JP6266138B2 - エレベータ用巻上機のモータおよびアクチュエータ - Google Patents

エレベータ用巻上機のモータおよびアクチュエータ Download PDF

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Description

この発明は、ロボットやエレベータ、自動車等、高性能な特性が要求されるモータ等に適用される磁石接着体に関し、特に、鉄系の軟磁性体に対してネオジム(Nd)−鉄(Fe)−ホウ素(B)系の永久磁石を接着剤により接着した磁石接着体に関する。
昨今、モータを動力源とする電気自動車(EV:Electric Vehicle)の実用化や、ロボット制御用または昇降機巻上機用のモータの高精度化が進んでいる。これらのモータとして、R−Fe−B系永久磁石(Rは希土類元素)に代表される希土類系永久磁石等の磁石を、炭素鋼やケイ素鋼板等で形成されたロータに接着した、いわゆるSPM(Surface Permanent Magnet)モータが知られている。
近年、研究開発の進展に伴い、これらのモータに対して、小型軽量化、高出力化、高効率化、高精度化、高信頼性化等が求められている。また、希土類磁石を使用した製品の汎用化に伴い、資源的な観点から、希土類磁石については、磁石を回収することが重要視されてきている。
なお、希土類磁石は焼結体であり、鉄とは異なる膨張係数を示すので、モータ使用時の温度変化による磁石割れを考慮した磁石接着体が各種提案されている。また、磁石を解体するには、接着剤自体が分解するものを用いるか、熱酸化により接着剤を分解し、かつ磁石を脱磁させることが必要である。また、原料として回収するのか磁石として回収するのかで、取り扱いのレベルが互いに異なる。
ここで、希土類磁石のリサイクルに関して、接着剤の中に熱膨張性微粒子を添加することにより、磁石を基材から容易に剥離する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、磁石同士の接着体を200〜350℃で減磁した後、350〜1000℃の範囲で接着剤を炭化させ、その後、表面を研磨する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、モータ使用時の温度変化に関して、流動性のシリコーンゴム系接着剤を用いて磁石と軸とを接着することで、磁石割れを防止する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。また、磁石と軸との間に一定のクリアランスを設け、シリコーン系接着剤を充填することで、温度変化時の磁石割れを防止する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2003−176459号公報 米国特許第7143507号明細書 特開平8−223838号公報 特開平8−154351号公報
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
すなわち、特許文献1の方法では、磁石を基材から剥離する際に、加熱温度が足りず、磁石自体の脱磁力が足りないという問題がある。また、特許文献2の方法では、磁石と鉄という、異方性材料間の接着による応力場が形成されないので、熱応力による磁石への負荷が小さく、異種材接着とは異なる状態であることから、磁石接着体を解体して再利用することに適していないという問題がある。
また、特許文献3、4の方法では、使用中の熱履歴で磁石割れが発生しないように設計されているものの、磁石を脱磁または熱酸化により接着剤を脱離可能にする350℃以上の熱が加えられた場合に、磁石の健全性が確保されていないという問題がある。
また、シリコーン系接着剤を用いているので、加熱等を行うと、磁石の再利用時に、シリコーンに由来する、接着性を阻害する分子の付着が避けられず、再利用の方法が限定されるという問題もある。さらに、加熱によって磁石を解体する場合には、使用時に蓄積された磁石への繰り返し応力に加え、内部応力による磁石内の疲労蓄積が加熱膨張によって促進され、再利用する磁石材料の機械的信頼性が低下するという問題もある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、希土類磁石を軟磁性体に接着し、ヒートサイクルによる負荷が長期に加わった後、加熱により解体した場合であっても、得られた希土類磁石を溶解等させることなく、材料強度を確保したまま再利用することができる磁石接着体を得ることを目的とする。
この発明に係るエレベータ用巻上機のモータは、Nd−Fe−B系の磁石と軟磁性体とが接着剤で接着された磁石接着体を備えたエレベータ用巻上機のモータであって、接着剤は、温度10℃以下の領域において、周波数0.1Hzでの弾性率が5×10〜5×10Paの主成分が非シリコーン系の接着剤であり、かつ、周波数20Hzおよび0.1Hzでの動的な弾性率を比較した場合に、0.1Hzの弾性率が20Hzの弾性率の60%以下であり、厚みが30μm以上であり、接着により磁石の内部に生じる熱応力が、ミーゼス相当応力換算で0.1MPaよりも大きく10MPa以下であるものである。
この発明に係る磁石接着体によれば、接着剤は、冷却時における使用最低温度10℃以下の領域において、周波数0.1Hzでの弾性率が5×106〜5×107Paの主成分が非シリコーン系の接着剤であり、かつ、周波数20Hzおよび0.1Hzでの動的な弾性率を比較した場合に、0.1Hzの弾性率が20Hzの弾性率の60%以下であり、厚みが30μm以上であり、接着により磁石の内部に生じる熱応力が、ミーゼス相当応力換算で10MPa以下である。
そのため、希土類磁石を軟磁性体に接着し、ヒートサイクルによる負荷が長期に加わった後、加熱により解体した場合であっても、得られた希土類磁石を溶解等させることなく、材料強度を確保したまま再利用することができる。
この発明の実施の形態1に係る磁石接着体を示す斜視図である。 この発明の実施例1〜5と比較例1〜4とを比較して示す説明図である。 この発明の実施例および比較例で使用する治具と磁石と鉄製ピンとの構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態1に係る磁石接着体をモータのロータに適用した場合の構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態1に係る磁石接着体をアクチュエータに適用した場合の構成を示す断面図である。 この発明の実施例1〜5および比較例1〜2、4における冷却時磁石内熱応力と不合格数との関係を示す説明図である。
以下、この発明に係る磁石接着体の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る磁石接着体を示す斜視図である。この発明に係る磁石接着体は、使用による接着剤のエージングが進み、弾性率が高まった状態で、冷却されて磁石に熱応力負荷が加わり、使用終了後、解体のために350℃以上の熱酸化による負荷がさらに加わった場合であっても、磁石に対して機械的強度の点で致命的な影響を与えないことを特徴とする。
