JP6267802B2 - パターン形成体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パターン形成体の製造方法に関する。更に詳しくは、半導体集積回路、フラットスクリーン、マイクロ電気機械システム、センサ素子、光ディスク、高密度メモリーディスク等の磁気記録媒体、回折格子やレリーフホログラム等の光学部品、ナノデバイス、光学デバイス、フラットパネルディスプレイ製作のための光学フィルムや偏光素子、液晶ディスプレイの薄膜トランジタ、有機トランジスタ、カラーフィルタ、オーバーコート層、柱材、液晶配向用のリブ材、マイクロレンズアレイ、免疫分析チップ、DNA分離チップ、マイクロリアクター、ナノバイオデバイス、光導波路、光学フィルタ、フォトニック液晶、インプリント用モールド、永久膜等の作製に用いられるパターン形成体の製造方法に関する。
インプリント法とは、パターンが形成された金型(一般的にモールド、スタンパと呼ばれる)を押し当てることにより、材料に微細パターンを転写する技術である。インプリント法を用いることで簡易に精密な微細パターンの作製が可能なことから、近年さまざまな分野での応用が期待されている。特に、ナノオーダーレベルの微細パターンを形成するナノインプリント技術が注目されている。
インプリント法としては、その転写方法から熱インプリント法、光インプリント法と呼ばれる方法が提案されている。熱インプリント法は、ガラス転移温度以上に加熱した熱可塑性樹脂にモールドをプレスした後、熱可塑性樹脂をガラス転移温度以下に冷却してからモールドを離型することで微細構造を基板上の樹脂に転写するものである。
一方、光インプリント法は、光透過性モールドや光透過性基板を通して光照射して硬化性組成物を光硬化させた後、モールドを剥離することで微細パターンを光硬化物に転写するものである。この方法は、未硬化物へのインプリントのため、高圧、高温加熱の必要はなく、簡易に微細なパターンを作製することが可能である。更には、室温でのインプリントが可能になるため、半導体集積回路の作製などの超微細パターンの精密加工分野に応用できる。
また、近年では、インプリント法により得られた凹凸パターンを永久膜として用いることが検討されている。凹凸パターンを永久膜として使用するにあたり、溶剤と膜形成成分を含む組成物(膜形成用組成物)を凹凸パターンの表面に塗布して膜を形成し、機能性を付与する試みも検討されている。
特許文献1には、ゾルゲル法を利用して製造したインプリントパターン上にシラン材料を塗布して、撥水層を形成することが記載されている。
また、特許文献2には、インプリントリソグラフィ工程に多層膜を利用する方法が提案されており、パターン形成層はシリコンを含まない重合性組成物を用い、積層構造物としてシリコンを含む重合性組成物を用いることが記載されている。
特開2011−183554号公報 特表2010−541193号公報
しかしながら、凹凸パターンの表面に膜を形成する際、図2に示すように、膜形成用組成物の乾燥時にパターン凸部1が曲がったり、倒れたりして、パターン欠陥が生じることがあった。また、膜形成用組成物は、膜形成成分の溶解性や、塗布性等の観点から、表面張力の大きい溶剤を含むものが使用されることがあるが、表面張力の大きい膜形成用組成物を用いた場合に上記の問題が特に生じ易かった。
よって、本発明の目的は、凹凸パターンの表面に膜が形成されたパターン形成体を、パターン欠陥の発生を抑制しつつ製造できる、パターン形成体の製造方法を提供することにある。
本発明者が鋭意検討した結果、凹凸パターンの表面に適用した膜形成用組成物の乾燥が進み、液面がパターン凸部以下になると、膜形成用組成物によるキャピラリー力がパターン凸部にかかることが原因で、パターン倒れ等のパターン欠陥が発生すると考えた。そして、パターン凸部にかかる、上記キャピラリー力をより小さくできれば、パターン欠陥の発生を抑制できると考え、本発明を完成するに至った。本発明は、以下を提供する。
<1> 凹凸パターンの表面に、溶剤と膜形成成分を含む第1の組成物を適用する工程と、第1の組成物よりも表面張力が低い第2の組成物を、凹凸パターンの表面が、適用した第1の組成物から露出する前に、凹凸パターン上の第1の組成物を適用した領域上に適用する工程と、凹凸パターンに適用された第1の組成物および第2の組成物を乾燥して、凹凸パターンの表面に膜を形成する工程とを含む、パターン形成体の製造方法。
<2> 第1の組成物の25℃における表面張力と、第2の組成物の25℃における表面張力との差が2mN/m以上である、<1>に記載のパターン形成体の製造方法。
<3> 第1の組成物の25℃における表面張力が23mN/mを超える、<1>または<2>に記載のパターン形成体の製造方法。
<4> 第2の組成物の25℃における表面張力が23mN/m以下である、<1>または<2>に記載のパターン形成体の製造方法。
<5> 第1の組成物を凹凸パターン上に適用後、10秒以内に第2の組成物を、凹凸パターン上の第1の組成物を適用した領域に適用する、<1>〜<4>のいずれかに記載のパターン形成体の製造方法。
<6> 凹凸パターンが、光硬化性組成物を用いて形成された凹凸パターンである、<1>〜<5>のいずれかに記載のパターン形成体の製造方法。
<7> 光硬化性組成物が、重合性基を1個有する重合性化合物を含むものである、<6>に記載のパターン形成体の製造方法。
<8> 光硬化性組成物が、重合性基を1個有する重合性化合物を、光硬化性組成物に含まれる重合性化合物全量に対して、0〜60質量%の割合で含有するものである、<6>に記載のパターン形成体の製造方法。
<9> 凹凸パターンが、インプリント法で形成された凹凸パターンである、<1>〜<8>のいずれかに記載のパターン形成体の製造方法。
<10> 凹凸パターンが、幅300nm以下のパターンを有するものである、<1>〜<9>のいずれかに記載のパターン形成体の製造方法。
本発明によれば、凹凸パターンの表面に膜が形成されたパターン形成体を、パターン欠陥の発生を抑制しつつ製造できる。
本発明の方法で得られるパターン形成体の一例の概念図である。 パターン欠陥の発生メカニズムを示す概念図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルを表す。
本明細書において、「インプリント」は、好ましくは、1nm〜10mmのサイズのパターン転写をいい、より好ましくは、およそ10nm〜100μmのサイズ(ナノインプリント)のパターン転写をいう。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「光」には、紫外、近紫外、遠紫外、可視、赤外等の領域の波長の光や、電磁波だけでなく、放射線も含まれる。放射線には、例えばマイクロ波、電子線、EUV、X線が含まれる。また248nmエキシマレーザー、193nmエキシマレーザー、172nmエキシマレーザーなどのレーザー光も用いることができる。これらの光は、光学フィルタを通したモノクロ光(単一波長光)を用いてもよいし、複数の波長の異なる光(複合光)でもよい。
本発明における質量平均分子量および数平均分子量は、特に述べない限り、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したものをいう。GPCは、得られたポリマーについて、溶媒を除去することによって単離し、得られた固形分をテトラヒドロフランにて0.1質量%に希釈して、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)にて、TSKgel Super Multipore HZ−H(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本直列につないだものをカラムとして測定することができる。条件は、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35mL/min、サンプル注入量を10μL、測定温度を40℃とし、RI検出器を用いて行うことができる。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書における固形分は、25℃における固形分である。
