JP5160804B2 - 複数の微小樹脂の懸濁液 - Google Patents

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本発明は、繊維強化樹脂で形成された成形体などに有用な懸濁液、及びその製造方法、その懸濁液を用いて得られる粉粒状組成物、並びに、その粉粒状組成物を含む繊維強化樹脂、及びその成形体に関する。
比較的径が小さい微小樹脂、特に、繊維径が小さい繊維状微小樹脂(又は微小繊維)は、種々の添加剤、例えば、樹脂成形体の強度を向上させるためのフィラーとして、また、不織布状シートの強度を改善するための強化剤又は紙力強化剤、濾過性能を向上させるための濾過助剤、食品添加物などに広く利用されている。
また、繊維状微小樹脂は、表面積の大きさ、均一分散性、絡み合い、粉体保持性などの特性を利用して、物質強度の向上以外にも、隠蔽性、絶縁性、軽量化などの改善において、広く実用化されている。
特に、繊維強化樹脂のフィラーとして繊維状微小樹脂を用いる場合、その繊維長及び繊維径によって、繊維強化樹脂の物性は大きく変化し、一般的には、繊維長が長く、繊維径が小さいほど、少ない添加量で、繊維強化樹脂の特性が向上できることが知られている。
例えば、特表平9−509694号公報(特許文献1)には、熱可塑性ポリマーマトリックスとセルロース充填材とを含む組成物において、セルロース充填材が個別化されたミクロフィブリルセルロースを含み、このミクロフィブリルセルロースは平均長さがミクロメートル以上で、直径が約2〜30ナノメートルであることが開示されている。この文献には、ポリマーマトリックスとしてポリマー粒子を含むポリマーラテックスが記載され、ポリマーラテックスとミクロフィブリルセルロースの水溶性懸濁液とを撹拌下で混合して水溶性組成物を得ることが記載されている。さらに、この文献では、セルロースのミクロフィブリル化において、ホモジナイザーを使用することが記載されている。しかし、この方法では、ミクロフィブリルセルロースとポリマーラテックスとを均一に混合することは困難である。また、ポリマーラテックスを用いるため、使用できるポリマー粒子の種類が制限され、また、コスト面においても有用でない。
また、特開2005−042283号公報(特許文献2)には、脂肪族ポリエステルとポリ乳酸とで構成された樹脂成分と、一次壁及び二次壁外層を傷つけた前処理パルプ及び/又はセルロース繊維で構成された繊維成分とを、セルロース非晶領域膨潤剤の存在下で溶融混練処理して脂肪族ポリエステル組成物を製造する方法が開示されている。しかし、この文献では、水などのセルロース非晶領域膨潤剤を使用するため、混練中に発泡が生じる可能性があり、しかも、均一に混練することは困難である。そのため、分散不良が生じ、得られた成形体の強度低下を引き起こし、繊維成分を添加した効果がないばかりか、逆に成形体の強度が低くなる可能性がある。また、一次壁及び二次壁外層を傷つけた前処理パルプ及び/又はセルロース繊維を混練しただけでは、ナノレベルまで叩解できず、ナノフィラーとしての効果を得ることができない。
特表平9−509694号公報(請求項1、6、第8頁第7〜9行) 特開2005−042283号公報(請求項4)
従って、本発明の目的は、複数の微小樹脂が溶媒中に均一に分散した懸濁液及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、複数の微小樹脂が溶媒中に均一に分散した懸濁液を簡便に、かつ効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、複数の微小樹脂が均一に混合した粉粒状組成物及び繊維強化樹脂を提供することにある。
本発明の別の目的は、強度が高い成形体を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、溶媒中で、特定サイズの繊維状樹脂及び/又は不定形状樹脂に機械的剪断力を作用させると、前記繊維状樹脂及び/又は不定形状樹脂が微小化され、溶媒中に均一に分散した懸濁液が得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の懸濁液は、複数の微小樹脂を含有し、かつ、溶媒中で、複数の原料樹脂に機械的剪断力を作用させて得られる懸濁液であって、前記複数の原料樹脂が、平均繊維長0.01〜5mm及び平均繊維径0.001〜500μmを有する繊維状樹脂、及び/又は平均径0.01〜50mmを有する不定形状樹脂である。前記複数の微小樹脂の少なくとも一種が、繊維状微小樹脂であってもよい。また、繊維状微小樹脂の平均繊維長(L)が0.01〜1mm程度、平均繊維径(D)が0.001〜1μm程度、アスペクト比(L/D)が100〜10000程度であってもよい。前記繊維状微小樹脂の割合は、複数の微小樹脂中0.1〜90重量%程度であってもよい。前記懸濁液は、繊維状微小樹脂と不定形状微小樹脂とで構成され、前記不定形状微小樹脂の平均粒子径は1mm以下であってもよい。
本発明には、前記懸濁液から溶媒を除去した粉粒状組成物も含まれる。
