JP6256656B2 - ロール間搬送制御装置およびロール間搬送制御方法 - Google Patents

ロール間搬送制御装置およびロール間搬送制御方法 Download PDF

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    • G05B13/02Adaptive control systems, i.e. systems automatically adjusting themselves to have a performance which is optimum according to some preassigned criterion electric

Description

本発明は、複数のロールの間で搬送材の搬送を行うロール間搬送制御装置およびロール間搬送制御方法に関するものである。
ロール間搬送制御装置では、2つのロール間で搬送材が弛まないように、搬送材に所定の大きさの張力が掛けられた状態で搬送が行われる。そのため、ロール間搬送制御装置には、搬送材に掛かる張力を所定の張力と一致させるように、PI(比例積分)制御またはPID(比例積分微分)制御のフィードバック制御の演算を行う張力制御演算部を備えることが多い。張力制御演算部は、フィードバック制御の演算に基づいて、上記2つのロールの軸のうち片方の軸(張力軸)の速度指令を修正し、他方の軸(速度軸)との速度差を調整することで、ロール間の搬送材に発生する張力を制御する。このようなロール間搬送制御装置が安定に搬送材を搬送するためには、張力制御器の制御ゲインを適切に設定して安定な張力制御を行う必要がある。
一般的なロール間搬送制御装置では、操作者がロール間搬送を実行しつつ張力の変動を観察し、試行錯誤によって制御ゲインを変更するため、調整に手間時間がかかる。また、搬送材を搬送するためのロールが扁平している場合又は偏心している場合には、巻取り軸又は巻出し軸(あるいは送り出し軸)への搬送材の不均一な巻き付けが原因となり、軸の真円度が大きくなる。そのため、ロールの回転に起因する周期的な外乱が発生して張力が変動し、安定な搬送が行えないことがある。ここで、真円度とは、幾何学的に正しい円からの狂いの大きさであり、真円度が大きいほど正しい円からの狂いが大きいことを示す。上記のような周期外乱の周波数は、搬送材の搬送速度に応じて変化することが多い。また、ロールへの荷重又は加熱が原因となりロールが変形して真円度が増大してしまい、経時的に周期外乱の振幅又は周波数が変化することがある。
周期外乱の影響による搬送材の張力の変動を抑制するためには、周期外乱の周波数帯域の張力制御器の応答特性を適切に調整する必要があり、周期外乱の周波数に応じて張力制御器の制御ゲインの値を適切に変化させることが望まれる。このような張力制御器の制御ゲインの値を適切に変化させる可変制御ゲイン方式を実現するためには、周期外乱の特性に応じた制御ゲインのゲインテーブルを設定する必要があった。
周期外乱の影響を受けて変動する張力検出値に応じて張力制御演算部の制御ゲインを可変とする技術として、特許文献1の技術が挙げられる。特許文献1では、プロセスラインの炉内で加熱されて扁平したロールが回転することで生じる周期的な張力変動を抑制するための技術が開示されている。これは、事前に張力検出値の振動振幅の大きさに対応させた制御ゲインを保持するゲインテーブルを設定しておき、張力検出値の振動振幅の大きさに基づいて制御ゲインを変更するものである。
特開2000−181502号公報(第3ページ、第5図)
特許文献1に記載の技術では、張力検出値の振動振幅の大きさに基づいて制御ゲインが変更されるが、その変更量が事前に設定されている必要がある。つまり、張力の振動振幅の大きさに対する制御ゲインまたは制御ゲインの変更量のゲインテーブルを事前に作成しておく必要がある。ゲインテーブルの作成に際して、操作者はロール間搬送を実行しつつ、搬送材の張力の変動を観察しながら張力変動の振動振幅を調整し、ゲインテーブルの作成のために必要な全てのパターンの張力変動の振動振幅の大きさを実現する必要がある。操作者はその上で、振動振幅を低減するための制御ゲインを調整する必要があり、ゲインテーブルの作成に時間と手間を要していた。
また、適切な張力制御ゲインは張力変動の振動振幅にのみ依存して決まるものではないので、張力変動の振動振幅に応じたゲインテーブルを1つ作成しても、安定した搬送材の搬送が行えない場合がある。例えば、ロール間搬送制御装置の中には、異なる材質の搬送材を同一の装置にて取り扱うものがある。一般に、搬送材の材質ごとにヤング率が異なり、張力軸ロールと速度軸ロールの速度差をつけて搬送材を引っ張る際の張力の発生特性が千差万別であるため、制御ゲインは搬送材の材質に応じても変更されなくてはならない。そのため、搬送材の材質が変更されれば、ゲインテーブルに保持する制御ゲインの値を変更する必要があり、搬送材の材質ごとに複数のゲインテーブルを作成する必要があった。
さらに、張力軸ロールと速度軸ロールの速度差に対する張力の応答特性は、搬送材の搬送速度に依存して変化することが知られている。例えば、搬送材の搬送速度を高速化すると、巻き出し軸から単位時間当たりに新たに供給される搬送材の材料長が長くなり、ロール間に供給される低張力の搬送材の量が増える。そのため、搬送速度が低速の場合と同等に張力軸ロールと速度軸ロールの速度差をつけたとしても、搬送材の張力への影響が小さくなる。よって、搬送材の速度に応じてもゲインテーブルに保持する制御ゲインの値を変更することが望まれる。
従って、特許文献1に記載される技術では、制御ゲインの変更量を決めるために事前に設定されたゲインテーブルが必要であり、さらに、搬送材の材質搬送速度を含む運転条件ごとに複数のゲインテーブルを設定する必要がある。そのため、適切な制御ゲインを得るためにロール間搬送制御装置の運転開始前の調整において多大な時間と手間を要するという問題があった。
また、特許文献1に記載の技術では、制御ゲインの変更量の判断が張力検出値の振動振幅の大きさのみに基づいて行われるため、周期外乱の周波数が変動する場合には、かえって制御性能が悪化し、張力検出値の振動振幅が拡大するという問題があった。
一般に、フィードバック制御の安定限界の制御帯域よりも低い周波数成分を多く含む周期外乱が印加される場合には、制御ゲインを大きくして制御帯域を安定限界付近まで高くすることで、外乱応答特性の向上により張力変動が抑制される。このとき、制御ゲインとして小さい値が設定されると、張力変動は抑制されず、振動振幅が大きくなる。一方で、安定限界の制御帯域よりも高い周波数成分を多く含む周期外乱が印加される場合には、制御ゲインを上げても周期外乱の周波数成分が制御帯域外となり張力変動を抑制できない。そればかりか制御ゲインを大きくすることで高周波数帯域の外乱に対する感度が大きくなり周期外乱による張力変動が励起され、振動振幅が拡大される。
上述した理由により、周期外乱が印加される場合には、制御ゲインの設定値は周期外乱の周波数を考慮した上で決定される必要がある。特に、ロール間搬送制御装置では、搬送速度の変更に基づいて扁平又は偏心したロールの回転速度が変わり、周期外乱の周波数が変わる。そのため、事前に設定された張力変動の振動振幅のみに基づいて設定されるゲインテーブルからは適切な制御ゲインを得られない可能性がある。よって、特許文献1の技術では、制御ゲインが適切に変更されずに張力変動を抑制できず、かえって張力変動を励起して振動振幅を拡大させるという問題があった。
本発明は以上述べた問題を解決するためになされたものであり、周期外乱による張力変動の抑制のための制御ゲインのゲインテーブルを事前に設定する作業を必要とせず、また、搬送材の材質搬送速度を含む運転条件の変更に基づいて張力の発生特性が変化する場合、周期外乱の周波数が変化する場合にも、制御ゲインが適切に調整され張力制御の良好な応答性能を実現することが可能なロール間搬送制御装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るロール間搬送制御装置は、速度軸ロールおよび張力軸ロールの間で搬送材に張力を与えつつ搬送材を搬送するロール間搬送制御装置において、張力の目標値である張力指令信号と張力の検出値である張力制御量との偏差である張力偏差信号および制御ゲインを用いて張力制御補正信号を演算する張力制御演算部と、制御対象の同定を指示する指示入力を受けたときに加振実行指令信号をオフからオンにする加振実行指令生成部と、加振実行指令信号がオンにされると、張力制御補正信号に同定時加算信号を加算し、加算実行指令信号がオンになった後の予め定められた期間における前記張力偏差信号を用いて、張力制御補正信号を入力とし張力制御量を出力とする制御対象伝達関数を同定する制御対象同定部と、制御対象同定部で同定された制御対象伝達関数を用いて、張力制御演算部の制御ゲインの候補である複数の制御ゲイン候補値を演算して保持するゲイン保持部と、張力制御演算部が動作している間に制御対象伝達関数を用いて、ゲイン保持部で保持される複数の制御ゲイン候補値の各々を張力制御演算部の制御ゲインとして設定した場合の張力偏差信号を演算して張力偏差推定信号として出力する張力偏差推定部と、複数の制御ゲイン候補値のうち、張力偏差推定信号を最小にする制御ゲイン候補値を張力制御演算部の制御ゲインとして設定するゲイン設定部と、速度軸ロールの速度が速度目標値として設定される基準速度信号に一致するように速度制御を行う速度軸速度制御部と、張力軸ロールの速度が基準速度信号と張力制御演算部によって演算される張力制御補正信号との和に一致するように速度制御を行う張力軸速度制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、周期外乱による張力変動の抑制のための制御ゲインのゲインテーブルを事前に設定する作業を必要とせず、また、搬送材の材質、搬送速度を含む運転条件の変更に基づいて張力の発生特性が変化する場合、あるいは周期外乱の周波数が変化する場合にも、制御ゲインが適切に調整され張力制御の良好な応答性能を実現することが可能なロール間搬送制御装置が得られる。
