JP6256569B1 - 摺動部材及び軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】摺動層の耐摩耗性を向上させることで、多孔質層の露出を抑制して耐焼付性を向上させた摺動部材、及びこの摺動部材を使用した軸受を提供する。【解決手段】摺動部材1は、金属基材2と、金属基材2の表面に形成される多孔質層3と、多孔質層3を被覆する摺動層5を備える。多孔質層3は、金属単体または合金組成物で形成される。摺動層5は、樹脂と金属硫化物を少なくとも含み、鉛を含まない樹脂組成物4で形成される。樹脂組成物4は、金属硫化物として硫化銅を含む。【選択図】 図1

Description

本発明は、被摺動物を摺動可能に支持する摺動部材及びこの摺動部材を使用した軸受に関する。
摺動部材としては、裏金となる鋼板上にCu系合金の粉末を焼結させた2層構造、いわゆるバイメタル構造と称す摺動材料が多く使用されてきた。この場合、Cu系合金粉末を焼結した金属層の表面が摺動面となるために、従来使用されてきたCu系合金粉末は、Pb(鉛)の添加により良好な摺動性を確保していた。
一方、Pbの人体に対する有害性から、近年Pbの使用が様々な分野で規制されており、摺動部材でも、Pbを使用しない材料が提案されている。このようなPbを使用しない摺動材料として、樹脂材料を使用した摺動部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
従来の樹脂材料を用いた摺動部材は、裏金となる鋼板上にCu系合金の粉末を多孔質に焼結させ、樹脂に添加剤を混練した樹脂組成物を多孔質層に含浸させて焼成した3層構造の構成である。この場合、樹脂層の表面が摺動面となる。樹脂組成物としては、耐熱性を考慮してフッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が一般的に使用される。
摺動層は、多孔質層が露出しない厚さで多孔質層に含浸させた樹脂組成物を所定の温度に加熱して焼成することで形成される。摺動層は、多孔質層に樹脂組成物が入り込んで硬化することで、樹脂組成物による摺動層と、合金組成物による多孔質層との接合強度が確保される。
特開2010−159808号公報
被摺動物と接する摺動層が樹脂組成物で形成される摺動部材において、樹脂組成物に一般的に使用されるフッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、融点が高く、摺動層と被摺動物との摩擦による温度上昇に対する耐熱性を持つ。
但し、摺動層の温度が上昇すると、被摺動物の摺動による摺動層の変形量が大きくなる。摺動層の変形量が大きくなると、変形量が少ない場合と比較して摺動層の摩耗量が増加する。摺動層の摩耗量が増加すると、摺動層の表面に金属の多孔質層が露出する可能性がある。
摺動層が樹脂材料で形成される摺動部材は、オイル潤滑環境下で使用される軸受に適用されるが、一時的に油膜が切れることがある。摺動層が樹脂材料で形成される摺動部材が適用された軸受では、摺動層の表面の油膜が一時的に切れても、摺動層を形成する樹脂材料が潤滑材としての役割を担う。
しかし、摺動層の表面に多孔質層が露出すると、油膜が切れた状態で軸等の被摺動物が多孔質層に接触するドライタッチと呼ばれる現象が起こる。ドライタッチが起こると、軸受と軸との焼き付き、軸の損傷等が発生する可能性があった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、摺動層の耐摩耗性を向上させることで、多孔質層の露出を抑制して耐焼付性を向上させた摺動部材、及びこの摺動部材を使用した軸受を提供することを目的とする。
摺動層を形成する樹脂組成物に二硫化モリブデンを含むことで、摺動特性が向上することが知られている。しかし、二硫化モリブデンを含む樹脂組成物で形成される摺動層でも、変形による摩耗を抑制することができなかった。
本発明者らは、摺動層として樹脂組成物を用いる軸受において、樹脂組成物に硫化銅を添加することによって、摺動層の放熱特性を向上させ、その結果として、摺動層の変形が抑制され、摺動層の変形による摩耗を抑制でき、耐摩耗特性も向上するという予想外の効果が得られることを見出して本発明を完成させた。
