JP6265519B2 - シール装置 - Google Patents

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Description

この発明は、壁体を貫通している筒状部材と配管との間隙をシールするシール装置に関するものである。
従来から、発電所やプラントなどの壁体において、その一方側である屋外側から他方側である屋内側まで、筒状部材である大径のスリーブが貫通されており、このスリーブの内部に小径の配管が挿通されていることがある。このような場合、スリーブの内周面と配管の外周面とに円環状の間隙が発生するため、この間隙をシール装置でシールしている(たとえば、特許文献1参照)。
そこで、このようなシール装置の一従来例を、図12ないし図14を参照して以下に説明する。なお、図12は、一従来例におけるシール装置の内部構造を示す模式的な縦断側面図、図13は、シール装置のラバーブーツの構造を示す模式的な二面図、図14は、ラバーブーツの両縁部が面ファスナーにより接合されている部分の構造を示す模式的な縦断正面図、である。また、ここでは前後左右上下の方向を図示して説明するが、この前後左右上下の方向は各部の相対関係を明確とするために便宜的に規定するものである。
まず、図12に示すように、ここで一従来例として例示するシール装置10は、前述のように、壁体WLの一方側である後方側から他方側である前方側まで貫通されている筒状部材である大径のスリーブLPと、このスリーブLPの内部に挿通されている小径の配管SPと、を周方向の全域にわたって接続している。このため、このシール装置10は、弾性部材であるラバーブーツ11と、後端リング12と、前端リング13と、を有している。ラバーブーツ11は、ラバーシートで形成されており、スリーブLPの前方側の端部開口と配管SPの外周面との間隙をシールしている。
より具体的には、配管SPとスリーブLPとは、円管状に形成されており、ラバーブーツ11は、図12および図13に示すように、スリーブLPの前方側の開口端部から配管SPの外周面まで前方側に先細の円錐状に形成されている。このような円錐状のラバーブーツ11は、扇状のラバーシート(図示せず)を配管SPとスリーブLPとに巻回することで形成されている。
このように配管SPとスリーブLPとに巻回することで相対するラバーブーツ11の両縁部は、図13および図14に示すように、面ファスナー19で接合されている。この面ファスナー19は、一組のフックテープ13とループテープ14からなる。フックテープ13は、接着剤15とフックシート16からなり、ループテープ14は、接着剤17とループシート18からなる。フックテープ13のフックシート16は、接着剤15によりラバーブーツ11の一縁部に接着されており、ループテープ14のループシート18は、接着剤17によりラバーブーツ11の他縁部に接着されている。
なお、後端リング12は、たとえば、大径の金属リングで形成されており、図12に示すように、ラバーブーツ11の後端部をスリーブLPの外周面上に圧着させて固定している。前端リング13は、たとえば、小径の金属リングで形成されており、ラバーブーツ11の前端部を配管SPの外周面上に圧着させて固定している。
上述のような構成のシール装置10は、前述のように発電所やプラントなどの壁体WLのスリーブLPと配管SPとの間隙のシールなどに利用される。たとえば、図12に示すように、壁体WLの屋外側となる後方側から屋内側となる前方側まで大径のスリーブLPが貫通されており、このスリーブLPの内部に小径の配管SPが挿通されているような場合、その間隙のシールなどに利用される。
その場合、前述のように扇状のラバーシートを大径のスリーブLPと小径の配管SPとに、円錐状に巻回してラバーブーツ11を形成する。このようにスリーブLPと配管SPとに巻回されることで相対するラバーブーツ11の両縁部には、図14に示すように、面ファスナー19のフックテープ13とループテープ14とが事前に接着されている。
そこで、この面ファスナー19のフックテープ13とループテープ14とを接合することにより、図12および図13に示すように、大径のスリーブLPと小径の配管SPとを周方向の全域にわたって接続する円錐状のラバーブーツ11が形成される。そして、このようなラバーブーツ11の後端部が後端リング12でスリーブLPの外周面上に圧着されて固定され、前端部が前端リング13で配管SPの外周面上に圧着されて固定される。
