JP6263856B2 - 印刷装置 - Google Patents
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Description
このような構成の印刷装置は、加熱機構にて記録媒体が加熱されると、記録媒体上のインク中の水分等が蒸気となって筐体内に滞留し、筐体の内部が結露してしまうことがあった。その結果、印刷後の記録媒体を濡らしてしまうという問題があった。
本発明の印刷装置は、記録媒体を搬送する搬送手段と、該搬送手段の作動により搬送された前記記録媒体上に液滴吐出ヘッドによりインクを吐出して印刷する印刷部とを有する装置本体と、
前記装置本体に対し、前記記録媒体の搬送方向下流側に、加熱ユニットとを有し、
前記加熱ユニットは、印刷後の前記記録媒体が通過する媒体通路と、該媒体通路の途中に設けられ、熱を発してその熱によって前記印刷後の前記記録媒体を加熱する発熱体を有する加熱手段と、該媒体通路内の空気を強制的に排気する排気手段と、前記加熱手段と前記媒体通路との間に設けられたメッシュ状のカバー部材と、を備え、
前記排気手段は、前記媒体通路に連通し、前記媒体通路の空気を吸引する吸気口と、前記吸気口と異なる位置に設けられ、前記吸気口を介して吸引された空気を排気する排気口とを有し、前記媒体通路と独立した空気通路に設けられており、
前記加熱手段は、印刷面側から前記記録媒体に接触せずに前記記録媒体に対して赤外線を照射し、
前記装置本体は、前記記録媒体の搬送方向に沿って送風する送風用ファンを有し、
前記送風用ファンによる風は、前記媒体通路に送り出されることを特徴とする。
これにより、媒体通路内の、記録媒体上のインクから蒸発した水分等を含む空気を、強制的に排気することができ、よって、媒体通路内に結露が発生するのを防止することができる。
また、媒体通路内の空気を、吸気口を介して空気通路内により確実に吸引し、吸引した空気を、排気口を介して外部へとより確実に排出することができる。
これにより、媒体通路内では、記録媒体が配送される方向と媒体通路内の空気が流れる方向とが互いに反対方向となり、よって、記録媒体上のインクを、効率よく乾燥させることができる。
また、本発明の印刷装置では、前記排気手段は、前記空気通路の途中に設けられ、前記吸気口側から前記排気口側に向けて気流を生じさせるファンを有しているのが好ましい。
これにより、吸気口を介して、媒体通路内の空気を強制的に空気通路内に吸引し、吸引した空気を、排出口を介して外部へ強制的に排気することができる。
これにより、吸気口より吸引した媒体通路内の空気と補助吸気口を介して吸引した外部の空気とが混在した空気が空気通路内を通過し、よって、加熱手段により加熱ユニットの外表面が加熱されるのを抑制することができる。
また、本発明の印刷装置では、前記媒体通路と前記空気通路とは並設しており、前記発熱体は、前記空気通路側に偏在しているのが好ましい。
これにより、媒体通路を通過する記録媒体の印刷面側に赤外線を照射することができ、よって、記録媒体上のインク中の樹脂成分を硬化(固化)することができる。
これにより、記録媒体が排出口から排出される際に、漸増部に臨む湾曲部に沿って記録媒体が排出されるため、記録媒体に不本意な屈曲が生じるのを防ぐことができる。
これにより、例えば、記録媒体が加熱される過程で反り返り、その状態のまま排出されそうな場合であっても、この反りが矯正されるため、記録媒体は、排出口から円滑に排出される。
これにより、記録媒体の排出時に、記録媒体が媒体通路に張り付くことを防ぐことができ、記録媒体を円滑に排出することができる。
これにより、記録媒体の排出時に、記録媒体が媒体通路に張り付くことを防ぐことができる。
また、本発明の印刷装置では、前記媒体通路は、水平方向に対して傾斜しているのが好ましい。
これにより、傾斜方向に沿って記録媒体が、排出口へと円滑に滑り落ちていくことができる。
このような構成のインクは、加熱ユニット内で、インク中の水分等が蒸気となることによる結露を発生しやすいが、本発明の印刷装置を用いることにより、結露の発生をより確実に防止することができる。
<印刷装置>
