JP2013142823A - 光反射防止物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光反射防止物品10は、帯状の透明基材1に接して、硬化樹脂層2rの表面に多数の微小突起2tを有する反射防止層2が帯状に積層され、微小突起は、その最凸部同士の間隔Pの平均値Paveと標準偏差σに対し、最大間隔Pmax=Pave+3σ≦λmax=可視光波長帯域の最大波長780nm、となる、光反射防止構造を構成し、反射防止層の長手方向に直交する幅方向の層幅Wに対し、幅方向両端から最大W/10の領域を除いた、内側の少なくとも8W/10の領域の反射防止層内に、大きさ5μm以上の内部気泡Gが長手方向に複数連なる筋状欠点3を含まない。
【選択図】図1
Description
成形型の型面の前記光反射防止構造は、例えば、アルミニウムなどの金属表面の陽極酸化法、レーザ干渉法、フォトリソグラフィ法、などによって造形される。
前記内部気泡Gは、図4(a)に示すように、硬化樹脂層からなる反射防止層2の層中に存在する。図4(a)の断面図は、図3に例示したような、透明基材1に帯状物(ウェッブとも言う)を用いて光反射防止物品20を作製したときの、前記帯状物の幅方向をx軸方向、樹脂液32の塗布方向、つまり帯状物の長手方向をy軸方向、帯状物の被塗布面に垂直な方向をz軸方向としたときの、zx平面に平行な面での断面図である。
前記内部気泡Gは、反射防止層2の層面に平行なxy面内において、単独で所々に散在して発生するのならば目立ち難いのだが、図4(b)の平面図で示すように、樹脂液の塗布方向に沿って一方向に連なって発生するものがある。このため、塗布方向に沿って連なった複数の内部気泡Gは、大局的に見たときに、塗布方向に走り目視可能な筋状欠点3となって観察される。この筋状欠点3は、1本に限らず、通常2本以上発生する。筋状欠点3は、肉眼で白い筋として観察され、こうした筋状欠点3を有する光反射防止物品20が、例えばディスプレイパネルに適用されると、外観不良になる場合がある。
しかも、複数の筋状欠点3が、樹脂液の塗布方向に直交する幅方向に亙って散在して発生すると、筋状欠点3が存在する部分を避けて、筋状欠点3が存在しない部分のみから、所定の大きさ及びサイズの枚葉シート形態の光反射防止物品を良品として切り出して用いることも不可能となる。
第1の原因は、未硬化の樹脂液が、透明基材1と接触するときに、樹脂液とその接触面との間に接触方向である塗工方向に沿って、何らかの理由で空気が混入し、これが樹脂液層の内部まで入り込むのが原因と考えられる。空気が樹脂液に入り込んだ初期段階では、一つの内部気泡Gであっても、それが大きいと、塗工ローラで樹脂液がしごかれて塗工ローラ通過するときに、より小さい多数の内部気泡Gに分裂し、これが、塗布方向に沿って一方向に連なることで、筋状欠点3が発生すると考えられる。
第2の原因は、未硬化の樹脂液が、成形型の型面と接触するときに、樹脂液とその接触面との間に、帯状物の搬送方向であり塗工方向でもある接触方向に沿って、何らかの理由で空気が混入し、これが樹脂液層の内部まで入り込むのが原因と考えられる。こちらでも、前記第1の原因と同様に、空気が樹脂液に入り込んだ初期段階では、一つの内部気泡Gであっても、それが大きいと、樹脂液が押圧ローラと成形型とでしごかれて押圧ローラを通過するときに、より小さい多数の内部気泡Gに分裂し、これが、塗布方向に沿って一方向に連なることで、筋状欠点3が発生すると考えられる。
前記反射防止層は、硬化樹脂層の表面に多数の微小突起を有し、
前記微小突起は、隣接する前記微小突起の最凸部同士の間隔をPとして、この間隔Pについての平均値Paveと標準偏差σに対して、
最大間隔Pmaxを、Pmax=Pave+3σとし、
可視光波長帯域の最大波長780nmをλmaxとしたときに、
Pmax≦λmaxである、光反射防止構造を構成し、
前記反射防止層の長手方向に直交する幅方向の寸法である層幅Wに対して、前記幅方向の両端から最大でもW/10の領域を除いた、内側の少なくとも8W/10の領域では、前記反射防止層の層内部には、大きさ5μm以上の内部気泡が長手方向に沿って複数連なる筋状欠点を含まない、光反射防止物品。
本発明による光反射防止物品を、図1(a)の断面図、及び図1(b)の平面図で示す一実施形態例を参照して説明する。なお、各図面は概念図であり、説明上の都合に応じて適宜、構成要素の縮尺関係、縦横比等は誇張されていることがある。
