JP6257903B2 - 汚染土壌の浄化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シアンや揮発性有機化合物等の有害物質で汚染された汚染土壌に構築される地中混練体、地中浄化体及びこれを利用した汚染土壌の浄化方法に関するものである。
シアンや揮発性有機化合物等の有害物質による土壌汚染や地下水汚染は、砂層とシルト・粘土層の互層からなる地盤で汚染されている事例が多い。このような汚染は、第1帯水層から第2帯水層まで汚染されている例が多くある(図10参照)。特に第1帯水層と第2帯水層間のシルト・粘土層においては有害物質が吸着され高濃度汚染となっていることが多い。図10中、ハッチング部分が有害物質による汚染を示す。
従来、有害物質による汚染土壌や汚染地下水の浄化方法としては、汚染土壌に注入井戸を設けて薬剤を対象層に注入して浄化・分解・不溶化する周知の方法や、汚染土壌に微細気泡と微生物用栄養剤とを注入しながら、汚染土壌を混合攪拌する浄化方法(特開2012−40476号公報)が知られている。
特開2012−40476号公報
しかしながら、従来の周知の方法は、地下水より上の不飽和領域については適用が困難である。また、難透水層であるシルト・粘土層への均一な薬剤の浸透拡散が困難なことから汚染範囲への薬剤浸透が確実ではないという問題がある。また、特開2012−40476号公報の浄化方法は、シルト層を含まない飽和層に対する部分構築であり、シルト層に吸着した高濃度汚染の浄化を対象としたものではない。また、撹拌混合領域12以外の汚染土壌は依然として、透水性が低いものであり、栄養剤の浸透が十分ではないという問題がある。
従って、本発明の目的は、砂層とシルト・粘土層の互層からなる地盤の汚染土壌の浄化に好適な地中混練体及びこれを用いた地中浄化体を提供することにあり、また、更に汚染区域全体に薬剤の浸透が十分行え、シルト・粘土層に吸着した高濃度汚染物質を確実に浄化する汚染土壌の浄化方法を提供することにある。
かかる実情において、本発明者等は鋭意検討を行った結果、有害物質で汚染された砂層とシルト・粘土層の互層地盤に、砂、シルト及び粘土を含む現地盤土と水の混練物である透水性の高い地中混練体を形成すれば、砂層とシルト・粘土層の互層からなる地盤の汚染土壌の浄化に好適であること、更にこの地中混練体に薬剤注入用の井戸を形成した地中浄化体であれば、汚染区域全体に薬剤の浸透が十分行え、シルト・粘土層に吸着した高濃度汚染物質を確実に浄化できること等を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、有害物質で汚染された砂層とシルト・粘土層の互層地盤に形成されるものであり、砂、シルト及び粘土を含む現地盤土と水の混練物であって、該シルト・粘土層の透水性より高い透水性を有することを特徴とする地中混練体を提供するものである。
また、本発明は、前記地中混練体中に、薬剤注入用の井戸を形成したことを特徴とする地中浄化体を提供するものである。
また、本発明は、有害物質で汚染された砂層とシルト・粘土層の互層地盤を浄化する方法であって、撹拌装置を使用し、該汚染土壌に対して薬剤と水を注入しながら撹拌混練し、所定の深度まで貫入又は引き抜くことで、該シルト・粘土層の透水性より高い透水性を有する地中混練体を形成することを特徴とする汚染土壌の浄化方法を提供するものである。
また、本発明は、有害物質で汚染された砂層とシルト・粘土層の互層地盤を浄化する方法であって、撹拌装置を使用し、該汚染土壌に対して加水しながら撹拌混練し、所定の深度まで貫入又は引き抜くことで、該シルト・粘土層の透水性より高い透水性を有する地中混練体を形成するI工程と、該地中混練体に、薬剤注入用の井戸を形成するII工程と、該井戸に薬剤を注入して有害物質を含む地中混練体を浄化するIII工程を行うことを特徴とする汚染土壌の浄化方法を提供するものである。
本発明によれば、有害物質で汚染された砂層とシルト・粘土層の互層からなる汚染土壌の汚染区域全体に薬剤の浸透が十分行え、シルト・粘土層に吸着した高濃度汚染物質を確実に浄化できる。
