JP6258721B2 - 冷却水リーク診断システム - Google Patents

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Description

本発明は、冷却水リーク診断システムに関し、特に、蒸気タービンで発電機を駆動する発電プラントの冷却水リーク診断システムに関する。
近年、日本国内においては、全発電電力量における火力発電に対する依存度が非常に高まっている。このような背景の下、安定した電力供給を維持するためには、火力発電設備である火力発電プラントにおける機器の信頼性及び安全性を保守することが重要になる。特に、プラント構成機器である復水器の健全性を維持することは、極めて重要な要素の一つである。
火力発電プラントにおいては、ボイラで発生させた高温、高圧の蒸気を蒸気タービンに供給することで蒸気タービンを高速回転させる。そして、この蒸気タービンの回転力で発電機を駆動して発電を行う。蒸気タービンから排出された蒸気(排気蒸気)は、復水器に送り込まれる。そして、復水器の内部で冷却水と熱交換することで冷却されて復水(凝縮)される。その後、復水ポンプを介してボイラ給水ポンプによってボイラに供給され、再び蒸気になって蒸気タービンに供給される。
復水器内部には、冷却水が通る冷却管が多数配設されている。蒸気タービンからの排気蒸気は、これらの冷却管の外面と接触して冷却された後、復水ポンプを介してボイラ給水ポンプによってボイラの給水系統に戻される。このような冷却管に損傷が発生すると、冷却水がボイラの給水系統にリーク(漏洩)し得る。特に、火力発電プラントは沿岸に立地することが多く、冷却水として海水を利用することが多い。冷却水として利用される海水が給水系統にリークした場合(所謂、海水リーク)、プラント構成機器であるボイラや蒸気タービンに重大な損傷を与える可能性がある。
従来、このような火力発電プラントにおける海水リークの発生を早期に発見し、或いは、海水リークの発生に伴う損傷を最小限に止める提案が行われている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1においては、純水タンクを備え、復水器における海水リークを検知すると、復水系統から供給される海水を含んだ復水の供給を停止する一方、純水タンクから蒸気タービンのスプレー系統に純水を供給する発電プラントが提案されている。この発電プラントによれば、海水を含んだ水によって蒸気タービンが汚染し始めていたとしても、この汚染を純水によって洗浄できる。そして、その間に海水リークの発生の確認と適正な運転判断を行うことができる。したがって、運転を続行しながら海水リークの判定時間を得ることができ、的確な判断を行うことができる。
特開2013−170544号公報
上述した特許文献1に記載の発電プラントにおいては、主に酸導電率計(酸電気伝導率計)で計測された酸導電率及びナトリウム計で計測したナトリウムイオン濃度を利用して海水リークの発生を検知している。海水リークの発生時においては、塩化物イオン濃度の上昇に伴って復水(ボイラ給水)の酸導電率が上昇する現象や、ナトリウムウオン濃度が上昇する現象が現れる。酸導電率計及びナトリウム計においては、それぞれこのような酸導電率及びナトリウムイオン濃度の変動を検出することで海水リークの発生を検知する。
しかしながら、酸導電率計で検知対象とされる酸導電率は、海水リーク以外の要因によっても変動する。例えば、発電プラントの起動時等においては、復水器を真空ポンプによって滞留空気を抽出しながら真空度を上昇させる。この真空度の上昇中には、復水器の出口付近の復水に大気(二酸化炭素)が混入する事態が想定される。この二酸化炭素は、復水に溶解すると炭酸イオンとなる。復水に溶解した炭酸イオンは、酸導電率を上昇させてしまう。このような二酸化炭素に起因する炭酸イオンの溶解は、復水器に補給される補給水にも想定される。
すなわち、酸導電率は、復水への大気混入等を含む複合的な要因に応じて変動するものである。したがって、酸導電率のみから直接的に海水リークを検知することは容易ではない。このため、このような酸導電率に基づく海水リークの検知は、水化学の専門知識を有する監視者の判断に依存しているのが実情である。
一方、ナトリウムイオン濃度についても、海水リーク以外の要因によっても変動する。火力発電プラントでは、純水装置や復水脱塩装置を備え、海水や河川水などの原水をイオン交換樹脂によって脱イオン化した水(純水)をボイラ給水として使用するものがある。このような純水装置や復水脱塩装置においては、イオン交換樹脂がイオンによって飽和すると、所定の薬剤を用いたイオン交換樹脂の再生が必要となる。イオン交換樹脂の再生に使用される薬剤としては、例えば、純粋装置では苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)及び塩酸が用いられ、復水脱塩装置では苛性ソーダ及び硫酸が用いられる。
しかしながら、純水装置や復水脱塩装置において、このようなイオン交換樹脂の再生に失敗した場合、上述した薬剤に含まれるナトリウムイオンがボイラ給水や復水にリークする事態が発生し得る。このようなナトリウムイオンは、ナトリウム計による計測結果に影響を与える。すなわち、ボイラ給水におけるナトリウムイオン濃度から、直接的に海水リークを検知することは容易ではない。
発電プラントにおける海水リークに対処するためには、このような複合的な要因の中から、海水リークに関係する要因と、海水リークに関係しない要因とを適切に識別する必要がある。その上で、海水リークに関係する要因を解消するために必要な処置を迅速に実行することが要請される。なお、復水器で使用される冷却水は、海水に限定されるものではない。海水以外の冷却水(例えば、河川水)で発生するリークについても、同様の対応を実行することが好ましい。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、発電プラントにおける冷却水のリーク発生状況を的確に診断すると共に、そのリーク発生状況に応じた処置を報知することができる冷却水リーク診断システムを提供することを目的とする。
本発明に係る冷却水リーク診断システムは、蒸気タービンから排出された蒸気を復水器内で冷却水によって復水してボイラに供給する発電プラントのリーク診断システムであって、ボイラ給水中の酸導電率を計測する第1の酸導電率計と、ボイラ給水中のガス成分を取り除いた後の酸導電率を計測する第2の酸導電率計と、前記第1、第2の酸導電率計の計測結果の組み合わせから前記冷却水のリーク発生状況を診断し、診断結果に応じた処置を報知する制御装置と、を具備し、
前記第2の酸導電率計は、前記復水器へ補給水を供給する補給水系統に設置されており、前記制御装置は、前記補給水系統の前記第2の酸導電率計の計測結果に応じて前記冷却水のリーク発生状況を診断することを特徴とする。
上記冷却水リーク診断システムによれば、ボイラ給水中の酸導電率だけでなく、ガス成分を取り除いた後の酸導電率を考慮して冷却水のリーク発生状況を診断することができる。このため、冷却水のリーク発生状況の診断において、ボイラ給水中のガス成分の影響を排除することができる。これにより、ボイラ給水中のガス成分に起因する酸導電率の上昇に応じて冷却水リークが発生したと診断される事態を防止することができる。この結果、冷却水リークに関係しない要因を排除でき、発電プラントにおける冷却水のリーク発生状況を的確に診断すると共に、そのリーク発生状況に応じた処置を報知することができる。
上記冷却水リーク診断システムにおいて、前記第1、第2の酸導電率計は、酸導電率の変動率を計測し、前記制御装置は、当該酸導電率の変動率に基づいて前記冷却水のリーク発生状況を診断することが好ましい。この構成によれば、酸導電率の変動率(例えば、上昇率)の度合いに応じて冷却水リーク対策の緊急度を特定することができ、その緊急度に応じた適切な処置を報知することができる。
また、上記冷却水リーク診断システムにおいて、前記第1、第2の酸導電率計は、電気式の陽イオン交換膜を備えることが好ましい。この構成によれば、ボイラ給水中の陽イオンが電気式の陽イオン交換膜により除去される。この場合において、電気式の陽イオン交換膜は、ボイラ給水中の陽イオンを通過させることで除去する。これにより、陽イオン交換樹脂のように飽和現象に伴ってイオン交換能力が低下するのを防止することができる。この結果、第1、第2の酸導電率計の計測性能が劣化するのを防止することができる。
