JP2013204463A - 可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイドおよび可変容量型アキシャルピストンポンプ - Google Patents

可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイドおよび可変容量型アキシャルピストンポンプ Download PDF

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Abstract

【課題】製造が容易で低コストでありながら、耐荷重性、耐摩耗性および低摩擦特性を全て満足できる可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド、および、該クレイドルガイドを用いた可変容量型アキシャルピストンポンプを提供する。
【解決手段】可変容量型アキシャルピストンポンプにおけるピストンストロークを調整するクレイドル3に摺接し、このクレイドル3が揺動可能であるように保持するクレイドルガイド1であって、焼結金属製部材1aと、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からなる樹脂層1bとを有し、樹脂層1bは、焼結金属製部材1aの少なくともクレイドル3と摺接する表面に0.1〜0.7mmの厚さで射出成形により重ねて一体に設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、可変容量型アキシャルピストンポンプのピストンのストロークを変更するクレイドルに摺接し、これを揺動自在に保持するクレイドルガイド、および、これを用いた可変容量型アキシャルピストンポンプに関する。
例えば、油圧回路の油圧発生源に用いられる可変容量型ピストンポンプとして、いわゆるクレイドル型ポンプ(以下、単に「ポンプ」ともいう)の構造が周知である。クレイドル型ポンプは、ピストンを収容するシリンダブロックが、回転軸と共に一体的に回転されるものであり、クレイドルはクレイドルガイドに摺接して回転軸に対して傾斜可能に支持され、ピストンの端部に連結されたシューを介してクレイドルの傾斜面に接している。従って、ピストンは、回転軸の回転に伴いクレイドルの傾角に応じて規定されるストロークで往復動し、ポンプ作用を奏するようになっている。そして、ストローク差によるポンプの吐出容量は、上記クレイドルの回転軸に対する傾角を油圧等で制御することによって常時変更することができる。
ところが、例えば、アルミニウム材(アルミニウム合金を含む)からなるクレイドルを、同材料のアルミニウム材からなるクレイドルガイドに摺接させて保持すると、クレイドルの回転軸に対する傾角を油圧等で常時制御する使用状態で両者は摺接摩耗を起こし、焼き付き等の問題を起こす。このため、クレイドルとクレイドルガイドとの間に合成樹脂製のスラストブッシュを介在させる手段が採られていた。
例えば、クレイドルガイドとなるスラストブッシュとしては、摺動面に樹脂膜を施した金属製スラストブッシュや、ナイロン(ポリアミド樹脂)、ポリアセタール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す)樹脂等の摺動性樹脂からなるスラストブッシュが公知である(特許文献1参照)。
アルミニウム材からなるクレイドルまたはクレイドルガイドの少なくとも一方に、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂、PTFE樹脂等のフッ素樹脂のコーティングが施された可変容量型ピストンポンプも知られている(特許文献2参照)。
また、クレイドルガイドとなるスラストブッシュとして、鉄製基材の表面に銅系の焼結膜を形成したものや、その焼結膜表面に更に樹脂膜を施したスラストブッシュが知られている(特許文献3参照)。
実用新案登録第2559510号公報 特開平08−334081号公報 実用新案登録第2584135号公報
しかし、通常、クレイドルがクレイドルガイドに対し、30MPa程度の高面圧で接触して常時摺動する場合、特許文献1に記載されているクレイドルガイド(スラストブッシュ)では樹脂膜による耐荷重性が満足できないという問題がある。
この用途での耐荷重性についての問題は、特許文献2に記載されたPTFE樹脂等のフッ素樹脂コーティングをアルミニウム材製のクレイドルガイド表面に形成するか、または特許文献3に記載の鉄製基材の表面に銅系焼結膜を介してフッ素樹脂コーティングを形成すれば改善されるが、その場合に耐摩耗性および低摩擦特性は充分でなかった。
また、鋼板に塗膜(コーティング)層を形成する場合、吹付け、乾燥、焼成等が必要であり、また、形成後に旋盤や研磨機による加工などが必要となり、製造コストが高くなる。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、製造が容易で低コストでありながら、30MPa以上の耐荷重性、耐摩耗性および低摩擦特性を全て満足できる可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド、および、該クレイドルガイドを用いた可変容量型アキシャルピストンポンプの提供を目的とする。
