JP6267012B2 - 木質梁の接合構造 - Google Patents
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Description
一方、図16に示すような梁受け金物101を用いる接合構造では、接合しようとする梁102がI型断面であっても矩形断面の梁と同様に支持することができるが、梁受け金物101が梁102の側面及び底面に沿って露出することになり、外観を損なうことがある。また、梁102の支持端付近でウエブに大きな圧縮力が作用することになり、過度の変形や座屈を防止するために、ウエブに沿って桟木等を設ける等の補強が必要となる。
図1は、本発明の一実施形態である木質梁の接合構造を示す概略斜視図である。また、図2はこの接合構造の側面図、平面図及び梁の断面図である。
この木質梁の接合構造は、木材からなる上下のフランジ11,12とこれらを上下に連結する木材のウエブ13とを備えて断面がほぼI型となった梁1と他の構造部材である矩形断面の梁2とを接合するものである。I型断面の梁1は、その端面を木材からなる矩形断面の梁2の側面に対向させて接合する。これらの梁1,2の接合は、矩形断面の梁2の側面に梁受け金具4が固定されるとともに、I型断面の梁1の端部には添設板3が固定され、この添設板3を梁受け金具4に接合するものとなっている。
上記爪状部31は、図4(a)に示すように、鋼板材に貫通する切り込み線33によって舌片を設け、これを鋼板材の面から突き出すように折り曲げたものである。つまり、ほぼ平行な二つの切り込み線33の端部が互いに近づき、尖った角度でつながって舌状に突き出した部分を形成する。この舌状となった部分をその付け根の折り曲げ線36で折り曲げ、図3(b)又は図4(b)に示すように鋼板材の面から突出させることによって爪状部31としたものである。そして、この爪状部31を、図4(b)に示すように尖った先端から梁の木質材料からなるウエブ13に押し入れることによって添設板3が複数の爪状部31によってウエブ13に固定されるものとなっている。
なお、上記添設板には、厚さが0.5mm〜1.5mm程度の鋼板材を用い、爪状部の鋼板材の面から突き出す高さは、6mm〜8mm程度とするのが望ましい。
これに対し、図6(a)に示すように、舌片の軸線35が小幅板材の軸線Aに沿った方向に形成されていると、図6(b)に示すように、ウエブ13を構成する小幅板材14から爪状部31に作用する力Fは、折り曲げ線36とほぼ直角となる方向つまり爪状部31の板厚方向に作用し、爪状部31に曲げ変形が生じ易くなる。爪状部31に曲げ変形が生じると図6(c)に示すように爪状部31が小幅板材14から抜け出し、添設板3がウエブ3の側面から離れるように浮き上がりやすくなる。
したがって、添設板3の爪状部31は舌片の折り曲げ線36が小幅板材14の軸線に沿った方向となるように形成することによって、爪状部31がウエブ3から抜け出すのを抑制することが可能となる。
なお、梁受け金具4の二つの鉛直板部間にはボルト6が挿通される短い鋼円筒部材8を介挿するのが望ましい。これにより、二つの添設板3と二つの鉛直板部4bとをボルト6によって締めつけ、添設板3と梁受け金具4とをしっかりと固定することができる。
一方、この添設板3は、上記実施の形態でウエブ3の両面に取り付けられているが、片面のみに取り付けるものであってもよい。
この添設板40は、図3に示す添設板3と同様に鋼板材で形成され、I型断面の梁1のウエブ13に当接される板面に複数の爪状部41が設けられている。また、他の構造部材に固定された梁受け金具(図示しない)と接合される端縁付近にはボルト孔42が形成されている。
この添設板40のウエブ13に当接される部分の上縁及び下縁には、図9(a)に示すように、ウエブに当接される部分と連続してI型断面の梁1の側方へほぼ水平に折り曲げられた張り出し部43を備えている。これらの張り出し部43は、図9(b)に示すように、I型断面の梁1に取り付けられたときに、上フランジ11の下面及び下フランジ12の上面に当接され、ビス44によって上フランジ11及び下フランジ12に固定されるものとなっている。
図10(a)に示す添設板50は、下側の張り出し部51の先端から下方に突き出した突起部52及び上側の張り出し部(図示しない)の先端から上方に突き出した突起部を有するものである。この添設板50を用いるときには、上フランジ11の下面及び下フランジ12の上面に凹部12aを形成しておき、添設板50をI型断面の梁1に取り付けるときに上下の張り出し部51を弾性変形させて突起部52を凹部12aに嵌め入れる。そして、添設板50の爪状部をウエブ13に押し入れ、所定の位置に取り付けられたときには、上下の張り出し部51がそれぞれ上フランジ11の下面及び下フランジ12の上面に当接され、突起部52が凹部12a内で拘束されて添設板50がウエブ13から離れようとする変位に対して抵抗するものとなる。
