以下、本開示を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(位置通知システム)
2.第2の実施の形態(応用例)
3.第3の実施の形態(その他)
4.第4の実施の形態(位置通知システム)
5.第5の実施の形態(盗難防止システム)
<1.第1の実施の形態>
<チャープ変調の多重化>
日本国内の920MHz帯の同一チャネル内で送信信号を多重化するために、パケットの送信信号をチャープ変調し、複数のチャープ変調された送信信号の送信タイミングを時間方向にずらす。この様子の例を図1に示す。図1において主信号(例えば送信信号)はチャープ変調されている。中心周波数は925MHz、長さは0.2秒、チャープ幅(Chirp BW)は101.562KHzである。より詳細には、この主信号のチャープレート(Chirp Rate)は6.348KHzであり、79.98Hzの変化を6μS刻み×25.9stepで実現し、時間は157.7μSかかる。
図2に示されるように、このような主信号(チャープ変調された送信信号)に対して、隣接する妨害波の送信タイミングが主信号の送信タイミングから0.02secずれていると、主信号とその妨害波とが分離可能に(混信しないで)多重化される。
このような原理を利用して、互いの送信タイミングを時間方向にずらすことにより、図3に示されるように、複数のチャープ変調された送信信号を、分離可能に(混信しないで)多重化することができる。つまり、日本国内の920MHz帯の同一チャネル内で送信信号を多重化することができる。日本国内の920MHz帯には、所定の帯域幅のチャンネルが複数規定されている。
なお、図1に示されるように、チャープ変調された送信信号を受信側にとって既知の時刻に送信開始するようにしてもよい。つまり、各送信信号の送信タイミングをこの既知の時刻(グリッド時間とも称する)としてもよい。このようにすることにより、受信側において各送信信号をより容易に検出することができるようになる。
つまり、図2や図3の場合も同様に、各送信信号をグリッド時間に送信開始するようにしてもよい。そして、このグリッド時間の間隔は、一定としてもよい。また、グリッド時間の間隔は、チャープ変調の周期より短くしてもよい。例えば、図3の例の場合、チャープ変調の周期は、0.2秒間、すなわち、1パケットの送信時間である。また、グリッド時間の間隔は、0.02秒間である。
さらに、図1に示されるように、チャープ変調された送信信号は、さらに狭帯域変調されていてもよい。送信データを狭帯域変調することにより、主信号の帯域幅は、10KHz以下とすることができる。図2に示されるように、チャープ変調された各送信信号の帯域幅が狭いほど、送信信号同士を近接させることができるので、例えば図3に示されるように、より多くの送信信号を多重化することができるようになる。また、同期検出の精度を向上させることができる。
この狭帯域変調として、例えばBPSK(Binary Phase Shift Keying)やQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)等の位相変位変調を適用するようにしてもよいし、例えばGMSK(Gaussian filtered minimum shift keying)等の最小偏移変調を適用するようにしてもよい。
これらのような変調方式を採用することにより、PLLにより、送信信号を生成することができる。したがって、消費電力の増大を抑制することができる。また、その分、送信信号の増幅に、高効率増幅部を適用することができる。
また、チャープ変調された送信信号の送信タイミングの制御は、GPS信号に含まれる時刻情報に基づいて行うようにしてもよい。このようにすることにより、チャープ変調された送信信号の送信タイミングの制御をより高精度に行うことができる。
なお、GPS信号の受信と、チャープ変調された送信信号の送信とが、共通の基準クロック信号に基づいて行われるようにしてもよい。この場合、基準クロックがGPS信号の時刻情報に対してずれる場合がある。そのため、そのずれ(周波数偏差)を補正するようにしてもよい。このようにすることにより、チャープ変調された送信信号の送信タイミングの制御をより高精度に行うことができる。
以上のように、送信側から互いに異なる送信タイミングにおいて送信され、多重化された複数のチャープ変調された送信信号を受信する場合、各送信信号を、それぞれの送信タイミングに応じたタイミングにおいてデチャープする。このようにすることにより、各送信信号(各パケット)を分離して(混信させずに)復調することができる。つまり、日本国内の920MHz帯の同一チャネル内で送信信号の多重化を実現することができる。
上述のように、各送信信号の送信タイミングをこの既知の時刻(グリッド時間)としてもよい。また、各送信信号をデチャープするタイミングの間隔は一定であるようにしてもよい。さらに、各送信信号をデチャープするタイミングの間隔をチャープ変調の周期より短くしてもよい。
また、チャープ変調された送信信号がさらに狭帯域変調されているようにし、前記送信信号をデチャープ後に、さらに狭帯域復調するようにしてもよい。この狭帯域復調として、例えばBPSKやQPSK等の位相変位復調を適用するようにしてもよいし、例えばGMSK等の最小偏移復調を適用するようにしてもよい。
なお、チャープ変調された送信信号のデチャープのタイミングの制御は、所定の同期信号に基づいて行うようにしてもよい。さらに、GPS信号にも基づいて行うようにしてもよい。さらにチャープ変調された送信信号のデチャープのタイミングに対して遅延補正を行うようにしてもよい。
<位置通知システム>
次に、上述したような本技術を適用するシステムや装置について説明する。図4は、本技術を適用した信号送受信システムの一実施の形態である位置通知システムの主な構成例を示す図である。図4に示される位置通知システム100は、送信装置101が自身の位置を通知するシステムである。
送信装置101は、本技術を適用した送信装置の一実施の形態であり、自身の位置を示す位置情報を、無線信号として送信する。高感度受信装置102は、本技術を適用した受信装置の一実施の形態であり、その無線信号を受信して送信装置101の位置情報を取得し、その位置情報を、ネットワーク103を介してサーバ104に供給する。つまり、高感度受信装置102は、送信装置101から送信された情報を中継してサーバ104に伝送する中継局として機能する。送信装置101から高感度受信装置102に対する情報の送信は、例えば片方向の通信によって行われる。サーバ104は、各送信装置101の位置情報を管理する。送信装置101の位置を知りたいユーザに操作される端末装置105は、ネットワーク103を介してサーバ104にアクセスし、サーバ104から送信装置101の位置情報を取得し、例えば地図データ等とともに表示する等して、ユーザに送信装置101の位置を通知する。
送信装置101は、例えば、ユーザが位置を把握したい対象者に携帯させる。図4の例では、高齢者111に送信装置101を携帯させている。送信装置101は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からGNSS信号を受信する等して、適宜、自身の位置情報(例えば、緯度および経度)を求めることができる。送信装置101は、適宜、その位置情報を無線信号として送信する。したがって、ユーザは、上述したように端末装置105を操作して、位置監視対象である高齢者111の位置を把握することができる。
なお、位置監視の対象者は、任意である。例えば、子供であってもよいし、犬や猫等の動物であってもよいし、企業の社員等であってもよい。送信装置101は、専用の装置として構成されるようにしてもよいが、例えば、携帯電話機やスマートフォンのような携帯型の情報処理装置に組み込むようにしてもよい。
高感度受信装置102の設置位置は任意である。例えば、ビル、マンション、家屋等の建造物112の屋根や屋上等でもよい。建造物112は、送信装置101を携帯する位置監視対象者(例えば高齢者111)が活動する可能性が高い都市部に数も多く、また、設置も容易であるので、好適である。特に、位置監視対象者の自宅は、その周辺に位置監視対象者が位置する可能性がより高く、好適である。また、設置場所の確保という面についても、この位置通知サービス提供事業者が独自に場所を確保して高感度受信装置102を設置する場合よりも、同意を得やすく容易である。
さらに、例えば、位置監視対象者(またはユーザ)が、高感度受信装置102を購入または借用して設置することにより、この位置通知サービス提供事業者が独自に高感度受信装置102を設置する場合よりも、位置通知サービス提供事業者の負荷(コスト)を低減することができる。つまり、このようにすることにより、より低コストに、より多くの高感度受信装置102を設置することができる。
送信装置101が、いずれかの高感度受信装置102の通信可能範囲内に位置する状態において、サーバ104は、その送信装置101の位置を管理することができる。換言するに、送信装置101の位置が、いずれの高感度受信装置102の通信可能範囲からも外れると、サーバ104は、その位置を管理することができなくなる。したがって、高感度受信装置102の送信装置101との通信可能範囲網がより広範囲になる程、サーバ104は、送信装置101の位置をより正確に管理することができる。ここで、より正確な管理とは、より広範囲において送信装置101の位置を管理することを意味する。つまり、送信装置101の位置を管理可能な範囲をより広範囲とするためには、送信装置101と高感度受信装置102とがより遠くまで無線信号を送受信することができる程(各高感度受信装置102の通信可能範囲がより広い程)好ましい。また、各高感度受信装置102は、互いに異なる位置に設置されるので、高感度受信装置102の数が多い程好ましい。さらに、有用性を考慮すれば、送信装置101が位置する可能性がより高い領域を高感度受信装置102の通信可能範囲とすることが好ましい。
したがって、位置通知システム100としては、高感度受信装置102の数が多い程、提供可能なサービスの質が向上することになり、好ましい。つまり、より有用なシステムをより低コストに実現することができる。
なお、高感度受信装置102の設置場所は、この他にも例えば、自動車、バイク、自転車等の移動可能な物体(移動体とも称する)に設置するようにしてもよい。つまり、高感度受信装置102の位置が可変であってもよい。
ネットワーク103は、任意の通信網であり、有線通信の通信網であってもよいし、無線通信の通信網であってもよいし、それらの両方により構成されるようにしてもよい。また、ネットワーク103が、1の通信網により構成されるようにしてもよいし、複数の通信網により構成されるようにしてもよい。例えば、インターネット、公衆電話回線網、所謂3G回線や4G回線等の無線移動体用の広域通信網、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)規格に準拠した通信を行う無線通信網、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信の通信路、赤外線通信の通信路、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)やUSB(Universal Serial Bus)等の規格に準拠した有線通信の通信網等、任意の通信規格の通信網や通信路がネットワーク103に含まれるようにしてもよい。
サーバ104や端末装置105は、情報を処理する情報処理装置である。サーバ104や端末装置105は、ネットワーク103に通信可能に接続されており、このネットワーク103を介してネットワーク103に接続される他の通信装置と通信を行い、情報を授受することができる。
このような位置通知システム100において、送信装置101、高感度受信装置102、サーバ104、および端末装置105の数は任意であり、それぞれ、複数であってもよい。例えば、図5に示されるように、位置通知システム100が、互いに異なる位置に設置されている高感度受信装置102をN台(Nは任意の自然数)有するものとする(高感度受信装置102−1乃至高感度受信装置102−N)。
送信装置101が無線信号(位置情報)を送信するタイミングは任意である。例えば、送信装置101が、無線信号を、定期的に送信するようにしてもよいし、所定のイベント発生時(例えば、所定の距離移動した場合や、所定の時刻になった場合等)に送信するようにしてもよい。
この場合、送信装置101から送信された無線信号は、送信装置101の近くに位置する高感度受信装置102により受信される。送信装置101が高感度受信装置102−K(Kは、1≦K≦Nの整数)の通信可能範囲121内から無線信号を送信すると、高感度受信装置102−Kは、その無線信号を受信して、送信装置101の位置情報を取得し、その位置情報を、ネットワーク103を介してサーバ104に供給する(位置情報を中継する)。
例えば、高齢者111(送信装置101)が他の高感度受信装置102の通信可能範囲内に移動して、送信装置101が無線信号を送信すると、その高感度受信装置102が同様に位置情報を中継する。したがって、高齢者111(送信装置101)が、いずれかの高感度受信装置102の通信可能範囲内に位置する限り、ユーザは、高齢者111の位置を把握することができる。
サーバ104は、送信装置101の位置情報を管理する。送信装置101が複数存在する場合、サーバ104は、送信装置101毎にその位置情報を管理する。例えば、送信装置101は、位置情報とともに自身の識別情報(ID)を送信する。サーバ104は、その位置情報を送信装置101のIDと紐づけて記憶し、管理する。したがって、サーバ104は、ユーザ(端末装置105)から要求された送信装置101の位置情報のみを提供することができる。なお、サーバ104は、位置情報の提供を許可するユーザも送信装置101毎に管理することができる。つまり、サーバ104は、各送信装置101の位置情報を、その送信装置101の位置情報の取得が許可されたユーザに対してのみ提供することができる。
なお、サーバ104が、送信装置101の位置情報を、送信装置101のID以外の他の情報と紐づけて管理するようにしてもよい。例えば、サーバ104が、送信装置101の位置情報を時刻情報等と紐づけて記憶し、管理するようにしてもよい。このようにすることにより、サーバ104は、送信装置101の位置情報の履歴を管理し、提供することができる。
なお、その時刻情報は、送信装置101から送信されるようにしてもよい。例えば、送信装置101が、位置情報とともにGNSS信号に含まれる時刻情報を無線信号として送信するようにしてもよい。
また、送信装置101が送信する位置情報は、サーバ104において、送信装置101の位置を示す情報として管理することができる情報であればよく、その内容は任意である。例えば、送信装置101がGNSS信号から位置情報を求めずに、GNSS信号(またはGNSS信号に含まれる時刻情報)を送信するようにしてもよい。その場合、高感度受信装置102またはサーバ104等が、そのGNSS信号または時刻情報を用いて、送信装置101の位置情報を求めるようにしてもよい。また、そのGNSS信号または時刻情報を用いて、送信装置101の位置情報を求める情報処理装置(サーバ等)を別途設けるようにしてもよい。