本発明の実施の形態における汚染土壌の浄化方法を説明する図である。 (A)は施工前の互層地盤の状態を、(B)は撹拌混練中の地盤の状態を、(C)は撹拌混練後の地中混練体をそれぞれ示す模式図である。 実施例における浄化の対象地盤のボーリング簡略柱状図である。 図3の符号A部の粒径加積曲線を示す。 図3の符号B部の粒径加積曲線を示す。 図3の符号C部の粒径加積曲線を示す。 図3の符号D部の粒径加積曲線を示す。 地中浄化体及び汚染土壌の浄化方法を説明する図である。 本発明の浄化方法における浄化工程を説明する図である。 汚染された互層地盤の模式図である。
(地中混練体の説明)
次に、本発明の実施の形態における地中混練体を図1及び図2を参照して説明する。本発明の地中混練体10は、有害物質で汚染された砂層33、35とシルト・粘土層34の互層汚染地盤3に形成されるものであり、砂、シルト及び粘土を含む現地盤土と水の混練物であって、該シルト・粘土層の透水性より高い透水性を有する。
互層地盤としては、砂層33とシルト・粘土層34の2層構造を含む地盤、特に、砂層33とシルト・粘土層34と砂層35の3層構造を含む地盤であり、通常、表層側の砂層33の上には、礫混じり砂を主体とする盛土層が存在していてもよい。シルト・粘土層34は、シルト層又は粘土層あるいはシルトと粘土が混在する層を言う。砂層33の透水係数は、概ね10−4〜10−2cm/秒、シルト・粘土層34の透水係数は、概ね10−7〜10−4cm/秒であり、砂層33、35は透水層とも言い、シルト・粘土層34は難透水層とも言う。砂層33は、通常帯水層である。従って、本明細書では、砂層33とシルト・粘土層34と砂層35の3層構造の地盤の場合、表層側の砂層33を第1帯水層、反表層側の砂層35を第2帯水層とも言う。
地中混練体が形成される地盤は、有害物質で汚染された互層地盤である。汚染領域としては、有害物質が少なくともシルト・粘土層に存在するものであればよく、有害物質が少なくとも砂層33とシルト・粘土層34と砂層35の3層まで、すなわち、第1帯水層から第2帯水層まで及んでいるものが、本発明の効果が顕著に表われる。有害物質としては、べンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ケトン類などを炭化水素化合物;トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロエチレンなど有機塩素化合物;各種シアン化物および鉄、ニッケル、銅等各種金属のシアン錯体等のシアン化合物;ガソリン、軽油、灯油、重油、機械油、潤滑油など油脂類が挙げられる。これら例示された有害物質は、1種単独又は2種以上を含むものである。
本発明の地中混練体は、砂、シルト及び粘土を含む現地盤土と水の混練物である。すなわち、地中混練体は、原地盤土と水の混練物であり、盛土層に含まれる礫等を含んでいてもよい。なお、地中混練体は当然に有害物質を含んでいる。また、地中混練体には、薬剤が含まれていてもよい。地中混練体に薬剤を含ませることで、その後、井戸から注入される薬剤の浄化効率を高めることができる。また、有害物質の種類や濃度によっては、その後の薬剤注入用の井戸の設置を省略することができる。薬剤としては、汚染土壌中に生息している微生物によるシアン化合物の分解を促進させるための栄養剤等が挙げられる。水は地下水及び加水された水である。加水された水には、薬剤水溶液中に含まれる水も含まれる。地中混練体は、全体が概ね均一化されるように混練されたものであるが、透水性が極めて大であるため、粗粒土が下方に、細粒土が上方に溜まり易い。
本発明の地中混練体は、シルト・粘土層の透水性より高い透水性を有し、好ましくはシルト・粘土層の透水係数の10倍以上、更に好ましくは100倍以上、特に好ましくは1000倍以上高い透水係数を示すものである。具体的には、地中混練体の透水係数は、10−6cm/秒以上、好ましくは10−6〜10−3cm/秒程度である。地中混練体の透水係数は、公知の原位置透水試験あるいは室内透水試験により求められる。地中混練体が上記の透水係数を示すことにより、互層地盤が、超軟弱地盤となり、薬剤の注入及び浸透が容易となり、浄化効率が向上する。
