JP6266858B2 - 光反射防止物品 - Google Patents
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Description
成形型の型面の前記光反射防止構造は、例えば、アルミニウムなどの金属表面の陽極酸化法、レーザ干渉法、フォトリソグラフィ法、などによって造形される。
前記内部気泡Gは、図4(a)に示すように、硬化樹脂層からなる反射防止層2の層中に存在する。図4(a)の断面図は、図3に例示したような、透明基材1に帯状物(ウェッブとも言う)を用いて光反射防止物品20を作製したときの、前記帯状物の幅方向をx軸方向、樹脂液32の塗布方向、つまり帯状物の長手方向をy軸方向、帯状物の被塗布面に垂直な方向をz軸方向としたときの、zx平面に平行な面での断面図である。
前記内部気泡Gは、反射防止層2の層面に平行なxy面内において、単独で所々に散在して発生するのならば目立ち難いのだが、図4(b)の平面図で示すように、樹脂液の塗布方向に沿って一方向に連なって発生するものがある。このため、塗布方向に沿って連なった複数の内部気泡Gは、大局的に見たときに、塗布方向に走り目視可能な筋状欠点3となって観察される。この筋状欠点3は、1本に限らず、通常2本以上発生する。筋状欠点3は、肉眼で白い筋として観察され、こうした筋状欠点3を有する光反射防止物品20が、例えばディスプレイパネルに適用されると、外観不良になる場合がある。
しかも、複数の筋状欠点3が、樹脂液の塗布方向に直交する幅方向に亙って散在して発生すると、筋状欠点3が存在する部分を避けて、筋状欠点3が存在しない部分のみから、所定の大きさ及びサイズの枚葉シート形態の光反射防止物品を良品として切り出して用いることも不可能となる。
第1の原因は、未硬化の樹脂液が、透明基材1と接触するときに、樹脂液とその接触面との間に接触方向である塗工方向に沿って、何らかの理由で空気が混入し、これが樹脂液層の内部まで入り込むのが原因と考えられる。空気が樹脂液に入り込んだ初期段階では、一つの内部気泡Gであっても、それが大きいと、塗工ローラで樹脂液がしごかれて塗工ローラ通過するときに、より小さい多数の内部気泡Gに分裂し、これが、塗布方向に沿って一方向に連なることで、筋状欠点3が発生すると考えられる。
第2の原因は、未硬化の樹脂液が、成形型の型面と接触するときに、樹脂液とその接触面との間に、帯状物の搬送方向であり塗工方向でもある接触方向に沿って、何らかの理由で空気が混入し、これが樹脂液層の内部まで入り込むのが原因と考えられる。こちらでも、前記第1の原因と同様に、空気が樹脂液に入り込んだ初期段階では、一つの内部気泡Gであっても、それが大きいと、樹脂液が押圧ローラと成形型とでしごかれて押圧ローラを通過するときに、より小さい多数の内部気泡Gに分裂し、これが、塗布方向に沿って一方向に連なることで、筋状欠点3が発生すると考えられる。
前記反射防止層は、硬化樹脂層の表面に多数の微小突起を有し、
前記微小突起は、隣接する前記微小突起の最凸部同士の間隔をPとして、この間隔Pについての平均値Paveと標準偏差σに対して、
最大間隔Pmaxを、Pmax=Pave+3σとし、
可視光波長帯域の最大波長780nmをλmaxとしたときに、
Pmax≦λmaxである、光反射防止構造を構成し、
前記反射防止層が接する前記透明基材の面である反射防止層被形成面の表面粗さR1sが、JIS B0601(2001年)による十点平均粗さRzJISで、5μm以下である、光反射防止物品。
R2s>R1sである、
前記(2)の光反射防止物品。
本発明による光反射防止物品を、図1の断面図で示す一実施形態例を参照して説明する。なお、各図面は概念図であり、説明上の都合に応じて適宜、構成要素の縮尺関係、縦横比等は誇張されていることがある。
前記反射防止層2は、硬化樹脂層2rの表面に多数の微小突起2tを有し、この多数の微小突起2tが光反射防止構造となっている。具体的には、前記微小突起2tは、隣接する微小突起2tの最凸部同士の間隔をPとして、この間隔Pについての平均値Paveと標準偏差σに対して、最大間隔Pmaxを、Pmax=Pave+3σと定義し、可視光波長帯域の最大波長780nmをλmaxと定義したときに、Pmax≦λmaxなる関係としてある。言い換えれば、微小突起2tの最凸部の最大間隔Pmaxは、λmax以下としてある。
