JP6262358B2 - 繊維強化複合材料および繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents

繊維強化複合材料および繊維強化複合材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、繊維強化複合材料および繊維強化複合材料の製造方法に関する。
樹脂材料中にフィラーを配合することが広く行われている。
このようなフィラーとしては、シリカ微粒子や金属微粒子等の球状フィラーや、ウィスカー等の棒状フィラーが知られており、このようなフィラーを配合することによって、樹脂材料の熱膨張係数を低減したり、弾性率、曲げ強度等の機械的強度を高めたりすることが知られている。
また近年、セルロースを充填材として利用した複合体が提案されている。
例えば、特許文献1には、「樹脂材料および繊維状フィラーを含む組成物であって、前記樹脂材料は、アクリル樹脂を含むものであり、前記繊維状フィラーは、セルロース原料を化学的処理および機械的処理の少なくとも一方により微細化されてなる平均繊維径1〜1000nmのセルロース繊維であって、含まれるセルロース分子中の水酸基の一部がアルデヒド基およびカルボキシル基の少なくとも一方で置換されているとともに、含まれるセルロース分子中の水酸基の少なくとも一部がアセチル化されているセルロース繊維で構成されたものであり、前記繊維状フィラーの、JIS K 7120で規定された熱重量測定方法に準拠して測定された180℃における重量減少率が、15重量%以下であることを特徴とする組成物。」が記載されており([請求項1])、この組成物を成形した複合体が記載されている([請求項5])。
また、特許文献2には、「平均繊維径が4〜200nmのセルロース繊維のシート状物とマトリクス材料とを含有し、該マトリクス材料が、ビニル系樹脂、重縮合系樹脂、重付加系樹脂、付加縮合系樹脂、開環重合系樹脂からなる群から選ばれる合成高分子であり、以下の(1)〜(4)を満たす繊維強化複合材料。
(1) セルロース繊維が、植物繊維から分離されたミクロフィブリル化セルロース繊維を更に磨砕処理してなるミクロフィブリル化セルロース繊維である
(2) 繊維強化複合材料中の前記セルロース繊維の含有率が30重量%以上である
(3) 50μm厚換算における波長400〜700nmの光線透過率が70%以上である
(4) 繊維強化複合材料の熱線膨張係数が0.05×10−5〜5×10−5−1である」が記載されている([請求項1])。
特許第5392054号公報 特許第5170153号公報
本発明者らは、特許文献1および2などに記載された従来公知の繊維強化複合材料について検討したところ、樹脂材料の種類によっては、透明性が劣る場合やセルロース繊維との界面において剥離が生じる場合があり、特に、透明性および耐剥離性がいずれも良好な繊維強化複合材料は見当たらないことを明らかした。
そこで、本発明は、透明性および耐剥離性がいずれも良好な繊維強化複合材料およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、セルロース繊維を所定量含有する繊維強化複合材料について、ガラス転移温度において発現する吸熱ピークの熱量が特定の範囲にあると、透明性および耐剥離性がいずれも良好となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] セルロース繊維と樹脂とを含有する繊維強化複合材料であって、
セルロース繊維の含有量が5質量%以上であり、
繊維強化複合材料のガラス転移温度において発現する吸熱ピークの熱量が0.04〜21J/gである、繊維強化複合材料。
[2] 吸熱ピークの熱量の分布が1%以上50%以下である、[1]に記載の繊維強化複合材料。
[3] 繊維強化複合材料の密度の分布が1%以上20%以下である、[1]または[2]に記載の繊維強化複合材料。
[4] 25℃から100℃の昇温測定における寸法変化率が−1.5%以上0.6%以下であり、
100℃から25℃の降温測定における寸法変化率が0.007%以上0.4%以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の繊維強化複合材料。
[5] セルロース繊維と樹脂とを含有する繊維強化複合材料を作製する繊維強化複合材料の製造方法であって、
セルロース繊維と樹脂との複合物を得る複合化工程と、
複合物に対して、複合物のガラス転移温度より180℃低い温度または40℃のいずれか高い温度以上ガラス転移温度以下の温度で、1時間以上100日間以下の時間で熱処理を施し、繊維強化複合材料を作製する熱処理工程とを有する、繊維強化複合材料の製造方法。
[6] 熱処理工程が、1℃以上20℃以下の温度変動を与えて熱処理を施す工程である、[5]に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
[7] 複合化工程と熱処理工程との間に、複合物に対して、複合物のガラス転移温度より20℃高い温度からガラス転移温度より30℃低い温度までの温度領域で3℃/秒以上200℃/秒以下の冷却速度で冷却を施す冷却工程を有する、[5]または[6]に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
本発明によれば、透明性および耐剥離性がいずれも良好な繊維強化複合材料およびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[繊維強化複合材料]
本発明の繊維強化複合材料(以下、「本発明の複合材料」ともいう。)は、セルロース繊維と樹脂とを含有する繊維強化複合材料であって、セルロース繊維の含有量が5質量%以上であり、繊維強化複合材料のガラス転移温度(Tg)において発現する吸熱ピーク(以下、「Tg吸熱ピーク」ともいう。)の熱量が0.04〜21J/gである、繊維強化複合材料である。
ここで、「ガラス転移温度(Tg)において発現する吸熱ピークの熱量」とは、下記(1)〜(5)に示す手順により、温度変調法を用いた示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry(DSC))により測定した熱量をいう。
(1)繊維強化複合材料を10±5mg精秤量し、Al(アルミニウム)パンに入れ、N2下、広範な温度範囲(例えば、−100℃〜350℃)で、JIS K 7121:2012に従い、昇温速度10℃/minで、予備的にガラス転移温度(予備Tg)を測定する。
(2)繊維強化複合材料を10±5mg精秤量し、Alパンに入れ、N2下、予備Tg−50℃〜予備Tg+50℃まで3℃/minで昇温しながら振幅=1℃、周期60Hzの変調をかけながらDSC測定を行う。
(3)可逆成分のサーモグラムを取り出し、縦軸に比熱をとり横軸に温度を取る。比熱が階段状に変化する中点を繊維強化複合材料のTgとする。
(4)非可逆成分のサーモグラムを取り出し、縦軸に比熱をとり横軸に温度を取る。上記(3)で求めたTg±15℃の間に最大点を有するピークを「吸熱ピーク」とし、この吸熱ピークとベースラインとで囲まれる面積から吸熱量を算出する。
