JP6260416B2 - 板状物の加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数のデバイスが形成された板状物を個々のチップに分割する加工方法に関する。
半導体ウェーハなどの被加工物は、その表面における格子状の分割予定ラインによってそれぞれ区画された領域にデバイスが形成されており、例えば、切削ブレードを用いて分割予定ラインに沿って分割することによりデバイスを有する個々のチップに分割される。
切削ブレードによる切削においては、デバイスの外周に欠けやストレスが発生することがあり、その欠けやストレス等が原因となってデバイスの抗折強度が低下し、製品の品質に悪影響を及ぼすという問題があるため、切削ブレードによる切削ではなく、エッチングによって被加工物を分割する方法がある。
例えば、下記の特許文献1には、スピンコータを用いてウェーハの表面全体をレジスト膜で被膜し、そのレジスト膜のうちストリートの上部に被膜された部分を切削ブレードで切削して除去してからエッチングを施して個々のチップに分割する方法が提案されている。また、下記の特許文献2には、レジストテープをウェーハの表面に貼着し、そのレジストテープのうちストリートの上部に貼着されている部分を切削ブレードで切削して除去してから、エッチングを施して個々のチップに分割する方法も提案されている。
特開2001−127011号公報 特開2003−257896号公報
しかし、上記の特許文献1及び2に記載されているように切削ブレードで板状物の表面に被膜されたレジスト膜やレジストテープなどの保護膜を切削することで分割予定ライン上の保護膜層を除去すると、切断面において保護膜層と板状物との界面を起点に保護膜が一部剥離してしまうことがあり、保護膜が剥離した状態のままエッチングを施すと、デバイスを損傷させてしまうおそれがある。
また、切削ブレードで保護膜を切削する際、切削ブレードの切り込み深さを制御して完全に保護膜のみを切り除くことは難しいため、板状物に切削ブレードが切り込んでしまうことがある。これにより、板状物にチッピングが発生してしまい、エッチングによって形成されたチップの抗折強度が悪化してしまうという問題もある。
本発明は、上記の事情にかんがみてなされたものであり、デバイスを損傷させたりチッピングを発生させたりすることなく板状物を個々のチップに分割することを目的としている。
本発明は、表面に複数のデバイスが形成されるとともに該デバイスを区画する複数の分割予定ラインを有した板状物の加工方法であって、板状物の表面に半硬化状の保護膜を被覆する保護膜被覆ステップと、該保護膜被覆ステップを実施した後、ボールペンの如くボールを回転自在に支持する支持部と該支持部と該ボールとの隙間に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部とを有するボール当接手段を用い、該ボールを板状物の表面に当接させて該分割予定ラインに沿って相対移動させることにより、該保護膜のうち該分割予定ライン上に被覆された部分を除去する膜除去ステップと、該膜除去ステップを実施した後、板状物の表面にエッチングを施すエッチングステップと、を備える。
上記保護膜は、環化ゴムからなるレジスト膜であることが望ましい。
上記デバイスは、四角形を除いた多角形形状であってもよい。
上記分割予定ラインは、T字状交差部または曲線部を有していてもよい。
本発明にかかる加工方法では、保護膜被膜ステップを実施することで板状物の表面全面に半硬化状の保護膜を被膜した後、膜除去ステップを実施することにより、ボールペンの如くボールを回転自在に支持する支持部と該支持部と該ボールとの隙間に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部とを有するボール当接手段を用いて、保護膜のうち分割予定ライン上に積層された部分を除去するため、保護膜のうちデバイスを被覆している部分が板状物の表面から剥離することがない。
したがって、切削ブレード等で板状物に切り込んでチッピングを発生させたりデバイスを損傷させたりすることなく板状物を個々のチップに分割することができる。
上記保護膜が、環化ゴムからなるレジスト膜で構成されていると、膜除去ステップを実施する際に完全に硬化せず半硬化状態を維持するため、上記ボール当接手段で分割予定ライン上の保護膜のみを効率よく除去できる。
また、本発明にかかる加工方法では、四角形を除いた多角形形状からなるデバイスを有する板状物やT字状交差部または曲線部を有する分割予定ラインを有した板状物に対しても、上記ボール当接手段で分割予定ライン上の保護膜のみを効率よく除去できる。