また、本発明には、溶媒中で、複数の原料樹脂に機械的剪断力を作用させて前記懸濁液を製造する方法であって、前記複数の原料樹脂として、平均繊維長0.01〜5mm及び平均繊維径0.001〜500μmを有する繊維状樹脂、及び/又は平均径0.01〜50mmを有する不定形状樹脂を用いる前記懸濁液の製造方法も含まれる。前記製造方法では、ホモジナイズ処理で機械的剪断力を作用させてもよい。前記ホモジナイズ処理により、複数の原料樹脂を高度に微小化するため、均一に分散できる。
本発明には、少なくとも前記粉粒状組成物含む繊維強化樹脂も含まれる。前記繊維強化樹脂は、粉粒状組成物と、前記粉粒状組成物と同種の樹脂とで構成されていてもよい。また、本発明には、前記繊維強化樹脂で形成された成形体も含まれる。
本発明では、溶媒中で、特定サイズの繊維状樹脂及び/又は不定形状樹脂に機械的剪断力を作用させることにより、前記繊維状樹脂及び/又は不定形状樹脂が微小化され、複数の微小樹脂が互いに入り組むため、複数の微小樹脂が溶媒中に均一に分散した懸濁液を得ることができる。このような懸濁液の溶媒を乾燥して得られた粉粒状組成物は、懸濁液同様に複数の微小樹脂が均一に混合している。そのため、少なくとも前記粉粒状組成物を含む繊維強化樹脂で形成された成形体の強度を向上できる。
本発明の懸濁液は、溶媒中で、複数の原料樹脂に機械的剪断力を作用させて製造することができる。
前記原料樹脂としては、特に制限されず、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂(ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなど)、マレイミド系樹脂、ポリベンゾイミダゾール(PBI)系樹脂、ポリイソシアネート系樹脂などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリケトン系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
ポリアミド系樹脂としては、ポリアミド5、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6/66、ポリアミド6/11などの脂肪族ポリアミド;脂環族ポリアミド;ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミドMXDなどの芳香族ポリアミド;これらのポリアミドのうち少なくとも二種の異なったポリアミド形成成分により形成されるコポリアミドなどが挙げられる。これらのポリアミド系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
飽和ポリエステル系樹脂としては、芳香族ポリエステル(テレフタル酸単位を含むポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート;ナフタレン酸単位を含むポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンナフタレートなどのポリアルキレンナフタレートなど);脂肪族ポリエステル(アジピン酸単位を含むポリエステル、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペートなどのポリアルキレンアジペート;ポリ乳酸など)、ポリアリレート、液晶性ポリエステルなどが挙げられる。これらのポリエステルは、通常、結晶性を有している。なお、結晶性ポリエステルは、構成成分以外のジカルボン酸成分及び/又はグリコール成分により変性されていてもよい。これらのポリエステル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
ポリフェニレンオキシド系樹脂としては、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)オキシドなどの単独重合体、これらの単独重合体をベースとして構成された変性ポリフェニレンオキシド共重合体、ポリフェニレンオキシド又はその共重合体にスチレン系重合体がグラフトしている変性グラフト共重合体などが挙げられる。これらのポリフェニレンオキシド系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
ポリフェニレンスルフィド系樹脂としては、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリビフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホンなどが挙げられる。これらのポリフェニレンスルフィド系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