また、例えば、送信装置101からの無線信号を受信する高感度受信装置102の設置位置に基づいて、送信装置101の位置が求められるようにしてもよい。例えば図5の場合、送信装置101は、高感度受信装置102の通信可能範囲121内に位置する。このような場合に、サーバ104が、高感度受信装置102−Kが中継したことをもって、送信装置101が高感度受信装置102−Kの通信可能範囲121内に位置すると推定し、その旨を位置情報として管理するようにしてもよい。つまり、この場合、送信装置101の位置は、高感度受信装置102の数(各高感度受信装置102の通信可能範囲の広さ)の粒度で管理される。この場合、送信装置101は、少なくとも、自身のIDを無線信号として送信すればよい。
また、例えば、高感度受信装置102が受信する無線信号の電波強度等から高感度受信装置102と送信装置101との距離を推定し、サーバ104が、その距離も位置情報として管理するようにしてもよい。つまり、サーバ104が、送信装置101がどの高感度受信装置102の通信可能範囲内に位置し、かつ、その高感度受信装置102と送信装置101との距離がいくつであるかを管理するようにしてもよい。この距離の推定は、高感度受信装置102において行われるようにしてもよいし、サーバ104において行われるようにしてもよいし、別途設けられた専用の情報処理装置(サーバ等)により行われるようにしてもよい。
また、例えば、送信装置101が、複数の高感度受信装置102の通信可能範囲が重畳する部分に位置する場合、すなわち、送信装置101が送信した無線信号が複数の高感度受信装置102により中継される場合、三角法等を用いて送信装置101の位置が推定されるようにしてもよい。この位置の推定は、例えば、サーバ104において行われるようにしてもよいし、別途設けられた専用の情報処理装置(サーバ等)により行われるようにしてもよい。
各高感度受信装置102は、任意の送信装置101の情報を中継することができるようにしてもよいし、自身に対応する送信装置101の情報のみを中継することができるようにしてもよい。例えば、ある送信装置101から送信される情報は、その送信装置101の所有者(または管理者)が所有または管理する高感度受信装置102のみが中継することができるようにしてもよい。この所有者(または管理者)には、個人だけでなく事業者も含まれるようにしてもよい。このようにすることにより、高感度受信装置102を複数のユーザで共有することを避けることができ、例えば情報漏洩等の、通信の安全性の低減を抑制することができる。また、ユーザが支払う料金の金額に応じて、利用可能な高感度受信装置102の数が設定されるようにしてもよい。これにより、対価に応じて提供するサービスの質の差別化を図ることができる。
<送信装置>
次に、送信装置101について説明する。送信装置101と高感度受信装置102との間の無線信号の送受信の方法は任意であり、どのような通信規格に準拠するようにしてもよい。例えば、925MHzを含む周波数帯(920MHz帯とも称する)を用いて、長距離の通信が可能な方法で行われるようにしてもよい。
図6は、送信装置101の主な構成例を示すブロック図である。図6に示されるように、送信装置101は、CPU131、BPSK変調部(π/2 BPSK modulation)132、チャープ生成部(Chirp生成部)133、チャープ変調部134、基準クロック生成部(TCXO 26MHz)135、PLL136、高効率増幅部(PA)137、アンテナ138、アンテナ139、GPS(Global Positioning System)受信部140、およびタイミングコントローラ141を有する。
CPU131は、送信に関する任意の処理や制御を行う。例えばCPU131は、送信用のデータである変調データ(同期信号を含む)を生成し、それをBPSK変調部132に供給する。また、例えばCPU131は、チャープ変調の初期値や傾きを設定し、それをチャープ生成部133に供給する。チャープ変調の初期値は、送信信号の多重化に用いられるチャネル(送信チャネル)を指定する中心周波数などの情報である。チャープ変調の傾きとしては、同一チャネルに多重化する送信信号に対して同一の傾きが設定される。
例えば、送信チャネルと、後述するようにタイミングコントローラ141が出力する信号により制御される各送信信号の送信タイミングは、送信装置101自身の識別情報と時刻に基づいて設定される。CPU131は、例えば、送信装置101内の図示せぬメモリに記憶されている識別情報と、GPS受信部140から供給された時刻情報により表される時刻に基づいて送信チャネルと送信タイミングを求め、それを設定することになる。
後述するように、高感度受信装置102は、送信装置101の識別情報を有している。高感度受信装置102に対する送信装置101の識別情報の供給は、例えばサーバ104により行われる。高感度受信装置102は、送信装置101が送信する送信信号の受信時、送信装置101の識別情報と時刻に基づいて、受信チャネルと受信タイミングを求め、送信信号の受信に用いる。送信装置101が送信チャネルと送信タイミングを求めるのと同様の方法を用いることにより、高感度受信装置102においては、送信チャネルと送信タイミングに対応する(同期した)受信チャネルと受信タイミングが求められる。
このように、送信装置101と高感度受信装置102間の通信は、少なくとも送信装置101の識別情報に基づいて求められたチャネルとタイミングを互いに既知の情報として用いることにより同期が確保される。
図6の説明に戻り、また、例えばCPU131は、遅延補正Nを求め、その求めた遅延補正Nを、送信指示とともにタイミングコントローラ141に供給する。なお、CPU131は、GPS受信部140において受信されたGPS信号から抽出される時刻情報に基づいて駆動する。
BPSK変調部(π/2 BPSK modulation)132は、CPU131から供給される変調データ(同期信号を含む)をBPSK変調し、それをチャープ変調部134に供給する。チャープ生成部(Chirp生成部)133は、CPU131から供給されるチャープ変調の初期値や傾きに基づいてチャープ信号を生成する。チャープ生成部133は、その生成したチャープ信号をチャープ変調部134に供給する。
チャープ変調部134は、BPSK変調部132から供給される、BPSK変調された変調データを、チャープ生成部133から供給されるチャープ信号を用いて変調(チャープ変調)する。チャープ変調部134は、チャープ変調された変調データをPLL136(分周部151)に供給する。基準クロック生成部(TCXO 26MHz)135は、26MHzの基準クロックを生成する。
基準クロック生成部135は、生成した基準クロックをPLL136(位相比較部(Φ)152)に供給する。PLL136は、チャープ変調部134から供給されるチャープ変調された変調データに応じた周波数の送信信号を生成し、それを高効率増幅部137に供給する。高効率増幅部(PA)137は、タイミングコントローラ141の制御の下、PLL136から供給される送信信号(チャープ変調された送信信号)を増幅し、アンテナ138を介して無線信号として送信する。
GPS受信部140は、GPS衛星から送信されるGPS信号を、アンテナ139を介して取得する。GPS受信部140は、GPS信号に含まれる時刻情報をCPU131に供給する。また、GPS受信部140は、GPS信号から1PPS(Pulse Per Second)を計測し、その1PPSの時間をタイミングコントローラ141に通知する。
タイミングコントローラ141は、制御信号TX STARTをBPSK変調部132、チャープ生成部133、および、高効率増幅部137に供給し、その値によって、それらの処理の実行を制御(許可・禁止)する。なお、タイミングコントローラ141は、GPS信号に基づいてこのような制御を行う。例えば、タイミングコントローラ141は、GPS受信部140から供給される1PPSを示す情報に基づいて、このような制御を行う。また、タイミングコントローラ141は、CPU131からの送信指示にも基づいて、このような制御を行う。さらに、タイミングコントローラ141は、CPU131から供給される遅延補正Nを用いて、制御信号TX STARTの供給タイミングを補正する。タイミングコントローラ141が出力する制御信号TX STARTにより、チャープ変調によって得られた各送信信号の送信タイミングが制御される。
図6に示されるように、PLL136は、分周部151、位相比較部152、LPF(Low-Pass Filter)153、およびVCO(Voltage Controlled Oscillator)154を有する。
分周部151は、設定周波数データ(FCW(Frequency Command Word))として入力される、チャープ変調された変調データの周波数に応じた倍率で、VCO154からフィードバックされる信号の周波数を変化させ、それを位相比較部152に供給する。
位相比較部152は、分周部151の出力と、基準クロック生成部135から供給される基準クロックとで位相を比較し、その比較結果をLPF153に供給する。LPF153は、比較結果の不要な高域成分を遮断し、そのフィルタ処理結果をVCO154に供給する。
VCO(Voltage Controlled Oscillator)154は、入力された、LPF153のフィルタ処理結果電圧によって出力周波数を制御する。VCO154の出力(送信信号)は、高効率増幅部137に供給される。また、VCO154の出力は、分周部151にフィードバックされる。
位相偏移変調または最小偏移変調を用いることにより、このような簡単な構成のPLLを用いて送信信号を生成することができるので、消費電力の増大を抑制することができる。
<BPSK変調部>
図7は、図6のBPSK変調部132の主な構成例を示すブロック図である。図7に示されるように、BPSK変調部132は、FIFOメモリ(FIFO memory)161、カウンタ(counter 512)162、フリップフロップ163、EXNORゲート164、フリップフロップ165、値変換部167、アップサンプル部(UP sample X 512)167、およびFIRフィルタ168を有する。これらは、図7に示されるように構成される。
このような構成とすることにより、BPSK変調部132は、タイミングコントローラ141から供給される制御信号TX STARTと、基準クロック生成部135により生成される基準クロック(26MHz)に基づいて、CPU131から供給される変調データをBPSK変調し、そのBPSK変調された変調データをチャープ変調部134に供給する。
<チャープ生成部>
図8は、図6のチャープ生成部133の主な構成例を示す図である。図8に示されるように、チャープ生成部133は、カウンタ(counter 10bits)171、比較部(compare)172、ANDゲート173、およびカウンタ(counter 20bits)174を有する。これらは、図8に示されるように構成される。
このような構成とすることにより、チャープ生成部133は、CPU131から供給されるチャープの初期値や傾きの設定、タイミングコントローラ141から供給される制御信号TX STARTと、基準クロック生成部135により生成される基準クロック(26MHz)に基づいて、チャープ信号を生成することができる。
<タイミングコントローラ>
図9は、図6のタイミングコントローラ141の主な構成例を示すブロック図である。図9に示されるように、タイミングコントローラ141は、フリップフロップ181、フリップフロップ182、ANDゲート183、ORゲート184、フリップフロップ185、フリップフロップ191、フリップフロップ192、フリップフロップ183、ANDゲート194、ORゲート195、カウンタ(Counter)196、および比較部(Compare)197を有する。これらは、図9に示されるように構成される。
このような構成とすることにより、タイミングコントローラ141は、CPU131から供給される送信指示や遅延補正、GPS信号受信部140から供給される1PPSを示す情報、基準クロック生成部135により生成される基準クロック(26MHz)に基づいて、制御信号TX STARTを生成し、上述した各処理部に供給することができる。
なお、このタイミングコントローラ141が動作する際の各信号の様子の例を図10に示す。図10に示されるように、送信指示が供給されても、カウント値がリセットされるタイミング(図中点線で示されるタイミング)まで、制御信号TX STARTの値は、「1」にならない。つまり、送信信号が送信されない。換言するに、制御信号TX STARTの値は、カウント値がリセットされるタイミングにおいて、「1」になる。つまり、このタイミングにおいて送信信号が送信される。このようにタイミングコントローラ141は、制御信号TX STARTを用いて、送信信号の送信タイミングを制御することができる。
<送信処理の流れ>
次に、以上のような送信装置101により実行される処理について説明する。最初に、送信装置101がパケットを送信する際に実行する送信処理の流れの例を、図11のフローチャートを参照して説明する。
送信処理が開始されると、GPS受信部140は、ステップS101において、アンテナ139を介してGPS信号を受信する。GPS受信部140は、受信したGPS信号に基づいて1PPSを示す情報をタイミングコントローラ141に供給する。
ステップS102において、タイミングコントローラ141は、グリッドタイミング(グリッド時間)、すなわち、受信側にとっても既知のタイミングであるか否かを判定する。上述したように、既知のタイミングは、送信装置101の識別情報と時刻に基づいて求められるものである。グリッドタイミングで無いと判定された場合、グリッドタイミングになるまで待機する。グリッドタイミング(送信指示も受けて、パケットのデータの送信を開始可能な既知のタイミング)であると判定された場合、処理はステップS103に進む。
ステップS103において、BPSK変調部132は、送信データ(同期信号を含む変調データ)をCPU131から取得し、BPSK変調する。
ステップS104において、チャープ変調部134は、ステップS103の処理により得られた、BPSK変調された送信データを、チャープ生成部133により生成されたチャープ信号を用いてチャープ変調する。チャープ変調は、送信装置101の識別情報と時刻に基づいて求められた、受信側にとっても既知のチャネルの送信信号を生成するようにして行われる。
ステップS105において、PLL136は、ステップS104において得られた、チャープ変調された送信信号を、送信周波数に変換する。
ステップS106において、高効率増幅部137は、送信周波数に変換された送信信号を増幅する。ステップS107において、高効率増幅部137は、その増幅した送信信号を、アンテナ138を介して無線信号として送信する。
ステップS107の処理が終了すると送信処理が終了する。
送信装置101は、以上のような送信処理を各パケットのデータに対して実行する。このようにすることにより、送信装置101は、複数のチャープ変調された送信信号を、互いに異なる送信タイミングにおいて送信することができる。これにより、送信装置101は、複数のチャープ変調された送信信号を、分離可能に(混信しないで)多重化することができる。つまり、日本国内の920MHz帯の同一チャネル内で送信信号を多重化することができる。
<高感度受信装置>