なお、上記冷却水リーク診断システムにおいては、ボイラ給水中のナトリウムイオン濃度を計測するナトリウム計を更に具備し、前記制御装置は、前記第1、第2の酸導電率計及び前記ナトリウム計の計測結果の組み合わせから前記冷却水のリーク発生を診断するようにしてもよい。この構成によれば、第1、第2の酸導電率計によってボイラ給水中の塩化物(CL)イオン成分を計測でき、ナトリウム計によってボイラ給水中のナトリウム(Na)イオン成分を計測できる。これにより、塩化物(CL)イオン成分及びナトリウム(Na)イオン成分の二成分によって冷却水のリーク発生状況を診断することができる。この結果、塩化物イオン成分のみに基づいて冷却水のリーク発生状況を診断する場合と比べて、より高精度に冷却水のリーク発生状況を診断することができる。
また、上記冷却水リーク診断システムにおいて、前記第1、第2の酸導電率計は、前記第1、第2の酸導電率計は、計測器本体に生じた不具合を診断する自己診断機能を備え、前記制御装置に計測器本体に生じた不具合を通知するようにしてもよい。この構成によれば、第1、第2の酸導電率計に生じた不具合が制御装置に通知される。このため、制御装置において、これらの不具合に起因する酸導電率の上昇に応じて冷却水リークが発生したと診断される事態を防止することができる。これにより、冷却水リークに関係しない要因を排除でき、発電プラントにおける冷却水のリーク発生状況を的確に診断することができる。
さらに、上記冷却水リーク診断システムにおいて、ボイラ給水の流量を計測する流量計を更に具備し、前記制御装置は、前記第1、第2の酸導電率計及び前記流量計の計測結果に基づいて前記冷却水のリーク量を診断するようにしてもよい。この構成によれば、冷却水のリーク量に基づいて冷却水リーク対策の緊急度を特定することができ、その緊急度に応じた適切な処置を報知することができる。
さらに、上記冷却水リーク診断システムにおいて、前記制御装置は、前記第1、第2の酸導電率計の計測結果の組み合わせに基づいて前記冷却水のリーク発生状況を階層的に診断するようにしてもよい。この構成によれば、冷却水のリーク発生状況が階層的に診断されることから、冷却水リークが及ぼす影響度を特定することができ、その影響度に応じた適切な処理を報知することができる。
さらに、上記冷却水リーク診断システムにおいて、前記第2の酸導電率計は、前記補給水系統及び前記復水器から前記ボイラへの給水系統にそれぞれ設置されており、前記制御装置は、前記補給水系統及び給水系統の前記第2の酸導電率計の計測結果に応じて前記冷却水のリーク発生状況を診断するようにしてもよい。この構成によれば、補給水系統及び給水系統における給水中のガス成分を取り除いた後の酸導電率を考慮して冷却水のリーク発生状況を診断することができる。このため、冷却水のリーク発生状況の診断において、補給水等に混入したガス成分の影響を排除することができる。この結果、例えば、発電プラントの起動時等に、補給水等に混入したガス成分に起因する酸導電率の上昇に応じて冷却水リークが発生したと診断される事態を効果的に防止することができる。
さらに、上記冷却水リーク診断システムにおいて、前記第1の酸導電率計は、前記復水器へ補給水を供給する補給水系統に設置され、前記第2の酸導電率計は、前記補給水系統及び前記復水器から前記ボイラへの給水系統にそれぞれ設置されており、前記制御装置は、前記補給水系統の前記第1の酸導電率計、並びに前記補給水系統及び前記給水系統の前記第2の酸導電率計の計測結果に応じて前記冷却水のリーク発生状況を診断するようにしてもよい。この構成によれば、補給水系統及び給水系統における給水中のガス成分を取り除いた後の酸導電率を考慮して冷却水のリーク発生状況を診断することができる。このため、冷却水のリーク発生状況の診断において、補給水等に混入したガス成分の影響を排除することができる。この結果、例えば、発電プラントの起動時等に、補給水等に混入したガス成分に起因する酸導電率の上昇に応じて冷却水リークが発生したと診断される事態をより効果的に防止することができる。
さらに、上記冷却水リーク診断システムにおいて、前記第1の酸導電率計は、前記復水器へ補給水を供給する補給水系統に設置され、前記第2の酸導電率計は、前記補給水系統及び前記復水器から前記ボイラへの給水系統にそれぞれ設置されており、前記制御装置は、前記発電プラントの起動の際に、前記補給水系統の前記第1の酸導電率計、並びに前記補給水系統及び前記給水系統の前記第2の酸導電率計の計測結果に応じて前記冷却水のリーク発生状況を診断するようにしてもよい。この構成によれば、補給水系統及び給水系統における給水中のガス成分を取り除いた後の酸導電率を考慮して冷却水のリーク発生状況を診断することができる。このため、発電プラントの起動時における冷却水のリーク発生状況の診断において、補給水等に混入したガス成分の影響を排除することができる。この結果、発電プラントの起動時に、補給水等に混入したガス成分に起因する酸導電率の上昇に応じて冷却水リークが発生したと診断される事態を効果的に防止することができる。
本発明によれば、発電プラントにおける冷却水のリーク発生状況を的確に診断すると共に、そのリーク発生状況に応じた処置を報知することができる。
本実施の形態に係る冷却水リーク診断システムの概略構成図である。 本実施の形態に係る冷却水リーク況診断システムで使用される酸導電率計の概略構成を示す模式図である。 本実施の形態に係る冷却水リーク診断システムで使用される脱ガス式酸導電率計の概略構成を示す模式図である。 本実施の形態に係る冷却水リーク診断システムの制御装置の機能ブロック図である。 本実施の形態に係る冷却水リーク診断システムのリーク診断テーブルの登録内容の一例の説明図である。 本実施の形態に係る冷却水リーク診断システムの制御装置の処理について説明するためのフロー図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る冷却水リーク診断システムの概略構成図である。以下においては、説明の便宜上、発電プラントの一例として、ドラム型ボイラを備えた火力発電プラントについて説明する。しかしながら、本発明に係るリーク診断システムが適用される発電プラントについては、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、貫流型ボイラを備えた火力発電プラントに適用してもよく、原子力発電プラントに適用してもよい。
また、以下においては、発電プラントが沿岸地帯に設置されているものとし、後述する復水器7にて冷却水として海水を使用する場合について説明する。しかしながら、復水器7で使用される冷却水については、海水に限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、河川水や陸水などの原水を使用することもできる。本明細書では、リークした場合の発電プラントにおける損傷が最も大きい海水を例に用いて説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る冷却水リーク診断システム(以下、単に「リーク診断システム」という)100は、発電プラント1と、制御装置2と、出力装置3とを備えている。制御装置2は、発電プラント1のプラント構成機器である各種計測器からの計測結果に基づいて発電プラント1における冷却水(海水)リークの発生状況を診断することができる。出力装置3は、制御装置2に接続され、例えば、CRTや液晶ディスプレイ等の表示装置で構成される。制御装置2は、出力装置3を介して、海水リークの診断結果に応じた処置ガイダンス等を報知(表示)することができる。なお、出力装置3は、音声出力機能を備え、このような処置ガイダンスを音声等により出力しても良い。ここでは、出力装置3を制御装置2と別の構成要素としているが、制御装置2に出力装置3としての機能を備えるようにしてもよい。
発電プラント1は、ボイラ4、複数の蒸気タービン5及び発電機6を備えている。ボイラ4は、ボイラドラム41を備え、蒸気を発生させることができる。蒸気タービン5は、高圧タービン51、中圧タービン52及び低圧タービン53を有する。なお、中圧タービン52と低圧タービン53との間は、蒸気分配菅(クロスオーバー管)54で連結されている。蒸気タービン5は、ボイラ4に接続され、ボイラ4の蒸気によって駆動される。発電機6は、蒸気タービン5(低圧タービン53)に接続され、蒸気タービン5で発生した駆動力により駆動される。