前記反射防止層2は、硬化樹脂層2rの表面に多数の微小突起2tを有し、この多数の微小突起2tが光反射防止構造となっている。具体的には、前記微小突起2tは、隣接する微小突起2tの最凸部同士の間隔をPとして、この間隔Pについての平均値Paveと標準偏差σに対して、最大間隔Pmaxを、Pmax=Pave+3σと定義し、可視光波長帯域の最大波長780nmをλmaxと定義したときに、Pmax≦λmaxなる関係としてある。言い換えれば、微小突起2tの最凸部の最大間隔Pmaxは、λmax以下としてある。
このように、最大間隔Pmaxを、可視光波長帯域の最大波長λmax以下とした微小突起2tの配置とすることで、いわゆるモスアイ構造と呼ばれる光反射防止構造を構成している。
前記最大間隔Pmaxを算出する基礎となる、個々の間隔Pは揃っていても良く、不揃い(ランダム)でも良い。また、微小突起2tの面内配置も、規則的でも良く、不規則的(ランダム)でも良い。
なお、内部気泡Gの大きさについて更に厳しく、大きさ3μm以上の内部気泡Gが前記長手方向に沿って複数連なるものも筋状欠点3として捉え、このような大きさ3μm以上の内部気泡Gからなる筋状欠点3を含まないようにすると、より高品質の光反射防止物品とすることができる。
内部気泡Gが前記長手方向に沿って複数連なる筋状欠点3は、少なくとも2個の内部気泡Gから構成されるが、外観欠陥として重要視されてくるのは、内部気泡Gが少なくとも5個以上が連なる筋状欠点3である。
長手方向を一方向として複数連なるの「連なる」とは、3個以上の内部気泡Gの重心が完全に前記一方向に一直線状になることの他、おおよそ前記一方向になることも含む。大局的に光反射防止物品10に存在する筋状欠点3を観察して、それが延びる方向が光反射防止物品10の長手方向(反射防止層2の長手方向でもある)であれば、該当する。
前記内部気泡Gの大きさとは、内部気泡Gが真球の場合は、その直径を意味し、真球でない場合は、その内部気泡Gを内包し得る最小の真球であるところの、内部気泡Gの外接球の直径を意味する。
反射防止層2を塗布形成したときの塗布方向でもある反射防止層2の長手方向に直交する方向が、反射防止層2の幅方向である。また、透明基材1の幅方向と反射防止層2の層幅方向とは平行である。
透明基材1は、反射防止層2によって光反射防止処理が必要な物品の主要な部分を占める透明な構成要素である。この透明基材1は、帯状であり且つ透明であれば特に限定されない。このような帯状の透明基材1としては、樹脂フィルム(乃至はシート)を用いることができる。樹脂フィルム(乃至はシート)を構成する樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、などである。
透明基材1がフィルムである場合は、光反射防止物品10は、反射防止フィルムと言うことができる。この場合、透明基材1の厚みは例えば20〜200μmである。また、透明基材1の長手方向に直交する幅方向の寸法は、例えば500〜2000mmである。
さらに、透明基材1は、3層以上から構成されていても良い。また、透明基材1と反射防止層2との間に、1層以上の中間層が存在していても良い。
ただ、透明基材1は、コストの点では、1層構成が好ましい。
反射防止層2は、硬化樹脂層2rとして形成され、この硬化樹脂層2rの表面に、多数の微小突起2tから構成された、いわゆるモスアイ構造の光反射防止構造を有する。
微小突起2tは、光に対する反射防止構造を発揮し得る大きさ及び配置となっている。すなちわ、前記微小突起2tは、隣接する前記微小突起2tの最凸部同士の間隔をPとして、この間隔Pについての平均値Paveと標準偏差σに対して、
最大間隔Pmaxを、Pmax=Pave+3σとし、
可視光波長帯域の最大波長780nmをλmaxとしたときに、
Pmax≦λmaxとすることで、光反射防止構造を構成する。
屈折率の変化を滑らかにする点で、微小突起2tは最凸部から最凹部に行くにつれて、
反射防止層2表面の包絡面に平行な面内での断面積が、漸増する形状が好ましい。さらに、好ましくは、最凸部は前記断面積がゼロ乃至はゼロに近いのが好ましい。
硬化樹脂層2rを構成する前記硬化樹脂としては、ウレタン系、エポキシ系などの熱硬化性樹脂、アクリル系、エポキシ系などの電離放射線硬化性樹脂などを用いることができる。なかでも、典型的には、例えば、紫外線や電子線で硬化可能な電離放射線硬化性樹脂が用いられる。電離放射線硬化性樹脂としては、代表的にはアクリル系樹脂であるところの、アクリレート系樹脂を用いることができる。前記アクリレート系樹脂としては、プレポリマー(乃至はオリゴマー)、モノマーの1種以上を含む樹脂組成物を用いることができる。
