JP6256628B2 - エレベータシステム及びエレベータ制御方法 - Google Patents

エレベータシステム及びエレベータ制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、エレベータシステム及びエレベータ制御方法に関するものである。
下記特許文献1には、エレベータ運転装置が記載されている。特許文献1に記載のエレベータ運転装置は、停電時に、バッテリーから供給される電力で救出運転を行う。救出運転は、かごを最寄階まで移動させて乗客を降車させることである。下記特許文献2には、エレベータシステムが記載されている。特許文献2に記載のエレベータシステムは、火災発生時に、建物の出口を有する指定階にかごを移動させる。このエレベータシステムは、指定階でも火災が発生している場合には、かごを別の階に移動させる。
日本特開平9−240950号公報 日本特開2004−203623号公報
特許文献1に記載のエレベータ運転装置は、最寄階で火災が発生している場合であっても、停電時にかごを最寄階に停止させてしまう。特許文献2に記載のエレベータシステムは、停電時にはかごを移動させることができない。このため、上記のエレベータ運転装置又はエレベータシステムは、火災及び停電が共に発生している場合に乗客の安全性を向上させることができない。
本発明は、上記の課題を解決するためになされた。その目的は、火災及び停電が共に発生している場合に乗客の安全性を向上させることができるエレベータシステム及びエレベータ制御方法を提供することである。
本発明に係るエレベータシステムは、建物の火災発生階及び非火災階を検出する火災階検出部と、建物の停電を検出する停電検出部と、停電時に用いられる補助電源に残存する電力量を推定する電力推定部と、電力推定部により推定された電力量に基づいて、補助電源からの電力でエレベータのかごを移動させることが可能な最大の範囲を算出する算出部と、停電検出部により停電が検出された際に、算出部により算出された範囲内に非火災階が存在する場合は当該範囲内の非火災階の1つにかごを移動させ、当該範囲内に非火災階が存在しない場合において、当該範囲内の階のうち最初に火災が発生した火災発生階よりも下方の階であって最初に火災が発生した火災発生階から最も離れた階が存在する場合には、当該階にかごを移動させる運転制御部と、を備えたことを特徴とするものである。
本発明に係るエレベータ制御方法は、建物の火災発生階及び非火災階を検出する火災階検出工程と、建物の停電を検出する停電検出工程と、停電時に用いられる補助電源に残存する電力量を推定する電力量推定工程と、補助電源に残存すると推定された電力量に基づいて、補助電源からの電力でエレベータのかごを移動させることが可能な最大の範囲を算出する算出工程と、建物の停電が検出された際に、算出工程において算出された範囲内に非火災階が存在する場合に当該範囲内の非火災階の1つにかごを移動させる第1退避工程と、建物の停電が検出された際に、当該範囲内に非火災階が存在しない場合において、当該範囲内の階のうち最初に火災が発生した火災発生階よりも下方の階であって最初に火災が発生した火災発生階から最も離れた階が存在する場合には、当該階にかごを移動させる第2退避工程と、を備えたことを特徴とするものである。
本発明に係るエレベータシステムにおいて、運転制御部は、停電が検出された際に、補助電源からの電力でかごを移動させることが可能な最大の範囲内に非火災階が存在する場合は、当該範囲内の非火災階にかごを移動させる。運転制御部は、停電が検出された際に、当該範囲内に非火災階が存在しない場合は、最初に火災が発生した火災発生階から最も離れた下方の当該範囲内の階にかごを移動させる。このため、本発明によれば、火災及び停電が共に発生している場合に乗客の安全性を向上させることができる。
本発明の実施の形態1におけるエレベータシステムの構成図である。 本発明の実施の形態1における制御処理部の構成図である。 本発明の実施の形態1におけるエレベータシステムの動作の一例を示すフローチャートの一部である。 本発明の実施の形態1におけるエレベータシステムの動作の一例を示すフローチャートの残部である。 本発明の実施の形態1におけるエレベータシステムの動作の他の例を示すフローチャートの一部である。 本発明の実施の形態1におけるエレベータシステムの動作の他の例を示すフローチャートの残部である。
