JP6258775B2 - 超電導線材の接続構造及び接続方法 - Google Patents
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Description
この高温酸化物超電導線材は、長尺でフレキシブルな金属などの基板上に酸化物超電導膜を成膜して超電導導体層が形成されたものが知られている。また、基板と超電導導体層との間には、必要に応じて中間層が設けられることもある。
このため、超電導線材の接続部分をおよそ500℃の酸素雰囲気中で酸化させる酸素アニールを行う必要があった。
しかしながら、上記超電導線材の接続構造では、超電導導体層が基材に挟まれた状態にあり、基材は酸素透過性が殆ど無い金属等から形成されている場合が多い。
このため、基材がバリア層となって当該基材に挟まれた内側部分には酸素が届きにくく、十分な酸素アニールを行うことができないか、或いは、酸素アニールに非常に長時間を要するという問題が生じていた。
基材の片面側に酸化物超電導導体層が形成された超電導線材同士の互いの接続端部を重合させて接続されている超電導線材の接続構造であって、
二本の前記超電導線材の前記酸化物超電導導体層が向かい合わせで接合され、
一方又は両方の前記超電導線材の接合範囲内の前記基材における前記酸化物超電導導体層とは逆側の面に前記酸化物超電導導体層を貫通しない深さで開口部が設けられていることを特徴とする。
前記開口部を挟んでその両側で一端部と他端部とが前記二本の超電導線材に個別に連結された補強部材を備えることを特徴とする。
前記補強部材は、その一端部と他端部とが、それぞれ前記二本の超電導線材の前記基材における前記酸化物超電導導体層とは反対側に接合され、前記基材における前記酸化物超電導導体層側には接合されていないことを特徴とする。
基材の片面側に酸化物超電導導体層が形成され、互いの接続端部が向かい合う二本の超電導線材が、基材の片面側に酸化物超電導導体層が形成された接続用の超電導線材によってブリッジ接続されている超電導線材の接続構造であって、
前記二本の超電導線材の前記酸化物超電導導体層と前記接続用の超電導線材の前記酸化物超電導導体層とが向かい合わせで接合され、
前記二本の超電導線材と前記接続用の超電導線材のいずれか一方又は両方の前記超電導線材の接合範囲内の前記基材における前記酸化物超電導導体層とは逆側の面に前記酸化物超電導導体層を貫通しない深さで開口部が設けられており、
一端部と他端部とが前記二本の超電導線材に個別に連結された補強用線材を備え、
前記補強用部材は、その一端部と他端部とが、それぞれ前記二本の超電導線材の前記基材における前記酸化物超電導導体層とは反対側に接合され、前記基材における前記酸化物超電導導体層側には接合されていないことを特徴とする。
前記超電導線材は、前記基材と前記酸化物超電導導体層との間に中間層を備え、
前記開口部は中間層まで形成されていることを特徴とする。
前記開口部は溝状に形成されていることを特徴とする。
前記開口部は複数個並んで形成されていることを特徴とする。
基材の片面側に酸化物超電導導体層が形成された超電導線材同士の互いの接続端部を重合させて接続する超電導線材の接続方法であって、
二本の前記超電導線材の前記酸化物超電導導体層を露出させる露出工程と、
前記二本の超電導線材の前記酸化物超電導導体層を向かい合わせで接合する接合工程と、
一方又は両方の前記超電導線材の接合範囲内の前記基材における前記酸化物超電導導体層とは逆側の面に、エッチングにより前記酸化物超電導導体層を貫通しない深さで開口部を形成する開口工程と、
前記酸化物超電導導体層に対する酸素アニール工程と、
前記開口部を挟んでその両側で補強部材の一端部と他端部とを前記二本の超電導線材に個別に連結する工程とを備え、
前記補強部材の一端部と他端部とを、それぞれ前記二本の超電導線材の前記基材における前記酸化物超電導導体層とは反対側に接合し、前記基材における前記酸化物超電導導体層側には接合しないことを特徴とする。
前記接合工程は、前記二本の超電導線材の前記酸化物超電導導体層の一方に又は両方に酸化物超電導導体の前駆体を配置する工程と、前記酸化物超電導導体の前駆体を焼成する工程とを含むことを特徴とする。
