JP6257486B2 - 港湾設備の車輪駆動装置、および車輪駆動装置を備えた港湾設備 - Google Patents

港湾設備の車輪駆動装置、および車輪駆動装置を備えた港湾設備 Download PDF

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Description

本発明は、港湾設備の車輪駆動装置、および車輪駆動装置を備えた港湾設備に関する。
特許文献1に、港湾に設置される貨物集積場の貨物管理運搬設備(freight handling plant)に係る発明が開示されている。
この特許文献1では、該設備の具体例のひとつとして、港湾で使用する自走クレーン(いわゆる港湾クレーン)が開示されており、当該港湾クレーンを走行させる車輪を駆動するための車輪駆動装置が合わせて開示されている。
この車輪駆動装置の車輪の回転軸(車軸)は、港湾クレーンの支柱の支持体に回転自在に支持されている。該車軸は、支持体の外側にまで延在され、この延在された車軸に、減速機を有するギヤモータが連結されている。
特表平10−506084号公報(図14、図15)
しかしながら、港湾に設置される設備(港湾設備)は、ときに、津波や高潮、あるいは大雨による隣接河川の急な増水等によって車輪駆動装置が水没してしまうことがある。
水没した車輪駆動装置は、分解してオーバーホールする必要がある。しかし、特に、車輪駆動装置のモータが水没してしまうと、車輪駆動装置をオーバーホールするための作業場まで、港湾設備自体を自走させることができない場合がある。そのため、大掛かりな別途の移動設備によって、港湾設備を作業場まで強制的に移動させる必要があり、多大な時間とコストが掛かるという問題があった。
本発明は、このような従来の問題を解消するためになされたものであって、車輪駆動装置のモータが水没してしまうような状況が発生したとしても、より確実に港湾設備自体を作業場まで自走させることのできる港湾設備の車輪駆動装置を提供することをその課題としている。
本発明は、港湾に設置される設備を走行させる車輪を駆動する港湾設備の車輪駆動装置であって、モータケーシングおよび後部カバーを有するモータを備え、該モータの前記後部カバーは、吸気口を有さず、かつ、該後部カバーと前記モータケーシングとの連結部に、防水シールが配置され、前記後部カバーの開口端部内周は、軸方向反負荷側に向かうに従って内径が小さくなるテーパ面とされ、前記モータケーシングの外周と前記テーパ面との間に前記防水シールが配置される構成とすることにより、上記課題を解決したものである。
本発明においては、車輪駆動装置のモータの後部カバーは、吸気口を有していない。また、後部カバーとモータケーシングとの連結部には、防水シールが配置される。
この構成を有することで、車輪駆動装置は、たとえモータが水没してしまう状況に見舞われたとしても、多くの場合、最小限港湾設備を作業場まで自走させる機能を維持することができる。
本発明によれば、車輪駆動装置のモータが水没してしまうような状況が発生したとしても、より確実に港湾設備自体を作業場まで自走させることができる。
本発明の実施形態の一例に係る港湾クレーンの車輪駆動装置の全体断面図 該車輪駆動装置のモータの、一部を断面とした正面図 図2のモータの後部カバー近傍の部分拡大断面図
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例に係る港湾クレーンの車輪駆動装置の全体断面図である。図2は、該車輪駆動装置のモータの、一部を断面とした正面図、図3は、図2のモータの後部カバー近傍の部分拡大断面図である。
港湾クレーン10(港湾に設置される設備:全体は図示略)は、港湾(この例では海岸の岸壁)において、船舶の積み荷の積み込みや積み降ろしを行うために設置される設備である。なお、ここでいう「港湾に設置される設備」には、いわゆる港湾(海岸の岸壁)に設置される設備のほか、川岸、あるいは湖の岸辺等のいわゆる水辺に設置される設備が含まれる。
港湾クレーン10は、複数の支柱16(図1にはそのうちの1本の下部のみ図示)を有し、各支柱16上に組み込まれた図示せぬ鉄骨フレーム上にクレーン(図示略)が設置されている。各支柱16の下部には、複数の車輪14(図1では1個のみ図示)が設けられている。各車輪14は、車輪駆動装置12によって駆動可能とされ、港湾クレーン10全体をレール18上で自走させることができる。
