JP3641749B2 - 土壌・地下水の浄化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、土壌・地下水の浄化方法に関し、特に、好気性バクテリア(好気性微生物群)の活動(分解能力)を利用することによって、汚染物質を分解して無害化する土壌・地下水の浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、土壌や地下水を汚染する物質として、揮発性有機塩素化合物(例えば、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ダイオキシン等),石油系の炭化水素、硝酸性窒素、カドミウム、シアン、鉛、ホウ素化合物、等が問題となっている。なかでもトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどの有機塩素化合物は、半導体工場やクリーニング業などで洗浄剤として多用され、多量に廃棄された。有機塩素化合物は、カドミウムのような重金属とは異なり、地下深く浸透し滞留して土壌ガス中に拡散すると共に地下水に溶けだし、水流にのって汚染を拡大するので、深刻な問題となっている。しかも、有機塩素化合物の発ガン性、催奇性が報告され、汚染された土壌や地下水の浄化は、早急に解決すべき課題となっている。
【0003】
このような汚染した土壌や地下水の浄化方法として、従来、重金属に対する代表的な方法として、汚染土壌を掘削除去し、汚染されていない土壌を入れ替える置換工法で、掘削した汚染土壌は、遮断型処理場に隔離する方法、汚染土壌の周囲を鋼矢板やコンクリート壁などで囲い、地表面は汚染されていない土で覆って周辺土壌から遮断してしまう遮断工法などがある。
揮発性有機塩素化合物の場合には、汚染土壌を掘削し加熱処理や活性炭で有機物質を取り除いた後元通り埋め戻す土壌掘削法、大型真空ポンプを設置し、吸引井戸から有害なガスだけ吸い上げ活性炭で処理する土壌ガス吸引法などがある。また、汚染された地下水に対しては、揚水ポンプを使用して井戸より水を汲み上げ曝気して、ガスは活性炭で処理し浄化する地下水揚水法がある。
【0004】
これらの浄化方法は、分離・隔離、拡散といった方法であって、汚染物質を分解し無害化するものではないので、浄化方法としては、不完全である。土壌・地下水の浄化方法としては、汚染物質を分解し無害化して汚染土壌や汚染地下水を完全に汚染以前の元通りに浄化することが好ましい。
このような技術として、特許文献1および2がある。特許文献1は、浄化物質を容器に充填し、該容器を地中に送り込み地下水や土壌中に暴露させ、該浄化物質と汚染物質を接触させ浄化する方法であり、特許文献2は、複数のウエルポイントとサンドパイルを設け、一つのラインに属するウエルポイント群と、前記一つのラインに隣接する他のラインに属するウエルポイント群を利用して、注水と揚水を交互に実施する循環浄化方法であり、ウエルポイントを利用して、汚染土壌に対して、土壌中の微生物の栄養剤や還元剤を溶解した溶解水を注入するものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−179339号公報
【特許文献2】
特開2002−143828号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1は、浄化物質を容器に充填して地中に送り込み、地中で暴露させたり、井戸孔を搬送路として浄化物質を地中に送り込むため、地中の広範囲に浸透させるのに難点があり、土壌を充分に浄化して無害化するためには長期間を要する課題がある。
また、特許文献2は、短期間で効率よく浄化することができ、好ましい方法である。しかしながら、この浄化方法は、多数のウエルポイント群、多数のサンドパイルおよび多数のバキュームディープウエルを設置するため、土壌や地下水の浄化が完了した後、これらの設置、部品の撤去・回収が極めて大変となる課題がある。
【0007】