これでシール装置10は、大径のスリーブLPと小径の配管SPとの間隙を気密および水密にシールした状態となる。しかも、上述のように大径のスリーブLPと小径の配管SPとの間隙をシールするラバーブーツ11はラバーシートで円錐状に形成されている。このため、たとえば、地震などによりスリーブLPに対して配管SPが前後左右上下に変位しても、ラバーブーツ11は柔軟に伸縮してシール状態を維持することができる。
しかも、ラバーブーツ11は、後端リング12でスリーブLPに固定されるとともに前端リング13で配管SPに固定されており、面ファスナー19で円錐形に形成されている。このため、メンテナンスなどの必要によりシール装置10を簡単に分解することもできる。
特開昭61−175374号公報
上述のようなシール装置10は、地震などによりスリーブLPに対して配管SPが前後左右上下に変位しても対応できるように、ラバーシートで円錐状にラバーブーツ11を形成している。
しかしながら、台風や津波などにより、想定外の圧力がスリーブLPの内部に作用した場合、図15に示すように、このスリーブLPの内圧によりラバーブーツ11は膨張することになる。すると、このラバーブーツ11の面ファスナー19が剥離して、シール状態が破壊されることがある。このように面ファスナー19が剥離してラバーブーツ11によるシール状態が破壊されると、たとえば、原子力発電所などでは大惨事の原因ともなる。
なお、上述のような面ファスナー19の剥離は、フックテープ13とループテープ14とで発生することもあるが、図16に示すように、接着剤15,17とラバーブーツ11とで発生することもある。
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、ラバーブーツなどの弾性部材のシール状態を維持することができるシール装置、その保持部材および弾性部材、を提供するものである。
上述のような課題を解決するため、本発明のシール装置は、壁体の一方側から他方側まで貫通されている筒状部材と、前記筒状部材の内部に挿通されている配管と、の間隙をシールするシール装置であって、シート状に形成されていて前記筒状部材の他方側の端部開口と前記配管の外周面とを周方向の全域にわたって接続している弾性部材と、弾性部材の他方側の外面の少なくとも一部を保持する保持部材と、を有し、保持部材は弾性部材の外周面の全域を覆うカバー部材を有し、前記カバー部材の後端は前記弾性部材の後端よりも後方側に設けられており、カバー部材は弾性部材よりも伸縮性が低く、前記カバー部材と前記弾性部材との間に空間が形成されている
したがって、このシール装置では、壁体に一方側から他方側まで貫通されている筒状部材の内部に配管が挿通されており、弾性部材は、筒状部材の他方側の端部開口と配管の外周面とを周方向の全域にわたって接続している。保持部材は、弾性部材の他方側の外面の少なくとも一部を保持する。このため、壁体の筒状部材に装着されている筒状部材に配管が挿通されて弾性部材によりシールされているので、配管が前後左右上下などに変位してもシール状態を維持することができる。ただし、このような弾性部材は、たとえば、津波などにより壁体の一方側から筒状部材の内圧が急激に増加すると、他方側に膨張しようとする。しかしながら、この弾性部材の他方側の外面の少なくとも一部を保持部材が保持して膨張を抑制するので、この膨張による弾性部材の破損などを防止することができる。
上述のようなシール装置において、さらなる発明としては、前記配管と前記筒状部材とは、円管状に形成されており、前記弾性部材は、前記筒状部材の他方側の開口端部から前記配管の外周面まで前記他方側に先細の円錐状に形成されており、前記保持部材は、前記弾性部材の他方側の円錐状の外周面上に位置している。
したがって、このシール装置では、円管状に形成されている配管と筒状部材との間隙が、筒状部材の他方側の開口端部から配管の外周面まで他方側に先細の円錐状に形成されている弾性部材でシールされている。このような弾性部材の他方側の円錐状の外周面上に保持部材が位置しているので、この円錐状の保持部材で円錐状の弾性部材の他方側への膨張を抑制することができる。
上述のようなシール装置において、さらなる発明としては、前記筒状部材と前記配管とに巻回されて相対する前記弾性部材の両縁部の一方に接着されている面ファスナーのループシートと、前記筒状部材と前記配管とに巻回されて相対する前記弾性部材の両縁部の他方に接着されている前記面ファスナーのフックシートと、前記弾性部材の一縁部と前記ループシートとを縫合しているとともに他縁部と前記フックシートとを縫合している縫合糸とを、さらに有している。