オレフィン系樹脂としては、オレフィン系単量体の単独重合体の他、オレフィン系単量体の共重合体、オレフィン系単量体と他の共重合性単量体との共重合体が含まれる。オレフィン系単量体としては、例えば、鎖状オレフィン類[エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどのα−C2−20オレフィン(好ましくはα−C2−10オレフィン、さらに好ましくはα−C2−4オレフィン)など]、環状オレフィン類[例えば、シクロペンテンなどのシクロアルケン(C4−10シクロアルケンなど);シクロペンタジエンなどのシクロアルカジエン(C4−10シクロアルカジエンなど);ノルボルネン、ノルボルナジエンなどのビシクロアルケン又はビシクロアルカジエン(C8−20ビシクロアルケン又はビシクロアルカジエンなど);ジヒドロジシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンなどのトリシクロアルケン又はトリシクロアルカジエン(C10−25トリシクロアルケン又はトリシクロアルカジエンなど)など]などが挙げられる。これらのオレフィン系単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。上記オレフィン系単量体のうち、エチレン、プロピレンなどのα−C2−4オレフィンなどの鎖状オレフィン類が好ましい。
他の共重合性単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル;(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル系単量体;マレイン酸、無水マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸又はその無水物;ブタジエンなどのジエン類などが挙げられる。これらの共重合性単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記オレフィン系樹脂の具体例としては、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などの鎖状オレフィン類(特にα−C2−4オレフィン)の共重合体などが挙げられる。また、オレフィン系単量体と他の共重合性単量体との共重合体の具体例としては、例えば、鎖状オレフィン類(特にα−C2−4オレフィン)と脂肪酸ビニルエステル単量体との共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンープロピオン酸ビニル共重合体など);鎖状オレフィン類と(メタ)アクリル系単量体との共重合体[鎖状オレフィン類(特にα−C2−4オレフィン)と(メタ)アクリル酸との共重合体(例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーなど);鎖状オレフィン類(特にα−C2−4オレフィン)とアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体(例えば、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体など)など];鎖状オレフィン類(特にα−C2−4オレフィン)とジエン類との共重合体(例えば、エチレン−ブタジエン共重合体など)などが挙げられる。
アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシルなどの(メタ)アクリル酸アルキル;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;(メタ)アクリル酸グリシジルエステルなど]、アクリルアミド、アクリロニトリルなどのアクリル系モノマーの単独重合体又は共重合体;アクリル系モノマーと他のモノマーとの共重合体などが挙げられる。
前記アクリル系単独重合体又は共重合体としては、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。アクリル系モノマーと他のモノマーとの共重合体としては、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。これらのアクリル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
セルロース系樹脂としては、木材由来のセルロース(針葉樹、広葉樹などの木材パルプなど)、種子毛由来のセルロース(コットンリンター、ボンバックス綿、カポックなど)、ジン皮由来のセルロース(例えば、麻、コウゾ、ミツマタなど)などの高等植物由来のセルロース;セルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどの有機酸エステル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロースなどの無機酸エステル;硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステル;ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロースなど);カルボキシアルキルセルロース(カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロースなど);アルキルセルロース(メチルセルロース、エチルセルロースなど)などのセルロース誘導体などが挙げられる。これらのセルロース系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの原料樹脂のうち、特に、ポリイミド系樹脂などの熱硬化性樹脂;オレフィン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリケトン系樹脂、アクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂;セルロース系樹脂などである場合が多い。