この発明は、このような点に鑑み提案されたものであり、その目的は、汚染物質浄化剤を汚染土壌や汚染地下水の広範囲に短時間で浸透させ、効率よく浄化させたり、浄化水を供給すると共に井戸孔より汚染した地下水を汲み上げて浄化することを併用して、汚染土壌や汚染地下水を短期間で完全に浄化し、かつ使用した装置や部品の撤去・回収も不要で、作業が容易な土壌・地下水の浄化方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、この発明の土壌・地下水の浄化方法は、樹脂線状体を絡み合せて中空円柱状に積層した立体空隙構造体を複数地盤中に埋設し、該立体空隙構造体を通して好気性バクテリアを主成分とする汚染物質浄化剤を土壌中及び/又は地下水中に供給することを特徴とする。
これにより土壌中および地下水中に汚染物質浄化剤を供給し、汚染土壌および汚染地下水の汚染物質を分解し無害化することができる。この汚染物質浄化剤は、立体空隙構造体を通して供給するが、この立体空隙構造体は、樹脂線状体を絡み合せて中空円柱状に積層したものであり、中空部と無数の互に連通する空隙が存在し、立体空隙構造体はそのほぼ全外周面において地盤(土壌)と連通するため、供給された汚染物質浄化剤は立体空隙構造体のほぼ全外周面から地盤中(土壌中)に浸透させることができ、短期間で広範囲に汚染土壌や汚染地下水中に浸透させ浄化することができる。
【0009】
また、この発明の土壌・地下水の浄化方法は、樹脂線状体を絡み合せて中空円柱状に積層した立体空隙構造体を複数地盤中に埋設し、該立体空隙構造体を通して好気性バクテリアを主成分とする汚染物質浄化剤を土壌中及び/又は地下水中に供給すると共に、地盤の地表面にも前記汚染物質浄化剤を散布することを特徴とする。
地盤の地表面にも汚染物質浄化剤を散布するので、さらに広範囲の土壌に汚染物質浄化剤が供給されることになり、浄化効率が一層向上する。
【0010】
また、この発明の土壌・地下水の浄化方法は、前記立体空隙構造体を通して供給する汚染物質浄化剤及び/又は地盤の地表面に散布する汚染物質浄化剤は、水に溶解した溶解水として供給及び/又は散布することを特徴とする。
これにより汚染物質浄化剤は、汚染土壌中や汚染地下水中に容易に浸透し易くなるので、短期間で土壌中や地下水の広範囲に浸透し、汚染物質を分解し無害化する。
【0011】
また、この発明の土壌・地下水の浄化方法は、前記溶解水の供給時には、空気も供給することを特徴とする。
これにより立体空隙構造体のほぼ全外周面から地盤中(土壌中)や地下水中に空気が供給されることになり、汚染物質浄化剤の増殖を促進するから浄化効率が向上する。
【0012】
また、この発明の土壌・地下水の浄化方法は、樹脂線状体を絡み合せて中空円柱状に積層した立体空隙構造体を複数地盤中に埋設し、該立体空隙構造体を通して、好気性バクテリアを主成分とする汚染物質浄化剤と浄化水又はこれらと空気とを、土壌中及び/又は地下水中に注入すると共に、1または複数の井戸孔を削孔し該井戸孔に揚水管を配設し、該揚水管にポンプを連結して揚水し浄化装置に導入し浄化することを特徴とする。
これにより土壌中及び地下水中に供給された汚染物質浄化剤で汚染物質が分解、無害化されると共に、汚染地下水は汲み上げられて浄化されるので、土壌・地下水の浄化を短期間で済ませることができる。
【0013】
また、この発明の土壌・地下水の浄化方法は、前記浄化装置で浄化された水は、浄化水として再び立体空隙構造体を通して土壌中及び/又は地下水中に注入することを特徴とする。
これにより土壌中及び地下水中に供給された汚染物質浄化剤で汚染物質が分解、無害化されると共に、揚水と注入した浄化水とが循環するため汚染物質が洗浄除去されるので、浄化効率が向上するし、浄化精度も高くなる。また、揚水と浄化水との循環時に、汚染物質浄化剤も同時に浸透するため、土壌および地下水への浸透も広範囲にわたるし、確実となる。
【0014】
また、この発明の土壌・地下水の浄化方法は、浄化しようとする地盤が、遮水壁にて区画されていることを特徴とする。
これにより遮水壁で区画された範囲内において完全に浄化が可能となる。
【0015】
さらに、この発明の土壌・地下水の浄化方法は、前記汚染物質浄化剤は、好気性バクテリアの栄養素を含有することを特徴とする。
これにより好気性バクテリアの増殖を促進することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。図1はこの発明の第1の実施の形態を示す断面説明図である。