基材の片面側に酸化物超電導導体層が形成された二本の超電導線材同士の互いの接続端部を突き合わせた状態で、基材の片面側に酸化物超電導導体層が形成された接続用の超電導線材によってブリッジ接続する超電導線材の接続方法であって、
前記二本の超電導線材の前記酸化物超電導導体層を露出させる露出工程と、
前記二本の超電導線材の前記酸化物超電導導体層と前記接続用の超電導線材の前記酸化物超電導導体層とを向かい合わせで接合する接合工程と、
前記二本の超電導線材と前記接続用の超電導線材のいずれか一方又は両方の前記超電導線材の接合範囲内の前記基材における前記酸化物超電導導体層とは逆側の面に、エッチングにより前記酸化物超電導導体層を貫通しない深さで開口部を形成する開口工程と、
前記酸化物超電導導体層に対する酸素アニール工程と、
補強用線材の一端部と他端部とを前記二本の超電導線材に個別に連結する工程とを備え、
前記補強用線材の一端部と他端部とを、それぞれ前記二本の超電導線材の前記基材における前記酸化物超電導導体層とは反対側に接合し、前記基材における前記酸化物超電導導体層側には接合しないことを特徴とする。
前記接合工程は、前記二本の超電導線材の前記酸化物超電導導体層と前記接続用の超電導線材の前記酸化物超電導導体層のいずれかの一方に又は両方に酸化物超電導導体の前駆体を配置する工程と、前記酸化物超電導導体の前駆体を焼成する工程とを含むことを特徴とする。
以下に、本発明を実施するための好ましい第一の実施の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付し、重複した説明を適宜省略する。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
本実施形態では超電導線材の接続構造について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る超電導線材の斜視図である。
図1に示すように、超電導線材10は、超電導成膜用基材1(以下、「基材1」とする)の厚み方向の一方の主面(以下、成膜面11という)に、中間層2、酸化物超電導導体層3及び安定化層4がこの順に積層され、また、基材1の成膜面11とは反対側の面(以下、「背面12」とする)にも安定化層4が形成されている。即ち、超電導線材10は、安定化層4、基材1、中間層2、酸化物超電導導体層3(以下、「超電導導体層3」とする)、安定化層4による積層構造を有している。
また、これら各種金属材料上に各種セラミックスを配してもよい。また、セラミックス基板の材料としては、例えば、MgO、SrTiO3、又はイットリウム安定化ジルコニア等が用いられる。その他にも、サファイアを基材として用いてもよい。
なお、表面粗さとは、JISB-0601-2001において規定する表面粗さパラメータの「高さ方向の振幅平均パラメータ」における算術平均粗さRaである。
また、中間層2は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。多層構造の場合、その層数や種類は限定されないが、非晶質のGd2Zr2O7−δ(δは酸素不定比量)やAl2O3或いはY2O3等を含むベッド層と、結晶質のMgO等を含みIBAD(Ion Beam Assisted Deposition)法により成形された強制配向層と、LaMnO3+δ(δは酸素不定比量)を含むLMO層と、を順に積層した構成となっていてもよい。また、LMO層の上にCeO2等を含むキャップ層をさらに設けてもよい。
上記各層の厚さは、LMO層を30nm、強制配向層のMgO層を40nm、ベッド層のY2O3層を7nm、Al2O3層を80nmとする。なお、これらの数値はいずれも一例である。
また、中間層2は、単層構造と多層構造のいずれの場合であってもAl2O3(アルミナ)層を有することが望ましい。
この安定化層4,4は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。多層構造の場合、その層数や種類は限定されないが、銀からなる銀安定化層と、銅からなる銅安定化層を順に積層した構成となっていてもよい。