前記原料樹脂の形状は、ミクロフィブリル化が可能であればよいが、簡便性やミクロフィブリル化の点から、不定形状(ペレット状、粉粒状など)、繊維状が好ましい。原料樹脂は複数用いられ、その形状は、不定形状又は繊維状であればよいが、複数の原料樹脂のうち、ミクロフィブリル化の点から、少なくとも一種が繊維状であるのが好ましい。また、本発明の懸濁液を繊維強化樹脂などに用いる場合など、強化繊維となる繊維状樹脂に対して、他のマスターバッチとなる樹脂の形状は、特に制限されないが、コスト面、簡便性などの点から不定形(特に、ペレット状)であるのが好ましい。
繊維状樹脂としては、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維などの有機繊維が挙げられ、例えば、前記原料樹脂の項で例示の樹脂で構成された繊維などが挙げられる。これらの繊維状樹脂のうち、合成繊維[ポリイミド系繊維などの熱硬化性樹脂繊維;芳香族ポリアミド系繊維などのポリアミド系繊維、ポリアリレートなどの飽和ポリエステル系繊維、ポリフェニレンオキシド系繊維、ポリフェニレンスルフィド系繊維、ポリケトン系繊維、アクリル系繊維などの熱可塑性樹脂繊維]、天然繊維[セルロース系繊維(セルロース誘導体など)など]などが好ましい。特に、樹脂に添加したり、乾式配合によって剛性を上げるためには、高剛性・高弾性率である芳香族ポリアミド系繊維などのポリアミド系繊維などが好ましい。また、コスト面、環境面などを考慮すると、セルロース系繊維などが好ましい。これらの繊維状樹脂も、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。さらに、前記繊維状樹脂は、二種以上の樹脂で構成された複合繊維であってもよい。
このような繊維状樹脂の平均繊維長は、0.01〜5mm(例えば、0.01〜3mm)、好ましくは0.03〜4mm(例えば、0.05〜2.5mm)、さらに好ましくは0.06〜3mm(特に、0.1〜2mm)程度であり、通常0.1〜5mm程度である。また、繊維状樹脂の平均繊維径は、0.001〜500μm(例えば、0.003〜400μm)、好ましくは0.005〜450μm(例えば、0.006〜400μm)、さらに好ましくは0.01〜300μm(例えば、0.1〜250μm)程度である。
繊維状樹脂の割合は、複数の原料樹脂中0.1〜100重量%から選択でき、例えば、0.1〜90重量%、好ましくは5〜85重量%、さらに好ましくは10〜80重量%(特に、20〜70重量%)程度であってもよい。
不定形状(ペレット状又は粉粒状)樹脂は、前記原料樹脂の項で例示の樹脂で構成された不定形状樹脂であってもよい。これらの不定形状樹脂は、同種の不定形状樹脂であってもよく、異種の不定形状樹脂の組合せであってもよい。さらに、前記不定形状樹脂は、二種以上のアロイ品であってもよい。これらの不定形状樹脂のうち、オレフィン系樹脂(例えば、鎖状オレフィン類の単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体などの鎖状オレフィン類の共重合体、特に、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのα−C2−4オレフィンの単独重合体など)、飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの熱可塑性樹脂が好ましい。なお、不定形状樹脂は、前記例示の繊維状樹脂を構成する樹脂と同じであってもよいが、通常、異なる場合が多い。
不定形状樹脂の平均径は、0.01〜50mm、好ましくは0.05〜45mm、さらに好ましくは0.1〜40mm程度である。
不定形状樹脂の割合は、複数の原料樹脂中10〜100重量%から選択でき、例えば、10〜99.9重量%、好ましくは15〜95重量%、さらに好ましくは20〜90重量%(特に、30〜80重量%)程度であってもよい。
また、前記複数の原料樹脂が、不定形状樹脂及び繊維状樹脂である場合、前記不定形状樹脂と繊維状樹脂との割合(固形分重量比)は、不定形状樹脂/繊維状樹脂=10/90〜99.9/0.1、好ましくは15/85〜95/5、さらに好ましくは20/80〜90/10(特に、30/70〜80/20)程度であってもよい。