この図1に示す実施の形態は、立体空隙構造体1の複数を、浄化しようとする地盤G中に埋設し、この立体空隙構造体1を通して汚染物質浄化剤を土壌中や地下水中に供給し、この供給した汚染物質浄化剤で汚染物質を分解し無害化する浄化方法にある。
【0017】
図2は立体空隙構造体の斜視図、図3は立体空隙構造体の拡大部分斜視図である。前記立体空隙構造体1は、同図に示すように樹脂線状体2を絡み合せて中空円柱状に積層して形成され、無数の互に連通する空隙が存在し、中空部3は空隙を介しほぼ全外周面から外部と連通する。
汚染物質浄化剤は、地盤G中に埋設された立体空隙構造体1の中空部3より供給されるが、立体空隙構造体1が地盤G中に埋設されると無数の互に連通する空隙の存在により、中空部3はそのほぼ全外周面において土壌(地盤G)と連通するため、中空部3を通して供給された汚染物質浄化剤は、立体空隙構造体のほぼ全外周面から土壌中(地盤G中)に供給される。
【0018】
立体空隙構造体1の長さは、汚染された地盤G中の状態によって決定する。例えば、汚染が深く進行している部分は、長い立体空隙構造体1を使用し、その汚染されている地盤の深度まで埋設する必要があり、浅い部分までしか汚染されていない場合は、その部分までの短い立体空隙構造体1でよい。図1では長いものと、短いものを埋設して示している。また、同じ地盤でも汚染度の震度に違いがあるので、それに対応して長短を併用してもよい。
また、立体空隙構造体1は、地下水脈に到達させても到達させなくてもよい。好ましくは到達させる方が効果は向上するが、到達しなくても溶解水は地盤中より重力により浸透し地下水に溶け込むからである。
【0019】
図4は立体空隙構造体の変形例を示す斜視図である。この立体空隙構造体1は、樹脂線状体2を絡み合せて中空円柱状に積層するが両端側の外径を小径部1aに形成したものである。これによれば図5に示すように接続金具4を用い、ピン5で固定することによって立体空隙構造体1,1を接続することが容易にできるから、一本で長尺ものを用意しなくても、長さが自由に調整できるので便利である。この接続方法は一例であって、この発明を制限するものではない。
【0020】
また、立体空隙構造体1の埋設する数および間隔も、汚染された地盤Gの状態によって決定する。例えば、高濃度に汚染されている地盤Gにおいては、小さい間隔で本数を多く埋設し、低濃度の汚染地盤Gでは広い間隔で本数も少なくてよい。
従って、立体空隙構造体1を埋設するときには、地盤Gを先行調査し、埋設する深度、間隔、本数等を決定するのが好ましい。
なお、埋設した立体空隙構造体1の地盤Gへの定着が懸念される場合には、図6および図7に示すように先端に重り6を固着した立体空隙構造体1を使用するとよい。複数の立体空隙構造体1を接続して埋設する場合には、最も先端となる立体空隙構造体1に本例のものを使用する。
【0021】
前記汚染物質浄化剤は、好気性バクテリア(好気性微生物群)を主成分とするものであり、汚染物質を分解し無害化するものである。これは粉体などの固形状でも、液状でもよい。一例として好気性バクテリアを培養し、粉体としたもので、イーエーイーテック株式会社製のスーパーK菌(商品名)を例示することができる。
この汚染物質浄化剤の供給状態は問うものではないが、水に溶解し溶解水として供給するのが、土壌中への浸透が容易なので好ましい。特に、溶解水の供給時には空気も一緒に供給すると、汚染物質浄化剤の増殖を促進するので一層好ましい。
【0022】
図8は図1に示す実施の形態の変形例を示す断面説明図である。本例は、浄化しようとする汚染された地盤Gの上に構造物7が存在し、立体空隙構造体1は構造物7の周囲より地盤G中に斜めに埋設した場合であり、他は前記実施の形態と同様である。
本例によれば構造物7がある地盤Gであっても、構造物7をそのままにして撤去することなく土壌・地下水の浄化ができる。
【0023】
図9は立体空隙構造体を埋設する方法を工程順(a)(b)(c)(d)に示した断面説明図である。
まず、図9(a)に示すように地盤Gにケーシング管8を挿入する。このケースーシング管8の挿入は、ケーシング管8の中に先端にオーガを具備するオーガロッド(図示せず)を挿入し、施工機(図示せず)でオーガを回転させて削孔しつつ、ケーシング管8を該削孔に押し込み、所定深度に達したらオーガロッドによりオーガを引き抜く工法や、ケーシング管8を外管とする二重管工法、等の従来公知の工法を採用し得る。