(5)この測定を繊維強化複合材料の任意の10点で測定し、算出される吸熱量の平均値を「Tg吸熱ピークの熱量」とする。なお、算出される吸熱量の最大値と最小値の差を平均値で割り、百分率で示したものを後述する「Tg吸熱ピークの熱量の分布」とする。
本発明の複合材料は、上述した通り、セルロース繊維を所定量含有し、Tg吸熱ピークの熱量が0.04〜21J/gであることにより、透明性および耐剥離性がいずれも良好となる。
このように透明性および耐剥離性がいずれも良好となる理由は、詳細には明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
ここで、一般的に、化合物は、昇温してTgを超えると分子運動が活発となり自由体積が急増するが、この状態の熱量をDSCで測定すると、自由体積の増加に伴う吸熱が観測される。そのため、Tg以下の温度域での自由体積が小さいと、Tg以上での自由体積との差が大きくなり、より吸熱量が増加する。
すなわち、Tg吸熱ピークの熱量が0.04〜21J/gを示すことにより、繊維強化複合材料の自由体積が十分に小さくなり、その結果、自由体積中に存在する微小空間(例えば、セルロース繊維と樹脂との微細な隙間など)を低減することにより、透明性が良好になったと考えられる。また、微小空間の低減に伴い、微小空間に存在する水分量も低減し、更に繊維強化複合材料に存在する樹脂の密度が増加し、変形が生じにくくなったことにより、耐剥離性が良好になったと考えられる。
なお、樹脂自体の自由体積も小さくなっていると考えられるが、本発明は、樹脂とともにセルロース繊維を含有する複合材料であるため、意外にも樹脂の自由体積の低減に起因する脆さなどの影響は見られなかった。
本発明においては、透明性および耐剥離性がより良好となる理由から、繊維強化複合材料のTg吸熱ピークの熱量は、0.12〜13J/gであるのが好ましく、0.20〜5J/gであるのがより好ましい。
本発明においては、耐剥離性がより良好となる理由から、Tg吸熱ピークの熱量の分布が1%以上50%以下であるのが好ましく、2%以上40%以下であるのがより好ましく、3%以上30%以下であるのが更に好ましい。
このように耐剥離性がより良好となる理由は、詳細には明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
すなわち、繊維強化複合材料において自由体積の小さい部分が偏在していることにより、変形に対する脆さが緩和され、その結果、耐剥離性が向上したと考えられる。
本発明においては、耐剥離性がより良好となる理由から、繊維強化複合材料の密度の分布が1%以上20%以下であるのが好ましく、2%以上18%以下であるのがより好ましく、3%以上16%以下であるのが更に好ましい。
ここで、密度は、下記(1)〜(3)に示す手順により、密度計により測定した密度をいう。
(1)繊維強化複合材料を0.5±0.1gサンプリングする。
(2)サンプルの水浸漬前後の質量を比重計(例えば、東京硝子器械社製 電子比重計 EW−200SG)を用いて測定し、密度を算出する。なお、水浸漬前の質量は、サンプルを25℃、相対湿度50%の環境下で12時間調湿した後に測定し、水浸漬後の質量は、25℃の純水を満たした槽の中にサンプルを3分以上浸漬させた後に水槽中で測定した。
(3)この測定を繊維強化複合材料の任意の10点で測定し、算出される密度の平均値を「密度」とし、算出される密度の最大値と最小値の差を平均値で割り、百分率で示したものを「密度の分布」とする。
繊維強化複合材料の密度の分布が1%以上20%以下であることにより耐剥離性がより良好となる理由は、詳細には明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
すなわち、繊維強化複合材料においてセルロース繊維の含有率に分布が生じ、降温時や昇温時の寸法変化に対する歪みの発生が抑制され、その結果、耐剥離性が向上したと考えられる。
本発明においては、耐剥離性がより良好となる理由から、繊維強化複合材料の25℃から100℃の昇温測定における寸法変化率(以下、「昇温寸法変化率」ともいう。)が−1.5%以上0.6%以下であるのが好ましく、−1.2%以上0.4%以下であるのがより好ましく、−1.0%以上0.3%以下であるのが更に好ましい。
同様に、耐剥離性がより良好となる理由から、繊維強化複合材料の100℃から25℃の降温測定における寸法変化率(以下、「降温寸法変化率」)が0.007%以上0.4%以下であるのが好ましく、0.01%以上0.3%以下であるのがより好ましく、0.05%以上0.2%以下であるのが更に好ましい。
ここで、昇温寸法変化率および降温寸法変化率は、それぞれ、下記(1)〜(4)に示す手順により測定し、算出した変化率をいう。
(1)サンプルをある方向(MD方向)に4mm×16mmのサイズで切り出し、TMAのチャックにチャック間8mmでセット、サンプル断面積1mmあたり0.5Nの張力を付与する。
(2)N気流中、25℃から100℃まで5℃/分で昇温させた後、直ちに100℃から25℃まで5℃/分で降温させる。
(a)100℃の寸法から昇温前の25℃の寸法を差し引き、昇温前のチャック間距離で割り、百分率で示した値を「MDの昇温寸法変率」とする。
(b)100℃の寸法から降温後の25℃の寸法を差し引き、昇温前のチャック間距離で割り、百分率で示した値を「MDの降温寸法変率」とする。
(3)サンプルを上記MD方向と90度異なる方向(TD方向)に4mm×16mmのサイズで切り出し、上記(1)および(2)と同様の方法で、「TDの昇温寸法変率」および「TDの降温寸法変率」を求める。
(4)「MDの昇温寸法変率」および「TDの昇温寸法変率」の平均値を「昇温寸法変率」とし、「MDの降温寸法変率」および「TDの降温寸法変率」の平均値を「降温寸法変率」とする。
繊維強化複合材料の昇温寸法変化率および降温寸法変化率が上述した範囲となることにより耐剥離性がより良好となる理由は、詳細には明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
すなわち、繊維強化複合材料の寸法変化に起因する歪みの発生が抑制され、その結果、耐剥離性が向上したと考えられる。
以下に、繊維強化複合材料に含まれるセルロース繊維および樹脂について詳述する。
〔セルロース繊維〕
本発明の複合材料に含まれるセルロース繊維とは、植物細胞壁の基本骨格などを構成するセルロースのミクロフィブリル、または、これを構成する繊維のことである。
このようなセルロース繊維としては、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、綿、ビートパルプ、ポテトパルプ、農産物残廃物、布、紙等に含まれる植物由来の繊維が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
木材としては、例えば、シトカスプルース、スギ、ヒノキ、ユーカリ、アカシア等が挙げられる。
紙としては、例えば、脱墨古紙、段ボール古紙、雑誌、コピー用紙等が挙げられる。
パルプとしては、例えば、植物原料を化学的もしくは機械的に又は両者を併用してパルプ化することで得られるケミカルパルプ(クラフトパルプ(KP)、亜硫酸パルプ(SP))、セミケミカルパルプ(SCP)、セミグランドパルプ(CGP)、ケミメカニカルパルプ(CMP)、砕木パルプ(GP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等が挙げられる。