本明細書において、表面張力は、協和界面科学(株)製表面張力計SURFACE TENS−IOMETER CBVP−A3を用い、プラチナプレートを用いて25±0.2℃で測定し、プレート下端を測定サンプルに浸漬させた後引き上げた際の値である。プラチナプレートは測定前にアルコールランプにて加熱し表面の洗浄を実施する。
本明細書において、粘度は、東機産業(株)社製のRE−80L型回転粘度計を用い、25±0.2℃において、測定時の回転速度として、0.5mPa・s以上5mPa・s未満は100rpm、5mPa・s以上10mPa・s未満は50rpm、10mPa・s以上30mPa・s未満は20rpm、30mPa・s以上60mPa・s未満は10rpmで、それぞれ設定して測定した値である。
本発明のパターン形成体の製造方法は、凹凸パターンの表面に、溶剤と膜形成成分を含む第1の組成物を適用する工程と、第1の組成物よりも表面張力が低い第2の組成物を、凹凸パターンの表面が、適用した第1の組成物から露出する前に、凹凸パターン上の第1の組成物を適用した領域上に適用する工程と、凹凸パターンに適用された第1の組成物および第2の組成物を乾燥して、凹凸パターンの表面に膜を形成する工程とを含む。
本発明によれば、凹凸パターンの表面に第1の組成物を適用した後、凹凸パターンの表面が第1の組成物から露出する前に、第1の組成物よりも表面張力の低い第2の組成物を、凹凸パターン上の第1の組成物を適用した領域上に適用するので、凹凸パターンの表面に適用した組成物の乾燥が進み液面が凸部以下になっても、パターン凸部にかかるキャピラリー力は、第1の組成物のみを単独で適用した場合よりも、よりも小さくできる。このため、組成物の乾燥に伴うパターン倒れなどのパターン欠陥の発生を抑制しつつ、凹凸パターンの表面に膜を形成することができる。特に、第1の組成物として、表面張力の高いものを用いた場合であっても、本発明の方法によれば、パターン凸部にかかるキャピラリー力をより小さくできる。
まず、凹凸パターンについて説明する。
凹凸パターンの材質は、特に限定はない。光硬化性組成物、熱硬化性組成物、金属、シリコン、炭化ケイ素、金属などが挙げられ、光硬化性組成物が好ましい。光硬化性組成物で形成された凹凸パターンは、強度が低いものが多いので、凹凸パターンの表面に膜を形成する際、従来の方法ではパターン倒れが生じやすい傾向にあったが、本発明の方法によれば、強度の低い凹凸パターンに対しても、パターン倒れなどのパターン欠陥の発生を抑制しつつ、表面に膜を形成できる。
凹凸パターンは、幅300nm以下のパターンを有することが好ましく、幅100nm以下のパターンを有することがより好ましい。
インプリント法により形成したパターンをマスクとして、エッチング等の方法により基材を加工して凹凸パターンを形成してもよい。
また、パターン反転法により凹凸パターンを形成してもよい。パターン反転法とは、具体的には、炭素膜(SOC)などの基材に、レジストパターンを形成する。次に、レジストパターンをSi含有膜(SOG)などで被覆した後、Si含有膜の上部をエッチングバックしてレジストパターンを露出させ、露出したレジストパターンを酸素プラズマ等により除去することで、Si含有膜の反転パターンを形成することができる。さらにSi含有膜の反転パターンをエッチングマスクとして、その下層にある基材をエッチングすることで、基材に反転パターンが転写する。最後に、反転パターンが転写された基材をエッチングマスクとして、基材をエッチング加工する方法である。このような方法の例としては、特開平5−267253号公報、特開2002−110510号公報、特表2006−521702号公報の段落0016〜0030を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明では、凹凸パターンの形成方法は、微細なパターンを低コスト且つ高い精度で形成することが可能であるという理由から、インプリント法がより好ましく、光インプリント法がさらに好ましい。
<インプリント法による凹凸パターンの形成方法>
インプリント法による凹凸パターンの形成方法は、光硬化性組成物を、基材上またはパターンを有するモールド上に適用してパターン形成層を形成する工程と、基材とモールドとでパターン形成層を挟んで圧接する工程と、パターン形成層に光を照射する工程と、パターン形成層の表面からモールドを離型する工程を含む。以下説明する。
光硬化性組成物を、基材上またはパターンを有するモールド上に適用してパターン形成層を形成する。
光硬化性組成物については、後述する。
基材としては、特に限定はなく、種々の用途によって選択可能である。例えば、石英、ガラス、光学フィルム、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基板、紙、SOC(Spin On Carbon)、SOG(Spin On Glass)、ポリエステルフイルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等のポリマー基板、薄膜トランジスタ(TFT)アレイ基板、プラズマディスプレイパネル(PDP)の電極板、ITO(酸化インジウムスズ)や金属などの導電性基板、絶縁性基板、シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコンなどの半導体作製基板などが挙げられる。
基材の形状も特に限定されるものではなく、板状でもよいし、ロール状でもよい。また、モールドとの組み合わせ等に応じて、光透過性、または、非光透過性のものを選択することができる。
基材は、光硬化性組成物と密着性を向上させるために、基材表面に下層膜形成用組成物を適用して、下層膜を形成したものを用いてもよい。下層膜形成用樹脂組成物は、例えば、重合性化合物と溶剤とを含むものが用いられる。下層膜形成用樹脂組成物としては、例えば、特開2014−24322号公報の段落番号0017〜0068、特開2013−93552号公報の段落番号0016〜0044に記載されたものを用いることができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。下層膜形成用樹脂組成物の適用方法としては、塗布法が好ましい。塗布法としては、例えば、上述した方法が挙げられる。
モールドには、転写されるべきパターンが形成されている。モールド上のパターンは、例えば、フォトリソグラフィや電子線描画法等によって、所望する加工精度に応じてパターンが形成できる。例えば、モールドには、幅300nm以下のパターンが形成されていることが好ましく、100nm以下のパターンが形成されていることがより好ましい。また、パターンのアスペクト比は、0.1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
モールドの材質は、特に限定されないが、所定の強度、耐久性を有するものであればよい。具体的には、ガラス、石英、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサンなどの柔軟膜、光硬化膜、金属膜等が例示される。また、光透過性の基材を用いた場合には、非光透過型のモールドを用いることもできる。非光透過型のモールドの材質としては、特に限定されないが、所定の強度を有するものであればよい。具体的には、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基板、SiC、シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコンなどが例示され、特に制約されない。また、モールドの形状も特に制約されるものではなく、板状モールド、ロール状モールドのどちらでもよい。ロール状モールドは、特に転写の連続生産性が必要な場合に適用される。