このように、最大間隔Pmaxを、可視光波長帯域の最大波長λmax以下とした微小突起2tの配置とすることで、いわゆるモスアイ構造と呼ばれる光反射防止構造を構成している。
前記最大間隔Pmaxを算出する基礎となる、個々の間隔Pは揃っていても良く、不揃い(ランダム)でも良い。また、微小突起2tの面内配置も、規則的でも良く、不規則的(ランダム)でも良い。
透明基材1は、反射防止層2によって光反射防止処理が必要な物品の主要な部分を占める透明な構成要素である。この透明基材1は、透明であれば特に限定されず、例えば、樹脂などの有機系材料、ガラスなどの無機系材料、或いはこれらが積層乃至は複合化した材料などから構成される。例えば、前記樹脂の場合で言えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、などである。
透明基材1の形状は、フィルム(シートも含める)、板、フィルム及び板以外の三次元形状など任意である。透明基材1がフィルムである場合は、光反射防止物品10は、反射防止フィルムと言うことができる。この場合、透明基材1の厚みは例えば20〜200μmである。また、透明基材1の長手方向に直交する幅方向の寸法は、例えば500〜2000mmである。
図2に例示の実施形態では、透明基材1が2層構成であるので、表面層1sが形成される面は、基体部1bの面そのものであり、その面が表面層1sが接して形成される表面層被形成面S2であった。この2層構成の場合で言えば、表面層1sの反射防止層被形成面S1の表面粗さR1sと、基体部1bの表面層被形成面S2の表面粗さR2sとは、次の関係を満足する構成とすることができる。
反射防止層被形成面S1の表面粗さR1s<表面層被形成面S2の表面粗さR2s
反射防止層被形成面S1の表面粗さR1s>表面層被形成面S2の表面粗さR2s
前記基体部1bとしては、前記透明基材1で列記した材料などを用いることができる。したがって、見方を変えれば、基体部1bが例えば市販の樹脂フィルムなどの透明な基材そのものであって、表面層1sは、この基体部1bからなる市販の樹脂フィルムなどの透明な基材に、後から塗布などで形成する、反射防止層2に対する下地層であると言うこともできる。
前記表面層1sは、透明な樹脂層として形成することができる。表面層1sを形成する樹脂としては、基本的には特に制限はないが、表面層1sに接して反射防止層2が形成されることから、これら両層の密着性、及び両層間の界面、つまり、反射防止層被形成面S1での急激な屈折率変化による光反射を少なくする意味で、同系統の樹脂であることは好ましい。従って、表面層1sの樹脂としては、後述する反射防止層2として列記する硬化性樹脂を用いることが好ましい。例えば、両層に同系統のアクリル系樹脂を用いることが好ましい。
表面層1sの厚みは、例えば、5〜30μm程度であるが、基本的に特に制限はない。
表面層1sは、透明基材1としての反射防止層被形成面S1の表面粗さR1sについて、所定の粗さ条件を満足させる機能を最低限有するが、この表面層1sは、基体部1bと反射防止層2との中間に位置することから、基体部1bと反射防止層2とに用いられる各々の材料が、これら両層の密着性の点では弱い場合には、これら両層の密着性を間に介在して強化する密着強化層としての機能を担うようにしてもよい。密着強化機能も備えた表面層1sは、この点においては、プライマ層、アンカー層、下地層などと呼ぶこともできる。
反射防止層2は、硬化樹脂層2rとして形成され、この硬化樹脂層2rの表面に、多数の微小突起2tから構成された、いわゆるモスアイ構造の光反射防止構造を有する。
微小突起2tは、光に対する反射防止構造を発揮し得る大きさ及び配置となっている。すなちわ、前記微小突起2tは、隣接する前記微小突起2tの最凸部同士の間隔をPとして、この間隔Pについての平均値Paveと標準偏差σに対して、
最大間隔Pmaxを、Pmax=Pave+3σとし、