本発明の地中混練体は、ラップ施工または接円施工により広域に亘り構築することができる。すなわち、地中混練体は、汚染域全体に構築することが好ましい。これにより、汚染域内に地中混練体の未施工部分がなくなり、汚染域全体に対して薬剤が確実に浸透する。また、ラップ施工による重複施工部は、より透水性が向上する。本発明の地中混練体の形状は、例えば柱状杭、矩形状の壁体及びこれらの連続施工体、ラップ施工体または接円施工である。
(地中浄化体)
本発明の地中浄化体は、地中混練体中に、薬剤注入用の井戸を形成したものである。薬剤注入用の井戸は、公知のものでよく、地中混練体中、適宜の個数で形成される。複数個の薬剤注入用の井戸を形成する場合、汚染域全体に薬剤が均等に行き亘るよう、概ね等間隔で設置することが好ましい。また、地下水の流れが早い地盤においては、上流側にシフトさせて設置してもよい。また、本発明の地中浄化体は、地中混練体中に、観測用井戸を形成してもよい。観測用井戸は、公知の井戸が適用でき、地下水を揚水して、該地下水中の栄養剤濃度や汚染物質濃度、水質、微生物等の地下水の状態をモニタリングするものである。
本発明の地中浄化体は、汚染区域全域に形成することが好ましい。これにより、汚染域内に地中浄化体の未施工部分がなくなり、汚染域全体に薬剤を浸透させることができる。本発明の地中浄化体の透水係数は、本発明の地中混練体と同様の透水係数のものである。
(汚染土壌の浄化方法)
次に、本発明の第1の実施の形態における汚染土壌の浄化方法(第1方法)について説明する。すなわち、本例の汚染土壌の浄化方法は、有害物質で汚染された砂層33とシルト・粘土34層の互層地盤3を浄化する方法である。互層地盤3であるか否かは、公知のボーリング調査及び土質調査により判断できる。図1は、汚染地盤の一例を示す。地表側から深度方向に対して、礫混じり砂である盛土層31、第1帯水層である砂層33、シルト・粘土層34、第2帯水層である砂層35からなり、符号31は不飽和層、32は飽和層である(図2(A)参照)。有害物質で汚染された汚染層Xは、これらの層の全体に亘っている。特に第1帯水層33と第2帯水層35間のシルト・粘土層34においては有害物質が吸着され高濃度汚染となっている。有害物質は、本発明の地中混練体におけるものと同様のものが挙げられる。
本例の汚染土壌の浄化方法において、I工程は、撹拌装置1を使用し、汚染土壌Xに対して加水しながら撹拌混練し、所定の深度まで貫入又は引き抜くことで、該シルト・粘土層の透水性より高い透水性を有する地中混練体を形成する工程である。撹拌装置1としては、深層混合処理工法や地中柱状杭造成工法で使用される公知の撹拌翼11を備える撹拌装置1あるいは公知のトレンチャーを使用することができる。撹拌翼11を備える撹拌装置1における撹拌翼11としては、両翼(2枚)の2段羽根又は3段羽根の水平撹拌翼が好適である。このような撹拌装置1を使用することで、汚染土壌X(互層地盤)を所定の深度及び所定の径で撹拌混合することができる。なお、符号2は、水供給装置又は薬剤水溶液供給装置である。以下、撹拌翼11を備える撹拌装置1を使用する場合の浄化方法について説明する。
I工程において、撹拌装置1の回転軸12の軸芯を汚染土壌Xの撹拌混練地点の中心に一致させる。次いで、撹拌装置1を駆動し撹拌翼11を回転させながら回転軸12を地中に貫入させる。この際、加水しながら撹拌混練する。加水しながら撹拌混練することで、透水性の高い超軟弱地盤を形成することができる。なお、加水量は、土壌に含まれる含水率、撹拌領域及び得られる混練物の透水係数等を考慮して決定されるが、撹拌混練地盤に対して、概ね5〜20体積%である。
