JP2015228757A - Ipmモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒートサイクル環境下において磁石用スロット内で永久磁石を堅固に接着固定することができる信頼性の高いIPMモータを提供する。【解決手段】本発明のIPMモータは、ロータ鉄心1に設けられた磁石用スロット2内に永久磁石3が埋設された構造を有する。そして、ロータ鉄心1の周方向における永久磁石3の側面のうちの一方の側面のみが、120℃以上の温度での剪断強度が10MPa以上及び0℃以下の温度での剥離強度が0.5kN/m以上の接着部4を介してロータ鉄心1と接着固定されている。【選択図】図1
Description
本発明は、ロボット、自動車、鉄道などの分野において高精度の制御が必要とされるIPMモータに関する。
R−Fe−B系永久磁石(R:希土類元素)などの永久磁石を、鉄心ロータに設けられた磁石用スロット内に埋設した構造をもつIPMモータ(Interior Permanent Magnet Motor)が知られている。電気自動車(Electric Vehicle)の昨今の実用化に加えて、ロボット、鉄道などの近年の研究開発の進展に伴い、それらを制御するIPMモータにも高精度化が要求されている。
IPMモータは、永久磁石に交流磁界がかかると渦電流が発生し、鉄心ロータの電気抵抗による発熱が原因で渦電流損と呼ばれるエネルギーの損失が生じる。このとき、鉄心ロータに設けられた磁石用スロット内の永久磁石の温度が高くなることが多い。場合によっては永久磁石の温度が140℃以上に達することもあり、IPMモータの特性を維持するためにはヒートサイクル環境下に耐え得るように放熱設計などの工夫を行う必要がある。
他方、IPMモータには、磁石用スロットと永久磁石との間のクリアランス(隙間)があるが、IPMモータの用途によってはクリアランスを埋めずに使用されることがある。この場合、永久磁石は使用中に磁石用スロット内で動くが、IPMモータを高度に制御する必要がある場合、このような永久磁石の動きはIPMモータの特性に影響を与える。そのため、IPMモータの特性に対する影響を低減して信頼性を高めるためには永久磁石の動きを防止する必要がある。
そこで、磁石用スロット内で永久磁石を固定する方法として、磁石用スロットと永久磁石との間のクリアランスに各種樹脂を導入する方法が提案されている。
例えば、特許文献1は、エポキシ系又はシリコーン系樹脂を含む接着剤を用いて磁石用スロット内で永久磁石を固定する方法を提案している。
また、特許文献2は、シリコーン系樹脂を含む接着剤を用いて磁石用スロット内で永久磁石を固定する方法を提案している。
さらに、特許文献3は、モールド樹脂を用いて磁石用スロット内で永久磁石を固定する方法を提案している。
例えば、特許文献1は、エポキシ系又はシリコーン系樹脂を含む接着剤を用いて磁石用スロット内で永久磁石を固定する方法を提案している。
また、特許文献2は、シリコーン系樹脂を含む接着剤を用いて磁石用スロット内で永久磁石を固定する方法を提案している。
さらに、特許文献3は、モールド樹脂を用いて磁石用スロット内で永久磁石を固定する方法を提案している。
しかしながら、特許文献1の方法では、磁石用スロットと永久磁石との間のクリアランスの全体に接着部を形成しているため、高温条件下において異種の材料である鉄心ロータ及び永久磁石の熱膨張係数の差に起因して接着部にかかる熱応力が大きくなり、接着部が破壊されることがある。その上、接着部の熱疲労によって磁石用スロット内で永久磁石を固定する能力も低下してしまう。
また、特許文献2の方法では、シリコーン系樹脂を含む接着剤が柔軟な接着部を形成するため、磁石用スロット内で永久磁石を堅固に固定することができない。そのため、IPMモータにおいて急激なトルクの増減が生じる場合、永久磁石に微小な動きが生じ、IPMモータの特性が低下することがある。
また、特許文献2の方法では、シリコーン系樹脂を含む接着剤が柔軟な接着部を形成するため、磁石用スロット内で永久磁石を堅固に固定することができない。そのため、IPMモータにおいて急激なトルクの増減が生じる場合、永久磁石に微小な動きが生じ、IPMモータの特性が低下することがある。
さらに、特許文献3の方法では、磁石用スロット内で永久磁石を固定するモールド樹脂の能力が低い。実際、モールド樹脂による磁石用スロット内での永久磁石の固定は、モールド樹脂との摩擦力に起因していることが多く、磁石用スロット内で永久磁石を堅固に固定することができない。
他方、IPMモータの特性を向上させるためには、磁石用スロットと永久磁石との間のクリアランスを小さくすればよいと考えられる。しかしながら、クリアランスを小さくすると、接着部の熱応力が増大して接着部の破壊に繋がり易い。
他方、IPMモータの特性を向上させるためには、磁石用スロットと永久磁石との間のクリアランスを小さくすればよいと考えられる。しかしながら、クリアランスを小さくすると、接着部の熱応力が増大して接着部の破壊に繋がり易い。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、ヒートサイクル環境下において磁石用スロット内で永久磁石を堅固に接着固定することができる信頼性の高いIPMモータを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような問題を解決すべく鋭意研究した結果、ロータ鉄心の周方向における永久磁石の側面のうちの一方の側面のみを、特定の接着部を介してロータ鉄心と接着固定することにより、熱応力に起因した接着部の破壊及び熱疲労を低減し得ることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、ロータ鉄心に設けられた磁石用スロット内に永久磁石が埋設されたIPMモータであって、前記ロータ鉄心の周方向における前記永久磁石の側面のうちの一方の側面のみが、120℃以上の温度での剪断強度が10MPa以上及び0℃以下の温度での剥離強度が0.5kN/m以上の接着部を介して前記ロータ鉄心と接着固定されていることを特徴とするIPMモータである。
すなわち、本発明は、ロータ鉄心に設けられた磁石用スロット内に永久磁石が埋設されたIPMモータであって、前記ロータ鉄心の周方向における前記永久磁石の側面のうちの一方の側面のみが、120℃以上の温度での剪断強度が10MPa以上及び0℃以下の温度での剥離強度が0.5kN/m以上の接着部を介して前記ロータ鉄心と接着固定されていることを特徴とするIPMモータである。
本発明によれば、ヒートサイクル環境下において磁石用スロット内で永久磁石を堅固に接着固定することができる信頼性の高いIPMモータを提供することができる。
実施の形態1.