本発明のクレイドルガイドは、可変容量型アキシャルピストンポンプにおけるピストンストロークを調整するクレイドルに摺接し、このクレイドルが揺動可能であるように保持するクレイドルガイドであって、該クレイドルガイドは、焼結金属製部材と、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からなる樹脂層とを有し、上記樹脂層は、上記焼結金属製部材の少なくとも上記クレイドルと摺接する表面に0.1〜0.7mmの厚さで射出成形により重ねて一体に設けられたことを特徴とする。
上記樹脂組成物が繊維状充填材を含み、上記樹脂層において該繊維状充填材が、繊維の長さ方向をクレイドルガイドの摺動方向に対して45〜90度に交差するように配向していることを特徴とする。
上記焼結金属製部材が、クレイドルガイド本体であることを特徴とする。また、別の態様として、上記クレイドルガイドが、溶製金属製のクレイドルガイド本体を有し、該クレイドルガイド本体に上記焼結金属製部材が設置されていることを特徴とする。
上記焼結金属製部材の理論密度比が、0.7〜0.9であることを特徴とする。また、上記焼結金属製部材が、鉄を主成分とする焼結金属からなることを特徴とする。
上記繊維状充填材が、炭素繊維であることを特徴とする。また、上記樹脂組成物が、該樹脂組成物全体に対して、上記炭素繊維を5〜30体積%、PTFE樹脂を1〜30体積%含むことを特徴とする。また、上記樹脂組成物が、樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における溶融粘度50〜200Pa・sの樹脂組成物であることを特徴とする。
本発明の可変容量型アキシャルピストンポンプは、上記本発明のクレイドルガイドを備えることを特徴とする。
本発明の可変容量型ピストンポンプのクレイドルガイドは、焼結金属製部材と、該焼結金属製部材の少なくともクレイドルと摺接する表面に形成された、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からなる樹脂層とを有するので、耐熱性、低摩擦性、耐摩耗性に優れたクレイドルガイドとなる利点がある。また、樹脂層は、焼結金属製部材の上記表面に0.1〜0.7mmの厚さで射出成形により重ねて一体に設けられているので、耐荷重性、耐クリープ性に優れ、高面圧下でも寸法変化することがなく、低トルクを安定的に得ることが可能になる。その結果、30MPa以上という高圧摺動状態でも、耐荷重性、耐摩耗性および低摩擦特性を全て満足して長期使用が可能なクレイドルガイドになる利点がある。さらに、樹脂層が焼結金属製部材の表面に射出成形により重ねて一体に設けられる、すなわち、焼結金属製部材を金型内にインサートして射出成形により樹脂層を形成するので、従来のクレイドルガイドのように鋼板への塗膜層形成(吹付け、乾燥、焼成等)が不要であり、また、旋盤や研磨機による加工などが不要であり、製造が容易で低コストでありながら、摺動面が高寸法精度となる。
上記樹脂組成物に繊維状充填材を含むので、樹脂層の耐熱性、耐摩耗性、耐荷重性、耐クリープ性をより高くすることができる。さらに、樹脂層において該繊維状充填材が、繊維の長さ方向をクレイドルガイドの摺動方向に対して45〜90度に交差するように配向しているので、繊維状充填材の両端エッジによる相手材表面への攻撃性を低減することができ、摺動トルクの変動が防止できる。
上記焼結金属製部材が、クレイドルガイド本体であるので、部品点数が少なく構造が簡易であり、製造コストが低くなる。
また、別の態様として、溶製金属製のクレイドルガイド本体をさらに備え、このクレイドルガイド本体に上記焼結金属製部材を設置することで、クレイドルガイド全体としての高い機械的強度を確保しつつ、焼結金属製部材とこれに薄肉で射出成形された樹脂層とを用いることによる上記効果を得ることができる。また、この態様では、従来のクレイドルガイド本体を使用することができるため、設計変更等が不要となりコストアップが防止できる。
焼結金属製部材の理論密度比が、0.7〜0.9であるので、焼結金属製部材が担う構造的強度を確保するための所要の緻密性を有するとともに、樹脂層を焼結金属製部材に強固に密着させるための表面の凹凸を確保することができる。また、潤滑油を焼結金属製部材に保持することが可能である。さらに、焼結金属製部材の熱伝導性を確保できる。
焼結金属製部材が、鉄を主成分とする焼結金属からなるので、より高い機械的強度を得ることができる。
繊維状充填材が、炭素繊維であるので、樹脂層の補強効果と耐摩耗性、低摩擦性が特に優れるようになる。
樹脂層を形成する樹脂組成物が、該樹脂組成物全体に対して、繊維状充填材として炭素繊維を5〜30体積%、PTFE樹脂を1〜30体積%含むので、高PV条件においても、樹脂層の変形および摩耗、相手材表面への攻撃性が小さく、油などに対する耐性も高い。
