JP2017013507A - 印刷装置 - Google Patents

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英司 熊井
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Abstract

【課題】小型化に有利であり、搬入、搬出を容易に行なうことができる印刷装置を提供すること。【解決手段】印刷装置1は、記録媒体を搬送する搬送手段と、搬送手段の作動により搬送された記録媒体上にインクを液滴として吐出する液滴吐出ヘッドとを有する装置本体2と、記録媒体上のインクを加熱して硬化する硬化ヒーターを有する硬化ユニット4と、装置本体2と硬化ユニット4とを連結し、硬化ユニット4を装置本体2に対して接近した第1の位置と、第1の位置よりも離間した第2の位置とに変位可能に支持する支持機構5とを備える。【選択図】図2

Description

本発明は、印刷装置に関する。
従来、比較的大型のポスターを印刷する際には、ロール状に巻回された記録媒体を引き出し、当該引き出された記録媒体上にインクを付与して印刷する印刷装置が用いられていた(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の印刷装置は、ロール状に巻回された記録媒体を引き出しつつ、搬送する搬送機構と、搬送された記録媒体上にインクを塗布するヘッド(プリントヘッド)と、記録媒体上のインクを加熱して乾燥させる加熱機構(加熱手段)と、これらの機構を一括して収納する筐体(ケース)とを備えている。
このような構成の印刷装置を例えばビルの一室である事務所内に搬入する際、当該事務所のドアが、印刷装置が通過可能な程度の大きさではない場合がある。この場合、印刷装置の搬入を行なうことができないため、当該印刷装置を一旦分解して、その大きさをできる限り小さくして、搬入を行なっていた。そして、搬入後、印刷装置を組み立て直していた。
このように、特許文献1に記載の印刷装置では、搬入作業(搬出作業についても同様)を行なおうとすると、印刷装置の分解作業と組立作業とを伴うこととなり、結果、搬入作業が煩雑となるという問題があった。
特開2003−237049号公報
本発明の目的は、小型化に有利であり、搬入、搬出を容易に行なうことができる印刷装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の印刷装置は、記録媒体を搬送する搬送手段と、該搬送手段の作動により搬送された前記記録媒体上にインクを液滴として吐出する液滴吐出ヘッドとを有する装置本体と、
前記記録媒体上の前記インクを加熱して硬化する硬化ヒーターを有する硬化ユニットと、
前記装置本体と前記硬化ユニットとを連結し、該硬化ユニットを前記装置本体に対して接近した第1の位置と、該第1の位置よりも離間した第2の位置とに変位可能に支持する支持機構とを備えることを特徴とする。
これにより、硬化ユニットを第1の位置に変位させた状態と、硬化ユニットを第2の位置に変位させた状態とで、印刷装置全体としての大きさ、特に、奥行きが変化する。そして、印刷装置は、その全体の大きさが前者の状態で最も小さくなり、小型化に有利な構造のものとなっている。また、印刷装置を搬入、搬出する際に、硬化ユニットを第1の位置に変位させた状態とすることにより、その搬入、搬出を容易に行なうことができる。
また、本発明の印刷装置では、前記装置本体は、長尺状をなすものであり、
前記装置本体と前記硬化ユニットとの前記装置本体の長手方向と直交する方向の総長さである奥行きは、該硬化ユニットが前記第1の位置にあるとき750mm未満であり、前記硬化ユニットが前記第2の位置にあるとき900mm以上であるのが好ましい。
一般的なドアは、比較的小さいものでも、幅が750mm程度とされている。印刷装置を搬入、搬出する際には、幅が750mm程度の小さいドアを印刷装置が通過しなければならない。この場合、硬化ユニットを第1の位置に位置させた状態とすれば、印刷装置は、奥行きが750mm未満となり、このドアを容易かつ確実に通過することができる。
また、本発明の印刷装置では、前記支持機構は、前記硬化ユニットを前記装置本体に対して回動可能に支持するよう構成されているのが好ましい。
これにより、硬化ユニットが第1の位置と第2の位置とに変位する際に、その変位が例えば水平方向に沿った移動(スライド)によって行なわる場合に比べて、操作を容易に行なうことができる。
また、本発明の印刷装置では、前記装置本体は、長尺状をなすものであり、
前記支持機構は、前記装置本体の一端側および他端側のうちの少なくとも一方に固定され、前記硬化ユニットと連結された第1の板部材と、該第1の板部材に重ねて設けられ、前記硬化ユニットと連結された第2の板部材と、前記第1の板部材と前記第2の板部材とを連結する連結部とを有するのが好ましい。
これにより、硬化ユニットを装置本体に対して確実に回動可能に支持することができ、また、その回動が円滑に行なわれる。
また、本発明の印刷装置では、前記連結部は、前記第1の板部材および前記第2の板部材のうちの一方の板部材に設けられたカム溝と、他方の板部材に設けられ、前記カム溝に挿入されるフォロア部とを有するのが好ましい。
これにより、硬化ユニットの装置本体に対する回動が円滑に行なわれ、印刷装置を搬入、搬出し易い状態とすることができる。
また、本発明の印刷装置では、前記カム溝は、前記第1の位置で前記フォロア部が位置する第1の溝と、該第1の溝に連通し、前記第1の溝と異なる方向に向かって延在し、前記第2の位置で前記フォロア部が位置する第2の溝とを有するのが好ましい。
これにより、硬化ユニットの装置本体に対する回動が円滑に行なわれ、印刷装置を搬入、搬出し易い状態とすることができる。
また、本発明の印刷装置では、前記他方の板部材は、前記フォロア部が前記第2の溝から前記第1の溝に移動する際に、その移動を補助するために操作される操作レバーを有するのが好ましい。
これにより、フォロア部の第2の溝から第1の溝への移動が確実に行なわれるとともに、当該移動が不本意に行なわれるのも防止され、よって、印刷装置は安全性に優れる。
また、本発明の印刷装置では、前記支持機構は、前記フォロア部を前記装置本体側に向かって付勢する付勢部材を有するのが好ましい。
これにより、フォロア部がカム溝内を不本意に移動するのを確実に防止することができ、よって、硬化ユニットが第1の位置に位置した状態、または、硬化ユニットが第2の位置に位置した状態を確実に維持することができる。
また、本発明の印刷装置では、前記硬化ユニットは、前記第2の位置にあるとき、前記第1の板部材および前記2の板部材に対してボルトを介して締結されているのが好ましい。
これにより、硬化ユニットが第2の位置に位置した状態が確実に維持され、よって、この状態で印刷装置で印刷を行なっている最中に硬化ユニットが不本意に第1の位置に変位してしまうのを確実に防止することができる。
また、本発明の印刷装置では、前記支持機構は、前記硬化ユニットが前記第1の位置から前記第2の位置に変位した際、その変位の完了を報知する報知音が生じるよう構成されているのが好ましい。
報知音を聴くことにより、硬化ユニットが第2の位置に変位したのを確認することができる。
また、本発明の印刷装置では、前記硬化ユニットは、塗装が施された化粧面を有し、
前記化粧面は、前記第1の位置および前記第2の位置のいずれの位置でも当該印刷装置の正面側に臨むのが好ましい。
これにより、硬化ユニットが第1の位置および第2の位置のいずれの位置にあるときでも、化粧面を正面に視認することができ、よって、当該印刷装置は、審美性を有するものとなっている。
また、本発明の印刷装置では、前記硬化ユニットが前記第1の位置に変位した状態で搬入、搬出され、前記硬化ユニットが前記第2の位置に変位した状態で使用されるのが好ましい。
これにより、印刷装置を搬入、搬出する際に、硬化ユニットを第1の位置に変位させた状態とすることにより、当該印刷装置の大きさ、特に奥行きをできる限り小さくすることができ、よって、その搬入、搬出を容易に行なうことができる。
また、本発明の印刷装置では、前記硬化ヒーターは、前記記録媒体の前記インクが付与された側に配置され、金属材料で構成された管体と、該管体内に挿入され、通電により発熱する発熱体とを有するのが好ましい。
これにより、記録媒体上のインクを効率よく加熱することができ、よって、当該インクの硬化が促進される。