次に、図9(b)に示すように前記ケーシング管8の中に立体空隙構造体1を挿入する。立体空隙構造体1をケーシング管8の中へ挿入が完了したら、次に図9(c)に示すように立体空隙構造体1を削孔(地盤)中に残置してケーシング管8を地上に引き抜く。それにより図9(d)に示すように立体空隙構造体を地盤Gに埋設することができる。なお、この立体空隙構造体の埋設方法、この発明を構成するものではない。
【0024】
しかして、この実施の形態によれば、地盤G中に埋設した立体空隙構造体1の中空部3を通して汚染物質浄化剤を供給すると、立体空隙構造体1は無数の互に連通する空隙が存在し、中空部3はそのほぼ全外周面において地盤Gと連通するため、供給された汚染物質浄化剤は、立体空隙構造体1のほぼ全外周面から地盤中(土壌中)や地下水中に浸透させることができる。これにより汚染土壌および汚染地下水の汚染物質を広範囲にわたり分解し無害化することができる。
【0025】
また、埋設した立体空隙構造体1は、土壌・地下水の浄化が完了した後、地盤の地震時における液状化防止の対策として残置したり、固化材(例えば、セメントミルク)を注入することにより杭構造体として使用できるので、撤去する必要がない。
即ち、前記したように立体空隙構造体1は、樹脂線状体2を絡み合せて中空円柱状に積層したもので、中空部3と無数の互に連通する空隙が存在するので、地震時に地盤の間隙水圧が上昇しても地下水や泥水は立体空隙構造体1を介在して地上に噴出し、間隙水圧を消散させることができ、地盤の液状化を防止できる。また、立体空隙構造体1の中空部3を介して固化材を流し込むと、固化材は無数の空隙や中空部3に充填され固化するので、杭構造体となる。これにより地盤が強化され地盤改良として機能する。
【0026】
また、前記実施の形態の施行時には、同時に地盤の地表面にも汚染物質浄化剤を散布すると、地表面からも地盤中に浸透するので、さらに広範囲の土壌に汚染物質浄化剤が供給されることになり、浄化効率が一層向上するので好ましい。
【0027】
図10はこの発明の第2の実施の形態を示す断面説明図であり、前記第1の実施の形態と同一構成要素には同一符号を付して説明し、詳細な説明は省略する。この図10に示す実施の形態は、立体空隙構造体1の複数を、浄化しようとする地盤G中に埋設し、この立体空隙構造体1を通して好気性バクテリアを主成分とする汚染物質浄化剤と浄化水と空気を、土壌中及び地下水中に注入すると共に、1または複数の井戸孔9を削孔し、該井戸孔9に揚水管11を配設し、該揚水管11にポンプ12を連結し浄化装置13に汲み上げて浄化し、この浄化した水を再び浄化水として立体空隙構造体1を通して土壌中および地下水中に注入する浄化方法に特徴がある。
ここで地下水中に注入するとは、直接地下水中に注入する場合だけでなく、土壌中(地盤中)に注入したのが溶け込む場合も含む。
【0028】
井戸孔9は、ディープウエル10が嵌挿されて構成され、孔壁の崩壊が防止されると共に、地下水の流入、貯水が図られている。この井戸孔9には、揚水管11が配設され、この揚水管11にはポンプ12が連結されている。本例でのポンプ11は、孔底に位置しているがこれに限定されるものではなく、このポンプ11の位置は適宜である。このポンプ11として、サンドポンプを使用することが砂が流入しても地下水とともに汲み上げることができるので好ましい。ただし、ディープウエル10にフィルター(図示せず)を被覆して砂等が流入しないようにすることもできる。
【0029】
前記揚水管11は配管を介して浄化装置13に連結されており、ポンプ12により揚水管11を介し汲み上げられた地下水は、浄化装置13に導入される。この浄化装置13は、曝気して汚染ガスを分離したり、活性炭を用いて汚染物質を除去する、等の従来公知の手段を採用し得る。この浄化装置13で浄化された水は、いったん浄化槽14に貯水され、ここで汚染物質浄化剤が添加、溶解され溶解水となる。この浄化槽14は、配管を介し地盤Gに埋設した立体空隙構造体1に連結されており、浄化槽14の溶解水は、ポンプにより立体空隙構造体1に供給される。また、前記立体空隙構造体1には配管を介しコンプレッサー15が連結されており、埋設した立体空隙構造体1に空気が供給される。
【0030】
