まず、図1と図2とを用いて、本発明に係る照明装置の実施の第一実施形態である異常電圧を検出する照明装置101について説明する。
〔1.LEDの異常検出動作(1)〕
図1に示すように、照明装置101は、LEDを光源とする照明装置101である。照明装置101は、LED駆動装置1、LEDモジュール10および調光制御装置11等を具備する。照明装置101は、LED駆動装置1にLEDモジュール10と調光制御装置11等とが接続されて構成される。
図2に示すように、LED駆動装置1は、LEDモジュール10に電流Iを供給するものである。LED駆動装置1は、DC/DCコンバータ2、抵抗Ra・Rbおよび制御回路3を具備している。
抵抗Ra・Rbは、LEDモジュール10を構成するLEDユニット10a・10bに流れる電流Ia・Ibを設定するものである。抵抗Ra・Rbの一側は、それぞれ並列に構成されたLEDユニット10a・10bに接続されるように構成される。抵抗Ra・Rbの他側は、抵抗R0を介して接地されるとともにDC/DCコンバータ2に接続される。すなわち、抵抗Ra・Rbの抵抗値を任意の値に設定することにより、LEDユニット10a・10bに流れる電流Ia・Ibを決定することができる。また、抵抗R1・R2は、電流Ia・Ibを電圧Va・Vbに変換するために用いられる。
DC/DCコンバータ2は、電流Iを所定の制御態様で出力するものである。DC/DCコンバータ2は、入力端子に直流電源Vccに接続される。ここで、直流電源Vccとは、図示しないAC/DCコンバータで交流商用電源からの交流電流を直流電流に変換されたものをいう。DC/DCコンバータ2は、入力端子から供給された直流電流を任意の電流値に変換し、変換後の直流電流を出力端子から出力可能に構成される。また、DC/DCコンバータ2は、後述の制御回路3からのPWM調光信号Scおよびエラー信号Seに基づいて、出力する電流Iを制御可能に構成される。
DC/DCコンバータ2は、電流Ia・Ibが抵抗Ra・Rbに流れるために印加される電圧Vaと電圧Vbの和である電圧Vをフィードバック信号Sfとして取得可能に構成される。DC/DCコンバータ2は、フィードバック信号Sfに基づいて出力する電流Iを所定の値に維持可能に構成される。すなわち、DC/DCコンバータ2は、定電流制御によって電流IをLEDモジュール10に供給する。
制御回路3は、DC/DCコンバータ2を制御するものである。制御回路3は、例えばマイクロコンピュータから構成される。制御回路3は、調光テーブル記憶部4、閾値電圧記憶部5、PWM信号生成部6、エラー信号生成部7、電圧検出部8および演算部9を具備している。
調光テーブル記憶部4は、調光率情報Saを記憶するものである。調光テーブル記憶部4は、制御回路3部内のメモリ(例えばフラッシュメモリやEEPROM)の記憶領域の一部から構成される。調光テーブル記憶部4は、調光制御装置11からの調光指示信号Sad毎に設定されたLEDモジュール10の調光率に関する情報である調光率情報Saが予め記憶されている。調光テーブル記憶部4は、調光率情報Saを演算部9に伝達可能に構成される。
閾値電圧記憶部5は、閾値電圧情報Ssを記憶するものである。閾値電圧情報Ssは、LEDモジュール10に異常が生じているか否かを判定する閾値電圧に関する情報である。閾値電圧記憶部5は、制御回路3内のメモリの記憶領域の一部から構成される。閾値電圧記憶部5は、調光率情報Sa毎に対応した閾値電圧情報Ssが予め記憶されている。具体的には、閾値電圧情報Ssは、LEDモジュール10が各調光段で駆動される際にLEDモジュール10に印加される電圧Vに基づいて調光段毎にそれぞれ設定される。これにより、制御回路3は、LEDの異常を早期に確実に検出可能である。また、閾値電圧情報Ssは、LEDモジュール10が最大調光段で駆動される際にLEDモジュール10に印加される電圧Vに基づいて設定することも可能である。閾値電圧記憶部5は、閾値電圧情報Ssを演算部9に伝達可能に構成される。
また、閾値電圧情報Ssは、LEDモジュール10の特性に応じて算出するように構成してもよい。具体的には、照明装置101は、電源が投入されると調光率情報Saに基づいてLED駆動装置1からLEDモジュール10に電流を供給する。この際、LED駆動装置1の制御回路3は、LEDモジュール10またはLEDユニット10a・10bに印加されている電圧Vを取得する。制御回路3の演算部9は、設計値として予め記憶されているその調光段の電圧Vbと取得した電圧Vとから、調光段毎に閾値電圧情報Ssを算出可能に構成される。これにより、LEDの特性のばらつきによる誤動作を防止することができる。
PWM信号生成部6は、演算部9からのPWM信号生成情報Spに基づいてPWM調光信号Scを生成するものである。PWM信号生成部6は、生成したPWM調光信号ScをDC/DCコンバータ2に伝達可能に構成される。
エラー信号生成部7は、演算部9からのエラー判定信号Sjに基づいてエラー信号Seを生成するものである。エラー信号Seは、DC/DCコンバータ2に電流Iの出力を停止させる信号である。エラー信号生成部7は、生成したエラー信号SeをDC/DCコンバータ2に伝達可能に構成される。
電圧検出部8は、LEDモジュール10に印加される電圧Vを検出するものである。電圧検出部8は、LED駆動装置1に接続されるLEDモジュール10に対して並列に構成される。具体的には、電圧検出部8は、LEDモジュール10におけるLEDユニット10a・10bのアノード側とカソード側とに接続される。電圧検出部8は、一定時間毎にLEDモジュール10に印加される電圧Vを検出する。電圧検出部8は、検出した電圧Vをデジタル信号Vdに変換して演算部9に伝達可能に構成される。なお、電圧検出部8は、検出した電圧Vのデジタル信号Vdを随時演算部9に伝達する構成や、演算部9からの要求に応じて演算部9に伝達する構成でもよい。また、電圧検出部8は、デジタル信号Vdの代わりにアナログ信号を演算部9に伝達する構成でもよい。