上記セルロース繊維としては、リグニンはできるだけ取り除かれていることが、植物繊維中のセルロース繊維の凝集を防ぐことができるという点で好ましい。
ここで、リグニンの除去率(含有率)は、繊維強化複合材料中、5質量%以下であるのが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。また、リグニンの除去率の下限は、特に限定されるものではなく、0質量%に近いほど好ましい。なお、リグニンの除去は、具体的には、国際公開第2012/120971号に記載された方法等により達成することができる。
上記セルロース繊維は、化学修飾および/または物理修飾を施して機能性を高めたものであってもよい。
ここで、化学修飾としては、例えば、エーテル化、エステル化、イソシアネート化などによって、アセチル基、メタクリロイル基、プロパノイル基、ブタノイル基、iso−ブタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピパロイル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基などを付加させることなどが挙げられる。
また、物理修飾としては、金属やセラミック原料を、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングなどの物理蒸着法(PVD法)、化学蒸着法(CVD法)、無電解メッキや電解メッキなどのメッキ法などにより表面被覆させる方法が挙げられる。
上記セルロース繊維は、通常、繊維径4nm程度の単位繊維の集合体であるが、透明性がより良好となる理由から、上記セルロース繊維の平均繊維径は、1〜1000nmであるのが好ましく、また、耐剥離性がより良好となる理由から、2〜200nmであるのがより好ましく、3〜100nmであるのが更に好ましく、3〜50nmであるのが特に好ましい。
同様に、上記セルロース繊維の平均長さは、耐剥離性がより良好となる理由から、100〜10000nmであるのが好ましく、300〜7000nmであるのがより好ましく、500〜5000nmであるのが更に好ましい。
上記セルロース繊維の調製方法は特に限定されず、例えば、セルロース繊維を媒体中に分散させた分散体からセルロース繊維を得る方法;産生物を水洗またはアルカリ処理して、バクテリアを溶解除去してバクテリアセルロースを得る方法;リグニンなどを除去した植物細胞壁、あるいは、海草やホヤの被嚢に、直接、力を加え、叩解や粉砕を行い、これらを形成する繊維をバラバラにし、セルロース繊維を得る方法;などが挙げられる。
これらの方法は、従来公知の方法を適宜採用することができ、例えば、特許第4998981号公報の[0024]〜[0032]段落に記載された方法、特許第4743749号公報の[0029]〜[0041]段落に記載された方法、特許第4743749号公報の[0054]〜[0059]段落に記載された方法などが具体的に挙げられる。
その他の方法としては、化学処理法として、例えば、特許第5381338号公報、特許第4981735号公報、特許第5404131号公報、特許第5329279号公報、特許第5285197号公報、特許第5179616号公報、特許第5178931号公報、特許第5330882号公報、特許第5397910号公報などに記載された方法が挙げられ、機械処理法として、例えば、特許第5500842号公報、特許第5283050号公報、特許第5207246号公報、特許第5170193号公報、特許第5170153号公報、特許第5099618号公報、特許第4845129号公報、特許第4766484号公報、特許第4724814号公報、特許第4721186号公報、特許第4428521号公報、国際公開第11/068023号、特許第5477265号公報、特開2014−84434号公報などが挙げられる。
これらの調製方法のうち、化学的または物理的に開解砕する方法が好ましい。
物理的解砕法としては、例えば、セルロース繊維含有材料の水懸濁液やスラリーを、リファイナー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、一軸又は多軸混練機、ビーズミル等により機械的に摩砕または叩解することにより解繊する方法が挙げられる。なお、必要に応じて、上記の解繊方法を組み合わせて処理してもよい。
また、化学的に解砕する方法としては、例えば、セルロース系原料を、N−オキシル化合物と、臭化物および/またはヨウ化物の存在下で、酸化剤を用いて酸化し、さらに酸化されたセルロースを湿式微粒化処理して解繊し、ナノファイバー化することにより製造することができる。
本発明においては、繊維強化複合材料に含まれるセルロース繊維の含有量は、繊維強化複合材料の全質量に対して5質量%以上であり、耐剥離性がより良好となる理由から、5〜90質量%であるのが好ましく、10〜70質量%であるのがより好ましく、15〜60質量%であるのが更に好ましい。
〔樹脂〕
本発明の複合材料に含まれる樹脂は特に限定されず、天然高分子や合成高分子が挙げられる。
ここで、天然高分子としては、再生セルロース系高分子が挙げられ、再生セルロース系高分子としては、例えば、セロハン、トリアセチルセルロースなどが挙げられる。
また、合成高分子としては、例えば、ビニル系樹脂、重縮合系樹脂、重付加系樹脂、付加縮合系樹脂、開環重合系樹脂などが挙げられる。
<ビニル系樹脂>
ビニル系樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などの汎用樹脂や、ビニル重合によって得られるエンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。これらのビニル系樹脂は、各樹脂内において構成される各単量体の単独重合体や共重合体であってもよい。
なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリルまたはメタクリルを表す表現である。
ポリオレフィンとしては、具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ブタジェン、ブテン、イソプレン、クロロプレン、イソプチレン、イソプレンなどの単独重合体または共重合体、あるいは、ノルポルネン骨格を有する環状ポリオレフィンなどが挙げられる。
塩化ビニル系樹脂としては、具体的には、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの単独重合体または共重合体が挙げられる。
酢酸ビニル系樹脂としては、具体的には、例えば、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルの加水分解体であるポリビニルアルコール、酢酸ビニルに、ホルムアルデヒドやn−ブチルアルデヒドを反応させたポリビニルアセタール、ポリビニルアルコールやプチルアルデヒドなどを反応させたポリビニルブチラールなどが挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド類などの単独重合体または共重合体が挙げられる。