図1は、本発明の印刷装置の斜視図、図2は、図1中のA−A線断面図(概略横断面図)、図3は、本発明の印刷装置の加熱ユニットの分解側面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1〜図3において、互いに直交する3つの軸として、x軸、y軸およびz軸を図示している。x軸は、水平方向のうちの一方向(印刷装置の幅(奥行き)方向)に沿った軸であり、y軸は、水平方向であって前記x軸に対し垂直な方向(印刷装置の長手方向)に沿った軸であり、z軸は、鉛直方向(上下方向)に沿った軸である。また、図示した各矢印の先端側を「正側(+側)」、基端側を「負側(−側)」とする。また、図1〜図3中の上側を「上(上方)」と言い、下側を「下(下方)」と言う。
前述したように、印刷装置1は、装置本体2と、脚部(スタンド)3と、加熱ユニット4とを備えている(図1参照)。
筐体29は、搬送手段21と、プリヒーター25と、印刷部11とを一括して収納する箱状の部材である。また、この筐体29(装置本体2)の外形形状は、y軸方向に沿った長尺状をなしている。
当接面251は、アーチ状に湾曲面で構成されている。記録媒体100は、搬送手段21により搬送される途中で、当接面251に当接する。このとき、発熱体253からの熱が当接面251を介して記録媒体100に伝達する。これにより、記録媒体100を加熱することができる。なお、加熱時の記録媒体100の表面温度は、例えば、45度以上55度以下なるのが好ましく、但し耐熱温度が高いメディアの乾燥性については60度以上70度以下となるのがより好ましい。
また、ハウジング252の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金、または、ステンレス鋼等を用いることができる。
発熱体253は、通電により発熱するものであり、例えば、ニクロム線等の比較的電気抵抗が高い金属材料で構成されている。
プリヒーター25に対し搬送方向下流側には、プラテン24が配置されている。プラテン24は、板部材で構成され、記録媒体100にインクが付与されるときに、当該記録媒体100をその下側から支持するものである。このプラテン24は、例えば、ハウジング252の構成材料と同じ材料で構成することができる。
また、プラテン24には、その上面241に開口する多数の開口部(図示せず)が形成されている。これらの開口部は、プラテン24の面方向に沿って行列状に配置されているのが好ましい。
なお、吸引用ファン28としては、特に限定されず、例えば、多翼ファン(シロッコファン)等の各種ファンを用いることができる。
また、液滴吐出ヘッド23の前記各ノズル口は、それぞれ、チューブ231を介して、インクセット(カートリッジ)と連通している。これにより、インクを各ノズル口に供給して、記録媒体100に印刷を施すことができる。これにより、記録媒体100は、その表面側に印刷面111を有する片面印刷のものとなる。
乾燥ヒーター26は、y軸方向に沿って配置された管体261と、管体261内を挿通して配置された発熱体262とを有している。
発熱体262は、通電により発熱するものであり、例えば、ニクロム線等のような電熱線で構成されている。そして、発熱体262が発熱することにより、管体261が加熱されて、赤外線が照射される。これにより、インク中の水分等を確実に蒸発させることができ、よって、インクを乾燥させることができる。なお、管体261が加熱された際の加熱温度は、例えば、200度以上400度以下であるのが好ましく、250度以上350度以下であるのがより好ましい。
なお、発熱体262により加熱された記録媒体100の表面温度は、例えば、40度以上60度以下となるのが好ましく、50度以下となるのがより好ましい。
なお、送風用ファン27としては、吸引用ファン28と同様に、例えば、多翼ファン等の各種ファンを用いることができる。
フレーム部31は、複数本の棒状の部材311同士を適宜連結、固定して組み立てた組立体である。
各キャスター32は、フレーム部31の下部に、互いに離間して配置、固定されている。これにより、印刷装置1を搬送することができる。
図2、図3に示すように、加熱ユニット4は、筐体(ハウジング)5と、加熱手段7と、排気手段8とを有している。
図3に示すように、筐体5は、上側外装51と、上側外装51の下方に設けられた下側外装52とを有する。
上側板53と下側板54とで囲まれた空間55aは、印刷後の記録媒体100が通過する媒体通路6として機能する。また、上側板53と上側外装51とで囲まれた空間55bは、排気手段8によって強制的に排出される媒体通路6内の空気G1が通過する空気通路81として機能する。そして、下側板54と下側外装52とで囲まれた空間55cは、煙探知機91等の電子機器を収納する収納空間9として機能する。