板状物の第一例及び第二例を示す平面図である。 保護膜被膜ステップを示す断面図である。 膜除去ステップを示す断面図である。 膜除去後の板状物の状態を示す拡大平面図である。 膜除去後の板状物の状態を示す断面図である。 エッチングステップを示す断面図である。 分割溝が形成された板状物の状態を示す断面図である。 薄化ステップを示す断面図である。 板状物が個々のチップに分割された状態を示す断面図である。 転写ステップを示す断面図である。
図1(a)に示す板状物W1は、個々のチップに分割される板状物の第一例であって、板状物W1の表面Waには、分割予定ラインSによって区画された領域にそれぞれ六角形状のデバイスDが複数形成されている。一方、板状物W1の表面Waの反対側にある裏面Wbには、デバイスDが形成されていない。図1(a)に示すデバイスDは、六角形状に形成されているが、この形状に限定されるものではなく、他の多角形形状に形成されていてもよい。
図1(b)に示す板状物W2は、個々のチップに分割される板状物の第二例であって、
板状物W2の表面Waには、縦横に形成された分割予定ラインSによって区画された領域にそれぞれ四角形のデバイスDが形成されている。一方、板状物W2の表面Waの反対側にある裏面Wbには、デバイスDが形成されていない。板状物W2は、図1(b)の部分拡大図に示すように、X方向に各デバイスDが互いにずれて配置されている部分があるため、分割予定ラインSには、T字状に分岐した交差部Tを有している。また、図示していないが、分割予定ラインSには、曲線状に形成された曲線部を有していてもよい。以下では、板状物W2を個々のチップに分割する加工方法について説明する。
(1)保護膜被膜ステップ
まず、図2に示すように、樹脂ノズル10を用いて板状物W2の表面Waに保護膜を被膜する。具体的には、樹脂ノズル10を板状物W2の上方に位置付けて、板状物W2を回転させながら、樹脂ノズル10から板状物W2の表面Waに向けて液状樹脂1を適下し、板状物W2の表面Waの全面に液状樹脂1をいきわたらせる。このようにして、デバイスDを覆うようにしてウェーハW2の表面Waの全面に半硬化状の保護膜1aを被膜する。ここで、半硬化状とは、保護膜1が完全に硬化していない状態のことを指す。
半硬化状の保護膜1aとしては、粘性が高く完全に硬化しない性質を有するものを使用することが望ましい。例えば環化ゴムからなるレジスト膜を保護膜1aとして用いることができる。また、ポリウレタン系樹脂や、有機溶剤を混入したノボラック樹脂などを保護膜1aとして使用することもできる。
(2)膜除去ステップ
保護膜被覆ステップを実施した後、図3に示すように、ボール当接手段20を用いて図1(b)に示した分割予定ラインS上にある保護膜1aを除去する。ボール当接手段20は、球状のボール22と、ボールペンの如くボール22を回転自在に支持する支持部21と、支持部21に連接され潤滑剤をボール22に向けて供給する潤滑剤供給部23とを少なくとも有している。潤滑剤供給部23は、潤滑剤を充填する潤滑剤充填部230と、支持部21とボール22との間に形成された隙間232と、潤滑剤充填部230に充填された潤滑剤を隙間232に導入する導入路231とにより構成されている。このように構成される潤滑剤供給部23により、潤滑剤充填部230から導入路231を介して隙間232に潤滑剤を供給することで、支持部21においてボール22が回転しやすくなる。
図3に示すように、保護膜1aを介してボール22を表面Waに当接させ、ボール22を回転させつつ図1(b)に示した分割予定ラインSに沿って板状物W2に対してY方向に相対移動させることにより、回転するボール22で分割予定ラインS上の保護膜1aを除去する。具体的には、図4に示すように、分割予定ラインS1に沿って交差部Tに到達するまでボール22でなぞるようにして走査させて分割予定ラインS1上の保護膜1aを除去する。次いで、分割予定ラインS1と一段ずれた位置の分割予定ラインS2に沿って上記同様の動作を繰り返して分割予定ラインS2上の保護膜1aを除去する。
ボール当接手段20のボール22で分割予定ラインS1上の保護膜1aをなぞって保護膜1aを除去すると、分割予定ラインS1が表出した膜除去部2が形成されるとともに膜除去部2の外側に保護膜1aの盛り上がり部3が形成される。膜除去部2は、図5に示すように、板状物W2の表面Waが露出した部分を含む領域であり、図3に示したボール22の外周形状に沿った形状となっている。また、盛り上がり部3は、膜除去部2で除去された保護膜1aが膜除去部2の外周側に移動し盛り上がって形成されたものである。このようにして、ボール当接手段20で全ての分割予定ラインSに沿って上記と同様の動作を繰り返して行う。