添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。各図では、同一又は相当する部分に同一の符号を付している。重複する説明は、適宜簡略化あるいは省略する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるエレベータシステムの構成図である。エレベータシステムは、複数の階を備えた図示しない建物に適用される。図1は、エレベータシステムが適用された建物に設けられた装置等を示している。
図1に示すように、建物は、通常階1及び避難階2を備えている。建物は、例えば、複数の通常階1を備えている。建物は、少なくとも1つの避難階2を備えている。建物には、電源設備3、制御盤4、エレベータのかご5、かご上制御装置6及びドア開閉装置7が設けられている。かご5は、図示しない昇降路の内部に設けられている。かご5は、図示しない巻上機のロープに支持されている。かご上制御装置6及びドア開閉装置7は、例えば、かご5の上面に設置されている。電源設備3及びかご上制御装置6は、制御盤4と電気的に接続されている。ドア開閉装置7は、かご上制御装置6と電気的に接続されている。
かご5内には、図示しない操作盤、報知装置、かご天井照明及び停電灯等の機器が設けられている。操作盤には、例えば、かご戸開ボタン及びかご戸閉ボタン等が設けられている。報知装置は、例えば、液晶モニタ及びスピーカー等を有している。かご5内の機器は、かご上制御装置6と電気的に接続されている。
通常階1及び避難階2は、エレベータの乗客がかご5に乗り降りできる階である。避難階2は、緊急時に屋外へ脱出可能な階である。避難階2は、例えば、地上階及び屋外に通じる出口を有する階等である。通常階1及び避難階2には、火災検出器8が設けられている。火災検出器8は、建物の各階に設けられている。火災検出器8は、例えば、熱、煙又は炎等を感知する火災報知機等である。避難階2には、火災検出器8に加えて、火災スイッチ9が設けられている。火災検出器8及び火災スイッチ9は、例えば、エレベータの乗場に設置されている。火災検出器8及び火災スイッチ9は、制御盤4と電気的に接続されている。
電源設備3は、商用電源10、自家発電装置11、電源切換器12及び停電検出器13を備えている。制御盤4は、主電源14、補助電源15、電源切換部16、電力推定部17、記憶部18、通信制御部19及び制御処理部20を備えている。
かご上制御装置6は、ドア開閉装置7及びかご5内の機器を制御する。かご上制御装置6は、例えば、操作盤のボタン操作を有効化及び無効化する。かご上制御装置6は、例えば、かご天井照明及び停電灯の点灯及び消灯を行う。ドア開閉装置7は、かご5の戸開及び戸閉を行う。報知装置は、かご5内に情報を報知する。報知装置は、例えば、視覚情報の表示及び音声アナウンスの放送等を行う。
火災検出器8は、設置された階に発生した火災を検出する。火災検出器8は、火災を検出すると、制御盤4に火災信号を送信する。火災スイッチ9は、火災時にエレベータを避難階2に呼び戻すためのものである。火災スイッチ9は、押された際に、制御盤4に信号を送信する。
電源設備3は、商用電源10又は自家発電装置11から制御盤4に電力を供給する。電源切換器12は、制御盤4に供給する電力を商用電源10からの電力又は自家発電装置11からの電力に切り換える。電源切換器12は、例えば、商用電源10からの電力供給が停止した場合に、制御盤4への電力の供給源を自家発電装置11に切り換える。
停電検出器13は、建物の停電状態を検出する。停電検出器13は、例えば、商用電源10からの電力供給が停止し且つ自家発電装置11が稼働していない場合に、停電状態を検出する。停電検出器13は、停電状態を検出すると、制御盤4に停電信号を送信する。停電検出器13は、例えば、建物の停電状態を検出しなくなると、停電信号の送信を行わなくなる。
制御盤4は、主電源14又は補助電源15からの電力で動作する。主電源14は、電源設備3から電力の供給を受ける。補助電源15は、例えば、バッテリー等で形成されている。補助電源15は、例えば、停電時に用いられる。電源切換部16は、制御盤4を動作させる電力を主電源14からの電力又は補助電源15からの電力に切り換える。つまり、電源切換部16は、制御盤4の動力源を主電源14又は補助電源15に切り換える。
電力推定部17は、補助電源15に残存する電力量を推定する。電力推定部17は、例えば、バッテリー残量計のような電力を測定する機器を有している。電力推定部17は、例えば、バッテリーに残っている使用可能な電力量を算出する。