なお、筐体5の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金、または、ステンレス鋼等を用いることができる。
図3に示すように、媒体通路6は、印刷後の記録媒体100が、図3中の矢印A方向に通過するものである。媒体通路6は、その搬送方向下流側の部分に、記録媒体100が排出される排出口61を有している。また、媒体通路6は、水平方向に対して傾斜している。排出口61は、傾斜方向下側に位置している。このように媒体通路6が傾斜していることにより、傾斜方向に沿って記録媒体100が、排出口61へと円滑に滑り落ちていくことができる。
なお、本実施形態では、図3に示すように、シート部材542は、下側板54の湾曲部541よりも搬送方向上流側の部分にも延在している。前記凹凸は、このシート部材542の延在した部分にも形成されていることが好ましい。これにより、記録媒体100の排出口付近の張り付きを、広範囲で防ぐことができる。
なお、凹凸の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、エンボス加工、梨地加工等が挙げられる。
図3に示すように、加熱手段7は、y軸方向に沿って配置された管体72と、管体72内に挿入された発熱体71と、管体72を支持する支持体73とを有している。
管体72は、金属材料で構成され、特に鉄で構成されているのが好ましい。なお、管体72のy軸方向に沿った全長は、記録媒体100のy軸方向に沿った幅よりも十分に長いのが好ましい。これにより、管体72の下方を通過する記録媒体100上にインク全体に向けて赤外線を確実に照射することができる。
支持体73は、管体72を、その上側から支持しており、凹部532に連結している。
また、前述した乾燥ヒーター26による加熱とは別に、このような構成の加熱手段7を設けることにより、乾燥ヒーター26にて、乾燥しきれなかったインク中の水分等を確実に蒸発させることができる。その結果、記録媒体100上のインクを確実に乾燥させることができる。
また、記録媒体100の表面温度の検出は、例えば赤外線センサー(IRセンサー)を用いることにより可能である。さらに、記録媒体100の表面温度が前記数値範囲に入るように設定するには、赤外線センサーの検出結果に基づいて、加熱手段7のON/OFFを適宜切り換えることにより可能である。
また、加熱ユニット4の内部のメンテナンス等を行う際に、作業者が発熱体71に直接接触するのを防止することができ、作業者が火傷を負うのを防止することができる。
なお、印刷後の記録媒体100の加熱には、片面印刷された記録媒体100の裏面110側から加熱する構造を採ることも考えられるが、この場合、インクの性質上、インクに膜が生じて、この膜でインク中の水分等の蒸発が阻害されるおそれがある。したがって、本実施形態のように記録媒体100の印刷面111側(表面側)から加熱する構造が好ましい。
排気手段8は、媒体通路6内の空気G1を強制的に排気するものである。図3に示すように、排気手段8は、空気通路81とファン82とを有している。
空気通路81は、強制的に排出される媒体通路6内の空気G1が通過するものである。前述したように、上側板53と上側外装51とで囲まれた空間55bで構成され、媒体通路6と独立している。空気通路81は、吸気口811と、排気口812と、補助吸気口813とを有している。
補助吸気口813は、外部の空気G2を空気通路81へと吸引するものである。補助吸気口813は、上側外装51の、吸気口811よりも傾斜方向上側に開口して設けられている。
また、ファン82は、吸気口811側から排気口812側に向けての気流を生じさせるものである。ファン82は、空気通路81の途中に配置されている。ファン82は、凹部532よりも傾斜方向下側に配置されているのが好ましい。
なお、ファン82としては、例えば、シロッコファンやターボファン等の遠心ファン、軸流ファン、斜流ファン等を用いることができる。
このような構成の排気手段8では、ファン82が作動(回転)することにより、媒体通路6内の空気G1は、吸気口811を介して空気通路81内へと強制的に吸引される。
ところで、上側外装51は、加熱手段7の伝熱により加熱されるが、空気G3により、その加熱が抑制される。なお、このときの上側外装51の表面温度としては、通常、100℃以下に抑えられるが、70℃以下であるのが好ましい。