しかして、この第2の実施の形態によれば、地盤G中に埋設した複数の立体空隙構造体1には、浄化槽14の溶解水が、ポンプにより供給され、コンプレッサー15により空気が供給される。この立体空隙構造体1は、前記した通り中空部3と無数の互いに連通する空隙が存在するので、供給された溶解水と空気は、立体空隙構造体1のほぼ全外周面から放射状に地盤Gに浸透する。立体空隙構造体1が地下水脈に接している場合には、地下水中に直接浸透する。
地盤Gに浸透した溶解水は、溶解している汚染物質浄化剤が土壌中の汚染物質を分解して無害化する。また、地盤Gに浸透した溶解水は、重力により浸透し浸透距離が長くなり、遂には地下水に到達し浸透する。従って、地下水はこの浸透した溶解水と、地下水中に直接供給された溶解水によって汚染物質が分解され浄化される。
【0031】
この時、溶解水と一緒(これは一緒でなくてもよい)に、空気が供給されるので、土壌中や地下水中に浸透した汚染物質浄化剤は、増殖が促進され、汚染物質の分解が促進される。この空気の供給は必ずしも必要なわけでもないので、供給しなくてもよいが、空気(酸素)は汚染物質浄化剤の好気性バクテリア(好気性微生物群)の増殖を促進するので供給する方が好ましい。
【0032】
一方、汚染された地下水は、井戸孔9よりポンプ12により汲み上げられて浄化装置13に導入されて浄化される。この浄化された水は、浄化槽14に導かれ、ここで汚染物質浄化剤が添加、溶解されて溶解水となり、再び、埋設した立体空隙構造体1に供給される。
この工程を所定時間実施することを、所定時間間隔で行う。この実施時間や間隔時間は、汚染度合いや地盤の状況等によって決定するし、汚染物質浄化剤の投入量も、汚染土壌面積や汚染濃度等を考慮して決定する。
【0033】
従って、この第2の実施の形態の浄化方法によれば、地盤G中に供給され浸透した溶解水により汚染土壌中の汚染物質は、分解され無害化されると共に、井戸孔9からの地下水の汲み上げにより供給された溶解水の井戸孔9に向かっての流れが生じ、これにより汚染土壌が洗浄されることにより、土壌・地下水は効率的に浄化される。
【0034】
また、この浄化方法では、図10に示すように浄化しようとする地盤Gを遮水壁16で区画してもよい。これにより供給する溶解水や浄化水および地下水は、この区画内だけで循環することになり、汚染土壌、汚染地下水の浄化効率は一層向上するので好ましい。
【0035】
また、図10に示す実施の形態では、立体空隙構造体1は、地盤Gに垂直に埋設した場合を示しているが、これに限定されるものではない。浄化しようとする地盤の状況により立体空隙構造体1の長さを変化させたり、図8に示すように斜めに埋設してもよい。この斜めに埋設する場合は、図8に示すように浄化しようとする地盤G上に構造物7があるような場合に、構造物7を撤去しないで実施できるので有効となる。
また、埋設する立体空隙構造体1の数、埋設間隔、および井戸孔9の数や削孔する位置なども、地盤の汚染状況、汚染濃度などにより決定する。例えば、地盤の使用状況、既設の井戸水の分析、地表面の汚染状況、ボーリングによる地中および地下水の調査、などを実施し汚染物質を特定したり、汚染状況を評価し、立体空隙構造体1の数、埋設間隔、埋設方向、井戸孔9の数や削孔位置、汚染物質浄化剤の種類、投入量、どれくらいの時間実施するか、実施間隔をどれくらいにするか、等を決定する。
【0036】
なお、前記実施の形態は、この発明を制限するものではなく、この発明は要旨を逸脱しなし範囲で種々の変更が可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上詳細に説明した通り、この発明の土壌・地下水の浄化方法によれば、次のような効果を奏する。
(1)土壌中および地下水中に好気性バクテリアを主成分とする汚染物質浄化剤を供給し、汚染土壌および汚染地下水の汚染物質を分解し、無害化することができる。立体空隙構造体は樹脂線状体を絡み合せて中空円柱状に積層して形成されており、中空部と無数の連続する空隙が存在するので、この立体空隙構造体を通して供給された汚染物質浄化剤や溶解水は、立体空隙構造体のほぼ全外周面より土壌中や地下水中に供給され浸透する。従って、広範囲の土壌中や地下水中に速やかに浸透し、汚染物資を分解したり、洗浄するので効率的に浄化できる。
【0038】