したがって、このシール装置では、筒状部材の開口端部と配管の外周面とに周面方向に、弾性部材が巻回されており、筒状部材と配管とに巻回されて相対する弾性部材の両縁部が、面ファスナーのループシートとフックシートとで接合されている。このため、筒状部材と配管とに弾性部材が面ファスナーにより着脱される。そして、この面ファスナーのループシートとフックシートとが、弾性部材の一縁部と他縁部とに個々に縫合糸で縫合されている。このため、弾性部材の一縁部に接着されているループシートが剥離することや、他縁部に接着されているフックシートが剥離することが、縫合糸による縫合で防止されている。
なお、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素を一個の部材として形成していること、一つの構成要素を複数の部材で形成していること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
本発明のシール装置では、壁体の筒状部材に装着されている筒状部材に配管が挿通されて弾性部材によりシールされているので、配管が前後左右上下などに変位してもシール状態を維持することができる。ただし、このような弾性部材は、たとえば、津波などにより壁体の一方側から筒状部材の内圧が急激に増加すると、他方側に膨張しようとする。しかしながら、この弾性部材の他方側の外面の少なくとも一部を保持部材が保持して膨張を抑制するので、この膨張による弾性部材の破損などを防止してシール状態を維持することができる。
上述のようなシール装置において、さらなる発明としては、円管状に形成されている配管と筒状部材との間隙が、筒状部材の他方側の開口端部から配管の外周面まで他方側に先細の円錐状に形成されている弾性部材によりシールされている。このような弾性部材の他方側の円錐状の外周面上に保持部材が位置しているので、この円錐状の保持部材で円錐状の弾性部材の他方側への膨張を抑制することができる。したがって、この弾性部材の膨張による破損などを防止してシール状態を維持することができる。
上述のようなシール装置において、さらなる発明としては、シール装置では、筒状部材の開口端部と配管の外周面とに周面方向に、弾性部材が巻回されており、筒状部材と配管とに巻回されて相対する弾性部材の両縁部が、面ファスナーのループシートとフックシートとで接合されている。このため、筒状部材と配管とに弾性部材を面ファスナーにより簡単に着脱することができる。そして、この面ファスナーのループシートとフックシートとが、弾性部材の一縁部と他縁部とに個々に縫合糸で縫合されている。このため、弾性部材の一縁部に接着されているループシートが剥離することや、他縁部に接着されているフックシートが剥離することを、縫合糸による縫合で防止することができる。
本発明の実施の形態におけるシール装置の内部構造を示す模式的な縦断側面図である。 本発明の実施の形態におけるシール装置の組立構造を示す模式的な分解縦断側面図である。 本発明の実施の形態におけるシール装置の組立構造を示す模式的な分解側面図である。 本発明の実施の形態におけるシール装置の組立構造を示す模式的な分解側面図である。 本発明の実施の形態におけるシール装置の弾性部材であるラバーブーツを展開した状態を示す模式的な側面図である。 本発明の実施の形態におけるシール装置の保持部材であるブーツカバーを展開した状態を示す模式的な側面図である。 本発明の実施の形態におけるシール装置のラバーブーツの相対する両縁部を面ファスナーと縫合糸とで接合する工程を示す模式的な縦断正面図である。 本発明の実施の形態におけるシール装置の保持部材が円環状の変形例の組立構造を示す模式的な分解側面図である。 本発明の実施の形態におけるシール装置の保持部材がメッシュ状の変形例の組立構造を示す模式的な分解側面図である。 本発明の実施の形態におけるシール装置のラバーブーツが固定されていない変形例の組立構造を示す模式的な分解側面図である。 本発明の実施の形態におけるシール装置のラバーブーツが後端部のみで固定されている変形例の組立構造を示す模式的な分解側面図である。 一従来例におけるシール装置の内部構造を示す模式的な縦断側面図である。 一従来例におけるシール装置のラバーブーツの構造を示す模式的な二面図である。 一従来例におけるシール装置のラバーブーツの両縁部が面ファスナーにより接合されている部分の構造を示す模式的な縦断正面図である。 一従来例におけるシール装置のラバーブーツが内圧により膨張した状態を示す模式的な縦断側面図である。 一従来例におけるシール装置のラバーブーツの接合されている両縁部の面ファスナーが剥離した状態を示す模式的な縦断正面図である。