また、前述したように湾曲部541には、凹凸が形成されている。印刷装置1(加熱ユニット4)では、空気G3’が記録媒体100の裏面110側に入り込むことと、湾曲部541に形成された凹凸とによる相乗効果により、記録媒体100の裏面側が、湾曲部541に張り付いてしまうことをより確実に防ぐことができる。
<インク>
まず、インクについて説明する。
本発明の印刷装置に適用されるインクとしては、特に限定されないが、例えば、着色剤、樹脂粒子、溶媒および非プロトン性極性溶媒を含有するものが好ましい。このような構成のインクを用いた場合には、前述したような本発明の印刷装置の効果が顕著に発揮される。
[着色剤]
インクは、着色剤を含有しているものが好ましい。
着色剤としては、顔料および染料が挙げられる。
(顔料)
顔料は、水に不溶または難溶であるだけでなく光やガス等に対しても退色しにくい性質を有する。そのため、顔料を用いたインクにより記録された記録物は、耐水性、耐ガス性、耐光性、および保存安定性が良好となる。
無機顔料としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン等が挙げられる。これらの中でも、発色性が良好であって、比重が小さいため分散時に沈降しにくいことから、カーボンブラックを用いるのが好ましい。
カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、およびチャンネルブラック(C.I.ピグメントブラック7)が挙げられる。また、カーボンブラックの市販品として、例えば、No.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(以上全て商品名、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250(以上全て商品名、デグサ社(Degussa AG)製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700(以上全て商品名、コロンビアカーボン社(Columbian Carbon Japan Ltd)製)、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12(以上全て商品名、キャボット社(Cabot Corporation)製)が挙げられる。
有機顔料は、発色性が良好であり、比重が小さく分散時に沈降しにくいことから、本発明に好適に用いることができる。
シアンインクに使用される有機顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15:34、16、18、22、60、65、66、C.I.バットブルー4、60が挙げられる。
マゼンタインクに使用される有機顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、254、264、C.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
なお、グリーンインクやオレンジインク等、上記以外の色のインクに用いられる顔料としては、従来公知のものが挙げられる。
顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が挙げられる。染料の具体例として、C.I.アシッドイエロー17、23、42、44、79、142、C.I.アシッドレッド52、80、82、249、254、289、C.I.アシッドブルー9、45、249、C.I.アシッドブラック1、2、24、94、C.I.フードブラック1、2、C.I.ダイレクトイエロー1、12、24、33、50、55、58、86、132、142、144、173、C.I.ダイレクトレッド1、4、9、80、81、225、227、C.I.ダイレクトブルー1、2、15、71、86、87、98、165、199、202、C.I.ダイレクドブラック19、38、51、71、154、168、171、195、C.I.リアクティブレッド14、32、55、79、249、C.I.リアクティブブラック3、4、35が挙げられる。
染料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
インクに含まれる着色剤の含有量は、0.1質量%以上7質量%以下であるのが好ましい。
インクは、樹脂粒子を含んでものが好ましい。インクが樹脂粒子を含有することにより、記録物の耐擦性を優れたものとすることができる。
樹脂粒子は、主として、バインダー樹脂で構成されている。