樹脂層を形成する樹脂組成物が、樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における溶融粘度50〜200Pa・sの樹脂組成物であるので、焼結金属製部材の表面に0.1〜0.7mmの薄肉インサート成形が円滑に行なえる。
本発明の可変容量型アキシャルピストンポンプは、上記本発明のクレイドルガイドを備えるので、精密なクレイドルの傾角制御が可能になり、これによって精密な油圧制御動作などを行なえ、精密に機能する信頼性の高いポンプになる。
本発明のクレイドルガイドを用いた可変容量型アキシャルピストンポンプの縦断面図である。 本発明のクレイドルガイドの一例を示す斜視図である。 本発明のクレイドルガイドの他の例を示す斜視図である。 図3のクレイドルガイドの分解斜視図である。 本発明のクレイドルガイドの他の例を示す斜視図である。 クレイドルガイドの断面図である。
本発明のクレイドルガイドを用いた可変容量型アキシャルピストンポンプの一実施例を図1に基づいて説明する。図1は、可変容量型アキシャルピストンポンプの縦断面図である。図1に示すように、可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド1は、ピストン2のストロークを調整するクレイドル3に摺接し、このクレイドル3が揺動可能であるように保持するものである。ここで、クレイドルガイド1は、焼結金属製部材1aの表面側、すなわちクレイドル3に対する摺動面に、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からなる樹脂層1bを0.1〜0.7mmの厚さで射出成形により重ねて一体に設けたものである。なお、樹脂層1bは、上記範囲の厚さの薄肉であるが、図1では説明のため、実際よりも厚く記載してある。
この実施形態の可変容量型アキシャルピストンポンプは、接合された一対のハウジング5、6の端壁間に回転軸7が回転可能に支持されている。回転軸7上には、シリンダブロック8が相対回転不能に支持されている。回転軸7と一体的に回転するシリンダブロック8内には複数のピストン2が回転軸7の軸方向へスライド変位可能に収容されている。シリンダブロック8内のピストン収容室8aは、回転軸7の回転に連動して弁板9に形成された円弧状の吸入ポート9aおよび吐出ポート9bと交互に接続することになる。これにより、作動油が吸入ポート9aから各ピストン収容室8a内へ吸入され、回転軸7と共に回転したシリンダブロック8におけるピストン収容室8a内の作動油が、吐出ポート9bへ吐出される。
押圧バネ10は、シリンダブロック8をクレイドル3側に付勢している。これにより、回転軸7の周りにおいて、リテーナ11に保持されたアルミニウム材からなるシュー12が、クレイドル3の平面部と密接する。シュー12に嵌められたピストン2は、回転軸7の回転に伴ってクレイドル3の傾角に応じたストロークで往復動される。なお、クレイドル3の傾角は、ハウジング5内の押圧バネ13の押圧力と、油圧制御装置14によって調整されるシリンダ15からの油圧によって常時適正な角度に制御されている。
図2にクレイドルガイド1の斜視図を示す。図1および図2に示すように、アルミニウム合金製のハウジング5内にはクレイドルガイド1が、2個一組で固定して設けられている。また、2つのクレイドルガイド1の間に回転軸7がクレイドル3の軸孔を貫通して配置されている。
図2に示す態様では、クレイドルガイド1は、その本体が焼結金属製部材1aで構成されている。この本体において、クレイドル3の支持面が円弧面状に形成されており、該支持面に所定組成の樹脂層1bが射出成形により薄肉で一定肉厚で形成されている。この樹脂層1bが形成された円弧面が、クレイドル3に対する摺動面となる。クレイドルガイド本体を、焼結金属製部材にすることで、部品点数が少なく構造が簡易であり、製造コストが低くなる。
図3および図4に基づいてクレイドルガイドの他の態様を説明する。図3は、クレイドルガイド1の他の態様の斜視図であり、図4は、図3のクレイドルガイドの分解斜視図である。図3に示すように、クレイドルガイド1は、溶製金属製の本体1cを備え、この本体1cに、樹脂層1bを形成した焼結金属製部材1aが設置されている。焼結金属製部材1aは、樹脂層1bが形成された円弧状(一部円筒形)の焼結ブッシュとされ、本体1cにおける円弧面状に形成されたクレイドル3の支持面にセットされている。焼結金属製部材1aの本体1c側の表面は、本体1cの支持面の円弧面形状に対応して同じ形状に形成されている。この焼結ブッシュの樹脂層1bが形成された円弧面が、クレイドル3に対する摺動面となる。また、図4に示すように、2個一組の焼結ブッシュ(1a+1b)が、本体1cのクレイドルガイドの支持面1d、1eからズレないように、対の凹部1fと凸部1gの嵌め合わせで固定されている。なお、焼結ブッシュを固定するための凹凸部は、その凹凸関係を図4に示すものと反対にしてもよく、また、形状も任意の形状にできる。あるいは、凹部1fにピンを挿入し、焼結ブッシュにピン穴を設けることで嵌め合わせることが製造コストを考慮すると最も望ましい。