可視光波長帯域の最大波長780nmをλmaxとしたときに、
Pmax≦λmaxとすることで、光反射防止構造を構成する。
屈折率の変化を滑らかにする点で、微小突起2tは最凸部から最凹部に行くにつれて、
反射防止層2表面の包絡面に平行な面内での断面積が、漸増する形状が好ましい。さらに、好ましくは、最凸部は前記断面積がゼロ乃至はゼロに近いのが好ましい。
硬化樹脂層2rを構成する前記硬化樹脂としては、ウレタン系、エポキシ系などの熱硬化性樹脂、アクリル系、エポキシ系などの電離放射線硬化性樹脂などを用いることができる。なかでも、典型的には、例えば、紫外線や電子線で硬化可能な電離放射線硬化性樹脂が用いられる。電離放射線硬化性樹脂としては、代表的にはアクリル系樹脂であるところの、アクリレート系樹脂を用いることができる。前記アクリレート系樹脂としては、プレポリマー(乃至はオリゴマー)、モノマーの1種以上を含む樹脂組成物を用いることができる。
前記モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能モノマー、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル等の単官能モノマーを用いることができる。
なお、本明細書では(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
前記添加剤とてしは、公知の各種添加剤を含むことができる。例えば、前記樹脂組成物を紫外線照射で硬化させる場合は、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系などの光重合開始剤を添加する。また、シリコーン系、フッ素系などの離型剤やレベリング剤、アクリル系、ポリエステル系などの各種熱可塑性樹脂、希釈溶剤、可塑剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、などを添加することができる。
反射防止層2を透明基材1の面である反射防止層被形成面S1に形成する方法は、基本的には特に限定されない。例えば、熱プレス法、射出成形法、溶融押出法などがあるが、とりわけ、電離放射線硬化性樹脂の樹脂液を成形型に接触させて賦形する2P法による方法が、光反射防止構造の様なサブミクロンオーダーの微細な表面凹凸を精密に形成できる上、生産性にも優れている。2P法は、反射防止層2の好ましい形成法である。本実施形態における光反射防止物品10も、この2P法によって形成されたものである。
こられらのうち、先ず(c)は気泡を抱き込み易い。次に、(a)は、型面に薄い皮膜として樹脂液を塗布する為にドクターブレードでしごいたときに、型面の光反射防止構造が変形し損傷し易い為に、これを回避する必要がある。このため、(b)の一旦、透明基材1に樹脂液を塗布する方法が、成形型の型面の破損を回避できる点で好ましい。透明基材1上に、樹脂液を一定量塗布する方法としては、公知の塗工法、例えば、グラビアコート法、ダイコート法など各種用いることができる。先に図3を参照して説明した反射防止層2の形成方法は、この(b)による方法であった。(b)の場合、無溶剤系の樹脂液を用いてもよく、溶剤添加して溶液にした樹脂液を用い塗布後に乾燥しても良い。
本発明の光反射防止物品10は、上記した形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
透明基材1は、基体部1bと表面層1sとからなる2層構成でもよいが、基体部1bと表面層1sとの間、或いは、基体部1bの表面層1sが形成されている側の面の反対側の面などの表面層1sが形成されていない側の他の面に、透明基材1の構成要素として、基体部1bと表面層1s以外の他の層乃至は層とは言いがたいような立体物の構成要素が存在しても良く、透明基材1は3層以上からなる構成でも良い。
例えば、透明基材1が樹脂フィルムであれば、光反射防止物品10は反射防止フィルムとなるが、この反射防止フィルムを接着剤層を介してガラス板に積層した構成のものを、新たな光反射防止物品10とする場合、前記樹脂フィルムと前記接着剤層と前記ガラス板とが積層した3層積層体を、透明基材1と見做してもよい。