また、発電プラント1は、復水器7、補給水タンク8及び循環水取水槽9を備えている。復水器7は、内部に多数の冷却管を備え、これらの冷却管内に海水を流すことで、低圧タービン53から排出された蒸気(排気蒸気)を冷却して復水することができる。補給水タンク8は、ボイラ4への給水(以下、適宜「ボイラ給水」という)として利用される補給水(純水)を貯水する。循環水取水槽9は、冷却水として利用される循環水(海水)を発電所に圧送する後述の循環水ポンプ92のために設置されている。
補給水タンク8は、補給水系統81を介して復水器7に接続されている。補給水タンク8に貯水された補給水は、補給水系統81に配設された補給水ポンプ82により復水器7に供給される。循環水取水槽9は、循環水系統91を介して復水器7に接続されている。循環水(海水)は、循環水取水槽9に配設された循環水ポンプ92により復水器7に供給される。また、復水器7で排気蒸気の熱交換を終えた海水は、循環水放水槽93を介して海洋に戻される。
さらに、発電プラント1は、復水・給水系統10を備えている。復水・給水系統10は、復水系統を構成する復水管11aと、給水系統を構成する給水管11bとを備えている。この復水・給水系統10には、復水器7側から順に低圧ヒータ12、脱気器13、高圧ヒータ14、ボイラ4が接続されている。復水管11aは、復水器7の出口から後述する脱気器13の入口までの送水管を構成する。給水管11bは、脱気器13の出口からボイラ4の入口までの送水管を構成する。復水・給水系統10には、復水器7の下流側において復水ポンプ15が接続され、脱気器13の下流側においてボイラ給水ポンプ16が接続されている。本明細書においては、適宜、復水系統を流れる流体(水)を復水と呼び、給水系統を流れる流体(水)を給水と呼ぶが、復水・給水系統10を流れる流体(水)を総称してボイラ給水と呼ぶ場合もある。
低圧ヒータ12は、復水ポンプ15を介して供給された復水(ボイラ給水)を低圧条件で加熱することができる。脱気器13は、低圧加熱されたボイラ給水中の酸素を脱気することができる。高圧ヒータ14は、ボイラ給水ポンプ16を介して脱気器13より供給されたボイラ給水を高圧条件で加熱することができる。高圧ヒータ14により加熱されたボイラ給水がボイラ4(ボイラドラム41)に供給される。
さらに、発電プラント1は、主蒸気管17及び再熱蒸気管18を備えている。主蒸気管17は、ボイラ4から延出して設けられ、蒸気タービン5(高圧タービン51)に接続されている。再熱蒸気管18は、蒸気タービン5(高圧タービン52)から延出して設けられ、ボイラ4内の再熱器42を経由して、再び蒸気タービン5(中圧タービン52)に接続されている。
さらに、発電プラント1は、蒸気タービン5から低圧ヒータ12、脱気器13、高圧ヒータ14にそれぞれ接続される抽気管19(19a、19b、19c)を備えている。低圧抽気管19aは、低圧タービン53から延出して低圧ヒータ12に接続されている。中圧・高圧抽気管19b、19cは、中圧タービン52から延出してそれぞれ脱気器13、高圧ヒータ14に接続されている。これらの抽気管19a、19b、19cは、それぞれ低圧ヒータ12、脱気器13、高圧ヒータ14における加熱処理(脱気処理)に必要な蒸気を供給可能に構成されている。
この発電プラント1において、ボイラ4で発生させた蒸気は、蒸気供給管17を通って高圧タービン51、中圧タービン52、低圧タービン53の順に供給される。タービン5の駆動に伴って発電機6が駆動されることにより発電が行われる。低圧タービン53から排出された排気蒸気は復水器7に流れ、復水器7内で海水と熱交換することで冷却されて復水(凝縮)される。復水器7で復水された水(凝縮水)は、ボイラ給水として復水ポンプ15に送られ、低圧ヒータ12、脱気器13及び高圧ヒータ14を経て再びボイラ4に供給される。
発電プラント1の所定箇所には、複数の計測器が取り付けられている。計測器には、図1に示すように、酸導電率計A(A1〜A12)、ナトリウム計B(B1)、脱ガス式酸導電率計C(C1〜C2)及び生導電率計D(D1〜D2)が含まれる。本実施の形態に係るリーク診断システム100においては、これらの酸導電率計A、ナトリウム計B、脱ガス式酸導電率計C及び生導電率計Dの計測結果に基づいて発電プラント1における海水リークの発生状況を診断する。そして、その海水リークの発生状況に応じた処置を出力装置3にて報知する。なお、酸導電率計A及び脱ガス式酸導電率計Cは、それぞれ特許請求の範囲における第1の酸導電率計及び第2の酸導電率計を構成する。
以下、本実施の形態に係るリーク診断システム100で利用される酸導電率計A、ナトリウム計B、脱ガス式酸導電率計C及び生導電率計Dについて説明する。なお、以下に示す酸導電率計A、ナトリウム計B、脱ガス式酸導電率計C及び生導電率計Dの構成は一例を示すものであり、これに限定されるものではない。各計測器においては、計測対象の変動を計測可能であることを前提として、任意の構成を採用することができる。
酸導電率計Aは、例えば、電気式の陽イオン交換膜及び導電率計を含んで構成される。酸導電率計Aにおいては、電気式陽イオン交換膜を用いて陽イオンを移動させることにより、サンプル水中から陽イオンを除去する。これにより、アンモニアなどの影響を排除した状態の導電率(酸導電率)を導電率計で計測することができるので、塩化物イオンなど陰イオンの検出が可能になる。なお、アンモニアは、ボイラ給水のpH調整剤として注入されている。この電気式陽イオン交換膜においては、陽イオンを通過させる方式であるため、陽イオン交換樹脂カラムのように飽和現象によってイオン交換能力が低下することはない。
ここで、この酸導電率計Aの構成について説明する。図2は、本実施の形態に係る診断システム100で使用される酸導電率計Aの概略構成を示す模式図である。図2に示すように、電気陽イオン交換膜においては、金属製の陽極A101と陰極A102との間に陽イオン交換膜A103が挟まれた構造を有する。両極A101、A102間には一定の電圧が印加されており、陽極A101側に流入したサンプル水中の陽イオン(NH +、N +等)は、陽イオン交換膜A103を通過して陰極A102側に移動する。このため、陽極A101出口側のサンプル水では陽イオンが除去される。これにより、陽イオン交換膜A103の下流側に設置された導電率計により、陽イオンを排除した状態のサンプル水の導電率(酸導電率)を計測することができる。なお、酸導電率を計測した後のサンプル水は、陰極A102側に導入され、陽極A101側から移動してくる陽イオンと共にドレンから排出される。
一般的な陽イオン交換樹脂カラムにおいては、一定量以上のイオン交換を行うと、飽和現象によりイオン交換能力が低下する。イオン交換能力の低下は、酸導電率計による計測性能の劣化の原因となる。この結果、サンプル水の酸導電率を正確に計測することが困難となる。本実施の形態に係るリーク診断システム100においては、電気式陽イオン交換膜を備える酸導電率計Aを使用することにより、イオン交換能力の低下に伴う計測性能の劣化を防止することができる。この結果、酸導電率計Aの保守、管理に必要となる負担を軽減することができる。
ナトリウム計Bは、例えば、ナトリウムイオン電極測定法を用いた計測器で構成することができる。ナトリウム計Bは、サンプル水中に配置されるナトリウムイオンに感応する電極(ナトリウムイオン電極)と比較電極とを備え、これらの両電極間に生じる電位差によりナトリウムイオン濃度を計測する。
脱ガス式酸導電率計Cは、サンプル水中の陽イオン成分を取り除くと共に、サンプル水中に混入するガス成分を取り除いた状態の導電率(脱ガス後の酸導電率)を計測することができる。例えば、脱ガス式酸導電率計Cは、酸導電率計Aと同一の電気式陽イオン交換膜と、導電率計との間に脱気ユニットを備えて構成される。図3は、この脱ガス式酸導電率計Cの概略構成を示す模式図である。図3においては、脱ガス式酸導電率計Cが有する脱気ユニットC11を中心に説明し、電気式陽イオン交換膜C12及び導電率計C13の詳細な説明は省略する。
図3に示すように、脱気ユニットC11は、電気式陽イオン交換膜(陽イオン交換膜)C12と導電率計C13との間に配置される。脱気ユニットC11は、電気式陽イオン交換膜C12により陽イオン成分が取り除かれたサンプル水内のガス成分(炭酸ガス)を取り除く。この脱気ユニットC11は、脱気膜C111、入口弁C112、出口弁C113、サンプルラインC114、真空ラインC115、真空弁C116、空気ラインC117及び空気取入弁C118を含んで構成される。