記憶部18は、エレベータの制御情報及びプログラム等を予め記憶している。記憶部18は、補助電源15からの電力でかご5を1階床移動させるために必要な消費電力量を示すデータを記憶している。当該データは、例えば、エレベータのかご負荷、かご容量、建物の階高及び図示しない巻上機の性能等の情報から推定、算出又は計測されたものである。また、記憶部18は、避難階2を示す情報を予め記憶している。
通信制御部19は、制御処理部20との間で情報を送受信する。通信制御部19は、制御盤4と電気的に接続されている機器との間で情報を送受信する。通信制御部19は、例えば、火災検出器8からの火災信号及び火災スイッチ9からの信号等を受信する。また、通信制御部19は、制御盤4と電気的に接続されている機器に対し、主電源14又は補助電源15からの電力を供給する。通信制御部19は、例えば、かご上制御装置6、火災検出器8及び火災スイッチ9等に電力を供給する。
制御処理部20は、停電検出器13から停電信号を受信する。制御処理部20は、通信制御部19を介して、各階の火災検出器8からの火災信号を受信する。制御処理部20は、通信制御部19を介して、火災スイッチ9からの信号を受信する。制御処理部20は、制御盤4の外部から受信した信号、電力推定部17により推定された電力量及び記憶部18に記憶されている情報等に基づいて、エレベータの運転を制御する。
制御処理部20は、例えば、電源切換部16を動作させる。制御処理部20は、例えば、巻上機を動作させることで、かご5を移動及び停止させる。制御処理部20は、例えば、火災スイッチ9からの信号を受信すると、かご5を避難階2に呼び戻す。制御処理部20は、例えば、かご上制御装置6に制御信号を送信する。かご上制御装置6は、制御処理部20からの制御信号に基づいて、ドア開閉装置7及びかご5内の機器を動作させる。つまり、制御処理部20は、かご上制御装置6を介して、ドア開閉装置7、操作盤、報知装置、かご天井照明及び停電灯等を制御する。
図2は、実施の形態1における制御処理部の構成図である。以下、図2を参照して、制御処理部20の詳細な動作を説明する。
図2に示すように、制御処理部20は、火災階検出部21、停電検出部22、算出部23及び運転制御部24を備えている。
火災階検出部21は、建物の火災発生階及び非火災階を検出する。火災発生階は、現時点で火災が発生している階である。つまり、火災発生階には、最初に火災が発生した階及び当該階から火が燃え広がった階の両方が含まれる。火災階検出部21は、制御処理部20が受信した火災信号を送信した火災検出器8が設置されている階を火災発生階として検出する。一方、非火災階は、火災が発生していない階である。火災階検出部21は、火災発生階として検出されていない階を非火災階として検出する。つまり、火災階検出部21は、制御処理部20に火災信号を送信していない火災検出器8が設置されている階を非火災階として検出する。
停電検出部22は、停電信号に基づいて建物の停電を検出する。停電検出部22は、制御処理部20が停電検出器13から停電信号を受信すると、建物の停電を検出する。停電検出部22は、例えば、制御処理部20が停電検出器13から停電信号を受信しなくなると、停電が復旧したこと又は自家発電装置11が稼働を開始したことを検出する。
算出部23は、補助電源15からの電力でかご5を移動させることが可能な最大の範囲を算出する。以下、算出部23により算出される範囲を「最大移動可能範囲」と呼ぶ。最大移動可能範囲は、電力推定部17により推定された補助電源15に残存する電力量と、記憶部18に記憶されているかご5を1階床移動させるために必要な消費電力量を示すデータと、に基づいて算出される。最大移動可能範囲は、例えば、補助電源15に残存する全電力量が使用された場合にかご5が到達可能な最も高い位置から最も低い位置までの範囲である。最大移動可能範囲は、例えば、かご5の現在位置からの距離又は階床数等の範囲として表される。
運転制御部24は、火災及び停電が共に発生した際に、最大移動可能範囲内に非火災階が存在する場合は、当該最大移動可能範囲内の非火災階の1つにかご5を移動させる。なお、運転制御部24は、当該最大移動可能範囲内の非火災階の中に避難階2が含まれている場合は、当該避難階2にかご5を移動させる。