そこで、本発明は、金属基材と、金属基材の一の面に形成される多孔質層と、多孔質層に含侵されると共に前記多孔質層を被覆する摺動層を備え、多孔質層は、金属単体または合金組成物で形成され、摺動層は、鉛を含まない樹脂組成物で形成され、樹脂組成物は、硫化銅、熱可塑性樹脂、二硫化モリブデン、黒鉛、アラミド繊維、残部がフッ素樹脂からなり、硫化銅を3質量%超40質量%未満、熱可塑性樹脂を0質量%以上4質量%以下、二硫化モリブデンを0質量%以上36質量%以下、黒鉛を0質量%以上10質量%以下、アラミド繊維を0質量%以上10質量%以下で含み、残部がフッ素樹脂である摺動部材である。
また、本発明は、金属基材と、金属基材の一の面に形成される多孔質層と、多孔質層に含侵されると共に前記多孔質層を被覆する摺動層を備え、多孔質層は、金属単体または合金組成物で形成され、摺動層は、鉛を含まない樹脂組成物で形成され、摺動層を内側として環状とし、円筒状の内周面を摺動層で構成した軸受において、樹脂組成物は、硫化銅、熱可塑性樹脂、二硫化モリブデン、黒鉛、アラミド繊維、残部がフッ素樹脂からなり、硫化銅を3質量%超40質量%未満、熱可塑性樹脂を0質量%以上4質量%以下、二硫化モリブデンを0質量%以上36質量%以下、黒鉛を0質量%以上10質量%以下、アラミド繊維を0質量%以上10質量%以下で含み、残部がフッ素樹脂である軸受である。



本発明では、摺動層を形成する樹脂組成物に金属硫化物として硫化銅を含むことで、摺動層の放熱特性が向上する。これにより、軸等の被摺動物の摺動による摺動層の温度上昇が抑制され、温度上昇に伴う摺動層の変形が抑制される。
そして、摺動層の変形が抑制されることで、摺動層の摩耗が抑制され、耐摩耗特性が向上する。また、摺動層の摩耗が抑制されることで、多孔質層の露出が抑制され、多孔質層と被摺動物が直接接して焼き付き等の要因となるドライタッチを抑制することができ、耐焼付性が向上する。
本実施の形態の摺動部材の一例を示す断面組織図である。 ドライ環境下でのリングオンディスク型摩擦摩耗試験の概要を示す図である。 耐焼付性(焼付面圧)に関する試験の付加荷重パターンを示す図である。 本実施の形態の軸受の一例を示す斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の摺動部材の実施の形態、及び、本発明の摺動部材が適用された軸受の実施の形態について説明する。
<本実施の形態の摺動部材の構成例>
図1は、本実施の形態の摺動部材の一例を示す断面組織図である。本実施の形態の摺動部材1は、金属基材2と、金属基材2の一の面である表面に金属単体または合金組成物で形成される多孔質層3と、多孔質層3を樹脂組成物4で被覆した摺動層5を備える。
多孔質層3は、金属基材2の表面に、金属粉末が焼結されて形成される。金属基材2は、本例ではFe系の板材にCuがめっきされた銅めっき鋼板が使用される。多孔質層3を形成する金属粉末は、Cu単体またはCuを主成分とした合金が使用され、本例ではCu−Sn系合金粉が使用される。
多孔質層3の製造方法としては、Cu−Sn系合金粉が所定の厚さで銅メッキ鋼板上に散布され、Cu−Sn系合金粉が散布された銅メッキ鋼板が焼結炉で焼結される。これにより、銅メッキ鋼板上に、所定の厚さでCu−Sn系合金の多孔質層3が形成される。
摺動層5は、多孔質層3に樹脂組成物4が所定の厚さで含浸され、多孔質層3に含浸された樹脂組成物4が焼成されて形成される。樹脂組成物4は、本例では、樹脂と添加剤が混合される。樹脂としては、フッ素樹脂の一例としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が使用される。
添加剤としては、金属硫化物として硫化銅を含む。金属硫化物として二硫化モリブデンを更に含んでも良い。また、他の添加剤として、黒鉛、アラミド繊維を含んでも良い。
摺動層5の製造方法としては、金属基材2の表面に形成された多孔質層3上に、所定の量の樹脂組成物4が供給され、樹脂組成物4が多孔質層3に押圧されることで、樹脂組成物4が多孔質層3に含浸される。多孔質層3上に供給される樹脂組成物4の量は、後述する樹脂組成物4の焼成後に、多孔質層3が摺動層5の表面から露出しない厚さで多孔質層3を被覆する量である。
摺動層5は、樹脂組成物4に含まれる樹脂の融点を超える温度で加熱されることで、樹脂を溶融させると共に有機溶剤を揮発させた後、樹脂を硬化させることで形成される。樹脂組成物4を所定の温度で加熱して摺動層5を形成することを焼成と称す。なお、樹脂として使用されるポリテトラフルオロエチレンの融点は、327℃である。