モールドは、光硬化性組成物とモールド表面との剥離性を向上させるために離型処理を行ったものを用いてもよい。このようなモールドとしては、シリコン系やフッソ系などのシランカップリング剤による処理を行ったもの、例えば、ダイキン工業(株)製のオプツールDSXや、住友スリーエム(株)製のNovec EGC−1720等、市販の離型剤も好適に用いることができる。
光硬化性組成物の適用方法としては、塗布法が好ましい。塗布法としては、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート方法、スリットスキャン法、インクジェット法などが挙げられる。
パターン形成層の膜厚は、使用する用途によって異なる。例えば、乾燥後の膜厚が0.03〜30μm程度が好ましい。また、光硬化性組成物を、多重塗布により塗布してもよい。インクジェット法などにより基材上に液滴を設置する方法において、液滴の量は1pl〜20pl程度が好ましく、液滴を間隔をあけて基材上またはモールド上に配置することが好ましい。
次に、パターン形成層にパターンを転写するために、パターン形成層表面にモールドを圧接する。これにより、モールドの押圧表面にあらかじめ形成された微細なパターンをパターン形成層に転写することができる。
また、パターン形成層表面にモールドを押圧する際には、ヘリウムガスをモールドとパターン形成層表面との間に導入してもよい。このような方法を用いることにより、気体のモールドの透過を促進して、残留気泡の消失を促進させることができる。また、パターン形成層中の溶存酸素を低減することで、露光におけるラジカル重合阻害を抑制することができる。また、ヘリウムガスの替わりに、凝縮性ガスをモールドとパターン形成層との間に導入してもよい。このような方法を用いることにより、導入された凝縮性ガスが凝縮して体積が減少することを利用し、残留気泡の消滅をさらに促進させることができる。凝縮性ガスとは、温度や圧力により凝縮するガスのことをいい、例えば、トリクロロフルオロメタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン等を用いることができる。凝縮性ガスについては、例えば、特開2004−103817号公報の段落0023、特開2013−254783号公報の段落0003の記載を参酌することができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
次に、モールドを押圧した状態で光照射して光硬化性組成物を硬化させる。光照射の照射量は、光硬化性組成物の硬化に必要な照射量よりも十分大きければよい。硬化に必要な照射量は、光硬化性組成物の不飽和結合の消費量や硬化膜のタッキネスを調べて適宜決定される。
光照射の際の基板温度は、通常、室温で行われるが、反応性を高めるために加熱をしながら光照射してもよい。光照射の前段階として、真空状態にしておくと、気泡混入防止、酸素混入による反応性低下の抑制、モールドと光硬化性組成物との接着性向上に効果があるため、真空状態で光照射してもよい。光照射時における好ましい真空度は、10−1Paから常圧の範囲が好ましい。
光硬化性組成物を硬化させるために用いられる光は特に限定されず、例えば、高エネルギー電離放射線、近紫外、遠紫外、可視、赤外等の領域の波長の光または放射線が挙げられる。高エネルギー電離放射線源としては、例えば、コッククロフト型加速器、ハンデグラーフ型加速器、リニヤーアクセレーター、ベータトロン、サイクロトロン等の加速器によって加速された電子線が工業的に最も便利且つ経済的に使用されるが、その他に放射性同位元素や原子炉等から放射されるγ線、X線、α線、中性子線、陽子線等の放射線も使用できる。紫外線源としては、例えば、紫外線螢光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯、太陽灯等が挙げられる。放射線には、例えばマイクロ波、極紫外線(EUV)が含まれる。また、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー光、あるいは248nmのKrFエキシマレーザー光や193nmArFエキシマレーザーなどの半導体の微細加工で用いられているレーザー光も本発明に好適に用いることができる。これらの光は、モノクロ光を用いてもよいし、複数の波長の異なる光(ミックス光)でもよい。
露光に際しては、露光照度を1〜50mW/cmの範囲にすることが望ましい。1mW/cm以上とすることにより、露光時間を短縮することができるため生産性が向上し、50mW/cm以下とすることにより、副反応が生じることによる永久膜の特性の劣化を抑止できる傾向にあり好ましい。露光量は5〜1000mJ/cmの範囲にすることが望ましい。この範囲であれば、光硬化性組成物の硬化性が良好である。さらに、露光に際しては、酸素によるラジカル重合の阻害を防ぐため、チッソやアルゴンなどの不活性ガスを流して、酸素濃度を100mg/L未満に制御してもよい。
光照射によりパターン形成層(光硬化性組成物からなる層)を硬化させた後、必要に応じて硬化させたパターンに熱を加えてさらに硬化させる工程を含んでいてもよい。加熱温度は、例えば、150〜280℃が好ましく、200〜250℃がより好ましい。また、加熱時間は、例えば、5〜60分間が好ましく、15〜45分間がさらに好ましい。
上述のようにして光硬化性組成物を硬化させたのち、基材からモールドを剥離することで、モールドの形状に沿ったパターン(凹凸パターン)を基材上に形成できる。パターンサイズは、用途により異なる。例えば、幅300nm以下のパターンを有することが好ましく、幅100nm以下のパターンを有することがより好ましい。また、パターンのアスペクト比は、0.1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
インプリント法によるパターン形成方法の詳細は、段落番号0103〜0115の記載を参酌でき、これらの内容は本特開2010−109092号公報(対応US出願は、US2011/199592)の段願明細書に組み込まれる。
<パターン形成体の製造方法>
次に、本発明のパターン形成体の製造方法について説明する。
本発明のパターン形成体の製造方法は、凹凸パターンの表面に、溶剤と膜形成成分を含む第1の組成物を適用する工程(工程1)と、
第1の組成物よりも表面張力が低い第2の組成物を、凹凸パターンの表面が、適用した第1の組成物から露出する前に、凹凸パターン上の第1の組成物を適用した領域上に適用する工程(工程2)と、
凹凸パターンに適用された第1の組成物および第2の組成物を乾燥して、凹凸パターンの表面に膜を形成する工程(工程3)とを含む。
以下、各工程について説明する。
<<工程1>>
工程1では、凹凸パターンの表面に、溶剤と膜形成成分を含む第1の組成物を適用する。
膜形成成分は、乾燥後の膜中に固形物として残る成分であり、用途および目的により異なる。例えば、親水性コーティング剤、疎水性コーティング剤、ハードコート剤、帯電防止剤、金属インク、紫外線吸収剤、熱線カット剤、耐指紋性コーティング剤、屈折率調整剤、などが挙げられる。
親水性コーティング剤としては、大阪有機化学工業製LAMBICシリーズなどが挙げられる。
疎水性コーティング剤としては、シラン化合物、フッ素樹脂等が挙げられる。シラン化合物としては、シランカップリング剤、シロキサンなどが挙げられる。シランカップリング剤の市販品としては、ダイキン工業株式会社製のオプツールシリーズ、信越シリコーン株式会社製のKBMシリーズ、KBEシリーズなどが挙げられる。シロキサンとしては、信越シリコーン株式会社製のKPN−3504(加水分解性基含有シロキサン)などが挙げられる。また、フッ素樹脂としては、旭硝子株式会社製のCYTOPシリーズ等があげられる。
ハードコート剤としては、東洋インキ製LCHシリーズなどが挙げられる。
帯電防止剤としては、東洋インキ製LASシリーズ、YYSシリーズ、TYPシリーズなどが挙げられる。
金属インクとしては、金インク、銀インク、銅インクなどが挙げられる。