バインダー樹脂は、インクジェット記録において記録媒体100が加熱される際、樹脂被膜を形成することで、インクを記録媒体100上に十分定着させて記録物の耐擦性を良好にする効果を発揮する。
樹脂粒子は、エマルジョン状態のバインダー樹脂で構成されているのが好ましい。これにより、インクの粘度をインクジェット記録方式において適正な範囲に調整しやすく、かつ、インクの保存安定性および吐出安定性に優れたものとなる。
バインダー樹脂としては、特に限定されないが、熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。これにより、得られる記録物は、インク非吸収性および低吸収性の記録媒体100上で、耐擦性が一層優れたものとなる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味する。
当該調製方法としては、所望の樹脂を構成する成分の単量体中に重合触媒(重合開始剤)と分散剤とを混合して重合(乳化重合)する方法、親水性部分を持つ樹脂を水溶性有機溶剤に溶解させて得られる溶液を水中に混合した後に水溶性有機溶剤を蒸留等で除去する方法、および樹脂を非水溶性有機溶剤に溶解させて得られる溶液を分散剤と共に水溶液中に混合する方法が挙げられる。
樹脂粒子の平均粒径は、5nm以上400nm以下の範囲であるのが好ましく、20nm以上300nm以下の範囲であるのがより好ましい。これにより、インクの保存安定性および吐出安定性を一層良好にすることができる。
各インクに含まれ得るバインダー樹脂の含有量(固形分換算)は、0.5質量%以上5質量%以下の範囲であるのが好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下の範囲であるのがより好ましい。含有量が上記範囲内であると、耐擦性が一層優れたものとなる。
インクは、上述した着色剤、樹脂粒子等を溶解・分散する溶媒を含んでいるものが好ましい。
溶媒としては、上述した着色剤、樹脂粒子等を溶解・分散するものであれば、特に限定されないが、水を用いるのが好ましい。溶媒として、水を用いることにより、着色剤、樹脂粒子を良好に溶解・分散させることができ、インクの吐出安定性をさらに向上させることができる。また、吐出安定性が向上することから、より良好な画質の画像を形成することができる。
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加などによって滅菌した水を用いると、顔料分散液及びこれを用いたインクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる。
インクは、非プロトン性極性液体を含有しているものが好ましい。
非プロトン性極性液体は、インクに含まれる上述の樹脂粒子を溶解し、インクが記録媒体上で硬化して膜状になるのを補助する機能を有する成分である。すなわち、非プロトン性極性液体は、造膜助剤として機能する成分である。また、インクジェット記録の際にノズルの目詰まりを防止する成分でもある。
非プロトン性極性液体としては、特に限定されず、ピロリドン類、ラクトン類、スルホキシド類、イミダゾリジノン類、スルホラン類、尿素誘導体、ジアルキルアミド類、環状エーテル類、およびアミドエーテル類からなる群より選択される1種以上を用いることができる。これらの中でも、非プロトン性極性液体は、ピロリドン類であるのが好ましい。
上記ラクトン類の具体例としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、およびε−カプロラクトン等が挙げられる。
上記スルホキシド類の具体例としては、ジメチルスルホキシドおよびテトラメチレンスルホキシド等が挙げられる。
上記スルホラン類の具体例としては、スルホランおよびジメチルスルホラン等が挙げられる。
上記尿素誘導体の具体例としては、ジメチル尿素および1,1,3,3−テトラメチル尿素等が挙げられる。
上記環状エーテル類の具体例としては、1,4−ジオキサンおよびテトラヒドロフラン等が挙げられる。
また、上記アミドエーテル類としては、下記一般式(1)で示される溶剤等が挙げられる。
「炭素数1以上4以下のアルキル基」としては、直鎖状または分岐状のアルキル基であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
