JP6261900B2 - 鉛筆 - Google Patents

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Description

本発明は、芯と当該芯を囲む軸体とを備えた鉛筆に関する。
鉛筆は、構造が単純であることから価格的に安く提供されており、特に小学生などの学童が授業において文字を書く場合にはかなりの比率で使用されており、学校の試験や公的資格の試験会場でも鉛筆の使用が指定されている場合が多く、電子化が進んだ現在でもその需要は高いものである。
一方、特許文献1に記載されているように、手で持って使用する薄形のタッチパネル形式の入力装置が市場で人気を得ており、静電入力方式の入力装置の入力画面に指先で触れて入力を行ったり、特許文献2で開示されているように、導電性ゴムで形成された入力部を前方に設けた入力ペンで、入力装置の入力画面を紙と同じように扱い、絵を描いたり文字を書いたりすることができる入力ペンの需要が高くなっている。
また近年、前述のタッチパネル形式の入力装置は、仕事や趣味での利用以外にも、学校における授業で、電子化した教科書のデータを入力装置の画面に表示させて利用することが考えられている。したがって、古くから使用されている鉛筆の付加価値を考えた場合、書き味の向上などの技術的な性能向上はあまり望めない状況にあるが、紙に筆記を行うという古くからの技術に対し、入力ペンで入力装置に入力を行うという新しい技術が広く普及されてきている現代にこそ、鉛筆の新しい付加価値が求められている。
特開2011−81825号公報 特許第4142776号公報 特開2008−291048号公報 特開2009−166310号公報
本発明は、上記したような課題を解決するために案出されたものであり、鉛筆で、静電入力方式の入力装置へ入力が行えるようにし、多くの学童が使用できるよう、市場で安価に提供できるようにすることを目的としたものである。
本発明は、
「1.芯と当該芯を囲む軸体とを備えた鉛筆において、前記軸体の側面および後端部を導電性塗料層で被覆したことを特徴とする鉛筆。
2.顔料を構成する可逆熱変色性組成物を賦形剤中に分散状態で保持させた芯と当該芯を囲む軸体とを備えた鉛筆であって、前記軸体の側面を導電性塗料層で被覆すると共に、低磨耗性の弾性材料からなる導電体を、前記軸体の後端部に該軸体の側面を被覆した導電性塗料層に電気的に導通させた状態で装着し、前記芯による筆跡を前記導電体で摩擦してその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能にしたことを特徴とする鉛筆。」である。
本発明における鉛筆は、黒鉛と粘土を焼き固めて芯とした通常の黒鉛筆だけでなく、顔料を油成分で固めて芯とした色鉛筆も含まれる。また、軸体は、前端部を削って軸体内の芯を露出させることができるように、木材や樹脂材など切削性のよい材料で成形すればよい。あるいは紙を巻いて軸体を形成する紙巻鉛筆であってもよい。
尚、一般的な鉛筆で用いられている木材を軸体に使用すれば、特に安価なものを提供することが可能となり、また筆記時における書き心地が一般的な鉛筆と近いものにすることが可能となる。
導電性塗料層は、金属粉やカーボンブラックなどの導電性物質をアクリルやエポキシやウレタンなどのバインダーに混ぜ合わせた塗料を用いることができる。尚、軸体の側面を被覆する導電性塗料層は、軸体のどこを握っても使用者の指が導電性塗料層に触れることができるように、軸体の側面全体に被覆させたり、軸体の軸心に沿って線状や螺旋状に塗装して軸体の全長に渡り塗装することが肝要である。
また、軸体の後端部を導電性塗料層で被覆する場合には、軸体の側面を被覆する導電性塗料と電気的に導通させる必要があり、軸体の側面への塗装と同工程で塗装するようにすれば、製造上の作業性がよくなりコスト的なメリットが優れたものとなる。さらに、軸体の後端を導電性塗料層でドーム形状に形成することにより、入力ペンのように入力装置の入力画面への入力が行いやすいものとなる。
尚、導電性塗料層は導電性塗料を塗装する以外にも、金属からなる箔を軸体に転写させたものであってもよい。
軸体の後端部に装着する導電体は、樹脂に炭素繊維や金属繊維を混ぜ込んだ導電性樹脂で形成することが好ましく、特に、弾性を有したエラストマー樹脂に導電性繊維を混ぜ込んだ導電性エラストマーで成形することにより、導電体に弾力性が得られ、導電体を入力装置へ接触させた際の入力画面の傷つきを防止し、可逆熱変色性組成物を賦形剤中に分散状態で保持させた芯による筆跡を摩擦した場合には、摩擦熱で熱変色をさせることが可能なものとなる。
本発明による鉛筆は、軸体の側面を導電性塗料層で被覆すると共に、軸体の後端部に前記軸体の側面の導電性塗料層と電気的に導通する導電性塗料層あるいは導電体を設けたので、鉛筆として紙に筆記を行う以外にも、静電入力方式の入力装置の入力画面に入力を行うことができるものとなった。