演算部9は、LEDモジュール10に供給する電流Iの値を算出するものである。演算部9は、調光制御装置11からの調光指示信号Sadに基づいて座標データDを算出可能に構成される。座標データDとは、調光テーブル記憶部4と閾値電圧記憶部5とから調光指示信号Sadに対応する調光率情報Saと閾値電圧情報Ssとを取得するためのデータ上の位置を表したものである。演算部9は、座標データDを用いて調光テーブル記憶部4から調光率情報Saを取得可能に構成される。演算部9は、取得した調光率情報Saに基づいてPWM信号生成情報Spを生成可能に構成される。PWM信号生皮隋報Spは、例えばデジタル信号である。
また、演算部9は、LEDモジュール10の状態を判定するものである。演算部9は、一定時間毎に電圧検出部8から電圧Vのデジタル信号Vdを取得可能に構成される。演算部9は、座標データDを用いて閾値電圧記憶部5から閾値電圧情報Ssを取得可能に構成される。演算部9は、取得したデジタル信号Vdと閾値電圧情報Ssとを比較してエラー判定を行うことが可能である。演算部9は、エラー判定に基づいてエラー判定信号Sjを生成可能に構成される。エラー判定信号Sjは、例えばデジタル信号である。なお、前述の一定時間は、LEDの異常を早く判定するために短時間に設定すること望ましい。
演算部9は、調光テーブル記憶部4に接続され、調光テーブル記憶部4が記憶する調光率情報Saを取得することが可能である。
演算部9は、閾値電圧記憶部5に接続され、閾値電圧記憶部5が記憶する閾値電圧情報Ssを取得することが可能である。
演算部9は、PWM信号生成部6に接続され、PWM信号生成部6にPWM信号生成情報Spを伝達することが可能である。
演算部9は、エラー信号生成部7に接続され、エラー信号生成部7にエラー判定信号Sjを伝達することが可能である。
演算部9は、電圧検出部8に接続され、電圧検出部8が検出するLEDモジュール10に印加される電圧のデジタル信号Vdを取得することが可能である。
演算部9は、調光制御装置11に接続され、調光制御装置11から調光指示信号Sadを取得することが可能である。
PWM信号生成部6は、DC/DCコンバータ2に接続され、DC/DCコンバータ2にPWM調光信号Scを伝達することが可能である。
PWM信号生成部6は、DC/DCコンバータ2に接続され、DC/DCコンバータ2にエラー信号Seを伝達することが可能である。
LEDモジュール10は、複数のLEDが接続されて構成される光源である。LEDモジュール10は、一つ以上のLEDが直列に接続されたLEDユニット10a・10bが並列に接続されて構成される。LEDモジュール10は、LEDユニット10a・10bが同一基板上に実装されていてもよいし、互いに異なる基板上に実装されていてもよい。また、本実施形態において、LEDモジュール10は、LEDユニット10aとLEDユニット10bとから構成されるがこれに限定されるものではなく、一つ以上のLEDユニットから構成されていればよい。
LEDモジュール10は、LED駆動装置1に接続される。具体的には、LEDモジュール10を構成するLEDユニット10a・10bのアノード側端子がDC/DCコンバータ2の出力端子に接続される。また、LEDユニット10a・10bのカソード側端子がそれぞれ抵抗Ra・Rbに接続される。これにより、LEDモジュール10は、抵抗Ra・Rbの抵抗値に基づいてLEDユニット10a・10bに流れる電流Ia・Ibが決定される。
調光制御装置11は、LED駆動装置1に調光の指示をするものである。調光制御装置11は、LED駆動装置1に接続される。調光制御袋置は、LED駆動装置1の制御回路3に調光指示信号Sadを伝達可能に構成される。すなわち、照明装置101は、ユーザーが調光制御装置11を介してLEDモジュール10の明るさや色調を変更可能に構成される。なお、本実施形態において、LED駆動装置1と調光制御装置11との接続態様は、有線であっても、赤外線通信等の無線であってもよい。例えば、調光制御装置11とLED駆動装置1とにそれぞれ投光部と受光部とが設けられ、両者の間で赤外線通信を行うリモートコントローラで構成されてもよい。
以下では、図2と図3とを用いて、本発明の第一実施形態に係る照明装置101のLED駆動装置1の制御態様について説明する。
照明装置101のLED駆動装置1は、調光制御装置11からの調光指示信号Sadを制御回路3の演算部9において取得する。演算部9は、取得した調光指示信号Sadに基づいて調光テーブル記憶部4から調光率情報Saを取得する。演算部9は、PWM信号生成情報Spを生成するとともにPWM信号生成部6に伝達する。
PWM信号生成部6は、取得したPWM信号生成情報Spに基づいてPWM調光信号Scを生成する。PWM信号生成部6は、生成したPWM調光信号ScをDC/DCコンバータ2に伝達する。DC/DCコンバータ2は取得したPWM調光信号Scに基づいて電流IをLEDモジュール10に供給する。
LEDモジュール10には、DC/DCコンバータ2から供給された電流Iが供給される。電流Iは、抵抗Ra・Rbの各抵抗値によって決定される分流比率で電流Ia・Ibに分流される。LEDモジュール10のLEDユニット10a・10bには電流Ia・Ibがそれぞれ流れる。LEDユニット10a・10bは、電流Ia・Ibが供給されると各LEDが電流Iaまたは電流Ibに応じた輝度で点灯する。