脱気膜C111、入口弁C112及び出口弁C113は、電気式陽イオン交換膜C12と導電率計C13とを接続するサンプルラインC114上に設けられている。脱気膜C111は、例えば、サンプル水中のガス成分を分離できる非多孔質の素材で形成することができる。例えば、脱気膜C111は、中空糸膜で形成されることが好ましい。なお、脱気ユニットC11において、このような脱気膜C111は、耐圧容器内に収容される。
入口弁C112は、電気式陽イオン交換膜C12と脱気膜C111との間に配置され、出口弁C113は、脱気膜C111と導電率計C13との間に配置されている。なお、入口弁112及び出口弁C113には、脱気膜C111を介在しないバイパスラインC119が接続されている。例えば、これらの入口弁C112及び出口弁C113は、三方弁で構成される。入口弁C112及び出口弁C113による接続先を脱気膜C111とバイパスラインC119との間で切り替えることで、サンプル水の脱気の有無を選択することができる。
脱気膜C111には、真空ラインC115を介して真空ポンプユニットC14が接続されている。真空弁C116は、脱気膜C111と真空ポンプユニットC14との間に配置されている。真空ポンプユニットC14は、脱気膜C111の耐圧容器内の気圧を減圧して真空状態とすることができる。真空弁C116は、真空ラインC115を開閉することで、脱気膜C111の耐圧容器の気圧を真空状態に維持する一方、その真空状態を破壊する役割を果たす。
また、脱気膜C111には、空気ラインC117を介して空気取入口C15が接続されている。空気取入弁C118は、脱気膜C111と空気取入口C15との間に配置されている。空気取入口C15は、脱気膜C111の耐圧容器の真空状態を破壊する際に大気を取り入れ可能に構成される。空気取入弁C118は、空気ラインC117を開閉することで、脱気膜C111の耐圧容器の気圧を真空状態に維持する一方、耐圧容器内へ大気を供給する役割を果たす。
この脱気ユニットC11においては、電気式陽イオン交換膜C12から陽イオン成分が取り除されたサンプル水を脱気膜C111に通した状態で真空ポンプユニットC14により耐圧容器内を減圧する。これにより、サンプル水中のガス成分を取り除くことができる。そして、ガス成分を取り除いたサンプル水を導電率計C13に供給する。導電率計C13にて、このサンプル水中の導電率を計測することにより、サンプル水中の陽イオン成分及びガス成分の影響を受けない導電率(脱ガス後の酸導電率)を計測することができる。
生導電率計Dは、例えば、容器内に対向して配置された一対の電極を備え、両極間の電気伝導率(導電率)を計測すると共に、サンプル水中の水素イオン指数(pH)を計測することができる。炭酸イオンを含む陰イオン(アニオン)を計測対象とする酸導電率計Aや、炭酸イオンを除く陰イオン(アニオン)を計測対象とする脱ガス式酸導電率計Cと異なり、生導電率計Dは、陽イオン(カチオン)及び炭酸イオンを含む陰イオン(アニオン)を計測対象とする。
なお、本実施の形態に係るリーク診断システム100において、これらの酸導電率計A、ナトリウム計B、脱ガス式酸導電率計C及び生導電率計Dは、計測器本体(計測器自身)の状態(例えば、不具合)を診断する機能(以下、適宜「自己診断機能」という)を備え、診断結果を制御装置2に通知可能に構成される。この自己診断機能は、例えば、計測器における診断対象に対応する位置に各種センサを設け、このセンサによる検出結果を制御装置2に出力することで実現される。このような自己診断機能により、監視者が計測器の誤作動や誤検出と認識することで海水リークの発生が看過されるような事態を効果的に防止することが可能となる。
以下、これらの酸導電率計A、ナトリウム計B、脱ガス式酸導電率計C及び生導電率計Dの自己診断機能で診断可能な一例について説明する。なお、酸導電率計A、ナトリウム計B及び脱ガス式酸導電率計Cに搭載される自己診断機能の診断対象については、以下の内容に限定されるものではなく適宜変更が可能である。自己診断機能においては、各計測器における任意の不具合を診断対象とすることができる。また、自己診断機能においては、不具合の発生頻度や、不具合が発生した場合の発電プラントに対する影響を考慮して選択可能とすることもできる。
例えば、酸導電率計A、ナトリウム計B、脱ガス式酸導電率計C及び生導電率計Dは、計測器本体への電力供給するための電力線の断線などに起因する入力異常や、計測器本体から信号出力するための信号線の断線などに起因する出力異常や、計測器本体における演算エラーを診断することができる。また、酸導電率計A及び脱ガス式酸導電率計Cは、電気式陽イオン交換膜の異常を診断することができる。例えば、電気式陽イオン交換膜に供給される電流が一定値を上回る電流値異常や、電気式陽イオン交換膜の温度が一定値を上回る温度異常や、電気式陽イオン交換膜を通るサンプル水の流量が一定値を下回る流量異常を診断することができる。さらに、脱ガス式酸導電率計Cは、真空ポンプユニットC14により形成される耐圧容器の真空状態の異常を診断することができる。例えば、真空ポンプユニットC14における電気的な故障や、耐圧容器の破損等に起因して真空状態が形成できない真空異常を診断することができる。
これらの酸導電率計A、ナトリウム計B、脱ガス式酸導電率計C及び生導電率計Dは、復水・給水系統10及び補給水系統81や、復水器7及びボイラ4等の所定箇所に設置される。以下、本実施の形態に係るリーク診断システム100における計測器の設置位置について、図1を参照しながら説明する。なお、これらの酸導電率計A、ナトリウム計B及び脱ガス式酸導電率計Cの設置位置や設置数については、図1に示す内容に限定されず適宜変更することができる。
図1に示すように、補給水系統81には、酸導電率計A1、脱ガス式酸導電率計C1及び生導電率計D2が設置されている。これらの酸導電率計A1、脱ガス式酸導電率計C1及び生導電率計D2は、補給水ポンプ82の下流側の位置に設置されている。これらの酸導電率計A1、脱ガス式酸導電率計C1及び生導電率計D2は、それぞれ補給水タンク8から供給される補給水における酸導電率、脱ガス後の酸導電率及び生電気伝導率を計測することができる。この計測結果は、復水の水質悪化が海水リークに起因するものか、補給水に起因するものかの判別に使われている。
復水器7には、排気蒸気から復水された凝縮水(ボイラ給水)を一時的に貯水する貯水槽71が設けられている。本実施の形態に係るリーク診断システム100においては、この貯水槽71に複数(本実施の形態では6個)の酸導電率計A2〜A7が設置されている。貯水槽71に貯水された凝縮水は、各酸導電率計A2〜A7に対応する復水ポンプ151〜156によって各酸導電率計A2〜A7に供給される。これらの酸導電率計A2〜A7は、排気蒸気から復水された凝縮水における酸導電率を計測することができる。
復水・給水系統10には、酸導電率計A8〜A10ナトリウム計B1及び脱ガス式酸導電率計C2が設置されている。このうち、酸導電率計A8、ナトリウム計B1及び脱ガス式酸導電率計C2は、復水ポンプ15と低圧ヒータ16との間(復水ポンプ15の下流側であって、低圧ヒータ12の上流側)の位置に設置される。これらの酸導電率計A8、ナトリウム計B1及び脱ガス式酸導電率計C2は、それぞれ復水器7(貯水槽71)から復水ポンプ15により供給される復水における酸導電率、ナトリウムイオン濃度及び脱ガス後の酸導電率を計測することができる。
また、酸導電率計A9は、低圧ヒータ16と脱気器13との間(低圧ヒータ12の下流側であって、脱気器13の上流側)の位置に設置される。この酸導電率計A9は、低圧ヒータ12で加熱された復水における酸導電率を計測することができる。さらに、酸導電率計A10は、高圧ヒータ14とボイラ4との間(高圧ヒータ14の下流側であって、ボイラ4の上流側)の位置に設置される。この酸導電率計A10は、高圧ヒータ14で加熱されたボイラ給水における酸導電率を計測することができる。