本発明の実施の形態1に係るロール間搬送制御装置の構成を示すブロック線図である。 本発明の実施の形態1に係るロール間搬送制御装置の張力偏差推定部105とゲイン設定部106の内部構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る制御装置部100の時間応答を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る張力偏差信号Testと包絡線信号Tenvの例を示す図である。 本発明の実施の形態2に係るロール間搬送制御装置の構成を示すブロック線図である。 本発明の実施の形態3に係るロール間搬送制御装置の構成を示すブロック線図である。 本発明の実施の形態3に係るロール間搬送制御装置の張力偏差推定部305とゲイン設定部306の内部構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3に係る張力偏差推定部305における演算に用いられるフィルタの周波数応答波形を示す図である。 本発明の実施の形態4に係るロール間搬送制御装置の構成を示すブロック線図である。 本発明の実施の形態4に係る制御装置部400の時間応答を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態に係るロール間搬送制御装置について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は例示であって、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るロール間搬送制御装置の構成を示すブロック線図である。
図1に示すように制御対象装置部10は、搬送材11と、張力軸ロール12と、速度軸ロール13と、張力制御量検出器14と、張力軸速度制御部21と、速度軸速度制御部22と、加算器23とを備える。制御対象装置部10は、制御装置部100の出力である張力軸速度加算信号Vadd1と、基準速度指令信号Vref0とを入力とし、張力制御量信号Tfbを出力とする。
制御対象装置部10は、張力軸ロール12と速度軸ロール13の回転動作により搬送材11を搬送する。このとき、張力軸ロール12と搬送材11との間のすべりは微小であるものとして、張力軸ロール12の周速度と搬送材11の張力軸ロール12に接する部分の速度とは、一致するか又は予め定められた範囲内に収まるものとする。また、速度軸ロール13と搬送材11との間のすべりは微小であるものとして、速度軸ロール13の周速度と、搬送材11の速度軸ロール13に接する部分の速度とは、一致するか又は予め定められた範囲内に収まるものとする。
張力軸速度制御部21は、入力される張力軸速度指令信号Vref1に、張力軸ロール12の速度が一致するように張力軸ロール12の回転速度を制御する。具体的には、張力軸速度制御部21は、張力軸ロール12の径および張力軸ロール12の駆動力を発生させる電動機の減速比を考慮して張力軸速度指令信号Vref1を電動機の回転速度に変換した指令を演算する。張力軸速度制御部21は、この指令によって電動機を駆動することで張力軸ロール12の回転速度が張力軸速度指令信号Vref1に一致するか又は予め定められた範囲内に収まるように制御する。
速度軸速度制御部22は、入力される張力軸速度指令信号Vref2に、速度軸ロール13の速度が一致するように速度軸ロール13の回転速度を制御する。具体的には、速度軸速度制御部22は、速度軸ロール13の径および速度軸ロール13の駆動力を発生させる電動機の減速比を考慮して速度軸速度指令信号Vref2を電動機の回転速度に変換した指令を演算する。速度軸速度制御部22はこの指令によって電動機を駆動することで速度軸ロール13の回転速度が張力軸速度指令信号Vref2に一致するか又は予め定められた範囲内に収まるように制御する。
本実施の形態では、張力軸ロール12は搬送材11を巻き取り、速度軸ロール13は搬送材11を巻き出す(送り出す)構成で説明するが、この構成に限るものではない。速度軸ロール13が搬送材11を巻き取り、張力軸ロール12が搬送材11を巻き出す(送り出す)構成でもよい。また、張力軸ロール12および速度軸ロール13は、搬送材11の巻き取りおよび巻き出しを直接行わず、搬送材11の送り動作のみを行う中間軸であってもよい。
加算器23は、基準速度指令信号Vref0と張力軸速度加算信号Vadd1とを加算して、張力軸ロール12の速度指令である張力軸速度指令信号Vref1を生成する。速度軸ロール13の速度指令である速度軸速度指令信号Vref2には、基準速度指令信号Vref0が代入される。すなわち、本実施の形態では、速度軸速度指令信号Vref2としては基準速度指令信号Vref0の値がそのまま用いられる(図1において括弧書きを用いてその旨を示す)。従って、張力軸ロール12は、速度軸ロール13と比較して張力軸速度加算信号Vadd1の分だけ速く回転する。
つまり、搬送材11の張力軸ロール12に接する部分の速度は、搬送材11の速度軸ロール13に接する部分の速度よりも速くなる。搬送材11は、張力軸ロール12と速度軸ロール13との間で引っ張られることにより張力が発生する。速度軸速度加算信号Vadd1の値が変更されると、張力軸ロール12の回転速度が変更されるので、搬送材11に発生する張力が変化する。
張力制御量検出器14は、搬送材11の張力を示す張力制御量信号Tfbを検知して出力する。ここで、張力制御量信号Tfbは、搬送材11の張力そのものでもよいし、搬送材11の張力に応じてその位置を変えるダンサ機構の位置の検出値でもよい。張力制御量信号Tfbは制御量であり、張力の目標値を与える張力指令信号Trefに一致するか又は予め定められた範囲内に収まるように制御される変数である。
制御対象装置部10は、張力検出値信号Tfbの値を用いて張力軸速度加算値Vadd1を算出する制御装置部100と組み合わされることで、フィードバック制御を行う構成となっている。
制御装置部100は、制御ゲインを用いて張力制御補正信号Ucntを算出する張力制御演算部101と、オン又はオフの信号である加振実行指令信号Erunを出力する加振実行指令生成部102と、制御対象装置部10の伝達特性を同定する制御対象同定部103と、張力制御演算部101の制御ゲインの候補である制御ゲイン候補を複数保持するゲイン保持部104と、制御ゲイン候補を張力制御演算部101の制御ゲインとして設定した場合の張力偏差信号Terrを制御ゲイン候補ごとに推定する張力偏差推定部105と、張力制御演算部101の制御ゲインを設定するゲイン設定部106と、減算器107と、加算器108とを備える。
ここで、図1において、ゲイン設定部106から出て張力制御演算部101を斜めに突き抜けている矢印は、ゲイン設定部106が張力制御演算部101の内部の設定内容を変更することを意味する。また、これは以下の実施の形態に係る発明のブロック図においても同様である。
次に、本実施の形態におけるロール間搬送制御装置の動作について述べる。
制御装置部100は、制御対象装置部10から出力される張力制御量信号Tfbと、張力指令信号Trefと、張力制御演算部101の応答特性を決める応答パラメータ信号Rpfmと、オン又はオフの信号である加振実行指令信号Erunとを入力とする。制御装置部100は、張力制御補正信号Ucntと同定時加算信号Uaddとの和である張力軸速度加算信号Vadd1を演算して出力する。
張力制御演算部101は、張力指令信号Trefと張力制御量信号Tfbとの偏差である張力偏差信号Terrと加振実行指令信号Erunとを入力とする。張力制御演算部101は、加振実行指令信号Erunがオフである通常の状態においては、張力偏差信号Terrに対して、制御ゲインの1つである比例ゲインを乗じて得た比例補償信号と、張力偏差信号Terrに対して、制御ゲインの1つである積分ゲインを乗じて積分を行って得た積分補償信号との和を算出して、この和を張力制御補正信号Ucntとして出力する。本発明では、加振実行指令信号Erunがオンである期間を同定期間と呼び、この同定期間は予め定められた時間長を有するものとする。
張力制御演算部101は、加振実行指令信号Erunがオフからオンに切り換わる時に、加振実行指令信号Erunがオンになる直前の張力制御補正信号Ucntの値を保持し、同定期間には保持された張力制御補正信号Ucntの値を出力する。加振実行指令信号Erunがオンになる直前の張力制御補正信号Ucntの値を保つ動作は、比例ゲインおよび積分ゲインを0にし、積分の出力を保持するようにすることで実現される。これにより、張力制御演算部101は、同定期間においても直前の安定な制御状態を保つことができ、同定処理が実行される同定期間へと安定して移行し、短時間で制御対象装置部10の伝達特性を同定することができる。
加振実行指令生成部102は、制御装置部100の外部からの操作による指示入力に基づいてオン又はオフを示す信号である加振実行指令信号Erunを生成する。加振実行指令生成部102は、外部からの操作により加振実行指令信号Erunをオフからオンに変更し、予め定められた期間(同定期間)だけオンの信号を出力した後にオフへと戻す。ここで予め定められた期間とは、予め定めた一定時間又は制御対象同定部103の出力が予め定められた回数だけ変化したという判断を行うまでの期間のことであるが、これらの構成に限られない。
制御対象同定部103は、加振実行指令信号Erunがオンである同定期間に張力偏差信号Terrの符号に基づいて、予め設定された加算値振幅Dの大きさの振幅を持ち、正又は負の符号のうち張力偏差を小さくする方の符号を選択した信号である同定時加算信号Uaddを出力する。なお、制御対象同定部103は、加振実行指令信号Erunがオフの期間において0となる同定時加算信号Uaddを出力する。制御対象同定部103は、+Dと−Dとのうちいずれか一方を選択するときに、張力偏差信号Terrの代わりに張力偏差信号Terrにローパスフィルタを作用させた信号に基づいて+Dと−Dとの2つの値のうちから一方を選択してもよい。