図1において、この磁石接着体10は、接着面を有する磁石1と、例えば鉄である軟磁性体2と、所定の弾性率を有する接着剤3とで構成されている。具体的には、磁石1は、性能上、Nd−Fe−B系の焼結磁石を用いることが望ましい。なお、Nd−Fe−B系では、通常の製法に従ったものだけでなく、磁石の粒界にディスプロシウムやテルビウム等の希土類を、焼結後に選択的に分布させて磁気特性を向上させたものであってもよい。
また、磁石1の表面は、接着ができ、かつ接着の内部応力によって表面の被膜強度が大きく低下しないものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、表層に薄い磁石組成が変質した酸化被膜やアルキルシリケートのような塗布型被膜を有するもの、リン酸亜鉛やフッ化ジルコニウム系、クロム系等の鉄に施されるような化成処理等が施されたものが挙げられる。
また、金属系の表面としては、電気Niめっきや無電解Niめっき、亜鉛めっき、クロムめっき、銅めっきが施されたもの、または純アルミニウムやアルミニウム合金の蒸着被膜、もしくはそれらに化成処理が施されたものであってもよい。また、エポキシやフェノール、アクリル、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド等、有機系の高分子を主体とした塗装であってもよい。
また、亜鉛フレークとアルミフレークとを混ぜたジンクリッチペイントがなされていてもよいし、電着塗装や粉体塗装のような被膜であってもよい。なお、耐食性および製造容易性を考慮すると、アルミニウム蒸着膜や、耐熱性のある有機塗装等が望ましい。また、磁石を接着した後に、耐腐食性を考慮して、磁石および軟磁性体に塗装を施してもよい。
この発明では、解体時の加熱温度が高いので、再利用する場合の接着前処理が簡便である点から金属系の被膜が望ましく、亜鉛メッキやアルミニウムの蒸着被膜、またはそれらの表面に化成処理が施されたものを用いることが好適である。
また、磁石1の大きさは、モータや磁気回路の設計に応じてどのようなサイズでもよいが、小さい形状であると熱応力が問題にならないので、形状としては、概ね10mm×10mm以上の接着面積を有する接着であることが必要である。なお、大きくなる方は、特に上限はないが、磁石1の製造できる大きさを考慮すると、100mm×100mm程度の接着面積までが現実的な範囲になってくる。
また、接着剤3の弾性率は、磁石接着体10を使用しているうちに、製品からの発熱により、接着固定する材料のエージングが進んで弾性率が安定化してくる値が重要である。また、磁石接着体10の内部の応力は、製品仕様の最高温度帯から最低温度帯までの温度差で熱応力を算出するときの温度差を用いればよい。
ここで、この発明の実施の形態1で使用する接着剤3は、冷却時における使用最低温度10℃以下の領域において、周波数0.1Hzでの弾性率が5×106〜5×107Paの主成分が非シリコーン系の接着剤であり、かつ、周波数20Hzおよび0.1Hzでの動的な弾性率を比較した場合に、0.1Hzの弾性率が20Hzの弾性率の60%以下であるものである。また、その下限は5%程度である。5%よりも低いと、極めて大きな応力緩和が起こることから、粘着剤のような状態になり、柔らかすぎて固定用の部材として適当でない。
具体的には、シラン変性ポリマーやシリル化アクリレート系、ポリイソブチレン系、変成シリコーン系、ポリサルファイド系、変成ポリサルファイド系、アクリルウレタン系、ポリウレタン系、アクリル系、エポキシ系の接着剤であって、上記の条件を満たすものが挙げられる。
なお、シリコーン系の接着剤は、磁石1の再利用時に、350〜400℃という温度領域で、確実には分解できないケースがあること、また、分解時の生成物が磁石1の表面に接着阻害物質として付着することから、この発明には適していない。
また、接着剤3の弾性率は、磁石接着体10の使用に際し、柔らかすぎる材料を用いると、位置精度が悪くなる恐れがあるので、上述した値とした。また、接着剤3の弾性率は、最冷却時の緩和した弾性率で表される。なお、緩和の程度は、弾性率を測定したときの動的粘弾性における貯蔵弾性率の値として、周波数0.1Hzで検出される値を用いる。これは、最低温度到達時に接着剤の粘弾性的な性質によって弾性率の低下が生じるためである。
ここで、鋭意検討した結果、0.1Hz程度以下の周波数で測定すれば、この発明に適した値を求めることができることが分かった。また、0.1Hzにおける10℃以下の接着剤3の弾性率が5×106Pa以上になる場合には、10℃から最低温度までの領域での冷却途中の熱応力が緩和してくる段階で、磁石1に与える負荷の影響を無視できないので、それらを考慮した接着剤でなければならない。
具体的には、熱応力の影響が大きくなる温度域(10℃以下)において、接着剤3は、20Hzの弾性率と0.1Hzの弾性率とを比較した場合に、0.1Hzの弾性率が20Hzの弾性率の60%以下に低下するものであることである。これは、最低温度に到達する前の段階でも熱応力が発生してくるので、その段階においても冷却時に効果的に弾性率を低下させ、磁石1に対する内部応力を減らすことが重要であるからである。
そこで、発明者らは、一定以上の弾性率の時間変化を有するものであれば、磁石側への負荷を軽減できることを知見し発明に至った。なお、接着剤3の弾性率は、バルク樹脂における動的粘弾性による手法を記載したが、これに限らず、接着部に対して、局部的にインデンテーションの測定と粘弾性の検出とを併せて行う装置を用いて、別の手法により求めてもよい。
また、この発明に適した接着剤3の厚みは、30μm以上である。厚みが30μmよりも薄い場合には、磁石1の内部に発生する熱応力の影響が大きくなり、磁石1を破損する恐れがあるので、磁石1の健全性を確保することができない。つまり、30μmよりも接着厚みが薄いと、弾性率が一定の範囲であっても、内部応力が10MPa以上になる。この場合には、磁石1に蓄積される損傷が増え、磁石1を解体する際の300℃を超える膨張が生じたときに、損傷が促進されると考えられる。
また、接着剤3の粘度としては、炭素鋼だけでなく、ケイ素鋼板に用いられる場合があるので、その間に染みこまず、塗布設備によって注入できればよく、3000〜500000mPa・s程度であれば用いることができる。
なお、磁石接着体10の具体的な製造方法としては、作業者が手塗りで接着剤3を塗布してもよいし、ノズルの先から接着剤3を吐出するものを用いてもよい。このとき、ノズルから吐出するものは、エア圧挿式であっても、プランジャーポンプのような機械的に押し出すものであっても、どのようなものでもよい。また、接着剤3の厚みの制御は、スペーサになるものを適宜接着剤に混ぜてもよいし、粘度と塗布量と圧力とを制御してもよい。
ここで、磁石1と軟磁性体2との磁石接着体10には、膨張係数差に由来する熱応力が内部応力として発生する。また、接着強度を維持するために、柔らかい接着剤3を用いたり、接着厚みを確保したりすることが通常行われる。また、磁石1の割れの防止につながることも同時になされる。これにより、通常の用法では、磁石1の割れを防ぐことはできる。
しかしながら、磁石1を解体して再利用する場合には、解体時の熱的な力や、酸化のような化学的負荷が発生する。そのため、通常使用時の熱応力や回転の負荷では、磁石割れは発生しないものの、内部に微小なクラックのようなものが蓄積し、これが解体時の負荷で拡大していくと考えられる。