摺動層5は、本例では焼成炉を使用して、ポリテトラフルオロエチレンの融点を超える温度で樹脂組成物4が加熱されることで焼成される。
摺動層5を形成する樹脂組成物4に、金属硫化物として硫化銅を含むことで、摺動層5の放熱特性が向上する。これにより、被摺動物の摺動による摺動層5の温度上昇が抑制され、温度上昇に伴う摺動層5の変形が抑制される。
また、摺動層5を形成する樹脂組成物4に硫化銅を含むことで、摺動層5の強度が向上する。摺動層を形成する樹脂組成部に炭素繊維のフィラーを含むことで、樹脂層の強度が向上することが知られている。これに対し、樹脂組成物4に硫化銅を含むことで、炭素繊維のフィラーを含まなくとも、炭素繊維のフィラーを含む場合と同様に強度が向上する。摺動層5の強度が向上することでも、被摺動物の摺動による摺動層5の変形が抑制される。
摺動層5の変形量が大きくなると、変形量が少ない場合と比較して摩耗量が増加する。このため、摺動層5の変形が抑制されることで、摺動層5の摩耗が抑制され、耐摩耗特性が向上する。また、摺動層5の強度が向上することでも、摩耗が抑制される。そして、摺動層5の摩耗が抑制されることで、多孔質層3の露出が抑制され、多孔質層3と被摺動物が直接接して焼き付き等の要因となるドライタッチを抑制することができ、耐焼付性が向上する。
硫化銅は、硫化第一銅(CuS)と硫化第二銅(CuS)が知られている。硫化第一銅(CuS)は、1000℃以上でも安定している。これに対し、硫化第二銅(CuS)は、200℃近傍で硫化第一銅(CuS)に変化する。樹脂としてポリテトラフルオロエチレンが使用される場合、摺動層5を焼成する工程では、樹脂組成物4が327℃を超える温度で加熱される。このため、樹脂組成物4に硫化第二銅(CuS)が含まれる場合、摺動層5を焼成する工程で、硫化第二銅(CuS)が硫化第一銅(CuS)に変化する。
これにより、製造された結果物である摺動部材1の摺動層5には、硫化第一銅(CuS)が含まれる。但し、硫化銅の原料としては、硫化第一銅(CuS)を使用しても良いし、硫化第二銅(CuS)を使用しても良いが、加工性から硫化第二銅(CuS)を使用することが好ましい。
摺動層5を形成する樹脂組成物4に、金属硫化物として更に二硫化モリブデンを含むことで、摺動層5と接して摺動する被摺動物に対する摺動特性が向上する。また、樹脂組成物4に黒鉛を含むことでも摺動特性が向上する。これにより、鉛(Pb)を含まない構成で、Pbを含む摺動部材と同程度の摺動特性が得られる。以下、樹脂組成物4について詳細に説明する。
[フッ素樹脂]
樹脂組成物4のベース樹脂となるフッ素樹脂は、優れた摺動特性を有する合成樹脂として周知であり、摺動摩擦による発熱に対し耐熱性が十分に確保されるため、摺動部材の樹脂組成物のベース樹脂としてPTFE樹脂、PFA共重合樹脂、FEP共重合樹脂、ETFE共重合樹脂が多く用いられている。
PTFE樹脂の市販品としては、ポリフロン(登録商標) D-210C、F-201(ダイキン工業社製)、Fluon(登録商標) AD911D(旭硝子社製)、テフロン(登録商標) 31JR、6C−J(三井・デュポンフロロケミカル社製)等を挙げることができる。
[硫化銅:3質量%超40質量%未満]
摺動層5を形成する樹脂組成物4は、放熱特性及び強度を向上させるため、硫化銅は必須添加剤である。硫化銅を8質量%超40質量%未満で含むことが好ましい。硫化銅の添加量は、3質量%以下及び40質量%以上であれば放熱特性が悪化し、耐摩耗特性を阻害するようになる。なお、市販品としては、寺田薬泉工業社製の硫化第二銅(CuS)、関東化学社製の硫化第二銅(CuS)、高純度化学研究所社製の硫化第一銅(Cu2S)等を挙げることができる。
[可塑性樹脂:0質量%以上4質量%以下]
樹脂組成物4に用いる熱可塑性樹脂は、本願では必須の添加剤ではないが、添加する場合は、フッ素樹脂の欠点である耐摩耗性、耐クリープ特性が改善できるので添加することが好ましい。
熱可塑性樹脂を添加する場合、4質量%を超えるとフッ素樹脂の低摩擦特性を阻害するようになる。なお、熱可塑性樹脂としてのPPS樹脂の市販品としては、DIC社製のPQ−208、クレハ社製のフォートロン(登録商標) KPS等を挙げることができる。
[黒鉛:0質量%以上10質量%以下]