車輪駆動装置12は、複数の車輪14それぞれに設けられる。車輪駆動装置12は、モータ20と、該モータ20の動力を車輪14に伝達する減速機22と、モータ20の停止時に車輪14を制動するブレーキ装置24と、を備える。
車輪駆動装置12のモータ20は、特にその種類は限定されないが、この実施形態では、JIS C4210で規定する「F種」にクラス分類されるコイルを有する3相のかご形誘導電動機が使用されている。モータの種類については、後に詳細に触れる。
モータ20のモータ軸21は、一対のモータ軸受26によって支持されている。モータ軸21は、図示せぬ継手を介して減速機22の入力軸28と連結されている。入力軸28の先端にはベベルピニオン30が一体的に形成されている。ベベルピニオン30は、ベベルギヤ32と噛合している。ベベルギヤ32は、キー34を介して中間軸36に組み込まれている。中間軸36は、一対の円錐ころ軸受38、38を介して、減速機ケーシング40に回転自在に組み込まれている。中間軸36には、中間ピニオン42が一体的に形成されている。中間ピニオン42は、出力ギヤ44と噛合している。出力ギヤ44は、キー46を介して出力軸48に固定されている。出力軸48は、一対の円錐ころ軸受50、50を介して減速機ケーシング40に回転自在に組み込まれている。出力軸48は、貫通孔48Aを有するホローシャフトで構成されている。
一方、港湾クレーン10の車輪14は、車軸54と一体化されている。車軸54は、一対の複列式ころ軸受55、55を介して支柱16に設けられた支持体16Aに回転自在に支持されている。この車軸54は、一方(減速機22側)の複列式ころ軸受55の反車輪側に、該複列式ころ軸受55を超えて支柱16の側部にまで延在された延在部54Aを有している。この車軸54の延在部54Aに、ホローシャフトで構成されている前記減速機22の出力軸48が外嵌され、減速機22全体が車軸54の延在部54Aに組み付けられている。なお、出力軸48と車軸54は、固定プレート57および出力軸ボルト58によって固定されると共に、更に、図示せぬキー等により一体回転可能に連結されている。
減速機ケーシング40は、トルクアーム61によって支柱16の支持体16Aに連結・固定されている。また、符号62は、該トルクアーム61を減速機ケーシング40に固定するトルクアームボルト、符号63は、該トルクアーム61を支柱16の支持体16Aに固定する支柱ボルトである。これにより、減速機22の出力軸48を回転させることで車軸54を回転させ、該車軸54に固定された車輪14を回転させることができる。
次に、モータ20とブレーキ装置24の構成について詳細に説明する。モータ20は、モータケーシング70と、負荷側カバー72と、後部カバー74と、を有する。
モータ20のモータケーシング70は、ほぼ円筒形状に形成され、内部にコイル(ステータ)75やロータ76等の、モータ20の主たる構成要素を収容している。モータケーシング70の軸方向反負荷側の外周70Eには、ボルト71を介して固定ブロック(移動規制部材)78が固定されている。固定ブロック78は、モータケーシング70の一部を構成している。この固定ブロック78の反負荷側面は、軸と直角に形成され、後部カバー74の台座面78Aを構成している。なお、この固定ブロック78は、モータケーシング70と一体に形成されていてもよい。
モータ20の負荷側カバー72は、モータケーシング70の軸方向負荷側に、通しボルト(中心線80のみ図示)を介して連結されている。モータケーシング70と負荷側カバー72との連結部73には、液状パッキン等の防水シール(図示略)が配置されている。負荷側カバー72とモータ軸21との間にはオイルシール77が配置されている。
一方、モータ20の後部カバー74は、軸方向反負荷側が閉塞され、負荷側が開放された(負荷側に開口部74Aを有する)有底筒状の部材で構成されている。後部カバー74は、モータケーシング70の反負荷側に連結され、ブレーキ装置24を収容している。