そこで、発明者らは、単に磁石を解体するのであれば、加熱して再利用すればよいが、再利用する磁石においても機械的な信頼性を確保したものを得るためには、内部応力を制御した接着でなければ、解体した磁石の利用が困難であると判断した。また、通常の室温環境における最低温度域の範囲で、その値を詳細に検討したところ、磁石の内部に生じる応力が、ミーゼス相当応力で10MPaの前後に、明確な区切りがあることを知見した。
また、磁石1を解体する温度としては、350〜450℃が適当である。温度が350℃以下である場合には、磁力を減らす温度として不足しており、時間がかかりすぎる。また、解体時には、接着剤3を熱酸化させて解体しやすいようにするが、磁石1自体の酸化の影響は、できる限り少なくしておくために、450℃以下が望ましい。
これは、解体時の温度が450℃以上になると、磁石1の素地への酸化影響が大きくなるからである。また、加熱処理する時間は、磁力がなくなり、接着剤3が解体できる程度に熱酸化すればよく、一般的に、1〜48時間程度の範囲でよく、2〜6時間程度が望ましい。
また、内部応力を計算する方法としては、有限要素法(FEM:Finite Element Method)による弾性計算等が挙げられる。なお、内部応力を計算するには、汎用のソフトを用いればよく、例えばABAQUS(登録商標)やNASTRAN(登録商標)、ANSYS(登録商標)、FEMAP(登録商標)等を用いることができる。
FEMの汎用計算ソフトで、分割した各要素を、磁石1の弾性率E1、鉄2の弾性率E2、ポアソン比δ、膨張係数αと規定する。なお、磁石1は、異方性を有するので、容易磁化方向と困難磁化方向とで膨張係数を変更する。また、磁石1および鉄2の物性値は、一般的な数値を用いる。
また、計算自体は、弾性領域の範囲の計算でよく、1つの分割された要素に現れる応力は、以下のように表される。
(1)・・・歪Δ×弾性率Eで規定される。
(2)・・・歪Δは、膨張係数α×温度変化で変形した各部材の相対的な位置関係と各要素の弾性変形とで規定される。
ここで、接着剤3の膨張係数αは、この発明の範囲では、弾性率5×106〜5×107Paが対象となるので、概ね200×10-6で代表するとして差し支えなく、この値を用いる。また、ポアソン比δも、この範囲の一般的な値である0.48を用いる。
また、温度差を計算するときには、温度の上限および下限を設定する必要がある。また、熱応力の上限は、接着剤3の硬化温度が磁石接着体10の使用温度よりも低い場合には、接着剤3を硬化させた温度ではなく、磁石接着体10を適用した製品の使用時の上限温度で考える。
このように設定する理由は、接着剤3は、通常継続的な温度上昇により硬化が進み、熱応力の基準温度が、磁石接着体10を適用した製品の使用温度に近付いていくためである。そのため、接着剤3の硬化温度が磁石接着体10の使用温度よりも高い場合や、接着剤3の硬化後に、熱応力を計算する場合の上限温度は、接着剤3の硬化温度に設定する必要がある。
以下、図2を参照しながら、これらの実施の形態における実施例1〜5と、実施例1〜5と比較するための比較例1〜4とについて説明する。なお、この発明は、記載された実施例に限定されるものではない。
図2は、この発明の実施例1〜5と比較例1〜4とを比較して示す説明図である。図2には、接着面積、接着剤の厚み、冷却時最低温度における接着剤の弾性率、冷却時の磁石内熱応力を示している。また、評価結果として、磁石自体の試験後に、磁石が健全かどうかを判定した結果を示している。
実施例1.
実施例1では、S45Cの炭素鋼を10×40×70mmに削り出して、軟磁性体2を作製した。また、軟磁性体2の表面は、機械的な研磨を行った後、イソプロパノールで脱脂して自然乾燥させた。
Nd−Fe−B系の希土類磁石1は、25×50×4mmにしたものを接着した。また、接着部は、平均で20μmのアルミニウム蒸着を施し、後にジルコニウム−リン酸系の化成処理を施した磁石を用いている。
また、接着厚みを100μmとし、接着面積を25×50mmとして接着する。ここで、接着剤3としては、粘度が170Pa・sの1液シリル化アクリレート系ポリマーを用いて固定した。このようにして作成された磁石接着体10を、室温で1週間固定後、100℃で10日間加熱して評価体とした。
この磁石接着体10の磁石1にかかる負荷を、以下の条件で算出する。まず、製品の使用最高温度と最低温度との差をδTとする。また、上記と同じ条件で硬化したときの接着剤3の弾性率は、最低温度の接着剤の0.1Hzにおける引っ張りモードの貯蔵弾性率が12MPaである。また、ポアソン比を0.48とし、熱膨張係数を200×10-6/Kとする。
ここで、この接着剤3の0.1Hzの貯蔵弾性率を、20Hzの貯蔵弾性率で除した値を求めたところ、冷却時の温度10℃、0℃、−10℃、−20℃で、それぞれ、0.57、0.46、0.35、0.29であった。
また、磁石1のヤング率を160GPaとし、ポアソン比を0.24とし、容易磁化方向の膨張係数を6.5×10-6/Kとし、容易磁化方向に垂直な方向の膨張係数を−0.5×10-6/Kとする。また、軟磁性体のヤング率を205GPaとし、ポアソン比を0.28とし、熱膨張係数を12×10-6/Kとする。
続いて、FEMの汎用計算ソフトを用いて、これらの条件を、要素タイプ:6面体ソリッド要素、節点数:25000、要素数:23000点で設定した。また、接着層は、厚さに対して4分割し、25μmの厚みで取り扱った。この磁石接着体10を100℃〜−20℃で使用する場合、実施例1ではδTが120℃となり、磁石1側に現れる熱応力は、ミーゼス相当応力換算で6.3MPa以下である。
このような条件の磁石接着体10に対して、100〜−20℃のヒートサイクルを1000回行ったが、磁石1の割れは認められなかった。その後、400℃のオーブンに4時間投入し磁石1を脱磁し、磁石接着体10を解体し、磁石1を回収した。また、回収した磁石1は室温に冷却した後、イソプロピルアルコールで超音波洗浄した。
次に、回収した磁石1の健全性を調べるために、直径10mmの鉄のピンを、磁石1の中央部に、電気化学工業製2液アクリル接着剤ハードロックG55で接着し、室温で1週間硬化させてから、60℃で3時間加熱して固定した。その後、鉄のピンを接着した磁石1を、図3に示す直径12mmの穴のあいた鉄製の治具に載せて、2mm/minの試験速度で強度を測定した。
図3において、厚み10mmの鉄の板に、直径12mmの穴をあけ、磁石に接着されたピンを強度測定装置に接続できるようにしている。また、磁石には、直径10mmのピンが、室温硬化型の接着剤で接着されている。また、直径10mmのピンは、チャックで固定できるようになっている。このようにして、ピンと磁石とに引っ張り力を生じさせることで、強度を測定することができる。
具体的には、23℃の温度下において、磁石を押さえながらピンを引っ張ることで強度を測定し、10MPa以下で破損が認められる磁石を強度不足として判定した。このような評価を合計50個実施したが、10MPa以下で破損する磁石は現れず、強度信頼性を確保できる磁石を得ることができた。
実施例2.