また、本実施形態では、安定化層4,4は超電導導体層3の表面と基材1の背面12とを覆っているが、これに限られず、少なくとも超電導導体層3の表面を覆っていればよい。
本実施形態である超電導線材の接続構造100は、図2(A)に示すように、第一と第二の超電導線材10A,10Bの互いの接続端部を重合させて接続する接続方法(後述)によって接続することにより形成される。第一と第二の超電導線材10A,10Bは上記超電導線材10と同一構造であり、各層1〜4については超電導線材10と同じ符号を使用する。
上記開口部13は、図2(B)に示すように、平面視で略矩形であり、複数個の開口部13が基材1の長手方向に沿って二列に並んで形成されている。
また、各開口部13は、基材1の背面12から中間層2までに達する深さで形成されている。
上記の接続構造100について、図3(A)〜図3(E)に基づいて、その接続方法を工程順に説明する。
まず、図3(A)に示すように、第一と第二の超電導線材10A,10Bを用意する。なお、図3(A)及び図3(B)では、第二の超電導線材10Bの図示を省略している。
そして、図3(B)に示すように、第一と第二の超電導線材10A,10Bの接続端部側において、超電導導体層3側及び基材1の背面12側の安定化層4,4の除去を行い、超電導導体層3,3を露出させる(露出工程)。安定化層4の除去は、機械的研磨、化学的研磨又はこれらの組み合わせにより行う。
また、安定化層4の剥離によって露出した超電導導体層3は、超電導導体層同士の接合を良好に行うために、その表面粗さをより小さくすることが望ましい(例えば、10nm程度)。
ここでは、第一及び第二の超電導線材10A,10Bの超電導導体層3,3の間に、MOD法(Metal Organic Deposition法/有機金属堆積法)によって図示しない超電導導体を形成することにより接合する。
このため、上記接合工程は、第一の超電導導体層10Aの超電導導体層3の表面と第二の超電導導体層10Bの超電導導体層3の表面のいずれか一方又は両方に、MOD法に基づいて超電導導体の前駆体となるMOD液を塗布する工程を含んでいる。
上記MOD液は、例えば、RE(Y(イットリウム)、Gd(ガドリニウム)、Sm(サマリウム)及びHo(ホルミウム)等の希土類元素)とBaとCuとが約1:2:3の割合で含まれているアセチルアセトナート系MOD溶液が使用される。
上記仮焼成工程については、第一と第二の超電導線材10A,10Bの接合部分を10〜100MPaの範囲で加圧しながら、400℃以上500℃以下の温度範囲で熱処理が行なわれる。
また、本焼成工程では、第一と第二の超電導線材10A,10Bの接合部分を10〜100MPaの範囲で加圧しながら、780℃以上830℃以下の温度範囲で熱処理が行なわれる。
なお、これらの圧力条件と温度条件はいずれも一例であってこれらの数値範囲限定されるものではない。
上記エッチングは、基材1の開口部13以外の部分を残すためのマスク形成工程と、マスクに従って基材1の部分的な除去を行う除去工程とを含んでいる。
例えば、基材1をNiCr合金であるハステロイ(登録商標)から形成している場合には、硝酸を20〜30%、硫酸を1〜5%、過酸化水素水を0.5〜2%の比率で含有するエッチング液を使用すると、好適な開口形成を行うことが可能である。なお、上記数値範囲は一例であって適宜異なる値を選択可能である。
前述したように、中間層2がAl2O3層を含む場合、上記エッチング液には溶解しないので、少なくとも開口部13はこのAl2O3層よりも超電導導体層3側に進行しない。
そして、これらの工程により超電導線材の接続構造100が形成される。
上記超電導線材の接続構造100は、超電導導体層3,3が向かい合わせで接合される第一と第二の超電導線材10A,10Bの内の第二の超電導線材10Bの基材1の背面12に中間層2まで到達する複数の開口部13が設けられている。
このため、第一と第二の超電導線材10A,10Bの超電導導体層3,3が接合されて酸素アニールを行う際に、基材1に遮られることなく各開口部13により酸素が超電導導体層3,3に供給され、効果的に酸化を促すことが可能となる。従って、第一と第二の超電導線材10A,10Bの超電導導体層3,3の超電導性を高く維持することが可能となる。また、酸素アニールに要する時間を短縮化することが可能となる。