さらに、酸導電率計A11は、主蒸気管17上におけるボイラ4と蒸気タービン5(高圧タービン51)との間(ボイラ4の下流側であって、高圧タービン51の上流側)の位置に設置される。この酸導電率計A11は、ボイラ4で加熱された高温、高圧の蒸気における酸導電率を計測することができる。さらに、酸導電率計A12及び生導電率計D1は、ボイラドラム41の降水管に設置される。酸導電率計A12は、ボイラドラム41の降水管(図示は略している)内のドラム水における酸導電率を計測することができる。生導電率計D1は、ボイラドラム41内の降水管内のドラム水の導電率及び水素イオン指数(pH)を計測することができる。
これらの酸導電率計A1〜A12、ナトリウム計B1、脱ガス式酸導電率計C1〜C2及び生導電率計D1〜D2は、制御装置2に接続されている。これらの酸導電率計A1〜A12、ナトリウム計B1、脱ガス式酸導電率計C1〜C2及び生導電率計D1〜D2における計測結果は、電気信号として制御装置2に出力される。なお、これらの計測結果と同様に、上述した各計測器における自己診断機能に伴う診断結果も、電気信号として制御装置2に出力される。
なお、図示は省略しているが、給水系統10において、復水ポンプ15の下流側には、復水ポンプ15で送り出される給水の流量を計測する流量計が接続されている。この流量計は、制御装置2に接続されており、計測結果を制御装置2に出力可能に構成されている。この流量計の計測結果は、例えば、酸導電率計A8及び脱ガス式酸導電率計C2等の計測結果と共に、発電プラント1における海水のリーク量及びリーク孔サイズの診断に利用される。
制御装置2は、酸導電率計A1〜A12、ナトリウム計B1、脱ガス式酸導電率計C1〜C2及び生導電率計D1〜D2から入力された計測結果に基づいて海水リークの発生状況を診断する。特に、制御装置2は、酸導電率計A1〜A12、ナトリウム計B1、脱ガス式酸導電率計C1〜C2及び生導電率計D1〜D2の計測結果の組み合わせから海水リークの発生状況を診断する。例えば、制御装置2は、これらの酸導電率計A1〜A12、ナトリウム計B1、脱ガス式酸導電率計C1〜C2及び生導電率計D1〜D2の計測結果と、後述するリーク診断テーブル25の登録内容とを比較して海水リークの発生状況を診断することができる。
また、制御装置2は、復水ポンプ15の下流側に設置された流量計、酸導電率計A8及び脱ガス式酸導電率計C2の計測結果に基づいて、海水のリーク量及びリーク孔サイズを診断することができる。例えば、制御装置2は、酸導電率計A8(脱ガス式酸導電率計C2)で計測された酸導電率(脱ガス後の酸導電率)と、流量計で計測されたボイラ給水の流量とから、海水のリーク量及びリーク孔サイズを診断することができる。これにより、海水リーク対策の緊急度を特定することができ、その緊急度に応じた適切な処置を報知することができる。
海水のリーク量は、例えば、以下の式1の演算により求められる。また、式1における復水中の塩化物イオン濃度は、以下の式2の演算により求められる。
Q0=(Q1)×(CL1)/(CL2)/1,000 (式1)
CL1=86.701×(AC)−1.3795 (式2)
ここで、「Q0」は海水リーク量を示し、その計測単位はL/Hである。また、「Q1」は復水流量を示し、その計測単位はm/Hである。また、「CL1」は復水中の塩化物イオン濃度を示し、「CL2」は海水中の塩化物イオン濃度を示し、その計測単位はいずれもmg/Lである。なお、海水中の塩化物イオン濃度の定数は19,000mg/Lである。さらに、「AC」は、ボイラ給水中の酸導電率を示し、その計測単位はμS(ジーメンス)/cmである。
リーク孔サイズは、例えば、以下の式3の演算により求められる。この場合において、冷却管内は加圧状態であり、冷却管内部は真空状態であるものとする。
A=Q0/(C×(2g×(P1−P2)1/2)×1,000 (式3)
ここで、「A」はリーク孔サイズを示し、その計測単位はmmである。また、「Q0」は海水リーク量を示し、その計測単位はL/Hである。また、「C」は流量係数を示し、その定数が0.6である。さらに、「g」は重力加速度を示し、その計測単位はm/Sである。さらに、「P1」は冷却管内の圧力を示し、「P2」は冷却管外の圧力を示し、その計測単位はkg/m2である。
ここで、このような発電プラント1のリーク発生状況の診断に関連する制御装置2の構成について説明する。図4は、本実施の形態に係るリーク診断システム100が有する制御装置2の機能ブロック図である。なお、図4に示す制御装置2の機能ブロックは、本発明に関連する構成のみを示しており、それ以外の構成については省略している。また、図4においては、制御装置2がリーク診断テーブルを参照して発電プラント1のリーク発生状況を診断する態様について示している。
図4に示すように、制御装置2は、酸導電率判定部21、ナトリウムイオン(Na)濃度判定部22、脱ガス酸導電率判定部23、生導電率判定部24、リーク診断テーブル25及びリーク診断部26を含んで構成されている。なお、このような制御装置2は、例えば、発電プラント1のリーク発生状況の診断に必要な各種処理を実行するプロセッサや、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶媒体を含んで構成される。
酸導電率判定部21は、酸導電率計A(A1〜A12)で計測された酸導電率を判定する。酸導電率判定部21は、各酸導電率A1〜A11で計測された酸導電率のレベルを判定する。例えば、酸導電率判定部21は、3段階のレベル(通常レベルを示すノーマルレベル(Nレベル)、Nレベルより高い第1上位レベル(Hレベル)、Hレベルより高い第2上位レベル(HHレベル)で酸導電率を判定することができる。酸導電率判定部21は、判定結果である酸導電率のレベルをリーク診断部26に出力する。
Na濃度判定部22は、ナトリウム計B(B1)で計測されたナトリウムイオン濃度を判定する。Na濃度判定部22は、ナトリウム計B1で計測されたナトリウムイオン濃度のレベルを判定する。例えば、Na濃度判定部22は、は、3段階のレベル(通常レベルを示すノーマルレベル(Nレベル)、Nレベルより高い第1上位レベル(Hレベル)、Hレベルより高い第2上位レベル(HHレベル)でナトリウムイオン濃度を判定することができる。Na濃度判定部22は、判定結果であるナトリウムイオン濃度のレベルをリーク診断部26に出力する。
脱ガス酸導電率判定部23は、脱ガス式酸導電率計C(C1〜C2)で計測された脱ガス後の酸導電率を判定する。脱ガス酸導電率判定部23は、各脱ガス式酸導電率計C1〜C2で計測された脱ガス後の酸導電率のレベルを判定する。例えば、脱ガス酸導電率判定部23は、3段階のレベル(通常レベルを示すノーマルレベル(Nレベル)、Nレベルより高い第1上位レベル(Hレベル)、Hレベルより高い第2上位レベル(HHレベル)で脱ガス後の酸導電率を判定することができる。脱ガス酸導電率判定部23は、判定結果である脱ガス後の酸導電率のレベルをリーク診断部26に出力する。
生導電率判定部24は、生導電率計D(D1〜D2)で計測された導電率及び水イオン指数(pH)を判定する。生導電率判定部24は、生導電率計D(D1〜D2)で計測された導電率及び水イオン指数(pH)のレベルを判定する。例えば、生導電率判定部24は、3段階のレベル(通常レベルを示すノーマルレベル(Nレベル)、Nレベルより低い第1下位レベル(Lレベル)、Lレベルより低い第2下位レベル(LLレベル)で導電率及び水イオン指数(pH)を判定することができる。生導電率判定部24は、判定結果である導電率及び水イオン指数(pH)のレベルをリーク診断部26に出力する。
また、酸導電率判定部21は、各酸導電率A1〜A12で計測された酸導電率の変動率(例えば、上昇率)を判定することができる。同様に、Na濃度判定部22は、ナトリウム計B1で計測されたナトリウムイオン濃度の変動率(例えば、上昇率)を判定することができる。また、脱ガス酸導電率判定部23は、各脱ガス式酸導電率計C1〜C2で計測された脱ガス後の酸導電率の変動率(例えば、上昇率)を判定することができる。さらに、生導電率判定部24は、生導電率計D1〜D2で計測された導電率及び水イオン指数(pH)の変動率(減少率)を判定することができる。これらの判定部21〜24は、それぞれ判定した計測結果の変動率をリーク診断部26に出力する。