実施例2では、S45Cの炭素鋼を10×40×70mmに削り出して、軟磁性体2を作製した。また、軟磁性体2の表面は、機械的な研磨を行った後、イソプロパノールで脱脂して自然乾燥させた。
Nd−Fe−B系の希土類磁石1は、25×50×4mmにしたものを接着した。また、接着部は、平均で20μmのアルミニウム蒸着を施し、後にジルコニウム−リン酸系の化成処理を施した磁石を用いている。
また、接着厚みを65μmとし、接着面積を25×50mmとして接着する。ここで、接着剤3としては、粘度が50Pa・sの2液混合型変性シリコーン接着剤を用いて固定した。このようにして作成された磁石接着体10を、室温で1週間固定後、100℃で10日間加熱して評価体とした。
この磁石接着体10の磁石1にかかる負荷を、以下の条件で算出する。まず、製品の使用最高温度と最低温度との差をδTとする。また、上記と同じ条件で硬化したときの接着剤3の弾性率は、最低温度の接着剤の0.1Hzにおける引っ張りモードの貯蔵弾性率が6MPaである。また、ポアソン比を0.48とし、熱膨張係数を200×10-6/Kとする。
ここで、この接着剤3の0.1Hzの貯蔵弾性率を、20Hzの貯蔵弾性率で除した値を求めたところ、冷却時の温度10℃、0℃、−10℃、−20℃で、それぞれ、0.52、0.43、0.39、0.30であった。
また、磁石1のヤング率を160GPaとし、ポアソン比を0.24とし、容易磁化方向の膨張係数を6.5×10-6/Kとし、容易磁化方向に垂直な方向の膨張係数を−0.5×10-6/Kとする。また、軟磁性体のヤング率を205GPaとし、ポアソン比を0.28とし、熱膨張係数を12×10-6/Kとする。
続いて、FEMの汎用計算ソフトを用いて、これらの条件を、要素タイプ:6面体ソリッド要素、節点数:25000、要素数:23000点で設定した。また、接着層は、厚さに対して4分割し、20μmの厚みで取り扱った。この磁石接着体10を100℃〜−20℃で使用する場合、実施例2ではδTが120℃となり、磁石1側に現れる熱応力は、ミーゼス相当応力換算で8.8MPa以下である。
このような条件の磁石接着体10に対して、100〜−20℃のヒートサイクルを1000回行ったが、磁石1の割れは認められなかった。その後、400℃のオーブンに4時間投入し磁石1を脱磁し、磁石接着体10を解体し、磁石1を回収した。また、回収した磁石1は室温に冷却した後、イソプロピルアルコールで超音波洗浄した。
次に、回収した磁石1の健全性を調べるために、直径10mmの鉄のピンを、磁石1の中央部に、電気化学工業製2液アクリル接着剤ハードロックG55で接着し、室温で1週間硬化させてから、60℃で3時間加熱して固定した。その後、鉄のピンを接着した磁石1を、図3に示す直径12mmの穴のあいた鉄製の治具に載せて、2mm/minの試験速度で強度を測定した。
具体的には、23℃の温度下において、磁石を押さえながらピンを引っ張ることで強度を測定し、10MPa以下で破損が認められる磁石を強度不足として判定した。このような評価を合計50個実施したが、10MPa以下で破損する磁石は現れず、強度信頼性を確保できる磁石を得ることができた。
実施例3.
実施例3では、S45Cの炭素鋼を10×40×70mmに削り出して、軟磁性体2を作製した。また、軟磁性体2の表面は、機械的な研磨を行った後、イソプロパノールで脱脂して自然乾燥させた。
Nd−Fe−B系の希土類磁石1は、25×50×4mmにしたものを接着した。また、接着部は、平均で20μmのアルミニウム蒸着を施し、後にジルコニウム−リン酸系の化成処理を施した磁石を用いている。
また、接着厚みを250μmとし、接着面積を25×50mmとして接着する。ここで、接着剤3としては、粘度が26Pa・sの2液混合型エポキシ樹脂変性シリコーン接着剤を用いて固定した。このようにして作成された磁石接着体10を、室温で1週間固定後、100℃で10日間加熱して評価体とした。
この磁石接着体10の磁石1にかかる負荷を、以下の条件で算出する。まず、製品の使用最高温度と最低温度との差をδTとする。また、上記と同じ条件で硬化したときの接着剤3の弾性率は、最低温度の接着剤の0.1Hzにおける引っ張りモードの貯蔵弾性率が30MPaである。また、ポアソン比を0.48とし、熱膨張係数を200×10-6/Kとする。
ここで、この接着剤3の0.1Hzの貯蔵弾性率を、20Hzの貯蔵弾性率で除した値を求めたところ、冷却時の温度10℃、0℃、−10℃、−20℃、−30℃で、それぞれ、0.50、0.41、0.33、0.28、0.23であった。
また、磁石1のヤング率を160GPaとし、ポアソン比を0.24とし、容易磁化方向の膨張係数を6.5×10-6/Kとし、容易磁化方向に垂直な方向の膨張係数を−0.5×10-6/Kとする。また、軟磁性体のヤング率を205GPaとし、ポアソン比を0.28とし、熱膨張係数を12×10-6/Kとする。
続いて、FEMの汎用計算ソフトを用いて、これらの条件を、要素タイプ:6面体ソリッド要素、節点数:25000、要素数:23000点で設定した。また、接着層は、厚さに対して4分割し、62.5μmの厚みで取り扱った。この磁石接着体10を120℃〜−30℃で使用する場合、実施例3ではδTが150℃となり、磁石1側に現れる熱応力は、ミーゼス相当応力換算で6.5MPa以下である。
このような条件の磁石接着体10に対して、120〜−30℃のヒートサイクルを1000回行ったが、磁石1の割れは認められなかった。その後、400℃のオーブンに4時間投入し磁石1を脱磁し、磁石接着体10を解体し、磁石1を回収した。また、回収した磁石1は室温に冷却した後、イソプロピルアルコールで超音波洗浄した。
次に、回収した磁石1の健全性を調べるために、直径10mmの鉄のピンを、磁石1の中央部に、電気化学工業製2液アクリル接着剤ハードロックG55で接着し、室温で1週間硬化させてから、60℃で3時間加熱して固定した。その後、鉄のピンを接着した磁石1を、図3に示す直径12mmの穴のあいた鉄製の治具に載せて、2mm/minの試験速度で強度を測定した。
具体的には、23℃の温度下において、磁石を押さえながらピンを引っ張ることで強度を測定し、10MPa以下で破損が認められる磁石を強度不足として判定した。このような評価を合計50個実施したが、10MPa以下で破損する磁石は現れず、強度信頼性を確保できる磁石を得ることができた。
実施例4.