次に、高感度受信装置102について説明する。図12は、高感度受信装置102の主な構成例を示す図である。図12に示されるように、高感度受信装置102は、例えば、アンテナ201、低ノイズ増幅部202、BPF(Band Pass Filter)203、キャリア発振部204、乗算部205、LPF206、AD207、同期信号生成部208、およびマッチドフィルタ209を有する。また、高感度受信装置102は、例えば、アンテナ211、基準クロック生成部(TCXO 26MHz)212、GPS受信部213、CPU214、タイミングコントローラ215、およびANDゲート216を有する。さらに、高感度受信装置102は、デチャープ部221、LPF222、およびBPSK復調部(BPSK Decoder)223を有する。
低ノイズ増幅部202は、アンテナ201を介して無線信号(例えば送信装置101から送信された送信信号)を受信し、その受信信号を増幅し、BPF203に供給する。BPF203は、受信信号から不要な周波数成分を除去し、それを乗算部205に供給する。キャリア発振部204は、送受信で用いる所定の周波数のキャリア周波数の信号を発生させる。例えば920MHz帯で送られた信号を受信する場合、キャリア発振部204は925MHzで発振し、その発振信号(キャリア信号)を乗算部205に供給する。
乗算部205は、BPF203から供給される受信信号と、キャリア発振部204から供給されるキャリア信号とを乗算し、その受信信号をLPF206に供給する。LPF206は、その受信信号の高域成分をカットし、AD207に供給する。AD207は、高域成分がカットされた受信信号をA/D変換し、それを、デジタルデータをマッチドフィルタ209およびデチャープ部221に供給する。
同期信号生成部208は、所定の同期信号を生成し、それをマッチドフィルタ209に供給する。マッチドフィルタ209は、AD207から供給される受信信号のデジタルデータと、同期信号生成部208から供給される所定の同期信号とを比較し、その比較結果を示す情報をANDゲート216に供給する。
基準クロック生成部212は、所定の基準クロックを生成し、それをGPS受信部213に供給する。GPS受信部213は、その基準クロックに同期して動作し、アンテナ211を介してGPS信号を受信する。GPS受信部213は、そのGPS信号に基づいて1PPSを示す情報をタイミングコントローラ215に供給する。
CPU214は、遅延補正Nを求め、それをタイミングコントローラ215に供給する。タイミングコントローラ215は、GPS受信部213から供給される1PPSを示す情報と、遅延補正Nを用いて、復調のタイミングを制御するゲート信号(Gate信号)を生成し、それをANDゲート216に供給する。ANDゲート216は、タイミングコントローラ215から供給されるゲート信号と、マッチドフィルタ209から供給される比較結果を示す情報とがともに真(1)である場合、復調の開始を指示する制御信号をデチャープ部221に供給する。
CPU214は、送信信号の受信時、高感度受信装置102内の図示せぬメモリに記憶されている送信装置101の識別情報と、GPS受信部213により受信されたGPS信号に含まれる情報により表される時刻に基づいて、受信チャネルと受信タイミングを求める。CPU214は、求めた受信チャネルと受信タイミングを、タイミングコントローラ215等の各部に設定する。
デチャープ部221は、ANDゲート216から復調の開始が指示された場合、AD207から供給される受信信号のデジタルデータをデチャープし、そのデチャープ結果をLPF222に供給する。LPF222は、そのデチャープ結果の高域成分をカットし、カット後のデチャープ結果をBPSK復調部223に供給する。BPSK復調部223は、供給された情報をBPSK復調する。
<タイミングコントローラ>
図13は、図12のタイミングコントローラ215の主な構成例を示すブロック図である。図13に示されるように、タイミングコントローラ215は、フリップフロップ251、フリップフロップ252、フリップフロップ253、NANDゲート254、ORゲート257、カウンタ(Counter)258、および比較部(Compare)257を有する。これらは、図13に示されるように構成される。
このような構成とすることにより、タイミングコントローラ215は、GPS受信部213から供給される1PPSを示す情報、基準クロック生成部212から供給される基準クロックと、CPU214から供給される遅延補正Nに基づいて、ゲート信号を生成することができる。
なお、このタイミングコントローラ215が動作する際の各信号の様子の例を図14に示す。図14に示されるように、1PPSを示す情報がONになり、かつ、カウント値がリセットされてから所定の期間、ゲート信号がONになる。つまり、このタイミングにおいて受信信号が復調される。このようにタイミングコントローラ215は、ゲート信号を用いて、復調のタイミングを制御することができる。
<受信処理の流れ>
次に、以上のような高感度受信装置102により実行される処理について説明する。最初に、高感度受信装置102がパケットを受信する際に実行する受信処理の流れの例を、図15のフローチャートを参照して説明する。
受信処理が開始されると、低ノイズ増幅部202は、ステップS201において、アンテナ201を介して送信装置101から送信された送信信号を受信する。ステップS202において、GPS受信部213は、アンテナ211を介してGPS衛星から送信されたGPS信号を受信する。
ステップS203において、タイミングコントローラ215は、GPS受信部213により受信されたGPS信号に基づいて、現在時刻がグリッドタイミング(既知のグリッド時間)であるか否かを判定する。グリッド時間で無いと判定された場合、処理はステップS201に戻り、それ以降の処理を繰り返す。また、ステップS203において、現在時刻がグリッドタイミングであると判定された場合、処理はステップS204に進む。
ステップS204において、デチャープ部221は、受信信号をデチャープする。ステップS205において、BPSK復調部223は、デチャープされた受信信号をBPSK復調する。
ステップS205の処理が終了すると、受信処理が終了する。
高感度受信装置102は、以上のような受信処理を各パケットのデータに対して実行する。このようにすることにより、高感度受信装置102は、送信側から互いに異なる送信タイミングにおいて送信され、多重化された複数のチャープ変調された送信信号を、それぞれの送信タイミングに応じたタイミングにおいてデチャープすることができる。したがって、各送信信号(各パケット)を分離して(混信させずに)復調することができる。つまり、日本国内の920MHz帯の同一チャネル内で送信信号の多重化を実現することができる。
<2.第2の実施の形態>
<応用例:基準クロックの共通化>
第1の実施の形態においては、送信装置101の構成例を、図6を参照して説明した。ただし、送信装置101の構成は、任意であり、この例に限定されない。例えば、GPS受信部140も、他と共通の基準クロックに基づいて動作するようにしてもよい。
その場合の送信装置101の主な構成例を図16に示す。図16に示されるように、この場合も、基本的に、図6の場合と同様であるが、例えば、基準クロック生成部135の代わりに、基準クロック生成部301および補正部302を有する。
基準クロック生成部301は、図6の場合と同様に、生成した基準クロックを各処理部に供給する。基準クロック生成部301は、生成した基準クロックを、さらに、GPS受信部140にも供給する。
この場合、GPS受信部140は、その基準クロックに基づいて動作する。ここで、この基準クロックが、GPS信号に含まれる時刻情報とずれていることも考えられる。そこで、GPS受信部140は、GPS信号に含まれる時刻情報に対する基準クロックのずれを、基準クロックの周波数偏差として表し、その基準クロックの周波数偏差をCPU131に供給する。
CPU131は、その基準クロックの周波数偏差に基づいて、その基準クロックの周波数偏差を補正する周波数偏差補正データを生成する。そして、CPU131は、その周波数偏差補正データを補正部302に供給する。
補正部302は、CPU131から供給される周波数偏差補正データを用いて、チャープ変調部134においてチャープ変調された変調データを補正する。
このようにすることにより、誤差を増大させずに、基準クロック生成部を共通化することができる。これにより、負荷やコストの増大を抑制することができる。
<応用例:チャープ信号>
なお、図17に示される例のように、1つのパケットの送信信号を、複数のチャープ信号に分割するようにしてもよい。例えば、図17に示されるように、受信側にとって既知の同期信号(Sync)と、受信側にとって未知のデータ(Data(Payload))とを、変調の単位であるシンボル毎に交互に配置し、各シンボルを互いに独立にチャープ変調するようにしてもよい。
また、以上においては、チャープ信号の周波数が、時間とともに高周波の方に変化するように説明したが、チャープ信号の変化の方向は任意である。例えば、チャープ信号の周波数が、時間とともに低周波の方に変化するようにしてもよい。また、例えば、図18に示されるように、周波数が時間とともに高周波の方に変化するチャープ信号と、周波数が時間とともに低周波の方に変化するチャープ信号とが混在するようにしてもよい。
<3.第3の実施の形態>
<盗難防止システム>
以上においては、位置通知システム100を例に説明したが、本技術は、任意の通信システムに適用することができる。例えば、送信装置101は、人物だけでなく、移動体等に設置するようにしてもよい。
例えば、本技術は、図19に示されるような自動車やバイク等の盗難を防ぐための盗難防止システム800に適用することもできる。この盗難防止システム800の場合、送信装置101は、ユーザが位置を監視する対象物、例えばユーザが所有する自動車801やバイク802に設置される。送信装置101は、位置通知システム100の場合と同様に、自身の位置情報(すなわち、自動車801やバイク802の位置情報)を、適宜、高感度受信装置102に通知する。つまり、ユーザは、位置通知システム100の場合と同様に、端末装置105からサーバ104にアクセスして、自動車801やバイク802の位置を把握することができる。したがって、ユーザは、盗難に合った場合であっても、自動車801やバイク802の位置を把握することができるので、その自動車801やバイク802を容易に取り戻すことができる。
このような盗難防止システム800の場合も、位置通知システム100の場合と同様に、送信装置101や高感度受信装置102に対して本技術を適用することができる。そして、本技術を適用することにより、920MHz帯の同一チャネル内で送信信号を多重化することができる。
<その他の通信システム>
なお、送受信される情報は任意である。例えば送信装置101のCPU131が、画像、音声、測定データ、機器等の識別情報、パラメータの設定情報、または指令等の制御情報等を含む送信情報を生成するようにしてもよい。また、この送信情報には、例えば、画像と音声、識別情報と設定情報と制御情報等のように、複数種類の情報が含まれるようにしてもよい。
また、CPU131が、例えば、他の装置から供給される情報を含む送信情報を生成することができるようにしてもよい。例えば、CPU131が、画像、光、明度、彩度、電気、音、振動、加速度、速度、角速度、力、温度(温度分布ではない)、湿度、距離、面積、体積、形状、流量、時刻、時間、磁気、化学物質、または匂い等、任意の変数について、またはその変化量について、検出または計測等を行う各種センサから出力される情報(センサ出力)を含む送信情報を生成するようにしてもよい。
つまり、本技術は、例えば、立体形状計測、空間計測、物体観測、移動変形観測、生体観測、認証処理、監視、オートフォーカス、撮像制御、照明制御、追尾処理、入出力制御、電子機器制御、アクチュエータ制御等、任意の用途に用いられるシステムに適用することができる。
また、本技術は、例えば、交通、医療、防犯、農業、畜産業、鉱業、美容、工場、家電、気象、自然監視等、任意の分野のシステムに適用することができる。例えば、本技術は、ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等を用いる、鑑賞の用に供される画像を撮影するシステムにも適用することができる。また、例えば、本技術は、自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用システム、走行車両や道路を監視する監視カメラシステム、車両間等の測距を行う測距システム等の、交通の用に供されるシステムにも適用することができる。さらに、例えば、本技術は、防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等を用いる、セキュリティの用に供されるシステムにも適用することができる。また、例えば、本技術は、ウェアラブルカメラ等のようなスポーツ用途等向けに利用可能な各種センサ等を用いる、スポーツの用に供されるシステムにも適用することができる。さらに、例えば、本技術は、畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の各種センサを用いる、農業の用に供されるシステムにも適用することができる。また、例えば、本技術は、豚や牛等の家畜の状態を監視するための各種センサを用いる、畜産業の用に供されるシステムにも適用することができる。さらに、本技術は、例えば火山、森林、海洋等の自然の状態を監視するシステムや、例えば天気、気温、湿度、風速、日照時間等を観測する気象観測システムや、例えば鳥類、魚類、ハ虫類、両生類、哺乳類、昆虫、植物等の野生生物の生態を観測するシステム等にも適用することができる。
<通信装置>
さらに、送受信される無線信号や情報の仕様は任意である。また、以上においては、本技術を送信装置101や高感度受信装置102に適用する例を説明したが、本技術は、任意の送信装置、任意の受信装置、任意の送受信装置にも適用することができる。つまり、本技術は、任意の通信装置や通信システムに適用することができる。
<4.第4の実施の形態>
<無線信号の送受信と混信>
上述したように920MHz帯で無線信号を送受信するとする。日本国内の場合、920MHz帯は、総務省により2011年7月から解禁された周波数帯であり、免許不要で誰でも使うことができる。但し、規定(ARIB(Association of Radio Industries and Businesses) STD T-108)により、最大連続送信時間が4秒間に制限されている。さらに連続送信時間を短くして、例えば0.2秒にすれば、より多くのチャネルが割り当てられ、混信が少ない状態で送受信を行うことができる。
ところで、無線信号により情報を伝送する場合、受信信号のS/N比を向上させるために、同一のパケットを複数回送受信する方法がある。図20の場合、1分間のスーパーフレーム(Super Frame)を設定し、その間に、同一のパケットを10回送信している。送信の際にキャリアセンスを行うので、10回のパケット送信のために例えば1分間のスーパーフレームが設定される。