ボール当接手段20を用いて保護膜1aを除去するときは、板状物W2の表面Waに被膜された保護膜1aが環化ゴムやポリウレタン系樹脂からなる場合、ボール22で保護膜1aを除去しやすいようにするため、保護膜1aを例えば60℃に加熱する。また、保護膜1aが、ノボラック樹脂からなる場合は、樹脂単体では硬くボール22での除去が難しいため、あらかじめ有機溶剤をノボラック樹脂に混入させて半硬化状にしておくことが望ましい。
(3)洗浄工程
膜除去ステップが完了した後、図5に示す膜除去部2に潤滑剤が残存していることがあるため、潤滑材を洗い流す。潤滑剤が水性の場合は、水洗によって潤滑剤を膜除去部2から除去する。一方、潤滑剤が油性の場合は、潤滑剤を溶解するが、保護膜1aに悪影響を及ぼさない溶剤を適宜選択し、その溶剤を使用して潤滑剤を膜除去部2から除去する。
また、図5に示すように、膜除去部2の溝底4に保護膜1aが残存している場合には、アッシングを実施して保護膜1aのみを溝底4から除去する。アッシングを行う装置は特に限定されるものではない。
なお、板状物W2の表面Waに被膜された保護膜1aが、ノボラック樹脂で構成されている場合は、後記のエッチングステップを実施する前に、例えば、120℃で3分程度ベークして樹脂中に含まれている有機溶剤を気化させておく。一方、板状物W2の表面Waに被膜された保護膜1aが、環化ゴムやポリウレタン系樹脂で構成されている場合には、ベークすることなく後記のエッチングステップを実施する。
(4)エッチングステップ
次に、図6及び図7に示すように、板状物W2の表面Waにエッチングを施すエッチングステップを実施する。エッチングステップは、例えば特開2004−247454号公報で開示されるプラズマエッチング装置を用いて実施してもよいし、異なるエッチング装置を用いて実施してもよい。ここで、板状物W2が例えばシリコン基板(厚みが100μm)で形成されている場合には、下記のエッチング条件A及びエッチング条件Bに基づいてエッチングを実施する。
[エッチング条件A]
エッチングガス:SF6
処理圧力:10[Pa]
ガス供給量:1500[cc/分]
プラズマ発生部に印加する高周波電力:3000[W]
基板側に印加する高周波電力:300[W]
[エッチング条件B]
エッチングガス:C4F8
処理圧力:10[Pa]
ガス供給量:1000[cc/分]
プラズマ発生部に印加する高周波電力:3000[W]
基板側に印加する高周波電力:0[W]
具体的には、図6に示すように、板状物W2の表面Waに形成された膜除去部2の上方に配置されたガス供給部30は、エッチング条件Aに基づいて、膜除去部2に向けてSF6からなるエッチングガスを処理圧力(10Pa)で例えば0.6秒間噴射する。続いて、ガス供給部30は、エッチング条件Aをエッチング条件Bに変えて膜除去部2に向けてC4F8からなるエッチングガスを処理圧力(10Pa)で例えば0.4秒間噴射する。このようにエッチング条件Aに基づく0.6秒のエッチングとエッチング条件Bに基づく0.4秒のエッチングとを交互に繰り返し行い、板状物W2の分割予定ラインSに沿って4分間エッチングする。その結果、図7に示すように、板状物W2には、膜除去部2に連通して分割予定ラインSに沿った分割溝5が形成される。このようにエッチング条件Aとエッチング条件Bとを交互に繰り返して行うことによって、エッチング条件Aのもとではシリコンが高速にエッチングされ、エッチング条件Bのもとではエッチングされた部分の側壁に保護膜が形成されることから、分割溝5の形成を高速に行うことができる。
エッチングステップの条件Aで用いられるエッチングガスとしては、SF6のほか、NFやXeFを用いてもよく、板状物W2の材質に応じて使用するエッチングガスを適宜選定する。
(5)薄化ステップ
エッチングステップを実施した後、図8に示すように、研削手段40によって、回転可能な保持テーブル50に保持された板状物W2の裏面Wbを薄化して板状物W2を個々のチップに分割する。研削手段40は、鉛直方向の軸心を有するスピンドル41と、スピンドル41の下端に連結された研削ホイール42と、研削ホイール42の下部に環状に固着された研削砥石43とを少なくとも備えている。図示しないモータによって駆動されてスピンドル41が回転することにより、研削ホイール42を回転させることができる。保持テーブル50は、板状物を保持する保持面51を有し、図示しない吸引源によって保持面51で板状物を吸引保持することができる。