前記モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能モノマー、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル等の単官能モノマーを用いることができる。
なお、本明細書では(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
前記添加剤とてしは、公知の各種添加剤を含むことができる。例えば、前記樹脂組成物を紫外線照射で硬化させる場合は、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系などの光重合開始剤を添加する。また、シリコーン系、フッ素系などの離型剤やレベリング剤、アクリル系、ポリエステル系などの各種熱可塑性樹脂、希釈溶剤、可塑剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、などを添加することができる。
反射防止層2を透明基材1の面上に形成する方法は、基本的には特に限定されない。例えば、熱プレス法、射出成形法、溶融押出法などがあるが、とりわけ、電離放射線硬化性樹脂の樹脂液を成形型に接触させて賦形する2P法による方法が、光反射防止構造の様なサブミクロンオーダーの微細な表面凹凸を精密に形成できる上、生産性にも優れている。2P法は、反射防止層2の好ましい形成法である。本実施形態における光反射防止物品10も、この2P法によって形成されたものである。
こられらのうち、先ず(c)は気泡を抱き込み易い。次に、(a)は、型面に薄い皮膜として樹脂液を塗布する為にドクターブレードでしごいたときに、型面の光反射防止構造が変形し損傷し易い為に、これを回避する必要がある。このため、(b)の一旦、透明基材1に樹脂液を塗布する方法が、成形型の型面の破損を回避できる点で好ましい。透明基材1上に、樹脂液を一定量塗布する方法としては、公知の塗工法、例えば、グラビアコート法、ダイコート法など各種用いることができる。先に図3を参照して説明した反射防止層2の形成方法は、この(b)による方法であった。(b)の場合、無溶剤系の樹脂液を用いてもよく、溶剤添加して溶液にした樹脂液を用い塗布後に乾燥しても良い。
前記2P法による反射防止層2の形成法において、特に、次の条件(1)〜(4)の各製造条件に留意して製造することによって、本発明の光反射防止物品10を得ることができる。
以下、樹脂液32、押圧ローラ33、成形型34などの符号は、図3中、乃至は図2中での符号である。
透明基材1の面上に反射防止層2を形成する為の樹脂液32を塗布して形成された、未だ固化していない状態の樹脂液層が成形型34に接触する前の状態での表面粗さを、特定の粗さ以下とする。具体的には、固化前の樹脂液層の表面粗さは、測定し難いので、固化前の樹脂液層を、成形型34まで送って接触させることなく、この樹脂液層を透明基材1と一体として切り出した後、硬化させて得た樹脂固化層の表面粗さを測定して得た表面粗さRdで代用して評価する。樹脂固化層の前記表面粗さRdを0.3μm以下とする。表面粗さRdは、JIS B0601(2001年版)による十点平均粗さRzJISとして測定される値である。なお、前記十点平均粗さRzJISは、JIS B0601(1994年版)による十点平均粗さRzに該当する。
表面粗さRdを0.3μm以下とすることによって、内部気泡Gによる筋状欠点3を減少させることができる。
反射防止層2を形成する為の樹脂液32が透明基材1上に塗布されて樹脂液層となった状態の、前記透明基材1と樹脂液層との積層シートLを、押圧ローラ33によって円筒状で回転している成形型34に対して接触させるとき、前記積層シートLの押圧ローラ33に於ける抱き角θを、20〜40°の範囲とする。
前記抱き角θとは、図2で説明すると、積層シートLが押圧ローラ33に接触し、押圧ローラ33に巻き付いたまま、押圧ローラ33の円周面の一部に抱かれて進行方向を変更して、成形型34に接触するまでの、押圧ローラ33の回転角度に該当する。前記「成形型34に接触するまで」の意味は、より厳密に言えば、積層シートLが押圧ローラ33の回転軸と成形型30の回転軸とを結ぶ線分と交差する位置に来るまでの意味である。