運転制御部24は、火災及び停電が共に発生した際に、最大移動可能範囲内に非火災階が存在しない場合は、当該最大移動可能範囲内の火災の影響が少ない階にかご5を移動させる。火災の発生源から離れた階は、発生源に近い階に比べて火が燃え広がりにくい。また、火災の発生源よりも下方の階は、上方に流れる煙の影響を受けにくい。このため、運転制御部24は、例えば、当該最大移動可能範囲内の階のうち、最初に火災が発生した階から最も離れた下方の階にかご5を移動させる。
図3は、実施の形態1におけるエレベータシステムの動作の一例を示すフローチャートの一部である。図4は、実施の形態1におけるエレベータシステムの動作の一例を示すフローチャートの残部である。図3及び図4は、合わせて1つのフローチャートである。以下、図3及び図4を参照して、火災発生後に停電が発生した場合のエレベータシステムの動作を説明する。
建物で火災が発生すると、制御処理部20は、火災発生階に設置されている火災検出器8から火災信号を受信する(ステップS101)。制御処理部20の火災階検出部21は、火災発生階及び非火災階を検出する(ステップS102)。制御処理部20は、火災信号を受信すると、火災管制運転を開始する(ステップS103)。火災管制運転は、かご5を避難階2に直行させることである。ステップS103において、制御処理部20は、記憶部18に記憶されている避難階2を示す情報に基づいて、当該避難階2に向かってかご5を移動開始させる。
火災管制運転の実施中に停電が発生すると、制御処理部20の停電検出部22が、停電を検出する(ステップS104)。制御処理部20は、停電検出部22により停電が検出されると、かご5を急停止させる(ステップS105)。つまり、火災管制運転が中断される。制御処理部20は、かご5が停止した状態において、電源切換部16を動作させることで、制御盤4の動力源を主電源14から補助電源15へ切り換える。制御処理部20は、制御盤4の動力源を補助電源15に切り換えた後に、停電管制運転を開始する(ステップS106)。停電管制運転は、補助電源15からの電力で、低速でかご5を最寄階まで移動させることである。
停電管制運転が開始されると、制御処理部20は、かご天井照明を消灯させるとともに停電灯を点灯させる(ステップS107)。停電管制運転が開始されると、制御処理部20は、最寄階に向かってかご5を移動開始させる(ステップS108)。制御処理部20は、停電管制運転の実施中には、その旨をかご5内の報知装置に表示させる(ステップS109)。
かご5が最寄階に停止すると(ステップS110)、制御処理部20は、ステップS102における火災階検出部21による検出の結果に基づいて、かご5が停止した階が火災発生階であるか否かを判定する(ステップS111)。ステップS111の処理は、かご5が戸閉している状態で行われる。
ステップS111において、かご5が停止した階が火災発生階でなく非火災階であると判定された場合、制御処理部20は、かご5を戸開する(ステップS112)。制御処理部20は、かご5を戸開した後に、報知装置からかご5内に音声アナウンスを放送する(ステップS113)。ステップS113における音声アナウンスは、例えば、かご5が停止した階への降車を乗客に促すものである。制御処理部20は、かご5の戸開が完了してから一定時間後に、かご5を戸閉する(ステップS114)。制御処理部20は、かご5の戸閉が完了した後に、エレベータの運転を休止する(ステップS115)。停電管制運転は、ステップS115にて完了される。なお、ステップS113における音声アナウンスは、ステップS114又はステップS115の段階まで繰り返し放送されてもよい。
制御処理部20は、停電検出部22により停電の復旧又は自家発電装置11の稼働開始が検出されると(ステップS116)、電源切換部16を動作させることで、制御盤4の動力源を補助電源15から主電源14へ切り換える。また、制御処理部20は、停電検出部22により停電の復旧又は自家発電装置11の稼働開始が検出されると、かご5を戸開する。この時、制御処理部20は、例えば、かご5への乗車を乗客に促す音声アナウンスを放送してもよい。その後、制御処理部20は、かご5を避難階2に直行させる(ステップS117)。
ステップS111において、かご5が停止した階が火災発生階であると判定された場合、エレベータシステムは、ステップS118の処理を行う。ステップS118において、制御処理部20の算出部23は、かご5が戸閉した状態で、かご5の最大移動可能範囲を算出する。