受信側では、このような10個のパケットを受信すると、図21に示されるように、それらを合成して合成信号を生成し、その合成信号からデータを抽出し、出力する。このようにすることにより、S/N比を向上させることができる。例えば、10回パケットを足し合わせることにより、S/N比を約10dB向上させることができる。したがって、S/N比が低くても受信が可能であるので、より長距離の通信が可能になる。また、上述のようにパケットの送信時間を0.2秒以下にできるので、ARIB規定の制約を受けず、より多くの周波数チャネルを利用することができる。
例えば、複数のキャリア周波数を利用する周波数ホッピングを行うことができる。図22に周波数ホッピングの例を示す。図22の例の場合、CH1乃至CH5の5チャンネルが用意され、各パケットをこれらのチャンネルのいずれかを、例えばランダムに選択して送受信している。このようにすることにより、混信の発生を抑制することができる。
例えば、図23のように、複数の送信機(送信機A乃至送信機C)が同時に同一のキャリア周波数で無線信号を送信すると、受信機において混信が発生し、各無線信号を正しく受信することができない。そのため、図22の例のように、周波数ホッピングを適用することにより、キャリア周波数が同一となる可能性を低減させることができ、その分、混信の発生を抑制することができる。
しかしながら、この方法を用いても、キャリア周波数が他の無線信号と同一となる可能性はあり、完全に混信を発生させないようにすることはできない。例えば、図24に示されるように、送信機Aから送信されたあるパケットと、送信機Bから送信されたあるパケットとが、キャリア周波数が同一となり、衝突することが考えられる。このように衝突が起きると受信側において各パケットを分離することができない場合がある。そのため、混信信号の方が強いと、衝突が発生したパケットは混信信号側に置き換わってしまい、信号誤りが発生する可能性がある。
例えば、図24において、受信機が、送信機Aからの無線信号を受信しているとする。そして、送信機Aから送信されるパケットの内の1つのパケットが送信機Bから送信されるパケットと衝突し、さらに、送信機Bから送信される無線信号の方が、送信機Aから送信される無線信号よりも強いとする。この場合、受信機は、送信機Aからのパケットとして、衝突した送信機Bのパケットを合成してしまう。そのため、合成信号に誤りが発生し、データを抽出できなくなる可能性がある。その場合、そのスーパーフレーム内の10個のパケットの送受信が全て無駄になる可能性がある。
双方向通信であれば、互いに情報の授受を行うことにより、識別情報を利用したり、再送を促したりすることも可能であるが、片方向通信の場合、受信側から送信側に対して情報を供給することができないので、基本的にこのようなパケットの衝突に対する対策を行うことができない。
<位置通知システム>
図25は、本技術を適用した信号送受信システムの一実施の形態である位置通知システムの主な構成例を示す図である。図25に示される位置通知システム1100は、送信装置1101が自身の位置を通知するシステムである。
図25に示す送信装置1101、基地局1102、クラウドサーバ1103、および情報処理端末1104は、それぞれ、図4の送信装置101、高感度受信装置102、サーバ104、および端末装置105に対応する。
送信装置1101は、本技術を適用した送信装置の一実施の形態であり、自身の位置を示す位置情報を、無線信号として送信する。基地局1102は、本技術を適用した受信装置の一実施の形態であり、その無線信号を受信して送信装置1101の位置情報を取得し、その位置情報等を、クラウドサーバ1103に供給する。つまり、基地局1102は、送信装置1101から送信された情報を中継してクラウドサーバ1103に伝送する中継局として機能する。送信装置1101から基地局1102に対する情報の送信は、例えば片方向の通信によって行われる。クラウドサーバ1103は、各送信装置1101の位置情報等、各種情報を管理し、例えば、送信装置1101の位置をユーザに通知するサービスを提供する。例えば、送信装置1101の位置を知りたいユーザに操作される情報処理端末1104は、クラウドサーバ1103にアクセスし、送信装置1101の位置情報を取得し、例えば地図データ等とともに表示する等して、ユーザに送信装置1101の位置を通知する。
送信装置1101は、例えば高齢者等、ユーザが位置を把握したい対象者に携帯させる。送信装置1101は、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からGPS信号を受信する等して、適宜、自身の位置情報(例えば、緯度および経度)を求めることができる。送信装置1101は、適宜、その位置情報を無線信号として送信する。
例えば、図25の場合、送信装置1101−1は、東京(Tokyo)の高齢者1111−1に携帯されており、送信装置1101−2は、横浜(Yokohama)の高齢者1111−2に携帯されており、送信装置1101−3は、静岡(Shizuoka)の高齢者1111−3に携帯されている。
また、各送信装置は、識別情報(ID)を有している。例えば、図25の場合、送信装置1101−1の識別情報は0001(ID=0001)であり、送信装置1101−2の識別情報は0002(ID=0002)であり、送信装置1101−3の識別情報は0003(ID=0003)である。この識別情報は、クラウドサーバ1103に登録される。
なお、位置監視の対象は、任意である。例えば、子供であってもよいし、犬や猫等の動物であってもよいし、企業の社員等であってもよい。図25においては3台の送信装置1101が示されているが、送信装置1101の数は任意である。送信装置1101は、専用の装置として構成されるようにしてもよいが、例えば、携帯電話機やスマートフォンのような携帯型の情報処理装置に組み込むようにしてもよい。
基地局1102は、どのような設備であってもよい。例えば、専用の施設・建造物としてもよい。また、例えば、一般のビル、マンション、家屋等の建造物の屋根や屋上等に設置可能な設備としてもよい。さらに、例えば、ユーザが携帯したり、車等の移動体に設置したりすることができる携帯型の設備としてもよい。
基地局1102は、複数設置される。例えば図25の場合、基地局1102−1は、東京に設定されており、基地局1102−2は、富士に設置されている。図25においては、2つの基地局1102が示されているが、基地局1102の数は任意である。
クラウドサーバ1103の構成は任意であり、例えば任意の数のサーバと任意の数のネットワーク等により構成されるようにしてもよい。クラウドサーバ1103が複数設けられていてもよい。
このような位置通知システム1100において、送信装置1101は、自身の識別情報IDに基づいて周波数ホッピングの設定を行う。すなわち、送信装置1101は、識別情報に基づいて各パケットの送信タイミングおよび送信周波数を設定し、その設定に基づいて各パケットを送信する。このように周波数ホッピングを利用して送信を行うことにより、混信の発生を抑制することができる。つまり、より確実に情報の伝送を行うことができる。
また、送信装置1101の識別情報に基づいて送信タイミングおよび送信周波数を設定することにより、送信タイミングおよび送信周波数のパタンを送信装置1101毎に変えることができるので、他の送信装置1101から送信されるパケットとの衝突の発生を抑制することができる。つまり、より確実に情報の伝送を行うことができる。
また、基地局1102は、クラウドサーバ1103から送信装置1101の識別情報を取得し、その識別情報に基づいて受信を行う。つまり、基地局1102は、識別情報に基づいて、送信装置1101と同様に、受信タイミングおよび受信周波数を設定する。識別情報によりパケットの送信タイミングおよび送信周波数が特定できれば、そのタイミングおよび周波数についてパケットの検出を行えばよいので(つまり、受信タイミングおよび受信周波数をそれに合わせればよいので)、S/N比が低い場合であっても、パケットの検出がより容易になる。したがって、より高感度な受信が可能になる。つまり、より確実な情報の伝送を実現することができる。また、不要なタイミングや不要な周波数帯域でパケットの検出等の処理を行わなくてよいので、負荷の増大を抑制することができる。
また、クラウドサーバ1103から取得する送信装置1101の識別情報に優先度が付してある場合、基地局1102は、その優先度に応じて受信を行うようにすることにより、より確実な情報の伝送を実現することができる。
なお、基地局1102は、無線信号の受信に関する情報、例えば、どの送信装置1101からの無線信号をいつ受信したか、その無線信号の内容(無線信号から抽出したデータ)等を、受信情報としてクラウドサーバ1103に供給する。
クラウドサーバ1103は、送信装置1101に関する情報(端末情報とも称する)や、ユーザに関する情報(加入者情報とも称する)を登録し、管理する。端末情報には、例えば、送信装置1101の識別情報、主な所在地等が含まれる。また、加入者情報には、例えば、ユーザ(位置通知サービスを受ける者)の氏名、年齢、性別、住所、支払に関する情報、使用する送信装置の識別情報、ログインID、パスワード等が含まれる。もちろん、端末情報および加入者情報は、それぞれどのような情報が含まれていてもよく、上述の例に限定されない。
また、クラウドサーバ1103は、所定のタイミングにおいて、または、基地局1102等からの要求に応じて、送信装置1101の識別情報を各基地局1102(一部または全部の基地局1102)にネットワークを介して送信する(供給する)。その際、クラウドサーバ1103は、各基地局1102に対して、その基地局1102が無線信号を受信する可能性の高い送信装置1101の識別情報を供給する。換言するに、クラウドサーバ1103は、各基地局1102に対して、その基地局1102が無線信号を受信する可能性が低い送信装置1101の識別情報を供給しない。このようにすることにより、基地局1102は不要なパケットの検出を低減することができ、負荷の増大を抑制することができる。
また、基地局1102が受信対象とする送信装置1101の数が増大すると、その分、パケットの衝突が発生する確率が高くなる。より正確に説明すると、無線信号を受信する可能性が低い送信装置1101からはパケットが届く可能性が低いのであるから、実際にパケットの衝突が発生する確率が高くなるわけではない。しかしながら、基地局1102において行われる受信タイミングおよび受信周波数の設定においては、対象とする送信装置1101の数が増大する程、パケットの衝突が発生する確率は増大する。このように受信タイミングおよび受信周波数の設定においてパケットの衝突が発生した場合、そのパケットの受信は省略される。つまり、無線信号を受信する可能性が低い送信装置1101まで受信対象にすると、不要に受信感度が低減し、情報の伝送の確実性が不要に低減するおそれがあった。上述のように、クラウドサーバ1103が、その基地局1102が無線信号を受信する可能性が低い送信装置1101の識別情報を供給しないので、基地局1102は、そのような送信装置1101を受信対象から除外することができるので、受信感度の低減を抑制し、より確実な情報の伝送を実現することができる。
また、クラウドサーバ1103は、基地局1102から受信情報を取得する。クラウドサーバ1103は、その受信情報に基づいて、例えば、送信装置1101と基地局1102との間の情報の送受信の履歴(例えば、どの送信装置1101から送信された無線信号を、どの基地局1102がいつ受信したか等)を管理する。クラウドサーバ1103は、この履歴に基づいて、基地局1102に識別情報を供給する送信装置1101を選択する。このようにすることにより、過去の通信履歴に基づいて、送信装置1101の識別情報を供給することができるので、各基地局1102が各送信装置1101の無線信号を受信する可能性をより正確に判定することができる。したがって、各基地局1102は、より確実な情報の伝送を実現することができる。
さらに、クラウドサーバ1103は、その受信情報に基づいて、例えば、送信装置1101(高齢者1111)の位置を情報処理端末1104に提供することができる。
なお、送信装置1101の識別情報は、どのような形態でクラウドサーバ1103から基地局1102に供給されるようにしてもよい。例えば、クラウドサーバ1103が、送信装置1101の識別情報を優先リストとして基地局1102に供給するようにしてもよい。この優先リストは、その優先リストが供給される基地局1102が無線信号を受信する可能性の高い送信装置1101の識別情報の一覧を含む情報である。例えば、クラウドサーバ1103は、各基地局1102に対してその基地局1102用の優先リストを生成して供給し、優先リストを供給された基地局1102は、その優先リストに示される送信装置1101からの無線信号を受信するように処理を行うようにしてもよい。また、基地局1102に対して供給される送信装置1101の識別情報に、その基地局1102における受信の優先度(priority)が付加されるようにしてもよい。例えば、上述の優先リストに、各識別情報の優先度が含まれるようにしてもよい。そして、優先リストを供給された基地局1102が、その優先リストに含まれる優先度に基づいて、信号受信の優先順等を設定するようにしてもよい。このようにすることにより、クラウドサーバ1103は、基地局1102が無線信号を受信する送信装置1101を制御することができるだけでなく、その受信の優先順も制御することができる。
<クラウドサーバ>
図26は、クラウドサーバ1103の主な構成例を示すブロック図である。上述のようにクラウドサーバ1103の構成は任意であるが、図26においては、クラウドサーバ1103は、1つのコンピュータとして構成されるように示している。この場合、図26に示されるように、クラウドサーバ1103は、バス1154を介して相互に接続されているCPU(Central Processing Unit)1151、ROM(Read Only Memory)1152、およびRAM(Random Access Memory)1153を有する。
バス1154にはまた、入出力インタフェース1160も接続されている。入出力インタフェース1160には、入力部1161、出力部1162、記憶部1163、通信部1164、およびドライブ1165が接続されている。
入力部1161は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、イメージセンサ、マイクロホン、スイッチ、入力端子等の任意の入力デバイスを有する。出力部1162は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子等の任意の出力デバイスを有する。記憶部1163は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、SSD(Solid State Drive)やUSB(Universal Serial Bus)メモリ等のような不揮発性のメモリ等、任意の記憶媒体を有する。通信部1164は、例えば、イーサネット(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、USB、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、IrDA等の、有線若しくは無線、または両方の、任意の通信規格の通信インタフェースを有する。ドライブ1165は、自身に装着された、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等の任意の記憶媒体を有するリムーバブルメディア1171を駆動する。