このような添設板53は、爪状部を木質材料からなる梁1のウエブ13に押し入れるとともに、上下の張り出し部54を上フランジ11の下面及び下フランジ12の上面に当接した後、短冊状部分55の先端部55bを上フランジ11及び下フランジ12に叩き入れることができる。これにより上下の張り出し部54が上フランジ11及び下フランジ12に固定され、添設板53の変位が拘束される。
図11(a)に示す添設板60では、他の構造部材と接合する先端付近及び後方端付近にほぼ鉛直方向の折り曲げ線を設け、該添設板60を構成する鋼板材を側方に折り曲げて鉛直リブ62,63としたものである。これにより先端付近及び後方端付近で添設板60の鉛直方向の曲げ剛性が増大し、I型断面のウエブに取り付けられたときに部材厚が薄いウエブを、鉛直方向の曲げに対して強化することができる。したがって、大きなせん断力、ねじりモーメント、水平方向の力等によって梁の端部付近で断面の変形が生じるのを抑制することができる。
なお、上記先端付近及び後方端付近の鉛直リブ62,63はいずれか一方を設けるものであってもよい。
図11(b)に示す添設板64は、先端から後方端まで連続する鋼板材の中間部分に鉛直リブ66を設けたものである。この鉛直リブ66は、鋼板材を鉛直方向の折り曲げ線で折り曲げ、平断面の形状がU字状、V字状、鋼板材が重なり合ったI字状又は矩形状となるように側方に張り出したものである。そして、鉛直リブ66の先端側及び後方側の双方に貫通孔65が設けられ、双方がウエブに固定される。このような鉛直リブ66を設けることにより、添設板64の先端から後方端までの間で大きな曲げ剛性を有するものとなる。
図12(a)に示す接合構造では、添設板70がウエブ13の片面に取り付けられており、この添設板70の梁1の端面から突き出した部分は、平面視における梁1の中心線側に曲げられ、梁受け金具71と接合される先端部70aは、中心線とほぼ平行となるように加工されている。一方、梁受け金具71は、他の構造物である矩形断面の梁2の側面に複数のビス72によって基部71aが固定されたものであり、I型断面の梁1の軸線方向に突き出した一つの鉛直板部71bを備えている。そして添設板70の先端部70aが上記梁受け金具の鉛直板部71aに重ね合わされ、ボルト73とナット74で締め付けて固定されている。
このような接合構造では、添設板70をウエブ13の片面のみに取り付けるものであるが、I型断面の梁1をその中心線付近で支持することができる。
添設板80は、図1及び図2に示す接合構造で用いられたものと同じものが用いられており、矩形断面の梁に接合される側の先端80aがI型断面の梁1の先端面より後退した位置となるようにウエブ13の両面に固定されている。そして、ウエブ13の先端部は、矩形断面の梁2に固定された梁受け金具81及びこれを固定するボルト82と干渉しないように、上下のフランジ11,12の端面より後退するように切り欠かれている。梁受け金具81は、矩形断面の梁2の側面に固定される基部81aと基部の両側縁から突き出した鉛直板部81bとを有するものであり、二つの鉛直板部81bの間に添設板80が取り付けられたウエブ13を挟み込み、添設板80及びウエブ13に設けられた貫通孔に挿通されたボルト83とナット84によって締め付け、固定されている。
このような接合構造では、添設板80の先端付近までをウエブ13に当接させ、これらが重ね合わされた部分を梁受け金具81に接合することができる。したがって、水平方向の変位が生じ難い構造となる。
上下のフランジ11,12の先端部における側面は、矩形断面の梁2に設けられた切り欠き2aの内面に当接するものとなっており、上下のフランジ11,12の横方向つまりI型断面の梁1の軸線と直角で水平となる方向への変位が矩形断面の梁2によって拘束される。また、上下のフランジ11,12の先端面は溝状の切り欠き2a内で矩形断面の梁2に突き当てられていてもよいし、間隔を開けて接合されるものであってもよい。添設板80は図13に示す接合構造と同じように取り付けられ、梁受け金具81も同じものを用いて切り欠き2a内の底部に同様に固定されている。
このような接合構造では、I型断面の梁1の上下のフランジ11,12が矩形断面の梁2によって横方向へ変位するのが拘束されるので、I型断面の梁1の端部が矩形断面の梁2に対して水平方向の変位又はねじるように回転方向の変位が生じるのを抑えることができる。
この接合構造は、添設板90を用いてI型断面の梁1を矩形断面の梁2の側面に突き当てるように接合するものである。
添設板90は、図3に示す添設板3と同様に、I型断面の梁1のウエブ13に当接される部分に複数の爪状部を備えるものであり、この爪状部を木質材料からなるウエブ13に押し入れて固定されている。この添設板90の矩形断面の梁2と接合される部分は、鉛直方向の折り曲げ線によってほぼ直角に折り曲げられ、折り曲げられた部分90aは、上下のフランジ11,12を矩形断面の梁2の側面に突き当てたときに、矩形断面の梁2の側面に当接されるものとなっている。そして、この折り曲げられた部分90aに設けられた複数のビス孔から矩形断面の梁2にビスがねじ込まれ、添設板90が矩形断面の梁2に接合されるものである。なお、添設板90の折り曲げられた部分90aにボルト孔を設け、矩形断面の梁2を横方向に貫通するボルトとナットによって固定するものであってもよい。