図2中では、図2(a)よりも図2(b)の方が、抱き角θは小さい。抱き角θが40°を超えると、内部気泡Gによる筋状欠点3の発生が始まる。したがって、抱き角θは小さい方がよい。しかし、抱き角θが20℃未満は、通常は、機械的なレイアウトの限界もあり難しい。抱き角θを前記範囲内にすることによって、内部気泡Gによる筋状欠点3を減少させることができる。
なお、剥離ローラ36については、抱き角θを小さ目にしたり、或いは、ローラ径を大き目にすることによって、例えば、筋状欠点3を改善する為に、条件(1)〜条件(4)を採用しつつ、樹脂液が完全硬化ではない場合において、良好な表面を得易くすることができる。
反射防止層2を形成する為の樹脂液32が透明基材1上に塗布されて樹脂液層となってから、成形型34に接触するまでの間の樹脂温度を、48±12℃、言い換えると、36〜60℃とする。樹脂温度をこの範囲内にすることによって、内部気泡Gによる筋状欠点3を減少させることができる。樹脂温度がこの範囲未満であると樹脂液層の粘度が増して気泡が入り込み易くなる。樹脂温度がこの範囲を超えると、硬化して反射防止層2となった後、常温に冷却されるまでの光反射防止物品10の熱収縮が大きくなり、別の問題である皺が発生し易くなる。
押圧ローラ33の成形型34に対するニップ圧及びその圧力分布を、透明基材1上に塗布された樹脂液層の層幅Wの全域にわたって、190±40N/cmとする。言い換えると、150〜230N/cmとする。ニップ圧を塗布幅の全幅(層幅Wに該当する)に亙って、この圧力範囲内とすることによって、内部気泡Gによる筋状欠点3を減少させることができる。圧力分布の幅方向の均一化は、押圧ローラ33の形状、並びに、成形型34を中空とした場合の型内部構造及び剛性などで調整する。
押圧ローラ33は、その表面を被覆するゴムのゴム硬度が、JIS K 6253に準拠しデュロメータ タイプAでの測定で、80〜100°が好ましい。
上記条件(1)〜条件(4)の各製造条件で説明した、筋状欠点3の改善効果は、それぞれの条件単独での傾向である。また、上記(1)〜(4)の各製造条件は、望む改善効果が得られれば、全ての条件を満たして製造する必要はない。最低限、何れか1条件を満たす様にして製造し、好ましくは何れか2条件を満たす様にして製造し、さらに好ましくは何れか3条件を満たす様にして製造し、さらに好ましくは全4条件を満たす様にして製造する。条件数を増やせば、より安定的に製造できる。
また、上記条件(1)〜条件(4)のなかでも、条件(1)と条件(4)による改善効果が大きいので、2条件を選ぶとすれば、先ずは、この件件(1)と条件(4)とを選ぶのが好ましい。
一方、条件(1)〜条件(4)のいずれの条件も満たさない製造条件で製造すると、反射防止層2の層幅Wに対して、両側W/10の部分はもちろん、その内側の8W/10の部分にも筋状欠点3が発生し、或る程度の大きさで良品を取り出せる有効領域が極めて少ない非実用的な、帯状の光反射防止物品しか得ることができない。
本発明の光反射防止物品10は、上記した形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
上記した実施形態では、反射防止層2はいずれも透明基材1の片面に形成された形態であった。しかし、本発明においては、反射防止層2は透明基材1の複数の面に形成されていても良い。例えば、透明基材1がフィルム(シートも含む)や板である場合、反射防止層2は透明基材1の片面と、この片面の反対側の他方の面との、両面に形成されていても良い。この場合、表裏の反射防止層2の硬化性樹脂は、互いに異なる設計にしても良い。
本発明においては、前記のように、光反射防止物品10は、透明基材1と反射防止層2との2層のみからなる層構成でもよいが、これ以外の構成要素、例えば機能層を備えていても良い。
機能層としては、例えば、帯電防止層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、着色層(色補正層などとなる)、光拡散層、偏光層、位相差層、輝度向上層、視野角調整層、接着剤層(含む粘着剤層)、密着強化層などである。これらの機能層は、光学シートなど各種光学部材において、従来公知のものを適宜採用することができる。これらの機能層を設けることにより、設けた機能層に応じた機能を付与することができる。
機能層は、透明基材1に含まれる層として、設けることもできる。例えば、反射防止層2に対する密着性を強化する密着強化層として、反射防止層2に接する面を構成する最表面層として設けることができる。