制御対象同定部103が出力する同定時加算信号Uaddによる動作は、温度調整制御で多く用いられてきたリミットサイクル法と呼ばれる方法と同様である。加振実行指令信号Erunがオンになると、制御対象同定部103が出力する同定時加算信号Uaddと、張力偏差信号Terrが発振する。制御対象同定部103は、発振した張力偏差信号Terrの振幅と周期から制御対象装置部10の伝達特性を伝達関数として同定する。同定された伝達関数の係数は制御対象伝達関数信号Pprmとして出力される。
ゲイン保持部104は、制御対象伝達関数信号Pprmと応答パラメータ信号Rpfmとを入力として、制御対象伝達関数信号Pprmと応答パラメータ信号Rpfmとに基づいて、張力制御演算部101の制御ゲインの候補である制御ゲイン候補を複数組計算して保持する。制御ゲイン候補は比例ゲインの候補である比例ゲイン候補と積分ゲインの候補である積分ゲイン候補の組であるとする。ゲイン保持部104は複数組の制御ゲイン候補を制御ゲイン候補信号Gcanとして出力する。
張力偏差推定部105は、張力偏差信号Terrと制御対象伝達関数信号Pprmと制御ゲイン候補信号Gcanとを入力とする。張力偏差推定部105は、張力偏差信号Terrと制御対象伝達関数信号Pprmと制御ゲイン候補信号Gcanとを用いて、制御ゲイン候補信号Gcanに含まれる制御ゲイン候補ごとに、それぞれの制御ゲイン候補値を張力制御演算部101の制御ゲインとして設定した場合の張力偏差の推定値である張力偏差推定値を計算し、それぞれの制御ゲイン候補値と張力偏差推定値とを関連付けて張力偏差推定信号Testとして出力する。
ゲイン設定部106は張力偏差推定信号Testを入力として、張力偏差推定信号Testに基づいて複数組の制御ゲイン候補のうちから1組の制御ゲイン候補を選択して、選択された制御ゲイン候補の組を制御ゲイン設定値信号Gsetとして出力し、張力制御演算部101の制御ゲインとして設定する。
張力偏差推定部105とゲイン設定部106については、その詳細な構成を後述する。
減算器107は張力指令信号Trefと張力制御量信号Tfbとの差である張力偏差信号Terrを演算して出力する。
加算器108は張力制御補正信号Ucntと同定時加算信号Uaddとの和である張力軸速度加算信号Vadd1を演算して出力する。
図2は、本発明の実施の形態1におけるロール間搬送制御装置の張力偏差推定部105と、ゲイン設定部106の内部構成を示すブロック図である。
以下、張力偏差推定部105と、ゲイン設定部106について、図2を用いて詳細な説明を行う。ここでは、例としてゲイン保持部104において3組の制御ゲイン候補が計算され、保持される場合を考える。なお、ここで示すものは例示であって、この構成に限らない。ゲイン保持部104が計算する制御ゲイン候補は3組以外、つまり2組又は4組以上であってもよい。
張力偏差推定部105は、信号分割器1051、第1張力偏差推定器1052、第2張力偏差推定器1053、第3張力偏差推定器1054、信号結合器1055を備える。
信号分割器1051は、張力偏差推定部105に入力される制御ゲイン候補信号Gcanから、制御ゲイン候補信号Gcanに含まれる第1組目の制御ゲイン候補である第1制御ゲイン候補Gcan(1)、第2組目の制御ゲイン候補である第2制御ゲイン候補Gcan(2)、第3組目の制御ゲイン候補である第3制御ゲイン候補Gcan(3)を取り出して出力する。
第1張力偏差推定器1052は、張力偏差信号Terrと、第1制御ゲイン候補Gcan(1)と、制御対象伝達関数信号Pprmとを入力として、第1制御ゲイン候補Gcan(1)と、制御対象伝達関数信号Pprmと、現在に張力制御演算部101に設定されている制御ゲインとに基づいて、第1制御ゲイン候補Gcan(1)を張力制御演算部101の制御ゲインとして設定した場合の張力偏差信号Terrの推定値である第1張力偏差推定信号Test(1)を演算して、第1制御ゲイン候補Gcan(1)と関連付けて出力する。
第2張力偏差推定器1053は、張力偏差信号Terrと、第2制御ゲイン候補Gcan(2)と、制御対象伝達関数信号Pprmを入力として、第2制御ゲイン候補Gcan(2)と、制御対象伝達関数信号Pprmと、張力制御演算部101に設定されている制御ゲインとに基づいて、第2制御ゲイン候補Gcan(2)を張力制御演算部101の制御ゲインとして設定した場合の張力偏差信号Terrの推定値である第2張力偏差推定信号Test(2)を演算して、第2制御ゲイン候補Gcan(2)と関連付けて出力する。
第3張力偏差推定器1054は、張力偏差信号Terrと、第3制御ゲイン候補Gcan(3)と、制御対象伝達関数信号Pprmを入力として、第3制御ゲイン候補Gcan(3)と、制御対象伝達関数信号Pprmと、張力制御演算部101に設定されている制御ゲインとに基づいて、第3制御ゲイン候補Gcan(3)を張力制御演算部101の制御ゲインとして設定した場合の張力偏差信号Terrの推定値である第3張力偏差推定信号Test(3)を演算して、第3制御ゲイン候補Gcan(3)と関連付けて出力する。
信号結合器1055は、第1張力偏差推定信号Test(1)と、第2張力偏差推定信号Test(2)と、第3張力偏差推定信号Test(3)とを入力として、第1張力偏差推定信号Test(1)と、第2張力偏差推定信号Test(2)と、第3張力偏差推定信号Test(3)とを1つの信号として結合した張力偏差推定信号Testを出力する。
以上述べた第1偏差推定器1052、第2偏差推定器1053および第3偏差推定器1054からそれぞれ、第1張力偏差推定信号Test(1)、第2張力偏差推定信号Test(2)および第3張力偏差推定信号Test(3)を得る構成の詳細については後述する。
ゲイン設定部106は、信号分割器1061、第1包絡線信号演算器1062、第2包絡線信号演算器1063、第3包絡線信号演算器1064、包絡線信号比較器1065を備える。
信号分割器1061は、張力偏差推定信号Testから、張力偏差推定信号Testに含まれる第1張力偏差推定信号Test(1)と、第2張力偏差推定信号Test(2)と、第3張力偏差推定信号Test(3)を取り出して出力する。
第1包絡線信号演算器1062は、第1張力偏差推定信号Test(1)を入力として、ヒルベルト変換の手法を用いて第1張力偏差推定信号Test(1)の包絡線である第1包絡線信号Tenv(1)を演算して第1制御ゲイン候補Gcan(1)と関連付けて出力する。
第2包絡線信号演算器1063は、第1張力偏差推定信号Test(2)を入力として、ヒルベルト変換の手法を用いて第2張力偏差推定信号Test(2)の包絡線である第2包絡線信号Tenv(2)を演算して第2制御ゲイン候補Gcan(2)と関連付けて出力する。
第3包絡線信号演算器1064は、第3張力偏差推定信号Test(3)を入力として、ヒルベルト変換の手法を用いて第3張力偏差推定信号Test(3)の包絡線である第3包絡線信号Tenv(3)を演算して第3制御ゲイン候補Gcan(3)と関連付けて出力する。
ここで、包絡線とは、各時刻において1点を限定するものではなく、包絡線上から少しはずれた点も含んで構成される略包絡線も含むものとする。また、ここでは包絡線信号はヒルベルト変換に基づいて計算されるものとしているが、ヒルベルト変換を近似的に演算する有限次数のIIR(Infinite Impulse Response)フィルタ、あるいはFIR(Finite Impulse Response)フィルタを用いた計算を行ってもよい。
包絡線比較器1065は、第1包絡線信号Tenv(1)と、第2包絡線信号Tenv(2)と、第3包絡線信号Tenv(3)とを入力として、それぞれの包絡線信号の大きさを比較して、包絡線信号の大きさを最小とする制御ゲイン候補を選択する。そして、包絡線比較器1065は、選択された制御ゲイン候補を制御ゲイン設定値信号Gsetとして出力する。ここで、包絡線信号の大きさとは、同時刻におけるそれぞれの包絡線信号の大きさに限らず、例えば包絡線信号の大きさの平均値として、時間平均値であってもよいものとする。
次に、本実施の形態におけるロール間搬送制御装置の効果について説明する。
図3は、加振実行指令信号Erunをオンとするときの制御装置部100の時間応答を示す図である。同図では、横軸を時間として、加振実行指令生成部102が加振実行指令信号Erunをオンとするときの制御装置部100の時間応答を示す。図3の(A)は、制御装置部100における加振実行指令信号Erunの時間応答グラフである。図3の(B)は、制御装置部100における同定時加算信号Uaddの時間応答グラフである。図3の(C)は、制御装置部100における張力軸速度加算信号Vadd1の時間応答グラフである。図3の(D)は、制御装置部100における張力制御量信号Tfbの時間応答グラフである。
加振指令生成部102が加振実行指令信号Erunをオンとし、この加振実行指令信号Erunがオンとなっている期間には、張力偏差信号Terrの正又は負の符号に応じてそれぞれ、同定時加算信号Uaddが+D又は−Dの値をとる。すなわち、同定時加算信号は張力偏差信号Terrの正負の符号と同じ符号を取る2値信号となる。また、これに応じて張力偏差信号Terrが変化するため、同定時加算信号Uaddおよび張力偏差信号Terrは一定の周期で振動する。すなわち、リミットサイクルによる自励振動を生じる。ここで、一定の周期とは、一つの時間長に限定されるものではなく、周期が一定の周期から少しずれた略一定の周期も含むものとする。
制御対象同定部103は、上述のように加振実行指令信号Erunがオンになっている期間の張力偏差信号Terrの振動周期と振幅とから、張力制御補正信号Ucntを入力として張力制御量信号Tfbを出力とする制御対象の伝達関数である制御対象伝達関数Pを同定する。一例として、制御対象伝達関数Pは、以下の式(1)のように積分器と無駄時間器の積で近似的に表現される伝達関数である。
Figure 0006256656