実施例4では、S45Cの炭素鋼を10×40×70mmに削り出して、軟磁性体2を作製した。また、軟磁性体2の表面は、機械的な研磨を行った後、イソプロパノールで脱脂して自然乾燥させた。
Nd−Fe−B系の希土類磁石1は、15×30×3.5mmにしたものを接着した。また、接着部は、平均で20μmのアルミニウム蒸着を施し、後にジルコニウム−リン酸系の化成処理を施した磁石を用いている。
また、接着厚みを50μmとし、接着面積を15×30mmとして接着する。ここで、接着剤3としては、粘度が50Pa・sの変性シリコーン接着剤を用いて固定した。このようにして作成された磁石接着体10を、室温で1週間固定後、100℃で10日間加熱して評価体とした。
この磁石接着体10の磁石1にかかる負荷を、以下の条件で算出する。まず、製品の使用最高温度と最低温度との差をδTとする。また、上記と同じ条件で硬化したときの接着剤3の弾性率は、最低温度の接着剤の0.1Hzにおける引っ張りモードの貯蔵弾性率が6MPaである。また、ポアソン比を0.48とし、熱膨張係数を200×10-6/Kとする。
ここで、この接着剤3の0.1Hzの貯蔵弾性率を、20Hzの貯蔵弾性率で除した値を求めたところ、冷却時の温度10℃、0℃、−10℃、−20℃で、それぞれ、0.52、0.43、0.39、0.30であった。
また、磁石1のヤング率を160GPaとし、ポアソン比を0.24とし、容易磁化方向の膨張係数を6.5×10-6/Kとし、容易磁化方向に垂直な方向の膨張係数を−0.5×10-6/Kとする。また、軟磁性体のヤング率を205GPaとし、ポアソン比を0.28とし、熱膨張係数を12×10-6/Kとする。
続いて、FEMの汎用計算ソフトを用いて、これらの条件を、要素タイプ:6面体ソリッド要素、節点数:22500、要素数:20700点で設定した。また、接着層は、厚さに対して4分割し、12.5μmの厚みで取り扱った。この磁石接着体10を100℃〜−20℃で使用する場合、実施例4ではδTが120℃となり、磁石1側に現れる熱応力は、ミーゼス相当応力換算で4.8MPa以下である。
このような条件の磁石接着体10に対して、100〜−20℃のヒートサイクルを1000回行ったが、磁石1の割れは認められなかった。その後、400℃のオーブンに4時間投入し磁石1を脱磁し、磁石接着体10を解体し、磁石1を回収した。また、回収した磁石1は室温に冷却した後、イソプロピルアルコールで超音波洗浄した。
次に、回収した磁石1の健全性を調べるために、直径10mmの鉄のピンを、磁石1の中央部に、電気化学工業製2液アクリル接着剤ハードロックG55で接着し、室温で1週間硬化させてから、60℃で3時間加熱して固定した。その後、鉄のピンを接着した磁石1を、図3に示す直径12mmの穴のあいた鉄製の治具に載せて、2mm/minの試験速度で強度を測定した。
具体的には、23℃の温度下において、磁石を押さえながらピンを引っ張ることで強度を測定し、10MPa以下で破損が認められる磁石を強度不足として判定した。このような評価を合計50個実施したが、10MPa以下で破損する磁石は現れず、強度信頼性を確保できる磁石を得ることができた。
実施例5.
実施例5では、S45Cの炭素鋼を10×40×70mmに削り出して、軟磁性体2を作製した。また、軟磁性体2の表面は、機械的な研磨を行った後、イソプロパノールで脱脂して自然乾燥させた。
Nd−Fe−B系の希土類磁石1は、15×30×3.5mmにしたものを接着した。また、接着部は、平均で30μmのエポキシ系塗装を施した磁石を用いている。
また、接着厚みを30μmとし、接着面積を15×30mmとして接着する。ここで、接着剤3としては、粘度が10Pa・sの2液型変性シリコーン接着剤を用いて固定した。このようにして作成された磁石接着体10を、室温で1週間固定後、100℃で10日間加熱して評価体とした。
この磁石接着体10の磁石1にかかる負荷を、以下の条件で算出する。まず、製品の使用最高温度と最低温度との差をδTとする。また、上記と同じ条件で硬化したときの接着剤3の弾性率は、最低温度の接着剤の0.1Hzにおける引っ張りモードの貯蔵弾性率が3MPaである。また、ポアソン比を0.48とし、熱膨張係数を200×10-6/Kとする。
ここで、この接着剤3の0.1Hzの貯蔵弾性率を、20Hzの貯蔵弾性率で除した値を求めたところ、冷却時の温度10℃、0℃、−10℃、−20℃で、それぞれ、0.58、0.50、0.43、0.35であった。
また、磁石1のヤング率を160GPaとし、ポアソン比を0.24とし、容易磁化方向の膨張係数を6.5×10-6/Kとし、容易磁化方向に垂直な方向の膨張係数を−0.5×10-6/Kとする。また、軟磁性体のヤング率を205GPaとし、ポアソン比を0.28とし、熱膨張係数を12×10-6/Kとする。
続いて、FEMの汎用計算ソフトを用いて、これらの条件を、要素タイプ:6面体ソリッド要素、節点数:22500、要素数:20700点で設定した。また、接着層は、厚さに対して4分割し、5μmの厚みで取り扱った。この磁石接着体10を100℃〜−20℃で使用する場合、実施例5ではδTが120℃となり、磁石1側に現れる熱応力は、ミーゼス相当応力換算で3.6MPa以下である。
このような条件の磁石接着体10に対して、100〜−20℃のヒートサイクルを1000回行ったが、磁石1の割れは認められなかった。その後、400℃のオーブンに4時間投入し磁石1を脱磁し、磁石接着体10を解体し、磁石1を回収した。また、回収した磁石1は室温に冷却した後、イソプロピルアルコールで超音波洗浄した。
次に、回収した磁石1の健全性を調べるために、直径10mmの鉄のピンを、磁石1の中央部に、電気化学工業製2液アクリル接着剤ハードロックG55で接着し、室温で1週間硬化させてから、60℃で3時間加熱して固定した。その後、鉄のピンを接着した磁石1を、図3に示す直径12mmの穴のあいた鉄製の治具に載せて、2mm/minの試験速度で強度を測定した。
具体的には、23℃の温度下において、磁石を押さえながらピンを引っ張ることで強度を測定し、10MPa以下で破損が認められる磁石を強度不足として判定した。このような評価を合計50個実施したが、10MPa以下で破損する磁石は現れず、強度信頼性を確保できる磁石を得ることができた。
図4は、この発明の実施の形態1に係る磁石接着体をモータのロータに適用した場合の構成を示す断面図である。なお、このモータ用ロータは、例えばエレベータ巻上機のモータに組み入れられるものである。
図4において、このモータ用ロータは、円筒形状をした軟磁性体2と、この軟磁性体2の外周面に軸線方向に、かつ周方向にあらかじめ定められた間隔をあけて配置された複数個の磁石1と、この磁石1を軟磁性体2に接着した接着剤3とを備えている。
この磁石1は、例えば、アルミ蒸着皮膜を有する希土類磁石である。このアルミ蒸着皮膜を有する希土類磁石(形状:25×50×外径32mm)を、円筒型鉄のヨークに対して30極の構成で、実施例1の接着剤を用いて接着した。この構成のロータは、モータとして利用することができた。
また、モータ使用後に、ロータを取り外し、400℃で4時間加熱して、磁石を脱磁分離した。その後、実施例1と同様な手法で磁石を評価し、すべての磁石が強度10MPa以上を示し、強度の健全性を確保できていることが分かった。
図5は、この発明の実施の形態1に係る磁石接着体をアクチュエータに適用した場合の構成を示す断面図である。図5において、アルミ蒸着皮膜を有する希土類磁石1(形状:13×45×75mm)を、2極の構成で無電解メッキを施した軟磁性体2である鉄ヨークに接着した。
また、接着面積は、40×75mmであり、接着剤3は、実施例2の接着剤を用いて接着厚み220μmで接着し、この磁気回路とアルミ製のボビン4に銅線を巻きつけたコイル5とを用いてアクチュエータを作製した。これは、アクチュエータとして利用することができた。
このアクチュエータを使用した後、400℃で4時間加熱して、磁石を脱磁分離した。
その後、実施例1と同様な手法で磁石を評価し、すべての磁石が強度10MPa以上を示し、強度の健全性を確保できていることが分かった。具体的には、回収した磁石を30個評価したが、何れも強度は10MPa以上を示し、強度の健全性を確保できていることが分かった。
比較例1.