第1の組成物は、膜形成成分の含有量が0.001〜20質量%であることが好ましく、0.01〜10質量%がより好ましい。
溶剤としては、膜形成成分を溶解できるものであれば特に限定はない。例えば、酢酸エチル、四塩化炭素、酢酸、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート、ベンゼン、シクロヘキサノン等が挙げられる。表面張力の大きい溶剤を用いることで、膜形成成分の溶解性が良好で、塗りムラなどの発生を抑制できる。また、膜形成成分の濃度を高めることもできる。さらには、膜形成成分の溶解性が良好であるため、膜形成成分の選択の自由度が高い。第1の組成物に用いる溶剤の25℃における表面張力は、24mN/m以上が好ましい。具体例としては、酢酸エチル(24mN/m)、四塩化炭素(27mN/m)、酢酸(28mN/m)、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート(28mN/m)、ベンゼン(29mN/m)、シクロヘキサノン(35mN/m)等が挙げられる。
第1の組成物の25℃における表面張力は、膜形成成分と溶剤との組み合わせにより異なるが、23mN/mを超えることが好ましい。これによれば、膜形成成分の溶解性が良好で、塗りムラなどの発生を抑制できる。
なお、従来の方法では、凹凸パターンに適用する組成物の表面張力が大きくなるに伴い、組成物の乾燥時にパターン倒れが生じたり、パターン表面に荒れが生じる傾向にあったが、本発明の方法によれば、表面張力の大きい組成物を凹凸パターンに適用しても、上記の問題の発生を抑制できる。
第1の組成物の25℃における粘度は、0.1〜2000mPa・sが好ましく、1〜1000mPa・sがより好ましい。粘度が上記範囲であれば、塗布性が良好である。
第1の組成物の適用方法としては、特に限定はないが、塗布法が好ましい。塗布法としては、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート方法、スリットスキャン法、インクジェット法などが挙げられる。
本発明では、凹凸パターンの表面に第1の組成物を適用して、凹凸パターン表面の所望の領域(膜を形成する領域)を、第1の組成物で覆う。好ましくは、パターン凹部を第1の組成物で埋めつつ、凹凸パターンの表面を、第1の組成物で被覆する。
<第2の工程>
次に、第1の組成物よりも表面張力が低い第2の組成物を、凹凸パターンの表面が、適用した第1の組成物から露出する前に、凹凸パターン上の第1の組成物を適用した領域に適用する。
第2の組成物の適用は、凹凸パターンの表面が、凹凸パターンの表面に適用した第1の組成物から露出する前に行う。すなわち、凹凸パターンの表面が、第1の組成物で被覆されている間に、凹凸パターン上の第1の組成物を適用した領域に適用する。第2の組成物を上述のように適用することで、凹凸パターンの表面に適用した組成物の乾燥時に、乾燥時にパターン凸部が第1の組成物によるキャピラリー力を受けることを抑制でき、その結果、パターン凸部にかかるキャピラリー力を小さくできる。なお、本発明において、「凹凸パターンの表面が、適用した第1の組成物から露出する」とは、凹凸パターン上の第1の組成物が適用された領域であって、凹凸パターンの表面が、第1の組成物で覆われていない部分が存在している状態であることを意味する。
第2の組成物の適用のタイミングは、凹凸パターンの表面に適用した第1の組成物の液面をセンサなどで観測しながら行うことができる。また、凹凸パターンの表面に第1の組成物を適用後、凹凸パターンの表面が第1の組成物から露出するまでの時間Tを、第1の組成物の種類、塗布量、乾燥条件(温度、湿度、風量)ごとにあらかじめ求めておき、同条件で、第1の組成物の適用および乾燥を行う場合には、T以内に第2の組成物を適用することもできる。例えば、第1の組成物を凹凸パターン上に適用後、10秒以内に第2の組成物を、凹凸パターン上の第1の組成物を適用した領域に適用することが好ましい。
第2の組成物の適用方法は、特に限定はなく、上述した第1の組成物の適用方法と同様の方法を用いることができる。
本発明において、第2の組成物は、第1の組成物よりも表面張力が低いものを用いる。
第1の組成物の25℃における表面張力と、第2の組成物の25℃における表面張力との差は、2mN/m以上が好ましく、4mN/m以上がさらに好ましい。これによれば、パターン欠陥の発生をより効果的に抑制できる。
第2の組成物の25℃における表面張力は、23mN/m以下が好ましい。これによれば、パターン欠陥の発生をより効果的に抑制できる。さらには、塗布後のパターン表面の荒れをより効果的に抑制できる。
第2の組成物は、溶剤を含むものが用いられる。
溶剤としては、第1の組成物で説明したものが挙げられる。第1の組成物で使用した溶剤よりも、表面張力が小さいものを選択して用いることが好ましい。特に、25℃における表面張力が24mN/m未満の溶剤が好ましい。具体例としては、デカフルオロペンタン(14mN/m)、ヘキサン(18mN/m)、エタノール(23mN/m)、メタノール(23mN/m)、アセトン(23mN/m)等が挙げられる
第2の組成物は、さらに膜形成成分を含んでいてもよい。膜形成成分は、第1の組成物で説明したものが挙げられる。
第2の組成物が膜形成成分を含有する場合、膜形成成分の含有量は、0.001〜20質量%であることが好ましく、0.01〜10質量%がより好ましい。
第2の組成物の25℃における粘度は、0.1〜2000mPa・sが好ましく、1〜1000mPa・sがより好ましい。粘度が上記範囲であれば、塗布性が良好である。
<工程3>
次に、凹凸パターンに適用された第1の組成物および第2の組成物を乾燥する。このようにして、溶剤を乾燥させることで、図1に示すように、凹凸パターン11の表面に、膜形成成分由来の膜12が形成されたパターン形成体が得られる。
乾燥方法としては、加熱乾燥、温風乾燥などが挙げられる。乾燥条件は、第1の組成物および第2の組成物の沸点、塗布量などに応じて適宜選択できる。例えば、加熱乾燥の場合、80〜300℃で3〜30000秒が好ましい。
本発明のパターン形成体の製造方法は、ロールトゥロールプロセスへの適用も可能である。
ロールトゥロールプロセスとは、ロール状に巻かれたフレキシブル基材を巻出しながら処理を行い、処理が施されたフレキシブル基材を再度ロール状に巻き取る生産システムである。
例えば、フレキシブル基材に光硬化性組成物を適用してパターン形成層を形成し、微細なパターニングを施したロール状のモールドを、基材上のパターン形成層に押し付け、エネルギー照射によりパターン形成層を硬化させることで、切れ目のないシームレスな凹凸パターンを形成できる。凹凸パターンが形成されたフレキシブル基材は、ロール状に巻き取ってもよい。また、巻き取らずに、後述する処理を続けて行ってもよい。
次に、凹凸パターンが形成されたフレキシブル基材を、第1の組成物を適用する処理領域1と、第2の組成物を処理する処理領域2と、適用された第1の組成物と第2の組成物とを乾燥する乾燥処理領域3とを順次通過させたのち、ロール状に巻き取ることで、ロールトゥロールプロセスによりパターン形成体を製造できる。
処理領域1、処理領域2での各組成物を適用は、例えば、各組成物を充填した薬液層にフレキシブル基材を浸漬させて、ディップコート法により、凹凸パターン表面に各組成物を適用することができる。また、各種塗布装置(インクジェットノズルなど)を設けて、凹凸パターン表面に各組成物を適用することができる。
なお、本発明は、ロールトゥロールプロセスなどの方法で連続的にパターン形成体を製造する場合において、連続して行われる処理中に、一部の凹凸パターンが、第1の組成物から露出した後に、第2の組成物が適用されていても、他の凹凸パターンが、第1の組成物から露出する前に第2の組成物が適用されていれば、本発明のパターン形成体の製造方法に含まれる。
<光硬化性組成物>
次に、本発明のパターン形成体の凹凸パターンの形成に用いられる光硬化性組成物について説明する。