本発明の印刷装置の使用状態を示す斜視図である。 本発明の印刷装置の搬送状態を示す斜視図である。 図1中のA−A線断面図(概略横断面面)である。 本発明の印刷装置を図1に示す状態から図2に示す状態に操作する過程を順に示す側面図である。 本発明の印刷装置を図1に示す状態から図2に示す状態に操作する過程を順に示す側面図である。 本発明の印刷装置を図1に示す状態から図2に示す状態に操作する過程を順に示す側面図である。 本発明の印刷装置を図1に示す状態から図2に示す状態に操作する過程を順に示す側面図である。 本発明の印刷装置を図1に示す状態から図2に示す状態に操作する過程を順に示す側面図である。
以下、本発明の印刷装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の印刷装置の使用状態を示す斜視図、図2は、本発明の印刷装置の搬送状態を示す斜視図、図3は、図1中のA−A線断面図(概略横断面面)、図4〜図8は、それぞれ、本発明の印刷装置を図1に示す状態から図2に示す状態に操作する過程を順に示す側面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1〜図8において、互いに直交する3つの軸として、x軸、y軸およびz軸を図示している。x軸は、水平方向のうちの一方向(印刷装置の幅(奥行き)方向)に沿った軸であり、y軸は、水平方向であって前記x軸に対し垂直な方向(印刷装置の長手方向)に沿った軸であり、z軸は、鉛直方向(上下方向)に沿った軸である。また、図示した各矢印の先端側を「正側(+側)」、基端側を「負側(−側)」とする。また、図1〜図8中の上側を「上(上方)」と言い、下側を「下(下方)」と言う。
図1〜図3に示すように、印刷装置1は、装置本体2と、脚部(スタンド)3と、硬化ユニット4と、支持機構5とを備え、インクジェット方式で記録媒体100上にインクを付与してカラー印刷を施す装置である。以下、各部の構成について説明する。
まず、インクと記録媒体100とについて説明する。
印刷に用いられるインクは、いわゆる「ラテックスインク」であり、インクセット(カートリッジ)として印刷装置1に装填され、そのインクセットは、所定の組成を有する第1インク及び第2インクを含み、かつ、後述する所定の(A)又は(B)のうちいずれかの条件を満たすものである。
上記第1インクは、色材、樹脂粒子、第1保湿剤、及び非プロトン性極性溶媒を含有する。
上記第2インクは、上記第1インクに含まれる色材の含有量を超える量の色材、上記第1インクに含まれる樹脂粒子の含有量未満の量の樹脂粒子、第2保湿剤、及び非プロトン性極性溶媒を含有する。
一方で、上記の第1インク及び第2インクは共に、沸点が280℃以上のアルキルポリオールを実質的に含有しない。これにより、乾燥プロセスの負荷を低減することができる。
ここで、上記の「実質的に含有しない」とは、インクの総質量(100質量%)に対して、例えば1.0質量%以上含有しないことであり、好ましくは0.5質量%以上含有しないことであり、より好ましくは0.1質量%以上含有しないことであり、さらに好ましくは0.05質量%以上含有しないことであり、さらにより好ましくは0.01質量%以上含有しないことであり、最も好ましくは0.001質量%以上含有しないことである。
なお、インクセットは、上記の第1インク及び第2インクからなることが好ましいが、上記の第1インク及び第2インクに加えて、これらのインクと異なる他のインクをさらに含んでもよい。上記の第1インク及び第2インクに加えて、これらのインクと異なる他のインクをさらに含む場合、当該他のインクは沸点が280℃以上のアルキルポリオールを含有してもよい。
以下、インクセットを構成する各インク(インク組成物)に含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
以降では、インクセットを構成する第1インク、第2インク、及びこれらのインクと異なる他のインクをさらに含む場合は当該他のインクを、纏めて「インク」と称することもある。
なお、特段の記載がない限り、第1インクが含有する各成分及び第2インクが含有する各成分は、種類及びその物性並びに含有量などの点で、互いに独立して選定される。また、一のインクセットに含まれる第1インク及び第2インクがいずれも1種単独からなる場合だけでなく、第1インクが複数種存在する場合及び第2インクが複数種存在する場合についても、上記と同様、それぞれのインクに含まれる各成分の種類及びその物性並びに含有量などは、互いに独立して選定される。
さらに、一のインクセットに含まれる第1インクが複数種存在する場合、「第1インクの含有量」は、それぞれの第1インクにおける含有量の平均値を意味する。なお、第2インクが複数種存在する場合も同様とする。
[保湿剤]
インクセットに含まれる第1インク及び第2インクは、共に保湿剤を含有する。ここで、本明細書における「第1保湿剤」とは第1インクに含まれる保湿剤を意味し、本明細書における「第2保湿剤」とは第2インクに含まれる保湿剤を意味する。第1保湿剤及び第2保湿剤は、互いに、(A)又は(B)の条件のいずれかを満たすという相関性がある。以下では、(A)及び(B)の条件ごとに説明する。
まず、上記(A)の条件について説明する。当該(A)において、上記第1保湿剤は、(a1)1,2−アルカンジオール及び該1,2−アルカンジオール以外の溶剤であるか、又は(a2)前記1,2−アルカンジオール以外の溶剤である。加えて、当該第1保湿剤のうち上記1,2−アルカンジオール以外の溶剤の沸点が200℃以上260℃以下である。つまり、上記第1保湿剤は、1,2−アルカンジオールを含むか否かによらず、所定の沸点である1,2−アルカンジオール以外の溶剤を必須に含む。
第1保湿剤の沸点が160℃以上であると、間欠印刷特性に優れる。一方で、第1保湿剤の沸点が260℃以下であると、グリセリン等が添加されないため、速乾性が良好となり、記録物の耐擦性が優れたものとなる。
第1保湿剤である上記の1,2−アルカンジオール以外の溶剤としては、沸点が200℃以上260℃以下である限り特に限定されないが、例えば、グリコールエーテル類、1,α−アルカンジオール(ただし、α=2を除く。)が挙げられる。
上記グリコールエーテル類としては、以下に限定されないが、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びジブチレングリコール等のポリアルキレングリコール類が挙げられる。上記1,α−アルカンジオール(ただし、α=2を除く。)としては、以下に限定されないが、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオールが挙げられる。上記ポリアルキレングリコール類に含まれるアルキレングリコールモノエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。上記ポリアルキレングリコール類に含まれるアルキレングリコールジエーテルとしては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、及びジプロピレングリコールジエチルエーテルが挙げられる。上記グリコールエーテル類の中でも、保湿性に優れたものとなるため、ポリアルキレングリコール類が好ましい。
これらの中でも、適切な保湿性の付与が可能となるため、グリコールエーテル類及び1,α−アルカンジオール(ただし、α=2を除く。)から選択される1種以上が好ましい。
上記第1保湿剤が(a1)1,2−アルカンジオール及び当該1,2−アルカンジオール以外の溶剤である場合、第1インクにおいて、当該第1保湿剤の合計の含有量と後述する非プロトン性極性溶媒の含有量との質量比(「第1保湿剤の合計の含有量」:「非プロトン性極性溶媒の含有量」)は、0.6〜2.6が好ましい。質量比が上記範囲内であると、密着性が優れたものとなる。
また、上記(A)においては、上記第1保湿剤の沸点が上記第2保湿剤の沸点を超えるという条件も満たされる。なお、本明細書における「第1保湿剤の沸点」とは、第1保湿剤が2種以上の溶剤からなる場合、当該2種以上の溶剤が有する沸点の平均値を意味し、「第2保湿剤の沸点」についても同様である。