式(1)において、Aは同定された制御対象伝達関数Pの特性を決める積分ゲイン(制御対象積分ゲイン)であり、Lは無駄時間(制御対象無駄時間)である。また、sはラプラス演算子である。
この場合、制御対象伝達関数信号Pprmは、同定された制御対象伝達関数Pの特性を決める積分ゲイン(制御対象積分ゲインA)と無駄時間(制御対象無駄時間L)を示す信号となる。
加振実行指令信号Erunがオンになっている期間(同定期間)は、予め時間長が設定されていてもよい(すなわち、一定の期間であってもよい)。ここで、硬い金属から柔らかい樹脂まで多様な材料が搬送の対象となる場合には、上記のリミットサイクルによる振動周波数が大きく異なり、また、実現できる制御の応答周波数も大きく異なる。そのため、張力偏差信号Terrの振動周波数を所定の数だけ数えて同定期間を終了するように設定することが望ましい。このとき、搬送材11の素材が金属を含め材料の張力変化による伸びが小さい場合には、数Hz以上の速さで振動が生じるため、上記の同定期間は1秒程度あればよい。また、搬送材11の素材が、樹脂の張力変化による伸びが大きい材料である場合には、振動の周波数が低くなるが、このような場合であっても上記の同定期間は数秒程度の短時間で十分であり、かつ1回の同定処理だけで正確な制御対象の同定が可能である。
以上述べたように、張力の発生特性の異なる搬送材を同一のロール間搬送制御装置で扱う場合、あるいは搬送速度設定が変更されることで張力軸ロールと速度軸ロールの速度差に対する張力の発生特性が変化する場合にも、本実施の形態のロール間搬送制御装置では、制御対象同定部103の動作により、正確に制御対象の同定を行うことができる。
ゲイン保持部104は、制御対象伝達関数信号Pprmと応答パラメータ信号Rpfmとに基づいて、張力制御量信号Tfbを安定化させる張力制御演算部101の制御ゲインの候補を計算して保持することができる。例えば、制御ゲイン候補を3組計算して保持するものとして、第i(1≦i≦3、iは自然数)制御ゲイン候補のうちの比例ゲインの候補を第i比例ゲイン候補Kpc(i)、第i制御ゲイン候補のうちの積分ゲインの候補を第i積分ゲイン候補Kic(i)とする。また、応答パラメータ信号Rpfmに含まれる要素のうち、第i制御ゲイン候補の応答特性を決める要素を第i応答パラメータRpfm(i)とする。このとき、第i比例ゲイン候補Kpc(i)と第i積分ゲイン候補Kic(i)は、式(1)の制御対象伝達関数Pの係数と以下の式(2)および式(3)に基づいて計算される。
Figure 0006256656
ここで、第i応答パラメータRpfm(i)として1.0が設定されている場合に、上の式(2)および式(3)に基づいて計算される第i比例ゲイン候補Kpc(i)と第i積分ゲイン候補Kic(i)は、Ziegler−Nicholsの調整則に基づいて調整される比例ゲインおよび積分ゲインと一致する。そのため、張力制御演算部101の制御ゲインとして設定される場合に、張力制御演算部101は安定余裕を有する制御を実現することができる。よって、式(2)および式(3)に基づく計算においては、第1から第3までの応答パラメータRpfm(i)を1.0以下に設定することで、3組の全ての制御ゲイン候補は、Ziegler−Nicholsの調整則に基づいて調整される制御ゲイン以下の値となる。
従って、それぞれの制御ゲイン候補を張力制御演算部101の制御ゲインとして設定する場合に張力制御演算部101は安定余裕を有する制御を実現することができる。
以上述べたように、制御対象同定部103とゲイン保持部104との動作に基づいて、例えばZiegler−Nicholsの調整則を基準として制御ゲイン候補が演算される。従って、保持される制御ゲイン候補は全て安定余裕を有する制御を実現できる制御ゲイン候補とすることができる。よって、ゲイン設定部106の動作に基づいて制御ゲイン候補の中から張力制御演算部に設定される制御ゲインが選択される場合に、安定余裕を有する制御ゲインが張力制御演算部101に設定される。
すなわち、応答パラメータRpfmを用いることにより、1つのパラメータの決定により簡易的に安定余裕を有する比例ゲインと積分ゲインとを計算することが可能となる。
ここまでZieger−Nicholsの調整則を例に挙げて説明してきたが、応答パラメータRpfmを1.0以下に設定することで、他の調整則を用いても簡易的に複数の安定な制御ゲイン候補を演算することができる。
例えば、Chien−Hrones−Reswickのステップ外乱入力に対する行き過ぎ量(ステップ外乱印加後の最初の制御量のピークと次の制御量のピークとの比)を0%とする調整則に基づいて、次の式(4)および式(5)を用いて安定な制御ゲイン候補を計算することが可能である。
Figure 0006256656
また、例えばChien−Hrones−Reswickのステップ外乱入力に対する行き過ぎ量を20%とする調整則に基づいて次の式(6)および式(7)のように安定な制御ゲイン候補を計算することが可能である。
Figure 0006256656
上示した方法により、ゲイン設定部106の動作に基づいて制御ゲイン候補の中から張力制御演算部に設定される制御ゲインが選択される場合に、安定余裕を有する制御ゲインが張力制御演算部101に設定される。
張力偏差推定部105は、上述の通り安定余裕を有する制御が実現可能な3組のそれぞれの制御ゲイン候補を、張力制御演算部101の制御ゲインとして設定した場合の張力偏差信号Terrの推定値である張力偏差推定信号Testを計算する。
張力制御演算部101の制御ゲインを第i制御ゲイン候補に置き換えた場合の張力偏差信号Terrの推定値を第i張力偏差推定信号Test(i)とする。張力制御演算部101に設定されている比例ゲインKと積分ゲインKに基づく張力制御演算部101の伝達関数を現在制御伝達関数C=K+K/sとする。第i制御ゲイン候補Gcan(i)を張力制御演算部101の制御ゲインとして設定した場合の張力制御演算部101の伝達関数を第i制御伝達関数C(i)=Kpc(i)+Kic(i)/sとする。
また、搬送材11に対して印加される周期外乱を、張力制御補正信号に対して印加される外乱に換算した信号を周期外乱信号Distbとする。張力制御量信号Tfbが張力指令信号Tref近辺に整定している状態で周期外乱信号Distbが印加される場合において、現在制御伝達関数Cと、制御対象伝達関数Pと、周期外乱信号Distbと、張力偏差信号Terrとの関係式は次の式(8)の通りである。
Figure 0006256656
また、同様に、第i制御伝達関数C(i)と、制御対象伝達関数Pと、周期外乱信号Distbと、周期外乱信号Distbと、第i張力偏差推定信号Test(i)との関係式は次の式(9)で表される。
Figure 0006256656
式(8)と式(9)とから周期外乱信号Distbを消去すると次の式(10)が得られる。
Figure 0006256656
ここで、張力制御演算部101の伝達関数が現在制御伝達関数Cであるとしたときの感度関数を現在感度関数とよぶことにする。式(10)は、張力制御演算部101の伝達関数が第i制御伝達関数Cc(i)であるとしたときの感度関数を、現在感度関数で除した式である。また、式(10)の伝達関数を偏差推定伝達関数とする。偏差推定伝達関数は張力偏差信号Terrに基づいて、それぞれの制御ゲイン候補を張力制御演算部に設定した場合における、ロール間搬送制御装置に対して印加される周期外乱信号Distbに対する張力偏差信号を計算する式である。
式(10)により、第i張力偏差推定信号Test(i)は張力偏差信号Terrの良好な推定値となるといえる。従って、張力偏差推定部105の動作により、印加される周期外乱信号Distbが観測されない場合にも、式(10)に基づいて、既知の制御対象伝達関数Pと、現在制御伝達関数Cと、第i制御伝達関数C(i)とを用いることで、第i制御ゲイン候補Gcan(i)を張力制御演算部101の制御ゲインとして設定した場合の張力偏差信号Terrの推定値である第i張力偏差推定信号Test(i)を計算することができる。
ゲイン設定部106では、第i張力偏差推定信号Test(i)の包絡線である第i包絡線信号Tenv(i)を計算して、それぞれの包絡線信号の大きさを比較する。このとき、前述の通り第i張力偏差推定信号Test(i)は、第i制御ゲイン候補Gcan(i)を張力制御演算部101の制御ゲインとして設定した場合の、周期外乱信号Distbに対する張力偏差信号Terrの良い推定値である。よって、第i張力偏差推定信号Test(i)の包絡線である第i包絡線信号Tenv(i)は、張力制御演算部101の制御ゲインを第i組目の制御ゲイン候補に変更した場合の張力偏差信号Terrの振動振幅の良い推定値であるといえる。ゲイン設定部106が包絡線信号の大きさが最小となる制御ゲイン候補を選択して張力制御演算部101の制御ゲインとして設定することで、周期外乱に対する張力偏差信号の振動振幅を最小とする制御ゲインを設定することができる。
次に、包絡線信号を演算する効果について説明する。
張力偏差信号Terrの振幅を最小化するための制御ゲイン候補を選択するためには、それぞれの制御ゲイン候補に対する張力偏差推定信号Testの振幅が比較された上で制御ゲイン候補が選択されることが望ましい。しかし、このとき包絡線信号の演算を用いないで、仮に同時刻におけるそれぞれの張力偏差推定信号Testの値を比較するものとすると、それぞれの制御ゲイン候補の位相遅れ特性の差に基づいて生じる張力偏差推定信号Testの位相の差の影響が張力偏差推定信号Testの値に顕著に表れることなる。そのため、正しく張力偏差推定信号Testの振幅を最小化する制御ゲイン候補を選択できない場合がある。
本実施の形態のゲイン設定部106では、張力偏差推定信号Testの振幅の良い推定値である包絡線信号Tenvを計算して比較する。その結果、同時刻の信号の比較においても制御ゲイン候補の位相遅れ特性の影響を受けずに、張力偏差推定信号Testの振幅を比較することができる。