クレイドル3は、例えば珪素含有アルミニウム合金で形成され、その背面には各クレイドルガイドにおける支持面1d、1eに対応する一対の円弧面状の摺接部3a、3bが突設されている。図3および図4に示す態様では、両摺接部3a、3bは一対の焼結ブッシュ(1a+1b)を介して支持面1d、1eに接するように組み付けられる。
図3および図4に示す態様において、クレイドルガイド本体1cの材料は、溶製金属であれば、その種類は特に限定されない。例えば、高炭素クロム軸受鋼、クロムモリブデン鋼、機械構造用炭素鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、アルミニウム合金、黄銅などが使用できる。本体1cを溶製金属製とすることで、本体全体を焼結金属製部材とする場合よりも、クレイドルガイド全体としての機械的強度を高めることができる。
樹脂層1bは、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からなり、焼結金属製部材1aのクレイドルと摺接する表面に0.1〜0.7mmの厚さで射出成形により重ねて一体に設けられることで形成されている。
樹脂層1bは焼結金属製部材1aの表面に形成されるため、射出成形時に芳香族ポリエーテルケトン系樹脂の溶融樹脂が、焼結金属製部材1aの表面の凹凸に深く入り込み、樹脂層1bを該部材1aに強固に密着できる。射出成形では、溶融樹脂を高速、高圧で流し込むため、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂として用いながらも、該樹脂がせん断力により多孔質の焼結層の凹凸(空孔)に入りやすい。そのため、焼結金属製部材1aと樹脂層1bとの密着強度が確保できる。
樹脂層1bに、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物を使用することで、連続使用温度が250℃であり、耐熱性、耐油・耐薬品性、耐クリープ性、摩擦摩耗特性に優れた可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイドになる。また、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂は、靭性、高温時の機械物性が高く、耐疲労特性、耐衝撃性にも優れているため、使用時に摩擦力、衝撃、振動等が加わる際にも、樹脂層が焼結金属製部材から剥離し難い。従来の可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイドは、PTFE樹脂等のフッ素樹脂を主成分とする樹脂組成物が摺動面であったため、異常時において多孔質焼結層から樹脂組成物が剥離することを防止することはできなかった。
本発明で使用できる芳香族ポリエーテルケトン系樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)樹脂などがある。本発明で使用できるPEEK樹脂の市販品としては、ビクトレックス社製:PEEK(90P、150P、380P、450P、90G、150Gなど)、ソルベイアドバンストポリマーズ社製:キータスパイア(KT−820P、KT−880Pなど)、ダイセルデグザ社製:VESTAKEEP(1000G、2000G、3000G、4000Gなど)などが挙げられる。また、PEK樹脂としては、ビクトレックス社製:VICTREX−HTなどが、PEKEKK樹脂としてはビクトレックス社製:VICTREX−STなどが、それぞれ挙げられる。
樹脂層1bの厚さは、0.1〜0.7mmに設定されている。なお、本発明における「樹脂層の厚さ」は、焼結金属製部材に入り込まない表面部分の厚さである。この厚さ範囲は、インサート成形面や物性面を考慮して設定されたものである。樹脂層の厚さが0.1mm未満では、インサート成形が困難である。また、長期使用時の耐久性、すなわち寿命が短くなるおそれがある。一方、樹脂層の厚さが0.7mmをこえると、ヒケが発生し寸法精度が低下するおそれがある。また、摩擦による熱が摩擦面から焼結金属製部材に逃げ難く、摩擦面温度が高くなる。さらに、荷重による変形量が大きくなるとともに、摩擦面における真実接触面積も大きくなり、摩擦力、摩擦発熱が高くなり、耐焼付き性などが低下するおそれがある。摩擦発熱の焼結金属製部材への放熱を考慮すると、樹脂層の厚さは0.2〜0.5mmが好ましい。
また、図3に示すように焼結ブッシュを用いる態様においては、樹脂層1bの厚さは、焼結金属製部材1aの厚さの1/8〜1/2であることが好ましい。樹脂層の厚さが焼結金属製部材の厚さの1/8未満では、焼結金属製部材に対して樹脂層が相対的に薄くなりすぎ、長期使用時の耐久性に劣るおそれがある。一方、樹脂層の厚さが焼結金属製部材の厚さの1/2をこえると、焼結金属製部材に対して樹脂層が相対的に厚くなりすぎ、摩擦による熱が摩擦面から焼結金属製部材に逃げ難く、摩擦面温度が高くなる。さらに、荷重による変形量が大きくなるとともに、摩擦面における真実接触面積も大きくなり、摩擦力、摩擦発熱が高くなり、耐焼付き性などが低下するおそれがある。