後部カバー74は、反負荷側の端面に周方向に120度の間隔で3個の貫通孔74Pを備え、この貫通孔74Pから挿入された3本の第1固定ボルト81が、モータケーシング70に固定された固定板84のねじ孔84Aに螺合している。後部カバー74は、この3本の第1固定ボルト81によって固定板84に固定され、(該固定板84を介して)モータケーシング70に固定される。3個の貫通孔74Pと第1固定ボルト81との間には、シールワッシャ86で構成された防水シールが配置されている。
後部カバー74は、第1固定ボルト81によって軸方向負荷側に押し付けられることで、モータケーシング70との間に強力なシールがなされる構成とされている。具体的には、後部カバー74の開口部74Aの近傍の内周(開口端部内周)には、軸方向反負荷側に向かうに従って径が小さくなるテーパ面74Tが形成され、この後部カバー74のテーパ面74Tとモータケーシング70の外周との間に、後部カバー74とモータケーシング70との連結部をシールする防水シール88が配置されている。
防水シール88は、後部カバー74のテーパ面74Tと当接する本体部88Aと、該本体部88Aの軸方向負荷側端部において径方向内側に突出する第1突出部88Bと、本体部88Aの軸方向反負荷側端部において径方向内側に突出する第2突出部88Cと、を有している。
防水シール88の第1突出部88Bは、径方向内側端面(内周面)がモータケーシング70の外周70Eに当接し、後部カバー74とモータケーシング70との間をシールしている。防水シール88の第2突出部88Cは、径方向内側端面(内周面)が固定板84の径方向外側端面(外周面)84Bに当接し、後部カバー74と(モータケーシング70と一体化された)固定板84との間をシールしている。
防水シール88の第1突出部88Bと第2突出部88Cは、この実施形態では、同一の形状および突出長さとされ、本体部88Aの外周(後部カバー74のテーパ面74Tとの接触面)88A1は、取り付け前のフリー時では、軸と平行である(外径が一定である)。そして、後部カバー74のテーパ面74Tと当接することによって第2突出部88Cの方が第1突出部88Bよりも大きく圧縮され、本体部88Aが後部カバー74のテーパ面74Tに沿って変形する構成とされている。しかし、初めから、第2突出部88Cの突出長さを第1突出部88Bの突出長さよりもやや小さく形成し、本体部88Aの外周を、予め後部カバー74のテーパ面74Tにある程度沿ったテーパ形状としておいてもよい。
なお、防水シール88の第1突出部88Bは、軸方向負荷側端面が、モータケーシング70の前記固定ブロック78の台座面78Aの一部に当接している。つまり、固定ブロック78は、防水シール88の軸方向負荷側への移動を規制する部材として機能している。これより、後部カバー74が、モータケーシング70に組み付けられる際に、テーパ面74Tを介して防水シール88が軸方向に押圧されてきたときに、該防水シール88が軸方向負荷側に移動しないように、固定ブロック78側から防水シール88に対してスラスト反力を提供可能である。
なお、後部カバー74の開口部74Aには、周方向の一部に径方向外側に突出したフランジ部74Fが形成されている。フランジ部74Fは、固定ブロック78の台座面78Aに第2固定ボルト82を介して固定されている。このフランジ部74Fと固定ブロック78との連結部(後部カバー74とモータケーシング70との連結部)にも、Oリング、あるいは液状パッキン等で構成される防水シール88が配置されている。
本実施形態のモータ20は、冷却ファンを備えていない。また、後部カバー74は、吸気口を有していない。これにより、後部カバー74からモータケーシング70内へ海水が浸入するのが防止されている。
なお、この実施形態では、冷却ファンは設けられていない。しかし、モータ軸21の延在部21Aに冷却ファンを設けるためのキー溝21A1が設けられている。したがって、モータ20は、港湾クレーンの車輪駆動装置12以外の用途に使用するときは、後部カバー74を吸気口付きの通常の後部カバーに変えるだけで、冷却ファンを有するモータ20として転用可能である。
また、後部カバー74には、冷却ファンを収容し得るほど大きな内部空間P74が確保されている。そのため、後部カバー74は、基本的な形状が、通常の吸気口を有する後部カバーと同一とされており、通常の後部カバーと製造工程の一部を共通化できる。また、冷却ファンの収容スペースを有さない小型の後部カバーを使用する場合と比較して、内部空間P74が大きい分、熱が籠もりにくく、かつ、表面積が大きい分、熱の発散効率が高い。