例えば、レーザー加工により開口部を形成することも可能であるが、その場合の開口部13aは図4に示すように、中間層2及び超電導導体層3も貫通して形成されることになる。このように超電導導体層3が貫通する開口部13aの場合には、酸素アニールの際に、当該開口部13a内に酸素が供給されても、超電導導体層3は開口部13aの内側の微小な端面3aが酸素に曝されるに過ぎないので、十分に酸化を促すことができず、接続構造の超電導導体層3,3の超電導性を高く維持することができない。
一方、エッチングで形成された開口部13は内底面が広く確保されるので、レーザーによる加工に比べて超電導導体層3の酸化を十分に促すことができ、接続構造100の超電導導体層3,3の超電導性をより高く維持することが可能である。
これにより、接合工程において、第一と第二の超電導線材10A,10Bの超電導導体層3,3の間に超電導導体を形成することができ、超電導導体層3,3の相互間の超電導臨界電流密度を十分に大きくして接続することが可能となる。
上記超電導線材の接続構造100は、第一と第二の超電導線材10A,10Bの超電導導体層3,3同士が接合されることにより線材の接続が図られているが、超電導導体層3,3は剥離しやすいので、図5に示すように、超電導線材の接続構造100に補強部材60を加えて、接続強度の強化を図ってもよい。
この補強部材60の一端部61は長尺の板状であって、その平板面は第一の超電導線材10Aの基材1の背面12に形成された安定化層4の外側面に半田付けにより接合されている。図5の符号Hは半田を示している。
補強部材60の他端部62は、第二の超電導線材10Bの超電導導体層3側の安定化層4には接合されておらず、また、隙間を設けて非接触状態を維持している。超電導導体層3側の安定化層4に補強部材60の他端部62を接合すると、第一と第二の超電導線材10A,10Bが張力を受けた場合に、安定化層4を介して超電導導体層3の剥離や破損の発生を生じる可能性がある。従って、補強部材60の他端部62は、張力の影響を受けにくい基材1の背面12側の安定化層4に接合されている。
なお、後述する例のように、第一の超電導線材10Aの基材1にも開口部13を形成する場合には(図6参照)、補強部材60の一端部61は、第二の超電導線材10Bの接続端部から複数の開口部13の形成位置よりも離れた位置に接合することが望ましい。
また、前述した開口部13は、第二の超電導線材10Bにのみ設ける場合を例示したが、開口部13は、図6に示すように、第一の超電導線材10Aにも形成しても良い。この場合も、第一の超電導線材10Aの基材1の背面12から中間層2にかけて複数の開口部13を形成する。
これにより、酸素アニールの際に、第一の超電導線材10A側の開口部13からも酸素が超電導導体層3,3に供給され、より効果的に酸化を促して、超電導導体層3,3の超電導性をさらに高く維持することが可能となる。また、酸素アニールに要する時間をさらに短縮することが可能となる。
なお、第一と第二の超電導線材10A,10Bの両方に開口部13を形成した場合には、それぞれの基材1,1の強度が低下するので、前述した補強部材60が各超電導導体層3,3を保護するためにもより有効である。
前述した超電導線材の接続構造100では、第一と第二の超電導線材10A,10Bの接続端部を重合配置して、超電導導体層3,3を向かい合わせに接続しているが、この接続方式に限定されない。
この第二の実施形態では、接続用の超電導線材である第三の超電導線材10Cを用いて第一と第二の超電導線材10A,10Bをブリッジ接続する場合の超電導線材の接続構造100Cを例示する。
なお、開口部13Cは、第一と第二の超電導線材10A,10B側に設けても良い。
また、この超電導線材の接続構造100Cでは、第一と第二の超電導線材10A,10Bの基材1,1の背面12,12側の安定化層4,4を跨いで、安定化層4Dと基材1Dとを有する補強用線材10Dを取り付けて補強することが望ましい。
図8は上記超電導線材の接続構造100Cに基づく超電導線材の接続方法を示している。かかる接続方法を工程順に説明する。
まず、図8(A)に示すように、第一と第二の超電導線材10A,10Bを用意する。