比較例1では、S45Cの炭素鋼を10×40×70mmに削り出して、軟磁性体2を作製した。また、軟磁性体2の表面は、機械的な研磨を行った後、イソプロパノールで脱脂して自然乾燥させた。
Nd−Fe−B系の希土類磁石1は、15×30×3.5mmにしたものを接着した。また、接着部は、平均で20μmのアルミニウム蒸着を施し、後にジルコニウム−リン酸系の化成処理を施した磁石を用いている。
また、接着厚みを20μmとし、接着面積を15×30mmとして接着する。ここで、接着剤3としては、粘度が26Pa・sの2液型変性シリコーン接着剤を用いて固定した。このようにして作成された磁石接着体10を、室温で1週間固定後、100℃で10日間加熱して評価体とした。
この磁石接着体10の磁石1にかかる負荷を、以下の条件で算出する。まず、製品の使用最高温度と最低温度との差をδTとする。また、上記と同じ条件で硬化したときの接着剤3の弾性率は、最低温度の接着剤の0.1Hzにおける引っ張りモードの貯蔵弾性率が6MPaである。また、ポアソン比を0.48とし、熱膨張係数を200×10-6/Kとする。
ここで、この接着剤3の0.1Hzの貯蔵弾性率を、20Hzの貯蔵弾性率で除した値を求めたところ、冷却時の温度10℃、0℃、−10℃、−20℃で、それぞれ、0.52、0.43、0.39、0.30であった。
また、磁石1のヤング率を160GPaとし、ポアソン比を0.24とし、容易磁化方向の膨張係数を6.5×10-6/Kとし、容易磁化方向に垂直な方向の膨張係数を−0.5×10-6/Kとする。また、軟磁性体のヤング率を205GPaとし、ポアソン比を0.28とし、熱膨張係数を12×10-6/Kとする。
続いて、FEMの汎用計算ソフトを用いて、これらの条件を、要素タイプ:6面体ソリッド要素、節点数:22500、要素数:20700点で設定した。また、接着層は、厚さに対して4分割し、5μmの厚みで取り扱った。この磁石接着体10を100℃〜−20℃で使用する場合、比較例1ではδTが120℃となり、磁石1側に現れる熱応力は、ミーゼス相当応力換算で11MPa以下である。
このような条件の磁石接着体10に対して、100〜−20℃のヒートサイクルを1000回行ったが、磁石1の割れは認められなかった。その後、400℃のオーブンに4時間投入し磁石1を脱磁し、磁石接着体10を解体し、磁石1を回収した。また、回収した磁石1は室温に冷却した後、イソプロピルアルコールで超音波洗浄した。
次に、回収した磁石1の健全性を調べるために、直径10mmの鉄のピンを、磁石1の中央部に、電気化学工業製2液アクリル接着剤ハードロックG55で接着し、室温で1週間硬化させてから、60℃で3時間加熱して固定した。その後、鉄のピンを接着した磁石1を、図3に示す直径12mmの穴のあいた鉄製の治具に載せて、2mm/minの試験速度で強度を測定した。
具体的には、23℃の温度下において、磁石を押さえながらピンを引っ張ることで強度を測定し、10MPa以下で破損が認められる磁石を強度不足として判定した。このような評価を合計50個実施したところ、10MPa以下で破損する磁石が2個確認された。
比較例2.
比較例2では、S45Cの炭素鋼を10×40×70mmに削り出して、軟磁性体2を作製した。また、軟磁性体2の表面は、機械的な研磨を行った後、イソプロパノールで脱脂して自然乾燥させた。
Nd−Fe−B系の希土類磁石1は、25×50×4mmにしたものを接着した。また、接着部は、平均で20μmのアルミニウム蒸着を施し、後にジルコニウム−リン酸系の化成処理を施した磁石を用いている。
また、接着厚みを30μmとし、接着面積を15×30mmとして接着する。ここで、接着剤3としては、粘度が26Pa・sの2液型変性シリコーン接着剤を用いて固定した。このようにして作成された磁石接着体10を、室温で1週間固定後、100℃で10日間加熱して評価体とした。
この磁石接着体10の磁石1にかかる負荷を、以下の条件で算出する。まず、製品の使用最高温度と最低温度との差をδTとする。また、上記と同じ条件で硬化したときの接着剤3の弾性率は、最低温度の接着剤の0.1Hzにおける引っ張りモードの貯蔵弾性率が30MPaである。また、ポアソン比を0.48とし、熱膨張係数を200×10-6/Kとする。
ここで、この接着剤3の0.1Hzの貯蔵弾性率を、20Hzの貯蔵弾性率で除した値を求めたところ、冷却時の温度10℃、0℃、−10℃、−20℃で、それぞれ、0.5、0.41、0.33、0.28であった。
また、磁石1のヤング率を160GPaとし、ポアソン比を0.24とし、容易磁化方向の膨張係数を6.5×10-6/Kとし、容易磁化方向に垂直な方向の膨張係数を−0.5×10-6/Kとする。また、軟磁性体のヤング率を205GPaとし、ポアソン比を0.28とし、熱膨張係数を12×10-6/Kとする。
続いて、FEMの汎用計算ソフトを用いて、これらの条件を、要素タイプ:6面体ソリッド要素、節点数:22500、要素数:20700点で設定した。また、接着層は、厚さに対して4分割し、7.5μmの厚みで取り扱った。この磁石接着体10を100℃〜−20℃で使用する場合、比較例2ではδTが120℃となり、磁石1側に現れる熱応力は、ミーゼス相当応力換算で19MPa以下である。
このような条件の磁石接着体10に対して、100〜−20℃のヒートサイクルを1000回行ったが、磁石1の割れは認められなかった。その後、400℃のオーブンに4時間投入し磁石1を脱磁し、磁石接着体10を解体し、磁石1を回収した。また、回収した磁石1は室温に冷却した後、イソプロピルアルコールで超音波洗浄した。
次に、回収した磁石1の健全性を調べるために、直径10mmの鉄のピンを、磁石1の中央部に、電気化学工業製2液アクリル接着剤ハードロックG55で接着し、室温で1週間硬化させてから、60℃で3時間加熱して固定した。その後、鉄のピンを接着した磁石1を、図3に示す直径12mmの穴のあいた鉄製の治具に載せて、2mm/minの試験速度で強度を測定した。
具体的には、23℃の温度下において、磁石を押さえながらピンを引っ張ることで強度を測定し、10MPa以下で破損が認められる磁石を強度不足として判定した。このような評価を合計50個実施したところ、10MPa以下で破損する磁石が8個確認された。
比較例3.