ここで、(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸またはメタクリル酸が挙げられる。
また、(メタ)アクリロニトリルとしては、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルが挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸系単量体、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどが挙げられる。
シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチルなどが挙げられる。
また、(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミドなどのN置換(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
<重縮合系樹脂>
重縮合系樹脂としては、例えば、アミド系樹脂やポリカーボネートなどが挙げられる。
アミド系樹脂としては、具体的には、例えば、6,6−ナイロン、6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、4,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロンなどの脂肪族アミド系樹脂やフェニレンジアミンなどの芳香族ジアミンと、塩化テレフタロイルや塩化イソフタロイルなどの芳香族ジカルボン酸またはその誘導体と、からなる芳香族ポリアミドなどであってもよい。
ポリカーボネートとは、ビスフェノールAやその誘導体であるビスフェノール類と、ホスゲンまたはフェニルジカーボネートとの反応物のことである。
<重付加系樹脂>
重付加系樹脂としては、例えば、エステル系樹脂、Uポリマー、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ウレタン樹脂などが挙げられる。
エステル系樹脂としては、具体的には、例えば、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、不飽和ポリエステルなどが挙げられる。
芳香族ポリエステルとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの後述するジオール類とテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸との共重合体が挙げられる。
脂肪族ポリエステルとしては、後述するジオール類とコハク酸、吉草酸などの脂肪族ジカルボン酸との共重合体や、グリコール酸や乳酸などのヒドロキシカルボン酸の単独重合体または共重合体、後述するジオール類、上記の脂肪族ジカルボン酸および上記のヒドロキシカルボン酸の共重合体などが挙げられる。
不飽和ポリエステルとしては、後述するジオール類、無水マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸、および、必要に応じてスチレンなどのビニル単量体との共重合体が挙げられる。
Uポリマーとしては、具体的には、例えば、ビスフェノールAやその誘導体であるビスフェノール類、テレフタル酸およびイソフタル酸などからなる共重合体が挙げられる。
ポリエーテルケトン類としては、具体的には、例えば、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンや4,4’−ジヒドロベンゾフェノンなどの単独重合体や共重合体が挙げられる。
ポリエーテルエーテルケトンとしては、具体的には、例えば、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンとハイドロキノンなどとの共重合体が挙げられる。
アルキド樹脂としては、ステアリン酸、パルチミン酸などの高級脂肪酸と無水フタル酸などの二塩基酸、および、グリセリンなどのポリオールなどからなる共重合体が挙げられる。
ポリイミド系樹脂としては、無水ポリメリト酸や4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどの共重合体であるピロメリト酸型ポリイミド、無水塩化トリメリト酸やp−フェニレンジアミンなどの芳香族ジアミンや、後述するジイソシアネート化合物などからなる共重合体であるトリメリト酸型ポリイミド、ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、P−フェニレンジアミンなどからなるビフェニル型ポリイミド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸や4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどからなるベンゾフェノン型ポリイミド、ビスマレイイミドや4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどからなるビスマレイイミド型ポリイミドなどが挙げられる。
ポリスルホンとしては、具体的には、例えば、4,4’−ジクロロジフェニルスルホンやビスフェノールAなどの共重合体が挙げられる。
ポリフェニレンスルフィドとしては、具体的には、例えば、P−ジクロロベンゼンや硫化ナトリウムなどの共重合体が挙げられる。
ポリエーテルスルホンとしては、具体的には、例えば、4−クロロ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンの重合体が挙げられる。
ウレタン樹脂としては、ジイソシアネート類とジオール類との共重合体が挙げられる。
ジイソシアネート類としては、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロへキシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
ジオール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの比較的低分子量のジオールや、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
<付加縮合系樹脂>
付加縮合系樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。
フェノール樹脂としては、具体的には、例えば、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどの単独重合体または共重合体が挙げられる。
尿素樹脂やメラミン樹脂としては、具体的には、例えば、ホルムアルデヒドや尿素、メラミンなどの共重合体が挙げられる。
<開環重合系樹脂>
開環重合系樹脂としては、例えば、ポリアルキレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂などが挙げられる。
ポリアルキレンオキシドとしては、具体的には、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどの単独重合体または共重合体が挙げられる。
ポリアセタールとしては、具体的には、例えば、トリオキサン、ホルムアルデヒド、エチレンオキシドなどの共重合体が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、具体的には、例えば、エチレングリコールなどの多価アルコールとエピクロロヒドリンとからなる脂肪族系エポキシ樹脂、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとからなる脂肪族系エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂のうち、透明性がより良好となる理由から、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ノボラック樹脂、ユリア樹脂、グアナミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化型ポリイミド、スチリルピリジン系樹脂、トリアジン系樹脂などの熱硬化樹脂を用いるのが好ましく、中でも、透明性が更に向上するアクリル樹脂、メタクリル樹脂を用いるのがより好ましい。
また、これらの樹脂のうち、耐剥離性がより良好となる理由から、ガラス転移温度が50℃以上である樹脂が好ましく、100℃以上250℃以下である樹脂がより好ましく、120℃以上200℃以下である樹脂が更に好ましい。
上述したセルロース繊維および樹脂を含有する本発明の複合材料は、例えば、後述する本発明の繊維強化複合材料の製造方法により作製することができる。
[繊維強化複合材料の製造方法]
本発明の繊維強化複合材料の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう。)は、セルロース繊維と樹脂との複合物を得る複合化工程と、上記複合物に対して、上記複合物のガラス転移温度より180℃低い温度または40℃のいずれか高い温度以上ガラス転移温度以下の温度で、1時間以上100日間以下の時間で熱処理を施し、繊維強化複合材料を作製する熱処理工程とを有する、繊維強化複合材料の製造方法である。
ここで、セルロース繊維および樹脂については、上述した本発明の繊維強化複合材料において記載したものと同義である。
以下に、複合化工程および熱処理工程ならびに任意の工程について詳述する。
〔複合化工程〕
セルロース繊維と樹脂との複合物を得る複合化工程は特に限定されず、従来公知の手法を適宜採用することができる。
複合化工程としては、例えば、セルロース繊維および樹脂を溶媒中に分散または溶解して混合流動物または混合溶液を調製する工程と、所望の形状(例えば、シート状など)に成形する工程と、溶媒を除去する工程とを有する方法(以下、「方法A」と略す。);セルロース繊維および樹脂を溶融して混合し、混合溶融物を調製する工程と、所望の形状(例えば、シート状など)に成形する工程とを有する方法(以下、「方法B」と略す。);セルロース繊維の集合体に樹脂を付与する方法(以下、「方法C」と略す。)等が挙げられる。
<方法A>
上記方法Aとしては、例えば、以下に示す溶液製膜法(キャスト法)、湿式抄紙法等が挙げられる。
(キャスト法)
キャスト法は、溶媒中にセルロース繊維および樹脂を分散または溶解させた混合流動物または混合溶液を、基材上に流延塗布し、溶媒を除去して膜を得る方法である。
具体的には、例えば、有機溶媒中に溶解させた樹脂に、セルロース繊維の粉末を添加した混合流動物を調製し、この混合流動物から、セルロース繊維および樹脂の複合物の膜状またはシート状物を得ることができる。
このキャスト法は、後述する溶融混練法に比べ耐熱性の懸念が少なく、幅広く適用することができる。
また、キャスト法において、基材上に流延塗布された混合流動物から溶媒を除去する方法としては、例えば、基材として液透過性基材(例えば、厚み方向に貫通する液透過孔を多数有する多孔性基材)を用いる方法が挙げられる。この方法では、混合流動物を液透過性基材上に塗布することにより、混合流動物の溶媒は多孔性基材を透過して除去され、固形分(セルロース繊維および樹脂の複合物)は多孔性基材上にこし取られる。また、別の溶媒除去法としては、混合流動物または混合溶液を基材上に流延塗布した後、この混合流動物または混合溶液を自然乾燥または熱風乾燥等の乾燥法により乾燥する方法が挙げられる。
また、キャスト法において、溶媒除去後に得られた膜に対して実施する熱プレスは、例えば、金属板を用いた押圧式、ロータリー式等公知の装置を用いて行うことができる。
また、セルロース繊維と樹脂との均一な複合物を得る方法としては、次の方法が有効である。すなわち、水等の溶媒中にセルロース繊維を分散させてスラリーを調製し、このスラリーに樹脂を添加し、更に必要に応じ、セルロース繊維および樹脂以外の他の成分(例えば無機材料)を添加し、分散させて均一な複合物を得る方法が有効である。このスラリーにおける溶媒としては、通常は水が好ましいが、水以外にも目的に応じて水に可溶な有機溶媒(アルコール類、エーテル類、ケトン類等)を使用してもよく、これらの溶媒の混合物も好適に使用できる。また、このスラリーにおける固形分濃度は、分散を容易にする観点から、30質量%以下が好ましい。また、このスラリーの調製に使用する分散機としては、例えば、離解機、叩解機、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等を用いることができる。
(湿式抄紙法)
湿式抄紙法は、セルロース繊維と共に用いる樹脂が、バイオマス由来の高分子の一種である多糖類(例えば、パルプ等の非熱可塑性のもの)である場合に特に有効である。
この湿式抄紙法では、先ず、セルロース繊維と樹脂(多糖類)とを均一に混合させたスラリーを調製し、このスラリーを常法に従って湿式抄紙機の網の上に流して薄く平にすることで、湿潤状態のシート状複合物(湿潤ウエブ)を形成する。この湿潤ウエブに、必要に応じて脱水処理を施した後、乾燥処理を施すことにより、シート状の複合物が得られる。
湿式抄紙法において、湿潤ウエブの脱水・乾燥処理は、例えば、通常の湿式抄紙法における抄紙工程のプレスパートおよびドライヤーパートを利用して行うことができる。具体的には、先ず、プレスパートにおいて、湿潤ウエブに必要に応じフェルト(毛布)を当てて上下から圧縮することで、湿潤ウエブ中の水分を搾り取り、次いで、ドライヤーパートにおいて、乾燥手段を用いて、脱水処理がなされた湿潤ウエブを乾燥する。こうして、シート状の複合物が得られる。乾燥手段に特に制限はなく、ヤンキードライヤーやエアースルードライヤー等を用いることができる。また、湿式抄紙機は、例えば、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、オントップ抄紙機、ハイブリッド抄紙機、丸網抄紙機等を用いることができる。なお、湿式抄紙法は、シート状の複合物の製造のみならず、所望の立体形状の複合物の製造にも利用可能である。
方法Aとしては、上述した具体的な方法以外に、例えば、特開2011−105799号公報、特開2011−68707号公報、特開2011−27898号公報、特開2008−209595号公報、国際公開第2013/031687号に記載された方法を適宜採用することもできる。
