JP6266218B2 - クロノグラフ帰零機構、クロノグラフ機構、ムーブメント、及び、クロノグラフ時計 - Google Patents

クロノグラフ帰零機構、クロノグラフ機構、ムーブメント、及び、クロノグラフ時計 Download PDF

Info

Publication number
JP6266218B2
JP6266218B2 JP2013050535A JP2013050535A JP6266218B2 JP 6266218 B2 JP6266218 B2 JP 6266218B2 JP 2013050535 A JP2013050535 A JP 2013050535A JP 2013050535 A JP2013050535 A JP 2013050535A JP 6266218 B2 JP6266218 B2 JP 6266218B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hammer
chronograph
nulling
engagement
lever
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013050535A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013224928A (ja
Inventor
小野 保
保 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Instruments Inc
Original Assignee
Seiko Instruments Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Instruments Inc filed Critical Seiko Instruments Inc
Priority to JP2013050535A priority Critical patent/JP6266218B2/ja
Publication of JP2013224928A publication Critical patent/JP2013224928A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6266218B2 publication Critical patent/JP6266218B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、クロノグラフ帰零機構及び該帰零機構を備えたクロノグラフ機構、該クロノグラフ機構を備えるムーブメント、並びに該クロノグラフ機構を備えたクロノグラフ時計に係る。
帰零指示(リセット)ボタンの押圧に応じて第一及び第二の復針伝えレバーからなる復針伝えレバー構造体又は単一の復針伝えレバーを介して復針レバーに帰零力を加えて該復針レバーを作動させてクロノグラフ分針やクロノグラフ秒針等の帰零動作を行わせる。その際に、復針レバーが受ける帰零力と分ハートカムや秒ハートカム等から復針レバーに伝えられる反作用とが釣合う状態ですべてのクロノグラフ車(帰零力受部として力受体を構成するダミーの軸部(クロノグラフ真以外の軸部)を一部に含む場合もある)を最終的に帰零させるようにしたクロノグラフ機構は、知られている(特許文献1〜3等)。
この特許文献1等において図示されたクロノグラフ帰零機構103を備えたクロノグラフ機構101の場合、帰零指示ボタン(図示せず)を押圧して第一復針伝えレバー(図示せず)を回動させ、これにより、図14に示したように、第二復針伝えレバー(又は単一の復針伝えレバー)482を回動中心482kのまわりでPA1方向に回動させる。第二復針伝えレバー(又は単一の復針伝えレバー)482の直線状に延びた先端係合溝部482cで復針レバー464の係合ピン464aをPB1方向に押すことにより、復針レバー464をPD1方向に変位させて、復針レバー464のハンマー部464d,464e及び464fで時ハートカム又はダミー軸部332d、秒ハートカム322d及び分ハートカム342dを叩いて、帰零させる。この帰零の際の復針レバー464のPD1方向変位は、復針レバー464の案内用長穴464b及び案内用長溝464cとクロノグラフ下板の如き支持基板に立設された案内ピン464n及び464jとの係合によって規定される。帰零を確実に行うためのセルフアラインメントの条件、すなわち復針レバー464の変位のより詳細な条件は、特許文献1等に詳述されているように、ハートカム332d,322d,342dの配置や復針レバー464の外形形状並びに案内用長穴464b及び案内用長溝464cの形状等によって規定される。
なお、クロノグラフ機構101が帰零状態にある際に、該帰零状態を解除すべく、発停ボタン(図示せず)を押圧して発停レバー(図示せず)を回動させる。これにより、復針伝えレバー構造体の第二復針伝えレバーや単一の復針伝えレバー482をPA2方向に回動し、図15に示したように、復針レバー464がPD2方向に戻され、分クロノグラフ車342や秒クロノグラフ車322が通常のクロノグラフ運針の可能な状態に戻る。符号332で示したものがダミーの軸部等ではなくて時クロノグラフ車の場合には、時クロノグラフ車332も同時に通常のクロノグラフ運針の可能な状態に戻る。
しかしながら、この特許文献1等において図面に示された技術の場合、第二の復針伝えレバー482(特許文献1の復針伝えレバーB又は特許文献2の単一の復針伝えレバー40)の長さによって復針レバー464のPD1,PD2方向の可動ストロークの大きさやハートカムに対して帰零力が有効に加えられ得る範囲が決まってしまう。すなわち、特許文献1〜3等に明示された技術では、ムーブメントの小型化や自由なレイアウトが図られ難い。
特開2004−294277号公報 特開2011−180122号公報 特開2010−151642号公報
本発明は、前記諸点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、基本的な配置及び形状の変更を最低限に抑えつつムーブメントの小型化に対応し得るようにしたセルフアラインメント式のクロノグラフ帰零機構及び該帰零機構を備えたクロノグラフ機構、並びに該クロノグラフ機構を備えたクロノグラフ時計を提供することにある。
本発明のクロノグラフ帰零機構は、「回動中心に対して一方側に帰零力を入力する入力側腕部と、他方側に前記帰零力を出力する出力側腕部と、前記出力側腕部に形成される第一係合部とを有する復針伝えレバーと、前記第一係合部と係合し前記帰零力を入力する第二係合部と、前記帰零力に応じて移動する方向を案内する案内部と、第一打面が形成される第一ハンマー部と、第二打面が形成される第二ハンマー部とを有する復針レバーと、前記第一打面が当接して帰零される第一帰零力受部と、前記第二打面が当接して帰零される第二帰零力受部とを有する帰零部と、を備え、前記第一及び第二係合部のいずれか一方が、前記回動中心とした周方向に対して斜めに他方をガイドする」。
本発明のクロノグラフ帰零機構では、「第一及び第二係合部は、一方が係合穴からなり他方が係合穴と係合する係合ピンからなり、係合穴は凸状に曲がった長穴からなる」。これにより、ムーブメントの小型化に伴って復針伝えレバーの出力側腕部の長さが短くなった場合でも、帰零解除の際に、(第二係合部が係合ピンの場合の)復針レバーの係合ピンを(第一係合部が係合穴の場合の)復針伝えレバーの凸状に曲がった長穴の一端部に位置せしめて、復針レバーの第一及び第二ハンマー部を第一及び第二帰零力受部から十分に離すことができる。また、セルフアラインメント式の帰零動作の最終段階の際に、復針レバーの係合ピンを復針伝えレバーの長穴の他端部に位置せしめて、復針レバーの第一及び第二ハンマー部が対応する第一及び第二帰零力受部に対して密接され得るような帰零力を復針伝えレバーから復針レバーに加えることができる。
すなわち、ムーブメントの小型化に伴って復針伝えレバーの出力側腕部の長さが短くなった場合に、そのままでは、出力側腕部の該短小化に伴って出力側腕部の先端部に位置する係合長穴部の回動長も必然的に短くなり復針レバーのストロークが小さくなってしまう。これに対して本発明のクロノグラフ帰零機構では、「第一及び第二係合部は、一方が係合穴からなり他方が係合穴と係合する係合ピンからなり、係合穴は凸状に曲がった長穴からなる」。これにより、帰零解除動作の後半の段階では復針レバーの係合ピンが復針伝えレバーの凸状に曲がった長穴の上記一端部に近付くことによって第一及び第二帰零力受部から逃げる方向に変位され得る。そのため、帰零解除の際に、復針レバーのストロークを長く採り復針レバーの第一及び第二ハンマー部を第一及び第二帰零力受部から十分に離し得る。また、「係合穴は凸状に曲がった長穴からなる」から、復針レバーの第一及び第二ハンマー部が対応する第一及び第二帰零力受部に当接された後のセルフアラインメントの段階において、復針伝えレバーの出力側腕部の凸状に曲がった長穴の側壁から復針レバーの係合ピンに対して第二帰零力受部に向かう向きの力を確実に及ぼすことができる。最終的に第一及び第二帰零力受部の全てに対して第一及び第二ハンマー部を密接させるように帰零力を配分してセルフアラインメントを実現し得る。
すなわち、本発明のクロノグラフ帰零機構では、「第一及び第二係合部は、一方が係合穴からなり他方が係合穴と係合する係合ピンからなり、係合穴は凸状に曲がった長穴からなる」ので、復針伝えレバーの出力側腕部の長さや回動角度範囲にかかわらず、復針レバーの並進方向及び並進長(ストローク)を適切に確保し得る。
また、本発明のクロノグラフ帰零機構では、「前記係合穴は前記復針レバーが前記帰零力に応じて移動する移動方向に凸である。」また、「前記係合穴は前記出力側腕部が前記帰零力に応じて回転する回転方向に凸である」。これにより、帰零動作及び帰零解除動作が確実に行われる。