制御処理部20は、ステップS118で算出された最大移動可能範囲内に非火災階が存在するか否かを判定する(ステップS119)。ステップS119において、最大移動可能範囲内に非火災階が存在すると判定された場合、運転制御部24は、非火災階の1つをかご5の移動先として決定する(ステップS120)。ステップS120において、運転制御部24は、移動距離が最短となる非火災階をかご5の移動先として決定する。つまり、運転制御部24は、最大移動可能範囲内で最も近い非火災階をかご5の移動先として決定する。なお、運転制御部24は、最大移動可能範囲内の非火災階の中に避難階2が含まれている場合は、ステップS120において、当該避難階2をかご5の移動先として決定する。この場合、当該避難階2は、かご5に最も近い非火災階でなくともよい。制御処理部20は、移動先の決定後に、非火災階に移動することを示す音声アナウンスをかご5内に放送する(ステップS121)。制御処理部20は、音声アナウンスの放送後に、低速でかご5を移動させ、非火災階に停止させる(ステップS122)。
制御処理部20は、かご5の停止後に、かご5を戸開する(ステップS123)。ステップS124からステップS126の処理は、ステップS113からステップS115の処理と同様である。エレベータシステムは、ステップS126の次はステップS116の処理を行う。
ステップS119において、最大移動可能範囲内に非火災階が存在しないと判定された場合、運転制御部24は、最大移動可能範囲内で火災の影響が少ない階を検出する(ステップS127)。ステップS127において、運転制御部24は、例えば、最大移動可能範囲内の階のうち、最初に火災が発生した階から最も離れた下方の階をかご5の移動先として決定する。制御処理部20は、移動先の決定後に、火災の影響が少ない階に移動することを示す音声アナウンスをかご5内に放送する(ステップS128)。制御処理部20は、音声アナウンスの放送後に、低速でかご5を火災の影響が少ない階に移動させ、戸閉した状態で停止させる(ステップS129)。ステップS129でかご5が停止する階は、ステップS127で移動先として決定された階である。
制御処理部20は、かご5の戸閉停止後に、操作盤のかご戸開ボタンを有効化する(ステップS130)。制御処理部20は、かご戸開ボタンを有効化した後に、停電の復旧又は救助が来るまでかご内待機することを促す音声アナウンスをかご5内に放送する(ステップS131)。エレベータシステムは、ステップS131の次はステップS116の処理を行う。
なお、全ての非火災階の中に避難階2が1つも含まれていない場合、ステップS117において、制御処理部20は、避難階2でない非火災階の1つにかご5を移動させてもよい。この場合、電源設備3から制御盤4への電力供給は再開されているため、かご5の移動先は、最大移動可能範囲内の階に制限されることがない。例えば、最大移動可能範囲内に非火災階が存在しないとステップS119で判定されていた場合、運転制御部24は、電源設備3から制御盤4への電力供給が再開された際に、最大移動可能範囲外の非火災階の1つにかご5を移動させる。
図5は、実施の形態1におけるエレベータシステムの動作の他の例を示すフローチャートの一部である。図6は、実施の形態1におけるエレベータシステムの動作の他の例を示すフローチャートの残部である。図5及び図6は、合わせて1つのフローチャートである。以下、図5及び図6を参照して、停電発生後に火災が発生した場合のエレベータシステムの動作を説明する。
停電が発生すると、制御処理部20の停電検出部22が、停電を検出する(ステップS201)。図5に示すステップS202からステップS206の処理は、図3に示すステップS105からステップS109の処理と同様である。
停電管制運転の実施中に火災が発生すると、制御処理部20は、火災発生階に設置されている火災検出器8から火災信号を受信する(ステップS207)。制御処理部20の火災階検出部21は、火災発生階及び非火災階を検出する(ステップS208)。制御処理部20は、火災信号を受信しても、停電管制運転を継続する(ステップS209)。制御処理部20は、停電管制運転の実施中に火災が発生しても、停電管制運転を中止して火災管制運転を開始することはない。つまり、火災及び停電が共に発生している場合、火災管制運転よりも停電管制運転が優先的に実施される。