つぎに、本発明の実施の一形態に関して図1ないし図6を参照して以下に説明する。なお、図1は、本実施の形態のシール装置の内部構造を示す模式的な縦断側面図、図2は、シール装置の組立構造を示す模式的な分解縦断側面図、図3および図4は、シール装置の組立構造を示す模式的な分解側面図、図5は、シール装置の弾性部材であるラバーブーツを展開した状態を示す模式的な側面図、図6は、シール装置の保持部材であるブーツカバーを展開した状態を示す模式的な側面図、図7は、ラバーブーツの相対する両縁部を面ファスナーと縫合糸とで接合する工程を示す模式的な縦断正面図、である。
また、本実施の形態でも図示するように前後左右上下の方向を規定して説明する。しかしながら、これは構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定するものである。したがって、本発明を実施する製品の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
本実施の形態のシール装置100も、図1ないし図4に示すように、壁体WLの一方側である後方側から他方側である前方側まで貫通されているスリーブLPである大径のスリーブLPと、このスリーブLPの内部に挿通されている小径の配管SPと、の間隙をシールしている。このため、本実施の形態のシール装置100は、弾性部材であるラバーブーツ110と、後端リング120と、前端リング160と、保持部材の一部であるブーツカバー130と、保持部材の円環部材である内側リング140と、保持部材の円環部材である外側リング150と、を有している。
ラバーブーツ110は、ラバーシートで形成されており、スリーブLPの前方側の端部開口と配管SPの外周面とを周方向の全域にわたって接続している。より具体的には、配管SPとスリーブLPとは、円管状に形成されており、ラバーブーツ110は、スリーブLPの前方側の開口端部から配管SPの外周面まで前方側に先細の円錐状に形成されている。
このような円錐状のラバーブーツ110は、図5に示すように、扇状のラバーシート111を、図1ないし図4に示すように、配管SPとスリーブLPとに巻回することで形成されている。このように配管SPとスリーブLPとに巻回することで相対するラバーブーツ110の両縁部は、図3および図4に示すように、面ファスナー112で接合されている。この面ファスナー112は、図5に示すように、一組のフックテープ113とループテープ114からなる。なお、後端リング120は、たとえば、大径の金属リングで形成されており、図1および図4に示すように、ラバーブーツ110の後端部をスリーブLPの外周面上に圧着させて固定している。
本実施の形態のシール装置100も、上述の構成は従来のシール装置10と同様である。しかしながら、本実施の形態のシール装置100は、従来のシール装置10とは相違して、ブーツカバー130を有している。このブーツカバー130も、ラバーブーツ110と同様に、スリーブLPの前方側の開口端部から配管SPの外周面まで前方側に先細の円錐状に形成されており、ラバーブーツ110の前方側の円錐状の外周面上に位置している。
このため、ブーツカバー130も、図6に示すように、帆布などのラバーシート111に比較して湾曲自在かつ伸縮不能な、シート状の扇状のカバー本体131を有しており、このカバー本体131がラバーブーツ110の外周面上に円錐状に巻回される。カバー本体131の両縁部には、たとえば、接合機構である緊密ファスナー132が装着されており、この緊密ファスナー132が、上述のように巻回されて相対するカバー本体131の両縁部を開閉自在に接合している。このようなブーツカバー130のカバー本体131は、図1ないし図4に示すように、円環部材である内側リング140および外側リング150により、スリーブLPの前端部の外周面上に装着されている。
より具体的には、図4に示すように、スリーブLPの前端部の外周面上に、ラバーブーツ110が装着されている部分より後方側で、内側リング140が接着や溶接などにより固定されており、この内側リング140の外周面と外側リング150の内周面とで、カバー本体131の後端部が圧着されて固定されている。そして、上述のように後端部がスリーブLPの外周面上に固定されているラバーブーツ110およびブーツカバー130は、図1に示すように、前端リング160により配管SPの外周面上に共締めされて固定されている。
上述のような構成において、本実施の形態のシール装置100も、地震などによりスリーブLPに対して配管SPが前後左右上下に変位しても対応できるように、ラバーシートで円錐状にラバーブーツ110を形成している。しかしながら、台風や津波などにより、想定外の圧力がスリーブLPの内部に作用した場合、このスリーブLPの内圧によりラバーブーツ110は膨張しようとする。