そして、図8(B)に示すように、第一と第二の超電導線材10A,10Bの接続端部側において、超電導導体層3側の安定化層4の除去を行い、超電導導体層3,3を露出させる(露出工程)。安定化層4の除去は、機械的研磨、化学的研磨又はこれらの組み合わせにより行う。
なお、基材1の背面12側の安定化層4は、図7に示す補強用の基材1Cを取り付けるために除去しないで残される。
なお、露出した超電導導体層3の表面粗さをより小さくすべきことは超電導線材の接続構造100の場合と同様である。
第一及び第二の超電導線材10A,10Bの超電導導体層3,3と第三の超電導線材10Cの超電導導体層3Cとの接合は、超電導線材の接続構造100と同じ方法であるMOD法を利用する。
各開口部13Cの形成は、前述した超電導線材の接続構造100の開口部13の形成と同じ工程で行われる。
即ち、上記エッチングは、マスク形成工程と除去工程とを含んでいる。
除去工程では、エッチングレジスト51によるマスクに従ってエッチング液に浸漬し、基材1Cの背面側から複数の開口部13Cを形成する。この場合も開口部13Cは中間層2Cまで形成される。
その後、接続部分の表面に、銀を蒸着する、または、銀ペーストを塗布した後に焼成することで銀安定化層を形成し、その上に電解めっき法などで銅安定化層を形成する安定化層形成工程が行われる。この時、安定化層は開口部13Cを埋めるように形成されてよい。
補強用線材10Dの安定化層4Dと基材1Dは、第一と第二の超電導線材10A,10Bの安定化層4及び基材1と同一材料からなる
補強用線材10Dはその安定化層4Dを第一と第二の超電導線材10A,10Bの安定化層4に対向させて配置され、安定化層4,4Dを接合する。例えば、安定化層4,4Dが銀安定化層の場合には、Ag−Ag拡散接合により接合される。
そして、これらの工程により超電導線材の接続構造100が形成される。
上記超電導線材の接続構造100Cは、超電導線材の接続構造100と同様に、各開口部13,13Cにより酸素が超電導導体層3,3,3Cに供給され、効果的に酸化を促すことが可能となる。従って、第一〜第三の超電導線材10A〜10Cの超電導導体層3,3,3Cの超電導性を高く維持することができ、また、酸素アニールに要する時間を短縮化することが可能となる。
上記各実施形態の開口部13,13Cの形状は矩形に限らない。開口部13,13Cは円形等、その他の形状で形成しても良い。例えば、六角形の開口部を有するハニカム構造とすれば、強度低下を抑制しつつ開口部の面積を大きくすることができるので好ましい。さらに、開口部は溝状に形成しても良い。その場合、開口部を広く形成することができ、各超電導導体層3又は3Cに効果的に酸素を供給することが可能となる。
2,2C 中間層
3,3,3C 超電導導体層(酸化物超電導導体層)
4,4D 安定化層
10 超電導線材
10A 第一の超電導線材(超電導線材)
10B 第二の超電導線材(超電導線材)
10C 第三の超電導線材(接続用の超電導線材)
10D 補強用線材
11 成膜面(主面)
12,12C 背面
13,13C 開口部
51 エッチングレジスト
60 補強部材
61 一端部
62 他端部
100,100C 超電導線材の接続構造
Claims (9)
- 基材の片面側に酸化物超電導導体層が形成された超電導線材同士の互いの接続端部を重合させて接続されている超電導線材の接続構造であって、
二本の前記超電導線材の前記酸化物超電導導体層が向かい合わせで接合され、
一方又は両方の前記超電導線材の接合範囲内の前記基材における前記酸化物超電導導体層とは逆側の面に前記酸化物超電導導体層を貫通しない深さで開口部が設けられており、
前記開口部を挟んでその両側で一端部と他端部とが前記二本の超電導線材に個別に連結された補強部材を備え、
前記補強部材は、その一端部と他端部とが、それぞれ前記二本の超電導線材の前記基材における前記酸化物超電導導体層とは反対側に接合され、前記基材における前記酸化物超電導導体層側には接合されていないことを特徴とする超電導線材の接続構造。 - 基材の片面側に酸化物超電導導体層が形成され、互いの接続端部が向かい合う二本の超電導線材が、基材の片面側に酸化物超電導導体層が形成された接続用の超電導線材によってブリッジ接続されている超電導線材の接続構造であって、