焼結金属製部材1aの材質としては、鉄系、銅鉄系、銅系、ステンレス系などが挙げられる。焼結金属製部材と樹脂層との密着性に優れることから、鉄が主成分(銅を含んでもよい)である焼結金属を採用することが好ましい。なお、銅を含む場合、銅は鉄よりも樹脂との密着性(接着性)に劣るため、銅の含有量は10重量%以下が好ましい。さらに好ましくは、銅の含有量は5重量%以下である。
焼結金属製部材に油などの付着、含油がある場合、樹脂層の射出成形時において分解・ガス化する油残分が界面に介在するため、樹脂層と焼結金属製部材との密着性が低下してしまうおそれがある。そのため、樹脂層を形成する前の焼結金属製部材には、油を含浸しない焼結金属を使用することが好ましい。また、焼結金属の成形または再圧(サイジング)の工程内にて油を使用する場合は、溶剤洗浄などで油を除去した非含油焼結金属にすることが好ましい。
鉄を主成分とする焼結金属製部材は、スチーム処理を施すことで、成形または再圧(サイジング)工程時に意図せず焼結表面に付着、または内部に浸透した油分、付着物などを除去する効果があるため、樹脂層との密着性のばらつきが小さく、安定する。また、焼結金属製部材に防錆性も付与することができる。スチーム処理の条件は特に限定するものではないが、500℃程度に加熱したスチームを吹きかける方法が一般的である。
焼結金属製部材の理論密度比は、0.7〜0.9であることが好ましい。材質の理論密度比とは、材質の理論密度(気孔率0%の場合の密度)を1としたときの焼結金属製部材の密度の比である。理論密度比0.7未満では焼結金属製部材の強度が低くなり、インサート成形時の射出成形圧力により該部材が割れるおそれがある。一方、理論密度比0.9をこえると、凹凸が小さくなるため、表面積、アンカー効果が低下し、樹脂層との密着性が低くなる。さらに好ましくは、材質の理論密度比0.72〜0.84である。このように、焼結金属製部材の理論密度比を0.7〜0.9にすることで、焼結金属製部材が担うクレイドルガイドの強度(特に、焼結金属製部材で本体全体を構成する場合)を確保するための所要の緻密性を有するとともに、樹脂層を焼結金属製部材に強固に密着させるための表面の凹凸を確保することができる。また、潤滑油を焼結金属製部材に保持することも可能となる。さらに、焼結金属製部材の熱伝導性を確保できる。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、ベース樹脂として芳香族ポリエーテルケトン系樹脂を用い、これにガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ウィスカなどの繊維状充填材を分散状態に配合することができる。これにより、樹脂層の機械的強度を一層向上させることができる。特に、本発明の可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイドでは、樹脂層が0.1〜0.7mmの厚さという薄肉であるため、機械的強度の向上は望ましい。
繊維状充填材の他に、PTFE樹脂、黒鉛、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤や、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルクなどの無機充填材を配合することも可能である。上記固体潤滑剤を配合することで、無潤滑、潤滑油が希薄な条件であっても低摩擦となり、耐焼き付き性を向上させることができる。また、上記無機充填材を配合することで、耐クリープ性を向上させることができる。
繊維状充填材、無機系の固体潤滑剤(黒鉛、二硫化モリブデンなど)、および無機充填材は、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂の成形収縮率を小さくする効果がある。そのため、焼結金属製部材とのインサート成形時に、樹脂層の内部応力を抑える効果もある。
繊維状充填材を配合した樹脂組成物からなる樹脂層を有する態様のクレイドルガイドを図5に示す。図5は、クレイドルガイド(樹脂層に繊維状充填材配合)の斜視図である。クレイドルガイド1は、樹脂層1bに繊維状充填材4を配合してある以外は、図2のものと同様の構成である。
樹脂層1bを射出成形で形成するにあたって、樹脂組成物の溶融流動方向を調整することにより、繊維状充填材4(の長さ方向)をクレイドルガイド1の摺動方向(図中矢印)に対して45度以上のできるだけ直角に近い交差角度で配向させることが好ましい。樹脂層1bの機械的強度を向上させるためには繊維状充填材を配合することが好ましいが、繊維状充填材の繊維の端部はエッジ状になっているため、繊維の端部によって相手材であるクレイドル3を物理的に摩耗損傷させ易く、摩擦係数も安定し難くなる。繊維状充填材(の長さ方向)を該クレイドルガイドの摺動方向に対して45〜90度に交差するように配向させることにより、繊維の両端のエッジが摺動方向に対して45〜90度に向く。これにより、繊維の両端のエッジによる相手材の摩耗損傷の軽減、摩擦係数の安定化を図れる。なお、繊維状充填材の配向は、90度により近い方が繊維のエッジによる摩耗損傷が少なく、摩擦係数も安定するので望ましい。80〜90度であれば特に好ましい。