撹拌混練は、貫入時又は引き抜き時あるいは貫入時と引き抜き時の両時であり、好ましくは貫入時と引き抜き時の両時である。貫入速度及び引き抜き速度は、均一性の高い混練物を得るための好適な速度として決定すればよい。このような操作により、礫、細粒土及び粗粒土が十分に撹拌され、均一性及び透水性の高い混練物が得られる。図2(B)に示すように、撹拌混練区域は、砂層、シルト・粘土層の区別がなくなり、透水性の高い超軟弱の土壌となるため、均一撹拌をしつつも、粗粒土が下方に、細粒土が上方に溜まる傾向となる。I工程においては、撹拌混練しつつ、薬剤を同時に投入してもよい。有害物質が薬剤による前処理が必要となる場合、I工程において、前処理用薬剤を注入して前処理を行えば、その後のIII工程における浄化処理が効率的に行える。なお、I工程において薬剤を投入する際、薬剤が水を含む場合、単独の水の注入を省略できる。
I工程においては、撹拌混練により、シルト・粘土層34の透水性より高い透水性を有する地中混練体10aを得る(図2(C))。すなわち、撹拌混練により、シルト・粘土層の透水係数の10倍以上、更に好ましくは100倍以上、特に好ましくは1000倍以上高い透水係数を示す地中混練体10aを得る。具体的には、地中混練体の透水係数は、10−6cm/秒以上、好ましくは10−6〜10−3cm/秒程度である。なお、透水係数は、互層地盤において砂と粘土の体積割合で決まる。また、加水量は、原地盤の含水量に応じて調整される。
柱状の地中混練体10aは、汚染地盤X中に多数形成され、好ましくは、汚染区域全域に形成される。これにより、汚染領域全域を透水性の高い超軟弱地盤とすることができ、汚染の浄化を確実に行える。柱状の地中混練体10aを汚染地盤X中に多数形成する場合、ラップ施工で形成することが好ましい。これにより、汚染地盤全域を効率的に超軟弱地盤とすることができる。また、ラップ施工または接円施工による重複施工部は、より透水性が向上する。
II工程は、地中混練体に、薬剤注入用の井戸を形成する工程である。すなわち、図9に示すように、汚染区域に構築された地中混練体10bに、薬剤注入用の井戸13を形成する。薬剤注入用の井戸は、先端がスクリーン管である管状体を建て込んだ公知の井戸が使用でき、例えば、特開2009−6304号公報に記載のものが挙げられる。薬剤注入用の井戸は、地中混練体中、適宜の個数で形成される。複数個の薬剤注入用の井戸を形成する場合、汚染域全体に薬剤が均等に行き亘るよう、等間隔で設置することが好ましい。
III工程は、井戸13に薬剤を注入して汚染土壌を浄化する工程である。薬剤は、地中浄化体における薬剤と同様であり、汚染土壌中に生息している微生物によるシアン化合物の分解を促進させるための栄養剤等が挙げられる。井戸13に薬剤を注入して汚染土壌を浄化する方法としては、自然流下法及び圧力注入であるダブルパッカー法等の公知の方法が適用できる。井戸13に注入された薬剤は、図9に示すように、ラップ施工された地中混練体10bの透水性が高いため、汚染地盤X全域に浸透する。そして、汚染地盤X全域に薬剤が浸透することにより、汚染土壌中に生息している微生物が活性化し、微生物によるシアン化合物の分解が促進される。
次に、本発明の第2の実施の形態における汚染土壌の浄化方法(第2方法)について説明する。すなわち、本例の汚染土壌の浄化方法は、有害物質で汚染された砂層とシルト・粘土層の互層地盤を浄化する方法であって、撹拌翼を備える撹拌装置を使用し、該汚染土壌に対して薬剤と水を注入しながら撹拌混練し、所定の深度まで貫入又は引き抜くことで、該シルト・粘土層の透水性より高い透水性を有する地中混練体を形成する方法である。第2方法において、第1方法と異なる点は、薬剤の注入をI工程で行ない、薬剤注入用の井戸を設置せず、汚染地盤を浄化するものである。