次に周期外乱の周波数が変化する場合に、ゲイン設定部106により制御ゲインを設定する効果について述べる。
図4は、張力偏差信号Testと包絡線信号Tenvの例を示す図である。同図には、ゲイン保持部104が3組の制御ゲイン候補を保持しており、周波数が低い周期外乱が印加される場合と、周波数が高い周期外乱が印加される場合とにおける3組の制御ゲイン候補に関連付けられる張力偏差推定信号Testと包絡線信号Tenvとが示される。ここで、図4の横軸は時間軸である。
図4の(A1)は、周期外乱信号Distbの周波数が低い場合の第1張力偏差推定信号Test(1)と第1包絡線信号Tenv(1)とを記した図である。図4の(A2)は、周期外乱信号Distbの周波数が低い場合の第2張力偏差推定信号Test(2)と第2包絡線信号Tenv(2)とを記した図である。図4の(A3)は、周期外乱信号Distbの周波数が低い場合の第3張力偏差推定信号Test(3)と第3包絡線信号Tenv(3)とを記した図である。
図4の(B1)は、周期外乱信号Distbの周波数が高い場合の第1張力偏差推定信号Test(1)と、第1包絡線信号Tenv(1)とを記した図である。図4の(B2)は、周期外乱信号Distbの周波数が高い場合の第2張力偏差推定信号Test(2)と、第2包絡線信号Tenv(2)とを記した図である。図4の(B3)は、周期外乱信号Distbの周波数が高い場合の第3張力偏差推定信号Test(3)と、第3包絡線信号Tenv(3)とを記した図である。
本実施の形態のロール間搬送装置によれば、図4に示すように、周期外乱(周期外乱信号Distb)の周波数が低い場合には、その包絡線信号の大きさが最小となる第1の制御ゲイン候補が選択される。一方で、周期外乱の周波数が高い場合には、その包絡線信号の大きさが最小となる第2の制御ゲイン候補が選択される。上記の動作はオンラインで、すなわち、ロール間搬送装置で制御を行っている間に実行される。従って、周期外乱の周波数が変化する際にも、ゲイン設定部106の効果により張力偏差が最小となる制御ゲインを張力制御演算部101の制御ゲインとして設定することができる。
以上述べたように、本実施の形態のロール間搬送制御装置によれば、周期外乱による張力変動の抑制のための制御ゲインのゲインテーブルを事前に設定する作業を必要とせず、また、搬送材の材質、搬送速度を含む運転条件の変更に基づいて張力の発生特性が変化する場合、あるいは周期外乱の周波数が変化する場合にも、制御ゲインが適切に調整され張力制御の良好な応答性能を実現することができる。
なお、ここでは、制御ゲイン候補が3組の場合を例に説明をしたが、上述したように、制御ゲイン候補が2組または制御ゲイン候補が4組以上の場合にも、同様に包絡線信号の大きさが最小となる制御ゲイン候補を選択することで、張力偏差が最小となる制御ゲインを設定することができる。
また、本実施の形態では、ゲイン設定部106により選択された制御ゲイン候補が張力制御演算部101に設定されるものとした。さらに、張力制御演算部101の制御ゲインが変更される際には、制御ゲインの値に対してローパスフィルタ、変化率に対するリミッタを作用させて、張力制御演算部の制御ゲインの変化を鈍化する処理をしてもよい。
本実施の形態では、張力制御演算部101は比例補償および積分補償からなるものとして、制御ゲイン候補は比例ゲインおよび積分ゲインであるものとして記述したが、微分補償を追加して制御ゲイン候補に微分ゲインを追加してもよい。
実施の形態2.
実施の形態1に示すロール間搬送制御装置では、制御装置部100は加振実行指令生成部102と制御対象同定部103を備えている。ここで、予め制御対象の伝達関数が得られており、ゲイン保持部104に制御ゲイン候補が設定されている場合には、制御装置部100は加振実行指令生成部102と制御対象同定部103は必ずしも必要ではない。本実施の形態では、制御対象装置部が加振実行指令生成部102と制御対象同定部103を備えていない場合の構成について示す。
図5は、本発明の実施の形態2に係るロール間搬送制御装置の構成を示すブロック線図である。
図5において、制御装置部200は、制御ゲインを用いて張力制御補正信号Ucntを算出する張力制御演算部201と、張力制御演算部201の制御ゲインの候補である制御ゲイン候補を複数保持するゲイン保持部204と、制御ゲイン候補を張力制御演算部201の制御ゲインとして設定した場合の張力偏差信号Terrを制御ゲイン候補ごとに推定する張力偏差推定部205と、張力制御演算部201の制御ゲインを変更するゲイン設定部206と、減算器107とを備える。
図5において、図1と同一の構成要素については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
次に、本実施の形態におけるロール間搬送制御装置の動作について述べる。
張力制御演算部201は、張力指令信号Trefと張力制御量信号Tfbとの偏差である張力偏差信号Terrを入力とする。張力制御演算部201は、張力偏差信号Terrに対して制御ゲインの1つである比例ゲインを乗じて得た比例補償信号と、張力偏差信号Terrに対して制御ゲインの1つである積分ゲインを乗じて積分を行って得た積分補償信号との和を張力制御補正信号Ucntとして出力する。
ゲイン保持部204は、張力制御演算部201の比例ゲインの候補である比例ゲイン候補と積分ゲインの候補である積分ゲイン候補とを1つの組とする制御ゲイン候補を複数保持する。制御ゲイン候補は予め設定されているものとする。ゲイン保持部204は複数組の制御ゲイン候補を制御ゲイン候補信号Gcanとして出力する。
張力偏差推定部205は、張力偏差信号Terrと制御ゲイン候補信号Gcanとを入力とする。ここで、張力軸速度加算信号Vadd1を入力として張力制御量信号Tfbを出力とする制御対象装置部10の伝達関数を制御対象伝達関数Pとする。張力偏差推定部205は、張力偏差信号Terrと制御ゲイン候補信号Gcanとからなる入力と、制御対象伝達関数Pとに基づいて、制御ゲイン候補信号Gcanに含まれる制御ゲイン候補ごとに、それぞれの制御ゲイン候補値を張力制御演算部201の制御ゲインとして設定した場合の張力偏差の推定値である張力偏差推定値を計算する。そして、張力偏差推定部205は、それぞれの制御ゲイン候補と張力偏差推定値とを関連付けて張力偏差推定信号Testとして出力する。このとき、制御対象伝達関数Pは予め設定されているものとする。
張力偏差推定部205は、制御対象伝達関数Pを実施の形態1のように制御対象伝達関数信号Pprmに基づいて得るのではなく、制御対象伝達関数Pが予め設定されている点のみが、実施の形態1の張力偏差推定部105との差異であり、その他の処理は同一である。よって、制御対象伝達関数Pが予め設定されることで、張力偏差推定部205では、実施の形態1の張力偏差推定部105と同様の処理が行われる。
また、本実施の形態では、実施の形態1とは異なり、張力制御演算部201で演算されて出力される張力制御補正信号Ucntは、張力軸速度加算信号Vadd1に代入される。すなわち、張力制御補正信号Ucntの値が、張力軸速度加算信号Vadd1の値としてそのまま用いられる(図5においては括弧書きを用いて、UcntがVadd1として用いられることを示す)。
次に、本実施の形態に係るロール間搬送制御装置の効果について説明する。
本実施の形態におけるロール間搬送制御装置では、ロール間搬送制御装置のユーザが予め複数の制御ゲイン候補をゲイン保持部204に設定しておく。張力制御推定部205において制御ゲイン候補ごとに、制御ゲイン候補を張力制御演算部201に設定した場合の張力偏差信号Terrの推定値である張力偏差推定信号Testが演算される。このときの演算は実施の形態1と同様に行われるため、張力偏差推定信号Testは、実施の形態1で述べたように、それぞれの制御ゲイン候補を張力制御演算部201に設定した場合の張力偏差信号Terrの良い推定値となる。
また、ゲイン設定部106が、それぞれの制御ゲイン候補に関連付けられた張力偏差推定信号Testの包絡線信号Tenvを演算して、その包絡線信号の大きさを比較する。これにより、実施の形態1と同様に、制御ゲイン候補の中から、それぞれの制御ゲイン候補を張力制御演算部201に設定した場合に、張力偏差信号Terrの振幅を最小とする制御ゲイン候補を選択して張力制御演算部201の制御ゲインとして設定することができる。
よって、本実施の形態におけるロール間搬送制御装置では、ロール間搬送制御装置のユーザが予め設定した複数の制御ゲイン候補の中から、周期外乱に基づいて発生する張力偏差信号Terrの振幅が最小となる制御ゲイン候補を選択して、張力制御演算部201の制御ゲインとして設定することができるため、周期外乱に基づいて発生する張力偏差信号Terrの振幅を低減することができる。
本実施の形態のロール間搬送制御装置においては、ロール間搬送制御装置のユーザが制御ゲイン候補を新たに入力し、ゲイン保持部204が新たに入力される制御ゲイン候補を保持することで、制御ゲイン候補の組を増やすことも可能である。これにより、予め設定されている複数の制御ゲイン候補と、新たに入力される制御ゲイン候補の中から、張力偏差が最小となる制御ゲインを選択することができる。
本実施の形態のロール間搬送制御装置によれば、ロール間搬送制御装置の運転開始前に手間時間を掛けてゲインテーブルを設定する必要がなく、周期外乱に対する応答が良好となる張力制御を実現するロール間搬送制御装置を得ることができる。
なお、本実施の形態では、ゲイン設定部により選択された制御ゲイン候補が張力制御演算部に設定されるものとした。これに対して、張力制御演算部の制御ゲインが変更される際には、制御ゲインの値に対してローパスフィルタ又は変化率に対するリミッタを作用させて、張力制御演算部の制御ゲインの変化を鈍化する処理をしてもよい。
また、本実施の形態では、張力制御演算部201は比例補償および積分補償からなるものとして、制御ゲイン候補は比例ゲインおよび積分ゲインであるものとして記述したが、微分補償を追加して制御ゲイン候補に微分ゲインを追加してもよい。
実施の形態3.