板状物W2を研削する際には、表面保護テープ6を板状物W2の表面Wa側に貼着するとともに、この表面保護テープ6側を保持テーブル50の保持面51に載置する。こうして板状物W2の裏面Wbが上向きに露出したら、板状物W2を保持テーブル50の保持面51で吸引保持し、保持テーブル50を例えば矢印A方向に回転させつつ、研削手段40が、研削ホイール42を例えば矢印A方向に回転させながら、研削砥石43が板状物W2の裏面Wbに接触するまで下降させる。そして、研削砥石43によって裏面Wbを押圧しながら、所望の厚みに達するまで板状物W2を薄化することにより、図9に示すように、板状物W2は、個々のチップCに分割される。
薄化ステップは、研削手段40によって実施するほか、ブレーキング装置や上記エッチングステップにおけるエッチングによりフルカットして個々のチップCに分割するようにしてもよい。
(6)転写ステップ
薄化ステップを実施した後、図10に示すように、個々のチップCに分割された板状物W2を裏返し、表面保護テープ6が貼着された表面Wa側を上向きにする。その後、中央部が開口した環状のフレーム7の下部に粘着性のテープ8を貼着し、該中央部から露出したテープ8に板状物W2の裏面Wb側を貼着するとともに、上向きになった板状物W2の表面Waから表面保護テープ6を剥離する。そして、図示しない搬出手段等により、各チップCをテープ8からピックアップして次の工程に搬送する。
なお、膜除去ステップでは、ボール当接手段20を板状物の表面に沿って移動させる構成としたが、ボール当接手段20は動かず、板状物がその面方向に移動する構成としてもよい。
以上のとおり、本発明の加工方法では、ボールペンの如く構成されるボール当接手段20を用いて膜除去ステップを実施することにより、回転するボール22によって、保護膜1aのうち分割予定ラインS上に被膜された部分のみを除去するため、保護膜1aのうちデバイスDを被覆する部分が板状物W2の表面Waから剥離することがない。そのため、デバイスDが露出した状態でエッチングステップを実施してデバイスDを損傷させるという問題が生じるのを防ぐことができる。
また、膜除去ステップでは、回転するボール22でなぞるようにして保護膜1aを除去するため、板状物W2の表面Waにキズがつかず、切削ブレード等で板状物に切り込んでチッピングを発生させるという問題は生じない。よって、チップの抗折強度を低下させることなく板状物を個々のチップに分割できる。
さらに、ボール22は、切削ブレードなどとは異なり、板状物に対してどんな方向にも自在に相対移動させることができるとともに、板状物との点接触により所望の位置だけをなぞるような細かな制御が可能である。したがって、例えば、図1(b)に示した板状物W2のようにT字状交差部Tが形成された被加工物であっても、T字状交差部TのT字に沿って保護膜を除去することができ、図1(a)に示した板状物W1のように四角形以外の多角形のデバイスが形成され分割予定ラインが直線状でなく屈曲部分が多い被加工物であっても、分割予定ラインに沿って保護膜を除去することができ、さらには、分割予定ラインが曲線部を有する被加工物であっても、曲線状の分割予定ラインに沿って保護膜を除去することができる。
1:液状樹脂 1a:保護膜 2:膜除去部 3:盛り上がり部 4:溝底 5:分割溝6:表面保護テープ 7:フレーム 8:テープ
10:樹脂ノズル 20:ボール当接手段 21:支持部 22:ボール
23:潤滑剤供給部 230:潤滑剤充填部 231:導入路 232:隙間
30:ガス供給部
40:研削手段 41:スピンドル 42:研削ホイール 43:研削砥石
50:保持テーブル 51:保持面

Claims (4)

  1. 表面に複数のデバイスが形成されるとともに該デバイスを区画する複数の分割予定ラインを有した板状物の加工方法であって、
    板状物の表面に半硬化状の保護膜を被覆する保護膜被覆ステップと、
    該保護膜被覆ステップを実施した後、ボールペンの如くボールを回転自在に支持する支持部と該支持部と該ボールとの隙間に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部とを有するボール当接手段を用い、該ボールを板状物の表面に当接させて該分割予定ラインに沿って相対移動させることにより、該保護膜のうち該分割予定ライン上に被覆された部分を除去する膜除去ステップと、
    該膜除去ステップを実施した後、板状物の表面にエッチングを施すエッチングステップと、を備えた板状物の加工方法。
  2. 前記保護膜は、環化ゴムからなるレジスト膜である請求項1に記載の加工方法。
  3. 前記デバイスは、四角形を除いた多角形形状である請求項1または2に記載の加工方法。
  4. 前記分割予定ラインは、T字状交差部または曲線部を有する請求項1または2に記載の加工方法。
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