比較例3では、S45Cの炭素鋼を10×40×70mmに削り出して、軟磁性体2を作製した。また、軟磁性体2の表面は、機械的な研磨を行った後、イソプロパノールで脱脂して自然乾燥させた。
Nd−Fe−B系の希土類磁石1は、25×50×4mmにしたものを接着した。また、接着部は、平均で20μmのアルミニウム蒸着を施し、後にジルコニウム−リン酸系の化成処理を施した磁石を用いている。
また、接着厚みを50μmとし、接着面積を25×50mmとして接着する。ここで、接着剤3としては、粘度が60Pa・sの1液型シリコーン接着剤を用いて固定した。このようにして作成された磁石接着体10を、120℃で2時間加熱して硬化させ、120℃で10日間加熱して評価体とした。
この磁石接着体10の磁石1にかかる負荷を、以下の条件で算出する。まず、製品の使用最高温度と最低温度との差をδTとする。また、上記と同じ条件で硬化したときの接着剤3の弾性率は、最低温度の接着剤の0.1Hzにおける引っ張りモードの貯蔵弾性率が3MPaである。また、ポアソン比を0.48とし、熱膨張係数を200×10-6/Kとする。
ここで、この接着剤3の0.1Hzの貯蔵弾性率を、20Hzの貯蔵弾性率で除した値を求めたところ、冷却時の温度10℃、0℃、−10℃、−20℃で、それぞれ、0.74、0.72、0.70、0.65であった。
また、磁石1のヤング率を160GPaとし、ポアソン比を0.24とし、容易磁化方向の膨張係数を6.5×10-6/Kとし、容易磁化方向に垂直な方向の膨張係数を−0.5×10-6/Kとする。また、軟磁性体のヤング率を205GPaとし、ポアソン比を0.28とし、熱膨張係数を12×10-6/Kとする。
続いて、FEMの汎用計算ソフトを用いて、これらの条件を、要素タイプ:6面体ソリッド要素、節点数:25000、要素数:23000点で設定した。また、接着層は、厚さに対して4分割し、25μmの厚みで取り扱った。この磁石接着体10を120℃〜−20℃で使用する場合、比較例3ではδTが140℃となり、磁石1側に現れる熱応力は、ミーゼス相当応力換算で6.8MPa以下である。
このような条件の磁石接着体10に対して、120〜−20℃のヒートサイクルを1000回行ったが、磁石1の割れは認められなかった。その後、400℃のオーブンに4時間投入し磁石1を脱磁し、磁石接着体10を解体し、磁石1を回収した。また、回収した磁石1は室温に冷却した後、イソプロピルアルコールで超音波洗浄した。
次に、回収した磁石1の健全性を調べるために、直径10mmの鉄のピンを、磁石1の中央部に、電気化学工業製2液アクリル接着剤ハードロックG55で接着し、室温で1週間硬化させてから、60℃で3時間加熱して固定した。その後、鉄のピンを接着した磁石1を、図3に示す直径12mmの穴のあいた鉄製の治具に載せて、2mm/minの試験速度で強度を測定した。
具体的には、23℃の温度下において、磁石を押さえながらピンを引っ張ることで強度を測定し、10MPa以下で破損が認められる磁石を強度不足として判定した。このような評価を合計50個実施したところ、10MPa以下で破損する磁石が30個確認された。
比較例4.