実施の形態1に示すロール間搬送制御装置では、張力偏差推定部105において、張力偏差推定信号を演算する演算式は、式(10)に示す通りであるが、張力偏差推定部105の演算式は式(10)に限定されるものではない。本実施の形態では、張力偏差推定部105において、ローパスフィルタとハイパスフィルタを用いた演算に基づいて、良好な制御ゲイン候補の選択が可能なロール間搬送制御装置の構成について述べる。
図6は、本発明の実施の形態3に係るロール間搬送制御装置の構成を示すブロック線図である。
図6において、制御装置部300は、制御ゲインを用いて張力制御補正信号Ucntを算出する張力制御演算部101と、オン又はオフの信号である加振実行指令信号Erunを出力する加振指令生成部102と、制御対象装置部10の伝達特性を同定する制御対象同定部103と、張力制御演算部101の制御ゲインの候補である制御ゲイン候補を複数保持するゲイン保持部304と、制御ゲイン候補を張力制御演算部101の制御ゲインとして設定した場合の張力偏差信号Terrを制御ゲイン候補ごとに推定する張力偏差推定部305と、張力制御演算部101の制御ゲインを変更するゲイン設定部306と、減算器107と、加算器108とを備える。
図6において、図1と同一の構成要素については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
次に、本実施の形態におけるロール間搬送制御装置の動作について述べる。
ゲイン保持部304は、制御対象伝達関数信号Pprmと応答パラメータ信号Rpfmとを入力として、制御対象伝達関数信号Pprmと応答パラメータ信号Rpfmとに基づいて、張力制御演算部101の制御ゲインの候補である制御ゲイン候補を2組計算する。制御ゲイン候補は比例ゲインの候補である比例ゲイン候補と積分ゲインの候補である積分ゲイン候補の組であるとする。ゲイン保持部304は2組の制御ゲイン候補を制御ゲイン候補信号Gcanとして出力する。
張力偏差推定部305は、張力偏差信号Terrと制御対象伝達関数信号Pprmと制御ゲイン候補信号Gcanとを入力とする。張力偏差推定部305は、張力偏差信号Terrと制御対象伝達関数信号Pprmと制御ゲイン候補信号Gcanとに基づいて、制御ゲイン候補信号Gcanに含まれる制御ゲイン候補ごとに、それぞれの制御ゲイン候補値を張力制御演算部101の制御ゲインとして設定した場合の張力偏差の推定値である張力偏差推定値を計算する。張力偏差推定部305は、それぞれの制御ゲイン候補と張力偏差推定値とを関連付けて張力偏差推定信号Testとして出力する。
ゲイン設定部306は張力偏差推定信号Testを入力として、張力偏差推定信号Testに基づいて2組の制御ゲイン候補のうちから1組の制御ゲイン候補を選択して、選択された制御ゲイン候補の組を制御ゲイン設定値信号Gsetとして出力する。
図7は、本実施の形態に係る発明における張力偏差推定部305と、ゲイン設定部306の内部の構成を示すブロック図である。
以下の説明では、ゲイン保持部304において2組の制御ゲイン候補が計算され、保持される場合を考える。
張力偏差推定部305は、遮断周波数演算器3051、第1張力偏差推定器3052、第2張力偏差推定器3053、信号結合器3054を備える。
遮断周波数演算器3051は、制御ゲイン候補信号Gcanと、制御対象伝達関数信号Pprmとを入力とする。遮断周波数演算器3051は、制御ゲイン候補信号Gcanに含まれる第1制御ゲイン候補Gcan(1)および第2制御ゲイン候補Gcan(2)と、制御対象伝達関数信号Pprmとに基づいて、第1遮断周波数Wcut(1)および第2遮断周波数Wcut(2)を演算して出力する。
第1張力偏差推定器3052は、張力偏差信号Terrと、第1遮断周波数Wcut(1)を入力とする。第1張力偏差推定器3052は、第1遮断周波数Wcut(1)を遮断周波数とするローパスフィルタを用いた演算に基づいて、第1制御ゲイン候補Gcan(1)を張力制御演算部101の制御ゲインとして設定した場合の張力偏差信号Terrの推定値である第1張力偏差推定信号Test(1)を演算する。第1張力偏差推定器3052は、第1張力偏差推定信号Test(1)を第1制御ゲイン候補Gcan(1)と関連付けて出力する。
第2張力偏差推定器3053は、張力偏差信号Terrと、第2遮断周波数Wcut(2)を入力とする。第2張力偏差推定器3053は、第2遮断周波数Wcut(2)を遮断周波数とするハイパスフィルタを用いた演算に基づいて、第2制御ゲイン候補Gcan(2)を張力制御演算部101の制御ゲインとして設定した場合の張力偏差信号Terrの推定値である第2張力偏差推定信号Test(2)を演算する。第2張力偏差推定器3053は、第2張力偏差推定信号Test(2)を第2制御ゲイン候補Gcan(2)と関連付けて出力する。
信号結合器3054は、第1張力偏差推定信号Test(1)と、第2張力偏差推定信号Test(2)を入力として、第1張力偏差推定信号Test(1)と、第2張力偏差推定信号Test(2)とを1つの信号として結合した張力偏差推定信号Testを出力する。
ゲイン設定部306は、信号分割器3061、第1包絡線信号演算器3062、第2包絡線信号演算器3063、減算器3064、ゲイン選択器3065を備える。
信号分割器3061は、張力偏差推定信号Testから、張力偏差推定信号Testに含まれる第1張力偏差推定信号Test(1)と、第2張力偏差推定信号Test(2)を取り出して出力する。
第1包絡線信号演算器3062は、第1張力偏差推定信号Test(1)を入力として、ヒルベルト変換の手法を用いて第1張力偏差推定信号Test(1)の包絡線である第1包絡線信号Tenv(1)を演算して第1制御ゲイン候補Gcan(1)と関連付けて出力する。
第2包絡線信号演算器3063は、第1張力偏差推定信号Test(2)を入力として、ヒルベルト変換の手法を用いて第2張力偏差推定信号Test(2)の包絡線である第2包絡線信号Tenv(2)を演算して第2制御ゲイン候補Gcan(2)と関連付けて出力する。
ここで、包絡線は各時刻において1点を限定するものではなく、包絡線上から少しはずれた点を含んで構成される略包絡線も含むものとする。また、ここでは包絡線信号はヒルベルト変換に基づいて計算されるものとしているが、ヒルベルト変換を近似的に演算する有限次数のIIRフィルタ又はFIRフィルタを用いた計算を行ってもよい。
減算器3064は、第1包絡線信号Tenv(1)と第2包絡線信号Tenv(2)との差である包絡線差分信号dTenvを演算して出力する。
ゲイン選択器3065は、包絡線差分信号dTenvを入力として、包絡線差分信号dTenvの時間積分に基づいて、積分結果が正であれば第2制御ゲイン候補を選択し、積分値が負であれば第1制御ゲイン候補を選択する。ゲイン選択器3065は選択された制御ゲイン候補を制御ゲイン設定値信号Gsetとして出力する。ここで、包絡線差分信号の積分値には上限および下限を設定してもよい。本実施の形態における減算器3064とゲイン選択器3065の処理は、包絡線信号の大きさを最小とする制御ゲイン候補を選択する処理である。
次に、本実施の形態におけるロール間搬送制御装置の動作を説明する。
第1制御ゲイン候補Gcan(1)に基づく制御器の伝達関数を第1制御伝達関数C(1)、第2制御ゲイン候補Gcan(2)に基づく制御器の伝達関数を第2制御伝達関数C(2)とする。このとき、第2制御ゲイン候補Gcan(2)の制御ゲインは第1制御ゲイン候補Gcan(1)と比べて大きい値であるとして説明を行う。