本発明において、光硬化性組成物は、インプリント法で用いられている光硬化性組成物を用いることができる。すなわち、光硬化性組成物は、インプリント用光硬化性組成物であることが好ましい。
光硬化性組成物は、重合性化合物および光重合開始剤を含むことが好ましい。光硬化性組成物の一例としては、例えば、重合性化合物の含有量が70質量%以上で、かつ、重量平均分子量が2000を超える成分の含有量が3質量%以下である組成が好ましく、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物の含有量が70質量%以上で、かつ、重量分子量が2000を超える重合性化合物の含有量が3質量%以下である組成がより好ましい。以下、各成分について説明する。
<<重合性化合物>>
重合性化合物は、本発明の趣旨を逸脱しない限り特に限定されるものではない。重合性化合物が有する重合性基としては、エチレン性不飽和結合を含有する基、エポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。エチレン性不飽和結合を含有する基としては、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基等が挙げられる。好ましくは(メタ)アクリレート基である。
重合性基の数は、1〜6が好ましく、1〜3がより好ましく、1または2が更に好ましい。
重合性化合物としては、例えば、エチレン性不飽和結合を含有する基を1〜6個有する化合物;エポキシ化合物、オキセタン化合物;ビニルエーテル化合物;スチレン誘導体;プロペニルエーテル;ブテニルエーテル等を挙げることができる。重合性化合物の具体例としては、特開2011−231308号公報の段落番号0020〜0098に記載のものが挙げられ、この内容は本願明細書に組み込まれる。重合性化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
重合性化合物の含有量は、溶剤を除く全組成物中、70〜99.9質量%が好ましく、より好ましくは80〜99.9質量%であり、さらに好ましくは85〜99.9質量%である。2種類以上の重合性化合物を用いる場合は、その合計量が上記範囲であることが好ましい。
エチレン性不飽和結合を含有する基を1〜6個有する化合物(1〜6官能の重合性化合物)について説明する。
エチレン性不飽和結合を含有する基を1個有する化合物としては具体的に、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリジノン、2−アクリロイロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシ2−ヒドロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−アクリロイロキシプロピルフタレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー、ベンジル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性(以下「EO」という。)クレゾール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン(以下「ECH」という)変性フェノキシアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリドデシル(メタ)アクリレート、p−イソプロペニルフェノール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムが例示される。
エチレン性不飽和結合を含有する基を1個有する化合物は、単官能(メタ)アクリレート化合物が光硬化性の観点から好ましい。単官能(メタ)アクリレート化合物の中でも、芳香族構造および/または脂環式炭化水素構造を有する単官能(メタ)アクリレートがドライエッチング耐性を向上させたい場合に好ましく、芳香族構造を有する単官能(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
芳香族構造および/または脂環式炭化水素構造を有する単官能(メタ)アクリレートは、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、芳香環上に置換基を有するベンジル(メタ)アクリレート(好ましい置換基としては炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基)、1−または2−ナフチル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチルメチル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチルエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−フェノキシエチルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、芳香環上に置換基を有するベンジル(メタ)アクリレート、ナフタレン構造を有する単官能(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。
本発明では、重合性化合物として、エチレン性不飽和結合を含有する基を2個以上有する化合物を用いることも好ましい。
エチレン性不飽和結合を含有する基を2個以上有する化合物の例としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ECH変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコールアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレンオキシド(以後「PO」という。)変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(ジ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、o−,m−,p−キシリレンジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジアクリレート、ノルボルナンジメタノールジアクリレートが例示される。
これらの中で特に、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、o−,m−,p−ベンゼンジ(メタ)アクリレート、o−,m−,p−キシリレンジ(メタ)アクリレート、等の2官能(メタ)アクリレートが本発明に好適に用いられる。
また、芳香族構造および/または脂環式炭化水素構造を有する2〜6官能の(メタ)アクリレート化合物を用いることもできる。例えば、芳香族基(好ましくはフェニル基、ナフチル基)を含有し、(メタ)アクリレート基を2〜4つ有する多官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。具体例としては、以下に示す化合物などが挙げられる。
Figure 0006267802
また、光硬化性組成物は、シリコン原子および/またはフッ素原子を有する重合性化合物を含有してもよい。シリコン原子および/またはフッ素原子を有する重合性化合物は、フッ素原子を含むことが好ましく、炭素数1〜9の含フッ素アルキル基を有することがより好ましい。
炭素数1〜9の含フッ素アルキル基のフッ素原子の置換率は、40〜100%であることが好ましく、50〜90%であることがより好ましく、65〜85%であることがさらに好ましい。フッ素原子の置換率とは、例えば炭素数1〜9のアルキル基のうち、水素原子がフッ素原子に置換されている比率(%)をいう。炭素数1〜9の含フッ素アルキル基は、−C2n+1または−C2nHを含むことが好ましく、−C2n+1を含むことが好ましい。ここで、nは、1〜9の整数を表し、4〜8の整数を表すことがより好ましい。