リーク診断テーブル25においては、発電プラント1で想定される海水リークの発生状況のレベルに応じて計測器の計測結果及び処置に関する情報が階層的に登録されている。より具体的にいうと、リーク診断テーブル25においては、発電プラント1で想定される海水リークの発生状況のレベルに関連付けて、計測器(酸導電率計A、ナトリウム計B、脱ガス式酸導電率計C及び生導電率D)による計測結果と、海水リークの発生状況のレベルに応じた処置を示すガイダンス(以下、「処置ガイダンス」という)とが登録されている。なお、このリーク診断況テーブル25の登録内容については後述する。
リーク診断部26は、酸導電率判定部21、Na濃度判定部22、脱ガス酸導電率判定部23及び生導電率判定部24における判定結果に基づいて、発電プラント1における海水リークの発生状況(海水リーク発生の有無や海水リークの発生状況のレベル)を診断する。例えば、リーク診断部26は、酸導電率判定部21、Na濃度判定部22、脱ガス酸導電率判定部23及び生導電率判定部24における判定結果に基づいて、リーク診断テーブル25の登録内容から対応する診断結果を選択する。そして、リーク診断部26は、選択した診断結果を出力装置3に出力する。
ここで、リーク診断テーブル25に登録される内容の一例について図5を参照しながら説明する。図5は、本実施の形態に係るリーク診断システム100のリーク診断テーブル25の登録内容の一例の説明図である。なお、図5においては、説明の便宜上、各計測器の測定結果がノーマルレベルN、第1上位レベルH及び第1下位レベルLである場合に限って説明している。リーク診断テーブル25に登録される内容については、図5に示す内容に限定されるものではなく適宜変更が可能である。
図5に示すように、リーク診断テーブル25においては、リーク診断レベル(レベル)401と、海水リークの分類402と、各種計測器(図5では、便宜上、「計器」と示す)の種別403及び計測結果404と、処置ガイダンス405とが登録されている。なお、図5においては、計測器の種別403及び計測結果404として、9つの計測器の種別403a〜403i、識別結果404a〜404iが登録されている場合について示している。
リーク診断レベル401は、海水リークの発生状況のレベルを示している。このリーク診断レベル401の内容は、海水リークに対処する緊急度のレベルに対応する。レベル4が最も緊急度が高い海水リークに対応し、レベル1が最も緊急度が低い海水リークに対応する。なお、図5においては、リーク診断レベル401として、4つのレベル1〜4を示している。しかしながら、リーク診断レベル401の数については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。
海水リークの分類402は、リーク診断レベル401に応じた海水リークの発生状況を示している。図5においては、レベル1〜4にそれぞれ「リーク発生疑い」、「リーク発生濃厚」、「リーク発生A」及び「リーク発生B」が関連付けられている。ここで、「リーク発生B」は、「リーク発生A」よりも海水リークが及ぼす影響度が大きく、対処する緊急度が高い発生状況を示している。処置ガイダンス405には、リーク診断レベル401に応じた処置ガイダンスが登録される。
リーク診断レベル1には、例えば、復水器7の貯水室71に設置された酸導電率計A2〜A7のいずれか及び/又は復水ポンプ15の下流側に設置された酸導電率計A8の計測結果が第1上位レベルHである内容が登録されている。このような計測結果が検出される場合、発電プラント1においては、海水リーク発生の疑いがある状況が想定される。このため、処置ガイダンス405には、「リーク発生疑い」に対応する処置ガイダンス群Aが登録されている。処置ガイダンス群Aには、例えば「復水器出口、復水ポンプ出口の酸導電率が高いので海水リーク発生の可能性があります。但し、復水の脱ガス酸導電率計の指示値は低いことから空気混入の影響も考えられます。運転責任者に報告してください。」などの内容と関連した水質データの表示が含まれる。
リーク診断レベル2には、例えば、上述したリーク診断レベル1の計測結果に加え、復水ポンプ15の下流側に設置された脱ガス式酸導電率計C2の計測結果が第1上位レベルHであり、補給水ポンプ82の下流側に設置された酸導電率計A1及び脱ガス式酸導電率計C1の計測結果がノーマルレベルNである内容が登録されている。このような計測結果が検出される場合、発電プラント1においては、海水リークの発生が濃厚である状況が想定される。このため、処置ガイダンス405には、「リーク発生濃厚」に対応する処置ガイダンス群Bが登録されている。処置ガイダンス群Bには、例えば「復水器出口、復水ポンプ出口の酸導電率が高く、さらに、脱ガスの酸導電率計も高いことから、海水漏洩が発生している可能性が高い状況です。復水ラインからの供給を全て遮断して、補給水ラインからの供給に切り替えてください。合わせて、海水リーク発生時の操作手順の準備を完了してください。さらに、手分析で塩化物イオン濃度を計測して下さい。」などの内容が含まれる。
このリーク診断レベル2において、脱ガス式酸導電率計C2、酸導電率計A1及び脱ガス式酸導電率計C1の計測結果は、発電プラント1の起動時等における復水器への大気の混入の影響を排除することを目的としている。すなわち、脱ガス式酸導電率計C2と同時に酸導電率計A1及び脱ガス式酸導電率計C1の計測結果を確認することにより、発電プラント1の起動時等における補給水への大気混入に起因する酸導電率の上昇に基づいて海水リークと誤検知される事態を回避することができる。
また、このリーク診断レベル2においては、リーク診断レベル1の計測結果を利用している。すなわち、リーク診断レベル1で判定する計測結果に加えて、酸導電率計A1及び脱ガス式酸導電率計C1、C2が所定の計測結果を示す場合に、リーク診断レベル2と判定される構成を採る。これにより、海水リークの発生状況のレベルを診断する際の処理を簡素化することができる。なお、後述するリーク診断レベル3、4においても同様である。
なお、脱ガス式酸導電率計C2、酸導電率計A1及び脱ガス式酸導電率計C2の計測結果に基づいて、酸導電率の上昇が、発電プラント1の起動時等における補給水への大気混入に起因する旨を処置ガイダンスとして報知するようにしてもよい。この場合、処置ガイダンスには、「復水器出口の酸導電率が高いですが、これはプラント起動に伴う凝縮水への大気混入が原因です。合わせて、復水器の空気漏れ量を確認して下さい。」や「復水器出口の酸導電率が高いですが、補給水を介して多量な大気混入が原因です。」などの内容が含まれる。これらの処置ガイダンスは、例えば、海水リークが発生していない状況で報知される。
リーク診断レベル3には、例えば、上述したリーク診断レベル2の計測結果に加え、復水ポンプ15の下流側に設置されたナトリウム計B1及び/又は脱気器13の上流側に設置された酸導電率計A9の計測結果が第1上位レベルHである内容が登録されている。このような計測結果が検出される場合、発電プラント1においては、少なくとも軽度の海水リークの発生が想定される。このため、処置ガイダンス405には、「リーク発生A」に対応する処置ガイダンス群Cが登録されている。処置ガイダンス群Cには、「海水リークが発生しています。」、「脱気器入口まで海水リークが進行していることが想定されます。」、「ドラムブローを全開にして下さい。」や「復水器を片肺運転に移行します。タービン負荷を60%以下に設定して下さい。」などの内容が含まれる。
このリーク診断レベル3において、ナトリウム計B1の計測結果は、手分析による海水成分の浸入の検出作業を代替するものである。また、酸導電率計A9の計測結果は、海水リークによる汚染範囲がどこまで広がっているかを確認することを目的としている。すなわち、酸導電率計A9の計測結果を確認することにより、海水リークによる汚染範囲が脱気器13の入口まで広がっているか否かを特定することができる。
リーク診断レベル4には、例えば、上述したリーク診断レベル3の計測結果に加え、ボイラ4の上流側及び/又は下流側に設置された酸導電率計A10、A11の計測結果が第1上位レベルHである内容が登録されている(図5では、酸導電率計A10、A11の双方が第1上位レベルHである場合のみを示している)。また、リーク診断レベル4には、例えば、上述したリーク診断レベル3の計測結果に加え、ボイラドラム41に設置された酸導電率計A12の計測結果が第1上位レベルHであり、生導電率計D1の計測結果が第1下位レベルLである内容が登録されている。このような計測結果が検出される場合、発電プラント1においては、重度の海水リークの発生が想定される。このため、処置ガイダンス405には、「リーク発生B」に対応する処置ガイダンス群Dが登録されている。処置ガイダンス群Dには、「海水リークが発生しています。」、「ボイラ入口(出口)まで海水リークが進行していることが想定されます。」や「ユニットトリップを行い、給水サイクル内の全ブローと純水への置換を行って下さい。」などの内容が含まれる。