本発明においては、光反射防止物品10は、その形状が帯状であった。しかし、こうした帯状の光反射防止物品10は、用途に応じた使用される所定の形状及び大きさに切り出され、或いはさらに他の物に積層されて、最終的には、シート、板、或いは、シート及び板以外の三次元立体物などの、帯状ではない形状となって使われる。
その一例として、本発明の光反射防止物品10である帯状物から、シート状となった後の、枚葉シート形態の光反射防止物品について、以下説明する。
この光反射防止物品30が、本発明による帯状の光反射防止物品10と異なる点は、第1に形状が帯状ではなく枚葉シート状である点である。第2に、筋状欠点3の延びる方向が、光反射防止物品30の長尺方向に平行にではなく、前記長尺方向に直交する短尺方向に平行である点である。
帯状物から切り出して枚葉シートに形状が変化した後では、帯状物上での反射防止層2の塗布方向及びこれに直交する反射防止層2の層幅Wに対応する幅方向は、帯状物から枚葉シートを、どのような方向で切り出すかによって異なる。このため、枚葉シートだけを観察すると、そこに存在する筋状欠点3の延びる方向、及びその反射防止層2が塗布されたときの塗布方向、及びこれに直交する反射防止層2の層幅Wの元になる反射防止層2の幅方向は、不明である。
前記本発明の帯状の光反射防止物品10から、切り出されたものであると言うことができる。
こうした枚葉シート形状の光反射防止物品30は、次のような構成であると言うことができる。
前記本発明の帯状の光反射防止物品10から、切り出された長方形形状の枚葉シート形態の光反射防止物品30であって、両側短辺間の距離が両側長辺間の距離よりも大きく前記両側短辺間が長尺方向であり、この長尺方向の両端に位置する短辺近傍のうちの少なくも一方に、この短辺に平行な短尺方向に延び、大きさ5μm以上の内部気泡が前記短尺方向に沿って複数連なる筋状欠点3を有する、光反射防止物品30、である。
つまり、筋状欠点3の延びる方向が、帯状物での長尺方向から、枚葉シートでは短尺方向に、変化した形態である。
もちろん、帯状物から切り出すときに、前記図5の様にしないで、帯状物の長手方向を、枚葉シートでの長尺方向と一致させて切り出せば、筋状欠点3の延びる方向は、長尺方向となる。
本発明による光反射防止物品10は、形状はシート乃至はフィルム状、板状、その他の三次元形状など任意であることから、様々な用途に用いることができる。例えば、液晶テレビ、EL(電解発光)テレビなどのなどのテレビジョン、多機能携帯情報端末などのパーソルコンピュータ、高機能携帯電話などの携帯電話、電子手帳、電子書籍端末、デジタルフォトフレーム、電子看板などの各種表示機器に於けるディスプレイ、或いはこれら各種表示機器のディスプレイに対するタッチパネルなどの各種機器に適用することができる。また、ビデオレコーダ、音楽プレーヤ、電機炊飯器、電気ポット、洗濯機等の表示窓部、カメラ、ビデオカメラ、ブロジェクタ、光学測定器などの光学機器の光学系に用いることもできる。
また、インテリアや建材などの分野において、透明で映りこみを嫌うような意匠にも用いることが出来る。特に透明な基材の表裏に用いるとその効果は顕著である。
2 反射防止層
2r 硬化樹脂増
2t 微小突起
3 筋状欠点
10 光反射防止物品
20 従来の光反射防止物品
30 枚葉シート形状の光反射防止物品
31 塗工ローラ
32 樹脂液
33 押圧ローラ
34 成形型
35 電離放射線照射装置
36 剥離ローラ
G 内部気泡
W 反射防止層の層幅
Claims (1)
- 帯状の透明基材と、前記透明基材の面上に前記透明基材の長手方向に沿って帯状に形成された反射防止層と、を有する帯状の光反射防止物品であって、
前記反射防止層は、硬化樹脂層の表面に多数の微小突起を有し、
前記微小突起は、隣接する前記微小突起の最凸部同士の間隔をPとして、この間隔Pについての平均値Paveと標準偏差σに対して、
最大間隔Pmaxを、Pmax=Pave+3σとし、
可視光波長帯域の最大波長780nmをλmaxとしたときに、
Pmax≦λmaxである、光反射防止構造を構成し、
前記反射防止層の長手方向に直交する幅方向の寸法である層幅Wに対して、前記幅方向の両端から最大でもW/10の領域を除いた、内側の少なくとも8W/10の領域では、前記反射防止層の層内部には、大きさ5μm以上の内部気泡が長手方向に沿って複数連なる筋状欠点を含まない、光反射防止物品。
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