当該条件を満たすことを前提として、上記第2保湿剤は、(a3)1,2−アルカンジオール及び該1,2−アルカンジオール以外の溶剤であるか、又は(a4)前記1,2−アルカンジオール以外の溶剤である。加えて、当該第2保湿剤のうち上記1,2−アルカンジオール以外の溶剤の沸点が160℃以上240℃以下であることが好ましい。つまり、上記第2保湿剤は、1,2−アルカンジオールであってもよいが、1,2−アルカンジオールを含むか否かによらず、所定の沸点である1,2−アルカンジオール以外の溶剤を含むことが好ましい。
第2保湿剤の沸点が160℃以上であると、間欠印刷特性に優れる。一方で、第2保湿剤の沸点が240℃以下であると、乾燥負荷を効果的に低減させることができる。
第2保湿剤である上記の1,2−アルカンジオール以外の溶剤としては、沸点が160℃以上240℃以下であって第1保湿剤の沸点よりも低い限り、特に限定されないが、乾燥性に優れるため、グリコールエーテル類が好ましく挙げられる。
次に、上記(B)の条件について説明する。上記の第1保湿剤及び第2保湿剤は共にジプロピレングリコールである。加えて、上記第1インクに含まれるジプロピレングリコールの含有量は、上記第2インクに含まれるジプロピレングリコールの含有量を超える。
第1インクに含まれるジプロピレングリコールの含有量は、第1インクの総質量(100質量%)に対して、3〜30質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。一方で、第2インクに含まれるジプロピレングリコールの含有量は、3〜30質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。第1インク及び第2インクに含まれるジプロピレングリコールの各含有量が上記範囲内であると、乾燥負荷を効果的に低減させることができる。
なお、インクセットが上記の第1インク及び第2インクと異なる他のインクをさらに含む場合、当該他のインクは上述の保湿剤を含有してもよい。
[色材]
インクセットに含まれる第1インク及び第2インクは、色材を含有する。上記色材は、顔料及び染料から選択される。
(1.顔料)
上記色材のうち顔料は、水に不溶又は難溶であるだけでなく光やガス等に対しても退色しにくい性質を有する。そのため、顔料を用いたインクにより記録された記録物は、耐水性、耐ガス性、耐光性、及び保存安定性が良好となる。
顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用可能である。これらの中でも、発色性が良好であって、比重が小さいため分散時に沈降しにくいことから、無機顔料に属するカーボンブラック及び有機顔料のうち少なくともいずれかが好ましい。
無機顔料としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、及び酸化チタンが挙げられる。
上記のカーボンブラックとしては、特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、及びチャンネルブラック(C.I.ピグメントブラック7)が挙げられる。また、カーボンブラックの市販品として、例えば、No.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(以上全て商品名、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250(以上全て商品名、デグサ社(Degussa AG)製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700(以上全て商品名、コロンビアカーボン社(Columbian Carbon Japan Ltd)製)、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12(以上全て商品名、キャボット社(Cabot Corporation)製)が挙げられる。
有機顔料としては、特に限定されないが、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料が挙げられる。有機顔料の具体例としては、下記のものが挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15:34、16、18、22、60、65、66、C.I.バットブルー4、60が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、254、264、C.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180、185、213が挙げられる。
なお、グリーンインクやオレンジインク等、上記以外の色のインクに用いられる顔料としては、従来公知のものが挙げられる。
顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(2.染料)
上記色材のうち染料としては、以下に限定されないが、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が挙げられる。染料の具体例として、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
染料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記第2インクに含まれる色材の含有量は、上記第1インクに含まれる色材の含有量よりも多い。第1インク及び第2インクは、色材量の観点で、それぞれ淡インク及び濃インクと言い換えることができる。
上記第1インクに含まれる色材の含有量は、第1インクの総質量(100質量%)に対して、1〜7質量%が好ましい。また、上記第2インクに含まれる色材の含有量は、第2インクの総質量(100質量%)に対して、0.1〜2質量%が好ましい。
なお、インクセットが上記の第1インク及び第2インクと異なる他のインクをさらに含む場合、当該他のインクは上述の色材を含有してもよい。
[樹脂粒子]
インクセットに含まれる第1インク及び第2インクは、樹脂粒子を含有する。上記の第1インク及び第2インクが樹脂粒子を含有することにより、記録物の耐擦性が優れたものとなる。
また、上記第2インクに含まれる樹脂粒子の含有量は、上記第1インクに含まれる樹脂粒子の含有量よりも小さい。これにより、インクセットを構成するインク各々の粘度を揃えることができる。上記の第1インク及び第2インクに含まれる樹脂粒子の各含有量については後述する。
上記の樹脂粒子としては、以下に限定されないが、例えば、バインダー樹脂、並びにパラフィンワックス及びポリオレフィンワックス等のワックスが挙げられる。
(1.バインダー樹脂)
上記のバインダー樹脂は、インクジェット記録において記録媒体100が加熱される際、樹脂被膜を形成することで、インクを記録媒体100上に十分定着させて記録物の耐擦性を良好にする効果を発揮する。そのため、バインダー樹脂は熱可塑性樹脂であることが好ましい。上記の効果によりバインダー樹脂を含有するインクを用いて記録された記録物は、インク非吸収性及び低吸収性の記録媒体100上で、耐擦性が一層優れたものとなる。
また、バインダー樹脂はインク中にエマルジョン状態で含有される。バインダー樹脂をエマルジョン状態でインク中に含有させることにより、インクの粘度をインクジェット記録方式において適正な範囲に調整しやすく、かつ、インクの保存安定性及び吐出安定性に優れたものとなる。
なお、本明細書における「吐出安定性」とは、ノズルの目詰まりがなく常に安定したインク滴をノズルから吐出させる性質をいう。
バインダー樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、及び塩化ビニリデンの単独重合体又は共重合体、フッ素樹脂、及び天然樹脂が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂及びスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体系樹脂のうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル系樹脂及びスチレン−アクリル酸共重合体系樹脂のうち少なくともいずれかがより好ましく、スチレン−アクリル酸共重合体系樹脂がさらに好ましい。なお、上記の共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、及びグラフト共重合体のうちいずれの形態であってもよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味する。