また、R1が炭素数1以上4以下のアルキル基の式(1)で示される溶剤は、インク組成物に適度な擬塑性を付与することができ、これによりインクの良好な吐出安定性を確保することができる。また、R1が炭素数1以上4以下のアルキル基の式(1)で示される溶剤は、特に樹脂溶解作用が強いため好ましい。
なお、式(1)で示される溶剤のHLB値とは、有機概念図における無極性値(I)と有機性値(O)との比(以下、単に「I/O値」ともいう)から下式により算出された値である。
HLB値=(無極性値(I)/有機性値(O))×10
これらの非プロトン性極性液体の中でも、記録媒体100に対する定着性が優れたものとなるため、ピロリドン類、ラクトン類、スルホキシド類、およびアミドエーテル類からなる群より選択される一種以上がより好ましい。
インク中に含まれる非プロトン性極性液体の含有量は、3質量%以上30質量%以下の範囲であるのが好ましく、8質量%以上20質量%以下の範囲であるのがより好ましい。
インクは、保湿剤を含有していてもよい。
保湿剤としては、特に限定されず、例えば、アルカンジオール、グリコールエーテル類等が挙げられる。
アルカンジオールとしては、例えば、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオールが挙げられる。
上記ポリアルキレングリコール類に含まれるアルキレングリコールモノエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
インク中には、ワックスが含まれていてもよい。ワックスは、形成された記録物の表面にスリップ性能を付与し耐擦性をより良好にする機能を有する。
ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス等が挙げられる。
(パラフィンワックス)
インクがパラフィンワックスを含有することにより、得られる記録物(画像)にスリップ性能が付与され、耐擦性を向上させることができる。なお、パラフィンワックスは、撥水性を有するため、記録物の耐水性を良好なものとすることができる。
インクは、パラフィンワックスをエマルジョン状態で含有するのが好ましい。これにより、インクの粘度をインクジェット記録方式において適正な範囲に調整しやすく、かつ、インクの保存安定性および吐出安定性を一層優れたものとすることができる。
エマルジョン状態のパラフィンワックスの平均粒径は、5nm以上400nm以下の範囲であるのが好ましく、50nm以上200nm以下の範囲であるのがより好ましい。これにより、安定なエマルジョン状態を維持することができる。また、インクの保存安定性および吐出安定性をさらに向上させることができる。
インクに含まれ得るパラフィンワックスの含有量(固形分換算)は、1.5質量%以下の範囲であるのが好ましく、0.25質量%以上0.75質量%以下の範囲であるのがより好ましい。
インクがポリオレフィンワックスを含有することにより、記録物の耐擦性を一層優れたものとすることができる。
ポリオレフィンワックスとしては、以下に限定されず、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンワックスが好ましい。
エマルジョン状態のポリオレフィンワックスの平均粒径は、5nm以上400nmの範囲であるのが好ましく、50nm以上200nm以下の範囲であるのがより好ましい。これにより、インクの保存安定性および吐出安定性をさらに向上させることができる。
なお、インクは、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス以外のワックスを含有してもよい。
インク中には、界面活性剤が含まれていてもよい。
界面活性剤としては、特に限定されないが、ノニオン系界面活性剤をもちいるのが好ましい。ノニオン系界面活性剤は、記録媒体100上でインクを均一に拡げる作用がある。そのため、ノニオン系界面活性剤を含むインクを用いてインクジェット記録を行った場合、滲みの殆ど無い高精細な画像が得られる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
インクに含まれ得る界面活性剤の含有量は、1.5質量%以下の範囲であればよい。
インクは、上記の成分に加えて、上記以外の有機溶剤、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、およびキレート化剤などをさらに含有してもよい。
<記録媒体100>