なお、後部カバー74での熱の発散効率を一層高めるために、図3において想像線で示されるように、該後部カバー74の外表面、特にその上部に位置する後部端面(反負荷側端面)74Gに冷却フィン74Hを設けるようにしてもよい。
後部カバー74の内側には、ブレーキ装置24が設けられている。
モータ20のモータ軸21は、反負荷側のモータ軸受26よりもさらに反負荷側に延在された延在部21Aを有し、ブレーキ装置24は、該延在部21Aの径方向外側に設けられ、モータ軸21の回転を制動可能である。
本実施形態に係るブレーキ装置24は、コイル90(固定鉄心)と、吸引プレート91(可動鉄心)と、複数の摩擦板92と、付勢機構94と、を有している。
ブレーキ装置24の吸引プレート91は、コイル90の通電時に、付勢機構94の付勢力に抗して該コイル90に吸引され、非通電時に付勢機構94の付勢力によって反コイル90側に戻される構成とされている。
複数の摩擦板92は、モータ軸21(の延在部21A)側に固定された回転摩擦板92Aと、モータケーシング70側に固定された固定摩擦板92Bとで構成され、該回転摩擦板92Aと固定摩擦板92Bとが、交互に軸方向に配置されている。この複数の摩擦板92は、コイル90の通電によって吸引プレート91がコイル90側に吸引されたときに、該吸引プレート91の軸方向移動に伴って互いの圧接が解かれ、モータ軸21(の延在部21A)の回転を解放可能である。また、この複数の摩擦板92は、コイル90の通電の遮断によって付勢機構94の付勢力によって吸引プレート91が軸方向反コイル側に移動したときに、互いに軸方向に強く圧接され、モータ軸21の延在部21Aの回転を拘束(制動)可能である。
なお、このモータ20のブレーキ装置24は、モータ軸21の制動を、コイル90の通電によって解放することができると共に、手動によっても解放することができる構成、特に後部カバー74をモータケーシング70から外すことなく、制動を解放可能な構成を有している。
本実施形態のブレーキ装置24を手動で解放するには、図3に示されるように、先ず、3本の第1固定ボルト81を緩めて該第1固定ボルト81と固定板84との結合を解き、後部カバー74から該第1固定ボルト81を抜き去る。そして第1固定ボルト81を抜き去った3個の貫通孔74Pから、3本の解放用ボルト96を挿入する。解放用ボルト96は、第1固定ボルト81よりも長く、ねじ込みによって固定板84を超えて吸引プレート91の上面91Aをコイル90側に押圧可能である。これにより、吸引プレート91をコイル90側にシフトさせ、複数の摩擦板92の押圧を解いて制動を解放することができる。制動が必要なときは、解放用ボルト96を緩めればよい。これにより付勢機構94の付勢力が再び吸引プレート91に作用し、制動を復活させることができる。なお、一通りの作業が終わった段階で解放用ボルト96を第1固定ボルト81に再交換する。これにより、再び、制動を利かせた状態で、貫通孔48Aをシールワッシャ86等の防水シールで良好にシールすることができる。
なお、符号97は、端子箱である(図1では、紙面の背面側に位置しており、表れていない)。端子箱97は、図示せぬボルトによってモータケーシング70に固定されている。モータケーシング70と端子箱97のケーシング98との接合部99には、液状パッキン等の防水シール(図示略)が配置されている。
これまでの説明でも明らかなように、この実施形態の減速機22には、地上からモータ20までの高さ(例えば、モータケーシング70の下端までの高さ)H20を意図的に増大させるための機構(あるいは構造)は、組み込まれていない。そのため、この実施形態では、例えば、車軸54の軸心C54からモータ20までの高さH(54−20)は、車軸54の軸心C54から車輪14の上端部までの高さH(54−14)の約1.4倍程度となっている。換言するならば、この実施形態に係る車輪駆動装置12は、該車輪駆動装置12のモータ20が津波や高潮等によって水没する、という災害に対し、モータ20の地上からの高さH20を大きく確保するという観点では、設計されていない。
また、この港湾クレーン10は、車輪駆動装置12を、当該港湾クレーン10の自走に必要な台数よりも多い台数分、具体的には、2倍の台数、備えている。これは、水没等によって、仮に、複数の車輪駆動装置のうちの一部が使用不能になったとしても、より高い確率で港湾クレーン10を作業場まで自走させること、或いはより簡易な別途の移動設備で、港湾クレーン10を作業場まで移動させることを意図したためである。