以下、本発明のIPMモータの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態のIPMモータのロータの横断面図である。図2は、図1のIPMモータのロータの横断面図の部分拡大図である。
図1に示すように、本実施の形態のIPMモータのロータは、ロータ鉄心1と、ロータ鉄心1に設けられた磁石用スロット2に埋設された永久磁石3とを有する。また、ロータ鉄心1の中央部には、駆動シャフト(図示していない)を挿通固定するための駆動シャフトスロット6が設けられている。磁石用スロット2は、ロータ鉄心1の周方向に沿って複数個設けられている。なお、図1では、磁石用スロット2の数を4個とし、磁石用スロット2に4個の永久磁石3が埋設された4極のロータの場合を例示しているが、ロータの極数は特に限定されない。
以下、本発明のIPMモータの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態のIPMモータのロータの横断面図である。図2は、図1のIPMモータのロータの横断面図の部分拡大図である。
図1に示すように、本実施の形態のIPMモータのロータは、ロータ鉄心1と、ロータ鉄心1に設けられた磁石用スロット2に埋設された永久磁石3とを有する。また、ロータ鉄心1の中央部には、駆動シャフト(図示していない)を挿通固定するための駆動シャフトスロット6が設けられている。磁石用スロット2は、ロータ鉄心1の周方向に沿って複数個設けられている。なお、図1では、磁石用スロット2の数を4個とし、磁石用スロット2に4個の永久磁石3が埋設された4極のロータの場合を例示しているが、ロータの極数は特に限定されない。
永久磁石3は、ロータ鉄心1の周方向における側面のうちの一方の側面において、接着部4を介してロータ鉄心1と接着固定されている。ここで、本明細書において「ロータ鉄心1の周方向における側面」とは、ロータ鉄心1の半径方向と垂直に接する部分を有する側面(すなわち、ロータ鉄心1の半径方向における側面)以外の側面のことを意味する。具体的には、「ロータ鉄心1の周方向における側面」とは、図2における側面a,bのことを意味する。したがって、例えば、図2に示すように、ロータ鉄心1の周方向における永久磁石3の一方の側面aのみが、接着部4を介してロータ鉄心1と接着固定されている。また、ロータ鉄心1の周方向における永久磁石3の他方の側面bはロータ鉄心1と接しておらず、永久磁石3の他方の側面bとロータ鉄心1との間には隙間5が形成されている。
接着部4の形状は、特に限定されず、様々な形状とすることができる。ただし、接着部4は、一般に、鉄心ロータ1及び永久磁石3に比べて熱膨張係数が大きいため、接着部4の領域が多くなると、永久磁石3の温度が高くなった場合に鉄心ロータ1と永久磁石3との間の固着を維持できなくなる場合がある。そのため、接着部4の断面積(横断面積)は0.25mm2以上500mm2以下であることが好ましい。接着部4の断面積が0.25mm2未満であると、接着部4の領域が少なくなり、永久磁石3を鉄心ロータ1に堅固に接着固定することができない場合がある。一方、接着部4の断面積が500mm2を超えると、接着部4にかかる熱応力が大きくなり、鉄心ロータ1と永久磁石3との間の固着を維持できなくなる場合がある。また、コスト及び鉄心ロータ1と永久磁石3との間の安定的な固着を考慮すると、接着部4の断面積の上限は200mm2であることがより好ましい。
永久磁石3と接着部4との接触面積は、永久磁石3の大きさに応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、一般に50mm2以上であれば永久磁石3と接着部4との間の接着強度が十分に得られる。また、永久磁石3と接着部4との接触面積の上限は、特に限定されないが、大きなIPMモータであっても、通常の永久磁石3の形状を考慮すると一般に1500mm2である。
永久磁石3の他方の側面bとロータ鉄心1との間の隙間5の形状は、特に限定されず、様々な形状とすることができる。例えば、永久磁石3の他方の側面bとロータ鉄心1との間の隙間5の形状は、接着部4の形状(すなわち、永久磁石3の一方の側面aとロータ鉄心1との間の隙間の形状)と同じにしてもよい。
また、図1では、ロータ鉄心1の半径方向における永久磁石3の側面c,dは、ロータ鉄心1と接しているが、ロータ鉄心1と永久磁石3の側面c,dとの間には隙間があってもよい。一般に、ロータ鉄心1と永久磁石3の側面c,dとの間の隙間が小さいほど、IPMモータのモータ特性が向上するので、ロータ鉄心1と永久磁石3の側面c,dとの間の隙間は、0.02mm〜0.5mmであることが好ましい。隙間が0.02mm未満であると、永久磁石3の製造上のバラつきに対応できず、磁気用スロット2に永久磁石3を挿入することができない場合がある。一方、隙間が0.5mmよりも大きいと、IPMモータのモータ特性が低下する場合がある。
IPMモータにおいて、永久磁石3の側面a,bは、永久磁石3の磁界方向である側面c,dに比べて、ロータ鉄心1と永久磁石3との間の熱膨張係数の差が小さくなる傾向にある。そのため、永久磁石3の側面aを、接着部4を介してロータ鉄心1と接着固定することにより、高温環境下にさらされた場合であっても、接着部4にかかる熱応力を低減し、接着部4を介した永久磁石3の側面とロータ鉄心1との間の接着固定を維持することができる。
接着部4は、永久磁石3をロータ鉄心1と堅固に接着固定することができれば、永久磁石3の側面aの一部と接触していても構わないが、永久磁石3をロータ鉄心1と安定且つ堅固に接着固定する観点から、永久磁石3の側面aの全体と接触していることが好ましい。
また、接着部4は、永久磁石3の側面aとロータ鉄心1との間だけでなく、永久磁石3の側面c,dとロータ鉄心1との間の隙間の一部に形成されていてもよい。ただし、永久磁石3の側面c,dの全体を、接着部4を介してロータ鉄心1と接着固定すると、接着部4にかかる熱応力が増大し、接着部4が破壊され易くなる。
また、接着部4は、永久磁石3の側面aとロータ鉄心1との間だけでなく、永久磁石3の側面c,dとロータ鉄心1との間の隙間の一部に形成されていてもよい。ただし、永久磁石3の側面c,dの全体を、接着部4を介してロータ鉄心1と接着固定すると、接着部4にかかる熱応力が増大し、接着部4が破壊され易くなる。
永久磁石3の側面bとロータ鉄心1との間は、接着部4によって永久磁石3をロータ鉄心1と堅固に接着固定することができれば、隙間5のままの状態としておいてよい。しかしながら、永久磁石3をロータ鉄心1と、より安定且つ堅固に接着固定する観点から、図3に示すように、隙間5に補強接着部7を形成してもよい。補強接着部7は、永久磁石3の側面bの一部と接触していても構わないが、永久磁石3をロータ鉄心1と、より安定且つ堅固に接着固定する観点から、永久磁石3の側面bの全体と接触していることが好ましい。
磁石用スロット2及び永久磁石3の形状は、上記のような構成を得ることができる形状であれば特に限定されない。例えば、図1〜3に示すように、横断面が台形状の磁石用スロット2に横断面が長方形状の永久磁石3を埋設すればよい。また、図4に示すように、横断面がアーチ状の磁石用スロット2に横断面がアーチ状の永久磁石3を埋設してもよい。
以下、本実施の形態のIPMモータに用いられる材料について説明する。