即ち、係合穴を復針レバーの移動方向に凸とすることにより、復針伝えレバーから復針レバーに受ける帰零力を第二ハンマー部が当接する第二帰零力受部の側に向けることができる。また、帰零解除の際には、復針伝えレバーの出力側腕部を第二帰零力受部から離すことができる。同様に、係合穴を、復針伝えレバーの出力側腕部が帰零時に回転する回転方向に凸とすることにより、復針伝えレバーから復針レバーに受ける帰零力を第二ハンマー部が当接する第二帰零力受部の側に向けることができる。また、帰零解除の際には、復針伝えレバーの出力側腕部を第二帰零力受部から離すことができる。
また、係合穴は、必要に応じて、復針伝えレバーの回動中心に近い基端側及び回動中心から遠い先端側をそれぞれ直線状の長穴とすることができる。また、直線状の長穴に代えて、例えば、円弧状又は他の曲線状の長穴とすることができる。
また、本発明のクロノグラフ帰零機構では、「前記係合穴は、直線状の2つの長穴部が折れ曲がって連結して「L」字形状を有する」。そして、「L」を構成する基端側及び先端側の直線状の長穴部が鈍角をなしている。
これにより、係合ピンは係合穴の基端側及び先端側の直線状の2つの長穴部の間を容易に移動することができる。ここで、基端側及び先端側の直線状の2つの長穴部は滑らかに湾曲した接続穴で連続的につながる。但し、所望ならば、基端側及び先端側の直線状の長穴部の成す角が鈍角である代わりに直角であっても90度より小さくてもよい。
本発明のクロノグラフ帰零機構では、典型的には、先端側の直線状の長穴部が、帰零の際にその帰零位置を越えて回転したクロノグラフ車に対して該クロノグラフ車をその帰零位置に戻す帰零力を及ぼすに十分長い。
その場合、当該クロノグラフ車が帰零の際にその帰零位置を越えて回転した場合であっても、係合ピンが先端側の直線状の長穴部の中に留まり基端側の直線状の長穴部に入り込むのを避け得るので、係合ピンに適切な帰零力を及ぼし得るから、該クロノグラフ車を確実に帰零させ得る。
また、本発明のクロノグラフ帰零機構では、「前記第一打面は前記第二打面と直交する」。これにより、復針伝えレバーから復針レバーに伝達される帰零力を第一ハンマー部の第一打面及び第二ハンマー部の第二打面に効率よく伝達することができる。
また、本発明のクロノグラフ帰零機構では、「前記第一係合部は前記係合ピンからなり、前記第二係合部は前記係合穴からなる」。つまり、係合ピンが設置される復針レバーの上に係合穴が設置される復針伝えレバーを容易に組み立てることができる。
また、本発明のクロノグラフ帰零機構では、「前記第一帰零力受部の回転中心と前記第二帰零力受部の回転中心とを結ぶ直線は前記第二打面により形成される平面に対して傾斜する」。これにより、第一帰零力受部と第二帰零力受部の設置位置、第一及び第二帰零力受部の第一打面や第二打面の傾斜角、更に、第二帰零力受部に対する復針伝えレバーの出力側腕部の先端との間の位置についての各自由度が広がり、各部品をコンパクトに集約することが可能となる。
また、本発明のクロノグラフ帰零機構では、「前記復針レバーは前記第一打面に平行な第三打面を有し、前記帰零部は前記第三打面が当接する第三帰零力受部を備える」。三つの帰零力受部が、時分秒の三種類の夫々のクロノグラフ真及びハートカムと、クロノグラフ真以外のダミー軸部の形態の力受体とからなる四種類の帰零力受部のうちの三つの帰零力受部により構成することができる。
その場合、時分秒のうちの少なくとも二つのハートカム(従って対応するクロノグラフ針)の帰零が行われ得る。ここで、帰零力受部としてダミーの軸部(クロノグラフ真以外の軸部の力受体)が用いられる場合には、時分秒のうちの一つハートカム(対応するクロノグラフ針)は用いられない。
また、本発明のクロノグラフ帰零機構では、「前記第三帰零力受部は、時ハートカム、分ハートカム及び秒ハートカム以外のダミー軸受部からなる」。つまり、帰零力受部が、秒クロノグラフ真及び秒ハートカムと、分クロノグラフ真及び分ハートカムと、時クロノグラフ真以外のダミー軸部の形態の力受体とからなる。
その場合、分ハートカム及び秒ハートカム(従って分クロノグラフ針及び秒クロノグラフ針)の帰零が行われ得、この二つのクロノグラフ車の帰零に際してもう一つの帰零力受部としてダミーの軸部(クロノグラフ真以外の軸部の力受体)があることがセルフアラインメント式の帰零に寄与し得る。
また、本発明のクロノグラフ帰零機構では、「前記第三打面は、前記復針レバーが前記帰零力に応じて移動する方向に対し前記第一打面により形成される平面よりも前方又は後方に位置する」。これにより、第三帰零力受部の設置位置がずれる場合でも第一〜第三打面により第一〜第三帰零力受部を同時に帰零することが可能となる。また、第一帰零力受部の回転中心と第二帰零力受部の回転中心を結ぶ直線と、第一帰零力受部の回転中心と第三帰零力受部の回転中心を結ぶ直線とを直交させる必要が無い。そのため、各帰零力受部の相互位置関係の自由度が拡大し、各部品を一層コンパクトに集約し最適なレイアウトに構成することができる。
また、本発明のクロノグラフ帰零機構では、「前記案内部は直線状に案内されるガイドピン又は案内用長穴からなり、前記帰零力に応じて前記第一及び第二ハンマー部がそれぞれ前記第一及び第二帰零力受部に当接し帰零する位置において、前記ガイドピンが位置する近傍の前記案内用長穴は前記ガイドピンの径よりも大きい拡径部を有する」。
その場合、帰零の最終段階でセルフアラインメントが確実に行われ得る。ここで、案内部は一対のガイドピンにより構成してもよいし、一対の案内用長穴により構成してもよいし、ガイドピンと案内用長穴により構成してもよい。案内用長穴は、貫通穴であってもよいし、貫通しない溝であってもよいし、一部が側方に開放する穴や溝であってもよい。
本発明のクロノグラフ機構は、前記目的を達成すべく、上述のようなクロノグラフ帰零機構を備える。
本発明のクロノグラフ機構では、典型的には、復針伝えレバーが単一のレバーからなり、該復針伝えレバーの先端の発停レバー係合部に発停レバーの先端部が押付けられた際に該復針伝えレバーが前記一方の向きに回動され、該復針伝えレバーの帰零指示レバー係合部に帰零指示レバーの先端部が押付けられた際に該復針伝えレバーが前記他方の向きに回動されるように構成される。
その場合、関連するレバーの数を最低限に抑えた状態で帰零動作及びその解除動作が行われ得る。
本発明のクロノグラフ時計は、前記目的を達成すべく、上述のようなクロノグラフ機構ないし上述のようなクロノグラフ帰零機構を有する。
本発明の好ましい一実施例(実施例1)のクロノグラフ帰零機構を備えた本発明の好ましい一実施例のクロノグラフ機構を有する本発明の好ましい一実施例のクロノグラフ時計の一部を示した平面説明図。 図1のクロノグラフ機構が帰零動作を完了した状態において復針伝えレバー及び復針レバーと三つの帰零力受部としての秒クロノグラフ車及び分クロノグラフ車並びに時クロノグラフ真以外の軸部の力受体としてのダミー軸とを示す平面説明図。 帰零解除動作を完了した状態におけるクロノグラフ機構を示す図2と同様な平面説明図。 帰零動作の最終段階であって帰零動作を完了する前の状態におけるクロノグラフ機構を示す図2と同様な平面説明図。 図2に示した帰零位置のクロノグラフ機構と図9に示した帰零位置の仮想的なクロノグラフ機構とを重ねて対比した平面説明図。 図2に示した帰零位置のクロノグラフ機構を図11に示した(仮想)帰零位置のクロノグラフ機構と重ねて対比した平面説明図。 図3に示した発停位置のクロノグラフ機構を図10に示した発停位置の仮想的なクロノグラフ機構と重ねて対比した平面説明図。 図3に示した発停位置のクロノグラフ機構を図12に示した発停位置の仮想的なクロノグラフ機構と重ねて対比した平面説明図。 従来技術の改変によって得られると想定される一つの仮想的なクロノグラフ帰零機構を備えた一つの仮想的なクロノグラフ機構を有する一つの仮想的な時計が帰零位置にある状態を示した平面説明図。 図9のクロノグラフ時計のクロノグラフ機構が仮想的な発停位置(帰零解除位置)にある状態を示した平面説明図。 従来技術の改変によって得られると想定される別の一つの仮想的なクロノグラフ帰零機構を備えた別の一つの仮想的なクロノグラフ機構を有する別の一つの仮想的な時計が帰零位置にある状態を示した平面説明図。 図11のクロノグラフ時計のクロノグラフ機構が発停位置(帰零解除位置)にある状態を示した平面説明図。 図11のクロノグラフ時計のクロノグラフ機構が帰零動作の最終段階であって帰零動作を完了する前の状態にある状態を示した平面説明図。 帰零状態にある従来のセルフアラインメント式のクロノグラフ時計のクロノグラフ帰零機構を備えたクロノグラフ機構を示した平面説明図。 発停状態(帰零解除状態)にある図14のクロノグラフ時計のクロノグラフ帰零機構を備えたクロノグラフ機構を示した平面説明図。 本発明の好ましい他の一実施例(実施例2)のクロノグラフ帰零機構を示す平面模式図。 本発明の好ましい他の一実施例(実施例3)のクロノグラフ帰零機構を示す平面模式図。
本発明の好ましい一実施の形態を添付図面に示した好ましい一実施例に基づいて説明する。
なお、本発明の好ましい一実施例のクロノグラフ機構1及びこれを備えたクロノグラフ時計2について、図1から図3に基づいて説明する前に、図14及び図15に示した種類の従来のクロノグラフ機構101について、クロノグラフ時計のムーブメント自体が小さくなりそれに応じて復針レバー構造体の第二復針伝えレバー(又は単一の復針伝えレバー)の大きさを小さくする必要がある場合に生じる虞れがある問題について、説明する。
クロノグラフ時計のムーブメントのサイズ(例えば外径)が図14及び図15に示したクロノグラフ時計102のムーブメント104のサイズ(例えば外径)よりも小さくなった場合において、セルフアラインメント式のクロノグラフ機構の変更を最低限に抑えようとすることを想定する。その場合、セルフアラインメント式のクロノグラフ機構の基本的部分をなし該クロノグラフ機構を構成する秒クロノグラフ車322、分クロノグラフ車342及びクロノグラフ真以外のダミー軸部の形態の力受体(又は時クロノグラフ車)332の相対配置及び大きさ(サイズ)を図14及び図15のクロノグラフ機構101の秒クロノグラフ車322、分クロノグラフ車342及びクロノグラフ真以外のダミー軸部の形態の力受体(又は時クロノグラフ車)332の相対配置及び大きさ(サイズ)と同一に保つものと想定する。
