JP6264200B2 - 簡易舗装材料 - Google Patents
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Description
これは、高炉水砕スラグの細粒化に伴い水硬性が大幅に向上するため、簡易舗装材料の製造後、時間の経過とともに固結反応が進んでしまい、いざ舗装体を施工しても、その後の固結が不十分となるためである。
本発明の課題は、簡易舗装材料を製造した後、30日経過した後に簡易舗装体を施工しても強度が発現できる簡易舗装材料を提供することである。
本発明は、かかる知見に基づくものであり、以下を要旨とするものである。
<1> 高炉水砕スラグと、粒径が40mm以下の製鋼スラグとを、全量に対する前記高炉水砕スラグの含有量が5質量%以上60質量%以下となるように混合してなる簡易舗装材料であって、
高炉水砕スラグの強熱減量X(%)と比表面積Y(cm2/g)が下記の式(1)、(2)の関係を満たすことを特徴とする簡易舗装材料。
<3> 簡易舗装材料を製造後30日経過後に地盤に敷設し散水した後に転圧して形成した簡易舗装体の28日後の強度CBRが60%以上となることを特徴とする<1>又は<2>に記載の簡易舗装材料。
本発明に係る簡易舗装材料は、一定期間大気暴露処理した高炉水砕スラグと、粒径が40mm以下の製鋼スラグから成る。製鋼スラグに高炉水砕スラグを混合すると製鋼スラグのアルカリに刺激され、水硬性を有する高炉水砕スラグが水和物を生成し、強度の強い簡易舗装材料となる。当該簡易舗装材料は、林道や駐車場などの施工に利用されている。
高炉水砕スラグは、2週間以上1年以下の大気暴露処理の後、製鋼スラグと混合して簡易舗装材料を製造する。簡易舗装材料は、ヤードでのストック、運搬の後、施工現場で、打設し、養生後、駐車場等の簡易舗装体となる。
高炉水砕スラグは、高炉で発生するスラグを急速に水冷することにより製造される。通常高炉水砕スラグは水硬性を発揮させるため、製造後1週間以内に使用され、大気中で暴露させる大気暴露処理はされない。本発明者らは、高炉水砕スラグを大気暴露処理することにより「細粒化」と「表面からの不活性化」が起こることを見出した。
ここで、比表面積は、JIS R5201:1997「セメントの物理試験方法」に記載されている方法を用い、高炉セメント(A種、B種、C種)に準拠して測定した。但し、100,000(cm2/g)を超えた場合は、JIS Z8830:2013(ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法)によった。JIS R5201の測定装置の測定範囲が100〜100,000cm2/g であるためである。
本発明者等は、高炉水砕スラグの大気暴露処理による「細粒化」と「表面からの不活性化」という特性を見出し、施工前は、高炉水砕スラグの表面に不活性層を生成させることで製鋼スラグと混合しても固結反応が進行しにくく簡易舗装材料とした後の保存性を確保でき、施工後は、高炉水砕スラグ粒の表面の不活性層が簡易舗装体の施工時の打設で破壊されることで、固結反応が進み強度を発現させることができると考えた。
製造直後の打設、製造後30日の打設のいずれにおいても簡易舗装体の強度CBR(%)が60%以上を確保できたのは、下記の式(1)と式(2)の関係を満たす範囲の高炉水砕スラグであった(○印)。
図4に高炉水砕スラグの大気暴露処理を行った期間と簡易舗装体の強度(以下、CBR(%)と記す。)の関係を示す。材料1と材料2を対象に、製造直後に打設した場合と製造30日後に打設した場合の結果である。
材料1は、製鋼スラグ(80質量%),高炉水砕スラグ(20質量%)であり、材料2は、製鋼スラグ(77質量%),高炉水砕スラグ(19質量%),高炉水砕微粉末(4質量%)であり、高炉水砕微粉末を配合して、活性化を図ったものである。ここで、高炉水砕微粉末は、高炉水砕スラグを0.1mm以下に粉砕したものである。
施工は、敷厚100mm,振動ローラー6回走行,散水量は材料重量の8質量% で行った。
ここで、製造とは、製鋼スラグと高炉水砕スラグ混合し、簡易舗装材料を製造することをいう。また、CBR60%は、簡易舗装体が必要とする最低の強度である。好ましくは、製造後1ヵ月〜6ヵ月の大気暴露処理を行うこととする。
高炉水砕スラグの大気暴露処理期間が1年を超えると強度の発現がなくなるのは、大気暴露処理期間が長くなり過ぎると、高炉水砕スラグ粒は微粒になり、高炉水砕スラグ粒の内部まで不活性化し、水硬性が失われることが原因であると考えられる。
なお、前述した強熱減量と比表面積を得られる条件であれば、大気暴露処理の代わりに蒸気を加えて反応を促進させる蒸気エージング処理を行っても構わない。
なお、後述する実施例で示す通り、高炉水砕微粉末は2質量%以下であれば、保存性への影響が小さく、添加することができることが分かった。
簡易舗装材料に含ませる高炉水砕スラグ量について検討した。
図5に簡易舗装体の高炉水砕スラグ含有量とCBR(%)の関係を示す。施工は、敷厚100mm,振動ローラー6回走行,散水量は材料重量の8質量%で行った。CBR(%)は、キャスポル(簡易支持力測定器,近畿地方整備局開発品) により、打設後、28日目に測定したものである。
高炉水砕スラグの含有量が5質量%以上60質量%以下で、簡易舗装体のCBRが60%以上を確保できた。好ましくは、20質量%以上40質量%以下とする。
No.6は高炉水砕スラグの大気暴露処理を実施していないため、比表面積が小さく、強熱減量も小さいため、強度が得られなかった。
No.7は高炉水砕スラグの大気暴露処理期間が長すぎるものであり、比表面積は大きいが、強熱減量も大きく不活性化が進んでおり、製造後5日、製造後30日経過後ともに強度が得られなかった。
No.8は高炉水砕スラグの配合率が高すぎるものであり、骨材としての製鋼スラグが少なすぎるため、強度が得られなかった。
No.9は高炉水砕微粉末を多量に配合しているため、空隙の充填、水硬性の向上により、製造直後に打設した簡易舗装体は強度が出ているものの、製造後30日経過して打設したものは強度が得られなかった。
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