上記のバインダー樹脂としては、公知の材料及び製造方法により得られるものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。当該市販品としては、以下に限定されないが、例えば、マイクロジェルE−1002、マイクロジェルE−5002(以上商品名、日本ペイント社(Nippon Paint Co., Ltd)製)、ボンコート4001、ボンコート5454(以上商品名、DIC社製)、SAE1014(商品名、日本ゼオン社(Zeon Corporation)製)、サイビノールSK−200(商品名、サイデン化学社(SAIDEN CHEMICAL INDUSTRY CO.,LTD.)製)、ジョンクリル7100、ジョンクリル390、ジョンクリル711、ジョンクリル511、ジョンクリル7001、ジョンクリル632、ジョンクリル741、ジョンクリル450、ジョンクリル840、ジョンクリル74J、ジョンクリルHRC−1645J、ジョンクリル734、ジョンクリル852、ジョンクリル7600、ジョンクリル775、ジョンクリル537J、ジョンクリル1535、ジョンクリルPDX−7630A、ジョンクリル352J、ジョンクリル352D、ジョンクリルPDX−7145、ジョンクリル538J、ジョンクリル7640、ジョンクリル7641、ジョンクリル631、ジョンクリル790、ジョンクリル780、ジョンクリル7610(以上商品名、BASF社製)等が挙げられる。
上記のバインダー樹脂は、特に限定されないが、例えば、以下に示す調製方法により得ることができ、必要に応じて複数の方法を組み合わせてもよい。当該調製方法としては、所望の樹脂を構成する成分の単量体中に重合触媒(重合開始剤)と分散剤とを混合して重合(乳化重合)する方法、親水性部分を持つ樹脂を水溶性有機溶剤に溶解させて得られる溶液を水中に混合した後に水溶性有機溶剤を蒸留等で除去する方法、及び樹脂を非水溶性有機溶剤に溶解させて得られる溶液を分散剤と共に水溶液中に混合する方法が挙げられる。
バインダー樹脂をエマルジョン状態に分散する際に使用可能な分散剤としては、特に制限されないが、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ラウリルリン酸ナトリウム塩、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩などのアニオン性界面活性剤、並びにポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤を挙げることができる。これらの分散剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
バインダー樹脂の平均粒径は、インクの保存安定性及び吐出安定性を一層良好にするため、好ましくは5nm〜400nmの範囲であり、より好ましくは20nm〜300nmの範囲である。
ここで、本明細書における平均粒径は、動的光散乱法により測定された値で示すものとする。
各インクに含まれ得るバインダー樹脂の含有量(固形分換算)は、インクの総質量(100質量%)に対して、0.5〜5質量%の範囲が好ましく、0.5〜1.5質量%の範囲がより好ましい。含有量が上記範囲内であると、耐擦性が一層優れたものとなる。
(2.パラフィンワックス)
本実施形態におけるインクがパラフィンワックスを含有することにより、記録物にスリップ性能が付与され、これにより当該インクは耐擦性に一層優れたものとなる。なお、パラフィンワックスは、撥水性を有するため、記録物の耐水性を良好なものとすることができる。
本明細書における「パラフィンワックス」とは、いわゆる石油系ワックスを意味し、炭素数20〜30程度の直鎖状のパラフィン系炭化水素(ノルマル・パラフィン)を主成分とし、少量のイソ(iso)・パラフィンを含む重量平均分子量300〜500程度の炭化水素の混合物を意味する。
本実施形態におけるインクがパラフィンワックスをエマルジョン状態で含有することにより、インクの粘度をインクジェット記録方式において適正な範囲に調整しやすく、かつ、インクの保存安定性及び吐出安定性を一層優れたものとすることができる。
パラフィンワックスの融点は、記録物の被膜を一層強固にし、かつ記録物の耐擦性を一層良好にするため、110℃以下であることが好ましい。一方で、パラフィンワックスの融点の下限は、被記録面が乾燥してべたつくことを防止するため、60℃以上が好ましい。さらに上記融点は、インクの吐出安定性を一層良好にするため、70〜95℃がより好ましい。
パラフィンワックスの平均粒径は、安定的なエマルジョン状態とし、かつ、インクの保存安定性及び吐出安定性を一層良好にするため、好ましくは5nm〜400nmの範囲であり、より好ましくは50nm〜200nmの範囲である。パラフィンワックスとしては、市販品をそのまま利用してもよい。当該市販品としては、以下に限定されないが、例えば、AQUACER537、AQUACER539(以上商品名、BYK社製)が挙げられる。
各インクに含まれ得るパラフィンワックスの含有量(固形分換算)は、インクの総質量(100質量%)に対して、0〜1.5質量%の範囲が好ましく、0.25〜0.75質量%の範囲がより好ましい。
(3.ポリオレフィンワックス)
本実施形態におけるインクがポリオレフィンワックスを含有することにより、記録物の耐擦性を一層優れたものとすることができる。ポリオレフィンワックスとしては、以下に限定されないが、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスが挙げられ、中でもポリエチレンワックスが好ましい。
ポリエチレンワックスの製造方法を例示すると、エチレンを重合して製造したり、あるいは一般成形用のポリエチレンを熱分解により低分子量化して製造したりすることでポリエチレンワックスを作製する。そして、このポリエチレンワックスを酸化してカルボキシル基や水酸基を付加し、さらに界面活性剤を使用して乳化して、安定性に優れた水性エマルジョンの形態で、ポリエチレンワックスが得られる。
ポリオレフィンワックスとしては、市販品をそのまま利用してもよい。このうちポリエチレンワックスの市販品としては、以下に限定されないが、例えば、ノプコートPEM17(商品名、サンノプコ社(SANNOPCO LIMITED)製)、ケミパールW4005(商品名、三井化学社(Mitsui Chemicals, Inc.)製)、AQUACER515、AQUACER593(以上商品名、BYK社製)が挙げられる。
ポリオレフィンワックスの平均粒径は、インクの保存安定性及び吐出安定性を一層良好にするため、好ましくは5nm〜400nmの範囲であり、より好ましくは50nm〜200nmの範囲である。
各インクに含まれ得るポリオレフィンワックスの含有量(固形分換算)は、インクの総質量(100質量%)に対して、0〜1.5質量%の範囲が好ましく、0.25〜0.75質量%の範囲がより好ましい。
これまで説明してきたものの中でも、記録物の耐擦性がより一層優れたものとなるため、樹脂粒子はポリオレフィンワックス及びパラフィンワックスのうち少なくともいずれかであることが好ましい。
なお、各インクは、樹脂粒子として、ポリオレフィンワックス及びパラフィンワックス以外のワックスを含有してもよい。ワックスは、形成された記録物の表面にスリップ性能を付与し耐擦性をより良好にする機能を有する。当該ワックスは、インク中にエマルジョン状態で含有されていることが好ましい。インク中のワックスがエマルジョン状態で存在することにより、インクの粘度をインクジェット記録方式において適正な範囲に調整しやすく、かつ、インクの保存安定性及び吐出安定性を一層優れたものとすることができる。
なお、インクセットが上記の第1インク及び第2インクと異なる他のインクをさらに含む場合、当該他のインクは上述の樹脂粒子を含有してもよい。
[非プロトン性極性溶媒]
インクセットに含まれる第1インク及び第2インクは、非プロトン性極性溶媒を含有する。上記の第1インク及び第2インクが非プロトン性極性溶媒を含有することにより、これらのインクに含まれる上述の樹脂粒子を溶解するため、インクジェット記録の際にノズルの目詰まりを効果的に防止することができる。