繊維状充填材の平均繊維長は、0.02〜0.2mmが好ましい。0.02mm未満では充分な補強効果が得られず、耐クリープ性、耐摩耗性が満足しないおそれがある。0.2mmをこえる場合は樹脂層の層厚に対する繊維長の比率が大きくなるため、薄肉成形性に劣る。特に、樹脂厚み0.2〜0.7mmにインサート成形する場合は、繊維長が0.2mmをこえると薄肉成形性を阻害する。より薄肉成形の安定性を高めるには、平均繊維長0.02〜0.1mmが望ましい。
繊維状充填材の中でも、炭素繊維を用いることが好ましい。炭素繊維は、樹脂層を成形する際に樹脂の溶融流動方向への配向性が強い。特に、直径が細く、比較的短い炭素繊維を選択し、その場合に、炭素繊維の両端のエッジがクレイドルガイドの摺動方向に沿っており、例えば配向方向が0〜45度未満であると、相手材であるクレイドルを損傷する場合がある。そのため、細く、短い炭素繊維を採用した場合には、樹脂を射出成形する際に、溶融樹脂の流動方向をクレイドルガイドの摺動方向と直角または直角に近い角度とし、繊維の長さ方向をクレイドルガイドの摺動方向に対する45〜90度になるように配向させることが耐久性および摺動トルクを低く安定させるために極めて有利である。
本発明で使用する炭素繊維としては、原材料から分類されるピッチ系またはPAN系のいずれのものであってもよいが、高弾性率を有するPAN系炭素繊維の方が好ましい。その焼成温度は特に限定するものではないが、2000℃またはそれ以上の高温で焼成されて黒鉛(グラファイト)化されたものよりも、1000〜1500℃程度で焼成された炭化品のものが、高PV下でも相手材を摩耗損傷しにくいので好ましい。
炭素繊維の平均繊維径は20μm以下、好ましくは5〜15μmである。この範囲をこえる太い炭素繊維では、極圧が発生するため、耐荷重性の向上効果が乏しく、相手材であるクレイドルがアルミニウム合金、焼入れなしの鋼材の場合、該相手材の摩耗損傷が大きくなるため好ましくない。また、炭素繊維は、チョップドファイバー、ミルドファイバーのいずれであってもよいが、安定した薄肉成形性を得るためには、繊維長が1mm未満のミルドファイバーの方が好ましい。
本発明で使用できる炭素繊維の市販品としては、ピッチ系炭素繊維として、クレハ社製:クレカ M−101S、M−107S、M−101F、M−201S、M−207S、M−2007S、C−103S、C−106S、C−203Sなどが挙げられる。また、同様のPAN系炭素繊維として、東邦テナックス社製:ベスファイト HTA−CMF0160−0H、同HTA−CMF0040−0H、同HTA−C6、同HTA−C6−Sまたは東レ社製:トレカ MLD−30、同MLD−300、同T008、同T010などが挙げられる。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、ベース樹脂として芳香族ポリエーテルケトン系樹脂を用い、これに上記炭素繊維と、固体潤滑剤であるPTFE樹脂とを必須成分として含むことが好ましい。
PTFE樹脂としては、懸濁重合法によるモールディングパウダー、乳化重合法によるファインパウダー、再生PTFEのいずれを採用してもよい。芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物の流動性を安定させるためには、成形時のせん断により繊維化し難く、溶融粘度を増加させ難い再生PTFEを採用することが好ましい。
再生PTFEとは、熱処理(熱履歴が加わったもの)粉末、γ線または電子線などを照射した粉末のことである。例えば、モールディングパウダーまたはファインパウダーを熱処理した粉末、また、この粉末をさらにγ線または電子線を照射した粉末、モールディングパウダーまたはファインパウダーの成形体を粉砕した粉末、また、その後γ線または電子線を照射した粉末、モールディングパウダーまたはファインパウダーをγ線または電子線を照射した粉末などのタイプがある。再生PTFEの中でも、凝集せず、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂の溶融温度おいて、全く繊維化せず、内部潤滑効果があり、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物の流動性を安定して向上させることが可能なことから、γ線または電子線などを照射したPTFE樹脂を採用することがより好ましい。