そのような条件下では、典型的には、ムーブメントの外周に概ね沿うように配置される復針レバー構造体の第二復針伝えレバー(又は単一の復針伝えレバー)の入力側及び出力側の腕のうち出力側の腕の長さを短くし、第二復針伝えレバー(又は単一の復針伝えレバー)及び復針レバーの形状を変えることになる。
この場合、典型的には、図9に示したようにクロノグラフ帰零機構203を備えたクロノグラフ機構201の帰零動作は適切に行われ得るけれども図10に示したように帰零の解除が適切には行われ得ないとき(図9及び図10に示した場合)と、図12に示したようにクロノグラフ帰零機構303を備えたクロノグラフ機構301の帰零解除動作は適切に行われ得るけれども図11に示したに示したように帰零動作が適切には行われ得ないとき(図11及び図12に示した場合)とがある。
すなわち、クロノグラフ時計202のクロノグラフ機構201の場合、図9に示したように、帰零動作の際には、帰零指示ボタン(図示せず)を押圧して復針レバー構造体を構成する第一復針伝えレバー(図示せず)を介して第二復針伝えレバー(又は単一の復針伝えレバー)582を回動中心482kのまわりでA1方向に回動させる。第二復針伝えレバー(又は単一の復針伝えレバー)582の先端係合溝部582cで復針レバー564の係合ピン564aをB51方向に押すことにより、復針レバー564をD51方向に変位させて、復針レバー564のハンマー部564d,564e及び564fで時ハートカム又はダミー軸部332d、秒ハートカム322d、及び分ハートカム342dを叩いて、帰零させ得る点では、図14に示したクロノグラフ機構101と同様である。
なお、このクロノグラフ機構201では、第二復針伝えレバー(又は単一の復針伝えレバー)582の回動中心482kの位置及び入力側腕部582iの形状はクロノグラフ機構101の場合(第二復針伝えレバー(又は単一の復針伝えレバー)482の回動中心482kの位置及び入力側腕部482iの形状)と同一である。クロノグラフ機構201では、第二復針伝えレバー(又は単一の復針伝えレバー)及び復針レバー及びその関連要素については、クロノグラフ機構101の対応する要素の符号のうち「100」の位の数値を「4」から「5」に変更した符号が用いられている。また、このクロノグラフ機構201では、復針レバー564に加える力の向き及び変位方向についても、「5」を加えて、夫々、B51,D51とした。
クロノグラフ機構201において、帰零状態にある際に、発停ボタン(図示せず)を押圧することにより帰零解除指示を出して、発停レバー(図示せず)を回動させる。これにより、第二復針伝えレバー(又は単一の復針伝えレバー)582をA2方向に回動させた場合、第二復針伝えレバー(又は単一の復針伝えレバー)582の出力側腕部582fが短いので、図10に示した通り、復針レバー564が十分にはD52方向に戻され得ず、例えば、秒クロノグラフ車322の回転軌跡内に秒ハンマー564eの先端部の一部564erが残る。従って、本来のクロノグラフ運針動作が行われ得なくなる。
一方、帰零解除の指示の際に復針レバーを十分に戻し得るように、係合溝ないし長穴の基端側の位置を後方にずらすと想定すると、クロノグラフ機構301は、概ね、図11及び図12の通りとなる。クロノグラフ機構301においてクロノグラフ機構101の要素と同一に保つ要素はクロノグラフ機構201の場合と同様であるけれども、クロノグラフ機構301においては、第二復針伝えレバー(又は単一の復針伝えレバー)682の出力側腕部及び関連要素の形状及び復針レバー664の形状、並びにクロノグラフ車322,342等の全体の向きや全体の配置は、クロノグラフ機構101とは異なる。
このクロノグラフ時計302のクロノグラフ機構301では、図12に示した通り、帰零解除動作が行われ、復針伝えレバー構造体を構成する第二復針伝えレバー(又は単一の復針伝えレバー)682がA2方向に回動され、出力側腕部682fの先端部の長穴682cの基端682c1に復針レバー664のピン664aが位置するとき、時ハンマー又はダミー軸部に対する当接部664dや分ハンマー664fだけでなく、秒ハンマー664eも、その先端部の部分664erを含む全体が対応するダミー軸部332dや分クロノグラフ車342及び秒クロノグラフ車322の領域から完全に離れる。従って、帰零解除が確実に行われて、その後、クロノグラフ機構301の発停動作が適切に行われ得る。
クロノグラフ機構301では、第二復針伝えレバー(又は単一の復針伝えレバー)及び復針レバー及びその関連要素の符号については、クロノグラフ機構101の対応する要素の符号のうち「100」の位の数値を「4」から「6」に変更した符号が用いられている。また、このクロノグラフ機構301では、復針レバー664に加える力の向き及び変位方向についても、「6」を加えて、夫々、B61,D61とした。
クロノグラフ機構301の場合、図11に示した通り、帰零動作の際には、帰零指示ボタン(図示せず)を押圧して第一復針伝えレバー(図示せず)を回動させ、これにより、図11に示したように、第二復針伝えレバー682を回動中心482kのまわりでA1方向に回動させ、第二復針伝えレバー682の先端係合溝部682cで復針レバー664の係合ピン664aをB61方向に押すことにより、復針レバー664をD61方向に変位させて、復針レバー664のハンマー部664d及び664eで時ハートカム又はダミー軸部332d及び秒ハートカム322dを叩いて帰零させ得る。この点では図14に示したクロノグラフ機構101と同様である。しかし、第二復針伝えレバー682の長穴682cの側壁部682c2から復針レバー664のピン664aに対して加えられる帰零力の向きB61が、分ハンマー664f(より詳しくは分ハンマーの作動面664f)の延在方向と概ね平行になるので、分ハンマー664fでは分ハートカム342dに帰零力を加え得ず、分クロノグラフ車342を実際上帰零させ難い。
より詳しくは、図13に示したように、秒ハートカム322dの帰零が実際上完了し、ダミーピン332dへの当接(換言すれば、時クロノグラフ車がある場合における時ハートカム332dの帰零)も実際上完了した状態であって、分クロノグラフ車342の分ハートカム342dだけが完全には帰零されておらずその帰零途中にある状態において、復針伝えレバー682の長穴682cの側壁682c2が復針レバー664のピン664aを押す向きB61が秒クロノグラフ車322の中心軸線PCとダミー軸部332dの中心軸線PC2とを結ぶ仮想線PV1に対して概ね直角になる。そのため、セルフアラインメントの最終段階で復針レバー664を分ハートカム342dに押付ける力を実際上欠き、分クロノグラフ車342を実際上帰零させ難くなる。
本発明者は、図14及び図15に示したような従来のセルフアラインメント式のクロノグラフ機構101では、帰零力受部となるクロノグラフ車やそのダミー軸部322,332d,342等の変更を最低限に抑えつつクロノグラフ時計102のムーブメント104のサイズ等の異なるものに適用しようとすると、上述のような種々の問題が生じることに気づき、本発明に到達した。次に、その一例について、詳しく説明する。
本発明の好ましい一実施例のセルフアラインメント式のクロノグラフ帰零機構3を備えたクロノグラフ機構1を有する本発明の好ましい一実施例のクロノグラフ時計2は、例えば、図1から図5に示した通りの構造を有する。
クロノグラフ時計2のクロノグラフ機構1は、図1に示した通り、クロノグラフ下板5の如き基板等によって支持された帰零力受部としての秒クロノグラフ車81(第一帰零力受部)、帰零力受部としての分クロノグラフ車82(第二帰零力受部)及び帰零力受部(第三帰零力受部)を構成するクロノグラフ真以外の軸部の力受体としてのダミーピン83(ダミー軸受部)や発停(スタート/ストップ)ボタン16及び帰零指示(リセット)ボタン17に加えて、帰零指示(リセット)レバー20、発停レバー30、復針伝えレバー40、及び復針レバー50を有する。なお、第一〜第三帰零力受部は帰零部に含まれる。また、第一帰零力受部は秒クロノグラフ車以外のクロノグラフ車又はダミーピンであってもよいし、第二帰零力受部は分クロノグラフ車以外のクロノグラフ車又はダミーピンであってもよいし、第三帰零力受部はダミーピン以外のクロノグラフ車であってもよい。クロノグラフ時計2のムーブメント4は概ねクロノグラフ下板5と同様な平面形状を有する。この例では、クロノグラフ機構1を構成する要素ないし部品はその細かい形状や長さや相対配置を除いて特許文献2の図2等に示したものと概ね同様である(停止レバー等の一部の部品(要素)の図示は省略してある)。
ダミーピン83は中心軸線C1(回転中心)に沿って立設されている。ダミーピン83の代わりに、特許文献2のように、時クロノグラフ車が設けられていてもよい。ダミーピン83の半径は、典型的には、時クロノグラフ車がある場合における時ハートカムの帰零面と回転中心軸線C1との間の距離に一致する。秒クロノグラフ車81は、中心軸線C(回転中心)のまわりで回転可能であって、秒ハートカム81dで帰零力を受ける。分クロノグラフ車82は、中心軸線C2(回転中心)のまわりで回転可能であって、分ハートカム82dで帰零力を受ける。
帰零指示レバー20は中心軸線C4のまわりでE1,E2方向に回動可能であってその両側に入力側及び出力側腕部22,23を備える。ばね部(図示せず)によってF2方向復元力を受けた帰零指示ボタン17がF1方向に押圧されると、帰零指示レバー20は、該ボタン17の押圧力を入力側腕部22の突出部26で受けてE1方向に回動され、出力側腕部23の先端側縁の係合縁部29が前に進む向きにE1方向に回動される。