張力偏差推定部305の遮断周波数演算器3051において、張力制御演算部101に第1制御ゲイン候補を設定した場合の感度関数を第1感度関数S(1)、張力制御演算部101に第2制御ゲイン候補を設定した場合の感度関数を第2感度関数S(2)として次の式(11)および式(12)を用いて演算する。
Figure 0006256656
また、遮断周波数演算器3051は、張力制御演算部101の制御帯域近辺で、第1感度関数S(1)と第2感度関数S(2)とのゲインが等しくなる周波数を中間点周波数Wmidとして演算する。中間点周波数Wmidよりも高い周波数域では、第1感度関数S(1)のゲインは第2感度関数S(2)のゲインよりも小さくなる。そのため、中間点周波数Wmidよりも高い周波数の外乱が印加される場合には、第1制御ゲイン候補Gcan(1)を選択するが周期外乱の影響を低減できることがわかる。一方で、中間点周波数Wmidよりも低い周波数域では、第2感度関数S(2)のゲインは第1感度関数S(1)のゲインよりも小さくなる。そのため、中間点周波数Wmidよりも低い周波数の外乱が印加される場合には、第2制御ゲイン候補Gcan(2)を選択するほうが周期外乱の影響を低減できることがわかる。
遮断周波数演算器3055は第1遮断周波数Wcut(1)と第2遮断周波数Wcut(2)に中間点周波数Wmidの値を出力する。ここで、第1遮断周波数Wcut(1)と第2遮断周波数Wcut(2)については、0以上で、かつ中間点周波数Wmidよりも十分に小さい値である周波数補正量Wgapを用いて、以下に示す式(13)および式(140)のように演算してもよい。
Figure 0006256656
図8は、張力偏差推定部305における演算に用いられるフィルタの周波数応答波形を示す図である。図8は、周波数補正量Wgapを用いて、式(13)および式(14)に基づいて第1遮断周波数Wcut(1)と第2遮断周波数Wcut(2)とを演算した際の、第1張力偏差推定器3052のローパスフィルタ(第1フィルタ)と、第2張力偏差推定器3053のハイパスフィルタ(第2フィルタ)の周波数に対するゲインを示す。ここで、図8の横軸は周波数である。
図8に示す通り、中間点周波数Wmidよりも低い周波数の信号が入力される場合に、第1張力偏差推定器3052のローパスフィルタは信号を通過させる動作となる。これに対して、第2張力偏差推定器3053のハイパスフィルタは信号を遮断させて略零を出力する動作となる。一方で、中間点周波数Wmidよりも高い周波数の信号が入力される場合に、第2張力偏差推定器3053のハイパスフィルタは信号を概ね通過させる動作となる。これに対し、第1張力偏差推定器3052のローパスフィルタは信号を概ね遮断させて零(略零の値を含む)を出力する動作となる。
第1張力偏差推定器3052は、第1遮断周波数Wcut(1)を遮断周波数とするローパスフィルタを張力偏差信号Terrに対して適用される演算を行い、その演算結果を第1張力偏差推定信号Test(1)として出力する。第2張力偏差推定器3053は、第2遮断周波数Wcut(2)を遮断周波数とするハイパスフィルタを、張力偏差信号Terrに適用される演算を行い、その演算結果を第2張力偏差推定信号Test(2)として出力する。
例えば、張力偏差信号Terrが中間点周波数Wmidよりも高い周波数成分の信号を多く含んでいる場合、第1張力偏差推定器3052では、ローパスフィルタにより張力偏差信号Terrの振動成分が低減される。そのため、出力される第1張力偏差推定信号Test(1)の振動振幅は、第2偏差推定信号Test(2)の振動振幅よりも小さくなる。一方で、張力偏差信号Terrが中間点周波数Wmidよりも低い周波数成分の信号を多く含んでいる場合、第2張力偏差推定器3053では、ハイパスフィルタにより張力偏差信号Terrの振動成分が低減される。そのため、出力される第2偏差推定信号Test(2)の振動振幅は、第1張力偏差推定信号Test(1)の振動振幅よりも小さくなる。
よって、上記の第1張力偏差推定信号Test(1)と第2張力偏差推定信号Test(2)の振幅を比較することで、2組の制御ゲイン候補のうち、いずれが張力偏差信号Terrに含まれる振動成分を低減することができるかを判断することができる。
ゲイン設定部306において、包絡線を演算することの効果は実施の形態1で述べた効果と同様である。
包絡線差分信号dTenvは、第1包絡線信号Tenv(1)と第2包絡線信号Tenv(2)との差を示す信号である。つまり、包絡線差分信号dTenvは、第1偏差推定信号Test(1)と第2偏差推定信号Test(2)との振幅の差を示す信号である。包絡線差分信号dTenvの符号が正であれば、第1偏差推定信号Test(1)の振幅が第2偏差推定信号Test(2)の振幅よりも大きいと判断される。また、包絡線差分信号dTenvの符号が負であれば第2偏差推定信号Test(2)の振幅が第1偏差推定信号Test(1)の振幅よりも大きいと判断される。
ゲイン選択器3065において、包絡線差分信号dTenvを時間積分し、例えば、その積分結果が正であれば、第2制御ゲイン候補信号を制御ゲイン設定値信号Gsetとして出力する。このとき、包絡線差分信号dTenvの時間積分が正であるので、一定期間において、第1偏差推定信号Test(1)の振幅が、第2偏差推定信号Test(2)の振幅よりも大きいといえる。つまり、張力偏差推定部305において、ハイパスフィルタを通過した信号よりもローパスフィルタを通過した信号が多いということであり、張力偏差信号Terrには、中間点周波数Wmidよりも低い周波数の信号が多く含まれていると判断することができる。このときゲイン選択器3065は、第1制御ゲイン候補よりも張力偏差信号Terrを低減することが可能な第2制御ゲイン候補を選択することができる。
本実施の形態におけるロール間搬送制御装置では、制御ゲイン候補信号Gcan 又は制御対象伝達関数信号Pprmが変更されない限りは、遮断周波数である第1遮断周波数Wcut(1)と第2遮断周波数Wcut(2)は固定の値である。よって、第1張力偏差推定器3052と第2張力偏差推定器3053における演算は、固定の遮断周波数によって周波数特性が決定されるローパスフィルタとハイパスフィルタの演算のみである。従って、本実施の形態におけるロール間搬送制御装置においては、演算が簡易であり、演算のためのメモリおよび計算時間が少ないという利点がある。
本実施の形態によれば、ロール間搬送制御装置の運転開始前に手間時間を掛けてゲインテーブルを設定する必要が無く、周期外乱に対する応答が良好となる張力制御を実現するロール間搬送制御装置を得ることができる。
なお、本実施の形態では、第2制御ゲイン候補Gcan(2)の制御ゲインが第1制御ゲイン候補Gcan(1)と比べて大きいものと仮定したが、第1制御ゲイン候補Gcan(1)の制御ゲインが第2制御ゲイン候補Gcan(2)と比べて大きいものとしてもよい。この場合には、第1張力偏差推定器3052においてハイパスフィルタの演算を行い、第2張力偏差推定器3063においてローパスフィルタの演算を行うような構成にするとよい。
本実施の形態では、ゲイン設定部306により選択された制御ゲイン候補が張力制御演算部101に設定されるものとした。張力制御演算部101の制御ゲインが変更される際には、制御ゲインの値に対してローパスフィルタ又は変化率に対するリミッタを作用させて、張力制御演算部の制御ゲインの変化を鈍化する処理をしてもよい。
実施の形態4.