なお、このモータ20は、前述したように、JIS C4210に規定するF種の絶縁分類に属する3相のかご形誘導電動機であるが、この実施形態では、上記構成を有することにより、定格出力で30分間運転しても、JIS C4210に規定するモータ20のコイル75の絶縁の温度上昇限度(F種:105℃)を超えないモータであり、かつ、定格出力の1.5倍で10分間運転しても、該絶縁の温度上昇限度を超えないモータである。これについては、以下の作用の項でも詳しく触れる。
次に、本実施形態に係る港湾クレーン10の車輪駆動装置12の作用を説明する。
モータ20のモータ軸21が回転すると、該モータ軸21と連結されている入力軸28が回転する。入力軸28が回転すると、入力軸28に固定されているベベルピニオン30が回転し、該ベベルピニオン30と噛合しているベベルギヤ32が回転する。ベベルギヤ32が回転すると、該ベベルギヤ32と連結されている中間軸36が回転し、中間軸36に形成されている中間ピニオン42が回転する。中間ピニオン42の回転は、該中間ピニオン42と噛合している出力ギヤ44に伝達され、出力ギヤ44と連結されている出力軸48が回転する。この結果、出力軸48と連結されている車軸54が回転し、該車軸54と連結されている車輪14が回転する。これにより、港湾クレーン10は、支柱16ごと、レール18上を走行することができる。
この実施形態に係る港湾クレーン10は、港湾に設置される設備である。そのため、ときに、自然の水害(例えば、津波や高潮、あるいは大雨による隣接河川の急な増水等)により該車輪駆動装置12自体が、水没してしまう虞がある設備である。
車輪駆動装置12、特にそのモータ20が水没してしまうと、車輪駆動装置12は、港湾クレーン10の車輪14を駆動することができなくなり、その結果、港湾クレーン10を(オーバーホールするための)作業場に自走させることができなくなってしまう。港湾クレーン10は、非常に大型、かつ重量のある設備であるため、車輪駆動装置12による自走ができなくなると、該港湾クレーン10を作業場にまで移動させることに、極めて大掛かりな重機等の移動設備が必要となり、膨大なコストと時間が掛かってしまう。
こうした不具合の発生を防止する対策としては、従来、2つの手法が提案されている。
1つ目の手法は、モータを、そっくり防水ケースに収容し、いわゆる「完全防水」の構成とすることである。これにより、たとえモータが水没したとしても、該モータを支障なく稼働させることができる。しかし、この手法は、単にコストが掛かるだけでなく、モータが完全に閉じられた空間に収められることになるため、通常使用時の発熱の問題が懸念される。
2つ目の手法は、例えば、モータ軸21と減速機22の入力軸28との間を、長い軸継手等で繋ぎ、車軸54の軸心C54からモータ20までの高さH(54−20)を意図的に増大させる、という手法である。この手法は、多くの港湾クレーンで現実に採用されている手法である。これにより、地上からモータ20までの高さH20を大きく確保することができ、津波等が発生しても、モータ20が水没してしまう虞を低減することができる。しかし、この手法は、車輪駆動装置12が大型化してコストが高くなり、また運搬等が大変となる、というデメリットがある上に、そもそも想定外の高さの津波が来てしまうと、全く効果がない。しかも、自然相手の設定であるため、どの程度までの高さが確保されれば、十分なのかという指標も明確ではない。さらに、例えば、台風などは進路が十分予測できるため、予め作業場に避難させておくことができる。要するに車輪駆動装置12のモータ20が水没してしまうという災害は、そう頻繁に生じるものではない。換言するならば、滅多に発生しない災害に備えて、全ての車輪駆動装置12に対して地上からモータ20までの高さH20を大きく確保するための構造を採用するのは、「コストが掛かる割には、効果がないこともある。」という点で、いわゆる費用対効果の点で問題が残る。
これに対し、本実施形態に係る車輪駆動装置12は、これらのいずれの設計スタンスとも異なり、モータ20の水没自体を、許容する代わりに、「仮に水没しても、水が引いた後に作業場までの移動機能は、極力確保する。」というスタンスで設計されている。