発停レバー30も一端に位置する中心軸線C4のまわりでE2,E1方向に回動可能であって該端部から延在した腕部33の先端の内側に復針伝えレバー押圧用突出部35を備える。ばね部(図示せず)によってG2方向復元力を受けた発停ボタン16がG1方向に押圧されると、発停レバー30は、該ボタン16の押圧力を腕部33の基端部の外側の突出部36で受けてE2方向に回動され、腕部33の先端の内側縁の押圧用突出部35が前に進む向きにE2方向に回動される。
復針伝えレバー40は中心軸線C5(回動中心)のまわりでH1,H2方向に回動可能であってその両側に入力側及び出力側腕部42,43を備える。復針伝えレバー40の入力側腕部42は、先端の一側に発停レバー係合部44を備えると共にクロノグラフ下板5に対面する主面からクロノグラフ下板5に向かって突出した帰零指示レバー係合用ピン状突起部45を備える。復針伝えレバー40の出力側腕部43は、先端部に、「L」字状の係合長穴部70(第一係合部の係合穴)を備える。出力側腕部43は、更に、復針伝えレバー40の回動位置を規定する復針伝えレバー用スイッチばね部64と係合するピン状突起部47を備える。スイッチばね部64は一側に山部64aを備える。
係合長穴部70(第一係合部が係合穴の場合)は、端部71から端部72まで直線状に延び幅が一定の第一長穴部73と、該第一長穴部73の端部72から別の端部74まで直線状に延び幅が一定の第二長穴部75とを備え、該係合長穴部70は、全体として、復針伝えレバー40の出力側腕部43の先端部が描く円弧(図1〜図4の図面において下に凸の円弧)とは逆向きに凸状に曲がっている。より詳しくは、第一長穴部73と第二長穴部75とは全体として概ね「L」字状の形状をなす。更に言えば、「L」の二辺を構成する第一長穴部73と第二長穴部75とは鈍角をなすように端部72において連続的に繋がっている。第一長穴部73の側壁ないし側面73a,73bは端部71,72間では実際上直線状であり、第二長穴部75の側壁ないし側面75a,75bも端部72,74間では実際上直線状である。側面73a及び側面75aは端部72において湾曲して滑らかにつながり、側面73b及び側面75bも端部72において湾曲して滑らかにつながっている。
長穴部75の側面75aの向き、換言すれば該側面75aに対して垂直に働く力Kの向きは、中心軸線C,C1を結ぶ仮想線V1に対して斜め方向であって且つ該仮想線V1に対して直交する仮想線V2に対して、分クロノグラフ車82の中心軸線C2に対面する側に傾いて(向いて)いる。
帰零指示ボタン17のF1方向の押圧により帰零指示レバー20がE1方向に回動されると、該帰零指示レバー20は出力側腕部23の先端側縁の係合縁部29で復針伝えレバー40のピン状突起部45を押して復針伝えレバー40をH1方向に回動させる。これにより、ピン状突起部47がスイッチばね部64の山部64aの基端側側面64bに当接する位置に設定される。
一方、クロノグラフ機構1が帰零状態にある際に、発停ボタン16のG1方向の押圧により帰零解除の指示が出されて発停レバー30がE2方向に回動されると、該発停レバー30は腕部33の先端内側縁の押圧用突出部35で復針伝えレバー40の対向する発停レバー係合部44を押して復針伝えレバー40をH2方向に回動させる。これにより、ピン状突起部47がスイッチばね部64の山部64aの先端側側面64cに当接する位置に設定される。
復針レバー50は、概ね直線状に延びた案内胴部51と、該案内胴部51の先端側に形成された第一復針レバー部52、並びに該胴部51の中間部においてその両側に形成された第二及び第三復針レバー部53,54とを有する。第一、第二及び第三復針レバー部52,53,54の先端部は、秒ハンマー52a(第一ハンマー部)、分ハンマー53a(第二ハンマー部)及び時ダミーハンマー54a(第三ハンマー部)になっていて、先端面52b(第一打面),53b(第二打面)及び54b(第三打面)が秒ハンマー52a、分ハンマー53a及び時ダミーハンマー54aの叩き面になっている。なお、第一ハンマー部は秒ハンマー52a以外のハンマーであってもよいし、第二ハンマー部は分ハンマー53a以外のハンマーであってもよいし、第三ハンマー部は時ダミーハンマー以外のハンマーであってもよい。案内胴部51には、クロノグラフ下板5に立設された一対のガイドピンとしての円柱状案内ピン5a,5bが嵌った一対の案内溝としての先端側の案内用長穴55(案内部が案内用長穴の場合)及び後端側の案内用長溝56(案内部が案内用長穴の場合)とが形成されている。セルフアラインメントを可能にするように、案内用長穴55及び案内用長溝56の手前側端部には円柱状案内ピン5a,5bの径よりの多少大きい(幅広の)拡径部55a,56aが形成されている。つまり、帰零力に応じて第一及び第二ハンマー部がそれぞれ第一及び第二帰零力受部に当接し帰零する位置において、ガイドピンが位置する近傍の案内用長穴はガイドピンの径よりも大きい拡径部を有する。
なお、第二復針レバー部53の先端部近傍には、側方に突出した力入力部57が形成され、該力入力部57には、復針伝えレバー40の係合長穴部70に係合した係合ピン58が形成されている。この係合ピン58の径は係合長穴部70を構成する第一及び第二長穴部73,75の幅に概ね一致している(長穴部73,75内でその長手方向に移動可能なように長穴部73,75の幅よりも僅かに小さい)。
以上において、クロノグラフ帰零機構3は、帰零指示ボタン17と、帰零指示レバー20と、復針伝えレバー40と、復針レバー50と、秒クロノグラフ車81と、分クロノグラフ車82とダミーピン83とを含み、より詳しくは、復針レバー用スイッチばね部64等の関連要素を含む。クロノグラフ機構1は、クロノグラフ帰零機構3に加えて、発停ボタン16や、発停レバー30や停止レバー(図示せず)等を含む。
以上の如く構成されたクロノグラフ帰零機構3を備えたクロノグラフ機構1を有するクロノグラフ時計2におけるクロノグラフ動作について、より詳しく説明する。
図1からわかるように、クロノグラフ機構1が帰零状態にある際に発停ボタン16がG1方向に押されて帰零解除指示が出される場合、発停レバー30が中心軸線C4のまわりでE2方向に回動されるので、復針伝えレバー40が該発停レバー30の押圧用突出部35によって係合部44でH2方向に力を受けて、復針伝えレバー40が、中心軸線C5のまわりでH2方向に回動される。
従って、図1に加えて図3からわかるように、復針伝えレバー40の出力側腕部43のH2方向回動に伴い、出力側腕部43のピン状突起部47がスイッチばね部64の基部側側面64bから山部64aを越えて先端側側面64cに至る。また、復針伝えレバー40の出力側腕部43のH2方向回動に伴い、該腕部43の先端の係合長穴部70もH2方向に回動されるので、該係合長穴部70に係合している復針レバー50の係合ピン58が係合長穴部70の先端側長穴部75から基端側長穴部73に移動し、基端側長穴部73の端部71近傍に至る。ここで、係合ピン58を備える復針レバー50の変位は、案内用長穴55及び後端側の案内用長溝56で係合したガイドピン5a,5bによって規定されているので、復針レバー50は、実際上D2方向に並進されて図3に示した帰零解除位置ないし発停位置P1に設定される。復針レバー50の帰零解除位置(発停位置)P1では、復針レバー50のハンマー部52a,53a,54aは、関連するクロノグラフ車ないしそのダミー81,82,83と干渉する領域から完全に離脱する。ここで、復針レバー50について、帰零状態の解除が完了した帰零解除位置P1は実際上クロノグラフ計測動作が開始される位置(開始位置)や該クロノグラフ計測動作が停止された際の停止位置や該クロノグラフ計測動作が再開された際の位置である再開位置と一致する。なお、発停動作に際しては停止レバー(特許文献2において符号70で示される部材)や関連規制部材が係わるけれども、その種の動作自体は周知であり、例えば、特許文献2の関連要素がそのまま適用され得るので、ここではその説明は省略する。
図8は、図3に示した復針レバー50が帰零解除位置ないし発停位置P1にあって帰零解除状態ないし発停状態S1にあるクロノグラフ機構1と図12に示した復針レバー664が帰零解除位置ないし発停位置Pb1にあって帰零解除状態ないし発停状態Sb1にあるクロノグラフ機構301とを重ねて示した。図8からわかるように、この状態では、クロノグラフ機構1の係合長穴部70の形状とクロノグラフ機構301の係合長穴682cとの形状が異なる点を除いて、クロノグラフ機構1はクロノグラフ機構301と実際上同一の形状を有し、クロノグラフ機構1の復針レバー50の係合ピン58がクロノグラフ機構301の復針レバー664の係合ピン664aと実際上同一位置を採るので、復針レバー50のハンマー部52a,53a,54aは、関連するクロノグラフ車ないしそのダミーピン81,82,83と干渉する領域から完全に離脱する(例えば、復針レバー50の秒ハンマー部52aの先端部52dが秒クロノグラフ車81の領域に残るのを確実に避け得る点は、図13のクロノグラフ機構301の場合と同様である)。
図7は、図3に示した復針レバー50が帰零解除位置(発停位置)P1にあって帰零解除状態(発停状態)S1にあるクロノグラフ機構1と図10に示した復針レバー564が帰零解除位置(発停位置)Pa1にあって帰零解除状態(発停状態)Sa1にあるクロノグラフ機構201とを重ねて示した。図7からわかるように、この状態では、クロノグラフ機構1の係合長穴部70のうちの長穴部73およびその端部71がクロノグラフ機構201の係合溝部582cよりもD2方向に引いた(ずれた)ところに位置するので、帰零解除位置(発停位置)P1にあるクロノグラフ機構1の復針レバー50は、帰零解除位置(発停位置)Pa1にあるクロノグラフ機構201の復針レバー564よりもD2方向に引いた(ずれた)ところに位置する。従って、帰零解除位置(発停位置)P1にあるクロノグラフ機構1の復針レバー50の秒ハンマー部52aの先端部52dは、帰零解除位置(発停位置)Pa1にあるクロノグラフ機構201の秒ハンマー部の先端部564erと異なり、秒クロノグラフ車81(秒クロノグラフ車322に対応)と干渉することのないD2方向に引いた(ずれた)ところ(即ち秒クロノグラフ車81からD2方向により離れたところ)に位置する。