以上のように構成されるクラウドサーバ1103では、CPU1151が、例えば、記憶部1163に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース1160およびバス1154を介して、RAM1153にロードして実行することにより、後述する機能を実現することができる。RAM1153にはまた、CPU1151が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU1151が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア1171に記録して適用することができる。その場合、プログラムは、リムーバブルメディア1171をドライブ1165に装着することにより、入出力インタフェース1160を介して、記憶部1163にインストールすることができる。また、このプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、プログラムは、通信部1164で受信し、記憶部1163にインストールすることができる。その他、このプログラムは、ROM1152や記憶部1163に、あらかじめインストールしておくこともできる。
このようなクラウドサーバ1103において、無線信号を送信する送信装置(例えば、送信装置1101)を識別する識別情報を、無線信号を受信する受信装置(例えば基地局1102)に供給するようにする。例えば、クラウドサーバ1103が、無線信号を送信する送信装置を識別する識別情報を、無線信号を受信する受信装置に供給する供給部を備えるようにする。このようにすることにより、上述したようにより確実な情報の伝送を実現することができる。
<CPUの機能ブロック>
図27は、CPU1151により実現される機能の主な構成例を示す機能ブロック図である。図27に示されるように、CPU1151は、端末・加入者情報管理部1181、優先リスト管理部1182、受信情報管理部1183、履歴管理部1184、および課金処理部1185等の機能ブロックを有する。つまり、CPU1151は、プログラムを実行することにより、これらの機能ブロックにより表される機能を実現することができる。
端末・加入者情報管理部1181は、端末情報や加入者情報の登録や管理に関する処理を行う。優先リスト管理部1182は、送信装置1101の識別情報およびその送信装置1101の優先度を含む情報である優先リストの生成、管理、供給等に関する処理を行う。受信情報管理部1183は、受信情報の取得や管理等に関する処理を行う。履歴管理部1184は、通信の履歴の管理に関する処理を行う。課金処理部1185は、サービスの提供に対する課金に関する処理を行う。
<送信装置>
図28は、送信装置1101の主な構成例を示す図である。図28に示されるように、送信装置1101は、信号処理部1201および送信部1202を有する。信号処理部1201は、送信信号の生成などの処理を行う。送信部1202は、信号処理部1201により生成された送信信号の送信に関する処理を行う。なお、送信部1202は、図20および図21を参照して説明したように、スーパーフレームを用いて同一のパケットを複数回送信する。また、送信部1202は、図22を参照して説明したように、スーパーフレームの各パケットを、周波数ホッピングを用いて送信する。
また、送信装置1101は、参照クロック生成部1211、アンテナ1212、加速度センサ(Acceleration sensor)1213、アンテナ1214、およびアンテナ1215を有する。参照クロック生成部1211は、参照クロック信号(ref.clock)を生成し、それを信号処理部1201(時刻情報生成部1222)や送信部1202に供給する。アンテナ1212は、GPS信号を受信するためのアンテナである。加速度センサ(Acceleration sensor)1213は、送信装置1101の加速度(動きや姿勢等)を検出するセンサである。加速度センサ1213は、センサ情報を信号処理部1201(SCU1241)に供給する。アンテナ1214は、Bluetooth規格の無線通信(Bluetooth通信)を行うためのアンテナである。アンテナ1215は、送信部1202により生成される無線信号を送信するためのアンテナである。
信号処理部1201は、識別情報記憶部1221、時刻情報生成部1222、Gold符号生成部1223、送信チャンネル設定部1224、および送信タイミング設定部1225を有する。また、信号処理部1201は、GPS受信部1231、FEC1232、同期信号生成部1233、および変調データ生成部1234を有する。さらに、信号処理部1201は、SCU1241、Bluetoothモジュール1242、CPU1243、およびキャリアセンス部1244を有する。
識別情報記憶部(Device unique ID)1221は、送信装置1101の識別情報を記憶する。この識別情報の長さは任意であるが、例えば、32ビットであってもよい。識別情報記憶部1221は、所定のタイミングにおいてまたはGold符号生成部1223の要求に基づいて、その識別情報を種情報(seed1)としてGold符号生成部1223に供給する。
時刻情報生成部(Clock)1222は、参照クロック生成部1211から供給される参照クロック(ref.clock)に基づいて、時刻情報を生成する。なおこの時刻情報はどのような仕様であってもよいが、例えば、協定世界時(UTC(Coordinated Universal Time))であってもよい。また、時刻情報生成部1222は、GPS受信部1231から供給されるGPS信号に含まれる時刻情報を用いて、生成した時刻情報の較正(Calibration)を行う。これにより、時刻情報生成部1222は、より正確な時刻情報を生成することができる。時刻情報生成部1222は、生成した時刻情報(例えば、日付:時間:分(D:H:M))を、種情報(seed2)としてGold符号生成部1223に供給する。
Gold符号生成部(Random generator)1223は、識別情報記憶部1221から供給される識別情報と、時刻情報生成部1222から供給される時刻情報とに基づいて、疑似乱数であるGold符号(Gold code)を生成する。Gold符号生成部1223は、生成したGold符号を、送信チャンネル設定部1224および送信タイミング設定部1225に供給する。
送信チャンネル設定部(Lookup table1 Freq. channel)1224は、パケットを送信するチャンネル(送信チャンネル)を設定する。送信チャンネル設定部1224は、設定した送信チャンネル(Channel)を送信部1202に供給する。送信タイミング設定部(Lookup table2 Time slot)1225は、パケットを送信するタイミング(送信タイミング)を設定する。送信タイミング設定部1225は、設定した送信タイミング(Time Slot)を送信部1202に供給する。この送信タイミングの仕様は任意であるが例えば、グリニッジ標準時(GST(Greenwich Standard Time))であってもよい。
つまり、送信チャンネル設定部1224および送信タイミング設定部1225は、送信装置1101の識別情報と時刻情報とに基づいて、パケット送信の周波数ホッピングの設定を行う(例えば図22)。このようにすることにより、パケットの送信チャンネルおよび送信タイミングが、その送信装置1101固有のパタンに設定されるので、送信チャンネルおよび送信タイミングが他の送信装置1101と同一となる可能性を低減することができ、パケット衝突の発生を抑制することができる。
GPS受信部1231は、GPS衛星から送信されるGPS信号を、アンテナ1212を介して受信する。GPS受信部1231は、受信したGPS信号を時刻情報のキャリブレーション用の情報(Calibration)として時刻情報生成部1222に供給する。また、GPS受信部1231は、そのGPS信号を、時刻情報や周波数のキャリブレーション用の情報(Time & Freq. Calibration)として送信部1202にも供給する。さらに、GPS受信部1231は、そのGPS信号に含まれる時刻情報を抽出し、その時刻情報をFEC1232に供給する。
FEC(Forward Error Correction)1232は、GPS受信部1231から供給される時刻情報に、前方誤り訂正用の符号を付加する。FEC1232は、その前方誤り訂正用の符号を付加した時刻情報をデータとして変調データ生成部1234に供給する。つまり、このデータは、受信側(例えば基地局1102)にとって未知の情報である。
同期信号生成部(Sync Pattern)1233は、同期をとるための同期信号を生成する。この同期信号は、所定の同期パタンの信号により構成される。この同期パタンは、受信側(例えば基地局1102)にとって既知の情報である。同期信号生成部1233は、生成した同期信号を変調データ生成部1234に供給する。
変調データ生成部1234は、CPU1243により制御されて、FEC1232から供給されるデータに、同期信号生成部1233から供給される同期信号を付加して変調データ(Mod. data)を生成する。つまり、変調データ生成部1234は、送信するデータ(パケット)を生成する。変調データ生成部1234は、その変調データを送信部1202(BPSK変調部1251)に供給する。
SCU(Sensor Control Unit)1241は、CPU1243により制御されて、加速度センサ1213を制御し、加速度センサ1213からセンサ情報(加速度に関する情報)を取得し、それをCPU1243に供給する。
Bluetoothモジュール(Bluetooth module)1242は、CPU1243により制御され、アンテナ1214を介して他の装置とBluetooth通信を行う。例えば、Bluetoothモジュール1242は、受信した情報をCPU1243に供給する。
CPU1243は、送信装置1101によるパケット送信に関する制御を行う。例えば、CPU1243は、SCU1241から供給されるセンサ情報や、Bluetoothモジュール1242から供給される情報や、キャリアセンス部1244から供給されるキャリアセンスの結果等に基づいて、変調データ生成部1234による変調データの出力を制御する。例えば、CPU1243は、キャリアセンスの結果、所望の送信チャンネルにおいて他の無線通信が行われている場合、変調データの出力を禁止する。つまり、CPU1243は、パケットの送信を許可したり禁止したりする。
キャリアセンス部1244は、送信部1202(フィルタ部1262)から供給される帯域制限がかけられた受信信号を用いてキャリアセンスを行う。すなわち、キャリアセンス部1244は、この受信信号を検波して、この周波数帯域において何らかの他の通信が行われているか否か(帯域が使用中であるか否か)を確認する。キャリアセンス部1244は、そのキャリアセンスの結果をCPU1243に供給する。
送信部1202は、BPSK変調部1251、ADPLL1252、周波数変換部1253、および増幅部1254を有する。また、送信部1202は、増幅部1261およびフィルタ部1262を有する。
BPSK(Binary Phase Shift Keying)変調部(π/2 BPSK)1251は、信号処理部1201(送信タイミング設定部1225)により設定された送信タイミングにおいて、信号処理部1201(変調データ生成部1234)から供給される変調データ(Mod. data)をBPSK変調し、それをADPLL1252に供給する。
ADPLL(All Digital Phase-locked loop)1252は、BPSK変調部1251から供給されるBPSK変調された変調データに応じた周波数の送信信号を生成し、周波数変換部1253に供給する。
周波数変換部1253は、ADPLL1252から供給される送信信号に、信号処理部1201(送信チャンネル設定部1224)により設定された送信チャンネルのキャリア信号を合成し、送信信号の周波数帯を送信チャンネルに変換する。周波数変換部1253は、その送信信号を増幅部1254に供給する。
増幅部1254は、周波数変換部1253から供給される送信信号を所定の増幅率で増幅し、アンテナ1215を介して無線信号として送信する。つまり、増幅部1254は、パケットのデータを含む送信信号を、信号処理部1201により設定された送信タイミングにおいて、信号処理部1201により設定された送信チャンネルで送信する。
増幅部1261は、アンテナ1215を介して無線信号を受信し、その受信した無線信号(受信信号)を所定の増幅率で増幅し、それをフィルタ部1262に供給する。
フィルタ部(MIX)1262は、増幅部1261より供給される受信信号に対してフィルタ処理を行い、その周波数帯域を制限する。フィルタ部1262は、帯域を制限した受信信号を信号処理部1201(キャリアセンス部1244)に供給する。
<基地局>
図29は、基地局1102の主な構成例を示す図である。図29に示されるように、基地局1102は、アンテナ1301、低ノイズ増幅部1302、BPF(Band Pass Filter)1303、キャリア発振部1304、乗算部1305、90度シフタ1306、乗算部1307、A/D(Analog / Digital)変換部1308、メモリ1309、CPU(Central Processing Unit)1310、および通信部1311を有する。また、基地局1102は、アンテナ1321およびGPS受信部1322を有する。
低ノイズ増幅部1302は、アンテナ1301を介して無線信号(例えば送信装置1101から送信された送信信号)を受信し、その受信信号を増幅し、BPF1303に供給する。BPF1303は、受信信号から不要な周波数成分を除去し、それを乗算部1305および乗算部1307に供給する。キャリア発振部1304は、送受信で用いる所定の周波数のキャリア周波数の信号を発生させる。例えば920MHz帯で送られた信号を受信する場合、キャリア発振部1304は920MHzで発振し、その発振信号(キャリア信号)を乗算部1305および90度シフタ1306に供給する。
乗算部1305は、BPF1303から供給される受信信号と、キャリア発振部1304から供給されるキャリア信号とを乗算し、ベースバンドのInPhase信号(I信号)を生成する。乗算部1305は、そのI信号をA/D変換部1308に供給する。90度シフタ1306は、キャリア発振部1304から供給されるキャリア信号の位相を90度シフトする。90度シフタ1306は、その位相シフトされたキャリア信号を乗算部1307に供給する。乗算部1307は、BPF1303から供給される受信信号と、90度シフタ1306から供給される、90度位相シフトされたキャリア信号とを乗算し、ベースバンドのQuadrature信号(Q信号)を生成する。乗算部1307は、そのQ信号をA/D変換部1308に供給する。
A/D変換部1308は、供給されるI信号とQ信号をそれぞれA/D変換し、それらのデジタルデータをメモリ1309に供給して記憶させる。A/D変換部1308の変換レートは、送信に用いたチップレートを超えるレートが必要である。例えば、Δ=5μsとしてチップレート200K/sの送信が行われた場合、A/D変換部1308は、少なくとも200KHz以上の変換レートでA/D変換を行う必要がある。