上記の第1インク及び第2インクが含有する非プロトン性極性溶媒は、互いに同一の成分であってもよい。
非プロトン性極性溶媒としては、以下に限定されないが、ピロリドン類、ラクトン類、スルホキシド類、イミダゾリジノン類、スルホラン類、尿素誘導体、ジアルキルアミド類、環状エーテル類、及びアミドエーテル類からなる群より選択される一種以上を含むのが好ましい。
上記ピロリドン類の具体例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びN−エチル−2−ピロリドンが挙げられる。上記ラクトン類の具体例としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、及びε−カプロラクトンが挙げられる。上記スルホキシド類の具体例としては、ジメチルスルホキシド及びテトラメチレンスルホキシドが挙げられる。上記イミダゾリジノン類の具体例としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが挙げられる。上記スルホラン類の具体例としては、スルホラン及びジメチルスルホランが挙げられる。上記尿素誘導体の具体例としては、ジメチル尿素及び1,1,3,3−テトラメチル尿素が挙げられる。上記ジアルキルアミド類の具体例としては、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドが挙げられる。上記環状エーテル類の具体例としては、1,4−ジオキサン及びテトラヒドロフランが挙げられる。
また、上記アミドエーテル類としては、下記一般式(1)で示される溶剤が該当する。
Figure 2017013507
上記式(1)中、R1は、炭素数1〜4のアルキル基であることが好適である。「炭素数1〜4のアルキル基」は、直鎖状または分岐状のアルキル基であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基であり得る。R1が炭素数1〜4のアルキル基の式(1)で示される溶剤は、インク組成物に適度な擬塑性を付与することができ、これによりインクの良好な吐出安定性を確保することができる。また、R1が炭素数1〜4のアルキル基の式(1)で示される溶剤は、特に樹脂溶解作用が強いため好ましい。
上記式(1)で示される溶剤のHLB値は、好ましくは10.5以上20.0以下であり、より好ましくは12.0以上18.5以下である。式(1)で示される溶剤のHLB値が上記範囲内にあると、インクに適度な擬塑性を付与できる点及び樹脂成分との相互作用の点で、一層好適である。
なお、式(1)で示される溶剤のHLB値とは、有機概念図における無極性値(I)と有機性値(O)との比(以下、単に「I/O値」ともいう)から下式により算出された値である。
HLB値=(無極性値(I)/有機性値(O))×10
具体的には、I/O値は、「系統的有機定性分析混合物編」(藤田穆著、風間書房、1974年)、「染色理論化学」(黒木宣彦著、槙書店、1966年)、「有機化合物分離法」(井上博夫著、裳華房、1990年)の各文献に基づいて算出することができる。
これらの非プロトン性極性溶媒の中でも、記録媒体100に対する定着性が優れたものとなるため、ピロリドン類、ラクトン類、スルホキシド類、及びアミドエーテル類からなる群より選択される一種以上がより好ましい。
上記非プロトン性極性溶媒の沸点は、200℃以上260℃以下が好ましい。
上記非プロトン性極性溶媒の具体例としては、以下に限定されないが、2−ピロリジノンが好適に用いられる。
上記の第1インク及び第2インクにそれぞれ含まれる非プロトン性極性溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の第1インク及び第2インクにそれぞれ含まれる非プロトン性極性溶媒の含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、3〜30質量%の範囲が好ましく、8〜20質量%の範囲がより好ましい。
なお、インクセットが上記の第1インク及び第2インクと異なる他のインクをさらに含む場合、当該他のインクは上述の非プロトン性極性溶媒を含有してもよい。
[界面活性剤]
インクセットに含まれる各インクは、界面活性剤を含有してもよい。その他の界面活性剤として、以下に限定されないが、例えばノニオン系界面活性剤が挙げられる。ノニオン系界面活性剤は、記録媒体100上でインクを均一に拡げる作用がある。そのため、ノニオン系界面活性剤を含むインクを用いてインクジェット記録を行った場合、滲みの殆ど無い高精細な画像が得られる。このようなノニオン系界面活性剤としては、以下に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル系、多環フェニルエーテル系、ソルビタン誘導体、及びフッ素系の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
各インクに含まれ得る界面活性剤の含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、1.5質量%以下の範囲であればよい。
[水]
インクセットに含まれる各インクは、水を含有してもよい。特に、当該インクが水性インクである場合、水は、インクの主となる媒体であり、インクジェット記録において記録媒体100が加熱される際、蒸発飛散する成分となる。
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加などによって滅菌した水を用いると、顔料分散液及びこれを用いたインクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる。
[その他の成分]
インクセットに含まれる各インクは、上記の成分に加えて、上記以外の有機溶剤、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、及びキレート化剤などをさらに含有してもよい。
インクが付与される記録媒体100は、ロール状に巻回された状態で印刷装置1に装填される。この記録媒体100は、インク吸収性の記録媒体だけでなく、インク非吸収性及び低吸収性の記録媒体を用いたインクジェット記録にも適したものである。
インク吸収性の記録媒体100として、以下に限定されないが、例えば、普通紙、上質紙、及び光沢紙などのインクジェット記録用専用紙が挙げられる。インク低吸収性の記録媒体100として、アート紙、コート紙、及びマット紙などの印刷本紙が挙げられる。インク非吸収性の記録媒体100として、以下に限定されないが、例えば、インクジェット印刷用に表面処理をしていない(すなわち、インク吸収層を形成していない)プラスチックフィルム、並びに紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているもの及びプラスチックフィルムが接着されているものが挙げられる。当該プラスチックとしては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、及びポリプロピレンが挙げられる。
次に、印刷装置1について説明する。前述したように、印刷装置1は、装置本体2と、脚部(スタンド)3と、硬化ユニット4と、支持機構5とを備えている(図1、図2参照)。
図3に示すように、装置本体2は、搬送手段21と、キャリッジ22と、液滴吐出ヘッド23と、プラテン24と、プリヒーター25と、乾燥ヒーター26と、送風用ファン27と、吸引用ファン28と、筐体(ハウジング)29とを有している。
筐体29は、搬送手段21、キャリッジ22、液滴吐出ヘッド23、プラテン24、プリヒーター25、乾燥ヒーター26、送風用ファン27、吸引用ファン28を一括して収納する箱状の部材である。また、この筐体29(装置本体2)の外形形状は、y軸方向に沿った長尺状をなしている。
搬送手段21は、記録媒体100を搬送するものであり、上下に配置されたローラー211、212を有している。ローラー211および212のうちの一方のローラーは、歯車等の減速機構を介してモーターと連結された主動ローラーであり、他方のローラーは、従動ローラーである。主動ローラーは、従動ローラーとの間で記録媒体100を挟持した状態で、回転することにより、当該記録媒体100を従動ローラーともに搬送する、すなわち、送り出すことができる。以下、記録媒体100が搬送される方向を「搬送方向」と言う。