樹脂組成物4に用いる黒鉛は、本願では必須の添加剤ではないが、低摩擦特性と耐摩耗特性に寄与することが期待できる。更に、耐キャビテーション性に優れ、潤滑油存在下でのキャビテーションによる樹脂被膜の壊食を防止できることが期待できる。黒鉛を添加する場合、10質量%を超えると低摩擦特性を阻害するようになる。なお、市販品としては、日本黒鉛工業社製のUCP、CPB、オリエンタル産業社製のATシリーズ等を挙げることができる。
[二硫化モリブデン:0質量%以上36質量%以下]
樹脂組成物4に用いる二硫化モリブデン(MoS)は、本願では必須の添加剤ではないが、添加することにより摩擦抵抗を低下させることが出来る。
二硫化モリブデンの添加量は、36質量%を超えると多孔質層への含浸工程で含浸性が悪くなる。なお、市販品としては、太陽鉱工社製のH/GMoS、ダイゾー社製の二硫化モリブデンパウダーシリーズ等を挙げることができる。
[アラミド繊維:0質量%以上10質量%以下]
樹脂組成物4に用いるアラミド繊維は、本願では必須の添加剤ではないが、機械的強度を得るために添加する。アラミド繊維を添加する場合、10質量%以上添加すると、均一な分散を阻害するようになるので、その結果、耐摩耗特性が低下する。なお、市販品としては、東レ・デュポン社製のケブラー(登録商標),帝人のトワロン(登録商標)等を挙げることができる。
摺動部材1は、本例では、多孔質層3を形成する金属粉末の全ての粒径を、15〜180μm、好ましくは、25〜150μm程度の範囲にある金属粉末を用いることができる。また、摺動部材1は、このような粒径の金属粉末で形成される多孔質層3の厚さTを、0.06〜0.3mm程度とすることができる。多孔質層3の厚さは、金属粉末が少なくとも2個以上重なって焼結され得る厚さである。
更に、摺動部材1は、摺動層5の厚さTを、0.08〜0.35mm程度とすることができる。ここで、摺動層5の厚さTとは、金属基材2の表面からの厚さである。摺動層5の厚さは、多孔質層3が露出しないように、多孔質層3の厚さより平均して厚く設定される。なお、本例では、摺動層5の厚さTは0.1mmとした。
表1に示す各実施例及び各比較例に用いた樹脂組成物の配合材料を以下に示す。なお、フッ素樹脂としては、PTFE樹脂を使用し、熱可塑性樹脂としてはPPS樹脂を使用した。これらのPTFE樹脂、PPS樹脂、二硫化モリブデン、黒鉛及びアラミド繊維は上記市販されているものから適宜選択して使用した。
表1に示される実施例1〜実施例9及び比較例1〜比較例3の試験片を用いて、耐焼付性及び耐摩耗性の評価を行った。各評価には、ドライ環境下でのリングディスク型摩擦摩耗試験の結果に基づいて行った。
[耐焼付性]
図2は、ドライ環境下でのリングオンディスク型摩擦摩耗試験の概要を示す図、図3は、耐焼付性(焼付面圧)に関する試験の付加荷重パターンを示す図である。図2に示すように、外径φ30mm×内径φ24mm×高さ25mm、平均表面粗さ(Ra)が0.3μm未満のS45Cのリング7を相手材として試験片6上に載置し、試験片6に対して0.25m/sの周速でリング7を一方向(図中、矢印A:時計方向)に回転させる。このとき、図3で示すように、リング7を試験片6の方向に荷重(本例の場合490N:図中、矢印B)を階段的(600s)に負荷し、試験片6の背面温度が200℃に達した時の面圧を焼付面圧(MPa)として評価した。表1には、比較例1の焼付面圧16.5MPaを基準として、16.5MPa超を○、16.5MPa以下を×として記載した。
[耐摩耗性]
耐焼付性に使用する試験片6及びリング7を用い、図2に示すように同様に、試験片6上にリング7を相手材として載置し、試験片6に対して0.2m/sの周速でリングを一方向(矢印A方向)に回転させる。このとき、リング7と試験片6に一定の面圧(本例では3.5Pa)が掛かるようにする。この状態で一定時間経過(本例では3h)後の試験片6の表面の摩耗量(μm)を算出して評価を行った。
Figure 0006256569
表1には、比較例1の摩耗量14μmを基準として、14μm以下を○、14μm超を×として記載した。表1によれば、実施例1〜9は、いずれも、16.5MPa<焼付面圧、摩耗量≦14μmを満足した。
<本実施の形態の軸受の構成例>
図4は、本実施の形態の軸受の一例を示す斜視図である。本実施の形態の軸受10は、図1で説明した摺動部材1を、摺動層5を内側として環状に構成される。軸受10は、円筒状の内周面を形成する摺動層5で被摺動物である軸11を支持する。軸受10は、軸11が回転運動する形態、あるいは直線運動する形態の何れであっても適用可能である。