第2方法においては、第1方法と異なる点についてのみ説明する。すなわち、薬剤は撹拌混練中に撹拌区域に注入される。薬剤の注入は、撹拌混練中であれば、水の注入と同じであっても、異なっていてもよい。薬剤と水は、薬剤と単独の水であっても、あるいは水を含む薬剤であってもよい。従って、水を含む薬剤の場合、単独の水の注入を省略できる場合がある。汚染土壌に対して薬剤を注入しながら撹拌混練することで、地中混練体には、薬剤が均一に含まれることになる。また、地中混練体をラップ施工したラップ施工体にも、同様に、薬剤が均一に含まれることになる。この第2方法により得られた地中混練体の透水係数は、第1方法により得られる地中混練体の透水係数と同様である。第2方法により得られた地中混練体は、互層地盤中の特にシルト・粘土層に吸着した有害物質を含んでおり、薬剤の注入効果により、有害物質を浄化できる。
本発明の汚染土壌の浄化方法においては、更に、地中混練体中に、観測用井戸を形成する工程を実施してもよい。観測用井戸は、前記の観測用井戸と同様である。
(実施例)
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(地中混練体の形成)
ボーリング調査及び土質調査により、互層地盤(試験地盤)を選定した。その互層地盤のボーリング簡略柱状図を図3に示す。図3の地盤は、表面より深さ方向に対して、盛土(礫混じり砂)層、盛土(礫混じり砂炭ガラ混じり砂)層、盛土(シルト質砂)層、埋土(細砂)層、埋土(粘土)層、埋土(砂)層を有するものであった。この中、盛土(シルト質砂)層(符号;A)の粒径加積曲線を図4に示し、埋土(細砂)層(符号;B)の粒径加積曲線を図5に示し、埋土(粘土)層上部(符号;C)の粒径加積曲線を図6に示し、埋土(粘土砂)層下部(符号;D)の粒径加積曲線を図7に示した。また、この地盤の地下水位は−1.2mの位置であり、埋土(粘土)層の透水係数(室内混練試験)は、2.25×10−7cm/秒であった。また、互層地盤中の初期TOC(全有機炭素)溶出濃度は、8.2mg/Lであった。なお、この互層地盤は試験用であり、薬剤の浸透拡散状態をみるものである。
次いで、両翼3段の撹拌翼を備える撹拌装置を使用し、上記互層地盤に対して、20体積%の加水をしながら貫入時と引き抜き時に撹拌混練することで、高い透水性を有する直径1.3mの地中混練体を形成した。なお、撹拌装置は、表層より撹拌しつつ貫入し、高い透水性を得るための実質的な撹拌混練区域は、深度2mから7mまでの5mとした。なお、撹拌混練時間は20分であった。なお、回転軸の回転速度は、貫入時19rpm、引き抜き時は38rpm、貫入速度は0.4m/分〜0.7m/分、引き抜き速度は0.6〜1.1m/分であった。
次いで、地中混練体の深さ方向のA、B、C及びD地点における土壌を採取し、粒度分析を行った。地中混練体における盛土(シルト質砂)層(符号;A)該当部分の粒径加積曲線を図4に示し、地中混練体における埋土(細砂)層(符号;B)該当部分の粒径加積曲線を図5に示し、地中混練体における埋土(粘土)層上部(符号;C)該当部分の粒径加積曲線を図6に示し、地中混練体における埋土(砂)層下部(符号;D)該当部分の粒径加積曲線を図7に示した。なお、符号A〜Dで示される各層の撹拌混練前後の粒度分析は、同じ互層地盤区域中の他の異なる3箇所でも行ったが、それぞれ同様の粒径加積曲線を示した。
図5のB点の結果から、細砂層は、均質な細砂であったものが、撹拌混練により、不均質で粗粒を含むものとなったことが判る。また、図6及び図7のC点及びD点の結果から、粘土層は、均質な高塑性粘土のものが、撹拌混練により、粗粒を含むものとなったことが判る。また、撹拌混練物の上方部は下方部より不均質で粗粒を多く含むものであったが、概ね均質なものであった。
(ラップ施工された地中混練体)
図8に示すように、7本の直径1.3m、深度2〜7mまでの5mの高さの地中混練体を、直径約3.5mの仮想汚染地盤域Yにラップ施工した。ラップ施工された地中混練体は、中央の1本の柱状地中混練体に対して、円周方向に並ぶ6本の柱状地中混練体をラップ施工したものである。
(地中浄化体及び薬剤の浸透拡散試験)