DC/DCコンバータ2は、電流Ia・Ibが抵抗Ra・Rbに流れるために印加される電圧Vaと電圧Vbとの和である電圧Vをフィードバック信号Sfとして取得する。DC/DCコンバータ2は、取得したフィードバック信号Sfに基づいて出力する電流Iを一定電流値に制御する。
演算部9は、電圧検出部8から取得したデジタル信号Vdが閾値電圧記憶部5から取得した閾値電圧情報Ssの範囲に含まれない場合、LEDに故障が発生したと判断して所定の保護動作を行う。LEDモジュール10に含まれる少なくとも一つのLEDに開放故障が発生した場合、LEDモジュール10に印加される電圧は、LEDの開放故障が発生していないLEDユニット10aまたはLEDユニット10bに流れる電流IaまたはIbが増大することにより上昇する。また、LEDモジュール10に含まれる少なくとも一つのLEDに短絡故障が発生した場合、LEDモジュール10に印加される電圧は、LEDユニット10a・10bに流れる電流Iaと電流Ibとのバランスが崩れることにより、低下する。
従って、演算部9は、デジタル信号Vdが閾値電圧情報Ssの上限値よりも大きい場合、LEDの開放故障が発生したと判断して所定の保護動作Aを行う。また、演算部9は、デジタル信号Vdが閾値電圧情報Ssの下限値よりも小さい場合、LEDの短絡故障が発生したと判断して所定の保護動作Bを行う。演算部9は、デジタル信号Vdが閾値電圧情報Ssの範囲内である場合、LEDには故障が発生していないと判断する。
次に、図3を用いてLED駆動装置1の制御回路3の制御態様について具体的に説明する。
図3に示すように、ステップS110において、制御回路3の演算部9は、調光制御装置11から調光指示信号Sadを取得したか否か判定する。その結果、調光制御装置11から調光指示信号Sadを取得したと判定した場合、演算部9はステップをステップS120に移行させる。一方、調光制御装置11から調光指示信号Sadを取得していないと判定した場合、演算部9はステップをステップS150に移行させる。
ステップS120において、演算部9は、取得した調光指示信号Sadに基づいて座標データDを算出し、ステップをステップS130に移行させる。
ステップS130において、演算部9は、座標データDに基づき調光テーブル記憶部4から調光率情報Saを取得し、ステップをステップS140に移行させる。
ステップS140において、演算部9は、座標データDに基づき閾値電圧記憶部5から閾値電圧情報Ssを取得し、ステップをステップS150に移行させる。
ステップS150において、演算部9は、電圧検出部8から検出した電圧値を変換したデジタル信号Vdを取得し、ステップをステップS160に移行させる。
ステップS160において、演算部9は、取得したデジタル信号Vdが閾値電圧情報Ssの範囲内か否か判定する。その結果、取得したデジタル信号Vdが閾値電圧情報Ssの範囲内であると判定した場合、演算部9はステップをステップS170に移行させる。一方、取得したデジタル信号Vdが閾値電圧情報Ssの範囲以内でないと判定した場合、演算部9はステップをステップS270に移行させる。
ステップS170において、演算部9は、取得した調光率情報SaからPWM信号生成情報Spを生成し、ステップをステップS180に移行させる。
ステップS180において、演算部9は、生成したPWM信号生成情報SpをPWM信号生成部6に伝達し、ステップをステップS110に戻す。
ステップS270において、演算部9は、取得したデジタル信号Vdが閾値電圧情報Ssの上限値よりも大きいか否か判定する。その結果、取得したデジタル信号Vdが閾値電圧情報Ssの上限値よりも大きいと判定した場合、演算部9はステップをステップS280に移行させる。一方、取得したデジタル信号Vdが閾値電圧情報Ssの上限値よりも大きくないと判定した場合、すなわち、取得したデジタル信号Vdが閾値電圧情報Ssの下限値よりも小さいと判断した場合、演算部9はステップをステップS380に移行させる。
ステップS280において、演算部9は、LEDの開放故障が生じたとして所定の保護動作Aを行い、制御を終了する。
ステップS380において、演算部9は、LEDの短絡故障が生じたとして所定の保護動作Bを行い、制御を終了する。
このように構成することで、第一実施形態に係る照明装置101は、LED駆動装置1の制御回路3による閾値電圧情報Ssと検出した電圧Vとの比較によりLEDの短絡故障と開放故障とを判別可能に構成される。さらに、照明装置101は、制御回路3により故障の態様に対応する制御態様である保護動作Aと保護動作Bとを適切に行うことができる。なお、保護動作Aと保護動作Bとの詳細は後述する。
〔2.LEDの異常電流検出動作(2)〕
次に、図4を用いて、本発明に係る照明装置の第二実施形態である異常電流を検出する照明装置102について説明する。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
図4に示すように、LED駆動装置1の制御回路3は、DC/DCコンバータ2を制御するものである。制御回路3は、調光テーブル記憶部4、閾値電圧記憶部5、PWM信号生成部6、エラー信号生成部7、および演算部9に加えて、電流検出部12を具備している。
電流検出部12は、LEDモジュール10のLEDユニット10a・10bに流れる電流Ia・Ibを検出するものである。電流検出部12は、LEDユニット10a・10bのカソード側にそれぞれダイオードD1・D2を介して接続される。電流検出部12は、一定時間毎にLEDユニット10a・10bに流れる電流Ia・Ibを検出する。電流検出部12は、検出した電流Ia・Ibを電圧のデジタル信号Vda・Vdbに変換して演算部9に伝達可能に構成される。なお、電流検出部12は、デジタル信号Vda・Vdbを随時演算部9に伝達する構成や、演算部9からの要求に応じて演算部9に伝達する構成でもよい。また、電流検出部12は、デジタル信号Vda・Vdbの代わりにアナログ信号を演算部9に伝達する構成でもよい。