従って、長穴部73を備えた係合長穴部70を有する復針レバー50を具備するクロノグラフ機構1では、発停動作が、復針レバー50によって妨げられることなく、適切に行われ得る。
一方、図1からわかるように、帰零ボタン17がF1方向に押された場合、帰零指示レバー20が中心軸線C4のまわりでE1方向に回動されるので、復針伝えレバー40が該帰零指示レバー20の係合縁部29によって係合ピン45でH1方向に力を受けて、復針伝えレバー40が、中心軸線C5のまわりでH1方向に回動される。
従って、図1に加えて図2及び図4からわかるように、復針伝えレバー40の出力側腕部43のH1方向回動に伴い、出力側腕部43のピン状突起部47がスイッチばね部64の先端側側面64cから山部64aを越えて基部側側面64bに至る。また、復針伝えレバー40の出力側腕部43のH1方向回動に伴い、該腕部43の先端の係合長穴部70もH1方向に回動されるので、該係合長穴部70に係合している復針レバー50の係合ピン58が係合長穴部70の基端側長穴部73から先端側長穴部75に移動し、先端側長穴部75の端部74近傍に至る(図4)。
ここで、係合ピン58を備える復針レバー50の変位は、案内用長穴55及び後端側の案内用長溝56で係合したガイドピン5a,5bによって規定されているので、復針レバー50は、実際上D1方向に並進されて図4に示した帰零近傍位置P2nに設定される。復針レバー50の帰零近傍位置P2nでは、復針レバー50のハンマー部52a,53a,54aのうち秒ハンマー部52a及びダミーハンマー部54aはその先端叩き面52b及び54bが対応する秒ハートカム81dの帰零面及びダミーピン83の周面に当接する状態に達するけれども、分ハンマー53aは分クロノグラフ車82を完全には帰零させておらずその途上にあって分ハンマー53aの叩き面53bと分ハートカム82dの帰零面との間には多少の隙間Mが楔状に残っている。
図4からわかるように、このとき、復針伝えレバー40は、L字状の係合長穴部70のうち先端側長穴部75の先端部74の近傍で復針レバー50の係合ピン58に係合した状態になる。従って、復針伝えレバー40は、そのH1方向回動に伴い、先端側長穴部75の側縁75aで該側縁75aに実際上垂直な向きKに復針レバー50の係合ピン58を押す。また、このセルフアラインメントの最終段階では、図4からわかるように、ガイドピン5a,5bが案内用長穴55及び後端側の案内用長溝56の拡径部55a及び56aに位置し該拡径部55a及び56aの壁部とガイドピン5a,5bの周面との間に隙間ができるので、ガイドピン5a,5bが案内用長穴55及び案内用長溝56の長手方向D2だけでなく該長手方向D2に対して交差する向きにも変位可能になる。なお、この段階では、秒ハンマー部52a及びダミーハンマー部54aが秒ハートカム81d及びダミーピン83に当接しているので、V1方向に垂直な向きの変位は禁止されてV1方向の変位だけが許容されるから、復針レバー50は、K方向力のうちV1方向に平行な方向の成分の力の作用下でV1方向に平行な方向(すなわちV2方向に対して直角な方向)に変位される。すなわち、復針レバー50の該V1方向変位に伴って、分ハンマー53aが叩き面53bで分ハートカム82dの帰零面に密接されて、分クロノグラフ車82の帰零も完了し、クロノグラフ機構1の復針レバー50が帰零位置P2に達する(図2)。
なお、クロノグラフ分針(図示せず)を有する分クロノグラフ車82が慣性によって回り過ぎた場合にも、復針レバー50が図2の帰零位置P2を越えて図4の帰零近傍位置P2n又はこれに近い位置に達することがある。その場合、分ハートカム82dが更に回ると(例えば、図4において時計回りに回ると)復針レバー50がD2方向に押し戻される。このとき、係合長穴部70の先端側長穴部75の長さが比較的短いと復針レバー50の係合ピン58が先端側長穴部75を越えて基端側長穴部73に入って(戻って)しまうと、復針レバー50の分ハンマー部53aが分ハートカム82dに対して帰零力を及ぼし得なくなるので、そのような事態の生起をさけるべく、先端側長穴部75は十分な長さを有するように形成されている。
以上の通り、クロノグラフ機構1のセルフアラインメントの最終段階を示す図4を、クロノグラフ機構301のセルフアラインメントの最終段階を示す図13と対比すればわかるように、クロノグラフ機構1では、係合長穴部70がL字状形状であって、基端側長穴部73に加えてこれに対して斜めに延びた先端側長穴部75を連続的に備えるので、セルフアラインメントの最終段階において、該長穴部75の側壁75aから係合ピン58を介して復針レバー50に対して、分クロノグラフ車82の帰零力を付与し得る。
すなわち、図2に示した復針レバー50が帰零位置P2にあって帰零状態S2にあるクロノグラフ機構1と図9に示した復針レバー564が帰零位置Pa2にあって帰零状態Sa2にあるクロノグラフ機構201とを重ねて示した図5からわかるように、この状態では、クロノグラフ機構1の係合長穴部70の形状とクロノグラフ機構201の係合長穴582cの形状とが図示された状態では動作に直接係わっていない部分(復針レバー50の係合ピン58と係合している部分以外の部分)において異なる点を除いて、クロノグラフ機構1はクロノグラフ機構201と実際上同一の形状を有し、クロノグラフ機構1の復針レバー50の係合ピン58がクロノグラフ機構201の復針レバー564の係合ピン564aと実際上同一位置を採るので、復針レバー50のハンマー部52a,53a,54aは、関連するクロノグラフ車ないしダミーピン81,82,83に対して帰零動作が完了した位置を採る(例えば、復針レバー50の分ハンマー部53aの先端面53bが分ハートカム82dに向かう力を受けてこれを帰零させ得る点は、図5のクロノグラフ機構201の場合と同様である)。
換言すれば、図2に示した復針レバー50が帰零位置P2にあって帰零状態S2にあるクロノグラフ機構1と図11に示した復針レバー664が(仮想)帰零位置Pb2にあって(仮想)帰零状態Sb2のクロノグラフ機構301とを重ねて示した図6からわかるように、この状態では、クロノグラフ機構1の係合長穴部70のうちの長穴部75の向きがクロノグラフ機構301の長穴部682cよりも分クロノグラフ車82の回転中心C2の方に向いていて仮想線V1に対して斜めになっていて、帰零状態S2にあるクロノグラフ機構1の帰零位置P2にある復針レバー50の係合長穴部70の長穴部75の側壁75aが係合ピン58に対して加える力の向きKは、(仮想)帰零位置Pb2にあるクロノグラフ機構301の係合長穴部682cの側壁が被係合ピン664aに対して加える力の向きB61とは異なり、セルフアラインメントの最終段階において分ハートカム82dに対して有効な帰零力を及ぼして分クロノグラフ車82を帰零させ得る。
すなわち、長穴部75を備えた係合長穴部70を有する復針レバー50を具備するクロノグラフ機構1では、セルフアラインメントの最終段階においても、帰零力が復針レバー50を介して適切にハートカムに伝達されて、すべてのクロノグラフ車の帰零動作が適切に行われ得る。
以上においては、復針伝えレバー40の出力側腕部43の長さが変わることに応じて三つの帰零力受部の相対配置を保ったままその全体の向き等を変更する場合において、復針伝えレバー40の出力側腕部43にある係合長穴部70の形状や向きを変更する例について説明したけれども、例えば、復針伝えレバー40の入力側腕部42の長さや、帰零指示レバー20や発停レバー30の長さや形状や相対配置等を変更する場合に、復針伝えレバー40の出力側腕部43にある係合長穴部70の形状や向きを変更するようにしてもよい。また、上記においては、復針伝えレバーが単一のレバーからなる例について図示して説明したけれども、復針伝えレバーが複数のレバーからなる復針伝えレバー構造体であってもよい。
また、以上においては、ムーブメントが小型化される場合を例にとって説明したけれども、ムーブメントが小型化と同様に、クロノグラフ帰零機構を構成するレバー類の長さや形状や相対配置等やクロノグラフ機構を構成するレバー類の長さや形状や相対配置等の変更を要するような変更が必要な場合においても、係合長穴部の形状(向きを含み得る)を変更することにより帰零及びその解除を効果的に行い得るようにする本発明は、そのまま適用され得る。
以上説明した通り、本発明のクロノグラフ帰零機構は、復針伝えレバー40と、復針レバー50と、帰零部(例えば帰零力受部81、82)とを備える。復針伝えレバー40は、回動中心の一方側に帰零力を入力する入力側腕部42と、他方側に帰零力を出力する出力側腕部43と、出力側腕部43に形成される第一係合部(例えば係合長穴部70)とを備える。復針レバー50は、第一係合部と係合し帰零力を入力する第二係合部(例えば係合ピン58)と、帰零力に応じて移動する方向を案内する案内部(例えば案内用長穴55、案内用長溝56)と、第一打面(例えば先端面52b)が形成される第一ハンマー部(例えば秒ハンマー52a)と、第二打面(例えば先端面53b)が形成される第二ハンマー部(例えば分ハンマー53a)とを有する。帰零部は、第一打面が当接して帰零される第一帰零力受部(例えば帰零力受部81)と、第二打面が当接して帰零される第二帰零力受部(例えば帰零力受部82)とを有する。
ここで、第一及び第二係合部は、一方が係合穴(例えば係合長穴部70)からなり他方が係合穴と係合する係合ピン(例えば係合ピン58)からなり、係合穴は凸状に曲がって長穴からなる。この場合に、既に説明したように、復針伝えレバー40に第一係合部の係合穴としての係合長穴部70を設け、復針レバー50に第二係合部の係合ピン(係合ピン58)を設けることに代えて、復針伝えレバー40に係合ピンを設け復針レバー50に係合穴を設けることができる。このように構成しても、既に説明したと同様の作用を奏することができる。