例えば梁のウエブは、上記実施の形態ではいずれも複数の傾斜した小幅板材が間隔を開けて配列されたものであるが、請求項1又は請求項3に係る発明では、梁の軸線方向に連続する合板又は無垢の板材を用いてもよい。また、爪状部を押し入れることができるように木質材料が使用されていれば、一部に他の材料を使用するものであってもよい。
I型断面の梁の端部が接合される他の構造部材は、上記実施の形態ではいずれも木質材料からなる梁であったが、梁に限定されるものではなく柱や壁体等であってもよい。また、他の構造部材は木質材料からなるものに限定されず、鋼部材やコンクリート部材であってもよい。さらに、添設板を他の構造部材に接合する構造も、梁受け金具を用いるものや、ビス又はボルトを用いるものに限定されず、適宜に設計することができる。
11:上フランジ, 12:下フランジ, 13:ウエブ, 14:小幅板材,
31:爪状部, 32:ボルト孔, 33:切り込み線, 35:舌片の軸線, 36:舌片の折り曲げ線, 37:添設板, 38:爪状部,
40:添設板, 41:爪状部, 42:ボルト孔, 43:張り出し部, 44:ビス,
50:添設板, 51:張り出し部, 52:突起部, 53:添設板, 54:張り出し部, 55:短冊状部分, 55a:短冊状部分の付け根, 55b:短冊状部分の先端部,
60:添設板, 61:爪状部, 62,63:鉛直リブ, 64:添設板, 65:爪状部, 66:鉛直リブ,
70:添設板, 71:梁受け金具, 71a:梁受け金具の基部, 71b:梁受け金具の鉛直板部, 72:ビス, 73:ボルト, 74:ナット,
80:添設板, 81:梁受け金具, 81a:梁受け金具の基部, 81b:梁受け金具の鉛直板部, 82:ボルト, 83:ボルト, 84:ナット,
90:添設板
Claims (3)
- 上フランジと、下フランジと、これらを上下に連結するウエブとを有する木質梁の端部を、他の構造部材に接合する木質梁の接合構造であって、
前記ウエブの側面に鋼からなる添設板が固定され、
該添設板が前記他の構造部材に接合されており、
前記添設板は、鋼板材に板厚方向に貫通する切り込み線を設けて舌片を形成し、該舌片を鋼板材の面から突出するように折り曲げて形成された爪状部が、規則的に配列して設けられたものであり、
前記ウエブを構成する木質材料に前記爪状部を押し込むことによって前記添設板が前記ウエブに固定され、
前記添設板は、上縁及び下縁に沿って水平方向に張り出し部を備え、該添設板が前記ウエブの側面から離れる方向に変位するのを抑制するように前記張り出し部が前記上フランジ及び下フランジによって拘束されていることを特徴とする木質梁の接合構造。 - 上フランジと、下フランジと、これらを上下に連結するウエブとを有する木質梁の端部を、他の構造部材に接合する木質梁の接合構造であって、
前記ウエブの側面に鋼からなる添設板が固定され、
該添設板が前記他の構造部材に接合されており、
前記添設板は、鋼板材に板厚方向に貫通する切り込み線を設けて舌片を形成し、該舌片を鋼板材の面から突出するように折り曲げて形成された爪状部が、規則的に配列して設けられたものであり、
前記ウエブを構成する木質材料に前記爪状部を押し込むことによって前記添設板が前記ウエブに固定されており、
前記ウエブは、所定幅の板材を前記木質梁の軸線方向に傾斜させ、所定の間隔を開けて複数を配列したものであり、
前記爪状部は、前記鋼板材に形成された舌片の折り曲げ線が前記ウエブを構成する板材の軸線に沿った方向となるように形成されていることを特徴とする木質梁の接合構造。 - 上フランジと、下フランジと、これらを上下に連結するウエブとを有する木質梁の端部を、他の構造部材に接合する木質梁の接合構造であって、
前記ウエブの側面に鋼からなる添設板が固定され、
該添設板が前記他の構造部材に接合されており、
前記添設板は、鋼板材に板厚方向に貫通する切り込み線を設けて舌片を形成し、該舌片を鋼板材の面から突出するように折り曲げて形成された爪状部が、規則的に配列して設けられたものであり、
前記ウエブを構成する木質材料に前記爪状部を押し込むことによって前記添設板が前記ウエブに固定されており、
前記添設板は、前記他の構造部材と接合される側の端縁より該木質梁の中央部側に、鉛直方向の折り曲げ線によって折り曲げられて前記ウエブの側方に張り出すように設けられた鉛直リブを有することを特徴とする木質梁の接合構造。
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