図8に示すラップ施工された地中混練体の中心に、注入井戸81を形成した。また、グルコース及び各種アミノ酸を含有する市販の薬剤を注入井戸81に対してダブルパッカー法により注入した。なお、薬剤注入直後に、注入井戸81から放射状に延びる3方向(A方向、B方向、C方向)の所定位置にそれぞれボーリングを実施し、土壌を採取して土壌中のTOC濃度(mg/kg)を測定した。測定結果を表1〜表3に示した。なお、ボーリング位置は、A方向において、注入井戸81から0.5m、1.0m及び1.5mの位置(それぞれA1、A2、A3)、B方向において、注入井戸81から0.5m、1.0m及び1.5mの位置(それぞれB1、B2、B3)、C方向において、注入井戸81から0.5m、1.0m及び1.5mの位置(それぞれC1、C2、C3)である。また、表中、深度上部は、深度2.27m〜3.68mを、深度下部は、深度4.42m〜5.23mを言い、それぞれ深さ方向に異なる3地点の平均値で示した。なお、薬剤注入直後にボーリングを実施し土壌採取した理由は、薬剤由来のTOCは混練地盤中に浸透拡散するものの、時間経過と共に、微生物分解により数値が低下していくため、微生物分解の影響を極力回避するためである。また、測定されたTOC濃度の比較対象となる基準のTOC濃度は、薬剤を投入していない加水条件が同じ地中混練体でのTOC濃度とした。この基準となるTOC濃度は、別途、互層地盤の地中混練体を実験室的に再現し、同じ加水条件で得られた地盤のTOC濃度(31.01mg/kg)である。深度上部、深度下部ともに地中混練体は、理想的に均一とみなし、バックグラウンド値としてのTOC濃度31.01mg/kgに対して、薬剤由来のTOC濃度の増加傾向を見ることになる。なお、表1〜表3中、基準TOC濃度は、「基準値」として示した。
Figure 0006257903
Figure 0006257903
Figure 0006257903
表1〜表3の結果から、A方向、B方向、C方向の一部を除いたほとんどの地点及び深度においても、バラツキはあるものの、基準TOC濃度より遥かに高いものであり、薬剤由来のTOCが存在することが確認された。なお、表1〜表3に示す薬剤由来のTOC濃度であれば、炭化水素化合物等の有害物質を浄化できることは実験室等により確認されている。また、各点における有害物質を完全に浄化できる目標濃度に対して小さい場合は、薬剤使用量等の増加を、大きい場合は、薬剤使用量等の減少により対応すればよい。
本発明によれば、有害物質で汚染された砂層とシルト・粘土層の互層からなる汚染土壌の汚染区域全体に薬剤の浸透が十分行え、シルト・粘土層に吸着した高濃度汚染物質を確実に浄化できる。このため、VOCsやシアン等の有害物質による汚染された地盤の跡地利用が進む。
1 撹拌装置
2 水供給装置
3 互層地盤
10 地中混練体
33、35 砂層
34 シルト・粘土層
81 注入井戸
82 ボーリング位置

Claims (3)

  1. 有害物質で汚染された砂層とシルト・粘土層であり、礫、細粒土及び粗粒土を含有する互層地盤を浄化する方法であって、該砂層とシルト・粘土層は、帯水層であり、撹拌翼を備える撹拌装置を使用し、該汚染土壌に対して加水しながら撹拌混練し、所定の深度まで貫入又は引き抜くことで、該シルト・粘土層の透水性より高い透水性を有し、且つ礫、細粒土及び粗粒土が攪拌されて均一となり、1×10 -6 cm/秒以上の透水係数を示す地中混練体を形成するものであって、該水の加水量は、該撹拌混練地盤に対して5〜20体積%であるI工程と、
    該地中混練体に、薬剤注入用の井戸を形成するII工程と、
    該井戸に薬剤を注入して有害物質を含む地中混練体を浄化するIII工程を行うことを特徴とする汚染土壌の浄化方法。
  2. 該I工程の撹拌混練において、薬剤を注入することを特徴とする請求項記載の汚染土壌の浄化方法。
  3. 該地中混練体は、該シルト・粘土層の透水係数より1000倍以上高い透水係数を示す混練部を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の汚染土壌の浄化方法。
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