ここで、本実施形態では、係合長穴部70は復針伝えレバー40に、係合ピン58は復針レバー50にそれぞれ設けられているが、これに限定されず、係合長穴部70を復針レバー50に、係合ピン58を復針伝えレバー40にそれぞれ設けるようにしてもよい。
この様な構成によって、本願発明では、係合長穴部70及び係合ピン58のいずれか一方が、中心軸線C5(回動中心)とした周方向に対して、斜めに他方をガイドするようになっている。
また、復針レバー50の案内部に、既に説明した案内用長穴(例えば案内用長穴55、案内用長溝56)を設けることに代えて、ガイドピン(例えばガイドピン5a、ガイドピン5b)を設け、例えばクロノグラフ下板5に案内用長穴55又は案内用長溝56を設けることができる。このように構成しても既に説明したと同様の作用を奏することができる。
また、第一又は第二係合部の係合穴は、復針レバー50が帰零力に応じて移動するD1方向に凸である凸状に曲がった長穴とすることができる。また、第一又は第二係合部の係合穴は、入力側腕部42が帰零力に応じて移動する移動方向に凸である凸状に曲がった長穴とすることができる。また、第一又は第二係合部の係合穴は、直線状の2つの長穴部(例えば第一長穴部73と第二長穴部75)が折れ曲がって連結して「L」字形状を有する凸状に曲がった長穴とすることができる。この場合も、帰零力に応じて復針レバー50が移動するD1方向に凸となる、また、帰零力に応じて入力側腕部42が移動する移動方向に凸となるように設置することができる。
また、第一帰零力受部(例えば秒クロノグラフ車81)の回転中心(中心軸線C)と第二帰零力受部(例えば分クロノグラフ車82)の回転中心(中心軸線C2)とを結ぶ直線は第二打面(先端面53b)により形成される平面に対して傾斜するように構成することができる。案内用長穴55とガイドピン5aとの間、また、案内用長溝56とガイドピン5bとの間に隙間を設けてガタを作ることによりこの傾斜角を吸収することができるからである。
また、第一打面(例えば先端面52b)は第二打面(例えば先端面53b)と直交するように構成することができる。また、復針レバー50は第一打面に平行な第三打面(例えば先端面54b)を有し、帰零部は第三打面が当接する第三帰零力受部(例えばダミーピン83)を備える。なお、第三帰零力受部をダミーピン83に代えて時ハートカム及び時クロノグラフ真からなる帰零力受部とすることができる。そして、この第三打面は、復針レバー50が帰零力に応じて移動するD1方向に対し第一打面により形成される平面よりも前方又は後方に設けることができる。
また、復針レバー50の案内部は、帰零力に応じて第一及び第二ハンマーがそれぞれ第一及び第二帰零力受部に当接し帰零する位置において、ガイドピン5a、5bが位置する近傍の案内用長穴(案内用長穴55や案内用長溝56)はガイドピンの径よりも大きい拡径部55a、56aを設けることができる。
図16は、本発明の実施例2に係るクロノグラフ帰零機構を表す平面模式図である。実施例1のクロノグラフ帰零機構と異なる部分は、時ハンマー54a(第三ハンマー部)の先端面54b(第三打面)が帰零力に応じて移動するD1方向に対し秒ハンマー52a(第一ハンマー部)の先端面52b(第一打面)により形成される平面よりも後方に位置する点である。その他の構成は実施例1のクロノグラフ帰零機構の構成と同じである。従って、以下、主に実施例1と異なる部分について説明し、同一の部分については説明を省略する。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
図16に示すように、復針レバー50は、先端面52b(第一打面)が形成される秒ハンマー52a(第一ハンマー部)と、先端面53b(第二打面)が形成される分ハンマー53a(第二ハンマー部)と、先端面54b(第三打面)が形成される時ハンマー54aを備える。ここで、先端面52bと先端面54bとは平行に形成され、先端面54bは先端面52bよりも復針レバー50のD1方向に対して後方に位置する。そして、復針レバー50が復針伝えレバー40から帰零力を受けてD1方向に移動し、秒ハンマー52aの先端面52bが帰零力受部81(第一帰零力受部)に当接して帰零状態に変化すると同時に時ハンマー54aが帰零力受部83(第三帰零力受部)に当接する。
これにより、帰零力受部81と帰零力受部83は復針レバー50から均等に帰零力を受けることができる。また、帰零力受部83と帰零力受部81との間に相対的に位置ずれが生ずる場合でも、先端面52bと先端面54bの位置をずらすことにより、帰零力受部81と帰零力受部83を同時に帰零することが可能となる。その結果、帰零力受部81(第一帰零力受部)の中心軸線C(回転中心)と帰零力受部82(第二帰零力受部)の中心軸線C2(回転中心)とを結ぶ直線と、帰零力受部81の中心軸線Cと帰零力受部83(第三帰零力受部)の中心軸線C1(本実施例の場合はダミー軸受部)とを結ぶ直線とを直交させる必要が無い。そのため、各帰零力受部81、82、83の相互位置関係の自由度が拡大し、各部品を最適なレイアウトに構成することが可能となる。なお、先端面54bは先端面52bよりも復針レバー50のD1方向に対して前方に位置するように構成してもよい。
なお、本実施例2のクロノグラフ帰零機構を備えるクロノグラフ機構、このクロノグラフ機構を備えるムーブメント、及び、このクロノグラフ機構を備えるクロノグラフ時計を構成することができることは実施例1において説明したと同様である。
図17は、本発明の実施例3に係るクロノグラフ帰零機構を表す平面模式図である。実施例1のクロノグラフ帰零機構と異なる部分は、帰零力受部81(第一帰零力受部)及び帰零力受部82(第二帰零力受部)の帰零状態において、帰零力受部81の中心軸線C(回転中心)と帰零力受部82の中心軸線C2(回転中心)とを結ぶ直線は、先端面53b(第二打面)により形成される平面に対して傾斜する点である。その他の構成は実施例1のクロノグラフ帰零機構の構成と同じである。従って、以下、主に実施例1と異なる部分について説明し、同一の部分については説明を省略する。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
図17に示すように、復針レバー50は、先端面52b(第一打面)が形成される秒ハンマー52a(第一ハンマー部)と、先端面53b(第二打面)が形成される分ハンマー53a(第二ハンマー部)と、先端面54b(第三打面)が形成される時ハンマー54a(第三ハンマー部)とを備える。ここで、先端面52bと先端面53bとは直交し、先端面53bは中心軸線Cと中心軸線C2とを結ぶ直線に対して傾斜する。そして、復針レバー50が復針伝えレバー40から帰零力を受けてD1方向に移動し、秒ハンマー52aの先端面52bと時ハンマー54aの先端面54bと分ハンマー53aの先端面53bとを同時に帰零状態に変化させることができる。これは、中心軸線Cと中心軸線C2とを結ぶ直線と先端面53bとの間に多少の傾斜角が存在しても、案内用長穴55とガイドピン5aとの間、また、案内用長溝56とガイドピン5bとの間に隙間を設けてガタを作ることによりこの傾斜角を吸収することができるからである。
例えば、帰零力に応じて秒ハンマー52a及び分ハンマー53aがそれぞれ帰零力受部81及び帰零力受部82に当接して帰零する位置において、ガイドピン5a及びガイドピン5bのそれぞれが位置する近傍の案内用長穴55及び案内用長溝56に、ガイドピン5a及びガイドピン5bのそれぞれの径よりも大きい拡径部55a及び拡径部56aを設ける。これにより、上記中心軸線Cと中心軸線C2とを結ぶ直線と先端面53bとの間に多少の傾斜角が存在する場合でも、帰零力受部81や帰零力受部82を同時に帰零状態にすることができる。これにより、各帰零力受部81、82の相互位置関係の自由度が拡大し、各部品を最適なレイアウトに構成することが可能となる。
なお、本実施例3のクロノグラフ帰零機構を備えるクロノグラフ機構、このクロノグラフ機構を備えるムーブメント、及び、このクロノグラフ機構を備えるクロノグラフ時計を構成することができることは実施例1において説明したと同様である。
1 クロノグラフ機構
2 クロノグラフ時計
3 クロノグラフ帰零機構
4 ムーブメント
5 クロノグラフ下板
5a,5b 案内ピン(ガイドピン)
16 発停(スタート/ストップ)ボタン
17 帰零指示(リセット)ボタン
20 帰零指示(リセット)レバー
22 入力側腕部
23 出力側腕部
26 突出部
29 係合縁部
30 発停レバー
33 腕部
35 押圧用突出部
36 突出部
40 復針伝えレバー
42 入力側腕部
43 出力側腕部
44 発停レバー係合部
45 帰零指示レバー係合用ピン状突起部(係合ピン)
47 ピン状突起部
50 復針レバー
51 案内胴部
52 第一復針レバー部
52a 秒ハンマー(第一ハンマー部)
52b 先端面(第一打面)
52d 先端部
53 第二復針レバー部
53a 分ハンマー(第二ハンマー部)
53b 先端面(第一打面)
54 第三復針レバー部
54a 時ダミーハンマー(第三ハンマー部)
54b 先端面(第一打面)
55 案内用長穴(案内溝)
55a 拡径部
56 案内用長溝(案内溝)
56a 拡径部
57 力入力部
58 係合ピン
64 復針レバー用スイッチばね部
64a 山部
64b 基端側側面
64c 先端側側面
70 係合長穴部
71,72,74 端部
73 第一長穴部
73a,73b 側面
75 第二長穴部
75a,75b 側面(側縁)
81 秒クロノグラフ車(第一帰零力受部)
81d 秒ハートカム
82 分クロノグラフ車(第二帰零力受部)
82d 分ハートカム
83 ダミーピン(力受体)(第三帰零力受部)
C,C1,C2,C4,C5 中心軸線
D1,D2 復針レバーの変位方向
E1,E2、H1,H2 回動方向
F1,F2,G1,G2 ボタンの変位方向
K 力の向き
M 楔状隙間
P1 帰零解除位置(発停位置)
P2 帰零位置
P2n 帰零近傍位置
S1 帰零解除状態(発停状態)
S2 帰零状態
S2n 帰零近傍状態
V1 仮想線
V2 仮想直角方向