比較例4では、上述した実施例1と同じ構成の磁石1および軟磁性体2を用いた。ここで、接着剤3のみ以下の性能を示す1液の変性シリコーン接着剤を用いた。
まず、製品の使用最高温度と最低温度との差をδTとする。また、上記と同じ条件で硬化したときの接着剤3の弾性率は、最低温度の接着剤の0.1Hzにおける引っ張りモードの貯蔵弾性率が15MPaである。また、ポアソン比を0.48とし、熱膨張係数を200×10-6/Kとする。
ここで、この接着剤3の0.1Hzの貯蔵弾性率を、20Hzの貯蔵弾性率で除した値を求めたところ、冷却時の温度10℃、0℃、−10℃、−20℃、−30℃で、それぞれ、0.75、0.61、0.52、0.44、0.41であった。
また、実施例1と同様に磁石1側に現れる熱応力を求めたところ、ミーゼス相当応力換算で8.5MPa以下である。さらに、実施例1と同様に回収した磁石1の健全性を調べたところ、23℃の温度下において、合計50個の評価に対して、10MPa以下で破損する磁石が2個確認された。
図6は、この発明の実施例1〜5および比較例1〜2、4における冷却時磁石内熱応力と不合格数との関係を示す説明図である。なお、図6では、図2に示したシリコーンでの汚染の大きい比較例3を除いている。
図6より、10MPa以上の応力の領域と10MPa未満の応力の領域とで、不合格品の発生に対して明確な差が存在することが分かる。しかしながら、実施例2および比較例4のように、算出された磁石内熱応力自体がそれぞれ8.8MPaおよび8.5MPaと同等であるにもかかわらず、不合格品が発生する場合としない場合とが存在する。
これは、8.8MPaおよび8.5MPaの近傍に磁石の破壊の有無を分ける限界ラインがあると考えるよりも、別のメカニズムが存在すると考える方が妥当である。すなわち、10MPa前後で例外なく磁石破壊の有無を制御するためには、熱応力が10MPa以下の領域では、静的な応力の値だけでなく、樹脂の緩和現象等を考慮した上で接着を行わなければ、磁石の保護には十分ではないことを示唆しているものと考えられる。
ここで、その指標は、樹脂の粘弾性の特性から見出すことができ、周波数20Hzおよび0.1Hzでの差を比較して適切な材料を使用することで、磁石の破壊の回避を実現可能にすることができることが分かった。
以上のことから、図2、図6を参照すると、実施例1〜5では、磁石1にかかる内部応力が何れも10MPaを下回っていることが分かる。また、実施例1〜5では、この発明に使用する接着剤3の冷却時の弾性率について、使用最低温度10℃以下の領域で、周波数0.1Hzでの弾性率が5×106〜5×107Paの主成分が非シリコーン系の接着剤であり、かつ、周波数20Hzおよび0.1Hzでの動的な弾性率を比較した場合に、0.1Hzの弾性率が20Hzの弾性率の60%以下であり、接着剤3の厚みが30μm以上であり、磁石1にかかる内部応力が何れも10MPaを下回っている。
これに対して、比較例1、2はともに、磁石1にかかる内部応力が何れも10MPaを上回っていることが分かる。また、熱応力が11MPaを示したときでは不合格数が50個中2個と少ないが、19MPaまで増えると50個中8個と不具合個数が増えており、磁石1への負荷の大きさに依存していることが分かる。
また、実施例1〜5では、何れも接着厚みが30μm以上である。一方、比較例1は、最低温度の接着剤弾性率が6MPaで、接着面積も450mm2であるが、接着厚みが20μmであることから、磁石1の内部に発生する熱応力は、被着体が異なる場合特にその影響が大きくなる。また、接着厚みが薄い場合もその影響が大きくなる。また、接着剤3の弾性率も一定の値以下でなければ、磁石1を破損することになる。
また、比較例2は、30μmと一定の接着厚みを確保できてはいるものの、接着剤3の弾性率から決まってくる熱応力が大きくなる組あわせであるために、実施例1〜5のように、磁石1の健全性を確保することができない。
また、比較例3では、磁石1にかかる内部応力が10MPaを下回っているが、再利用時の強度評価時には、強度を確保できていない。すなわち、比較例3は、シリコーン分子を主成分とする柔軟性樹脂を用いているので、解体時の接着性に影響する成分が大量に付着する。ここで、そのような付着物を生じないものでなくては、この発明を達成することはできない。
また、上述したように、接着厚みが薄いと、弾性率が一定の範囲であっても、内部応力は10MPa以上になる。この場合には、磁石1に蓄積される損傷が増え、磁石1を解体する際の300℃を超える膨張が生じたときに、損傷が促進されると考えられる。
また、比較例4では、実施例1と同じ接着厚み、磁石1の内部応力自体も10MPa以下と大きくないが、10℃以下の冷却途中の0.1Hzと20Hzとの接着剤の貯蔵弾性率の比が0.6よりも大きく、緩和性能が低いために、その時点での損傷の蓄積が顕れたものと考えられる。
このように、この発明の磁石接着体は、非シリコーンの接着剤で固定される希土類磁石と軟磁性体との磁石接着体であり、接着剤の弾性率は、最低温度領域における熱応力がミーゼス相当応力で換算したときに10MPa以下になるように設計され、磁石リサイクル時に、350〜450℃の範囲で熱酸化により解体されて再利用される。なお、ミーゼス相当応力で換算した最低温度領域における熱応力の下限値は、0.1MPaである。接着による固定では、硬化収縮が生じるので、その程度の内部応力は発生すると推定される。
そのため、この発明の磁石接着体では、磁石が軟磁性体と確実に接着される。これは、膨張係数の観点から耐ヒートサイクル時の磁石割れに対して優れる構造である。また、単にヒートサイクルよる負荷に優れるだけでなく、再利用時の300℃以上の大気中の加熱負荷においても、磁石の割れかけが生じにくいことを特徴とする。したがって、磁石再利用時も一定の材料信頼性を確保しながら使用することができる。
以上のように、実施の形態1によれば、接着剤は、冷却時における使用最低温度10℃以下の領域において、周波数0.1Hzでの弾性率が5×106〜5×107Paの主成分が非シリコーン系の接着剤であり、かつ、周波数20Hzおよび0.1Hzでの動的な弾性率を比較した場合に、0.1Hzの弾性率が20Hzの弾性率の60%以下であり、厚みが30μm以上であり、接着により磁石の内部に生じる熱応力が、ミーゼス相当応力換算で10MPa以下である。
そのため、希土類磁石を軟磁性体に接着し、ヒートサイクルによる負荷が長期に加わった後、加熱により解体した場合であっても、得られた希土類磁石を溶解等させることなく、材料強度を確保したまま再利用することができる。

Claims (4)

  1. Nd−Fe−B系の磁石と軟磁性体とが接着剤で接着された磁石接着体を備えたエレベータ用巻上機のモータであって、
    前記接着剤は、
    温度10℃以下の領域において、周波数0.1Hzでの弾性率が5×10〜5×10Paの主成分が非シリコーン系の接着剤であり、かつ、周波数20Hzおよび0.1Hzでの動的な弾性率を比較した場合に、0.1Hzの弾性率が20Hzの弾性率の60%以下であり、
    厚みが30μm以上であり、
    接着により前記磁石の内部に生じる熱応力が、ミーゼス相当応力換算で0.1MPaよりも大きく10MPa以下である
    エレベータ用巻上機のモータ。
  2. 円筒形状をした軟磁性体と、前記軟磁性体の外周面に軸線方向に、かつ周方向にあらかじめ定められた間隔をあけて配置された複数個の前記磁石と、前記磁石を前記軟磁性体に接着した前記接着剤とを備えた
    請求項1に記載のエレベータ用巻上機のモータ。
  3. Nd−Fe−B系の磁石と軟磁性体とが接着剤で接着された磁石接着体を備えたアクチュエータであって、
    前記接着剤は、
    温度10℃以下の領域において、周波数0.1Hzでの弾性率が5×10〜5×10Paの主成分が非シリコーン系の接着剤であり、かつ、周波数20Hzおよび0.1Hzでの動的な弾性率を比較した場合に、0.1Hzの弾性率が20Hzの弾性率の60%以下であり、
    厚みが30μm以上であり、
    接着により前記磁石の内部に生じる熱応力が、ミーゼス相当応力換算で0.1MPaよりも大きく10MPa以下である
    アクチュエータ。
  4. 円筒形状をした軟磁性体と、前記軟磁性体の内周面に軸線方向に、かつ周方向にあらかじめ定められた間隔をあけて配置された複数個の前記磁石と、前記磁石を前記軟磁性体に接着した前記接着剤とを備えた
    請求項3に記載のアクチュエータ。
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