演算部9は、LEDモジュール10の状態を判定するものである。演算部9は、一定時間毎に電流検出部12からデジタル信号Vda・Vdbを取得可能に構成される。演算部9は、座標データDを用いて閾値電圧記憶部5から閾値電圧情報Ssを取得可能に構成される。演算部9は、取得したデジタル信号Vda・Vdbと閾値電圧情報Ssに基づく閾値電圧とを比較し、エラー判定信号Sjをエラー信号生成部7に伝達可能に構成される。エラー判定信号Sjは、例えばデジタル信号である。
演算部9は、電流検出部12に接続され、電流検出部12が検出するLEDユニット10a・10bに流れる電流Ia・Ibを変換した電圧のデジタル信号Vda・Vdbをそれぞれ取得することが可能である。
以下では、図4と図5とを用いて、本発明の第二実施形態に係る照明装置102のLED駆動装置1の制御態様について説明する。
図4に示すように、演算部9は、電流検出部12から取得したデジタル信号Vda・Vdbが閾値電圧記憶部5から取得した閾値電圧情報Ssの範囲に含まれない場合、LEDに故障が発生したと判断して所定の保護動作(保護動作Aや保護動作B)を行う。
LEDモジュール10に供給される電流Iは、DC/DCコンバータ2により定電流制御を受けて、一定電流値である。LEDモジュール10に含まれる少なくとも一つのLEDの開放故障が発生した場合、開放故障が発生したLEDが含まれるLEDユニットには電流が流れない。これにより、DC/DCコンバータ2による定電流制御によって、LEDの開放故障が発生していないLEDユニットに流れる電流は増大する。また、LEDモジュール10に含まれる少なくとも一つのLEDの短絡故障が発生した場合、LEDによる電圧降下が低減することにより、短絡故障が発生したLEDが含まれるLEDユニットに流れる電流が増大する。これにより、DC/DCコンバータ2による定電流制御によって、LEDの短絡故障が発生していないLEDユニットに流れる電流は減少する。
従って、演算部9は、デジタル信号Vda・Vdbのうち少なくとも一方が0Vである場合、LEDに開放故障が発生したと判断して所定の保護動作Aを行う。また、演算部9は、デジタル信号Vda・Vdbのうち少なくとも一方が閾値電圧情報Ssの下限値よりも小さい場合、LEDに短絡故障が発生したと判断して所定の保護動作Bを行う。
次に、図5を用いて、LED駆動装置1の制御回路3の制御態様について具体的に説明する。
図5に示すように、ステップS110からステップS140において、制御回路3の演算部9は、調光制御装置11から調光指示信号Sadに基づいて座標データDを算出し、調光率情報Sa、閾値電圧情報Ssを取得すると、ステップをステップS150に移行させる。
ステップS150において、演算部9は、電流検出部12から検出した電流Ia・Ibから求めた電圧を変換したデジタル信号Vda・Vdbを取得し、ステップをステップS160に移行させる。
ステップS460において、演算部9は、取得したデジタル信号Vda・Vdbが閾値電圧情報Ssの範囲以内か否か判定する。その結果、取得したデジタル信号Vda・Vdbが閾値電圧情報Ssの範囲以内であると判定した場合、演算部9はステップをステップS170に移行させる。一方、取得したデジタル信号Vdが閾値電圧情報Ssの範囲以内でないと判定した場合、演算部9はステップをステップS570に移行させる。
ステップS170からステップS180において、演算部9は、調光率情報Saから生成したPWM信号生成情報SpをPWM信号生成部6に伝達し、ステップをステップS110に戻す。
ステップS570において、演算部9は、取得したデジタル信号Vda・Vdbのうち少なくとも一方が0Vか否か判定する。その結果、取得したデジタル信号Vda・Vdbのうち少なくとも一方が0Vであると判定した場合、演算部9はステップをステップS580に移行させる。一方、取得したデジタル信号Vda・Vdbが0Vでないと判定した場合、演算部9はステップをステップS680に移行させる。
ステップS580において、演算部9は、LEDの開放故障が生じたとして所定の保護動作Aを行い、制御を終了する。
ステップS680において、演算部9は、LEDの短絡故障が生じたとして所定の保護動作Bを行い、制御を終了する。
このように構成することで、第二実施形態に係る照明装置102は、LED駆動装置1の制御回路3による閾値電圧情報Ssと検出した電流Ia・Ib(デジタル信号Vda・Vdb)との比較により、LEDの短絡故障と開放故障とを判別可能に構成される。さらに、照明装置102は、LED駆動装置1の制御回路3により故障の態様に対応する制御態様である保護動作Aと保護動作Bを適切に行うことができる。なお、保護動作Aと保護動作Bとの詳細は後述する。
〔3.LEDの異常検出動作(3)〕
次に、図6を用いて、本発明に係る照明装置の第三実施形態である異常電流を検出する照明装置103について説明する。
図6に示すように、LED駆動装置1の制御回路3は、DC/DCコンバータ2を制御するものである。制御回路3は、調光テーブル記憶部4、閾値電圧記憶部5、PWM信号生成部6、エラー信号生成部7、電圧検出部8、および演算部9に加えて、ポリスイッチ13a・13bを具備している。
ポリスイッチ13a・13bは、温度による抵抗値の変化により流れる電流を微少にするものである。ポリスイッチ13a・13bは、正の温度係数を持つサーミスタである。ポリスイッチ13a・13bは、過電流により熱せられてポリスイッチ13a・13bの温度が上昇すると抵抗値が大幅に増大する。ポリスイッチ13a・13bは、LEDモジュール10のLEDユニット10a・10bが接続される回路上にそれぞれ設けられる。これにより、LEDユニット10a・10bに流れる電流Ia・Ibがポリスイッチ13a・13bに流れる。