(2)土壌中および地下水中に供給された汚染物質浄化剤で汚染物質が分解、無害化されると共に、汚染地下水は汲み上げられて浄化されるので、土壌・地下水の浄化を短期間で効果的に済ませることができる。
【0039】
(3)土壌中および地下水中に供給された汚染物質浄化剤で汚染物質が分解、無害化されると共に、井戸孔よりの揚水と注入する浄化水(溶解水)とが循環するため汚染物質が洗浄除去され、浄化効率が向上するし、浄化精度も高くなる。また、井戸孔よりの揚水と浄化水(溶解水)との循環時に、汚染物質浄化剤も同時に土壌中および地下水中に浸透するため、土壌中および地下水中への浸透も広範囲にわたるし、確実となり、広範囲に確実に浄化できる。
【0040】
(4)また、汚染物質浄化剤に栄養素が含有されたり、汚染物質浄化剤の供給時に空気(酸素)が供給されるので、汚染物質浄化剤の主成分である好気性バクテリアの増殖が促進され、浄化効率が向上する。
【0041】
(5)地盤中に埋設した立体空隙構造体は撤去する必要がなく、残置して地盤の液状化防止や杭構造体として地盤改良に使用できる。
また、この発明の浄化方法によれば、浄化しようとする地盤上に構造物が存在しても、該構造物を撤去しないで、そのままの状態で土壌・地下水の浄化ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示す断面説明図である。
【図2】立体空隙構造体の斜視図である。
【図3】立体空隙構造体の拡大部分斜視図である。
【図4】立体空隙構造体の変形例を示す斜視図である。
【図5】立体空隙構造体の接続例を示す斜視図である。
【図6】他の立体空隙構造体を示す斜視図である。
【図7】さらに他の立体空隙構造体を示す斜視図である。
【図8】この発明の第1の実施の形態の変形例を示す断面説明図である。
【図9】立体空隙構造体を埋設する方法を工程順(a)(b)(c)(d)に示す断面説明図である。
【図10】この発明の第2の実施の形態を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 立体空隙構造体
2 樹脂線状体
3 中空部
7 構造物
8 ケーシング管
9 井戸孔
10 ディープウエル
11 揚水管
12 ポンプ
13 浄化装置
14 浄水槽
15 コンプレッサー
16 遮水壁
Claims (8)
- 樹脂線状体を絡み合せて中空円柱状に積層した立体空隙構造体を複数地盤中に埋設し、該立体空隙構造体を通して好気性バクテリアを主成分とする汚染物質浄化剤を土壌中及び/又は地下水中に供給することを特徴とする土壌・地下水の浄化方法。
- 樹脂線状体を絡み合せて中空円柱状に積層した立体空隙構造体を複数地盤中に埋設し、該立体空隙構造体を通して好気性バクテリアを主成分とする汚染物質浄化剤を土壌中及び/又は地下水中に供給すると共に、地盤の地表面にも前記汚染物質浄化剤を散布することを特徴とする土壌・地下水の浄化方法。
- 前記立体空隙構造体を通して供給する汚染物質浄化剤及び/又は地盤の地表面に散布する汚染物質浄化剤は、水に溶解した溶解水として供給及び/又は散布することを特徴とする請求項1または2記載の土壌・地下水の浄化方法。
- 前記溶解水の供給時には、空気も供給することを特徴とする請求項3記載の土壌・地下水の浄化方法。
- 樹脂線状体を絡み合せて中空円柱状に積層した立体空隙構造体を複数地盤中に埋設し、該立体空隙構造体を通して好気性バクテリアを主成分とする汚染物質浄化剤と浄化水又はこれらと空気とを、土壌中及び/又は地下水中に注入すると共に、1または複数の井戸孔を削孔し該井戸孔に揚水管を配設し、該揚水管にポンプを連結して揚水し浄化装置に導入し浄化することを特徴とする土壌・地下水の浄化方法。
- 前記浄化装置で浄化された水は、浄化水として再び立体空隙構造体を通して土壌中及び/又は地下水中に注入することを特徴とする請求項5記載の土壌・地下水の浄化方法。
- 浄化しようとする地盤が、遮水壁にて区画されていることを特徴とする請求項5または6記載の土壌・地下水の浄化方法。
- 前記汚染物質浄化剤は、好気性バクテリアの栄養素を含有することを特徴とする請求項1、2、3、5および6のいずれかに記載の土壌・地下水の浄化方法。
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