<方法B>
上記方法Bとしては、例えば、加熱されて溶融状態の樹脂にセルロース繊維を添加し、樹脂が溶融状態を維持しているうちにこれらを混錬し、均一な複合物を成形する方法(溶融混錬法)などが挙げられる。
溶融混練法における混練装置としては、例えば、単軸軸混練押出機、二軸混練押出機、加圧ニーダー等の公知の装置が使用できる。
溶融混練法としては、具体的には、例えば、セルロース繊維および樹脂を溶融押出機に投入し溶融混練した後、ダイからキャストしたり、インジェクションしたりすることで、セルロース繊維および樹脂の複合物を得ることができる。
また、樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合、粉末状のセルロース繊維を、溶融状態の熱可塑性樹脂中に添加した後、二軸混錬機を用いてセルロース繊維粉末を熱可塑性樹脂中に均一分散させた樹脂ペレットを調製し、この樹脂ペレットを加熱圧縮することにより、シート状の複合物が得られる。
また、公知のプラスチック成形法、具体的には、射出成形、注形成形、押出成形、ブロー成形、延伸成形、発泡成形等を利用して、ブロック状その他の立体形状を有する複合物を得ることができる。
方法Bとしては、上述した具体的な方法以外に、例えば、特開2013−151661号公報、特開2013−056958号公報、国際公開第2013/099770号、特開2013−14741号公報、国際公開第2013/031601号に記載された方法を適宜採用することもできる。
<方法C>
上記方法Cとしては、例えば、セルロース繊維の集合体に、樹脂を含有する含浸用液状物を含浸させる方法などが挙げられる。
ここで、含浸用液状物としては、流動状の樹脂材料、流動状の樹脂材料の原料、樹脂材料を流動化させた流動化物、樹脂材料の原料を流動化させた流動化物、樹脂材料の溶液、および樹脂材料の原料の溶液から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
上記流動状の樹脂材料としては、樹脂材料そのものが流動状であるもの等をいう。また、上記流動状の樹脂材料の原料としては、例えば、プレポリマーやオリゴマー等の重合中間体等が挙げられる。
また、上記樹脂材料を流動化させた流動化物としては、例えば、熱可塑性のマトリクス材料を加熱溶融させた状態のもの等が挙げられる。
更に、上記樹脂材料の原料を流動化させた流動化物としては、例えば、プレポリマーやオリゴマー等の重合中間体が固形状の場合、これらを加熱溶融させた状態のもの等が挙げられる。
また、上記樹脂材料の溶液や樹脂材料の原料の溶液とは、樹脂材料や樹脂材料の原料を溶媒等に溶解させた溶液が挙げられる。この溶媒は、溶解対象の樹脂材料や樹脂材料の原料に合わせて適宜決定されるが、後工程でこれを除去するに当たり、蒸発除去する場合、上記樹脂材料や樹脂材料の原料の分解を生じさせない程度の温度以下の沸点を有する溶媒が好ましい。
このような含浸用液状物を、セルロース繊維の集合体、好ましくはセルロース繊維のシート状物に含浸させて、繊維間に含浸用液状物を十分に浸透させる。この含浸工程は、その一部または全部を、圧力を変化させた状態で行うのが好ましい。この圧力を変化させる方法としては、減圧または加圧が挙げられる。減圧または加圧とした場合、繊維間に存在する空気を含浸用液状物と置き換えることが容易となり、気泡の残存を防止することができる。
上記の減圧条件としては、空気の除去能や減圧設備の観点から、0.133kPa(1mmHg)〜93.3kPa(700mmHg)が好ましい。
また、減圧条件下における含浸工程の処理温度は、空気を除去が十分となる観点から、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。なお、温度の上限は、例えば、含浸用液状物に溶媒を用いた場合、その溶媒の沸点(当該減圧条件下での沸点)が好ましい。
同様に、上記の加圧条件としては、空気の除去能や減圧設備の観点から、1.1〜10MPaが好ましい。
また、加圧条件下における含浸工程の処理温度は、空気の除去や樹脂材料の変性を抑制する観点から、0〜300℃が好ましく、10〜100℃がより好ましい。
繊維に含浸させた含浸用液状物を硬化させるには、含浸用液状物の硬化方法に従って行えばよく、例えば、含浸用液状物が流動状の樹脂材料の場合は、架橋反応、鎖延長反応等が挙げられる。また、含浸用液状物が流動状の樹脂材料の原料の場合は、重合反応、架橋反応、鎖延長反応等が挙げられる。
また、含浸用液状物が樹脂材料を流動化させた流動化物の場合は、冷却等が挙げられる。また、含浸用液状物が樹脂の原料を流動化させた流動化物の場合は、冷却等と、重合反応、架橋反応、鎖延長反応等の組合せが挙げられる。
また、含浸用液状物が樹脂の溶液の場合は、溶液中の溶媒の蒸発や風乾等による除去等が挙げられる。更に、含浸用液状物が樹脂の原料の溶液の場合は、溶液中の溶媒の除去等と、重合反応、架橋反応、鎖延長反応等との組合せが挙げられる。なお、上記蒸発除去には、常圧下における蒸発除去だけでなく、減圧下における蒸発除去も含まれる。
本発明の製造方法においては、本発明の複合材料に上述した密度分布を付与する観点から、例えば、上述した方法A〜Cにおいては、送液ポンプの流速(吐出量)に0.1%以上10%以下の変動を付与することが好ましく、0.2%以上7%以下の変動を付与することがより好ましく、0.3%以上5%以下の変動を付与することが更に好ましい。
ここで、上述した方法AおよびBにおいては、セルロース繊維のチクソトロピー性が強く、僅かな吐出変動で粘度が大きく変化するため、送液ポンプの流量に変動を付与することで、セルロース繊維は樹脂以上に変動し、形成される複合物に密度分布を付与させることができる。
一方、上述した方法Cにおいては、水等の溶媒にセルロース繊維を分散させた分散溶液を用いてセルロース繊維のシート状物を形成する際に、送液ポンプの流量に変動を付与することで、形成される複合物に密度分布を付与させることができる。
このような変動は、送液ポンプ、押出機のモーターの回転数に上記変動を付与することで達成できる。
〔熱処理工程〕
熱処理工程は、複合化工程により得られた複合物のガラス転移温度より180℃低い温度(Tg−180℃)または40℃のいずれか高い温度以上ガラス転移温度(Tg)以下の温度で、1時間以上100日間以下の時間で熱処理を施す工程である。
本発明においては、このような熱処理を施すことにより、繊維強化複合材料がより安定な構造となり、すなわち自由体積が小さくなり、上述したTg吸熱ピークの熱量(0.04〜21J/g)を示すことになる。
上記熱処理における温度条件は、透明性および耐剥離性がより良好となる理由から、Tg−160℃(または40℃のいずれか高い温度)以上Tg−5℃以下であるのが好ましく、Tg−140℃(または40℃のいずれか高い温度)以上Tg−10℃以下であるのがより好ましい。
同様に、上記熱処理における時間は、2時間以上60日間以下であるのが好ましく、3時間以上40日間以下であるのがより好ましい。