ここに一例を示したように、リーク診断テーブル25においては、発電プラント1で想定される海水リークの発生状況に応じた単一又は複数の計測器の計測結果が、リーク診断レベル毎に登録されている。リーク診断部26においては、酸導電率判定部21、Na濃度判定部22、脱ガス酸導電率判定部23及び生導電率計24から判定結果を受け取ると、その判定結果に応じたリーク診断テーブル25の内容を診断結果として選択する。そして、選択した診断結果における処置ガイダンス405の内容を出力装置3に出力する。
例えば、酸導電率計判定部21から判定結果として、酸導電率計A2、A8の計測結果が第1上位レベルHである旨を受け取った場合を考える。この場合、リーク診断部26は、リーク診断テーブル25の番号3の内容を診断結果として選択する。そして、この診断結果における処置ガイダンス405の内容(処置ガイダンス群A:例えば、復水器出口、復水ポンプ出口の酸導電率が高いです。手分析で塩化物イオン濃度を計測して下さい。)を出力装置3に出力する。
出力装置3においては、例えば、この処置ガイダンス405の内容を表示画面上に出力する。なお、この場合において、リーク診断レベル401に応じて緊急度の高い内容を示唆する配色を用いることや、音声出力を併用することは実施の形態として好ましい。監視者は、出力装置3における出力内容を確認することにより、発電プラント1における海水リークの発生状況を速やかに認識することができると共に、対応すべき適切な処置を迅速に実行することが可能となる。
また、リーク診断部26において、酸導電率判定部21、Na濃度判定部22、脱ガス酸導電率判定部23及び生導電率判定部24から受け取った計測結果の変動率に基づいて海水リークの発生状況を診断することもできる。この構成によれば、酸導電率、ナトリウムイオン濃度及び脱ガス後の酸伝導率の変動率(例えば、上昇率)、並びに、導電率(生導電率)の変動率(例えば、減少率)の度合いに応じて海水リーク対策の緊急度を特定することができ、その緊急度に応じた適切な処理を報知することができる。特に、計測結果の変動率に応じて海水リークの発生状況を診断する場合には、軽微な計測結果の変動を考慮でき、微量の海水リークの発生を検出することができる。
ここで、このような発電プラント1における海水リークを診断する際の制御装置2の処理の一例について説明する。図6は、本実施の形態に係るリーク診断システム100の制御装置2の処理について説明するためのフロー図である。なお、図6においては、図4に示す構成を有する制御装置2における処理の一例を示している。
発電プラント1における海水リークを診断する際、制御装置2においては、図6に示すように、まず、酸導電率判定部21、Na濃度判定部22、脱ガス酸導電率判定部23が、各計測器から計測結果を受信するかを判定する(ステップ(以下、「ST」という)501)。ここで、各計測器から計測結果を受信しない場合、各判定部21〜23は、ST501の判定処理を継続する。
各計測器から計測結果を受信した場合、酸導電率判定部21、Na濃度判定部22、脱ガス酸導電率判定部23は、その計測結果を判定する(ST502)。例えば、酸導電率判定部21(Na濃度判定部22、脱ガス酸導電率判定部23)は、酸導電率(ナトリウムイオン濃度、脱ガス後の酸導電率)のレベルや変動率を判定する。そして、酸導電率判定部21(Na濃度判定部22、脱ガス酸導電率判定部23)は、その判定結果をリーク診断部26に出力する。
各判定部21〜23から判定結果を受け取ると、リーク診断部26は、その判定結果に基づいて、発電プラント1における海水リークの診断結果を選択する(ST503)。より具体的には、リーク診断部26は、各判定部21〜23からの判定結果に基づいて、リーク診断テーブル25の登録内容から対応する診断結果を選択する。
次に、リーク診断部26は、その診断結果に含まれる処置ガイダンスを出力装置3に出力する(ST504)。そして、処置ガイダンスを出力すると、リーク診断部26は、処理をST501に戻し、再びST501〜ST504の処理を実行する。
このような一連の処理により、制御装置2は、発電プラント1の各所に設置された複数の計測器(酸導電率計A1〜A12、ナトリウム計B1、脱ガス式酸導電率計C1〜C2及び生導電率計D1)の計測結果に応じて海水リークの発生状況を診断し、その診断結果を報知する。このように発電プラント1における複数の計測点で計測された計測結果に基づいて海水リークの発生状況を診断することで、診断結果の信頼性を高めることができる。そして、制御装置2は、各計測器の計測結果に応じた処置ガイダンスを予め登録し、その内容を報知する。このため、仮に監視者が水化学の専門知識を有しない場合においても、適切な処置を実行することができる。
特に、発電プラント1においては、酸導電率計A、ナトリウム計B、脱ガス式酸導電率計C及び生導電率計Dという複数の種類の計測器を、その計測結果の特徴を有効に活用できる箇所に設置している。例えば、酸導電率計Aについては、計測精度の信頼性が高い特徴を生かすために給水系統10、補給水系統81の各所に複数個配置している。また、ナトリウム計Bについては、酸導電率計Aで計測される塩化物(CL)イオン成分と異なるナトリウムイオン成分を計測できる特徴を生かし、酸導電率計Aと同一箇所(復水器7出口)に設置している。さらに、脱ガス式酸導電率計Cについては、炭酸イオンを除く陰イオン(アニオン)を計測できる特徴を生かし、補給水系統81及び給水系統10の双方に設置している。さらに、生導電率計Dについては、水素イオン指数を計測できる特徴を生かし、ボイラドラム41及び補給水系統81に設置している。
制御装置2は、これらの酸導電率計A、ナトリウム計B、脱ガス式酸導電率計C及び生導電率計Dにおける計測結果の任意の組み合わせから海水リークの発生状況を診断する。特に、制御装置2は、酸導電率計A及び脱ガス式酸導電率計Cの計測結果の組み合わせから海水リークの発生状況を診断する(図5に示すリーク診断レベル2参照)。このため、ボイラ給水中の酸導電率だけでなく、ガス成分を取り除いた後の酸導電率を考慮して海水リークの発生状況を診断することができる。これにより、ボイラ給水中のガス成分に起因する酸導電率の上昇に応じて海水リークが発生したと診断される事態を防止することができる。この結果、海水リークに関係しない要因を排除できるので不要な操業制限が回避でき、発電プラント1における海水リークの発生状況を的確に診断すると共に、そのリーク発生状況に応じた処置を報知することができる。
上述のように、脱ガス式酸導電率計Cは、補給水系統81及び給水系統10の双方に設置されている。これにより、制御装置2は、補給水系統81及び給水系統10におけるボイラ給水中の脱ガス後の酸導電率を考慮して海水リークの発生状況を診断することができる。このため、海水リークの診断において、補給水等に混入したガス成分の影響を排除することができる。この結果、例えば、発電プラント1の起動時等に、補給水等に混入したガス成分に起因する酸導電率の上昇に応じて海水リークが発生したと診断される事態を効果的に防止することができる。
また、制御装置2は、酸導電率計A及び脱ガス式酸導電率計Cに加え、ナトリウム計Bの計測結果の組み合わせから海水リークの発生状況を診断する(図5に示すリーク診断レベル3参照)。このため、酸導電率計A及び脱ガス式酸導電率計Cによってボイラ給水中の塩化物(CL)イオン成分を計測でき、ナトリウム計Bによってボイラ給水中のナトリウム(Na)イオン成分を計測できる。これにより、塩化物(CL)イオン成分及びナトリウム(Na)イオン成分の二成分によって海水リークの発生状況を診断することができる。この結果、塩化物イオン成分のみに基づく場合と比べて、より高精度に海水リークの発生状況を診断することができる。
さらに、制御装置2は、リーク診断テーブル25を参照し、酸導電率計A、ナトリウム計B、脱ガス式酸導電率計C及び生導電率計Dの計測結果の組み合わせに基づいて海水リークの発生状況を階層的に診断する。このため、海水リークの発生状況が階層的に診断されることから、海水リークが及ぼす影響度を特定することができ、その影響度に応じた適切な処理を報知することができる。