一般に、減速機22内に、地上からモータ20までの高さを意図的に増大させるための構造を採用しなかった場合、この種の港湾クレーン10の車輪駆動装置12にあっては、例えば、車軸54の軸心C54からモータ20までの高さH(54−20)は、大きくても車軸54の軸心C54から車輪14の上端部までの高さH(54−14)のせいぜい2倍であり、3倍には至らない(前述したように、本実施形態では、1.4倍程度である)。したがって、本実施形態に係る車輪駆動装置12は、万一、津波等が発生した場合は、モータ20は一時的に水没してしまう可能性がある。
しかし、本実施形態に係る車輪駆動装置12においては、モータ20の後部カバー74は、吸気口を有していない。また、後部カバー74とモータケーシング70との連結部には、防水シール88が配置されている。したがって、本実施形態に係る車輪駆動装置12は、仮にモータ20が一時的に水没したとしても、殆どの場合、水が引いた後に港湾クレーン10を作業場まで自走させる機能を維持することができる。別言するならば、本実施形態に係る車輪駆動装置12は、「水没は一時的であるため、モータ全体を完全防水する構造までは必要ない」という点に着想してなされたとも言える。
しかも、低コストであり、また、(完全防水タイプと異なり)モータケーシング70も、後部カバー74も、負荷側カバー72も、外気に露出しているため、通常使用時の熱の発散の問題も生じにくい。
例えば、モータの温度上昇の限界を規定する指標として、JIS C4210の規定がある。この規定は、モータの種類(特に絶縁の種類)ごとに、所定の手法によって温度が一定となるまで連続運転試験を行ったときに測定される温度上昇の許容限界値を示している。例えば、上記実施形態に係るモータ20のコイル90は、JIS C4210で「F種絶縁」にクラス分類されており、コイル90の温度上昇の許容限界値は、具体的には105℃である。
この車輪駆動装置12のモータ20は、熱の放散に有利な屋外に設置されており、しかも、モータケーシング70も、後部カバー74も、負荷側カバー72も、外気に露出している。そのため、通常、30分も運転しないうちに温度は一定となり、しかも、そう高くは上昇しない。実際、この実施形態に係るモータ20は、定格出力で30分間運転しても、上記F種絶縁のコイルの温度上昇の限度(105℃)を超えないことが確認されている。
更には、定格出力の1.5倍で10分間運転しても、上記F種絶縁のコイルの温度上昇限度を超えないモータ20であることも確認できている。用途上、港湾クレーン10の車輪駆動装置12は、10分間以上連続運転されることはほとんどないため、実用上、このモータ20を搭載した港湾クレーン10の車輪駆動装置12で、発熱上の問題が生じることは、まずないと考えられる。
防水性という観点での本実施形態の作用をさらに説明すると、この実施形態に係る後部カバー74は、ねじによって軸方向モータケーシング70側に移動されることで、モータケーシング70と連結される構成とされている。この移動の際、後部カバー74は、(固定ブロック78で防水シール88の軸方向の移動が規制された状態で)該防水シール88を、該後部カバー74のテーパ面74Tとモータケーシング70との間で強く押し潰すため、いわゆる「くさび効果」で、非常に強力なシール作用が得られる。そのため、大きな開口部74Aを有する後部カバー74とモータケーシング70との連結でありながら、両者70、74を良好にシールされた状態で連結することができる。
また、モータ20は、負荷側を下向きにした縦置きで使用されると共に、下側に位置する負荷側カバー72とモータケーシング70との連結部73には、液状パッキンまたはOリングが配置される。また、負荷側カバー72とモータ軸21との間にはオイルシール77が配置されている。これらの構成により、負荷側カバー72とモータケーシング70との連結部73を含め、モータ20の下側からの海水の浸入も効果的に抑制できる。
さらには、端子箱97とモータケーシング70との間もシール部材が配置されているため、端子箱97の周辺からの海水の浸入も抑制されている。