Claims (12)

  1. 回動中心に対して一方側に延在し帰零力を入力する入力側腕部と、他方側に延在し前記帰零力を出力する出力側腕部と、前記出力側腕部に形成される係合長穴部とを有する復針伝えレバーと、
    前記係合長穴部と係合し前記帰零力を入力する係合ピンと、前記帰零力に応じて移動する方向を案内する案内部と、第一打面が形成される第一ハンマー部と、第二打面が形成される第二ハンマー部とを有する復針レバーと、
    前記第一打面が当接して帰零される第一帰零力受部と、前記第二打面が当接して帰零される第二帰零力受部とを有する帰零部と、を備え、
    前記係合長穴部及び前記係合ピンのいずれか一方が、前記回動中心とした周方向に対して斜めに他方をガイドし、
    前記係合長穴部は、前記復針伝えレバーの前記回転中心側から前記出力側腕部の先端部の方向に形成され、
    前記係合ピンは、前記帰零される際に、前記係合長穴部の側縁によって押し上げられることを特徴とするクロノグラフ帰零機構。
  2. 前記係合長穴部は、直線状の2つの長穴部が折れ曲がって連結して「L」字形状の二辺を構成する一長穴部と第二長穴部とが、鈍角をなすように端部において連続的に繋がっていることを特徴とする請求項1に記載のクロノグラフ帰零機構。
  3. 前記第一打面は前記第二打面と直交する請求項1〜2のいずれか一項に記載のクロノグラフ帰零機構。
  4. 前記第一帰零力受部の回転中心と前記第二帰零力受部の回転中心とを結ぶ直線は前記第二打面により形成される平面に対して傾斜する請求項1〜3のいずれか一項に記載のクロノグラフ帰零機構。
  5. 前記復針レバーは前記第一打面に平行な第三打面を有し、前記帰零部は前記第三打面が当接する第三帰零力受部を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載のクロノグラフ帰零機構。
  6. 前記第三打面は、前記復針レバーが前記帰零力に応じて移動する方向に対し前記第一打面により形成される平面よりも前方又は後方に位置する請求項5に記載のクロノグラフ帰零機構。
  7. 前記第三帰零力受部は、時ハートカム、分ハートカム及び秒ハートカム以外のダミー軸受部からなる請求項5又は6に記載のクロノグラフ帰零機構。
  8. 前記案内部は直線状に案内されるガイドピン又は案内用長穴からなり、
    前記帰零力に応じて前記第一及び第二ハンマーがそれぞれ前記第一及び第二帰零力受部に当接し帰零する位置において、前記ガイドピンが位置する近傍の前記案内用長穴は前記ガイドピンの径よりも大きい拡径部を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のクロノグラフ帰零機構。
  9. 請求項1〜8までのいずれか一つの項に記載のクロノグラフ帰零機構を備えたクロノ
    グラフ機構。
  10. 前記復針伝えレバーが単一のレバーからなり、前記復針伝えレバーの先端の発停レバー係合部に発停レバーの先端部が押付けられた際に前記復針伝えレバーが一方の向きに回動され、前記復針伝えレバーの帰零指示レバー係合部に帰零指示レバーの先端部が押付けられた際に前記復針伝えレバーが他方の向きに回動されるように構成された請求項9に記載のクロノグラフ機構。
  11. 請求項9又は10に記載のクロノグラフ機構を備えるムーブメント。
  12. 請求項9又は10に記載のクロノグラフ機構を備えるクロノグラフ時計。
JP2013050535A 2012-03-21 2013-03-13 クロノグラフ帰零機構、クロノグラフ機構、ムーブメント、及び、クロノグラフ時計 Active JP6266218B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013050535A JP6266218B2 (ja) 2012-03-21 2013-03-13 クロノグラフ帰零機構、クロノグラフ機構、ムーブメント、及び、クロノグラフ時計