メモリ1309は、所定の記憶媒体を有し、A/D変換部1308から供給されるI信号およびQ信号のデジタルデータを取得し、その記憶媒体に記憶する。この記憶媒体はどのようなものであってもよく、例えば、半導体メモリであってもよいし、ハードディスク等の磁気記録媒体であってもよいし、それら以外の記憶媒体であってもよい。A/D変換部1308において、8ビット精度、2倍の変換レート(400KHz)で、30秒間A/D変換が行われた場合、メモリ1309には24メガバイト(24Mbyte)のI信号およびQ信号のデジタルデータが蓄積される。また、メモリ1309は、CPU1310から供給される各種情報(プログラムやデータ等)も記憶することができる。
CPU1310は、受信に関する処理を行う。例えば、CPU1310は、通信部1311を制御し、クラウドサーバ1103から送信装置1101の識別情報(LEID)を取得し、それをメモリ1309に記憶させる。例えば、CPU1310は、クラウドサーバ1103から優先リストを取得することができる。
また、CPU1310は、例えば、メモリ1309から情報を読み出し、その情報に基づいた処理を行う。例えば、CPU1310は、クラウドサーバ1103から取得した送信装置1101の識別情報を読み出し、その識別情報に基づいて、例えば衝突検出や誤り訂正等を行い、低ノイズ増幅部1302乃至メモリ1309を制御し、受信を制御することができる。また、CPU1310は、例えば、メモリ1309から受信したデジタルデータを取得し、そのデジタルデータの復調に関する処理を行うことができる。さらに、CPU1310は、その復調したデータを受信情報として、通信部1311を介してクラウドサーバ1103に供給することができる。なお、この受信情報には、復調したデータ(受信した情報の内容)だけでなく、例えば受信した時刻、受信したチャンネル、送信元(送信装置1101)に関する情報等、受信に関する情報が含まれていてもよい。
さらに、CPU1310は、例えば、GPS受信部1322を制御してGPS信号を受信させ、そのGPS信号に含まれる時刻情報を取得し、その時刻情報に基づいて、受信を制御する。CPU1310は、その他任意の処理を実行することができる。
通信部1311は、クラウドサーバ1103との通信を行い、情報を授受する。
GPS受信部1322は、アンテナ1321を介してGPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、そのGPS信号に含まれる時刻情報をCPU1310に供給する。
<CPUの機能ブロック>
図30は、CPU1310により実現される機能の主な構成例を示す機能ブロック図である。図30に示されるように、CPU1310は、優先リスト処理部1331、GPS処理部1332、受信制御部1333、受信情報供給部1334、衝突検出部1335、受信処理部1336、および誤り訂正部1337等の機能ブロックを有する。つまり、CPU1310は、プログラムを実行することにより、これらの機能ブロックにより表される機能を実現することができる。
優先リスト処理部1331は、送信装置1101の識別情報を含む優先リストの取得に関する処理を行う。GPS処理部1332は、GPS信号に関する処理を行う。受信制御部1333は、受信の制御に関する処理を行う。受信情報供給部1334は、受信情報の供給に関する処理を行う。衝突検出部1335は、パケットの衝突の検出に関する処理を行う。受信処理部1336は、パケットの受信に関する処理を行う。誤り訂正部1337は、誤り訂正に関する処理を行う。
<管理処理の流れ>
次に、位置通知システム1100の各装置が実行する処理について説明する。最初に、クラウドサーバ1103により実行される処理について説明する。クラウドサーバ1103は、管理処理を実行することにより、各種情報の登録・管理・提供等の処理を行う。図31のフローチャートを参照して、クラウドサーバ1103により実行される管理処理の流れの例を説明する。
管理処理が開始されると、端末・加入者情報管理部1181は、ステップS1101において、端末情報や加入者情報を、通信部1164を介して受け付け、それを記憶部1163に記憶させて登録する。端末情報や加入者情報は、位置通知サービスの提供に必要な任意の情報が含まれる。端末情報は、送信装置1101に関する情報であり、例えば送信装置1101の識別情報、主な所在地等が含まれる。また、加入者情報には、例えば、ユーザ(位置通知サービスを受ける者)の氏名、年齢、性別、住所、支払に関する情報、使用する送信装置の識別情報、ログインID、パスワード等が含まれる。端末情報や加入者情報は、どの装置から供給されるようにしてもよい。例えば、送信装置1101から供給されてもよいし、その他の端末装置から供給されるようにしてもよい。なお、この情報登録を位置通知サービス等の契約としてもよい。このサービス提供が有償である場合は、その課金に必要な情報も登録される。
ステップS1102において、優先リスト管理部1182は、ステップS1101において登録された端末情報や加入者情報、また基地局1102の受信の履歴等に基づいて、基地局毎の優先リストを生成する。この優先リストは、受信を優先すべき送信装置1101のリストであり、例えば、送信装置1101の識別情報や、その送信装置1101の優先度等の情報を含む。優先リスト管理部1182は、各基地局1102に対して、その基地局1102に対応する優先リスト(その基地局1102が受信を優先すべき送信装置1101のリスト)を生成する。
ステップS1103において、優先リスト管理部1182は、ステップS1102において生成した各優先リストを、通信部1164を介して、そのリストに対応する基地局1102に供給する。
ステップS1104において、受信情報管理部1183は、基地局1102より供給される受信情報を取得する。履歴管理部1184は、その受信情報に基づいて履歴を更新する。受信情報は、基地局1102の受信に関する情報である。受信情報の内容は任意であるが、例えば、受信情報には、受信したデータ、受信タイミングや受信チャンネルに関する情報、送信元(送信装置1101)に関する情報等が含まれる。送信元に関する情報には、送信装置1101の識別情報が少なくとも含まれる。受信情報管理部1183は、この受信情報を他の情報と対応付けて記憶部1163に記憶させて管理する。例えば、受信情報管理部1183は、この受信情報を用いて送信装置1101の位置を示す情報を生成し、通信部1164を介してその情報を情報処理端末1104等に供給する。また、履歴管理部1184は、各基地局1102の受信の履歴を生成し、記憶部1163に記憶させて管理する。そして、履歴管理部1184は、受信情報に基づいてこの履歴を最新の状態に更新する。
ステップS1105において、課金処理部1185は、サービス提供に伴う課金処理を行う。
ステップS1105の処理が終了すると管理処理を行う。
以上のように、送信装置1101の識別情報を基地局1102に供給することにより、基地局1102においてより高感度な受信が可能になり、より確実な情報の伝送を実現することができる。また、基地局1102の負荷の増大を抑制することができる。さらに、上述のように、各基地局1102に対して、それぞれに応じた優先リストを供給することにより、各基地局1102が無線信号を受信する可能性が低い送信装置1101を受信対象から除外することができるので、基地局1102において受信感度の低減を抑制し、より確実な情報の伝送を実現することができる。
なお、優先リスト管理部1182は、この優先リストを、例えば、送信装置1101と基地局1102との位置関係に基づいて生成するようにしてもよい。つまり、基地局1102が無線信号を受信する送信装置1101を、その送信装置1101と基地局1102との位置関係に基づいて設定するようにしてもよい。例えば、図25の場合、送信装置1101−1は、東京の高齢者1111−1が携帯するので、その無線信号を富士の基地局1102−2が受信する可能性は低い。また、送信装置1101−3は、静岡の高齢者1111−3が携帯するので、その無線信号を東京の基地局1102−1が受信する可能性は低い。そのため、優先リスト管理部1182は、基地局1102−1に対して、送信装置1101−1の識別情報(0001)と送信装置1101−2の識別情報(0002)を含む優先リストを供給し、基地局1102−2に対して、送信装置1101−2の識別情報(0002)と送信装置1101−3(0003)の識別情報とを含む優先リストを供給する。例えば、これらの高齢者1111が他の地域に移動した場合、履歴が更新され、優先リストが更新される。このようにして最新の優先リストが各基地局1102に提供される。
また、図25の例の場合、送信装置1101−2は、横浜の高齢者1111−2に携帯される。したがって、東京の基地局1102−1を基準にすると、送信装置1101−2の位置は、送信装置1101−1よりも遠い。また、富士の基地局1102−2を基準にすると、送信装置1101−2の位置は、送信装置1101−3よりも遠い。したがって、基地局1102−1用の優先リストにおいては、送信装置1101−2の優先度(priority)は、送信装置1101−1よりも低く設定される。また、基地局1102−2用の優先リストにおいては、送信装置1101−2の優先度(priority)は、送信装置1101−3よりも低く設定される。例えば、これらの高齢者1111が他の地域に移動した場合、履歴が更新され、優先度も更新される。このようにして最新の優先度が各基地局1102に提供される。
なお、このような優先リスト(優先すべき送信装置1101やその優先度)の設定は、任意の情報をパラメータとして行われるようにしてもよい。例えば、時間帯毎に、送信装置1101の位置(送信装置1101と基地局1102との距離)に応じて、優先リストが設定されるようにしてもよい。また、例えば、送信装置1101や基地局1102の通信仕様や通信能力等に基づいて優先リストが設定されるようにしてもよい。また、例えば、送信装置1101や基地局1102が属するサービスに基づいて優先リストが設定されるようにしてもよい。その他、例えば、天候、温度、湿度、気圧等の自然現象、監視対象の行動や嗜好、またはその履歴、通信の内容や履歴、通信帯域の利用状況(混み具合等)、任意の情報をパラメータとして優先リストが設定されるようにしてもよい。さらに、複数のパラメータを組み合わせて用いるようにしてももちろんよい。
<送信処理の流れ>
次に、送信装置1101により実行される処理について説明する。図32のフローチャートを参照して、送信装置1101により実行される送信処理の流れの例を説明する。
送信処理が開始されると、ステップS1121において、送信タイミング設定部1225は、送信装置1101の識別情報(デバイスID)を用いて、パケットの送信タイミングを設定する。また、送信チャンネル設定部1224は、送信装置1101の識別情報(デバイスID)を用いて、パケットの送信周波数を設定する。つまり、送信チャンネル設定部1224および送信タイミング設定部1225は、周波数ホッピングの設定を行う。送信チャンネル設定部1224および送信タイミング設定部1225は、送信装置1101の識別情報と時刻情報とを種情報として生成されたGold符号に基づいて、このような設定を行う。
ステップS1122において、GPS受信部1231は、GPS信号を受信し、そのGPS信号から時刻情報を抽出して送信データを生成する。
ステップS1123において、FEC1232は、ステップS1122において生成された送信データに、前方誤り訂正用の符号を付加する。
ステップS1124において、送信部1202は、送信タイミングであるか否かを判定する。送信タイミングでないと判定された場合、送信タイミングであると判定されるまで待機する。そして、ステップS1124において、送信タイミングであると判定された場合、処理は、ステップS1125に進む。
ステップS1125において、キャリアセンス部1244は、キャリアセンスを行う。ステップS1126において、CPU1243は、そのキャリアセンス結果に基づいて、送信可能であるか否かを判定する。送信可能でないと判定された場合、処理はステップS1124に戻り、それ以降の処理を繰り返す。ステップS1126において、送信可能であると判定された場合、処理はステップS1127に進む。
ステップS1127において、変調データ生成部1234は、ステップS1123において前方誤り訂正用の符号を付加された送信データに、同期信号を付加する。このように基地局1102にとって既知の情報である同期信号を付加することにより、基地局1102は、より容易に送信データを検出することができる。つまり、基地局1102がより高感度に受信することができる。
ステップS1128において、BPSK変調部1251は、ステップS1127において同期信号が付加された送信データをBPSK変調する。
ステップS1129において、ADPLL1252は、BPSK変調された送信データを用いて送信信号を生成する。また、周波数変換部1253は、その送信信号の周波数帯を送信周波数の周波数帯に変換する。増幅部1254は、送信周波数帯の送信信号を増幅して送信する。
ステップS1129の処理が終了すると、送信処理が終了する。
以上のように、送信装置1101の識別情報に基づいて送信タイミングおよび送信周波数を設定することにより、送信装置1101は、他の送信装置1101から送信されるパケットとの衝突の発生を抑制することができ、より確実に情報の伝送を行うことができる。
<受信処理の流れ>
次に、基地局1102により実行される処理について説明する。まず、図33のフローチャートを参照して、基地局1102により実行される受信処理の流れの例を説明する。
受信処理が開始されると、優先リスト処理部1331は、ステップS1141において、通信部1311を介して、クラウドサーバ1103から優先リストを取得する。クラウドサーバ1103から送信されてきた優先リストが通信部1311において受信され、優先リスト処理部1331により取得される。
ステップS1142において、GPS処理部1332は、GPS信号を受信させ、そのGPS信号を用いて時刻情報を補正させる。
ステップS1143において、受信制御部1333は、現在時刻が所定の時刻であるか否かを判定し、所定の時刻になるまで待機する。所定の時刻であると判定された場合、処理はステップS1144に進む。
ステップS1144において、優先リスト処理部1331は、優先リストに基づいて、受信が期待される各送信装置1101について、送信装置1101の識別情報と時刻情報とに基づいて、その送信装置1101から送信されるパケットの周波数ホッピングの設定を行う(その送信装置1101から送信される全パケットの受信タイミングおよび受信周波数(受信チャンネル番号Ch(ID,n))を設定する)。
ステップS1145において、受信制御部1333は、未処理の送信装置1101を選択する。ステップS1146において、受信制御部1333は、その処理対象の送信装置1101からの無線信号を受信させる。その際、受信制御部1333は、ステップS1144において行われた周波数ホッピングの設定に従って無線信号(パケット)を受信させる。ステップS1147において、受信制御部1333は、全ての送信装置1101について受信処理を行ったか否かを判定する。未処理の送信装置1101が存在すると判定された場合、処理はステップS1145に進む。また、ステップS1147において、全ての送信装置1101について受信処理を行ったと判定された場合、処理はステップS1148に進む。