実施の形態1に示すロール間搬送制御装置では、制御対象同定部103が図3に示すように、同定時加算信号Uaddとして正負の符号を繰り返す矩形波信号を出力してリミットサイクルを発生させて、その時の張力偏差信号に基づいて制御対象の同定を行う。制御対象の同定をすることができれば他の加振方法でもよい。本実施の形態では、制御対象同定部が同定時加算信号Uaddとしてステップ信号を出力することで張力偏差信号Terrを加振して制御対象の同定を行う構成について述べる。
図9は、本発明の実施の形態4におけるロール間搬送制御装置の構成を示すブロック線図である。
図9において、制御装置部400は、制御ゲインを用いて張力制御補正信号Ucntを算出する張力制御演算部101と、オン又はオフの信号である加振実行指令信号Erunを出力する加振指令生成部402と、制御対象装置部10の伝達特性を同定する制御対象同定部403と、張力制御演算部101の制御ゲインの候補である制御ゲイン候補を複数保持するゲイン保持部104と、制御ゲイン候補を張力制御演算部101の制御ゲインとして設定した場合の張力偏差信号Terrを制御ゲイン候補ごとに推定する張力偏差推定部105と、張力制御演算部101の制御ゲインを設定するゲイン設定部106と、減算器107と、加算器108とを備える。図9において、図1と同一の構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
次に、本実施の形態におけるロール間搬送制御装置の動作について述べる。
加振実行指令生成部402は、外部からの操作による指示入力に基づいてオン又はオフを示す信号である加振実行指令信号Erunを生成する。加振実行指令生成部402は、外部からの操作により加振実行指令信号Erunをオフからオンに変更し、予め定められた期間(同定期間)だけオンの信号を出力した後にオフへと戻す。ここで予め定められた期間とは予め定めた一定時間とする。あるいは、同定期間として、制御対象同定部403の出力が予め定められた回数だけ変化したという判断を行うまでの期間のことであってもよい。なお、同定期間はこれらに限る訳ではなく、制御対象装置部10の伝達特性を同定するのに十分な期間として予め定めてあるものであればよい。
制御対象同定部403は、加振実行指令信号Erunがオンである同定期間に予め設定された加算値振幅Dの大きさの振幅を持つステップ信号である同定時加算信号Uaddを出力する。なお、制御対象同定部403は、加振実行指令信号Erunがオフの期間において、0となる同定時加算信号Uaddを出力する。
次に、本実施の形態におけるロール間搬送制御装置400が奏する効果について述べる。
図10は、制御装置部400の時間応答を示す図である。図10は、横軸を時間として、加振実行指令生成部402が加振実行指令信号Erunをオンとするときの制御装置部400の時間応答を示すものである。図10の(A)は、加振実行指令信号Erunの時間応答グラフであり、図10の(B)は、同定時加算信号Uaddの時間応答グラフであり、図10の(C)は、張力軸速度加算信号Vadd1の時間応答グラフであり、図10の(D)は、張力制御量信号Tfbの時間応答グラフである。
制御対象同定部403は、張力偏差信号Terrと加振実行指令信号Erunとを入力とする。制御対象同定部403は、加振実行指令信号Erunがオンである同定期間の張力偏差信号Terrおよび同定時加算信号Uaddに基づいて、張力軸速度加算信号Vadd1を入力として張力制御量信号Tfbを出力とする制御対象装置部10の伝達関数である制御対象伝達関数Pを演算する。例えば、このとき同定される制御対象伝達関数Pは以下の式(15)にて表される。
Figure 0006256656
式(15)は3次遅れ系の伝達関数の一例である。ここにa、a、aおよびaは定数であり、制御対象伝達関数信号Pprmを構成するものである。
また、現在における張力制御演算部101の伝達関数を現在制御伝達関数Cとすると、張力制御量信号Tfbが張力指令信号Tref近辺に整定している状態で同定時加算信号Uaddが印加される場合において、同定時加算信号Uaddと張力偏差信号Terrの関係は以下の式(16)にて表される。
Figure 0006256656
加振実行指令信号Erunがオンである同定期間の同定時加算信号Uaddおよび張力偏差信号Terrの時系列データに基づいて、制御対象伝達関数Pを同定する。例えば、最小二乗法により上記の式(16)に基づいて、現在制御伝達関数Cが既知であることから、制御対象伝達関数Pを同定することができる。
ここで同定された制御対象伝達関数Pを制御対象伝達関数信号Pprmとして制御対象同定部403より出力される。
本実施の形態では、制御対象伝達関数Pを同定する処理のみが実施の形態1との差異であり、制御対象伝達関数Pを同定する処理を除く他の処理は、実施の形態1と同様の処理である。
つまり、本実施の形態におけるロール間搬送装置では、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
上記の例では制御対象の伝達関数を3次遅れ系として表現したが、制御対象の伝達関数を例えば5次遅れ系は10次遅れ系等のより高次の伝達関数で表現して同定し、張力制御演算部もより高次の伝達関数で与えてもよい。このような場合には、ゲイン保持部104において、PID制御と比較してより細かく張力制御の応答性の調整を行うことができる制御器を演算して、その制御パラメータを保持しておくことができる。
本実施の形態のロール間搬送制御装置によれば、ロール間搬送制御装置の運転開始前に手間時間を掛けてゲインテーブルを設定する必要がく、周期外乱に対する応答が良好となる張力制御を実現するロール間搬送制御装置を得ることができる。
10 制御対象装置部、
11 搬送材、
12 張力軸ロール、
13 速度軸ロール、
14 張力制御量検出器、
21 張力軸速度制御部、
22 速度軸速度制御部、
100、200、300、400 制御装置部、
101 張力制御演算部、
102、402 加振実行指令生成部、
103、403 制御対象同定部、
104、204、304 ゲイン保持部、
105、205、305 張力偏差推定部、
106、306 ゲイン設定部。

Claims (7)

  1. 速度軸ロールおよび張力軸ロールの間で搬送材に張力を与えつつ前記搬送材を搬送するロール間搬送制御装置において、
    前記張力の目標値である張力指令信号と前記張力の検出値である張力制御量との偏差である張力偏差信号および制御ゲインを用いて張力制御補正信号を演算する張力制御演算部と、
    制御対象の同定を指示する指示入力を受けたときに加振実行指令信号をオフからオンにする加振実行指令生成部と、
    前記加振実行指令信号がオンにされると、前記張力制御補正信号に同定時加算信号を加算し、前記加算実行指令信号がオンになった後の予め定められた期間における前記張力偏差信号を用いて、前記張力制御補正信号を入力とし前記張力制御量を出力とする制御対象伝達関数を同定する制御対象同定部と、
    前記制御対象同定部で同定された前記制御対象伝達関数を用いて、前記張力制御演算部の制御ゲインの候補である複数の制御ゲイン候補値を演算して保持するゲイン保持部と、 前記張力制御演算部が動作している間に前記制御対象伝達関数を用いて、前記ゲイン保持部で保持される前記複数の制御ゲイン候補値の各々を前記張力制御演算部の制御ゲインとして設定した場合の前記張力偏差信号を演算して張力偏差推定信号として出力する張力偏差推定部と、
    前記複数の制御ゲイン候補値のうち、前記張力偏差推定信号を最小にする制御ゲイン候補値を前記張力制御演算部の制御ゲインとして設定するゲイン設定部と、
    前記速度軸ロールの速度が速度目標値として設定される基準速度信号に一致するように速度制御を行う速度軸速度制御部と、
    前記張力軸ロールの速度が前記基準速度信号と前記張力制御演算部によって演算される前記張力制御補正信号との和に一致するように速度制御を行う張力軸速度制御部と、を備えることを特徴とするロール間搬送制御装置。
  2. 前記張力偏差推定部は、前記制御対象伝達関数と、前記張力制御演算部に設定されている制御ゲインによる前記張力制御演算部の制御伝達関数である現在制御伝達関数とを用いて、前記張力制御演算部に設定されている制御ゲインによる感度関数である現在感度関数を算出し、
    前記制御対象伝達関数と、前記複数の制御ゲイン候補値の各々を前記張力制御演算部の制御ゲインとして設定した場合における前記張力制御演算部の制御伝達関数とを用いて、前記複数の制御ゲイン候補値の各々について候補感度関数を算出し、
    前記複数の制御ゲイン候補値の各々について、前記候補感度関数を前記現在感度関数で除した式で示される偏差推定伝達関数を算出し、
    前記張力偏差信号を前記偏差推定伝達関数に入力して前記張力偏差推定信号を演算して出力することを特徴とする請求項1に記載のロール間搬送制御装置。
  3. 前記ゲイン設定部は、前記複数の制御ゲイン候補値の各々について、前記張力偏差推定信号の包絡線となる包絡線信号を演算し、前記包絡線信号の大きさが最小となる制御ゲイン候補値を前記張力制御演算部の制御ゲインとして設定することを特徴とする請求項1に記載のロール間搬送制御装置。
  4. 前記包絡線信号の大きさとして前記包絡線信号の時間平均値を用いることを特徴とする請求項3に記載のロール間搬送制御装置。
  5. 記ゲイン保持部は、前記制御対象伝達関数に加えて、前記張力制御演算部の制御帯域を決定する応答パラメータを用いて、前記複数の制御ゲイン候補値を演算して保持することを特徴とする請求項1に記載のロール間搬送制御装置。
  6. 前記同定時加算信号は、予め定められた大きさを有し、前記張力偏差信号の正負の符号と一致する符号を取る2値信号であることを特徴とする請求項1に記載のロール間搬送制御装置。
  7. 速度軸ロールおよび張力軸ロールの間で搬送材に張力を与えつつ前記搬送材を搬送するロール間搬送制御方法において、
    前記張力の目標値である張力指令信号と前記張力の検出値である張力制御量との偏差である張力偏差信号および制御ゲインを用いて張力制御補正信号を演算する第1のステップと、
    制御対象の同定を指示する指示入力を受けて加振実行指令信号がオフからオンにされると、前記張力制御補正信号に同定時加算信号を加算し、前記加算実行指令信号がオンになった後の予め定められた期間における前記張力偏差信号を用いて、前記張力制御補正信号を入力とし前記張力制御量を出力とする制御対象伝達関数を同定する第2のステップと、 前記第2のステップで同定された前記制御対象伝達関数を用いて、前記制御ゲインの候補である複数の制御ゲイン候補値を演算する第3のステップと、
    前記張力制御補正信号の演算が行われている間に前記制御対象伝達関数を用いて、前記複数の制御ゲイン候補値の各々を前記制御ゲインとして設定した場合の前記張力偏差信号を演算して張力偏差推定信号を得る第4のステップと、
    前記複数の制御ゲイン候補値の各々に対する前記張力偏差信号のうち、前記張力偏差信号を最小にする制御ゲイン候補値を前記制御ゲインとして設定する第5のステップと、
    前記速度軸ロールの速度が速度目標値として設定される基準速度信号に一致するように前記速度軸ロールの速度制御を行う第6のステップと、
    前記張力軸ロールの速度が前記基準速度信号と前記張力制御補正信号の和に一致するように前記張力軸ロールの速度制御を行う第7のステップと、
    を含むことを特徴とするロール間搬送制御方法。
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