ロータ鉄心1としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。ロータ鉄心1は、電磁鋼板を積層してなる鋼板積層体の他、鉄、鉄−シリコン系合金、鉄−窒素系合金、鉄−ニッケル系合金、鉄−炭素系合金、鉄−ホウ素系合金、鉄−コバルト系合金、鉄−リン系合金、鉄−ニッケル−コバルト系合金、及び鉄−アルミニウム−シリコン系合金などの軟磁性金属粉末、又は軟磁性金属酸化物粉末がシリコーン樹脂などの樹脂バインダーで被覆された磁性粉末などからなる圧粉磁心、高密度圧粉磁心などから成形することによって得ることができる。成形方法としては、特に限定されず、材料を削り出す方法、所望の形状に成形した電磁鋼板を積層する方法などを用いることができる。その中でも、耐熱性などの観点から、ケイ素鋼板を積層してなる鋼板積層体を成形して得られるロータ鉄心1が好ましく、特に、渦電流損を防止する観点から、表面に絶縁膜を形成したケイ素鋼板を積層してなる鋼板積層体を成形して得られるロータ鉄心1がより好ましい。ケイ素鋼板の厚さは、特に限定されないが、一般に0.2mm〜1mmである。例えば、ケイ素鋼板を用いる場合、積層した際に磁石用スロット2が形成されるように予め打ち抜いた後、ケイ素鋼板を積層して機械的にかしめることにより、磁石用スロット2を有するロータ鉄心1を形成することができる。
ロータ鉄心1としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。ロータ鉄心1は、電磁鋼板を積層してなる鋼板積層体の他、鉄、鉄−シリコン系合金、鉄−窒素系合金、鉄−ニッケル系合金、鉄−炭素系合金、鉄−ホウ素系合金、鉄−コバルト系合金、鉄−リン系合金、鉄−ニッケル−コバルト系合金、及び鉄−アルミニウム−シリコン系合金などの軟磁性金属粉末、又は軟磁性金属酸化物粉末がシリコーン樹脂などの樹脂バインダーで被覆された磁性粉末などからなる圧粉磁心、高密度圧粉磁心などから成形することによって得ることができる。成形方法としては、特に限定されず、材料を削り出す方法、所望の形状に成形した電磁鋼板を積層する方法などを用いることができる。その中でも、耐熱性などの観点から、ケイ素鋼板を積層してなる鋼板積層体を成形して得られるロータ鉄心1が好ましく、特に、渦電流損を防止する観点から、表面に絶縁膜を形成したケイ素鋼板を積層してなる鋼板積層体を成形して得られるロータ鉄心1がより好ましい。ケイ素鋼板の厚さは、特に限定されないが、一般に0.2mm〜1mmである。例えば、ケイ素鋼板を用いる場合、積層した際に磁石用スロット2が形成されるように予め打ち抜いた後、ケイ素鋼板を積層して機械的にかしめることにより、磁石用スロット2を有するロータ鉄心1を形成することができる。
永久磁石3としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。永久磁石3の例としては、希土類磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石などが挙げられる。その中でも高出力が得られる希土類磁石が好ましい。希土類磁石の例としては、Nd−Fe−B系、Sm−Co系、Sm−Fe−N系などが挙げられる。その中でも、磁石としての性能に優れるNd−Fe−B系の焼結磁石が好ましい。また、Nd−Fe−B系の焼結磁石は、結晶と結晶との界面(結晶粒界)に沿ってディスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)などを拡散させる拡散法により、結晶粒界部分のNdだけをDy、Tbで置換して結晶粒界の保磁力を強化してもよい。
永久磁石3は、各種の磁石の中から1種類を選択して用いることができ、IPMモータの所望のモータ特性を得るために、複数の磁石を組み合わせて用いてもよい。
また、磁石用スロット2に埋設される永久磁石3は、所定の形状に予め成形した単一の永久磁石3を用いればよいが、渦電流などを防止する観点から、複数個に分割した永久磁石3を用いたり、複数個に分割した永久磁石3を接合して一体化したものを用いたりしてもよい。また、永久磁石3にスリットを入れたものを用いてもよい。
また、磁石用スロット2に埋設される永久磁石3は、所定の形状に予め成形した単一の永久磁石3を用いればよいが、渦電流などを防止する観点から、複数個に分割した永久磁石3を用いたり、複数個に分割した永久磁石3を接合して一体化したものを用いたりしてもよい。また、永久磁石3にスリットを入れたものを用いてもよい。
永久磁石3は、接着部4又は任意の補強接着部7との接着性を向上させる観点から、表面処理によって被膜を形成することが好ましい。永久磁石3の表面処理によって形成される被膜は、接着部4の熱応力によって強度が大きく低下しないものであれば特に限定されない。被膜の耐熱温度は、本発明の効果を安定して得る観点から、120℃以上であることが好ましい。
被膜の例としては、永久磁石3の表面を酸化処理することによって形成される酸化被膜;アルキルシリケートを含む塗料、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などの有機系高分子を主体する塗料、亜鉛フレークとアルミフレークとを含む塗料などを塗装した塗装被膜;リン酸亜鉛、フッ化ジルコニウム系、クロム系などを施した化成処理被膜;電気Niめっき、無電解Niめっき、亜鉛めっき、クロムめっき、銅めっきなどを施しためっき被膜;純アルミニウム、アルミニウム合金などを蒸着によって形成した蒸着被膜などが挙げられる。これらの被膜は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、塗料の塗装方法としては、特に限定されず、電着塗装又は粉体塗装のいずれを用いてもよい。上記の各種被膜の中でも、耐食性及び製造容易性の観点から、アルミニウム蒸着膜、塗装被膜であることが好ましい。
被膜の例としては、永久磁石3の表面を酸化処理することによって形成される酸化被膜;アルキルシリケートを含む塗料、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などの有機系高分子を主体する塗料、亜鉛フレークとアルミフレークとを含む塗料などを塗装した塗装被膜;リン酸亜鉛、フッ化ジルコニウム系、クロム系などを施した化成処理被膜;電気Niめっき、無電解Niめっき、亜鉛めっき、クロムめっき、銅めっきなどを施しためっき被膜;純アルミニウム、アルミニウム合金などを蒸着によって形成した蒸着被膜などが挙げられる。これらの被膜は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、塗料の塗装方法としては、特に限定されず、電着塗装又は粉体塗装のいずれを用いてもよい。上記の各種被膜の中でも、耐食性及び製造容易性の観点から、アルミニウム蒸着膜、塗装被膜であることが好ましい。
永久磁石3の側面aとロータ鉄心1との間を接着する接着部4は、120℃以上の温度での剪断強度が10MPa以上及び0℃以下の温度での剥離強度が0.5kN/m以上である。接着部4は所定の接着剤を用いて形成することができる。このような範囲の剪断強度及び剥離強度を有する接着部4であれば、ヒートサイクル環境下における接着性及び柔軟性(特に、高温時の接着強度及び低温時の耐剥離性)が良好であるため、温度条件に関わらず、永久磁石3の側面aとロータ鉄心1との間を堅固に接着固定することができる。