前記溶媒としては、原料樹脂に化学的又は物理的損傷を与えない限り特に制限されず、例えば、水、有機溶媒[アルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソプロパノールなどC1−4アルカノールなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのジC1−4アルキルエーテル、テトラヒドロフランなどの環状エーテル(環状C4−6エーテルなど))、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンなどのジアルキルケトン(ジC1−5アルキルケトンなど);シクロヘキサノンなどのシクロアルカノン(C4−10シクロアルカノンなど))、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン系炭化水素類(塩化メチル、フッ化メチルなど)など]などが挙げられる。
これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。また、これらの溶媒のうち、生産性、コストの点から、水が好適であり、必要により、水と水性有機溶媒(C1−4アルカノール、アセトンなど)との混合溶媒を用いてもよい。
前記複数の原料樹脂は、溶媒中に存在していればよく、特に、前記原料樹脂の切断が生じないような条件で、溶媒に分散させるのが好ましい。
溶媒中の複数の原料樹脂の合計の濃度は、0.001〜50重量%、好ましくは0.005〜40重量%、さらに好ましくは0.01〜30重量%程度であってもよい。
また、複数の原料樹脂の分散は、例えば、慣用の分散機(超音波分散機、ホモディスパー、スリーワンモーターなど)などを用いて行ってもよい。なお、前記分散機は、機械的撹拌手段(撹拌棒、撹拌子など)を備えていてもよい。
前記原料樹脂を、超音波処理の他、機械的剪断力を作用させて微小化することができる。前記機械的剪断力は、機械的な剪断力を作用させて原料樹脂を微小化できる限り特に制限されず、例えば、叩解処理(ホモジナイズ処理、リファイナー処理など)などの機械的剪断力や、超音波処理を作用させてもよく、特に、ホモジナイズ処理などの叩解処理で機械的剪断力を作用させるのが好ましい。これらの機械的剪断力は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。なお、必要により、機械的剪断力に先だって、慣用の予備叩解処理を行ってもよい。
ホモジナイズ処理では、慣用の均質化装置(例えば、ホモジナイザー、特に、高圧ホモジナイザーなど)を使用することができる。
なお、高圧ホモジナイザーは、内部に狭まった流路(例えば、オリフィス(小径オリフィスなど)など)を備え、前記分散液を狭まった流路に通過させることにより、圧力を負荷し、容器内壁などの壁面に衝突させることにより、剪断応力又は切断作用を付与するタイプの装置であってもよい。
このような高圧ホモジナイザーにおいて、狭まった流路を通過させることにより負荷される圧力(又は高圧ホモジナイザーへ圧送する圧力(又は処理圧力))は、例えば、30〜100MPa、好ましくは35〜80MPa、さらに好ましくは40〜60MPa(例えば、45〜55MPa)程度であってもよい。
また、狭まった流路の通過と壁面への衝突とを繰り返して行うことにより、前記原料樹脂の微小化、及び分散液の均質化の程度を適宜調整することができる。狭まった流路の通過と壁面への衝突との繰り返し数(又は処理回数(又はパス回数))は、5〜30回、好ましくは、7〜25回、さらに好ましくは10〜20回(例えば、12〜18回)程度であってもよい。
なお、このような高圧ホモジナイザーによる微小化の詳細は、例えば、特公昭60−19921号公報などを参照できる。
なお、複数の原料樹脂を別々に機械的剪断力により微小化した後、混合し、均一化してもよいが、分散性の点で、溶媒に複数の原料樹脂を分散させて機械的剪断力を作用させるのが好ましい。
このような方法により、安定な懸濁液(又はスラリー状懸濁液)の状態で得ることができる。前記懸濁液において、複数の原料樹脂が高度に微小化され、複数の微小樹脂が互いに入り組んでいるため、微小樹脂が溶媒中に均一に分散している。
前記微小樹脂の形状は、不定形状(ペレット状、粉粒状など)、繊維状などであってもよい。前記複数の微小樹脂は、少なくとも一種が繊維状であるのが好ましく、特に、繊維状微小樹脂と不定形状(特に、ペレット状)微小樹脂との組合せなどであってもよい。
繊維状微小樹脂(又は微小繊維)の平均繊維長(L)は、0.01〜1mm(例えば、0.02〜0.7mm)、好ましくは0.03〜0.9mm、さらに好ましくは0.05〜0.8mm(特に、0.06〜0.7mm)程度であってもよい。また、繊維状微小樹脂の平均繊維径(D)は、0.001〜1μm、好ましくは0.005〜0.8μm、さらに好ましくは0.01〜0.6μm(特に、0.1〜0.4μm)程度であってもよい。繊維状微小樹脂のアスペクト比(L/D)は、100〜10000、好ましくは200〜8000、さらに好ましくは400〜6000(特に、600〜4000)程度であってもよい。なお、また、前記繊維状微小樹脂の平均繊維長及び平均繊維径は、叩解処理前の繊維状樹脂の平均繊維長及び平均繊維径と同じか又はそれ以下である。
前記繊維状微小樹脂の割合は、複数の微小樹脂中0.1〜100重量%から選択でき、例えば、0.1〜90重量%、好ましくは5〜85重量%、さらに好ましくは10〜80重量%(特に、20〜70重量%)程度であってもよい。