しかしながら、本実施の形態のシール装置100では、ラバーブーツ110の前方側の円錐状の外面を円錐状の内面で保持するブーツカバー130が、ラバーブーツ110の前方側の外周面上に位置している。このブーツカバー130は、ラバーブーツ110と同様に湾曲自在であるが、ラバーブーツ110とは相違して、伸縮不能な帆布などにより形成されている。
このため、ブーツカバー130は、スリーブLPの内圧の増加による、ラバーブーツ110の変形(膨張)を抑制する。したがって、本実施の形態のシール装置100では、ラバーブーツ110の膨張による面ファスナー112の剥離などの破損を防止して、ラバーブーツ110によるシール状態を維持することができる。とくに、円錐状のラバーブーツ110の前方側の外面の全域を円錐状のブーツカバー130の内面で保持するので、この保持によりラバーブーツ110の膨張を確実に抑制することができる。
しかも、本実施の形態のシール装置100では、湾曲自在かつ伸縮不能なシート状のカバー本体131が、ラバーブーツ110の外周面上に円錐状に巻回されており、このように巻回されて相対するカバー本体131の両縁部を緊密ファスナー132が接合している。このため、円錐状のラバーブーツ110の外周面上に、円錐状の伸縮不能なブーツカバー130が位置するので、このブーツカバー130でラバーブーツ110の膨張を抑制することができる。
さらには、本実施の形態のシール装置100では、ラバーブーツ110が装着されている部分より後方側でスリーブLPの外周面上に装着されている内側リング140および外側リング150により、カバー本体131の後端部が固定されている。このため、スリーブLPとラバーブーツ110との装着を阻害することなく、カバー本体131をスリーブLPに装着することができる。
また、本実施の形態のシール装置100では、ラバーブーツ110およびブーツカバー130の前端部を、配管SPの外周面上に、一個の前側リング160で共締めしている。このため、本実施の形態のシール装置100では、ラバーブーツ110およびブーツカバー130の前端部を配管SPの外周面上に、一個の前側リング160による簡単な構造で圧着させて固定することができる。
さらには、本実施の形態のシール装置100では、ブーツカバー130は帆布などの湾曲自在かつ伸縮不能なシート状のカバー本体131で形成されている。このため、ブーツカバー130の前端部はラバーブーツ110の前端部とともに配管SPの外周面上に固定されているが、配管SPがスリーブLPの内部を前後左右上下に変位することを許容できる。
しかも、スリーブLPと配管SPとに巻回されて相対するラバーブーツ110の両縁部は面ファスナー112で接合されており、ブーツカバー130の両縁部は緊密ファスナー132で接合されている。このため、スリーブLPと配管SPとに巻回されて固定されているブーツカバー130とラバーブーツ110とを簡単に脱着することができ、メンテナンス作業などを容易に実行することができる。
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。たとえば、上記形態では従来と同様に、配管SPとスリーブLPとに巻回することで相対するラバーブーツ110の両縁部を面ファスナー112で接合することのみ例示した。
しかしながら、図7に示すように、配管SPとスリーブLPとに巻回することで相対するラバーブーツ110の一縁部に接着した面ファスナー112のフックシート116を、縫合糸119で縫合するとともに、他縁部に接着したループシート118も、縫合糸119で縫合してもよい。この場合、ラバーブーツ110の一縁部に接着したフックシート116が剥離することを、縫合糸119による縫合で防止することができるとともに、他縁部に接着したループシート118が剥離することも、縫合糸119による縫合で防止することができる。したがって、たとえば、台風や津波などにより想定外の圧力がスリーブLPの内部に作用しても、ラバーブーツ110の膨張による面ファスナー112の剥離などを良好に防止することができる。
この場合、面ファスナー112のフックテープ113の接着剤115とフックシート116との剥離、その接着剤115とラバーブーツ110のラバーシート111との剥離、ループテープ14のループシート18と接着剤17との剥離、その接着剤17とラバーブーツ110のラバーシート111との剥離、を防止することができる。
また、上記形態ではブーツカバー130が、湾曲自在かつ伸縮不能な帆布などにより形成されていることを例示した。しかしながら、ブーツカバーがラバーブーツ110に比較して充分に高剛性な、金属やエンジニアリングプラスチックなどの剛体で形成されていてもよい(図示せず)。その場合、配管SPがスリーブLPの内部を自在に変位できるように、ブーツカバーの前端開口の内周面は、配管SPの外周面から離反していることが好適である。