ここで、本明細書において「剪断強度」とは、JIS K6850に規定される方法に準じて測定される引張剪断強度のことを意味する。具体的には、2枚の25mm×100mm×1.6mmの鋼板(SPCC)の間に所定の接着剤を25mm×12.5mm×0.1mmで塗布して硬化させ、引張試験機を用いて引張速度10mm/分の条件下で測定される引張剪断強度である。
また、本明細書において「剥離強度」とは、JIS K6854−4に規定される方法に準じて測定される剥離強度のことを意味する。具体的には、JIS K6854−4に規定される浮動ローラ法に準じ、25mm×210mm×0.5mmの鋼板(SPCC)と25mm×200mm×2mm幅の鋼板(SPCC)との間に所定の接着剤を25mm×150mm×0.1mmで塗布して硬化させ、剥離試験機を用いて引張速度100mm/分の条件下で測定される剥離強度である。
また、本明細書において「剥離強度」とは、JIS K6854−4に規定される方法に準じて測定される剥離強度のことを意味する。具体的には、JIS K6854−4に規定される浮動ローラ法に準じ、25mm×210mm×0.5mmの鋼板(SPCC)と25mm×200mm×2mm幅の鋼板(SPCC)との間に所定の接着剤を25mm×150mm×0.1mmで塗布して硬化させ、剥離試験機を用いて引張速度100mm/分の条件下で測定される剥離強度である。
120℃以上の温度での接着部4の剪断強度が10MPa未満であると、接着部4の強度が不足し、永久磁石3の側面aとロータ鉄心1とを堅固に接着固定することができない。120℃以上の温度での接着部4の剪断強度は、接着性及び実用性の観点から、好ましくは10.5MPa以上40MPa以下である。
また、0℃以下の温度での接着部4の剥離強度が0.5kN/m未満であると、接着部4の柔軟性が不足し、高温時に接着部4が剥がれ易く、また低温時に接着部4に亀裂が生じる。0℃以下の温度での接着部4の剥離強度は、接着性及び実用性の観点から、好ましくは1.0kN/m以上15kN/m以下である。
また、0℃以下の温度での接着部4の剥離強度が0.5kN/m未満であると、接着部4の柔軟性が不足し、高温時に接着部4が剥がれ易く、また低温時に接着部4に亀裂が生じる。0℃以下の温度での接着部4の剥離強度は、接着性及び実用性の観点から、好ましくは1.0kN/m以上15kN/m以下である。
接着部4の形成に用いられる接着剤としては、上記の剪断強度及び剥離強度を有する硬化物を与えるものであれば特に限定されない。
接着部4の形成に用いられる接着剤は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂を接着性高分子として一般に含む。これらの樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。その中でも、接着部4の形成に用いられる接着剤は、剪断強度及び剥離強度の観点から、エポキシ樹脂及びアクリル樹脂の少なくとも1種を含むことが好ましい。また、これらの樹脂と共に、ニトリルブタジエンゴム、シリコーン樹脂などを配合することによって所定の物性を満たすような組成の接着剤としてもよい。
接着部4の形成に用いられる接着剤は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂を接着性高分子として一般に含む。これらの樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。その中でも、接着部4の形成に用いられる接着剤は、剪断強度及び剥離強度の観点から、エポキシ樹脂及びアクリル樹脂の少なくとも1種を含むことが好ましい。また、これらの樹脂と共に、ニトリルブタジエンゴム、シリコーン樹脂などを配合することによって所定の物性を満たすような組成の接着剤としてもよい。
また、接着部4の形成に用いられる接着剤の硬化形態は、特に限定されず、熱硬化性、熱可塑性、紫外線硬化性、可視光硬化性、常温硬化性、湿気硬化性などの公知のあらゆる硬化形態であることができる。使用する硬化形態に応じて、各種硬化剤などを接着剤に配合することができる。例えば、エポキシ樹脂を含む接着剤(以下、「エポキシ系接着剤」という。)を用いる場合、アミン系硬化剤を配合することによって硬化させることができる。また、アクリル樹脂を含む接着剤「以下、「アクリル系接着剤」という。)を用いる場合、紫外線などを照射してラジカル重合させることによって硬化させることができる。
接着部4の形成に用いられる接着剤の常温(23℃)での粘度は、特に限定されないが、接着剤の充填性の観点から、3,000〜500,000mPa・sであることが好ましい。ここで、本明細書における「粘度」とは、B型粘度計における回転数20rpmでの粘度のことを意味する。
また、接着部4の形成に用いられる接着剤は一般に市販されているため、市販品を用いてもよい。接着部4の形成に用いられる市販品としては、ナガセケムテックス株式会社製のXNR3628、住友スリーエム株式会社製のEW2040などのエポキシ系接着剤;セメダイン株式会社製のメタルロック(登録商標)、電気化学工業株式会社製のハードロック(登録商標)などのアクリル系接着剤が挙げられる。
永久磁石3の側面bとロータ鉄心1との間を接着する補強接着部7は、接着部4に対する影響が少ないものであれば特に限定されない。具体的には、補強接着部7は、150℃で100時間エージングした際に、周波数1Hzでの引張モードの動的粘弾性スペクトルにおける23℃での貯蔵弾性率が1MPa以上150MPa以下であることが好ましい。補強接着部7は所定の接着剤を用いて形成することができる。このような範囲の貯蔵弾性率を有する補強接着部7であれば、ある程度の柔軟性を有するため、接着部4に熱応力がかかった際に熱応力を緩和させることができる。そのため、接着部4に対する影響を抑えつつ、永久磁石3をロータ鉄心1と、より安定且つ堅固に接着固定することが可能になる。
補強接着部7の貯蔵弾性率が1MPa未満であると、永久磁石3とロータ鉄心1との接着を補強する効果が得られないことがある。一方、補強接着部7の貯蔵弾性率が150MPaを超えると、接着部4に対する影響が大きくなり、接着部4による永久磁石3とロータ鉄心1との間の固着力が低下することがある。
補強接着部7の形成に用いられる接着剤としては、上記の貯蔵弾性率を有する硬化物を与えるものであれば特に限定されない。
補強接着部7の形成に用いられる接着剤は、シラン変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂を接着性高分子として一般に含む。
また、補強接着部7の形成に用いられる接着剤の硬化形態は、特に限定されず、熱硬化性、熱可塑性、紫外線硬化性、可視光硬化性、常温硬化性、湿気硬化性などの公知のあらゆる硬化形態であることができる。使用する硬化形態に応じて、各種硬化剤などを接着剤に配合することができる。例えば、シラン変性エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂を含む接着剤は、付加反応、縮合反応などによって硬化させることができる。
