請求項3または請求項4記載の薬学的組成物。
  7. 有効量の請求項1または請求項2記載の化合物を含む、ループスまたは多発性硬化症を処置するための薬学的組成物。
  8. ループスまたは多発性硬化症を処置するための薬品を製造するための請求項1または請求項2記載の化合物の使用。
  9. 以下の式(II)のスターター酸を、rapK遺伝子またはそのホモログを除去または不活性化するように遺伝子改変したラパマイシン産生株に供給する工程を含む、請求項1記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を調製する方法:
    Figure 0006268341
    式中、RはHまたはアルキル基を表す。
  10. (i)以下の式(II)のスターター酸を、rapK遺伝子またはそのホモログを除去または不活性化するように遺伝子改変したラパマイシン産生株に供給する工程と;(ii)式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を単離および精製する工程とを含む、請求項2記載の実質的に純粋な形の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を調製する方法:
    Figure 0006268341
    式中、RはHまたはアルキル基を表す。
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