シリコン原子および/またはフッ素原子を有する重合性化合物が有する重合性としては、(メタ)アクリレート基が好ましい。重合性基の数は、1または2が好ましく、1がより好ましい。
シリコン原子および/またはフッ素原子を有する重合性化合物の分子量は、100〜600が好ましく、300〜500がより好ましい。フッ素原子を有する重合性化合物としては、例えば国際公開特許2010/137724号公報の段落0022〜0023の記載も参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。フッ素原子を有する重合性化合物の例としては、例えば、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレートが挙げられる。
また、本発明では、シリコン原子および/またはフッ素原子を有する重合性化合物を実質的に含まない態様としてもよい。
光硬化性組成物に含まれる重合性化合物のうち、重合性基を1個有する重合性化合物(好ましくは、(メタ)アクリレート基を1つ有する重合性化合物)の合計は、重合性化合物の全量に対して0〜60質量%であることが好ましい。上限は、50質量%以下がより好ましい。下限は、5質量%以上とすることもでき、10質量%以上とすることもできる。光硬化性組成物中における、重合性基を1個有する重合性化合物の含有量が多くなるに伴い、得られる凹凸パターンの弾性率が大きくなって強度が低下する傾向にある。本発明の方法によれば、強度が低いパターンに対しても、パターン欠陥の発生を抑制しつつ、表面に膜を形成できる。
また、重合性基を1個有する重合性化合物を実質的に含有しない組成とすることもできる。重合性基を1個有する重合性化合物を実質的に含有しないとは、例えば、重合性化合物の全量中、例えば、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、含有しないこともできる。
また、重合性基を2個有する重合性化合物(好ましくは、(メタ)アクリレート基を2つ有する重合性化合物)の合計は、重合性化合物の全量に対して40〜100質量%が好ましい。上限は、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下がより好ましい。下限は、50質量%以上がより好ましく、55質量%以上がさらに好ましい。
光硬化性組成物に含まれる重合性化合物の成分のうち、脂環式炭化水素基および/または芳香族基を有する重合性化合物の合計が、重合性化合物の全量の、30〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%がさらに好ましい。
<<光重合開始剤>>
光重合開始剤としては、光照射により上述の重合性化合物を重合する活性種を発生する化合物であれば、いずれのものでも用いることができる。光重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤およびカチオン重合開始剤が好ましく、ラジカル重合開始剤がより好ましい。また、本発明において、光重合開始剤は複数種を併用してもよい。
ラジカル光重合開始剤としては、例えば、市販されている開始剤を用いることができる。これらの例としては、例えば、特開2008−105414号公報の段落番号0091に記載のものを好ましく採用することができる。この中でもアセトフェノン系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、オキシムエステル系化合物が硬化感度、吸収特性の観点から好ましい。市販品としては、イルガキュアOXE−01、イルガキュアOXE−02、イルガキュア127、イルガキュア819、イルガキュア379、イルガキュア369、イルガキュア754、イルガキュア1800、イルガキュア651、イルガキュア907、ルシリンTPO、ダロキュア1173等(以上、BASF社製)が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、溶剤を除く全組成物中、0.01〜15質量%がことが好ましく、より好ましくは0.1〜12質量%であり、さらに好ましくは0.2〜7質量%である。光硬化性組成物は、光重合開始剤を1種類のみ含んでいてもよく、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<界面活性剤>>
光硬化性組成物は、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
ノニオン性界面活性剤とは、少なくとも一つの疎水部と少なくとも一つのノニオン性親水部を有する化合物である。疎水部と親水部は、それぞれ、分子の末端にあっても、内部にあっても良い。疎水部は、炭化水素基、含フッ素基、含Si基から選択される疎水基で構成され、疎水部の炭素数は、1〜25が好ましく、2〜15がより好ましく、4〜10が更に好ましく、5〜8が最も好ましい。ノニオン性親水部は、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、エーテル基(好ましくはポリオキシアルキレン基、環状エーテル基)、アミド基、イミド基、ウレイド基、ウレタン基、シアノ基、スルホンアミド基、ラクトン基、ラクタム基、シクロカーボネート基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基を有することが好ましい。ノニオン性界面活性剤としては、炭化水素系、フッ素系、Si系、またはフッ素・Si系のいずれノニオン性界面活性剤であっても良いが、フッ素系またはSi系がより好ましく、フッ素系が更に好ましい。ここで、「フッ素・Si系界面活性剤」とは、フッ素系界面活性剤およびSi系界面活性剤の両方の要件を併せ持つものをいう。
フッ素系ノニオン性界面活性剤の市販品としては、住友スリーエム(株)製フロラードFC−4430、FC−4431、旭硝子(株)製サーフロンS−241、S−242、S−243、三菱マテリアル電子化成(株)製エフトップEF−PN31M−03、EF−PN31M−04、EF−PN31M−05、EF−PN31M−06、MF−100、OMNOVA社製Polyfox PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520、(株)ネオス製フタージェント250、251、222F、212M DFX−18、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、DS−403、DS−406、DS−451、DSN−403N、DIC(株)製メガファックF−430、F−444、F−477、F−553、F−556、F−557、F−559、F−562、F−565、F−567、F−569、R−40、DuPont社製Capstone FS−3100、Zonyl FSO−100が挙げられる。
本発明の光硬化性組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、溶剤を除く全組成物中、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%がより好ましく、0.5〜5質量%がさらに好ましい。光硬化性組成物は、界面活性剤を1種類のみ含んでいてもよく、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、本発明では、界面活性剤を実質的に含有しない態様とすることもできる。界面活性剤を実質的に含有しないとは、例えば、界面活性剤の含有量が0.01質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以下がより好ましく、含有しないことが一層好ましい。
<<非重合性化合物>>