そして、この港湾クレーン10は、車輪駆動装置12を、当該港湾クレーン10の自走に必要な台数よりも多い台数分、具体的には、2倍の台数、備えている。これらの構成から、本実施形態による構成によれば、水没等によって、仮に、複数の車輪駆動装置のうちの一部が使用不能になったとしても、より高い確率で、港湾クレーン10を作業場まで自走させることができる。あるいはより小型の重機等で簡易に移動させることができる。
そして、例えば、浸水によって一部の車輪駆動装置のモータのブレーキ装置の解除に電気的な不具合が発生している場合に、港湾クレーン10を作業場まで自走させようとしたときには、後部カバーを外すことなく、外部から解放用ボルト(操作部材)を挿入することで、当該ブレーキ装置の制動を、手動で解除できる。このため、ブレーキ装置の制動力の解除の利便性が非常に高い。
なお、上記実施形態では、ベベルピニオン、ベベルギヤを有する直交減速機構や平行軸減速機構を有する減速機が例示されていたが、本発明に係る減速機は、この構成に限定されず、さまざまな減速機構の減速機を採用することができる。例えばハイポイドピニオン、ハイポイドギヤやウォームピニオン、ウォームギヤ等を含む直交減速機構を有する減速機であってもよく、また、遊星歯車減速機構等を有する減速機であってもよい。
モータは、負荷側を下向きにした縦置きで使用されていたが、モータの向きは、必ずしも下向きでなくてもよく、例えば、負荷側を上向きにしても、横向きにしてもよい。
10…港湾クレーン
12…車輪駆動装置
14…車輪
16…支柱
18…レール
20…モータ
21…モータ軸
21A…延在部
22…減速機
24…ブレーキ装置
70…モータケーシング
72…負荷側カバー
74…後部カバー
88…防水シール

Claims (7)

  1. 港湾に設置される設備を走行させる車輪を駆動する港湾設備の車輪駆動装置であって、
    モータケーシングおよび後部カバーを有するモータを備え、
    該モータの前記後部カバーは、吸気口を有さず、かつ、
    該後部カバーと前記モータケーシングとの連結部に、防水シールが配置され、
    前記後部カバーの開口端部内周は、軸方向反負荷側に向かうに従って内径が小さくなるテーパ面とされ、前記モータケーシングの外周と前記テーパ面との間に前記防水シールが配置される
    ことを特徴とする港湾設備の車輪駆動装置。
  2. 請求項1において、
    前記防水シールは、前記テーパ面に当接する本体部と、前記本体部の軸方向負荷側端部から径方向内側に突出する第1突出部と、前記本体部の軸方向反負荷側端部から径方向内側に突出する第2突出部と、を有する
    ことを特徴とする港湾設備の車輪駆動装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記後部カバー内にブレーキ装置が配置され、
    該後部カバーを取り外すことなく、外部から操作部材を挿入することで、該ブレーキ装置でのブレーキの解除が可能とされた
    ことを特徴とする港湾設備の車輪駆動装置。
  4. 請求項3において、
    前記後部カバーは、当該後部カバーを前記モータケーシングに固定するための固定ボルトが挿入される貫通孔を有し、
    前記操作部材は、前記固定ボルトが抜き去られた前記貫通孔から挿入可能とされる
    ことを特徴とする港湾設備の車輪駆動装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    前記モータは、定格出力の1.5倍で10分間運転しても、絶縁の温度上昇限度を超えないモータである
    ことを特徴とする港湾設備の車輪駆動装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、
    記モータケーシングは、前記防水シールの軸方向負荷側への移動を規制する移動規制部材を有し、
    前記移動規制部材は、前記後部カバーが固定される台座面を有する固定ブロックである
    ことを特徴とする港湾設備の車輪駆動装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載された港湾設備の車輪駆動装置を、当該港湾設備の移動に必要な台数よりも多い台数分、備えた
    ことを特徴とする車輪駆動装置を備えた港湾設備。
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