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012064259 2012-03-21
JP2012064259 2012-03-21
JP2013050535A JP6266218B2 (ja) 2012-03-21 2013-03-13 クロノグラフ帰零機構、クロノグラフ機構、ムーブメント、及び、クロノグラフ時計

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013224928A JP2013224928A (ja) 2013-10-31
JP6266218B2 true JP6266218B2 (ja) 2018-01-24

Family

ID=49595060

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013050535A Active JP6266218B2 (ja) 2012-03-21 2013-03-13 クロノグラフ帰零機構、クロノグラフ機構、ムーブメント、及び、クロノグラフ時計

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6266218B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1746471B1 (fr) * 2005-07-20 2019-09-18 Breitling AG Dispositif de remise à zéro de deux compteurs de temps
JP5350774B2 (ja) * 2008-12-25 2013-11-27 セイコーインスツル株式会社 クロノグラフ時計
JP5536623B2 (ja) * 2010-02-03 2014-07-02 セイコーインスツル株式会社 クロノグラフ時計

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013224928A (ja) 2013-10-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4896614B2 (ja) 2つの時間積算計のための帰零装置
JP6214669B2 (ja) 時計用レバー脱進機
JP2010022401A (ja) シートリクライニング装置
JP2008003086A (ja) 衝突で回転が制御される微細機械の可動要素
EP2706416A1 (fr) Ancre flexible à force constante
JP2010104703A (ja) シートリクライニング装置
JP6266218B2 (ja) クロノグラフ帰零機構、クロノグラフ機構、ムーブメント、及び、クロノグラフ時計
US8491183B2 (en) Detent escapement for timepiece and mechanical timepiece
JP2013512427A (ja) 高効率脱進機
WO2017043279A1 (ja) レバー式コネクタ
JP5466060B2 (ja) スイッチ構造体並びにこれを用いたクロノグラフ機構及び電子時計
JP2013160933A (ja) 鍵盤装置
JP6581515B2 (ja) 入力操作装置
JP2018079827A (ja) リクライニング装置
EP3792701A1 (en) Train wheel setting mechanism, timepiece movement, and timepiece
EP3163384B1 (fr) Guidage flexible en pivotement de mobile horloger
JP3217883U (ja) ロック機能を伴ったシャンク用チャック装置
EP4012506A1 (fr) Mécanisme resonateur d'horlogerie muni d'une table de translation
CH706924A2 (fr) Ancre flexible à force constante et échappement muni d'une telle ancre.
CH704752B1 (fr) Marteau linéaire de chronographe..
JP2010151642A (ja) クロノグラフ時計
JP2009186259A (ja) クロノグラフ指針の帰零機構及びこれを備えたクロノグラフ時計
JP2018188074A (ja) リクライニング装置
JP5310778B2 (ja) レーザ走査光学装置
US20230315016A1 (en) Remote control device for a horological movement of a watch and watch comprising said control device

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20140117

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160112

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161031

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170627

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170809

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20170913

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171212

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6266218

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250