補強接着部7の形成に用いられる接着剤は、シラン変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂を接着性高分子として一般に含む。
また、補強接着部7の形成に用いられる接着剤の硬化形態は、特に限定されず、熱硬化性、熱可塑性、紫外線硬化性、可視光硬化性、常温硬化性、湿気硬化性などの公知のあらゆる硬化形態であることができる。使用する硬化形態に応じて、各種硬化剤などを接着剤に配合することができる。例えば、シラン変性エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂を含む接着剤は、付加反応、縮合反応などによって硬化させることができる。
補強接着部7の形成に用いられる接着剤の常温(23℃)での粘度は、特に限定されないが、接着剤の充填性の観点から、3,000〜500,000mPa・sであることが好ましい。
また、補強接着部7の形成に用いられる接着剤は一般に市販されているため、市販品を用いてもよい。補強接着部7の形成に用いられる市販品の接着剤の例としては、セメダイン株式会社製のスーパーX(登録商標)、モメンティブ社製のTSE392などが挙げられる。
本実施の形態のIPMモータは、ロータ鉄心1に設けられた磁石用スロット2に永久磁石3を挿入し、永久磁石3の一方の側面aとロータ鉄心1との間の隙間に接着部4用の接着剤を充填して硬化することによって製造することができる。或いは、永久磁石3の一方の側面a側に接着部4用の接着剤を予め充填させた後、磁石用スロット2に永久磁石3を挿入して接着部4用の接着剤を硬化させてもよい。また、永久磁石3の一方の側面a側に接着部4用の接着剤を塗布した後、磁石用スロット2に永久磁石3を挿入して接着部4用の接着剤を硬化させてもよい。
接着部4用の接着剤の充填方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。例えば、永久磁石3の一方の側面aとロータ鉄心1との間の隙間に挿入することが可能な針先を有する充填用ノズルを用いて、接着部4用の接着剤を当該隙間に充填して所定の硬化方法によって硬化させればよい。この場合、エア圧、プランジャーポンプなどを利用して接着部4用の接着剤を当該隙間に均一に充填させてもよい。
なお、補強接着部7を形成する場合、補強接着部7の形成方法は、接着部4の形成方法と同様にして行うことができる。
接着部4用の接着剤の充填方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。例えば、永久磁石3の一方の側面aとロータ鉄心1との間の隙間に挿入することが可能な針先を有する充填用ノズルを用いて、接着部4用の接着剤を当該隙間に充填して所定の硬化方法によって硬化させればよい。この場合、エア圧、プランジャーポンプなどを利用して接着部4用の接着剤を当該隙間に均一に充填させてもよい。
なお、補強接着部7を形成する場合、補強接着部7の形成方法は、接着部4の形成方法と同様にして行うことができる。
上記のようにして製造される本実施の形態のIPMモータは、各種環境下において使用することができる。例えば、工場で使用されるIPMモータは、−10℃程度の環境下に曝されることがあるが、本実施の形態のIPMモータは、低温環境下でも磁石用スロット2内で永久磁石3を堅固に接着固定することができるため、安定して使用することができる。また、IPMモータの使用温度領域は、部材(例えば、ロータ鉄心1、永久磁石3)の温度上昇、渦電流などに起因して100℃〜200℃になるのが通常であるが、本実施の形態のIPMモータは、高温環境下でも磁石用スロット2内で永久磁石3を堅固に接着固定することができるため、使用することができる。特に、本実施の形態のIPMモータは、120℃〜180℃の使用温度で使用することが好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明の詳細を説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
表面に絶縁膜が形成されたケイ素鋼板(0.5mm)を積層して機械的にかしめることにより、磁石用スロットを有するロータ鉄心(直径110mm、高さ78mm)を作製した。磁石用スロットとしては、図1に示すような、横断面が台形状(上辺44.2mm、下辺46.5mm、高さ5.8mm)のスロット(高さ78mm)を4つ設けた。
次に、接着部用の接着剤として、B型粘度計における温度23℃、回転数20rpmでの粘度が60,000mPa・sである一液型変性エポキシ樹脂接着剤(以下「接着剤A−1」という。)を準備した。この接着剤A−1は、155℃における剪断強度が11MPa、及び−10℃における剥離強度が2.5kN/mの硬化物を与えることを予め確認した。なお、剪断強度は、2枚の25mm×100mm×1.6mmの鋼板(SPCC)の間に接着剤A−1を25mm×12.5mm×0.1mmで塗布し、150℃で120分間加熱して硬化させた後、引張試験機を用いて温度155℃、引張速度10mm/分の条件下で測定した。また、剥離強度は、浮動ローラ法に準じ、25mm×210mm×0.5mmの鋼板(SPCC)と25mm×200mm×2mmの鋼板(SPCC)との間に接着剤A−1を25mm×150mm×0.1mmで塗布し、150℃で120分間加熱して硬化させた後、剥離試験機を用いて温度−10℃、引張速度100mm/分の条件下で測定した。
表面に絶縁膜が形成されたケイ素鋼板(0.5mm)を積層して機械的にかしめることにより、磁石用スロットを有するロータ鉄心(直径110mm、高さ78mm)を作製した。磁石用スロットとしては、図1に示すような、横断面が台形状(上辺44.2mm、下辺46.5mm、高さ5.8mm)のスロット(高さ78mm)を4つ設けた。
次に、接着部用の接着剤として、B型粘度計における温度23℃、回転数20rpmでの粘度が60,000mPa・sである一液型変性エポキシ樹脂接着剤(以下「接着剤A−1」という。)を準備した。この接着剤A−1は、155℃における剪断強度が11MPa、及び−10℃における剥離強度が2.5kN/mの硬化物を与えることを予め確認した。なお、剪断強度は、2枚の25mm×100mm×1.6mmの鋼板(SPCC)の間に接着剤A−1を25mm×12.5mm×0.1mmで塗布し、150℃で120分間加熱して硬化させた後、引張試験機を用いて温度155℃、引張速度10mm/分の条件下で測定した。また、剥離強度は、浮動ローラ法に準じ、25mm×210mm×0.5mmの鋼板(SPCC)と25mm×200mm×2mmの鋼板(SPCC)との間に接着剤A−1を25mm×150mm×0.1mmで塗布し、150℃で120分間加熱して硬化させた後、剥離試験機を用いて温度−10℃、引張速度100mm/分の条件下で測定した。
次に、フッ素樹脂製のテープを巻いた鉄板の上にロータ鉄心を縦に配置して固定した後、直方体状(44mm×78mm×5.7mm)のNd−Fe−B系の焼結磁石(5%不可逆減磁率170℃)を磁石用スロットに挿入した。Nd−Fe−B系の焼結磁石は、表面をアルミニウム蒸着した後、ジルコニウムリン酸で化成処理したものを用いた。