かご5が最寄階に停止すると(ステップS210)、制御処理部20は、ステップS208における火災階検出部21による検出の結果に基づいて、かご5が停止した階が火災発生階であるか否かを判定する(ステップS211)。ステップS211の処理は、かご5が戸閉している状態で行われる。
ステップS211において、かご5が停止した階が火災発生階でなく非火災階であると判定された場合、エレベータシステムは、ステップS212の処理を行う。図5に示すステップS212からステップS217の処理は、図3に示すステップS112からステップS117の処理と同様である。
ステップS211において、かご5が停止した階が火災発生階であると判定された場合、エレベータシステムは、ステップS218の処理を行う。図6に示すステップS218からステップS231の処理は、図4に示すステップS118からステップS131の処理と同様である。
図3から図6に示すフローチャートには、実施の形態1におけるエレベータ制御方法が含まれている。エレベータ制御方法は、建物の火災発生階及び非火災階を検出する火災階検出工程を備える。エレベータ制御方法は、建物の停電を検出する停電検出工程を備える。エレベータ制御方法は、停電時に用いられる補助電源に残存する電力量を推定する電力量推定工程を備える。エレベータ制御方法は、前記補助電源に残存すると推定された電力量に基づいて、前記補助電源からの電力でエレベータのかごを移動させることが可能な最大の範囲を算出する算出工程を備える。エレベータ制御方法は、建物の停電が検出された際に、前記算出工程において算出された範囲内に非火災階が存在する場合に当該範囲内の非火災階の1つにかごを移動させる第1退避工程を備える。エレベータ制御方法は、建物の停電が検出された際に、当該範囲内に非火災階が存在しない場合に最初に火災が発生した火災発生階から最も離れた下方の当該範囲内の階にかごを移動させる第2退避工程を備える。
第1退避工程は、算出工程において算出された範囲内に非火災階が存在し且つ当該範囲内の非火災階の中に屋外へ脱出可能な避難階が含まれている場合は、当該避難階にかごを移動させる工程を含む。
第2退避工程は、算出工程において算出された範囲内に非火災階が存在しない場合、停電復旧後又は建物に設けられた自家発電装置が稼働を開始した際に、当該範囲外の非火災階にかごを移動させる工程を含む。
実施の形態1において、電力推定部17は、補助電源15に残存する電力量を推定する。算出部23は、電力推定部17により推定された電力量に基づいて、補助電源15からの電力でかご5を移動させることが可能な最大の範囲を算出する。運転制御部24は、停電が検出された際に、算出部23により算出された範囲内に非火災階が存在する場合は、当該範囲内の非火災階の1つにかご5を移動させる。一方、運転制御部24は、停電が検出された際に、当該範囲内に非火災階が存在しない場合は、最初に火災が発生した火災発生階から最も離れた下方の当該範囲内の階にかご5を移動させる。これにより、補助電源15に残存する電力だけではかご5を非火災階に退避させることができない場合であっても、火災の影響が最も低い階にかご5を退避させることができる。その結果、建物に火災及び停電が共に発生している場合に、エレベータの乗客の安全性を向上させることができる。
実施の形態1において、運転制御部24は、算出部23により算出された範囲内に非火災階が存在し且つ当該範囲内の非火災階の中に避難階2が含まれている場合は、当該避難階2にかご5を移動させる。このため、当該かご5に乗車していた乗客は、単に火災の影響を受けない階に移動するだけでなく、屋外へ脱出することができる。その結果、建物に火災及び停電が共に発生している場合に、エレベータの乗客の安全性を向上させることができる。
実施の形態1において、運転制御部24は、算出部23により算出された範囲内に非火災階が存在しない場合、停電復旧後又は建物に設けられた自家発電装置11が稼働を開始した際に、当該範囲外の非火災階の1つにかご5を移動させる。このため、停電時に非火災階に退避させられていなかったかご5は、電源設備3から制御盤4への電力供給が再開された際に、最大移動可能範囲外の非火災階に退避させられる。その結果、建物に火災及び停電が共に発生している場合に、エレベータの乗客の安全性を向上させることができる。
実施の形態1において、火災検出器8からの火災信号は、制御盤4にパラレル伝送される。しかしながら、本発明において、火災検出器8からの火災信号は、ビルマネージメントシステムで中継され、エレベータの監視装置を介して制御盤4にシリアル伝送されてもよい。