透明基材1と表面層1sとの間に、位置する中間層としては、以下に述べる機能層のように、密着強化、機械的物性の調整、帯電防止、着色などの、各種機能を持たせることができる。
上記した実施形態では、反射防止層2はいずれも透明基材1の片面に形成された形態であった。しかし、本発明においては、反射防止層2は透明基材1の複数の面に形成されていても良い。例えば、透明基材1がフィルム(シートも含む)や板である場合、反射防止層2は透明基材1の片面と、この片面の反対側の他方の面との、両面に形成されていても良い。この場合、表裏の反射防止層2の硬化性樹脂は、互いに異なる設計にしても良い。
本発明においては、前記のように、光反射防止物品10は、透明基材1と反射防止層2との2層のみからなる層構成でもよいが、これ以外の構成要素、例えば機能層を備えていても良い。
機能層としては、例えば、帯電防止層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、着色層(色補正層などとなる)、光拡散層、偏光層、位相差層、輝度向上層、視野角調整層、接着剤層(含む粘着剤層)、密着強化層などである。これらの機能層は、光学シートなど各種光学部材において、従来公知のものを適宜採用することができる。これらの機能層を設けることにより、設けた機能層に応じた機能を付与することができる。
本発明による光反射防止物品10は、形状はシート乃至はフィルム状、板状、その他の三次元形状など任意であることから、様々な用途に用いることができる。例えば、液晶テレビ、EL(電解発光)テレビなどのなどのテレビジョン、多機能携帯情報端末などのパーソルコンピュータ、高機能携帯電話などの携帯電話、電子手帳、電子書籍端末、デジタルフォトフレーム、電子看板などの各種表示機器に於けるディスプレイ、或いはこれら各種表示機器のディスプレイに対するタッチパネルなどの各種機器に適用することができる。また、ビデオレコーダ、音楽プレーヤ、電機炊飯器、電気ポット、洗濯機等の表示窓部、カメラ、ビデオカメラ、ブロジェクタ、光学測定器などの光学機器の光学系に用いることもできる。
また、インテリアや建材などの分野において、透明で映りこみを嫌うような意匠にも用いることが出来る。特に透明な基材の表裏に用いるとその効果は顕著である。
1b 基体部
1s 表面層
2 反射防止層
2r 硬化樹脂増
2t 微小突起
3 筋状欠点
10 光反射防止物品
20 従来の光反射防止物品
31 塗工ローラ
32 樹脂液
33 押圧ローラ
34 成形型
35 電離放射線照射装置
36 剥離ローラ
G 内部気泡
R1s 透明基材の反射防止層被形成面の表面粗さ
R2s 基体部の表面層被形成面の表面粗さ
S1 反射防止層被形成面
S2 表面層被形成面
Claims (1)
- 透明基材と、この透明基材の面に接して形成された反射防止層と、を有する光
反射防止物品の製造方法であって、
未硬化で液状の電離放射線硬化性樹脂の樹脂組成物を基体部に塗布し、硬化することで、表面層を形成して前記反射防止層が接する面である反射防止層被形成面を前記表面層に形成して前記透明基材を形成する工程と、
未硬化で液状の電離放射線硬化性樹脂の樹脂組成物を前記反射防止層被形成面に塗布して樹脂液層としてから、当該樹脂液層を成形型の型面に接触させ、当該樹脂液層を硬化し、前記成形型から剥離することで、表面にモスアイ構造が形成された前記反射防止層を形成する工程と、
を備え、
前記表面層を形成するための樹脂組成物には、前記反射防止層を形成するための樹脂組成物よりも揮発溶剤が多く含まれており、
前記反射防止層被形成面は、
表面粗さR1sが、JIS B0601(2001年)による十点平均粗さRzJISで、5μm以下であり、
前記表面層が積層された前記基体部の面である表面層被形成面の表面粗さR2sが、前記十点平均粗さRzJISで表したとき、前記透明基材の表面粗さR1sとの関係が、
R2s>R1sであるように形成する光反射防止物品の製造方法。
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