次に、Nd−Fe−B系の焼結磁石の一方の側面とロータ鉄心との間(図2における永久磁石3の一方の側面aとロータ鉄心1との間;以下「隙間A」という。)に、充填用ノズルを用いて接着剤A−1を導入した。その後、Nd−Fe−B系の焼結磁石の他方の側面とロータ鉄心との間(図2における永久磁石3の他方の側面bとロータ鉄心1との間;以下「隙間B」という。)に、ゴムを巻いた細い鉄棒を挿入し、ゴムの反発力によって隙間A中に接着剤A−1を均一に広げた。その後、余分な接着剤A−1を拭き取った。
次に、ロータ鉄心を加熱型のオーブンに配置した後、150℃で120分間加熱して接着剤A−1を硬化させて接着部を形成することにより、IPMモータを完成させた。
次に、Nd−Fe−B系の焼結磁石の一方の側面とロータ鉄心との間(図2における永久磁石3の一方の側面aとロータ鉄心1との間;以下「隙間A」という。)に、充填用ノズルを用いて接着剤A−1を導入した。その後、Nd−Fe−B系の焼結磁石の他方の側面とロータ鉄心との間(図2における永久磁石3の他方の側面bとロータ鉄心1との間;以下「隙間B」という。)に、ゴムを巻いた細い鉄棒を挿入し、ゴムの反発力によって隙間A中に接着剤A−1を均一に広げた。その後、余分な接着剤A−1を拭き取った。
次に、ロータ鉄心を加熱型のオーブンに配置した後、150℃で120分間加熱して接着剤A−1を硬化させて接着部を形成することにより、IPMモータを完成させた。
(実施例2)
補強接着部用の接着剤として、B型粘度計における温度23℃、回転数20rpmでの粘度が40,000mPa・s(混合及び塗布時の粘度)である二液型シラン変性エポキシ樹脂接着剤(以下「接着剤B−1」という。)を準備した。この接着剤B−1は、150℃で100時間エージングした際に、周波数1Hzでの引張モードでの動的粘弾性スペクトルにおける23℃での貯蔵弾性率が15MPaの硬化物を与えることを予め確認した。
次に、実施例1と同様の材料及び方法を用いて隙間Aに接着部を形成した。次に、隙間Bに、充填用ノズルを用いて接着剤B−1を導入した後、室温で30分間放置して硬化させて補強接着部を形成することにより、IPMモータを完成させた。
補強接着部用の接着剤として、B型粘度計における温度23℃、回転数20rpmでの粘度が40,000mPa・s(混合及び塗布時の粘度)である二液型シラン変性エポキシ樹脂接着剤(以下「接着剤B−1」という。)を準備した。この接着剤B−1は、150℃で100時間エージングした際に、周波数1Hzでの引張モードでの動的粘弾性スペクトルにおける23℃での貯蔵弾性率が15MPaの硬化物を与えることを予め確認した。
次に、実施例1と同様の材料及び方法を用いて隙間Aに接着部を形成した。次に、隙間Bに、充填用ノズルを用いて接着剤B−1を導入した後、室温で30分間放置して硬化させて補強接着部を形成することにより、IPMモータを完成させた。
(実施例3)
接着部用の接着剤として、接着剤A−1の代わりに、B型粘度計における温度23℃、回転数20rpmでの粘度が16,000mPa・sである二液型変性アクリル樹脂接着剤(以下「接着剤A−2」という。)を用い、室温で1時間保持した後、130℃で2時間加熱することによって接着剤A−2を硬化させたこと以外は実施例1と同様にして隙間Aに接着部を形成した。この接着剤A−2は、130℃における剪断強度が10.2MPa、及び−10℃における剥離強度が3.0kN/mの硬化物を与えることを予め確認した。なお、剪断強度は、2枚の25mm×100mm×1.6mmの鋼板(SPCC)の間に接着剤A−2を25mm×12.5mm×0.1mmで塗布し、室温で1時間保持した後、130℃で2時間加熱して硬化させた後、引張試験機を用いて温度130℃、引張速度10mm/分の条件下で測定した。また、剥離強度は、浮動ローラ法に準じ、25mm×210mm×0.5mmの鋼板(SPCC)と25mm×200mm×2mmの鋼板(SPCC)との間に接着剤A−2を25mm×150mm×0.1mmで塗布し、室温で1時間保持した後、130℃で2時間加熱して硬化させた後、剥離試験機を用いて温度−10℃、引張速度100mm/分の条件下で測定した。
接着部用の接着剤として、接着剤A−1の代わりに、B型粘度計における温度23℃、回転数20rpmでの粘度が16,000mPa・sである二液型変性アクリル樹脂接着剤(以下「接着剤A−2」という。)を用い、室温で1時間保持した後、130℃で2時間加熱することによって接着剤A−2を硬化させたこと以外は実施例1と同様にして隙間Aに接着部を形成した。この接着剤A−2は、130℃における剪断強度が10.2MPa、及び−10℃における剥離強度が3.0kN/mの硬化物を与えることを予め確認した。なお、剪断強度は、2枚の25mm×100mm×1.6mmの鋼板(SPCC)の間に接着剤A−2を25mm×12.5mm×0.1mmで塗布し、室温で1時間保持した後、130℃で2時間加熱して硬化させた後、引張試験機を用いて温度130℃、引張速度10mm/分の条件下で測定した。また、剥離強度は、浮動ローラ法に準じ、25mm×210mm×0.5mmの鋼板(SPCC)と25mm×200mm×2mmの鋼板(SPCC)との間に接着剤A−2を25mm×150mm×0.1mmで塗布し、室温で1時間保持した後、130℃で2時間加熱して硬化させた後、剥離試験機を用いて温度−10℃、引張速度100mm/分の条件下で測定した。
次に、補強接着部用の接着剤として、B型粘度計における温度23℃、回転数20rpmでの粘度が200,000mPa・sである一液型縮合型シリコーン樹脂接着剤(以下「接着剤B−2」という。)を準備した。この接着剤B−2は、150℃で100時間エージングした際に、周波数1Hzでの引張モードでの動的粘弾性スペクトルにおける23℃での貯蔵弾性率が20MPaの硬化物を与えることを予め確認した。
次に、隙間Bに、充填用ノズルを用いて補強接着部用の接着剤を導入した後、室温で24時間放置して硬化させて補強接着部を形成することにより、IPMモータを完成させた。
次に、隙間Bに、充填用ノズルを用いて補強接着部用の接着剤を導入した後、室温で24時間放置して硬化させて補強接着部を形成することにより、IPMモータを完成させた。
(実施例4)
表面に絶縁膜が形成されたケイ素鋼板(0.35mm)を積層して機械的にかしめることにより、磁石用スロットを有するロータ鉄心(直径150mm、高さ126mm)を作製した。磁石用スロットとしては、図4に示すような、横断面がアーチ状(内径長59.9mm、外径長60.1mm、幅4.2mm)のスロット(高さ126mm)を8つ設けた。
次に、実施例2と同じ接着部用の接着剤及び補強接着部用の接着剤を準備した。
次に、フッ素樹脂製のテープを巻いた鉄板の上にロータ鉄心を縦に配置して固定した後、横断面がアーチ状(内径長60mm、外径長64mm、幅4mm)のNd−Fe−B系の焼結磁石(高さ63mm、5%不可逆減磁率170℃)を2段重ねて磁石用スロットに挿入した。Nd−Fe−B系の焼結磁石は、表面をエポキシ樹脂で塗装したものを用いた。
表面に絶縁膜が形成されたケイ素鋼板(0.35mm)を積層して機械的にかしめることにより、磁石用スロットを有するロータ鉄心(直径150mm、高さ126mm)を作製した。磁石用スロットとしては、図4に示すような、横断面がアーチ状(内径長59.9mm、外径長60.1mm、幅4.2mm)のスロット(高さ126mm)を8つ設けた。
次に、実施例2と同じ接着部用の接着剤及び補強接着部用の接着剤を準備した。