ステップS1148において、受信情報供給部1334は、通信部1311を介して、受信情報をクラウドサーバ1103に供給する。
ステップS1148の処理が終了すると、受信処理が終了する。なお、この処理は、1スーパーフレーム分の処理である。つまり、スーパーフレーム毎に、この受信処理が繰り返される。
<受信処理の流れ>
次に、図34のフローチャートを参照して、図33のステップS1146において実行される、処理対象の送信装置1101から送信される無線信号についての受信処理の流れの例を説明する。
受信処理が開始されると、受信処理部1336は、ステップS1161において、波形合成バッファを初期化する。ステップS1162において、衝突検出部1335は、衝突の検出を行う。ステップS1163において、受信処理部1336は、処理対象のパケットの番号を示す変数nの値を「0」(n=0)に設定する(初期化する)。つまり、最初のパケット(n=0)が処理対象に選択される。なお、このパケットの選択は、受信タイミングの選択と等価である。
ステップS1164において、受信処理部1336は、n=0のパケットについて、受信波形から既知の同期パタンを検出する。ステップS1165において、受信処理部1336は、当該パケットについて衝突が検出されず(S(IDr,n)=0)、かつ、同期パタンの検出に成功したか否かを判定する。衝突が検出されず、かつ、同期パタンの検出に成功したと判定された場合、処理はステップS1166に進む。
ステップS1166において、受信処理部1336は、受信波形を波形合成バッファに加える。ステップS1166の処理が終了すると処理はステップS1167に進む。また、ステップS1165において、衝突が検出された(S(IDr,n)=1)か、または、同期パタンの検出に失敗したと判定された場合、ステップS1166の処理が省略され、処理はステップS1167に進む。
ステップS1167において、受信処理部1336は、変数nの値が「9」(n=9)であるか否かを判定する。変数nが9に達していない(全てのパケットについて処理を行っていない)と判定された場合、処理はステップS1168に進む。
ステップS1168において、受信処理部1336は、変数nの値を「+1」インクリメントする(n=n+1)。すなわち、処理対象を次のパケットにする。ステップS1168の処理が終了すると、処理はステップS1164に戻り、それ以降の処理が実行される。つまり、各パケットについて、ステップS1164乃至ステップS1168の各処理が実行される。そして、ステップS1167において、変数nの値が「9」(n=9)であると判定された場合、すなわち、全てのパケットについて処理が行われたと判定された場合、処理はステップS1169に進む。
ステップS1169において、誤り訂正部1337は、波形合成バッファにおいて合成された受信波形(合成波形)について、誤り訂正を行う。ステップS1169の処理が終了するとこの受信処理が終了し、処理は、図33に戻る。
<衝突検出処理>
次に、図34のステップS1162において実行される衝突検出処理の流れの例を、図35のフローチャートを参照して説明する。
ステップS1181において、衝突検出部1335は、衝突の発生を示す変数S(IDr,n)を初期化する(S(IDr,n)=0)。
ステップS1182において、衝突検出部1335は、変数kの値を「0」(k=0)に設定する。変数kは、受信が期待される送信装置1101の内(0乃至M-1)、パケットの衝突の相手とされる送信装置1101を示す。
ステップS1183において、衝突検出部1335は、IDrがIDkと不一致であるか否かを判定する。IDrは、処理対象の送信装置1101の識別情報を示す。つまり、処理対象と衝突の相手とが同一の送信装置1101であるか否かが判定される。不一致の場合、処理はステップS1184に進む。
ステップS1184において、衝突検出部1335は、処理対象のパケットを示す変数nの値が「0」(n=0)に設定される。
ステップS1185において、衝突検出部1335は、処理対象の送信装置1101(IDr)の処理対象のパケットnの受信チャンネル(Ch(IDr,n))が、衝突相手の送信装置1101(IDk)の処理対象のパケットnの受信チャンネル(Ch(IDk,n))と一致するか否かが判定される(Ch(IDr,n) = Ch(IDk,n) ?)。一致すると判定された場合(Ch(IDr,n) = Ch(IDk,n))、処理はステップS1186に進む。
ステップS1186において、衝突検出部1335は、衝突を検出する。つまり、衝突検出部1335は、衝突の発生を示す変数S(IDr,n)を、衝突の発生を示す値に設定する(S(IDr,n)=1)。ステップS1186の処理が終了すると、処理はステップS1187に進む。また、ステップS1185において、処理対象の送信装置1101の処理対象のパケットnの受信チャンネルが、衝突相手の送信装置1101の処理対象のパケットnの受信チャンネルと一致しないと判定された場合、処理はステップS1187に進む。
ステップS1187において、衝突検出部1335は、変数nの値が「9」(n=9)であるか否かを判定する。変数nの値が「9」に達していないと判定された場合、すなわち、未処理のパケットが存在すると判定された場合、処理はステップS1188に進む。
ステップS1188において、衝突検出部1335は、変数nの値を「+1」インクリメントする(n=n+1)。つまり、処理対象を次のパケットに更新する。ステップS1188の処理が終了すると、処理はステップS1185に戻り、それ以降の処理が繰り返される。つまり、ステップS1185乃至ステップS1188の各処理が、各パケットについて実行される。そして、ステップS1187において、変数nの値が「9」であると判定された場合、すなわち、全てのパケットを処理したと判定された場合、処理はステップS1189に進む。なお、ステップS1183において、IDrとIDkとが一致すると判定された場合、衝突の検出は不要であるので、ステップS1184乃至ステップS1188の処理が省略され、処理はステップS1189に進む。
ステップS1189において、衝突検出部1335は、変数kの値が「M-1」(k=M-1)であるか否かを判定する。変数kの値が「M-1」に達していないと判定された場合、すなわち、衝突の相手として選択していない送信装置1101が存在すると判定された場合、処理はステップS1190に進む。
ステップS1190において、衝突検出部1335は、変数kの値を「+1」インクリメントする(k=k+1)。つまり、衝突の相手として次の送信装置1101を選択する。ステップS1190の処理が終了すると処理はステップS1183に戻り、それ以降の処理が繰り返される。つまり、各衝突相手に対して、ステップS1183乃至ステップS1190の各処理が実行される。そして、ステップS1189において、変数kの値が「M-1」(k=M-1)であると判定された場合、すなわち、衝突の相手として全ての送信装置1101を選択したと判定された場合、衝突検出処理が終了し、処理は図34に戻る。
以上のように各処理を実行することにより、負荷の増大を抑制し、より高感度に受信を行うことができ、より確実な情報の伝送を実現することができる。
以上において優先リストの例について説明したが、優先リストにはどのような情報が含まれるようにしてもよい。例えば、無線信号の受信に有用な情報が優先リストに含まれるようにしてもよい。例えば、繰り返し送信回数、無線変調方式、誤り訂正、暗号化(例えば、暗号化の有無、暗号化方式の指定、暗号化鍵等)、送信頻度等の、通信フォーマットに関する情報が含まれるようにしてもよい。このようにすることにより、基地局1102は、多様な通信フォーマットに対応することができるだけでなく、複数の通信フォーマットに対応することができる。したがって、基地局1102は、例えば、複数の送信装置1101から互いに異なる通信フォーマットで送信された各無線信号を受信することができる。
例えば、高齢者位置検出で使われる送信装置1101−1が送信の繰り返し回数を10回とし、猫や犬の位置検出で使われる送信装置1101−2が送信繰り返し回数を減らして4回とする場合であっても、基地局1102は、優先リストに含まれる、各送信装置1101の繰り返し送信回数の情報に基づいて、各送信装置1101からの無線信号を適切に受信を行うことができる。つまり、基地局1102は、送信装置1101−1からの無線信号について、繰り返し回数が10回であることを前提として信号検出を行い、送信装置1101−2からの無線信号について、繰り返し回数が4回であることを前提として信号検出を行うことができるので、いずれの無線信号も、より効率よく、より正確に受信することができる。
なお、このような無線信号の受信に有用な情報(例えば通信フォーマットに関する情報)は、クラウドサーバ1103によって、その無線信号を送信する送信装置1101の識別情報に関連付けて管理されるようにしてもよいし、他のサーバにおいて管理されるようにしてもよい。また、このような情報の登録は、任意のタイミングにおいて行われるようにしてもよい。例えば、端末情報や加入者情報等を登録する際や、その後の任意のタイミング等において行われるようにしてもよい。
<変形例1>
図25の送信装置1101と基地局1102間の通信において、図3等を参照して説明したようなチャープ変調が用いられるようにしてもよい。
この場合、送信装置1101は、例えば、自身の識別情報と時刻に基づいて送信チャネルと送信タイミングを設定する。また、送信装置1101は、位置情報等の送信データに対してチャープ変調を行い、得られた複数の送信信号を、送信タイミングをずらすことによって同一の送信チャネルに多重化して送信する。送信データに対しては、適宜、BPSK変調等も施される。
一方、基地局1102は、クラウドサーバ1103から送信されてきた優先リストに含まれる送信装置101の識別情報と時刻に基づいて、受信チャネルと受信タイミングを設定する。基地局1102は、所定のチャネルに多重化されている送信信号を受信し、各送信信号に対してデチャープを施すことによって送信データを取得する。送信信号に対しては、適宜、BPSK復調等も施される。
このように、図25の送信装置1101と基地局1102間の通信が、第1の実施の形態として説明した方式によって行われるようにすることが可能である。
以上においては、キャリアセンスによって、所望の送信チャネルにおいて他の無線通信が行われていることが検出された場合、送信信号の送信が禁止されるものとしたが、送信チャネルとして、所定の帯域幅だけずらしたチャンネルが新たに設定され、送信信号の送信が行われるようにしてもよい。この場合、例えば、キャリアセンスが基地局1102においても行われる。
例えば、送信装置1101と基地局1102においてそれぞれ所定のチャネルが送信チャネル、受信チャネルとして設定された場合において、その所定のチャネルが他の無線通信により用いられている場合、送信装置1101と基地局1102において、それぞれ、所定の帯域幅だけずらしたチャンネルが、送信チャネル、受信チャネルとして新たに設定される。送信装置1101と基地局1102において、それぞれ、所定の時間だけずらしたタイミングが、送信タイミング、受信タイミングとして新たに設定され、通信が行われるようにしてもよい。
<変形例2>
基地局毎の優先リストには、基地局1102が受信する可能性が高い送信信号の送信元としての送信装置1101の識別情報が含まれるものとしたが、位置通知システムに新たに追加される送信装置1101の識別情報については、全ての優先リストに含められ、全ての基地局1102に対して通知されるようにしてもよい。
新たに追加される送信装置1101の識別情報が全ての優先リストに含まれるのは、例えば、その通信装置1101が送信する信号を、いずれかの基地局1102が受信するまで行われる。
図36は、優先リストの更新の例を示す図である。
この例においては、「ID 0100」の識別情報が割り当てられた送信装置1101が新たに追加されるものとする。クラウドサーバ1103は、「ID 0100」の送信装置1101がどの基地局1102の通信可能範囲に存在するのかをまだ管理できていない状態となる。
この場合、図36の上段に示すように、クラウドサーバ1103は、「ID 0100」の識別情報を全ての優先リストに含めて各基地局に送信する。
図36の例において、優先リスト#1は、基地局1102−1用の優先リストであり、「ID 0010」、「ID 0011」、・・・に加えて、新たに追加された送信装置1101の識別情報である「ID 0100」が含まれる。同様に、優先リスト#2は、基地局1102−2用の優先リストであり、「ID 0020」、「ID 0021」、・・・に加えて、新たに追加された送信装置1101の識別情報である「ID 0100」が含まれる。
優先リスト#1に含まれる「ID 0010」、「ID 0011」は、基地局1102−1の通信可能範囲内に存在する送信装置1101の識別情報である。優先リスト#2に含まれる「ID 0020」、「ID 0021」は、基地局1102−2の通信可能範囲内に存在する送信装置1101の識別情報である。
他の基地局に対しても、各基地局の通信可能範囲内に存在する送信装置1101の識別情報の他に、新たに追加された送信装置1101の識別情報である「ID 0100」が記述された優先リストが送信される。
これにより、全ての基地局1102が、新たに追加された「ID 0100」の送信装置1101が送信する信号を受信することができることになる。
例えば、「ID 0100」の送信装置1101が送信する信号が基地局1102−1により受信された場合、受信された情報はクラウドサーバ1103に送信され、基地局1102−1の通信履歴が更新されるとともに、各基地局の優先リストが更新される(図31)。各基地局に対しては、各基地局用の更新後の優先リストが送信される。
更新後の優先リストにおいては、図36の下段に示すように、「ID 0100」は基地局1102−1用の優先リストにのみ含まれ、他の基地局用の優先リストからは削除される。
優先リストの管理が以上のようにして行われることにより、位置通知システムに送信装置1101を後から追加することが可能になる。
<5.第5の実施の形態>
<盗難防止システム>
以上においては、位置通知システム1100を例に説明したが、本技術は、任意の通信システムに適用することができる。例えば、送信装置1101は、人物だけでなく、移動体等に設置するようにしてもよい。
例えば、本技術は、図37に示されるような自動車やバイク等の盗難を防ぐための盗難防止システム1800に適用することもできる。この盗難防止システム1800の場合、送信装置1101は、ユーザが位置を監視する対象物、例えばユーザが所有する自動車1801やバイク1802に設置される。送信装置1101は、位置通知システム1100の場合と同様に、自身の位置情報(すなわち、自動車1801やバイク1802の位置情報)を、適宜、基地局1102に通知する。つまり、ユーザは、位置通知システム1100の場合と同様に、情報処理端末1104からクラウドサーバ1103にアクセスして、自動車1801やバイク1802の位置を把握することができる。したがって、ユーザは、盗難に合った場合であっても、自動車1801やバイク1802の位置を把握することができるので、その自動車1801やバイク1802を容易に取り戻すことができる。