本発明の製造方法においては、本発明の複合材料に上述したTg吸熱ピークの熱量の分布を付与する観点から、1℃以上20℃以下の温度変動を与えて熱処理を施すのが好ましく、2℃以上18℃以下の温度変動を与えて熱処理を施すのがより好ましく、3℃以上15℃以下の温度変動を与えて熱処理を施すのが更に好ましい。
このような温度変動は、熱処理を施す際に、複合物を加熱庫等に保管し、温度変化させればよい。温度変化は時間変化でもよく、場所で温度ムラを与えてもよい。前者は保管温度を時間変調させればよく、後者は加熱庫に吹き込む温調風を複数設置し、これらに温度差を付与することで達成できる。
〔冷却工程〕
本発明の製造方法は、本発明の複合材料に上述した昇温寸法変化率および降温寸法変化率を付与し、耐剥離性がより良好とする観点から、上述した複合化工程と熱処理工程との間に、複合物に対して、複合物のガラス転移温度より20℃高い温度(Tg+20℃)からガラス転移温度より30℃低い温度(Tg−30℃)までの温度領域で3℃/秒以上200℃/秒以下の冷却速度で冷却を施す冷却工程を有するのが好ましい。
ここで、冷却速度は、10℃/秒以上150℃/秒以下であるのが好ましく、20℃/秒以上100℃/秒以下であるのが好ましい。
このような冷却は、繊維樹脂複合物を冷媒に接触させればよく、冷風を吹き当ててもよく、冷水等に漬けてもよい。またシート状の場合は、冷却したロール等に接触させてもよい。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
<セルロース繊維>
(1)水溶液の調製
下記(a)〜(d)に示すタイプのセルロース繊維水溶液を調製した。
(a)破砕型A
特許第5500842号公報の実施例1([0073]および[0074]段落)に記載された方法で、セルロース繊維の水溶液を調製した。なお、ブレンダー撹拌処理は、撹拌時間を10分で実施した。
(b)破砕型B
特許第5477265号公報の[0071]段落に記載された方法で、セルロース繊維の水溶液を調製した。
(c)TEMPO型
特許第5381338号公報の実施例1([0040]段落)に記載された方法で、セルロース繊維の水溶液を調製した。
(d)アシル化
上記(a)で調製した水溶液を用いて、特許第5462227号公報の実施例1([0015]段落)に準じて、無水コハク酸を添加してアシル化(セルロースモノエステル化)したセルロース繊維の水溶液を調製した。
(2)セルロース繊維の固体化
上述した各タイプの水溶液に塩酸を加え、pH=2とした後に、界面活性剤(Sunbright MEPA−2000:NOF社製)をセルロース繊維の固形分と同質量添加した。
次いで、凍結乾燥を施し、セルロース繊維を得た。
(3)セルロース繊維含有シートの作製
後述する複合化工程において、セルロース繊維含有シートを用いた方法(シート法)を用いる場合には、以下の方法で作製したセルロース繊維含有シートを用いた。
具体的には、特開2014−84431号公報の実施例1([0036]段落)に記載された製膜法に準じて、セルロース繊維の水溶液をダイヘッドより工程基材(ポリエチレンテレフタレートのフィルム)上に押出し、80℃で熱風乾燥し、得られたセルロース繊維含有シートを工程基材から剥離することにより、セルロース繊維含有シートを得た。
なお、セルロース繊維含有シートは、この上に樹脂溶液塗布し乾燥して使用するが、塗布乾燥後の厚みが50μmになるように、下記式に従いセルロース繊維含有シートの厚みを調整した。このとき、セルロース繊維の水溶液をキャストするためにダイに送液するポンプに、下記表1に示す吐出変動を与えた。なお、下記表1に示す吐出変動は、セルロース繊維含有シート
式: セルロース繊維含有シートの厚み=50μm×(α/100)μm
ここで、式中αは、セルロース繊維の質量%(下記表1参照)を示す。
<樹脂>
下記表1中に示す樹脂として、以下の樹脂を用いた。
・PLA:ポリ乳酸(BIOLLY、Tg=60℃、JSR社製)
・COC:COC(トパス6017、Tg=170℃、ポリプラスチック社製)
・COP−A:COP(アートンF4520、Tg=160℃、JSR社製)
・COP−Z:COP(1020r、Tg=100℃、日本ゼオン社製)
・PAr:ポリアリレート(ユニファイナーM2040、Tg=220℃、ユニチカ社製)
〔実施例1〜5、参考例6、実施例7〜11、参考例12、実施例13〜39、参考例40、実施例41〜45、参考例46、比較例1〜6〕
下記表1に示す複合化工程、冷却工程および熱処理工程の条件に従い、繊維強化複合材料を作製した。
なお、比較例4および実施例33、ならびに、比較例5および実施例34については、後述する方法に従い、繊維強化複合材料を作製した。
また、以下の説明において、参考例6、12、40および46は、それぞれ、実施例6、12、40および46と表記する。
<複合化工程(成形法)>
(1)混練押出し
樹脂としてPLAを用い、セルロース繊維としてアシル化タイプを用いた例については、混練押出しにより、セルロース繊維と複合化した。
具体的には、PLAと乾燥後のセルロース繊維とを下記表1に示すセルロース繊維の質量%(残部が樹脂)となるように2軸混練押出機に投入し、180℃で混練した後、ダイ上にキャストして50μmの膜を製膜した。この時、押し出し機のスクリューの駆動モーターに下記表1に記載の変動を与えた。
(2)混練押出し+延伸処理
樹脂としてPLAを用い、セルロース繊維としてTEMPO型を用いた例については、上記(1)と同様の方法で混練押出し、セルロース繊維と複合化した。
ただし、下記条件で延伸した後の厚みが50μmになるように吐出量を調整して行った。
<延伸条件>
・縦延伸:80℃で3倍延伸
・横延伸:90℃で3.3倍延伸
・結晶化緩和:145℃に加熱しながら幅方向に3%緩和
(3)溶液製膜法(キャスト法)
樹脂としてCOC、COP−AおよびPArを用いた例については、溶液製膜法により、セルロース繊維と複合化した。
具体的には、トルエンに各樹脂を20質量%となるように溶解した後、下記表1の質量%となるようにセルロース繊維を添加し、撹拌した。なお、撹拌にはビーズミルと超音波洗浄機を用いて実施した。
次いで、乾膜厚みが50μmとなるようポンプで送液し、ダイからキャストした。このとき送液ポンプのモーター回転数に下記表1に記載の変動を与えた。
次いで、トルエンの沸点−10℃で15分乾燥し、各樹脂のTgで1時間乾燥し、更にTg+30℃で15分乾燥し、複合物を形成した。
(4)シート法
樹脂としてCOP−Zを用いた例については、上述したセルロース繊維含有シートを用いて複合化した。
具体的には、セルロース繊維含有シートの両面に、シクロヘキサンにCOP−Zを20質量%となるように溶解した溶液を塗設し、上記溶液製膜法と同様に乾燥し、複合物を形成した。なお、乾燥後の厚みが50μmになるよう、樹脂の塗布量を調整した。
<冷却工程>
複合化工程の後、複合物のガラス転移温度より20℃高い温度(Tg+20℃)からガラス転移温度より30℃低い温度(Tg−30℃)までの温度領域で、下記表1に示す冷却速度で冷却を施した。
<熱処理工程>
冷却工程後の複合物に対し、下記表1に記載する条件で熱処理を施した。
〔比較例4および実施例33〕
<セルロース繊維>
特許第5392054号公報の作製例1([0129]〜[0134]段落)に記載された方法に準じて、セルロース繊維を含有する水溶液を調製した。なお、下記表1中、セルロース繊維のタイプを「TEMPO−2」と表記する。