不定形状(ペレット状又は粉粒状)微小樹脂の平均粒子径は、1mm以下(例えば、0.001〜1mm)、好ましくは0.005〜0.9mm、さらに好ましくは0.01〜0.8mm(特に、0.1〜0.7mm)程度であってもよく、特に0.5mm以下が好ましい。なお、前記不定形状微小樹脂の平均粒子径は、叩解処理前の不定形状樹脂の平均径と同じか又はそれ以下である。
前記不定形状微小樹脂の割合は、複数の微小樹脂中10〜100重量%から選択でき、例えば、10〜99.9重量%、好ましくは15〜95重量%、さらに好ましくは20〜90重量%(特に、30〜80重量%)程度であってもよい。
また、複数の微小樹脂が、不定形状微小樹脂及び繊維状微小樹脂である場合、不定形状微小樹脂と繊維状微小樹脂との割合(固形分重量比)は、不定形状微小樹脂/繊維状微小樹脂=10/90〜99.9/0.1、好ましくは15/85〜95/5、さらに好ましくは20/80〜90/10(特に、30/70〜80/20)程度であってもよい。
前記懸濁液において、複数の微小樹脂の合計の濃度は、0.001〜50重量%、好ましくは0.005〜40重量%、さらに好ましくは0.01〜30重量%程度であってもよい。
前記懸濁液は、必要により、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、安定剤[酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤など)、収縮防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤など]、滑剤、離型剤、潤滑剤、衝撃改良剤、着色剤(染料や顔料など)、可塑剤、難燃剤、抗菌剤、防腐剤、防カビ剤、防虫剤、消臭剤などを含有していてもよい。前記添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
添加剤の割合は、前記複数の微小樹脂の合計(固形分)100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部程度であってもよい。
このようにして得られる懸濁液は、さらに、懸濁液から溶媒を除去して粉粒状組成物としてもよい。このような粉粒状組成物は、複数の微小樹脂が均一に混合している。
溶媒の除去方法としては、慣用の脱液処理(例えば、濾過、圧搾、遠心分離など)、乾燥処理などが挙げられる。これらの処理は、適宜組み合わせて使用してもよいが、少なくとも乾燥処理するのが好ましく、例えば、濾過などにより脱液した後、乾燥してもよい。
乾燥温度は、20〜300℃程度の広い範囲から選択できるが、複数の微小樹脂のガラス転移温度(Tg)より低い温度、例えば、25〜250℃、好ましくは28〜200℃、さらに好ましくは30〜150℃(特に40〜130℃)程度であってもよい。このような温度で乾燥すると、複数の微小樹脂が熱により接着することなく、微小化による効果を得ることができる。
乾燥には、必要に応じて、公知の乾燥機、例えば、ナウター型乾燥機、棚型乾燥機、加熱ジャケット付回転式混合機などが使用できる。
前記粉粒状組成物の平均粒子径は、0.01〜10mm、好ましくは0.05〜7mm、さらに好ましくは0.1〜5mm程度であってもよい。
前記粉粒状組成物は、必要に応じて、粉砕処理、ペレタイズ処理などに供してもよい。粉砕には、公知の粉砕機、例えば、サンプルミル、ハンマーミル、カッターミルなどを使用してもよい。また、ペレタイズ処理には、公知のペレット化装置、例えば、ペレタイザなどを使用してもよい。
また、前記粉粒状組成物は、単独で使用してもよいが、他の樹脂と組み合わせて樹脂組成物として使用してもよい。特に、複数の微小樹脂のうち、少なくとも一種が繊維状微小樹脂である場合は、粉粒状組成物をマスターバッチとして使用し、他の樹脂を用いて、混合(希釈)し、繊維強化樹脂として使用する場合が多い。
前記他の樹脂としては、前記原料樹脂の項で例示の樹脂が挙げられ、微小樹脂と異種の樹脂であってもよいが、混練性の点から、同種の樹脂が好ましい。異種の樹脂の場合は、相溶化剤などを用いて混練するのが好ましい。
前記相溶化剤としては、例えば、極性基を有する化合物で変性した熱可塑性樹脂などが挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体、プロピレンーブテン共重合体など)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド12など)、環状炭化水素系樹脂(環状オレフィンコポリマーなど)、ポリスチレン系樹脂{ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−共役ジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂など)、スチレン−共役ジエン共重合体及び/又はその水素添加樹脂(SBS、SIS、SIBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SBBSなど)、スチレン系熱可塑性エラストマー[スチレン−共役ジエン共重合体及び/又はその水素添加樹脂を含有する混合物又は部分架橋物(例えば、スチレン−共役ジエン共重合体及び/又はその水素添加樹脂と、オレフィン系樹脂及び/又はオイルとを配合した混合物など)など]など}などが挙げられる。これらのうち、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂などが好ましい。
これらの熱可塑性樹脂を変性するための変性剤としての極性基を有する化合物において、極性基としては、例えば、カルボキシル基、カルボニル基、酸無水物基、アミノ基、ヒドロキシル基、グリシジル基、オキサゾリル基などが挙げられる。これらの極性基は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
極性基を有する化合物としては、具体的には、酸、ハライド、アミド、イミド、酸無水物、エステル誘導体、カルボキシル基を有する化合物((メタ)アクリル酸などのモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸などのジカルボン酸及びその無水物など)、不飽和グリシジル化合物及び/又はその誘導体(グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテルなど)が挙げられる。これらのうち、カルボキシル基を有する化合物(特に、無水マレイン酸(MAH)など)、不飽和グリシジル化合物及び/又はその誘導体(特に、グリシジルメタクリレート(GMA)など)などが好ましい。これらの相溶化剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
前記粉粒状組成物と他の樹脂との割合(重量比)は、特に制限されず、例えば、粉粒状組成物/他の樹脂=0.1/99.9〜99/1、好ましくは0.2/99.8〜95/5、さらに好ましくは0.3/99.7〜90/10(例えば、0.4/99.6〜80/20)程度であってもよい。
本発明の成形体は、このような繊維強化樹脂を、慣用の方法により溶融混練し、押出成形、射出成形、圧縮成形などの慣用の方法で成形することにより製造できる。
溶融混練は、慣用の溶融混練機、例えば、一軸又はベント式二軸押出機などを用いて行うことができる。また、溶融混練に先だって、慣用の方法、例えば、混合機(タンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサー、リボンミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機など)を用いて、繊維強化樹脂と他の成分(前記例示の添加剤など)などとを予備混合してもよい。なお、溶融混練温度は、例えば、70〜300℃、好ましくは80〜280℃、さらに好ましくは85〜260℃程度であってもよい。
さらに、得られた成形体は、繊維状微小樹脂が他の樹脂中で十分に分散されているため、高い強度を有している。
前記成形体は、高い強度を有するため、宇宙関連品[人工衛星(人工衛星本体、パラボラアンテナ、太陽電池用フレームなど)、スペースシャトル(機体、翼、遠隔操作棒、荷物室ドアなど)など]、航空機部品(機体、主翼、尾翼、方向舵など)、自動車部品(ボディ、フード、ドア、ドライブシャフトなど)、スポーツ用品(ゴルフシャフト、テニスラケットフレームなど)、レジャー用品(釣り竿など)などに有用である。また、必要に応じて、紡糸することも可能であり、衣服などにも用いることができる。
本発明の懸濁液は、複数の微小樹脂が均一に分散しているため、懸濁液から溶媒を除去した粉粒状組成物を含む繊維強化樹脂は、宇宙関連品(人工衛星、スペースシャトルなど)、航空機部品、自動車部品、スポーツ用品、レジャー用品などに用いることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(引張強度)
ASTM D−698に準ずる試験方法により、実施例及び比較例で得られたサンプルの引張強度を測定した。
(実施例1)
パルプ状の芳香族ポリアミド繊維(東レ・デュポン(株)製、ケブラー、平均繊維長2mm、平均繊維径15μm)100g、及びペレット状のポリアミド樹脂(ダイセル・デグサ(株)製 ダイアミドL1600、平均粒子径4mm)100gに水20Lを加え、よく撹拌した。得られた分散液を均質化装置(GAULIN社製 15M−8TA、高圧ホモジナイザー)に常温で仕込み、44.1MPaの圧力をかけて15回通過させてスラリー状懸濁液を得た。このスラリー状懸濁液を遠心脱液機により脱液して得られた繊維状微小樹脂の平均繊維長は0.62mm、平均繊維径は0.2μmであり、ペレット状微小樹脂の平均粒子径は0.2mmであった。
繊維長は、繊維長分布測定器(カヤーニ社製、FS−200)を用いて、平均繊維長ピークを測定することにより算出した。平均繊維径は、顕微鏡観察により算出した数平均繊維径である。平均粒子径は、顕微鏡観察により算出した数平均粒子径である。