本実施の形態の軸受10は、例えば、自動車等のショックアブソーバ等、直線運動する形態で油が用いられる摺動部に使用される。また、歯車状の部材が回転することで、油を送出するギアポンプ等、回転運動する形態で油が用いられる摺動部に使用される。
<本実施の形態の摺動部材及び軸受の作用効果例>
軸受10は、軸11が回転運動、あるいは直線運動を行うことで、摺動層5の表面の一部と軸11が接触した状態で、軸11が摺動する。軸受10を構成する摺動部材1は、上述したように、摺動層5を形成する樹脂組成物4に硫化銅を含む。これにより、軸11が摺動する摺動層5の放熱特性が向上する。
従って、軸11の摺動による摺動層5の温度上昇が抑制され、温度上昇に伴う摺動層5の変形が抑制される。そして、摺動層5の変形が抑制されることで、摺動層5の摩耗が抑制され、耐摩耗特性が向上する。
また、摺動層5の摩耗が抑制されることで、摺動層5の表面から多孔質層3が露出することが抑制され、多孔質層3と軸11が直接接して焼き付き等の要因となるドライタッチを抑制することができる。
軸受10は、オイル潤滑環境下で使用されるが、一時的に油膜が切れることがある。軸受10では、摺動層5の表面の油膜が一時的に切れても、摺動層5を形成する樹脂組成物4が潤滑材としての役割を担う。
上述したように、軸受10では、油膜が一時的に切れても、ドライタッチを起こす多孔質層3の露出が抑制されることで、摺動層を樹脂材料で構成した従来の軸受と比較して、耐焼付性が向上し、摺動層にPbを含まない構成で、Pbを含む摺動層を用いた軸受と同程度の耐焼付性が得られる。
本発明は、油が供給される環境で使用される摺動部材及び軸受に適用される。
1・・・摺動部材、10・・・軸受、2・・・金属基材、3・・・多孔質層、4・・・樹脂組成物、5・・・摺動層、6・・・試験片、7・・・相手材

Claims (4)

  1. 金属基材と、
    前記金属基材の一の面に形成される多孔質層と、
    前記多孔質層に含侵されると共に前記多孔質層を被覆する摺動層を備え、
    前記多孔質層は、金属単体または合金組成物で形成され、
    前記摺動層は、鉛を含まない樹脂組成物で形成され、
    前記樹脂組成物は、硫化銅、熱可塑性樹脂、二硫化モリブデン、黒鉛、アラミド繊維、残部がフッ素樹脂からなり、前記硫化銅を3質量%超40質量%未満、前記熱可塑性樹脂を0質量%以上4質量%以下、前記二硫化モリブデンを0質量%以上36質量%以下、前記黒鉛を0質量%以上10質量%以下、前記アラミド繊維を0質量%以上10質量%以下で含み、残部が前記フッ素樹脂である
    ことを特徴とする摺動部材(但し、前記樹脂組成物はリン酸リチウムを含まない)
  2. 前記樹脂組成物は、前記硫化銅として硫化第一銅を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の摺動部材。
  3. 前記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンである
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の摺動部材。
  4. 金属基材と、
    前記金属基材の一の面に形成される多孔質層と、
    前記多孔質層に含侵されると共に前記多孔質層を被覆する摺動層を備え、
    前記多孔質層は、金属単体または合金組成物で形成され、
    前記摺動層は、鉛を含まない樹脂組成物で形成され、
    前記摺動層を内側として環状とし、円筒状の内周面を前記摺動層で構成した軸受において
    記樹脂組成物は、硫化銅、熱可塑性樹脂、二硫化モリブデン、黒鉛、アラミド繊維、残部がフッ素樹脂からなり、前記硫化銅を3質量%超40質量%未満、前記熱可塑性樹脂を0質量%以上4質量%以下、前記二硫化モリブデンを0質量%以上36質量%以下、前記黒鉛を0質量%以上10質量%以下、前記アラミド繊維を0質量%以上10質量%以下で含み、残部が前記フッ素樹脂である
    ことを特徴とする軸受(但し、前記樹脂組成物はリン酸リチウムを含まない)
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