LEDモジュール10に含まれるLEDのうち少なくとも一つのLEDの開放故障が発生した場合、DC/DCコンバータ2による定電流制御によって、LEDの開放故障が発生していないLEDユニットに流れる電流が増大する。つまり、LEDの開放故障が発生していないLEDユニットに接続されているポリスイッチは、温度が上昇して抵抗値が増加する。これにより、LEDモジュール10に印加される電圧が上昇する。
一方、LEDモジュール10に含まれるLEDのうち少なくとも一つのLEDの短絡故障が発生した場合、LEDによる電圧降下が減少する。つまり、短絡故障が発生したLEDが含まれるLEDユニットに流れる電流が増大する。これにより、LEDモジュール10に印加される電圧は一時的に低下するが、短絡故障が発生したLEDユニットに接続されているポリスイッチの温度が上昇して抵抗値が増加することにより、LEDモジュール10に印加される電圧は再び上昇する。
〔4.保護動作〕
演算部9は、デジタル信号Vdが閾値電圧情報Ssの上限値よりも大きい場合、LEDに開放故障または短絡故障が発生したと判断して所定の保護動作Aを行う。なお、ポリスイッチ13a・13bに代えて、温度ヒューズを設けてもよい。このように構成することで、照明装置103は、LED駆動装置1の制御回路3により故障の態様に対応する制御態様である保護動作Aを適切に行うことができる。なお、本実施形態においては、保護動作Bは保護動作Aと同一の動作とする。
以下では、前述の保護動作Aと保護動作Bとについて具体的に説明する。以下の保護動作Aと保護動作Bとは本発明の実施形態である照明装置101・102・103、後述の照明装置102a・102bおよび照明装置101c・102c・103cに所定の保護動作を組み合わせることが可能である。
保護動作Aは、LEDの開放故障が生じた場合の所定の保護動作である。この場合において、LEDモジュール10に印加される電圧は上昇し、LEDの開放故障が発生していないLEDユニットに流れる電流は、調光率情報Saに基づく電流よりも増大している。保護動作Bは、LEDの短絡故障が生じた場合の所定の保護動作である。この場合において、LEDモジュール10に印加される電圧は低下し、LEDの短絡故障が発生したLEDユニットに流れる電流は、調光率情報Saに基づく電流よりも増大している。
〔4−1.パワーダウン動作〕
まず、保護動作の第一実施形態としてDC/DCコンバータ2の出力を減少させるパワーダウン動作を説明する。
保護動作Aにおいて、制御回路3の演算部9は、開放故障が発生していないLEDユニットに流れている電流が調光率情報Saに基づく電流と等しくなるように、LEDモジュール10に供給される電流Iを減少させるPWM信号生成情報Spを生成する。そして、演算部9は、生成したPWM信号生成情報SpをPWM信号生成部6に伝達する。PWM信号生成部6は、PWM信号生成情報Spに基づいてPWM調光信号Scを生成し、DC/DCコンバータ2に伝達する。すなわち、制御回路3は、DC/DCコンバータ2の電流Iの出力を減少させるパワーダウン動作を実施する(以下、単に「パワーダウン動作」と記す)。これにより、DC/DCコンバータ2からLEDモジュール10に供給される電流Iが減少する。なお、DC/DCコンバータ2の電流Iの出力を所定の値まで減少させるように構成してもよい。
保護動作Bにおいて、制御回路3の演算部9は、短絡故障が発生したLEDユニットに流れている電流が調光率情報Saに基づく電流値以下になるように、パワーダウン動作を実施する。これにより、DC/DCコンバータ2からLEDモジュール10に供給される電流Iが減少する。照明装置101の演算部9は、LEDモジュール10の電圧低下の状況に基づいてパワーダウン動作後の電流Iが設定されている。なお、制御回路3は、DC/DCコンバータ2の電流Iの出力を一律に所定の値まで減少させる動作を実行可能としてもよい。
パワーダウン動作を実施することで、照明装置101・102・103は、LEDの開放故障が発生しても、照明装置101・102・103としての機能を確保しつつ他のLEDの故障を防止することができる。また、照明装置101・102・103は、LEDの短絡故障が発生しても、必要最低限の照明装置101・102・103としての機能を確保しつつ他のLEDの故障を防止することができる。
〔4−2.点滅動作〕
次に、保護動作の第二実施形態として点滅動作を説明する。本実施形態は、上述の第一実施形態に係るパワーダウン動作に加えて、所定の間隔でLEDモジュール10が点滅するように構成される。また、別実施形態として、報知手段としてブザーを備える構成としてもよい。
保護動作Aおよび保護動作Bにおいて、制御回路3の演算部9は、パワーダウン動作と所定の間隔でLEDモジュール10が点滅する動作とを実行可能なPWM信号生成情報Spを生成する。そして、演算部9は、生成したPWM信号生成情報SpをPWM信号生成部6に伝達する。PWM信号生成部6は、PWM信号生成情報Spに基づいてPWM調光信号Scを生成し、DC/DCコンバータ2に伝達する。すなわち、制御回路3は、DC/DCコンバータ2の電流Iの出力を抑制するパワーダウン動作を実施するとともに点滅動作を実施する。ブザーを更に備える場合、点滅動作に加えてブザーによる報知動作を実施してもよい。