次に、フッ素樹脂製のテープを巻いた鉄板の上にロータ鉄心を縦に配置して固定した後、横断面がアーチ状(内径長60mm、外径長64mm、幅4mm)のNd−Fe−B系の焼結磁石(高さ63mm、5%不可逆減磁率170℃)を2段重ねて磁石用スロットに挿入した。Nd−Fe−B系の焼結磁石は、表面をエポキシ樹脂で塗装したものを用いた。
次に、Nd−Fe−B系の焼結磁石の一方の側面とロータ鉄心との間(図4の接着部4に相当する隙間;以下「隙間A」という。)に、充填用ノズルを用いて接着剤A−1を導入した。その後、Nd−Fe−B系の焼結磁石の他方の側面とロータ鉄心との間(図4の隙間5;以下「隙間B」という。)に、ゴムを巻いた細い鉄棒を挿入し、ゴムの反発力によって、Nd−Fe−B系の焼結磁石の一方の側面とロータ鉄心との間に接着剤A−1を均一に広げた。その後、余分な接着剤A−1を拭き取った。
次に、ロータ鉄心を加熱型のオーブンに配置した後、150℃で120分間加熱して接着剤A−1を硬化させて接着部を形成した。
次に、隙間Bに、充填用ノズルを用いて接着剤B−1を導入した後、室温で30分間放置して硬化させて補強接着部を形成することにより、IPMモータを完成させた。
次に、ロータ鉄心を加熱型のオーブンに配置した後、150℃で120分間加熱して接着剤A−1を硬化させて接着部を形成した。
次に、隙間Bに、充填用ノズルを用いて接着剤B−1を導入した後、室温で30分間放置して硬化させて補強接着部を形成することにより、IPMモータを完成させた。
(比較例1)
実施例1と同じロータ鉄心、永久磁石及び接着剤を用い、ロータ鉄心と永久磁石との間の隙間全体にわたって接着剤A−1を塗布して接着部を形成したこと以外は、実施例1と同じ条件下でIPMモータを完成させた。なお、この比較例では、ロータ鉄心と永久磁石との間の隙間全体にわたって接着剤A−1を塗布するために、永久磁石に接着剤A−1を予め塗布した後、ロータ鉄心の磁石用スロットに挿入して硬化させた。
実施例1と同じロータ鉄心、永久磁石及び接着剤を用い、ロータ鉄心と永久磁石との間の隙間全体にわたって接着剤A−1を塗布して接着部を形成したこと以外は、実施例1と同じ条件下でIPMモータを完成させた。なお、この比較例では、ロータ鉄心と永久磁石との間の隙間全体にわたって接着剤A−1を塗布するために、永久磁石に接着剤A−1を予め塗布した後、ロータ鉄心の磁石用スロットに挿入して硬化させた。
(比較例2)
接着部用の接着剤として、一液型変性エポキシ樹脂接着剤の代わりに、B型粘度計における温度23℃、回転数20rpmでの粘度が130,000mPa・sである一液型変性エポキシ樹脂接着剤(以下「接着剤A−3」という。)を用い、150℃で2時間加熱することによって接着剤A−3を硬化させたこと以外は実施例1と同様にして接着部を形成してIPMモータを完成させた。この接着剤A−3は、155℃における剪断強度が14.2MPa、及び−10℃における剥離強度が0.4kN/mの硬化物を与えることを予め確認した。なお、剪断強度は、2枚の25mm×100mm×1.6mmの鋼板(SPCC)の間に接着剤A−3を25mm×12.5mm×0.1mmで塗布し、150℃で2時間加熱して硬化させた後、引張試験機を用いて温度155℃、引張速度10mm/分の条件下で測定した。また、剥離強度は、浮動ローラ法に準じ、25mm×210mm×0.5mmの鋼板(SPCC)と25mm×200mm×2mmの鋼板(SPCC)との間に接着剤A−3を25mm×150mm×0.1mmで塗布し、150℃で2時間加熱して硬化させた後、剥離試験機を用いて温度−10℃、引張速度100mm/分の条件下で測定した。
接着部用の接着剤として、一液型変性エポキシ樹脂接着剤の代わりに、B型粘度計における温度23℃、回転数20rpmでの粘度が130,000mPa・sである一液型変性エポキシ樹脂接着剤(以下「接着剤A−3」という。)を用い、150℃で2時間加熱することによって接着剤A−3を硬化させたこと以外は実施例1と同様にして接着部を形成してIPMモータを完成させた。この接着剤A−3は、155℃における剪断強度が14.2MPa、及び−10℃における剥離強度が0.4kN/mの硬化物を与えることを予め確認した。なお、剪断強度は、2枚の25mm×100mm×1.6mmの鋼板(SPCC)の間に接着剤A−3を25mm×12.5mm×0.1mmで塗布し、150℃で2時間加熱して硬化させた後、引張試験機を用いて温度155℃、引張速度10mm/分の条件下で測定した。また、剥離強度は、浮動ローラ法に準じ、25mm×210mm×0.5mmの鋼板(SPCC)と25mm×200mm×2mmの鋼板(SPCC)との間に接着剤A−3を25mm×150mm×0.1mmで塗布し、150℃で2時間加熱して硬化させた後、剥離試験機を用いて温度−10℃、引張速度100mm/分の条件下で測定した。
(比較例3)
補強接着部用の接着剤として、実施例3において接着部用の接着剤として用いた接着剤A−2を準備した。この接着剤A−2は、150℃で100時間エージングした際に、周波数1Hzでの引張モードでの動的粘弾性スペクトルにおける23℃での貯蔵弾性率が2.5GPaの硬化物を与えることを予め確認した。
次に、実施例1と同様の材料及び方法を用いて隙間Aに接着部を形成した。次に、隙間Bに、充填用ノズルを用いて接着剤A−2を導入した後、室温で1時間保持した後、150℃で2時間加熱して硬化させて補強接着部を形成することにより、IPMモータを完成させた。
補強接着部用の接着剤として、実施例3において接着部用の接着剤として用いた接着剤A−2を準備した。この接着剤A−2は、150℃で100時間エージングした際に、周波数1Hzでの引張モードでの動的粘弾性スペクトルにおける23℃での貯蔵弾性率が2.5GPaの硬化物を与えることを予め確認した。
次に、実施例1と同様の材料及び方法を用いて隙間Aに接着部を形成した。次に、隙間Bに、充填用ノズルを用いて接着剤A−2を導入した後、室温で1時間保持した後、150℃で2時間加熱して硬化させて補強接着部を形成することにより、IPMモータを完成させた。
(比較例4)
接着部用の接着剤として、接着剤A−1の代わりに、B型粘度計における温度23℃、回転数20rpmでの粘度が58,000mPa・sである一液型付加型シリコーン樹脂接着剤(以下「接着剤A−4」という。)を用い、150℃で2時間加熱することによって接着剤A−4を硬化させたこと以外は実施例1と同様にして接着部を形成してIPMモータを完成させた。この接着剤A−4は、130℃における剪断強度が2.6MPa、及び−10℃における剥離強度が2.3kN/mの硬化物を与えることを予め確認した。なお、剪断強度は、2枚の25mm×100mm×1.6mmの鋼板(SPCC)の間に接着剤A−4を25mm×12.5mm×0.1mmで塗布し、150℃で2時間加熱して硬化させた後、引張試験機を用いて温度150℃、引張速度10mm/分の条件下で測定した。また、剥離強度は、浮動ローラ法に準じ、25mm×210mm×0.5mmの鋼板(SPCC)と25mm×200mm×2mmの鋼板(SPCC)との間に接着剤A−4を25mm×150mm×0.1mmで塗布し、150℃で2時間加熱して硬化させた後、剥離試験機を用いて温度−10℃、引張速度100mm/分の条件下で測定した。