さらに、棚型乾燥機(タバイエスペック(株)製 PH−201)で100℃の温度で4時間乾燥させ、得られた粉粒状組成物を二軸押出機((株)池貝製 PCM30)で190℃で混練後、ペレタイザによりペレット化した。このペレットの表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、分散状態が均一であった。観察結果を図1に示す。
(実施例2)
実施例1で得られたペレット2重量部と、ポリアミド樹脂(ダイセル・デグサ(株)製 ダイアミドL1600)98重量部とを二軸押出機((株)池貝製 PCM30)で190℃で混練後、押出成形により繊維強化樹脂サンプル(縦20mm×横150mm×厚み5mm)を作製し、引張強度を測定した。なお、走査型電子顕微鏡により、サンプルの表面の分散状態を観察した。
(実施例3)
芳香族ポリアミド繊維に代えて、市販のセルロース繊維(平均繊維長3mm、平均繊維径12μm)を用いる以外は、実施例1と同様にして、スラリー状懸濁液を得た。このスラリー状懸濁液を遠心脱液機により脱液して得られた繊維状微小樹脂の平均繊維長は0.8mm、平均繊維径は0.15μmであり、ペレット状微小樹脂の平均粒子径は0.2mmであった。
さらに、棚型乾燥機(タバイエスペック(株)製 PH−201)で100℃の温度で4時間乾燥させ、得られた粉粒状組成物を二軸押出機((株)池貝製 PCM30)で190℃で混練後、ペレタイザによりペレット化した。このペレットの表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、分散状態が均一であった。
(実施例4)
実施例3で得られたペレット2重量部と、ポリアミド樹脂(ダイセル・デグサ(株)製 ダイアミドL1600)98重量部とを二軸押出機((株)池貝製 PCM30)で190℃で混練後、押出成形により繊維強化樹脂サンプル(縦20mm×横150mm×厚み5mm)を作製し、引張強度を測定した。なお、走査型電子顕微鏡により、サンプルの表面の分散状態を観察した。
(比較例1)
固形分20%のミクロフィブリル化された芳香族ポリアミド繊維(ダイセル化学工業(株)製 ティアラKY−400S、平均繊維長0.6mm、平均繊維径0.2μm)の乾燥品5重量部と、ポリアミド樹脂(ダイセル・デグサ(株)製 ダイアミドL1600、平均粒子径4mm)95重量部とを、二軸押出機((株)池貝製 PCM30)で190℃で混練後、押出成形により繊維強化樹脂サンプル(縦20mm×横150mm×厚み5mm)を作製し、引張強度を測定した。なお、走査型電子顕微鏡により、サンプルの表面の分散状態を観察した。観察結果を図2に示す。
(比較例2)
固形分10%のミクロフィブリル化された市販のセルロース繊維(ダイセル化学工業(株)製 セリッシュKY−100G、平均繊維長0.5mm、平均繊維径0.02μm)の乾燥品1重量部と、ポリアミド樹脂(ダイセル・デグサ(株)製 ダイアミドL1600、平均粒子径4mm)99重量部とを、二軸押出機((株)池貝製 PCM30)で190℃で混練後、押出成形により繊維強化樹脂サンプル(縦20mm×横150mm×厚み5mm)を作製し、引張強度を測定した。なお、走査型電子顕微鏡により、サンプルの表面の分散状態を観察した。
実施例及び比較例の結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例の繊維強化樹脂サンプルは、比較例に比べ、引張強度が高い。
図1は実施例1で得られたペレットの表面における1000倍の走査型電子顕微鏡写真である。 図2は比較例1で得られたサンプルの表面における1000倍の走査型電子顕微鏡写真である。

Claims (9)

  1. 繊維状微小樹脂と不定形状微小樹脂とを含む複数の微小樹脂を含有し、かつ、溶媒中で、複数の原料樹脂に機械的剪断力を作用させて得られる懸濁液であって、前記複数の原料樹脂が、平均繊維長0.01〜5mm及び平均繊維径0.001〜500μmを有する繊維状原料樹脂、及び平均径0.01〜50mmを有する不定形状原料樹脂である懸濁液。
  2. 繊維状微小樹脂の平均繊維長(L)が0.01〜1mm、平均繊維径(D)が0.001〜1μm、アスペクト比(L/D)が100〜10000である請求項記載の懸濁液。
  3. 繊維状微小樹脂の割合が、複数の微小樹脂中0.1〜90重量%である請求項記載の懸濁液。
  4. 繊維状微小樹脂と不定形状微小樹脂とで構成され、前記不定形状微小樹脂の平均粒子径が1mm以下である請求項記載の懸濁液。
  5. 請求項1記載の懸濁液から溶媒を除去した粉粒状組成物。
  6. 溶媒中で、複数の原料樹脂に機械的剪断力を作用させて請求項1記載の懸濁液を製造する方法であって、前記複数の原料樹脂として、平均繊維長0.01〜5mm及び平均繊維径0.001〜500μmを有する繊維状原料樹脂、及び平均径0.01〜50mmを有する不定形状原料樹脂を用いる前記懸濁液の製造方法。
  7. ホモジナイズ処理で機械的剪断力を作用させる請求項記載の製造方法。
  8. 少なくとも請求項記載の粉粒状組成物を含む繊維強化樹脂。
  9. 請求項記載の繊維強化樹脂で形成された成形体。
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