光硬化性組成物は、末端に少なくとも1つ水酸基を有するか、または、水酸基がエーテル化されたポリアルキレングリコール構造を有し、フッ素原子およびシリコン原子を実質的に含有しない非重合性化合物を含んでいてもよい。ここで、非重合性化合物とは、重合性基を持たない化合物をいう。また、フッ素原子およびシリコン原子を実質的に含有しないとは、例えば、フッ素原子およびシリコン原子の合計含有率が1%以下であることを表し、フッ素原子およびシリコン原子を全く有していないことが好ましい。フッ素原子およびシリコン原子を有さないことにより、重合性化合物との相溶性が向上し、特に溶剤を含有しない組成物において、塗布均一性、インプリント時のパターン形成性、ドライエッチング後のラインエッジラフネスが良好となる。
非重合性化合物が有するポリアルキレン構造としては、炭素数1〜6のアルキレン基を含むポリアルキレングリコール構造が好ましく、ポリエチレングリコール構造、ポリプロピレングリコール構造、ポリブチレングリコール構造、またはこれらの混合構造がより好ましく、ポリエチレングリコール構造、ポリプロピレングリコール構造、またはこれらの混合構造がさらに好ましく、ポリプロピレングリコール構造が特に好ましい。
さらに、末端の置換基を除き実質的にポリアルキレングリコール構造のみで構成されていてもよい。ここで実質的にとは、ポリアルキレングリコール構造以外の構成要素が全体の5質量%以下であることをいい、好ましくは1質量%以下であるこという。特に、非重合性化合物として、実質的にポリプロピレングリコール構造のみからなる化合物を含むことが特に好ましい。
ポリアルキレングリコール構造としてはアルキレングリコール構成単位を3〜100個有していることが好ましく、4〜50個有していることがより好ましく、5〜30個有していることがさらに好ましく、6〜20個有していることが特に好ましい。
非重合性化合物は、末端に少なくとも1つ水酸基を有するかまたは水酸基がエーテル化されていることが好ましい。末端に少なくとも1つ水酸基を有するかまたは水酸基がエーテル化されていれば残りの末端は水酸基でも末端水酸基の水素原子が置換されているものも用いることができる。末端水酸基の水素原子が置換されていてもよい基としてはアルキル基(すなわちポリアルキレングリコールアルキルエーテル)、アシル基(すなわちポリアルキレングリコールエステル)が好ましい。より好ましくは全ての末端が水酸基であるポリアルキレングリコールである。連結基を介して複数(好ましくは2または3本)のポリアルキレングリコール鎖を有している化合物も好ましく用いることができるが、ポリアルキレングリコール鎖が分岐していない、直鎖構造のものが好ましい。特に、ジオール型のポリアルキレングリコールが好ましい。
非重合性化合物の好ましい具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、これらのモノまたはジメチルエーテル、モノまたはジブチルエーテル、モノまたはジオクチルエーテル、モノまたはジセチルエーテル、モノステアリン酸エステル、モノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、これらのトリメチルエーテルである。
非重合性化合物の重量平均分子量としては150〜6000が好ましく、200〜3000がより好ましく、250〜2000がより好ましく、300〜1200がさらに好ましい。
本発明において、光硬化性組成物が非重合性化合物を含有する場合、非重合性化合物の含有量は、溶剤を除く全組成物中、0.1〜20質量%が好ましく、0.2〜15質量%がより好ましく、0.5〜10質量%がさらに好ましい。また、本発明では、非重合性化合物を実質的に含有しない態様とすることもできる。非重合性化合物を実質的に含有しないとは、例えば、非重合性化合物の含有量が0.01質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以下がより好ましく、含有しないことが一層好ましい。
<<溶剤>>
光硬化性組成物には、必要に応じて、溶剤を含有させることができる。好ましい溶剤としては常圧における沸点が80〜200℃の溶剤である。溶剤の種類としては、各成分を溶解可能なものであればいずれも用いることができ、上述した下層膜形成用樹脂組成物に記載した溶剤と同様のものが挙げられる。なかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する溶剤が塗布均一性の観点で最も好ましい。
光硬化性組成物中における溶剤の含有量は、光硬化性組成物の粘度、塗布性、目的とする膜厚によって最適に調整されるが、塗布性改善の観点から、光硬化性組成物中に99質量%以下の範囲で含有することができる。光硬化性組成物をインクジェット法で基材に塗布する場合、溶剤は、実質的に含まない(例えば、3質量%以下)ことが好ましい。一方、膜厚500nm以下のパターンをスピン塗布などの方法で形成する際には、20〜99質量%の範囲で含有させてもよく、40〜99質量%が好ましく、70〜98質量%が特に好ましい。
<<その他の成分>>
光硬化性組成物は、上述した成分の他に、必要に応じて、重合禁止剤、光増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤、可塑剤、密着促進剤、熱重合開始剤、光塩基発生剤、着色剤、無機粒子、エラストマー粒子、塩基性化合物、光酸発生剤、光酸増殖剤、連鎖移動剤、帯電防止剤、流動調整剤、消泡剤、分散剤、離型剤等を含んでいてもよい。このような成分の具体例としては、特開2008−105414号公報の段落番号0092〜0093、および段落番号0099〜0137に記載のものが挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。また、WO2011/126101号パンフレット、WO2013/051735パンフレット、特開2012−041521号公報および特開2013−093552号公報の対応する記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
光硬化性組成物は、上述の各成分を混合して調製することができる。各成分の混合は、通常、0℃〜100℃の範囲で行われる。また、各成分を混合した後、例えば、フィルタでろ過することが好ましい。ろ過は、多段階で行ってもよいし、多数回繰り返してもよい。また、ろ過した液を再濾過することもできる。
フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等によるフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、例えば、0.003〜5.0μm程度が適している。この範囲とすることにより、ろ過詰まりを抑えつつ、組成物に含まれる不純物や凝集物など、微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせても良い。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合は1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、もしくは小さい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
光硬化性組成物は、23℃において粘度100mPa・s以下であることが好ましく、70mPa・s以下であることがより好ましく、50mPa・s以下であることがさらに好ましく、30mPa・s以下であることが特に好ましい。下限は、例えば、1mPa・s以上が好ましく、2mPa・s以上が好ましく、3mPa・s以上が好ましい。
また、光硬化性組成物をインクジェット法で適用する場合は、光硬化性組成物の粘度は、23℃において15mPa・s以下であることが好ましく、12mPa・s以下であることがより好ましく、11mPa・s以下であることがさらに好ましく、10mPa・s以下であることが特に好ましい。このような範囲とすることにより、インクジェット吐出精度やパターン形成性を向上させることができる。