点滅動作を実施することで、照明装置101・102・103は、LEDの開放故障や短絡故障が発生したことをユーザーへ報知することができるため、ユーザーが報知を認識して照明装置101・102・103の電源をオフにすれば他のLEDの故障を防止することができる。また、報知動作とともにパワーダウン動作を実行することで、他のLEDの故障を防止することができる。
〔4−3.自己断線動作〕
次に、図7を用いて、保護動作の第三実施形態として自己断線動作を説明する。本実施形態は、照明装置の第二実施形態である照明装置102に温度ヒューズ14a・14bが更に設けられた照明装置の第四実施形態である照明装置102aに適用される。照明装置102aは、LEDユニット10a・10bが接続される回路にそれぞれ温度ヒューズ14a・14bが設けられる。温度ヒューズ14a・14bは、断線用ヒータを具備する。演算部9は、それぞれの断線用ヒータに接続され、断線用ヒータを制御することが可能である。
保護動作Aにおいて、演算部9は、パワーダウン動作を実施する。これにより、DC/DCコンバータ2からLEDモジュール10に供給される電流Iが減少する。
保護動作Bにおいて、演算部9は、短絡故障が発生したLEDユニットの温度ヒューズの断線用ヒータを作動させる。演算部9は、LEDモジュール10に印加される電圧Vの上昇、またはそのLEDユニットに流れている電流が検出できないことにより温度ヒューズが断線したと判断する。すなわち、制御回路3は、短絡故障が発生したLEDユニットの温度ヒューズを断線用ヒータによって断線させる自己断線動作を実施する。これにより、DC/DCコンバータ2による定電流制御によって、短絡故障が発生していないLEDユニットに流れる電流が増大する。
演算部9は、パワーダウン動作を合わせて実施する。これにより、DC/DCコンバータ2からLEDモジュール10に供給される電流Iが減少する。
自己断線動作を実施することで、照明装置102aは、LEDの開放故障や短絡故障が発生しても照明装置102aとしての機能を確保しつつ他のLEDの故障を防止することができる。
また、自己断線動作の別実施形態として、LEDモジュール10が接続される回路に温度ヒューズを設ける構成でもよい。保護動作A・Bにおいて、演算部9は、開放故障や短絡故障が発生すると温度ヒューズの断線用ヒータを作動させて自己断線動作を実施する。これにより、DC/DCコンバータ2からLEDモジュール10に電流Iが供給されない。
自己断線動作を実施することで、照明装置102aは、LEDの開放故障や短絡故障が発生した後に継続使用されたことによる故障箇所の増加を防止することができる。
〔4−4.出力停止動作〕
次に、保護動作の第四実施形態として出力停止動作を説明する。本実施形態においては、保護動作Aと保護動作Bとにおいて同一の保護動作が行われるため保護動作Aのみについて説明する。
保護動作Aにおいて、演算部9は、エラー信号生成部7にエラー判定信号Sjを伝達する。エラー信号生成部7は、演算部9からのエラー判定信号Sjに基づいてエラー信号Seを生成する。エラー信号生成部7は、生成したエラー信号SeをDC/DCコンバータ2に伝達する。すなわち、制御回路3は、DC/DCコンバータ2の電流Iの出力を停止させる出力停止動作を実施する(以下、単に「出力停止動作」と記す)。これにより、DC/DCコンバータ2からLEDモジュール10に供給される電流Iが停止する。なお、所定の解除操作等により出力停止動作を解除可能に構成してもよい。
出力停止動作を実施することで、照明装置101・102・103は、LEDの開放故障や短絡故障が発生したことによる他のLEDの故障を防止することができる。
〔4−5.間引き点灯動作〕
次に、保護動作の第五実施形態として間引き点灯動作を説明する。本実施形態においては、保護動作Aと保護動作Bとにおいて同一の保護動作が行われるため保護動作Aのみについて説明する。本実施形態は、本実施形態は、スイッチ素子15a・15bが設けられた照明装置の第二実施形態である照明装置102、または複数のLED駆動装置1を具備する照明装置の第一実施形態から第三実施形態である照明装置101・102・103について適用される。
図8に示すように、照明装置102bは、LEDユニット10a・10bが接続される回路にそれぞれスイッチ素子15a・15bが設けられる。制御回路3の演算部9は、スイッチ素子15a・15bに接続され、スイッチ素子15a・15bをそれぞれ制御することが可能である。スイッチ素子15a・15bは、バイポーラトランジスタ、電解効果トランジスタ(MOS−FET)などを採用することができる。
保護動作Aにおいて、演算部9は、開放故障や短絡故障が発生したLEDが含まれるLEDユニットに接続されているスイッチ素子15a・15bをオフにする。これにより、開放故障や短絡故障が発生していないLEDユニットのみが点灯するとともに、DC/DCコンバータ2の定電流制御によりそのLEDユニットに流れる電流が増大する。すなわち、制御回路3は、開放故障や短絡故障が発生したLEDのスイッチ素子をオフにすることで、間引き点灯動作を実施する。
演算部9は、パワーダウン動作を合わせて実施する。これにより、DC/DCコンバータ2からLEDモジュール10に供給される電流Iが減少する。
また、複数のLED駆動装置1を具備する照明装置101・102・103においては、開放故障や短絡故障が発生したLEDが含まれるLEDモジュール10への電流Iの供給を停止する。具体的には、保護動作Aにおいて、開放故障や短絡故障が発生したLEDモジュール10を駆動しているLED駆動装置1の演算部9は、停止動作を実施する。これにより、DC/DCコンバータ2からLEDモジュール10への電流Iの供給が停止される。すなわち、照明装置101・102・103は、開放故障や短絡故障が発生したLEDが含まれるLEDモジュール10への電流Iの供給を停止して間引き点灯動作を実施する。