前記二本の超電導線材の前記酸化物超電導導体層と前記接続用の超電導線材の前記酸化物超電導導体層とが向かい合わせで接合され、
前記二本の超電導線材と前記接続用の超電導線材のいずれか一方又は両方の前記超電導線材の接合範囲内の前記基材における前記酸化物超電導導体層とは逆側の面に前記酸化物超電導導体層を貫通しない深さで開口部が設けられており、
一端部と他端部とが前記二本の超電導線材に個別に連結された補強用線材を備え、
前記補強用部材は、その一端部と他端部とが、それぞれ前記二本の超電導線材の前記基材における前記酸化物超電導導体層とは反対側に接合され、前記基材における前記酸化物超電導導体層側には接合されていないことを特徴とする超電導線材の接続構造。 - 前記超電導線材は、前記基材と前記酸化物超電導導体層との間に中間層を備え、
前記開口部は中間層まで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超電導線材の接続構造。 - 前記開口部は溝状に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の超電導線材の接続構造。
- 前記開口部は複数個並んで形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の超電導線材の接続構造。
- 基材の片面側に酸化物超電導導体層が形成された超電導線材同士の互いの接続端部を重合させて接続する超電導線材の接続方法であって、
二本の前記超電導線材の前記酸化物超電導導体層を露出させる露出工程と、
前記二本の超電導線材の前記酸化物超電導導体層を向かい合わせで接合する接合工程と、
一方又は両方の前記超電導線材の接合範囲内の前記基材における前記酸化物超電導導体層とは逆側の面に、エッチングにより前記酸化物超電導導体層を貫通しない深さで開口部を形成する開口工程と、
前記酸化物超電導導体層に対する酸素アニール工程と、
前記開口部を挟んでその両側で補強部材の一端部と他端部とを前記二本の超電導線材に個別に連結する工程とを備え、
前記補強部材の一端部と他端部とを、それぞれ前記二本の超電導線材の前記基材における前記酸化物超電導導体層とは反対側に接合し、前記基材における前記酸化物超電導導体層側には接合しないことを特徴とする超電導線材の接続方法。 - 前記接合工程は、前記二本の超電導線材の前記酸化物超電導導体層の一方に又は両方に酸化物超電導導体の前駆体を配置する工程と、前記酸化物超電導導体の前駆体を焼成する工程とを含むことを特徴とする請求項6記載の超電導線材の接続方法。
- 基材の片面側に酸化物超電導導体層が形成された二本の超電導線材同士の互いの接続端部を突き合わせた状態で、基材の片面側に酸化物超電導導体層が形成された接続用の超電導線材によってブリッジ接続する超電導線材の接続方法であって、
前記二本の超電導線材の前記酸化物超電導導体層を露出させる露出工程と、
前記二本の超電導線材の前記酸化物超電導導体層と前記接続用の超電導線材の前記酸化物超電導導体層とを向かい合わせで接合する接合工程と、
前記二本の超電導線材と前記接続用の超電導線材のいずれか一方又は両方の前記超電導線材の接合範囲内の前記基材における前記酸化物超電導導体層とは逆側の面に、エッチングにより前記酸化物超電導導体層を貫通しない深さで開口部を形成する開口工程と、
前記酸化物超電導導体層に対する酸素アニール工程と、
補強用線材の一端部と他端部とを前記二本の超電導線材に個別に連結する工程とを備え、
前記補強用線材の一端部と他端部とを、それぞれ前記二本の超電導線材の前記基材における前記酸化物超電導導体層とは反対側に接合し、前記基材における前記酸化物超電導導体層側には接合しないことを特徴とする超電導線材の接続方法。 - 前記接合工程は、前記二本の超電導線材の前記酸化物超電導導体層と前記接続用の超電導線材の前記酸化物超電導導体層のいずれかの一方に又は両方に酸化物超電導導体の前駆体を配置する工程と、前記酸化物超電導導体の前駆体を焼成する工程とを含むことを特徴とする請求項8記載の超電導線材の接続方法。
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