本発明で使用できるPTFE樹脂の市販品としては、喜多村社製:KTL−610、KTL−450、KTL−350、KTL−8N、KTL−400H、三井・デュポンフロロケミカル社製:テフロン(登録商標)7−J、TLP−10、旭硝子社製:フルオンG163、L150J、L169J、L170J、L172J、L173J、ダイキン工業社製:ポリフロンM−15、ルブロンL−5、ヘキスト社製:ホスタフロンTF9205、TF9207などが挙げられる。また、パーフルオロアルキルエーテル基、フルオルアルキル基、またはその他のフルオロアルキルを有する側鎖基で変性されたPTFE樹脂であってもよい。上記の中でγ線または電子線などを照射したPTFE樹脂としては、喜多村社製:KTL−610、KTL−450、KTL−350、KTL−8N、KTL−8F、旭硝子社製:フルオンL169J、L170J、L172J、L173Jなどが挙げられる。
なお、この発明の効果を阻害しない程度に、樹脂組成物に対して周知の樹脂用添加剤を配合してもよい。この添加剤としては、例えば、窒化ホウ素などの摩擦特性向上剤、炭素粉末、酸化鉄、酸化チタンなどの着色剤、黒鉛、金属酸化物粉末などの熱伝導性向上剤が挙げられる。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とし、炭素繊維を5〜30体積%、PTFE樹脂を1〜30体積%を必須成分として含むことが好ましい。この必須成分と他の添加剤を除く残部が芳香族ポリエーテルケトン系樹脂である。この配合割合とすることで、高PV条件においても、樹脂層の変形および摩耗、相手材であるクレイドル表面への攻撃性が小さく、油などに対する耐性も高くなる。また、炭素繊維は、5〜20体積%がより好ましく、PTFE樹脂は、2〜25体積%がより好ましい。
炭素繊維の配合割合が30体積%をこえると、溶融流動性が著しく低下し、薄肉成形が困難になるとともに、相手材であるクレイドルがアルミニウム合金、焼入れなしの鋼材の場合、摩耗損傷するおそれがある。また、炭素繊維の配合割合が5体積%未満では、樹脂層を補強する効果が乏しく、充分な耐クリープ性、耐摩耗性が得られない場合がある。
PTFE樹脂の配合割合が30体積%をこえると、耐摩耗性、耐クリープ性が所要の程度より低下するおそれがある。また、PTFE樹脂の配合割合が1体積%未満では組成物に所要の潤滑性の付与効果に乏しく、充分な摺動特性が得られない場合がある。
以上の諸原材料を混合し、混練する手段は、特に限定するものではなく、粉末原料のみをヘンシェルミキサー、ボールミキサー、リボンブレンダー、レディゲミキサー、ウルトラヘンシェルミキサーなどにて乾式混合し、さらに二軸押出し機などの溶融押出し機にて溶融混練し、成形用ペレット(顆粒)を得ることができる。また、充填材の投入は、二軸押出し機などで溶融混練する際にサイドフィードを採用してもよい。この成形用ペレットを用い、焼結金属製部材に対して樹脂層をインサート成形により射出成形する。射出成形を採用することで、精密成形性および製造効率などに優れる。また、物性改善のためにアニール処理等の処理を採用してもよい。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における溶融粘度が50〜200Pa・sであることが好ましい。溶融粘度がこの範囲であると、精密な成形と繊維状充填材を所定角度に配向をさせることが可能となり、焼結金属製部材の表面に0.1〜0.7mmの薄肉インサート成形が円滑に行なえる。溶融粘度が、上記所定範囲未満の粘度または上記所定範囲をこえる粘度であれば、精密な成形性を確実に得ることや、繊維状充填材を所定角度に配向させることが容易でなくなる。薄肉インサート成形を可能とし、インサート成形後の後加工を不要とすることで、製造が容易となり、製造コストの低減が図れる。
樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における溶融粘度を50〜200Pa・sにするためには、該条件における溶融粘度が130Pa・s以下の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂を採用することが好ましい。このような芳香族ポリエーテルケトン系樹脂としては、ビクトレックス社製:PEEK(90P、90G)などが例示できる。
使用中の摩擦力に対して、充分な密着強さを得るためには、焼結金属製部材と樹脂層とのせん断密着強さは、2MPa以上であることが好ましい。更に安全率を高めるためには、3MPa以上が好ましい。また、焼結金属製部材と樹脂層のせん断密着強さを更に高めるために、樹脂層を形成する焼結金属面に、凹凸、溝などの物理的な剥がれ対策を施してもよい。
例えば、クレイドルとの摺動時などにおいて、樹脂層1bが焼結金属製部材1aから剥がれることを防止するため、図6に示すように、境界面に凹凸を設けることができる。図6(a)は図2に示す態様のクレイドルガイドの断面図、図6(b)は図3に示す態様のクレイドルガイドの断面図である。図6では、焼結金属製部材1aに凹部を設けることで、射出成形される樹脂層1bにこれに対応した凸部が形成されている。なお、上記凹凸部は、その凹凸関係を図6に示すものと反対にしてもよく、また、形状も任意の形状にできる。