インクが付与される記録媒体100は、ロール状に巻回された状態で印刷装置1に装填される。この記録媒体100は、インク吸収性の記録媒体だけでなく、インク非吸収性および低吸収性の記録媒体を用いたインクジェット記録にも適したものである。
以上、本発明の印刷装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、印刷装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、排気手段は、本実施形態では、ファンを有しているが、これに限定されず、ファンに変えてブロア等を用いてもよい。
31……フレーム部 311……部材 32……キャスター 33……アジャスターフット(固定具) 4……加熱ユニット 5……筐体 51……上側外装 52……下側外装 511……屈曲点 521……屈曲点 53……上側板 54……下側板 532……凹部 534……カバー部材 541……湾曲部 542……シート部材 55a、55b、55c……空間 6……媒体通路 61……排出口 62……漸増部 7……加熱手段 71……発熱体 72……管体 73……支持体 8……排気手段 81……空気通路 82……ファン 811……吸気口 812……排気口 813……補助吸気口 9……収納空間 91……煙探知機 G1、G2、G3、G3’……空気
Claims (11)
- 記録媒体を搬送する搬送手段と、該搬送手段の作動により搬送された前記記録媒体上に液滴吐出ヘッドによりインクを吐出して印刷する印刷部とを有する装置本体と、
前記装置本体に対し、前記記録媒体の搬送方向下流側に、加熱ユニットとを有し、
前記加熱ユニットは、印刷後の前記記録媒体が通過する媒体通路と、該媒体通路の途中に設けられ、熱を発してその熱によって前記印刷後の前記記録媒体を加熱する発熱体を有する加熱手段と、該媒体通路内の空気を強制的に排気する排気手段と、前記加熱手段と前記媒体通路との間に設けられたメッシュ状のカバー部材と、を備え、
前記排気手段は、前記媒体通路に連通し、前記媒体通路の空気を吸引する吸気口と、前記吸気口と異なる位置に設けられ、前記吸気口を介して吸引された空気を排気する排気口とを有し、前記媒体通路と独立した空気通路に設けられており、
前記加熱手段は、印刷面側から前記記録媒体に接触せずに前記記録媒体に対して赤外線を照射し、
前記装置本体は、前記記録媒体の搬送方向に沿って送風する送風用ファンを有し、
前記送風用ファンによる風は、前記媒体通路に送り出されることを特徴とする印刷装置。 - 前記吸気口は、前記排気口よりも前記記録媒体の搬送方向上流側に位置する請求項1に記載の印刷装置。
- 前記排気手段は、前記空気通路の途中に設けられ、前記吸気口側から前記排気口側に向けて気流を生じさせるファンを有している請求項1または2に記載の印刷装置。
- 前記空気通路は、前記吸気口と、前記排気口とは異なる位置に、外気を吸引する補助吸気口を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の印刷装置。
- 前記媒体通路と前記空気通路とは並設しており、前記発熱体は、前記空気通路側に偏在している請求項1ないし4のいずれか1項に記載の印刷装置。
- 前記媒体通路は、前記搬送方向の下流側の部分に、前記記録媒体が排紙される排出口を有し、該排出口付近に、横断面積が該排出口側に向かって漸増する漸増部とを有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の印刷装置。
- 前記排気口から排出された空気の一部により、片面印刷の前記記録媒体の裏面側を、前記漸増部に押し付けるように構成されている請求項6に記載の印刷装置。
- 前記排気手段は、前記排気口から排出された空気の一部が、片面印刷の前記記録媒体の裏面側を、前記漸増部に押し付けられるよりも以前に、片面印刷の前記記録媒体の裏面側に、前記排気口から排出された空気の一部が入り込むように構成されている請求項7に記載の印刷装置。
- 前記漸増部は、微細な凹凸を有する請求項6ないし8のいずれか1項に記載の印刷装置。
- 前記媒体通路は、水平方向に対して傾斜している請求項1ないし9のいずれか1項に記載の印刷装置。
- 前記インクは、着色剤、樹脂粒子、溶媒および非プロトン性極性溶媒を含むものである請求項1ないし10のいずれか1項に記載の印刷装置。
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