本発明において、電力推定部17は、バッテリー残量計のような機器を用いずに補助電源15に残存する電力量を推定してもよい。例えば、電力推定部17は、補助電源15からの電力でかご5を移動させる階床数及びかご負荷に対応した消費電力を示すテーブルに基づいて、補助電源15に残存する電力量を推定してもよい。この場合、記憶部18は、当該テーブルを予め記憶している。
本発明に係るエレベータシステム及びエレベータ制御方法は、火災検出器及び停電検出器が設けられた建物に適用できる。
1 通常階
2 避難階
3 電源設備
4 制御盤
5 かご
6 かご上制御装置
7 ドア開閉装置
8 火災検出器
9 火災スイッチ
10 商用電源
11 自家発電装置
12 電源切換器
13 停電検出器
14 主電源
15 補助電源
16 電源切換部
17 電力推定部
18 記憶部
19 通信制御部
20 制御処理部
21 火災階検出部
22 停電検出部
23 算出部
24 運転制御部

Claims (6)

  1. 建物の火災発生階及び非火災階を検出する火災階検出部と、
    建物の停電を検出する停電検出部と、
    停電時に用いられる補助電源に残存する電力量を推定する電力推定部と、
    前記電力推定部により推定された電力量に基づいて、前記補助電源からの電力でエレベータのかごを移動させることが可能な最大の範囲を算出する算出部と、
    前記停電検出部により停電が検出された際に、前記算出部により算出された範囲内に非火災階が存在する場合は当該範囲内の非火災階の1つにかごを移動させ、当該範囲内に非火災階が存在しない場合において、当該範囲内の階のうち最初に火災が発生した火災発生階よりも下方の階であって最初に火災が発生した火災発生階から最も離れた階が存在する場合には、当該階にかごを移動させる運転制御部と、
    を備えたことを特徴とするエレベータシステム。
  2. 屋外へ脱出可能な避難階を予め記憶している記憶部を備え、
    前記運転制御部は、前記算出部により算出された範囲内に非火災階が存在し且つ当該範囲内の非火災階の中に前記記憶部に記憶された避難階が含まれている場合は、当該避難階にかごを移動させることを特徴とする請求項1に記載のエレベータシステム。
  3. 前記運転制御部は、前記算出部により算出された範囲内に非火災階が存在しない場合、停電復旧後又は建物に設けられた自家発電装置が稼働を開始した際に、当該範囲外の非火災階にかごを移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータシステム。
  4. 建物の火災発生階及び非火災階を検出する火災階検出工程と、
    建物の停電を検出する停電検出工程と、
    停電時に用いられる補助電源に残存する電力量を推定する電力量推定工程と、
    前記補助電源に残存すると推定された電力量に基づいて、前記補助電源からの電力でエレベータのかごを移動させることが可能な最大の範囲を算出する算出工程と、
    建物の停電が検出された際に、前記算出工程において算出された範囲内に非火災階が存在する場合に当該範囲内の非火災階の1つにかごを移動させる第1退避工程と、
    建物の停電が検出された際に、当該範囲内に非火災階が存在しない場合において、当該範囲内の階のうち最初に火災が発生した火災発生階よりも下方の階であって最初に火災が発生した火災発生階から最も離れた階が存在する場合には、当該階にかごを移動させる第2退避工程と、
    を備えたことを特徴とするエレベータ制御方法。
  5. 前記第1退避工程は、前記算出工程において算出された範囲内に非火災階が存在し且つ当該範囲内の非火災階の中に屋外へ脱出可能な避難階が含まれている場合は、当該避難階にかごを移動させる工程を含むことを特徴とする請求項4に記載のエレベータ制御方法。
  6. 前記第2退避工程は、前記算出工程において算出された範囲内に非火災階が存在しない場合、停電復旧後又は建物に設けられた自家発電装置が稼働を開始した際に、当該範囲外の非火災階にかごを移動させる工程を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載のエレベータ制御方法。
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