間引き点灯動作を実施することで、照明装置101・102・103は、LEDの開放故障や短絡故障が発生しても照明装置101・102・103としての機能を確保しつつ他のLEDの故障を防止することができる。
〔4−6.光源切り替え動作〕
次に、保護動作の第六実施形態として別光源への切り替え動作を説明する。本実施形態においては、保護動作Aと保護動作Bとにおいて同一の保護動作が行われるため保護動作Aのみについて説明する。
図9に示すように、本実施形態は、照明装置の第一実施形態から第三実施形態である照明装置101・102・103に副LED駆動装置16、副LEDモジュール17および制御装置18を更に具備した照明装置の第六、第七、第八実施形態である照明装置101c・102c・103cに適用される。照明装置101c・102c・103cは、制御装置18にLED駆動装置1と副LED駆動装置16とがそれぞれ接続される。なお、「副LED駆動装置16」は、構成名称に「副」が付されているが、これはLED駆動装置1に対して独立した装置であることを意味するものであって、LED駆動装置1の補助的役割であることを意味するものではない。「副LEDモジュール17」についても同様の意味である。
制御装置18は、LED駆動装置1と副LED駆動装置16とを制御するものである。制御装置18は、例えば、マイクロコンピュータから構成される。制御装置18は、調光制御装置11からの調光指示信号Sadに基づいて座標データDを算出可能に構成される。制御装置18は、LED駆動装置1における制御回路3の演算部9が行うエラー判定の結果を取得可能に構成される。
制御装置18は、調光制御装置11に接続され、調光制御装置11から調光指示信号Sadを取得することが可能である。
制御装置18は、LED駆動装置1の制御回路3に接続され、算出した座標データDをLED駆動装置1の制御回路3に伝達することが可能である。また、制御装置18は、LED駆動装置1の制御回路3がしたエラー判定の結果を取得可能に構成される。
制御装置18は、副LED駆動装置16の制御回路3に接続され、算出した座標データDを副LED駆動装置16の制御回路3に伝達することが可能である。
制御装置18は、LED駆動装置1の制御回路3から取得したエラー判定の結果から開放故障や短絡故障が発生していると判断すると、LED駆動装置1の制御回路3に停止信号を伝達する。一方、制御装置18は、副LED駆動装置16の制御回路3に予め定められた座標データDを伝達する。
保護動作Aにおいて、LED駆動装置1の演算部9は、出力停止動作を実施する。なお、DC/DCコンバータ2の電流Iの出力を減少させて間欠的に電流Iを供給する制御としてもよい。また、所定の解除操作等により出力停止動作を解除可能に構成してもよい。
副LED駆動装置16の演算部9は、座標データDに基づいてPWM信号生成情報Spを生成する。そして、演算部9は、生成したPWM信号生成情報SpをPWM信号生成部6に伝達する。PWM信号生成部6は、PWM信号生成情報Spに基づいてPWM調光信号Scを生成し、DC/DCコンバータ2に伝達する。これにより、制御回路3は、副LED駆動装置16のDC/DCコンバータ2から副LEDモジュール17に電流Isを供給する。すなわち、照明装置101c・102c・103cは、開放故障や短絡故障が発生したLEDモジュール10への電流Iの供給を停止して副LEDモジュール17へ電流Isを供給する切り替え動作を実施する。
切り替え動作を実施することで、照明装置101c・102c・103cは、LEDの開放故障や短絡故障が発生しても、照明装置101c・102c・103cとしての機能を確保しつつ他のLEDの故障を防止することができる。
〔4−7.回復動作〕
次に、保護動作の第七実施形態として回復動作を説明する。本実施形態においては、保護動作Aと保護動作Bとにおいて同一の保護動作が行われるため保護動作Aのみについて説明する。本実施形態は、ポリスイッチ13a・13bが設けられた照明装置の第三実施形態(図6参照)である照明装置103について適用される。
図6に示すように、保護動作Aにおいて、演算部9は、出力停止動作を実施する。これにより、DC/DCコンバータ2からLEDモジュール10に供給される電流Iが停止される。LEDモジュール10の各LEDユニット10a・10bに接続されたポリスイッチ13a・13bは、自然放熱による温度低下に伴って抵抗値が減少する。
演算部9は、所定時間経過後に生成したPWM信号生成情報SpをPWM信号生成部6に伝達する。PWM信号生成部6は、演算部9から取得したPWM信号生成情報Spに基づいてPWM調光信号Scを生成する。PWM信号生成部6は、生成したPWM調光信号ScをDC/DCコンバータ2に伝達する。ポリスイッチ13a・13bは、自然放熱による温度低下に伴って抵抗値が減少していることからLEDユニット10a・10bに電流が流れてLEDが点灯する。すなわち、制御回路3は、LEDモジュール10に再び電流Iを供給する回復動作を実施する。
回復動作を実施することで、照明装置103は、LEDの開放故障や短絡故障が発生しても照明装置103としての機能を確保しつつ他のLEDの故障を防止することができる。なお、報知手段は、照明装置103に備えてもよいし、LED駆動装置1に備えてもよい。
〔5.照明器具の構成〕
ここで、本発明に係る照明装置101等を具備する照明器具の一実施形態である照明器具200について図10から図12を用いて説明する。
本実施形態に係る照明器具200は、LED駆動装置1によって駆動されるLEDモジュール10を主光源として用いる照明器具である。照明器具200は、天井等の取付面に直付けされるシーリングライトである。以下の説明では、光を照射する側を照明器具200の照射面側とし、天井等の取付面に取り付けられる側を取付面側として説明する。