<樹脂>
比較例4については、特許第5392054号公報の実施例2([0137]段落)と同様、水溶性アクリル樹脂(東亞合成製、ジュリマー AT−510、ガラス転移温度28℃)を用いた。
実施例33については、COC(トパス6017、Tg=170℃、ポリプラスチック社製)を用いた。
<複合化工程>
特許第5392054号公報の実施例2([0137]段落)に記載された方法に従い、フィルム状の複合物を作製した。なお、比較例4については、比較例は吐出変動を行わなかった。
次いで、特許第5392054号公報の実施例2([0138]段落)に記載された方法に従い、アセチル化した。なお、比較例4については、アセチル化は行わなかった。
<冷却工程>
複合物(実施例33についてはアセチル化後の複合物)に対して、複合物のガラス転移温度より20℃高い温度(Tg+20℃)からガラス転移温度より30℃低い温度(Tg−30℃)までの温度領域で、下記表1に示す冷却速度で冷却を施した。
<熱処理工程>
冷却工程後の複合物に対し、下記表1に記載する条件で熱処理を施した。なお、比較例4については熱処理を施さなかった。
〔比較例5および実施例34〕
<セルロース繊維>
特開2010−180416号公報の製造例1([0148][0149]段落)に記載された方法に準じて、セルロース繊維を含有する水溶液を調製した。なお、下記表1中、セルロース繊維のタイプを「BC」と表記する。
<樹脂>
特開2010−180416号公報の[0160]段落([表2])に記載されたアクリル樹脂B(アロニックスUV3701、Tg:250℃以上、結晶性なし、東亜合成社製)を用いた。
<複合化工程>
特開2010−180416号公報の[0169]段落([表3])に記載されたサンプルNo.6と同様の方法(含浸)で複合化し、複合物を作製した。
なお、実施例34については、ホットプレスのプレス板に凹凸を付与し、下記表1に記載の「密度の面内分布」を達成した。
<冷却工程>
複合物に対して、複合物のガラス転移温度より20℃高い温度(Tg+20℃)からガラス転移温度より30℃低い温度(Tg−30℃)までの温度領域で、下記表1に示す冷却速度で冷却を施した。なお、比較例5については熱処理を施さなかった。
<熱処理工程>
冷却工程後の複合物に対し、下記表1に記載する条件で熱処理を施した。なお、比較例4については熱処理を施さなかった。
作製した各繊維強化複合材料について、Tg吸熱ピークの熱量および分布、昇温および降温寸法変化率、密度の分布を上述した方法で測定した。結果を下記表1に示す。
また、作製した各繊維強化複合材料について、以下に示す方法で、耐剥離性および透明性を評価した。これらの評価結果を下記表1に示す。
<耐剥離性>
作製した各繊維強化複合材料について、表面から厚みの半分程度まで剃刀で切れ目を入れ、5mm間隔で縦方向に10個、横方向に10個、合計100個のマス目状の切れ目を形成した。
次いで、25℃、相対湿度60%で1時間調湿した後、100℃の空気恒温槽に15分挿入し、25℃、相対湿度60%で1時間調湿する。この操作を10回繰り返す。
その後、マイラーテープを貼り付け、勢い良く剥がし、はがれた升目の和を数えた。これを剥離故障の発生率(%)とした。発生率の値が小さい程、耐剥離性が良好であることを示す。
<透明性>
作製した各繊維強化複合材料について、分光光度計を用いて400nm〜700nmの光線透過率(%)を測定し、その平均値を透過率として算出した。
表1に示す結果から、熱処理時間が短く、Tg吸熱ピークの熱量が0.04J/g未満である比較例1や、熱処理時間が長く、Tg吸熱ピークの熱量が21J/g超である比較例2で作製した繊維強化複合材料は、耐剥離性が劣ることが分かった(比較例1および2)。
また、セルロース繊維の含有量が5質量%未満である繊維強化複合材料は、耐剥離性が劣ることが分かった(比較例3)。
また、特許文献1(特許第5392054号公報)に相当する比較例4や、特許文献2(特許第5170153号公報)に相当する比較例5で作製した繊維強化複合材料は、比較例1と同様、Tg吸熱ピークの熱量が0.04J/g未満となり、耐剥離性が劣ることが分かった(比較例4および5)。
また、延伸処理を施し、結晶性を向上させた樹脂を用いた場合は、Tg吸熱ピークの熱量が0.04J/g未満であると、透明性が劣ることが分かった(比較例6)。
これに対し、実施例1〜46に示す結果から、セルロース繊維を5質量%以上含有し、Tg吸熱ピークの熱量が0.04〜21J/gである繊維強化複合材料は、透明性および耐剥離性がいずれも良好となることが分かった(実施例1〜46)。
また、実施例1〜5の対比から、Tg吸熱ピークの熱量が0.12〜13J/gにあると、透明性および耐剥離性がいずれも更に良好となることが分かった。
また、実施例6〜12の対比から、Tg吸熱ピークの熱量の分布が1%以上50%以下であると、透明性および耐剥離性がいずれも更に良好となることが分かった。
また、実施例13〜19の対比から、密度の分布が1%以上20%以下であると、透明性および耐剥離性がいずれも更に良好となることが分かった。
また、実施例20〜32の対比から、昇温寸法変化率が−1.5%以上0.6%以下であり、降温寸法変化率が0.007%以上0.4%以下であると、耐剥離性が更に良好となることが分かった。

Claims (5)

  1. セルロース繊維と樹脂とを含有する繊維強化複合材料であって、
    前記セルロース繊維の含有量が5質量%以上であり、
    前記繊維強化複合材料のガラス転移温度において発現する吸熱ピークの熱量が0.04〜21J/gであり、
    前記吸熱ピークの熱量の分布が1%以上50%以下である、繊維強化複合材料。
  2. 前記繊維強化複合材料の密度の分布が1%以上20%以下である、請求項1に記載の繊維強化複合材料。
  3. 25℃から100℃の昇温測定における寸法変化率が−1.5%以上0.6%以下であり、
    100℃から25℃の降温測定における寸法変化率が0.007%以上0.4%以下である、請求項1または2に記載の繊維強化複合材料。
  4. セルロース繊維と樹脂とを含有する繊維強化複合材料を作製する繊維強化複合材料の製造方法であって、
    前記セルロース繊維と前記樹脂との複合物を得る複合化工程と、
    前記複合物に対して、前記複合物のガラス転移温度より180℃低い温度または40℃のいずれか高い温度以上ガラス転移温度以下の温度で、1時間以上100日間以下の時間で熱処理を施し、繊維強化複合材料を作製する熱処理工程とを有し、
    前記熱処理工程が、1℃以上20℃以下の温度変動を与えて前記熱処理を施す工程である、繊維強化複合材料の製造方法。
  5. 前記複合化工程と前記熱処理工程との間に、前記複合物に対して、前記複合物
    のガラス転移温度より20℃高い温度からガラス転移温度より30℃低い温度までの温度領域で3℃/秒以上200℃/秒以下の冷却速度で冷却を施す冷却工程を有する、請求項に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
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