酸導電率計A、ナトリウム計B、脱ガス式酸導電率計C及び生導電率計Dは、計測器本体に生じた不具合を診断する自己診断機能を備え、診断した不具合が制御装置2に通知することができる。このため、制御装置2において、これらの不具合に起因する酸導電率の上昇に応じて海水リークが発生したと診断される事態を防止することができる。これにより、海水リークに関係しない要因を排除でき、発電プラント1における海水リークの発生状況を的確に診断することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
例えば、上記実施の形態においては、制御装置2により、発電プラント1の各所に設置された複数の酸導電率計A、ナトリウム計B、脱ガス式酸導電率計C及び生導電率計Dの計測結果に応じて海水リークの発生状況を診断し、その診断結果を報知する場合について説明している。制御装置2により、このような診断結果の報知処理に加え、診断結果に応じてプラント構成機器を自動的に制御することは実施の形態として好ましい。例えば、図5に示すリーク診断レベル3と診断された場合に復水器7を自動的に片肺運転に移行させることや、図5に示すリーク診断レベル4と診断された場合にユニットトリップを自動的に実行することができる。すなわち、制御装置2による診断結果を発電プラント1の運転操作の自動化に組み入れることができる。
また、上記実施の形態においては、制御装置2がプロセッサ及び記憶媒体(ROM,RAM)などにより、酸導電率判定部21、ナトリウムイオン濃度判定部22、脱ガス酸導電率判定部23、リーク診断部26及びリーク診断テーブル25を構成する場合について説明している。しかしながら、制御装置2の構成については、これに限定されるものではない。例えば、これらの酸導電率判定部21、ナトリウムイオン濃度判定部22、脱ガス酸導電率判定部23、リーク診断部26及びリーク診断テーブル25で実行する処理を実現することを前提として、組み合わせ回路等を含む論理回路により構成することができる。
特に、上記実施の形態においては、制御装置2の各判定部21〜24において、各計測器(酸導電率計A、ナトリウム計B、脱ガス式酸導電率計C及び生導電率計D)の計測結果のレベルや変動率を判定する構成について説明している。しかしながら、このような機能を実現するための機能を各計測器に備えるようにしてもよい。
また、上記実施の形態においては、制御装置2の各判定部21〜24で各計測器(酸導電率計A、ナトリウム計B、脱ガス式酸導電率計C及び生導電率計D)の計測結果のレベルを、3段階で判定可能である内容を例示している。計測結果が第2上位レベル(HHレベル)や第2下位レベル(LLレベル)である場合、これらの内容に応じて特別な報知内容を設定することは実施の形態として好ましい。例えば、対処の緊急性を確実に報知するための警報を出力することや、複数の監視者が携帯する情報通信端末にメッセージを送信することが考えられる。また、制御装置2で診断されるリーク診断レベルを1つ上げるようにしてもよい。
さらに、上記実施の形態に係る発電プラント1に図示していないプラント構成機器を、リーク診断レベルに応じて制御するようにしてもよい。例えば、緊急時に、復水ポンプ15の下流側にボイラ給水を排水可能な弁構造を設ける一方、補給水タンク8内の純水を復水器7や蒸気タービン5にスプレー可能なスプレー構造を設けておき、リーク診断レベル2と診断された場合にこれらの構造を駆動することが考えられる。この場合には、監視者に対して、その旨を処理ガイダンスとして報知することが好ましい。
100 リーク診断システム
1 発電プラント
2 制御装置
21 酸導電率判定部
22 ナトリウムイオン(Na)濃度判定部
23 脱ガス酸導電率判定部
24 生導電率判定部
25 リーク診断テーブル
26 リーク診断部
3 出力装置
4 ボイラ
41 ボイラドラム
42 再熱器
5 蒸気タービン
51 高圧タービン
52 中圧タービン
53 低圧タービン
54 蒸気分配菅(クロスオーバー管)
6 発電機
7 復水器
71 貯水槽
8 補給水タンク
81 補給水系統
82 補給水ポンプ
9 循環水取水漕
91 循環水系統
92 循環水ポンプ
93 循環水放水漕
10 復水・給水系統
11a 復水管
11b 給水管
12 低圧ヒータ
13 脱気器
14 高圧ヒータ
15 復水ポンプ
16 ボイラ給水ポンプ
17 主蒸気管
18 再熱蒸気管
19 抽気管
19a 低圧抽気管
19b 脱気器抽気管
19c 高圧抽気管
A、A1〜A12 酸導電率計
A103 陽イオン交換膜
B、B1 ナトリウム計
C、C1〜C2 脱ガス式酸導電率計
C11 脱気ユニット
C111 脱気膜
C12 陽イオン交換膜
C13 導電率計
D、D1 生導電率計

Claims (10)

  1. 蒸気タービンから排出された蒸気を復水器内で冷却水によって復水してボイラに供給する発電プラントの冷却水リーク診断システムであって、
    ボイラ給水中の酸導電率を計測する第1の酸導電率計と、ボイラ給水中のガス成分を取り除いた後の酸導電率を計測する第2の酸導電率計と、前記第1、第2の酸導電率計の計測結果の組み合わせから前記冷却水のリーク発生状況を診断し、診断結果に応じた処置を報知する制御装置と、を具備し、
    前記第2の酸導電率計は、前記復水器へ補給水を供給する補給水系統に設置されており、前記制御装置は、前記補給水系統の前記第2の酸導電率計の計測結果に応じて前記冷却水のリーク発生状況を診断することを特徴とする冷却水リーク診断システム。
  2. 前記第1、第2の酸導電率計は、酸導電率の変動率を計測し、前記制御装置は、当該酸導電率の変動率に基づいて前記冷却水のリーク発生状況を診断することを特徴とする請求項1記載の冷却水リーク診断システム。
  3. 前記第1、第2の酸導電率計は、電気式の陽イオン交換膜を備えることを特徴とする請求項1記載の冷却水リーク診断システム。
  4. ボイラ給水中のナトリウムイオン濃度を計測するナトリウム計を更に具備し、前記制御装置は、前記第1、第2の酸導電率計及び前記ナトリウム計の計測結果の組み合わせから前記冷却水のリーク発生状況を診断することを特徴とする請求項1記載の冷却水リーク診断システム。
  5. 前記第1、第2の酸導電率計は、計測器本体に生じた不具合を診断する自己診断機能を備え、前記制御装置に計測器本体に生じた不具合を通知することを特徴とする請求項1記載の冷却水リーク診断システム。
  6. ボイラ給水の流量を計測する流量計を更に具備し、前記制御装置は、前記第1、第2の酸導電率計及び前記流量計の計測結果に基づいて前記冷却水のリーク量を診断することを特徴とする請求項1記載の冷却水リーク診断システム。
  7. 前記制御装置は、前記第1、第2の酸導電率計の計測結果の組み合わせに基づいて前記冷却水のリーク発生状況を階層的に診断することを特徴とする請求項1記載の冷却水リーク診断システム。
  8. 前記第2の酸導電率計は、前記補給水系統及び前記復水器から前記ボイラへの給水系統にそれぞれ設置されており、前記制御装置は、前記補給水系統及び前記給水系統の前記第2の酸導電率計の計測結果に応じて前記冷却水のリーク発生状況を診断することを特徴とする請求項1記載の冷却水リーク診断システム。
  9. 前記第1の酸導電率計は、前記復水器へ補給水を供給する補給水系統に設置され、前記第2の酸導電率計は、前記補給水系統及び前記復水器から前記ボイラへの給水系統にそれぞれ設置されており、前記制御装置は、前記補給水系統の前記第1の酸導電率計、並びに前記補給水系統及び前記給水系統の前記第2の酸導電率計の計測結果に応じて前記冷却水のリーク発生状況を診断することを特徴とする請求項1記載の冷却水リーク診断システム。
  10. 前記第1の酸導電率計は、前記復水器へ補給水を供給する補給水系統に設置され、前記第2の酸導電率計は、前記補給水系統及び前記復水器から前記ボイラへの給水系統にそれぞれ設置されており、前記制御装置は、前記発電プラントの起動の際に、前記補給水系統の前記第1の酸導電率計、並びに前記補給水系統及び前記給水系統の前記第2の酸導電率計の計測結果に応じて前記冷却水のリーク発生状況を診断することを特徴とする請求項1記載の冷却水リーク診断システム。
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