図10および図11に示すように、照明器具200は、主に器具本体201、電源装置であるLED駆動装置1、光源部であるLEDモジュール10、セード207を有している。
器具本体201は、照明器具200の本体を構成するものである。本実施形態に係る照明器具200は平面形状が円形であり、器具本体201の平面視での外形輪郭形状も円形である。器具本体201は、主として収容部202、取付穴203、基板取付部204、第1保護部材取付部205、及び第2保護部材取付部206を有している。器具本体201は、熱伝導性を有するアルミニウム等の金属板で形成されている。本実施形態では、基板取付部204、第1保護部材取付部205、及び第2保護部材取付部206等は、板金加工により形成されている。
収容部202は、器具本体201の半径方向中央部に設けられる。収容部202は、光源部であるLEDモジュール10を点灯させるための電源装置であるLED駆動装置1や点灯装置(図示せず)等が収容される部分である。収容部202は、収容部カバー208で覆われており、内部にLED駆動装置1や点灯装置等を収容するための高さ、及び幅が確保されている。
取付穴203は、照明器具200を天井に取り付ける際、アダプタ(図示せず)を取り付ける部分である。取付穴203は、器具本体201の半径方向中心となる位置に設けられている。取付穴203は、収容部202の下面側から器具本体201の上面側まで貫通して設けられている。照明器具200を例えば天井に取り付ける場合は、照明器具用の天井配線器具(引っ掛けシーリング)にアダプタを取付け、取付穴203にアダプタを差し込むようにして取り付ける。
基板取付部204は、光源部であるLEDモジュール10が取り付けられる部分である。基板取付部204は、器具本体201の照射面側に突出するように形成されている。LEDモジュール10を配置する面は平坦に形成されている。基板取付部204が形成される領域は、収容部202を取り囲む領域であり、収容部202よりも器具本体201の半径方向外側であって、かつ、器具本体201の外周縁部よりも器具本体201の半径方向やや内側の領域である。
LED駆動装置1及び点灯装置等は、収容部202に収容されている。LED駆動装置1にはコネクタ1aが設けられている。照明器具200を例えば天井に取り付ける際、コネクタ1aをアダプタ側のコネクタ(図示せず)と接続することで、照明器具用の天井配線器具を介して外部電源と電気的に接続される。点灯装置とLEDモジュール10は電線(図示せず)によって電気的に接続されている。
セード207は、器具本体201の照射面側に取り付けられる。セード207は、器具本体201の照射面側を覆う。セード207は、LEDモジュール10からの光を反射及び拡散させつつ、外部へ配光する部材である。セード207は、透光性を有する樹脂素材で形成されている。セード207の全体形状は、平面形状が円形であり、照射面側に緩やかにドーム状に膨らんでいる。セード207は、セード207の内部の清掃や器具本体201の部品交換等のために器具本体201に対して着脱できる構造となっている。
図12に示すように、LEDモジュール10は、複数のLEDユニット10a・10b・・を有している。本実施形態では、LEDモジュール10は、基板取付部204に対応して、8枚のLEDユニット10a・10b・10c・10d・10e・10f・10g・10hで構成されている。各LEDユニット10a・10b・・は、基板上に複数のLED素子209が実装されて構成されている。LEDモジュール10は、基板取付部204に配置される。複数のLEDユニット10a・10b・・は、基板取付部204に配置された状態では、器具本体201の半径方向に一定の幅を有する円環状に配列される。
このように構成される照明器具200は、上述の照明装置101等により調光制御装置11からの調光の指示に基づいて任意の輝度でLEDを点灯させることが可能である。また、照明器具200は、LEDの開放故障や短絡故障が発生した場合、LEDモジュール10に対しての保護動作Aや保護動作Bを照明装置101が実施することによりLEDの故障の有無をユーザーに報知することが可能である。
以上のように、本発明に係る複数のLEDを定電流制御で駆動するLED駆動装置1であって、LEDを具備するLEDモジュール10に印加される電圧V、LEDを具備するLEDモジュール10のLEDユニット10a・10bに供給される電流Ia・IbおよびLEDを具備するLEDモジュール10のLEDユニット10a・10bの温度のうち少なくとも一つが所定の範囲にない場合、そのLEDを具備するLEDモジュール10のLEDユニットへの電流の供給を制限するとともに所定の制御態様である保護動作Aおよび保護動作BでLEDを具備するLEDモジュール10のLEDユニットに電流Ia・Ibを供給するものである。このように構成することで、LEDの異常を検出して正常なLEDを保護することができる。
また、LED駆動装置1およびそれを備えた照明装置101・102・103であって、所定の制御態様による電流の供給を開始すると報知手段が所定の態様であるであるブザーや点滅動作、間引き点灯動作、切り替え動作および回復動作で外部に対して報知する報知手段をさらに備えるものである。このように構成することで、保守作業の必要性の有無を認識することができるLED駆動装置1およびそれを備えた照明装置101・102・103を提供することができる。なお、本実施の形態では、照明器具の一例としてシーリングライトを挙げたが、少なくとも複数のLEDユニットを備える照明器具であれば、本発明は有用である。