接着部用の接着剤として、接着剤A−1の代わりに、B型粘度計における温度23℃、回転数20rpmでの粘度が58,000mPa・sである一液型付加型シリコーン樹脂接着剤(以下「接着剤A−4」という。)を用い、150℃で2時間加熱することによって接着剤A−4を硬化させたこと以外は実施例1と同様にして接着部を形成してIPMモータを完成させた。この接着剤A−4は、130℃における剪断強度が2.6MPa、及び−10℃における剥離強度が2.3kN/mの硬化物を与えることを予め確認した。なお、剪断強度は、2枚の25mm×100mm×1.6mmの鋼板(SPCC)の間に接着剤A−4を25mm×12.5mm×0.1mmで塗布し、150℃で2時間加熱して硬化させた後、引張試験機を用いて温度150℃、引張速度10mm/分の条件下で測定した。また、剥離強度は、浮動ローラ法に準じ、25mm×210mm×0.5mmの鋼板(SPCC)と25mm×200mm×2mmの鋼板(SPCC)との間に接着剤A−4を25mm×150mm×0.1mmで塗布し、150℃で2時間加熱して硬化させた後、剥離試験機を用いて温度−10℃、引張速度100mm/分の条件下で測定した。
上記の実施例及び比較例で作製したIPMモータについて、150℃〜−10℃の温度間でヒートサイクル試験を600回繰り返し行った。そして、ヒートサイクル試験後のIPMモータについて下記の評価を行った。
(1)ヒートサイクル試験後のIPMモータの接着部にカラーチェック液(染色浸透深傷剤)を浸透させ、乾燥した後に、永久磁石を剥ぎ取り、永久磁石と接着部との界面においてカラーチェック液が浸透していない部分の面積の割合(以下、「非浸透部分の面積割合」と略す。)を算出した。なお、この試験は、1つの実施例又は比較例につき、15個のサンプルで評価を行った。
(2)ヒートサイクル試験後のIPMモータを、温度150℃、周波数10Hzの条件下で、50〜500Nの正弦波の応力波形、及び100〜1000Nの正弦波の応力波形をそれぞれ10万回負荷する疲労試験を行い、接着部からの永久磁石の脱落の有無を評価した。なお、この試験は、1つの実施例又は比較例につき、10個のサンプルで評価を行った。また、この評価結果は、10個のサンプルの中で永久磁石が脱落したサンプルの個数で表す。
上記の各評価の結果を表1に示す。
(1)ヒートサイクル試験後のIPMモータの接着部にカラーチェック液(染色浸透深傷剤)を浸透させ、乾燥した後に、永久磁石を剥ぎ取り、永久磁石と接着部との界面においてカラーチェック液が浸透していない部分の面積の割合(以下、「非浸透部分の面積割合」と略す。)を算出した。なお、この試験は、1つの実施例又は比較例につき、15個のサンプルで評価を行った。
(2)ヒートサイクル試験後のIPMモータを、温度150℃、周波数10Hzの条件下で、50〜500Nの正弦波の応力波形、及び100〜1000Nの正弦波の応力波形をそれぞれ10万回負荷する疲労試験を行い、接着部からの永久磁石の脱落の有無を評価した。なお、この試験は、1つの実施例又は比較例につき、10個のサンプルで評価を行った。また、この評価結果は、10個のサンプルの中で永久磁石が脱落したサンプルの個数で表す。
上記の各評価の結果を表1に示す。
表1に示されているように、実施例1〜4で作製したIPMモータは、非浸透部分の面積割合が高く、且つ疲労試験の結果も良好であった。
これに対して比較例1〜4で作製したIPMモータは、非浸透部分の面積割合又は疲労試験の結果のいずれかが十分でなかった。特に、比較例1では、モータ鉄心と永久磁石との間の隙間全体に接着部を形成したため、接着部にかかる熱応力が大きくなり、鉄心ロータと永久磁石との間の固着を維持できなくなったと考えられる。比較例2では、0℃以下の温度での接着部の剥離強度が低すぎたために、低温時に接着部の柔軟性が得られず、鉄心ロータと永久磁石との間の固着を維持できなくなったと考えられる。比較例3では、補強接着部の貯蔵弾性率が高すぎたために、接着部に対する影響が大きくなり、接着部による永久磁石とロータ鉄心との間の固着力が低下してしまったと考えられる。比較例4では、120℃以上の温度での接着部の剪断強度が低すぎたために、接着部の強度が不足し、永久磁石を堅固に接着固定することができなかったと考えられる。
これに対して比較例1〜4で作製したIPMモータは、非浸透部分の面積割合又は疲労試験の結果のいずれかが十分でなかった。特に、比較例1では、モータ鉄心と永久磁石との間の隙間全体に接着部を形成したため、接着部にかかる熱応力が大きくなり、鉄心ロータと永久磁石との間の固着を維持できなくなったと考えられる。比較例2では、0℃以下の温度での接着部の剥離強度が低すぎたために、低温時に接着部の柔軟性が得られず、鉄心ロータと永久磁石との間の固着を維持できなくなったと考えられる。比較例3では、補強接着部の貯蔵弾性率が高すぎたために、接着部に対する影響が大きくなり、接着部による永久磁石とロータ鉄心との間の固着力が低下してしまったと考えられる。比較例4では、120℃以上の温度での接着部の剪断強度が低すぎたために、接着部の強度が不足し、永久磁石を堅固に接着固定することができなかったと考えられる。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、ヒートサイクル環境下において磁石用スロット内で永久磁石を堅固に接着固定することができる信頼性の高いIPMモータを提供することができる。
1 ロータ鉄心、2 磁石用スロット、3 永久磁石、4 接着部、5 隙間、6 駆動シャフトスロット、7 補強接着部。
Claims (6)
- ロータ鉄心に設けられた磁石用スロット内に永久磁石が埋設されたIPMモータであって、
前記ロータ鉄心の周方向における前記永久磁石の側面のうちの一方の側面のみが、120℃以上の温度での剪断強度が10MPa以上及び0℃以下の温度での剥離強度が0.5kN/m以上の接着部を介して前記ロータ鉄心と接着固定されていることを特徴とするIPMモータ。 - 前記ロータ鉄心の周方向における前記永久磁石の側面のうちの他方の側面が、周波数1Hzでの引張モードの動的粘弾性スペクトルにおける23℃での貯蔵弾性率が1MPa以上150MPa以下の補強接着部を介して前記ロータ鉄心と接着固定されていることを特徴とする請求項1に記載のIPMモータ。
- 前記接着部の断面積が、0.25mm2以上500mm2以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のIPMモータ。
- 前記永久磁石がNd−Fe−B系焼結磁石であり、且つ前記ロータ鉄心が、ケイ素鋼板を積層することによって形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のIPMモータ。
- 前記接着部が、エポキシ樹脂及びアクリル樹脂の少なくとも1種を含む接着剤を用いて形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のIPMモータ。
- 前記補強接着部が、シラン変性エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂を含む接着剤を用いて形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のIPMモータ。
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