このような盗難防止システム1800の場合も、位置通知システム1100の場合と同様に、送信装置1101や基地局1102に対して本技術を適用することができる。そして、本技術を適用することにより、受信率を向上させることができる。
<その他の通信システム>
なお、送受信される情報は任意である。例えば送信装置1101が、画像、音声、測定データ、機器等の識別情報、パラメータの設定情報、または指令等の制御情報等を含む送信情報を生成し、送信するようにしてもよい。また、この送信情報には、例えば、画像と音声、識別情報と設定情報と制御情報等のように、複数種類の情報が含まれるようにしてもよい。
また、送信装置1101が、例えば、他の装置から供給される情報を含む送信情報を生成することができるようにしてもよい。例えば、送信装置1101が、画像、光、明度、彩度、電気、音、振動、加速度、速度、角速度、力、温度(温度分布ではない)、湿度、距離、面積、体積、形状、流量、時刻、時間、磁気、化学物質、または匂い等、任意の変数について、またはその変化量について、検出または計測等を行う各種センサから出力される情報(センサ出力)を含む送信情報を生成し、送信するようにしてもよい。
つまり、本技術は、例えば、立体形状計測、空間計測、物体観測、移動変形観測、生体観測、認証処理、監視、オートフォーカス、撮像制御、照明制御、追尾処理、入出力制御、電子機器制御、アクチュエータ制御等、任意の用途に用いられるシステムに適用することができる。
また、本技術は、例えば、交通、医療、防犯、農業、畜産業、鉱業、美容、工場、家電、気象、自然監視等、任意の分野のシステムに適用することができる。例えば、本技術は、ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等を用いる、鑑賞の用に供される画像を撮影するシステムにも適用することができる。また、例えば、本技術は、自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用システム、走行車両や道路を監視する監視カメラシステム、車両間等の測距を行う測距システム等の、交通の用に供されるシステムにも適用することができる。さらに、例えば、本技術は、防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等を用いる、セキュリティの用に供されるシステムにも適用することができる。また、例えば、本技術は、ウェアラブルカメラ等のようなスポーツ用途等向けに利用可能な各種センサ等を用いる、スポーツの用に供されるシステムにも適用することができる。さらに、例えば、本技術は、畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の各種センサを用いる、農業の用に供されるシステムにも適用することができる。また、例えば、本技術は、豚や牛等の家畜の状態を監視するための各種センサを用いる、畜産業の用に供されるシステムにも適用することができる。さらに、本技術は、例えば火山、森林、海洋等の自然の状態を監視するシステムや、例えば天気、気温、湿度、風速、日照時間等を観測する気象観測システムや、例えば鳥類、魚類、ハ虫類、両生類、哺乳類、昆虫、植物等の野生生物の生態を観測するシステム等にも適用することができる。
さらに、送受信される無線信号や情報の仕様は任意である。また、以上においては、本技術を送信装置1101、基地局1102、クラウドサーバ1103、または、それらを有する位置通知システム1100に適用する例を説明したが、本技術は、任意の送信装置、任意の受信装置、任意の送受信装置、任意の通信装置、任意の情報処理装置、任意のシステムにも適用することができる。
<コンピュータ>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合、そのソフトウエアを実行することができるコンピュータとしての構成を有するようにすればよい。このコンピュータには、例えば、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、任意の機能を実行することが可能な汎用のコンピュータ等が含まれる。
図38は、コンピュータの主なの構成例を示すブロック図である。図38に示されるように、コンピュータ1900は、バス1904を介して相互に接続されているCPU(Central Processing Unit)1901、ROM(Read Only Memory)1902、およびRAM(Random Access Memory)1903を有する。
バス1904にはまた、入出力インタフェース1910も接続されている。入出力インタフェース1910には、入力部1911、出力部1912、記憶部1913、通信部1914、およびドライブ1915が接続されている。
入力部1911は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、イメージセンサ、マイクロホン、スイッチ、入力端子等の任意の入力デバイスを有する。出力部1912は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子等の任意の出力デバイスを有する。記憶部1913は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、SSD(Solid State Drive)やUSB(Universal Serial Bus)メモリ等のような不揮発性のメモリ等、任意の記憶媒体を有する。通信部1914は、例えば、イーサネット(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、USB、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、IrDA等の、有線若しくは無線、または両方の、任意の通信規格の通信インタフェースを有する。ドライブ1915は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等の任意の記憶媒体を有するリムーバブルメディア1921を駆動する。
以上のように構成されるコンピュータ1900では、CPU1901が、例えば、記憶部1913に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース1910およびバス1904を介して、RAM1903にロードして実行することにより、上述した各装置のハードウエアの構成の一部または全部と同等の機能を実現することができる。つまり、上述した一連の処理の少なくとも一部が行われる。RAM1903にはまた、CPU1901が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU1901が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア1921に記録して適用することができる。その場合、プログラムは、リムーバブルメディア1921をドライブ1915に装着することにより、入出力インタフェース1910を介して、記憶部1913にインストールすることができる。また、このプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、プログラムは、通信部1914で受信し、記憶部1913にインストールすることができる。その他、このプログラムは、ROM1902や記憶部1913に、あらかじめインストールしておくこともできる。
なお、上述した一連の処理は、一部をハードウエアにより実行させ、他をソフトウエアにより実行させることもできる。
<その他>
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
また、例えば、本技術は、装置またはシステムを構成するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
なお、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
また、例えば、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
また、例えば、本技術は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
また、例えば、上述したプログラムは、任意の装置において実行することができる。その場合、その装置が、必要な機能(機能ブロック等)を有し、必要な情報を得ることができるようにすればよい。
また、例えば、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、プログラムを記述するステップの処理が、本明細書で説明する順序に沿って時系列に実行されるようにしても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで個別に実行されるようにしても良い。つまり、矛盾が生じない限り、各ステップの処理が上述した順序と異なる順序で実行されるようにしてもよい。さらに、このプログラムを記述するステップの処理が、他のプログラムの処理と並列に実行されるようにしても良いし、他のプログラムの処理と組み合わせて実行されるようにしても良い。
なお、本明細書において複数説明した本技術は、矛盾が生じない限り、それぞれ独立に単体で実施することができる。もちろん、任意の複数の本技術を併用して実施することもできる。例えば、いずれかの実施の形態において説明した本技術を、他の実施の形態において説明した本技術と組み合わせて実施することもできる。また、上述した任意の本技術を、上述していない他の技術と併用して実施することもできる。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
送信データをチャープ変調することによって生成された複数の送信信号を、送信タイミングを所定の時間間隔でずらすことによって同一の送信チャネル内に多重化して送信する送信装置から送信された情報を受信する複数の受信装置に対して、前記送信信号を受信するための設定にそれぞれの前記受信装置において用いられる前記送信装置の識別情報を供給する供給部
を備える情報処理装置。
(2)
前記供給部は、それぞれの前記受信装置が受信可能な前記送信信号の送信元としての前記送信装置の前記識別情報を供給する
前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記供給部は、それぞれの前記受信装置による前記送信装置との通信履歴に基づいて前記識別情報を供給する
前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記通信履歴に基づいて、受信を優先すべき前記送信信号の送信元としての前記送信装置の前記識別情報を含む優先情報を生成する優先情報管理部をさらに備え、
前記供給部は、前記優先情報を複数の前記受信装置に供給する
前記(3)に記載の情報処理装置。
(5)
送信データをチャープ変調することによって生成された複数の送信信号を、送信タイミングを所定の時間間隔でずらすことによって同一の送信チャネル内に多重化して送信する送信装置から送信された情報を受信する複数の受信装置に対して、前記送信信号を受信するための設定にそれぞれの前記受信装置において用いられる前記送信装置の識別情報を供給する
ステップを含む情報処理方法。
(6)
送信データをチャープ変調するチャープ変調部と、
チャープ変調することによって生成された複数の送信信号を、送信タイミングを所定の時間間隔でずらすことによって同一の送信チャネル内に多重化して送信する送信部と、
自身の識別情報に基づいて、前記送信タイミングと前記送信チャネルを設定する制御部と
を備える送信装置。
(7)
前記制御部は、前記送信信号を受信する受信装置にとって前記識別情報に基づいて既知のタイミングを前記送信タイミングとして設定し、既知のチャネルを前記送信チャネルとして設定する
前記(6)に記載の送信装置。
(8)
前記送信タイミングの間隔は、一定の間隔であるか、チャープ変調の周期より短い間隔のうちの少なくともいずれかの間隔である
前記(6)または(7)に記載の送信装置。
(9)
前記送信データを狭帯域変調する狭帯域変調部をさらに備え、
前記チャープ変調部は、狭帯域変調された前記送信データをチャープ変調する
前記(6)乃至(8)のいずれかに記載の送信装置。
(10)
GPS信号を受信するGPS信号受信部をさらに備え、
前記制御部は、前記識別情報と前記GPS信号に含まれる時刻に基づいて、前記送信タイミングと前記送信チャネルを設定する
前記(6)乃至(9)のいずれかに記載の送信装置。
(11)
前記送信部は、同一のパケットを複数回、前記送信信号として送信する
前記(6)乃至(10)のいずれかに記載の送信装置。
(12)
送信データをチャープ変調し、
チャープ変調することによって生成された複数の送信信号を、送信タイミングを所定の時間間隔でずらすことによって同一の送信チャネル内に多重化して送信し、
自身の識別情報に基づいて、前記送信タイミングと前記送信チャネルを設定する
ステップを含む送信方法。
(13)
送信データをチャープ変調することによって生成された複数の送信信号を、送信タイミングを所定の時間間隔でずらすことによって同一の送信チャネル内に多重化して送信する送信装置から送信された前記送信信号を受信する受信部と、
前記送信信号をデチャープするデチャープ部と、
前記送信装置の識別情報に基づいて、前記送信信号の受信チャネルを設定するとともに、複数の前記送信信号のそれぞれの前記送信タイミングに応じた受信タイミングを設定する制御部と
を備える受信装置。
(14)
前記送信装置とは異なる情報処理装置から送信された前記識別情報を取得する取得部をさらに備える
前記(13)に記載の受信装置。
(15)
前記取得部は、複数の前記識別情報を取得し、
前記制御部は、前記識別情報毎に、前記受信チャネルと前記受信タイミングを設定する
前記(13)または(14)に記載の受信装置。
(16)
前記受信タイミングの間隔は、一定の間隔であるか、チャープ変調の周期より短い間隔のうちの少なくともいずれかの間隔である
前記(13)乃至(15)のいずれかに記載の受信装置。
(17)
デチャープされた前記送信信号を狭帯域復調する狭帯域復調部をさらに備える
前記(13)乃至(16)のいずれかに記載の受信装置。
(18)
GPS信号を受信するGPS信号受信部をさらに備え、
前記制御部は、前記識別情報と前記GPS信号に含まれる時刻に基づいて、前記受信チャネルと前記受信タイミングを設定する
前記(13)乃至(17)のいずれかに記載の受信装置。
(19)
前記受信部は、同一のパケットを複数回受信し、受信した複数の前記パケットを合成して前記送信データを抽出する
前記(13)乃至(18)のいずれかに記載の受信装置。
(20)
送信データをチャープ変調することによって生成された複数の送信信号を、送信タイミングを所定の時間間隔でずらすことによって同一の送信チャネル内に多重化して送信する送信装置から送信された前記送信信号を受信し、
前記送信信号をデチャープし、
前記送信装置の識別情報に基づいて、前記送信信号の受信チャネルを設定するとともに、複数の前記送信信号のそれぞれの前記送信タイミングに応じた受信タイミングを設定する
ステップを含む受信方法。