さらには、上記形態ではブーツカバー130が、円錐状のラバーブーツ110と相似形の円錐状に形成されていることを例示した。しかしながら、図8に例示するシール装置200のように、円錐状のラバーブーツ110の外周面上に、単純な円環状の保持部材210が配置されていてもよい。このような保持部材210は、ラバーブーツ110の弾性により外周面上に保持されていてもよく、接着剤や粘着材によりラバーブーツ110の外周面上に固着されていてもよく、後端リング120から延設されているアーム(図示せず)によりラバーブーツ110の外周面上に支持されていてもよい。なお、当然ながら、直径が相違する複数の円環状の保持部材がラバーブーツ110の外周面上に配置されていてもよい(図示せず)。
また、図9に例示するシール装置300のように、円錐状のラバーブーツ110の外周面上に、複数の線材でメッシュ状の円錐状に形成されている保持部材310が配置されていてもよい。なお、上述した保持部材210,310なども、ラバーブーツ110より高剛性の弾性材で形成されていてもよく、金属などの剛体で形成されていてもよい。
さらに、上記形態ではブーツカバー130のカバー本体131の後端部が内側リング140と外側リング150とで固定されているとともに、前端部が前側リング160で固定されていることを例示した。しかしながら、図10に例示するシール装置400のように、ブーツカバー410のカバー本体131が固定されることなくラバーブーツ110の外周面上に位置してもよい。
また、図11に例示するシール装置500のように、ブーツカバー410のカバー本体131が後端部のみ内側リング140と外側リング150とで固定されており、前端部は前側リング160で固定されていなくともよい。さらに、ブーツカバーのカバー本体が前端部のみ前側リング160で固定されており、後端部は固定されていなくともよい(図示せず)。
また、上記形態ではラバーブーツ110およびブーツカバー130が円錐状に形成されていることを例示した。しかしながら、弾性部材が円錐形ではなく円環形の円盤状に形成されており、保持部材も円環形の円盤状に形成されていてもよい(図示せず)。
さらには、上記形態ではスリーブLPおよび配管SPが円管状に形成されており、ラバーブーツ110およびブーツカバー130が円錐状に形成されていることを例示した。しかしながら、筒状部材および配管が角管状などに形成されており、弾性部材および保持部材が角錐状などに形成されていてもよい(図示せず)。
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
100,200,300 シール装置
110 弾性部材であるラバーブーツ
130 保持部材であるブーツカバー
210,310 保持部材

Claims (3)

  1. 壁体の一方側から他方側まで貫通されている筒状部材と、前記筒状部材の内部に挿通されている配管と、の間隙をシールするシール装置であって、
    シート状に形成されていて前記筒状部材の他方側の端部開口と前記配管の外周面とを周方向の全域にわたって接続している弾性部材と、
    前記弾性部材の前記他方側の外面の少なくとも一部を保持する保持部材と、を有し、
    前記保持部材は前記弾性部材の外周面の全域を覆うカバー部材を有し、
    前記カバー部材の後端は前記弾性部材の後端よりも後方側に設けられており、
    前記カバー部材は前記弾性部材よりも伸縮性が低く、
    前記カバー部材と前記弾性部材との間に空間が形成されていることを特徴とするシール装置。
  2. 前記配管と前記筒状部材とは、円管状に形成されており、
    前記弾性部材は、前記筒状部材の他方側の開口端部から前記配管の外周面まで前記他方側に先細の円錐状に形成されており、
    前記保持部材は、前記弾性部材の他方側の円錐状の外周面上に位置している、
    請求項1に記載のシール装置。
  3. 前記筒状部材と前記配管とに巻回されて相対する前記弾性部材の両縁部の一方に接着されている面ファスナーのループテープと、
    前記筒状部材と前記配管とに巻回されて相対する前記弾性部材の両縁部の他方に接着されている前記面ファスナーのフックテープと、
    前記弾性部材の一縁部と前記ループテープとを縫合しているとともに他縁部と前記フックテープとを縫合している縫合糸とを、さらに有している、
    請求項1または2に記載のシール装置。
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