プリヒーター25は、記録媒体100に印刷が施されるよりも以前に、当該記録媒体100を予め加熱するものである。このプリヒーター25は、記録媒体100の裏面が当接する当接面251を有するハウジング252と、ハウジング252内に収納された発熱体253とを有している。
当接面251は、アーチ状に湾曲した湾曲面で構成されている。記録媒体100は、搬送手段21により搬送される途中で、当接面251に当接する。このとき、発熱体253からの熱が当接面251を介して記録媒体100に伝達する。これにより、記録媒体100を加熱することができる。なお、加熱時の記録媒体100の表面温度は、例えば、45度以上55度以下なるのが好ましく、60度以上70度以下となるのがより好ましい。
また、当接面251の曲率は、搬送方向下流側、すなわち、x軸正方向に向かって漸減しているのが好ましい。
また、ハウジング252の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金、または、ステンレス鋼等を用いることができる。
発熱体253は、通電により発熱するものであり、例えば、ニクロム線等の比較的電気抵抗が高い金属材料で構成されている。
プリヒーター25に対し搬送方向下流側には、プラテン24が配置されている。プラテン24は、板部材で構成され、記録媒体100にインクが付与されるときに、当該記録媒体100をその下側から支持するものである。このプラテン24は、例えば、ハウジング252の構成材料と同じ材料で構成することができる。
また、プラテン24には、その上面241に開口する多数の開口部(図示せず)が形成されている。これらの開口部は、プラテン24の面方向に沿って行列状に配置されているのが好ましい。
そして、プラテン24の下方には、吸引用ファン28が配置されている。この吸引用ファン28が作動する、すなわち、回転することにより、プラテン24の前記各開口部を介して、当該プラテン24上の記録媒体100を吸引することができる。これにより、インク付与時の記録媒体100の姿勢を安定させることができ、よって、インクが記録媒体100の所望の位置に確実に付与される。
なお、吸引用ファン28としては、特に限定されず、例えば、多翼ファン(シロッコファン)等の各種ファンを用いることができる。
キャリッジ22は、液滴吐出ヘッド23を支持するものである。このキャリッジ22は、例えば、モーターと、モーターに連結されたボールねじと、ボールねじと平行に配置されたリニアガイドとを有する移動機構の作動により、液滴吐出ヘッド23ごとy軸方向に沿って往復動することができる。そして、この往復動をしつつ、記録媒体100がx軸正方向に搬送された状態で、液滴吐出ヘッド23からインクを吐出することにより、記録媒体100にインクで印字することができる。
液滴吐出ヘッド23は、プラテン24の上方に配置される。この液滴吐出ヘッド23は、下方に向かって開口する多数のノズル口(図示せず)を有し、各ノズル口から記録媒体100上にインクを液滴として吐出することができる。
また、液滴吐出ヘッド23の前記各ノズル口は、それぞれ、チューブ231を介して、インクセット(カートリッジ)と連通している。これにより、インクを各ノズル口に供給することができる。
乾燥ヒーター26は、液滴吐出ヘッド23を介して、プラテン24と対向して配置されている。この乾燥ヒーター26は、記録媒体100上にインクが付与されている最中に、インクに向かって赤外線を照射してそのインクの乾燥を促進するものである。
乾燥ヒーター26は、y軸方向に沿って配置された管体261と、管体261内を挿通して配置された発熱体262とを有している。
管体261は、金属材料で構成され、特に鉄で構成されているのが好ましい。なお、管体261のy軸方向に沿った全長は、記録媒体100のy軸方向に沿った幅よりも十分に長いのが好ましい。これにより、管体261(乾燥ヒーター26)の下方を通過する記録媒体100上にインク全体に向けて赤外線を確実に照射することができる。
発熱体262は、通電により発熱するものであり、例えば、ニクロム線等のような電熱線で構成されている。そして、発熱体262が発熱することにより、管体261が加熱されて、赤外線が照射される。これにより、インク中の水分を確実に蒸発させることができ、よって、インクを乾燥させることができる。なお、印刷時に管体261が加熱される際の加熱温度は、例えば、200度以上400度以下であるのが好ましく、250度以上350度以下であるのがより好ましい。
なお、記録媒体100上のインクの乾燥には、記録媒体100の裏面側から加熱する、すなわち、プラテン24が加熱プレートとして機能する構造を採ることも考えられるが、この場合、インクの性質上、インクに膜が生じて、この膜でインク中の水分の蒸発が阻害されるおそれがある。従って、インクの乾燥上、本実施形態のように記録媒体100の表面側から加熱する構造は好ましい。
送風用ファン27は、装置本体2の上部で、搬送方向上流側に配置されている。この送風用ファン27は、搬送方向に沿って風271を送り出すものである。この風271により、インクを加熱したことによって生じた水蒸気を装置本体2の外側へ押し出すことができる。これにより、例えば液滴吐出ヘッド23に結露が生じるのを防止することができる。
なお、送風用ファン27としては、吸引用ファン28と同様に、例えば、多翼ファン等の各種ファンを用いることができる。
以上のような構成の装置本体2は、その下方側から脚部3によって支持されている(図1、図2参照)。脚部3は、フレーム部31と、4つのキャスター32と、2つのアジャスターフット(固定具)33とで構成されている。
フレーム部31は、複数本の棒状の部材311同士を適宜連結、固定して組み立てた組立体である。
各キャスター32は、フレーム部31の下部に、互いに離間して配置、固定されている。これにより、印刷装置1を搬送することができる。
また、各アジャスターフット33もフレーム部31の下部に固定されている。各アジャスターフット33は、それぞれ、4つのキャスター32のうちのx軸負側に位置する2つのキャスター32の近傍に配置されている。印刷装置1の搬送後、当該印刷装置1の移動を規制する、すなわち、固定する際に、各アジャスターフット33をそれぞれ床面に当接させて、その規制を行なことができる。
硬化ユニット4は、装置本体2に対し搬送方向下流側に配置されている。図3〜図8に示すように、この硬化ユニット4は、硬化ヒーター41と、冷却用ファン42と、筐体(ハウジング)43とを有している。
筐体43は、硬化ヒーター41、冷却用ファン42を一括して収納する箱状の部材である。また、この筐体43(硬化ユニット4)の外形形状は、y軸方向に沿った長尺状をなし、その長さは、筐体29(装置本体2)よりも短い。
また、筐体43には、記録媒体100が通過する通路432が設けられている。この432の終点は、記録媒体100が排出される排出口433となっている。
また、筐体43は、その表側の面に、塗装が施された化粧面431を有している。後述するように、硬化ユニット4は、支持機構5により、図1に示す展開状態と、図2に示す折り畳み状態とを取り得る。そして、いずれ状態でも、化粧面431は、印刷装置1の正面側、すなわち、x軸正方向に臨む。これにより、化粧面431を正面に視認ことができ、よって、当該印刷装置1は、審美性を有するものとなっている。
通路432の途中には、当該通路432を通過する記録媒体100のインクが付与された側、すなわち、記録媒体100の表側に、硬化ヒーター41が配置されている。硬化ヒーター41は、記録媒体100上のインクに向かって赤外線を照射することにより、当該インクを加熱して硬化するものである。そして、この硬化により、インクが記録媒体100に確実に定着する。
図3に示すように、硬化ヒーター41は、y軸方向に沿って配置された管体411と、管体411内に挿入された発熱体412とを有している。
管体411は、金属材料で構成され、特に鉄で構成されているのが好ましい。なお、管体411のy軸方向に沿った全長は、記録媒体100のy軸方向に沿った幅よりも十分に長いのが好ましい。これにより、管体411(硬化ヒーター41)の下方を通過する記録媒体100上にインク全体に向けて赤外線を確実に照射することができる。