図1は実施例1の鉛筆の全体説明図である。 図2は実施例1の鉛筆の横断面図である。 図3は実施例1の鉛筆で紙に筆記を行っている状態の図である。 図4は実施例1の鉛筆で静電容量方式の入力装置へ入力を行っている状態の図である。 図5は実施例2の鉛筆の全体説明図である。 図6は実施例2の鉛筆の横断面図である。 図7は実施例2の鉛筆の構成を示す図である。 図8は実施例2の鉛筆で紙に筆記を行っている状態の図である。 図9は実施例2の鉛筆で静電容量方式の入力装置へ入力を行っている状態の図である。 図10は実施例2の鉛筆で熱変色を行っている状態の図である。
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
また、説明を分かりやすくするために、図面中の同様の部材、同様の部分については同じ番号を付してある。本実施例の説明においては、図面の下方を前方と表現し、その反対側を後方と表現する。
(実施例1)
図1から図4を用いて実施例1の説明を行う。
図1は実施例1の鉛筆の全体説明図であり、図2は横断面図である。実施例1の鉛筆1は、黒鉛と粘土を焼き固めた黒芯2を、木材で成形した断面が六角形状の軸体3で囲むようにして形成してある。本実施例では、軸体3の側面3aと後端部3bとを導電性塗料で塗装してあり、側面3aには導電性塗料層4aを、後端部3bにはドーム状に形成した導電性塗料層4bを形成してある。また、図1に示すように、軸体3の前端部3cは先窄み状に削って芯先端部2aを露出させ、筆記を行えるようにしてある。
次に、図3を用いて、本実施例の鉛筆1で、紙面に筆記する状態について説明を行う。図に示すように鉛筆1は、芯2の芯先端部2aで紙110に文字110aを書くことができた。
次に、図4を用いて、本実施例の鉛筆1で、静電容量方式の入力装置に入力する状態について説明を行う。図に示すように鉛筆1は、導電性塗料層4bを静電容量方式の入力装置120における入力画面120aに接触させて摺動させると、使用者が把持した軸体3の側面3aに設けた導電性塗料4aと後端部に設けた導電性塗料4bとを通じて入力画面120aに静電容量変化を生じさせ、画像作成ソフトウェアの画面に線120bを描くことができた。
(実施例2)
図5から図10を用いて実施例2の説明を行う。
図5は実施例2の鉛筆の全体説明図であり、図6は横断面図であり、図7は実施例2の鉛筆の構成を示す図である。実施例2の鉛筆10は、可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに封入した顔料を賦形材であるワックス中に分散させて形成した色芯20を、木材で成形した断面が六角形状の軸体30で囲み、軸体30の側面30aに導電性塗料で塗装した導電性塗料層40aを形成してある。また、軸体30の後端部30bには真鍮製の筒体50を嵌着してあり、筒体50の開口部50aにはシリコン熱可塑性系エラストマーに炭素粉末を混練した導電性エラストマーによって形成した導電体60を挿着して、導電性塗料層40aと導電体60とが電気的に導通した状態に連接してある。また、図5に示すように、軸体30の前端部30cは先窄み状に削って芯先端部20aを露出させ、筆記を行えるようにしてある。
次に、図8を用いて、本実施例の鉛筆10で、紙面に筆記する状態について説明を行う。図に示すように鉛筆10は、芯20の芯先端部20aで紙110に文字110aを書くことができた。
次に、図9を用いて、本実施例の鉛筆10で、静電容量方式の入力装置に入力する状態について説明を行う。図に示すように鉛筆10は、導電体60を静電容量方式の入力装置120における入力画面120aに接触させて摺動させると、使用者が把持した軸体30の側面30aに設けた導電性塗料40aと筒体50と導電体60とを通じて入力画面120aに静電容量変化を生じさせ、画像作成ソフトウェアの画面に線120bを描くことができた。
また、本実施例の鉛筆10の色芯20による筆跡(図8に示す文字110a)は、特許文献3や特許文献4で開示されているように、摩擦熱で消色が可能になっており、図10に示すように、導電性エラストマーによって形成した導電体60により摩擦することで摩擦熱を生じさせ、消色することができた。
1,10…鉛筆、
2…黒芯、20…色芯、2a,20a…芯先端部、
3,30…軸体、
3a,30a…側面、3b,30b…後端部、3c,30c…後端部、
4a,40a…導電性塗料層、4b…導電性塗料層、
50…筒体、50a…開口部、
60…導電体、
110…紙、110a…文字、
120…入力装置、120a…入力画面、
120b…線。

Claims (2)

  1. 芯と当該芯を囲む軸体とを備えた鉛筆において、前記軸体の側面および後端部を導電性塗料層で被覆したことを特徴とする鉛筆。
  2. 顔料を構成する可逆熱変色性組成物を賦形剤中に分散状態で保持させた芯と当該芯を囲む軸体とを備えた鉛筆であって、前記軸体の側面を導電性塗料層で被覆すると共に、低磨耗性の弾性材料からなる導電体を、前記軸体の後端部に該軸体の側面を被覆した導電性塗料層に電気的に導通させた状態で装着し、前記芯による筆跡を前記導電体で摩擦してその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能にしたことを特徴とする鉛筆。
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