また、液晶ディスプレイ(LCD)などに用いられる永久膜(構造部材用のレジスト)や電子材料の基板加工に用いられるレジストにおいては、製品の動作を阻害しないようにするため、レジスト中の金属あるいは有機物のイオン性不純物の混入を極力避けることが望ましい。このため、パターン形成体を上述の用途に用いる場合には、光硬化性組成物中における金属または有機物のイオン性不純物の濃度としては、1ppm以下、望ましくは100ppb以下、さらに好ましくは10ppb以下にすることが好ましい。
本発明のパターン形成体の製造方法により得られたパターン形成体は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)などに用いられる、オーバーコート層や絶縁膜などの永久膜や、半導体集積回路、記録材料、あるいはフラットパネルディスプレイなどのエッチングレジストとして適用することも可能である。また、樹脂モールド、撥水膜、親水膜などに用いることもできる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
<第1の組成物、第2の組成物、光硬化性組成物の調製>
下記表に示す原料を混合し、0.1μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルタでろ過し、各組成物を調製した。
なお、第1の組成物および第2の組成物の表面張力は、協和界面科学(株)製表面張力計SURFACE TENS−IOMETER CBVP−A3を用い、プラチナプレートを用いて25±0.2℃で測定した。単位はmN/mで示した。
Figure 0006267802
Figure 0006267802
Figure 0006267802
表3中の記号は以下である。
(重合性化合物)
C−1:ネオペンチルグリコールジアクリレート(ライトアクリレートNP−A 共栄 社化学社製)
C−2:ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート(ライトアクリレートDCP−A 共栄社化学社製)
C−3:イソボロニルアクリレート(ライトアクリレートIB−XA 共栄社化学社製)
C−4:ベンジルアクリレート(ビスコート#160 大阪有機化学社製)
(光重合開始剤)
D−1:イルガキュア819(BASF社製)
D−2:イルガキュア127(BASF社製)
(その他成分)
E−1:Capstone FS−3100(Dupont社製)
E−2:ポリプロピレングリコール(Mw=400、和光純薬工業社製)
<凹凸パターンの作製>
モールドは、線幅30nm、深さ60nmのLine/Spaceパターンを有する石英モールドを使用した。
インクジェット装置 (FUJIFILM Dimatix社製 DMP−2831)を用いて、シリコンウエハ上に、上記光硬化性組成物(組成物1〜4)を塗布した。液滴サイズは6pLで280μm間隔の正方格子状に塗布した。
塗布領域に、ヘリウム雰囲気下で上記石英モールドを圧接し、大気圧にて30秒放置後、石英モールド面から高圧水銀ランプにて光硬化した。照射量は100mJ/cmとした。露光後、石英モールドを離して凹凸パターンを得た。パターンの残膜(パターン凹部における光硬化性組成物由来の膜)は30nmであった。
<パターン形成体の製造>
上記方法にて得られた凹凸パターンの表面に第1の組成物をスピンコート塗布した。回転数は1000rpmで回転時間は30sとした。
次に、第1の組成物を適用後、5秒後に、第2の組成物を、第1の組成物を塗布した領域上にスピンコート塗布した。回転数は1000rpmで回転時間は30sとした。第2の組成物は、凹凸パターンが第1の組成物で覆われている間に行った。
なお、比較例1−2のみ、第1の組成物を適用後、5分後に、第2の組成物を、第1の組成物を塗布した領域上にスピンコート塗布した。比較例1−2は、第2の組成物の適用時に、凹凸パターンが第1の組成物から露出していた。
次に、塗布後、室温(25℃)で、30分自然乾燥して、パターン形成体を得た。
<塗布ムラの評価>
上記方法にて得られたパターン形成体の塗布ムラを光学顕微鏡(×10倍)により評価した。
A:塗布面にはじきや凝集がなく、塗布ムラは観察されなかった
B:塗布面にはじきや凝集があり、塗布ムラが観察された
<パターン倒れの評価>
上記方法にて得られたパターン形成体を原子間力顕微鏡(AFM、ブルカー・エイエックスエス製Dimension Icon)で5μm×5μmの範囲を観察し、以下の基準で評価した。
A:観察範囲の全面にわたって、良好なパターン転写を確認した
B:観察範囲の10%未満の領域にてパターン倒れが確認された
C:観察範囲の10〜70%の領域にてパターンの倒れが見られた
D:観察範囲の全面にわたってパターン倒れが発生した
<パターン荒れの評価>
上記方法にて得られたパターン形成体の平坦部を、原子間力顕微鏡(AFM、ブルカー・エイエックスエス製Dimension Icon)を用いて、5μm×5μmの範囲を観察して表面粗さ(Ra、単位nm)を測定し、以下の基準で評価した。
A:Ra≦1
B:1≦Ra≦2
C:2≦Ra
Figure 0006267802
Figure 0006267802
Figure 0006267802
Figure 0006267802
上記表示すように、本発明の方法で得られた実施例のパターン形成体は、パターン欠陥がなかった。さらには、パターン荒れ、および、塗布ムラもなかった。
これに対し、比較例の方法で得られたパターン形成体は、パターン欠陥があった。
1 パターン凸部、11 凹凸パターン、12 膜

Claims (9)

  1. 凹凸パターンの表面に、溶剤と膜形成成分を含む第1の組成物を適用する工程と、
    前記第1の組成物よりも表面張力が低い第2の組成物を、前記凹凸パターンの表面が、前記適用した前記第1の組成物から露出する前に、前記凹凸パターン上の第1の組成物を適用した領域上に適用する工程と、
    前記凹凸パターンに適用された前記第1の組成物および前記第2の組成物を乾燥して、前記凹凸パターンの表面に膜を形成する工程とを含み、
    前記凹凸パターンが、光硬化性組成物を硬化してなるパターンである、パターン形成体の製造方法。
  2. 前記第1の組成物の25℃における表面張力と、前記第2の組成物の25℃における表面張力との差が2mN/m以上である、請求項1に記載のパターン形成体の製造方法。
  3. 前記第1の組成物の25℃における表面張力が23mN/mを超える、請求項1または2に記載のパターン形成体の製造方法。
  4. 前記第2の組成物の25℃における表面張力が23mN/m以下である、請求項1または2に記載のパターン形成体の製造方法。
  5. 前記第1の組成物を凹凸パターン上に適用後、10秒以内に前記第2の組成物を、前記凹凸パターン上の第1の組成物を適用した領域に適用する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパターン形成体の製造方法。
  6. 前記光硬化性組成物が、重合性基を1個有する重合性化合物を含むものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパターン形成体の製造方法。
  7. 前記光硬化性組成物が、重合性基を1個有する重合性化合物を、前記光硬化性組成物に含まれる重合性化合物全量に対して、0〜60質量%の割合で含有するものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン形成体の製造方法。
  8. 前記凹凸パターンが、インプリント法で形成された凹凸パターンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパターン形成体の製造方法。
  9. 前記凹凸パターンが、幅300nm以下のパターンを有するものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のパターン形成体の製造方法。
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