発熱体412は、通電により発熱するものであり、例えば、ニクロム線等のような電熱線で構成されている。そして、発熱体412が発熱することにより、管体411が加熱されて、赤外線が照射される。これにより、インク中の樹脂成分が硬化する。これにより、印刷物となった、すなわち、インクが硬化した記録媒体100は、耐候性、耐擦性に優れたものとなる。
なお、加熱時の記録媒体100の表面温度は、例えば、80度以上120度以下となるのが好ましく、90度以上110度以下となるのがより好ましい。
また、記録媒体100の表面温度の検出は、例えば赤外線センサー(IRセンサー)を用いることにより可能である。さらに、記録媒体100の表面温度が前記数値範囲に入るように設定するには、赤外線センサーの検出結果に基づいて、硬化ヒーター41のON/OFFを適宜切り換えることにより可能である。
図4〜図8に示すように、硬化ヒーター41に対し搬送方向下流側には、冷却用ファン42が配置されている。冷却用ファン42は、硬化ヒーター41で加熱された記録媒体100に向かって風を送り、当該記録媒体100を冷却するものである。
なお、冷却用ファン42としては、送風用ファン27や吸引用ファン28と同様に、例えば、多翼ファン等の各種ファンを用いることができる。
印刷装置1では、装置本体2と硬化ユニット4とは、支持機構5を介して連結されている。この支持機構5は、硬化ユニット4を装置本体2に対して回動可能(変位可能)に支持するよう構成されている。これにより、硬化ユニット4は、装置本体2に対して最も接近した第1の位置(図2、図8参照)と、第1の位置よりも離間した第2の位置(図1、図3、図4参照)との間を回動することができる。
以下、硬化ユニット4が第1の位置にある状態を「折り畳み状態」と言い、硬化ユニット4が第2の位置にある状態を「展開状態」と言う。なお、印刷装置1で印刷を行なうときには、硬化ユニット4を展開状態として使用する。また、印刷装置1を例えば搬送するときには、硬化ユニット4を折り畳み状態としておくのが好ましい。
支持機構5は、装置本体2(硬化ユニット4)の一端側(y軸正方向)および他端側(y軸負方向)にそれぞれ配置された、第1の板部材(一方の板部材)6と、第1の板部材6に重ねて設けられた第2の板部材(他方の板部材)7と、第1の板部材6と第2の板部材7とを連結する連結部8と、付勢部材としての引張りバネ9とを有する。装置本体2の一端側の部材と、装置本体2の他端側の部材とは、装置本体2をその長手方向の中央部で2分する軸に関して対称的に配置されていること以外は、同じ構成であるため、以下、一端側の部材について代表的に説明する。
なお、装置本体2の両側にそれぞれこれら部材が配置されていることにより、回動操作を容易かつ確実に行なうことができる。
図4〜図8に示すように、第1の板部材6は、板状をなし、その縁部の一部が折り曲げられており、当該折り曲げ部61が複数本のボルト11を介して装置本体2に固定されている。
また、第1の板部材6は、硬化ユニット4の筐体43の側面434と対向しており、円柱状をなす軸部材10aを介して側面434と連結されている。この軸部材10aは、硬化ユニット4が回動する際の回動中心となるものである。
第2の板部材7は、板状をなし、第1の板部材6の外側、すなわち、第1の板部材6の硬化ユニット4の側面434側と反対側に、重ねて配置されている。
この第2の板部材7も、第1の板部材6と同様に、硬化ユニット4の筐体43の側面434と対向している。そして、第2の板部材7は、円柱状をなす軸部材10bを介して側面434と連結されている。軸部材10bにより、第2の板部材7と硬化ユニット4とは相対的に回動することができる(図4〜図8参照)。
なお、図4に示展開状態では、軸部材10aが軸部材10bよりもz軸正側に位置し、かつ、軸部材10bが軸部材10aよりもx軸正側にも位置している。図8に示す折り畳み状態では、軸部材10aが軸部材10bよりもz軸正側に位置し、x軸方向に関しては軸部材10aと軸部材10bとはほぼ同じ位置にある。
また、第2の板部材7の縁部には、その一部が折り曲げられた折り曲げ部が形成されている。この折り曲げ部71は、硬化ユニット4に対する回動操作を行なう際に、指を掛ける、すなわち、把持される操作レバーとして機能する。
図4に示すように、展開状態の硬化ユニット4は、第1の板部材6とボルト12を介して締結され、第2の板部材7とボルト13して締結されている。これにより、展開状態が確実に維持され、よって、印刷装置1で印刷を行なっている最中に硬化ユニット4が不本意に折り畳み状態となるのを確実に防止することができ、また、安定して印刷を行なうことができる。
第1の板部材6、第2の板部材7、軸部材10aおよび10bの構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼等のような比較的硬質の金属材料を用いるのが好ましい。
第1の板部材6と第2の板部材7とは、連結部8を介して連結されている。連結部8は、第1の板部材6に設けられたカム溝81と、第2の板部材7に固定的に設けられ、カム溝81に挿入されるフォロア部82とを有している。
カム溝81は、第1の板部材6の平面視でほぼ「L」字状をなし、第1の溝(縦溝)811と、第1の溝811に連通し、第1の溝811とほぼ直行する方向(異なる方向)に向かって延在する第2の溝(横溝)812とで構成されている。
図4に示すように、展開状態では、フォロア部82が第2の溝812に位置する。また、図8に示すように、折り畳み状態では、フォロア部82が第1の溝811に位置する。そして、展開状態から折り畳み状態に移行する過程では、フォロア部82は、第2の溝812をその延在方向に沿って移動し、第1の溝811と第2の溝812との交差部813を経て、第1の溝811に至る。一方、折り畳み状態から展開状態に移行する過程では、フォロア部82は、前記と反対に移動することとなる。
フォロア部82は、円柱状をなす部材で構成されている。
引張りバネ9は、フォロア部82を装置本体2側に向かって付勢するコイルバネである。引張りバネ9は、その両端部にそれぞれフック91、92が形成されている。フック91は、引張りバネ9が引張られた状態で、第1の板部材6のカム溝81よりも装置本体2側の部分に設けられた係合部62に係合している。フック92も、引張りバネ9が引張られた状態で、フォロア部82の長手方向の途中に設けられた係合部821に係合している。これにより、フォロア部82を装置本体2側に向かって確実に付勢することができ、よって、フォロア部82が不本意にカム溝81内を移動するのを確実に防止することができる。
引張りバネ9の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼等を用いることができる。
次に、硬化ユニット4を展開状態から折り畳み状態に移行する際の操作手順、および、支持機構5の作動状態について、図4〜図8を参照しつつ説明する。この操作は、例えば、2人の作業者により行なわれるのが好ましい。ここでは、2人の作業者のうちの一方の作業者を「第1の作業者」と言い、他方の作業者を「第2の作業者」と言う。
[1] 図4に示すように、硬化ユニット4は、展開状態となっており、支持機構5では、フォロア部82がカム溝81の第2の溝812に位置している。
まず、第1の作業者が硬化ユニット4の長手方向の中央部付近を下側から支え、その状態を維持する。そして、第2の作業者が、硬化ユニット4を第1の板部材6に対して固定しているボルト12と、第2の板部材7に対して固定しているボルト13とをそれぞれ緩めて、取り外す。
[2] 次に、図5に示すように、第1の作業者が、硬化ユニット4を図5中の矢印A方向に向かって持ち上げる。このとき、支持機構5では、引張りバネ9の付勢力に抗して、フォロア部82がカム溝81の交差部813にまで移動し、当該フォロア部82の進行方向前方に位置する縁部814に当接する。これにより、硬化ユニット4に対する持ち上げが規制される。
[3] 次に、図6に示すように、第1の作業者が、装置本体2の一端側に位置する第2の板部材7の折り曲げ部71を図6中の矢印A方向に持ち上げ、これと同様に、第2の作業者が、装置本体2の他端側に位置する第2の板部材7の折り曲げ部71を同じ方向に持ち上げる。これにより、各第2の板部材7は、それぞれ、軸部材10bを中心として図中時計回りに回転することとなる。その際、フォロア部82がカム溝81の第1の溝811に入り込み、当該第1の溝811を移動し始める。
このように印刷装置1では、フォロア部82が第2の溝812から第1の溝811に移動する際に、第2の板部材7の折り曲げ部71を操作して、その移動を補助することができる。これにより、フォロア部82の第2の溝812から第1の溝811への移動が確実に行なわれる。また、この移動が不本意に行なわれるのも防止され、よって、印刷装置1は安全性に優れる。
そして、第1の作業者および第2の作業者が、それぞれ、硬化ユニット4を下方から支えつつ、その力を徐々に緩めて、硬化ユニット4を軸部材10aを中心として図6中の矢印C方向に回動させていく。
[4] 図7に示すように、さらに、硬化ユニット4を軸部材10aを中心として図6中の矢印C方向に回動させていくと、それに伴って、フォロア部82が第1の溝811内を移動し続ける。
[5] そして、遂には、図8に示すように、硬化ユニット4が折り畳み状態となり、第1の作業者および第2の作業者による操作(作業)が完了する。
一方、硬化ユニット4を折り畳み状態から展開状態に移行する際の操作手順、および、支持機構5の作動状態は、前記と反対である。なお、この操作は、2人の作業者で行なわれるのが好ましいが、1人の作業者でも行なうことができる。
また、硬化ユニット4が展開状態に移行した際、支持機構5では、フォロア部82は、引張りバネ9の付勢力により、カム溝81の第2の溝812に勢いよく入り込むこととなる。このとき、フォロア部82は、その進行方向前方に位置する縁部815に衝突して、音を発する。この衝突音は、硬化ユニット4の展開状態への移行完了を報知する報知音となる。この報知音を聴くことにより、硬化ユニット4が展開状態に確実に移行したことを確認することができる。
図1、図2に示すように、装置本体1と硬化ユニット4との総奥行き(x軸方向に沿った総長さ)Dは、折り畳み状態では750mm未満であるのが好ましく、展開状態では900mm以上〜1000mm未満であるのが好ましい。
ところで、一般的なドアは、比較的小さいものでも、幅が750mm程度とされている。印刷装置1を搬入、搬出する際には、幅が750mm程度の小さいドアを印刷装置1が通過しなければならない。この場合、硬化ユニット4を折り畳み状態とすれば、印刷装置1は、総奥行きDが750mm未満となり、このドアを容易かつ確実に通過することができる。
このように、印刷装置1は、小型化に有利な構造のものとなっており、搬入、搬出を容易に行なうことができる。
また、印刷装置1を室内に搬入した後に当該印刷装置1を使用しないときにも、硬化ユニット4を折り畳み状態とすれば、室内を広く使用することができる。
以上、本発明の印刷装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、印刷装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、支持機構は、前記実施形態では硬化ユニットを装置本体に対して回動可能に支持するよう構成されているが、これに限定されず、硬化ユニットを装置本体に対してその奥行き方向に沿って移動可能に支持するよう構成されていてもよい。
支持機構を構成する第1の板部材、第2の板部材、連結部および引張りバネは、前記実施形態では装置本体の一端側および他端側にそれぞれ配置されているが、これに限定されず、装置本体の一端側および他端側のうちの一方に配置されていてもよい。
また、支持機構は、前記実施形態では第1の板部材にカム溝が設けられ、第2の板部材にフォロア部が設けられているが、これに限定されず、第1の板部材にフォロア部が設けられ、第2の板部材にカム溝が設けられていてもよい。
1……印刷装置 2……装置本体 21……搬送手段 211、212……ローラー 22……キャリッジ 23……液滴吐出ヘッド 231……チューブ 24……プラテン 241……上面 25……プリヒーター 251……当接面 252……ハウジング 253……発熱体 26……乾燥ヒーター 261……管体 262……発熱体 27……送風用ファン 271……風 28……吸引用ファン 29……筐体(ハウジング) 3……脚部(スタンド) 31……フレーム部 311……部材 32……キャスター 33……アジャスターフット(固定具) 4……硬化ユニット 41……硬化ヒーター 411……管体 412……発熱体 42……冷却用ファン 43……筐体(ハウジング) 431……化粧面 432……通路 433……排出口 434……側面 5……支持機構 6……第1の板部材(一方の板部材) 61……折り曲げ部 62……係合部 7……第2の板部材(他方の板部材) 71……折り曲げ部 8……連結部 81……カム溝 811……第1の溝 812……第2の溝 813……交差部 814……縁部 815……縁部 82……フォロア部 821……係合部 9……引張りバネ 91、92……フック 10a、10b……軸部材 11、12、13……ボルト 100……記録媒体 D……奥行き(x軸方向に沿った総長さ)

Claims (13)

  1. 記録媒体を搬送する搬送手段と、該搬送手段の作動により搬送された前記記録媒体上にインクを液滴として吐出する液滴吐出ヘッドとを有する装置本体と、
    前記記録媒体上の前記インクを加熱して硬化する硬化ヒーターを有する硬化ユニットと、
    前記装置本体と前記硬化ユニットとを連結し、該硬化ユニットを前記装置本体に対して接近した第1の位置と、該第1の位置よりも離間した第2の位置とに変位可能に支持する支持機構とを備えることを特徴とする印刷装置。
  2. 前記装置本体は、長尺状をなすものであり、
    前記装置本体と前記硬化ユニットとの前記装置本体の長手方向と直交する方向の総長さである奥行きは、該硬化ユニットが前記第1の位置にあるとき750mm未満であり、前記硬化ユニットが前記第2の位置にあるとき900mm以上である請求項1に記載の印刷装置。
  3. 前記支持機構は、前記硬化ユニットを前記装置本体に対して回動可能に支持するよう構成されている請求項1または2に記載の印刷装置。
  4. 前記装置本体は、長尺状をなすものであり、
    前記支持機構は、前記装置本体の一端側および他端側のうちの少なくとも一方に固定され、前記硬化ユニットと連結された第1の板部材と、該第1の板部材に重ねて設けられ、前記硬化ユニットと連結された第2の板部材と、前記第1の板部材と前記第2の板部材とを連結する連結部とを有する請求項3に記載の印刷装置。
  5. 前記連結部は、前記第1の板部材および前記第2の板部材のうちの一方の板部材に設けられたカム溝と、他方の板部材に設けられ、前記カム溝に挿入されるフォロア部とを有する請求項4に記載の印刷装置。
  6. 前記カム溝は、前記第1の位置で前記フォロア部が位置する第1の溝と、該第1の溝に連通し、前記第1の溝と異なる方向に向かって延在し、前記第2の位置で前記フォロア部が位置する第2の溝とを有する請求項5に記載の印刷装置。
  7. 前記他方の板部材は、前記フォロア部が前記第2の溝から前記第1の溝に移動する際に、その移動を補助するために操作される操作レバーを有する請求項6に記載の印刷装置。
  8. 前記支持機構は、前記フォロア部を前記装置本体側に向かって付勢する付勢部材を有する請求項5ないし7のいずれか1項に記載の印刷装置。
  9. 前記硬化ユニットは、前記第2の位置にあるとき、前記第1の板部材および前記2の板部材に対してボルトを介して締結されている請求項4ないし8のいずれか1項に記載の印刷装置。
  10. 前記支持機構は、前記硬化ユニットが前記第1の位置から前記第2の位置に変位した際、その変位の完了を報知する報知音が生じるよう構成されている請求項1ないし8のいずれか1項に記載の印刷装置。
  11. 前記硬化ユニットは、塗装が施された化粧面を有し、
    前記化粧面は、前記第1の位置および前記第2の位置のいずれの位置でも当該印刷装置の正面側に臨む請求項1ないし10のいずれか1項に記載の印刷装置。
  12. 前記硬化ユニットが前記第1の位置に変位した状態で搬入、搬出され、前記硬化ユニットが前記第2の位置に変位した状態で使用される請求項1ないし11のいずれか1項に記載の印刷装置。
  13. 前記硬化ヒーターは、前記記録媒体の前記インクが付与された側に配置され、金属材料で構成された管体と、該管体内に挿入され、通電により発熱する発熱体とを有する請求項1ないし12のいずれか1項に記載の印刷装置。
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