実施例、比較例に用いた焼結金属製の基材を表1に記載する。
Figure 2013204463
また、実施例、比較例に用いた樹脂層の原材料を以下に示す。
芳香族ポリエーテルケトン系樹脂の溶融粘度は、東洋精機社製キャピラグラフ、φ1×10mm細管、樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における測定値である。
(1)芳香族ポリエーテルケトン系樹脂〔PEK−1〕:ビクトレックス社製PEEK 90P(溶融粘度105Pa・s)
(2)芳香族ポリエーテルケトン系樹脂〔PEK−2〕:ビクトレックス社製PEEK 150P(溶融粘度145Pa・s)
(3)PAN系炭素繊維〔CF−1〕:東レ社製トレカMLD−30(平均繊維長0.03mm、平均繊維径7μm)
(4)PAN系炭素繊維〔CF−2〕:東邦テナックス社製ベスファイトHTA−CMF0160−0H(繊維長0.16mm、繊維径7μm)
(5)ピッチ系炭素繊維〔CF−3〕:クレハ社製クレカM−101S(平均繊維長0.1/2mm、平均繊維径14.5μm)
(6)ピッチ系炭素繊維〔CF−4〕:クレハ社製クレカM−107S(平均繊維長0.7mm、平均繊維径14.5μm)
(7)炭酸カルシウム粉末〔CaCO〕:日窒工業社製NA600(平均粒径3μm)
(8)黒鉛〔GRP〕:ティムカルジャパン社製TIMREX KS6(平均粒径6μm)
(9)PTFE樹脂〔PTFE〕:喜多村社製KTL−610(再生PTFE)
樹脂層の原材料を表2に示す配合割合(体積%)でヘンシェル乾式混合機を用いてドライブレンドし、二軸押出し機を用いて溶融混練し射出成形用ペレットを作製した。
Figure 2013204463
(1)せん断密着強さ試験(実施例1〜9、比較例1)
せん断密着強さ試験は、円筒状のテストピースを用いて行なった。円筒状のテストピースは、表1に記載の基材A〜基材Jから、φ31×φ35×20(mm)の円筒状基材を成形し、この内径に表2に記載のペレットを用いて樹脂層の厚さが0.5mmにインサート成形により製作したものである。インサート成形する際には、円筒状テストピースの端面に9点のピンゲートを設け、樹脂層の溶融流動方向が円筒状テストピースの軸線方向になるようにした。
せん断密着強さ試験は、この円筒状テストピースを固定し、樹脂層に軸方向のせん断力を加え、焼結金属製基材から樹脂層が剥離する荷重を測定し、この荷重に、樹脂層と焼結金属製基材の見かけの接合面積を割った値を、せん断密着強さとし、表3に示した。また、円筒状テストピースを30個インサート成形し、成形圧による円筒状基材の割れの有無を確認し表3に併記した。
Figure 2013204463
表3のとおり、実施例1〜9はインサート成形時に焼結金属製基材の割れがなく、1.5MPa以上のせん断密着強さがあった。特に、焼結金属製基材の密度が、材質の理論密度比0.7〜0.9である基材A〜Hを用いた実施例1〜8は、せん断密着強さが2MPa以上であった。一方、鋼材の機械加工品では、せん断密着強さが非常に低い値であった(比較例1)。
(2)耐焼付き性試験(実施例10〜20、比較例2〜3)
油中ラジアル型試験機による耐焼付き性試験は、円筒状のテストピースを用いて行なった。円筒状テストピースは、せん断密着強さ試験に用いた円筒状テストピースと同様に製作したものである。なお、比較例3は、裏金(SPCC)付多孔質焼結層(Cu+Sn)にPTFE樹脂組成物(炭素繊維10体積%入り)を含浸した3層型の滑り軸受(φ30×φ35×20mm,樹脂層0.05mm)を使用したものである。表4の油供給条件で30分慣らし運転後、油供給を停止・油排出し焼付くまでの時間を測定した。焼付きは、円筒状テストピースの外径部温度が20℃上昇またはトルクが2倍に上昇するまでの時間とし、表5に示した。
(3)摩耗試験
耐焼付き性試験と同じ円筒状テストピースについて、油中ラジアル型試験機を用い、表4の油供給条件で30時間運転した後の摩耗量を測定した。
(4)溶融粘度
東洋精機社製キャピラグラフ、φ1×10(mm)細管、樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における溶融粘度を測定した。
Figure 2013204463
Figure 2013204463
実施例10〜20は、焼付き時間が30分以上、摩耗量が10μm以下で、耐焼付き性、耐摩耗性に優れていた。一方、樹脂層の厚みが0.7mmを超える比較例2は、焼付き時間が1分未満で、摩耗量も非常に大きかった。また、比較例3は、焼付き時間が1分未満ですぐに焼付き、摩耗量も大きかった。
(5)往復動試験(実施例21、比較例4)
実施例21は、縦25mm、横50mm、高さ20mmに成形した基材Eの表面に、樹脂組成dの樹脂層をインサート成形で形成して試験片を製作し、アルミニウム合金製の相手材を用いて、下記条件にて往復動試験を行ない、結果を表6に示した。なお、インサート成形する際には、樹脂層の溶融流動方向が試験片の運動方向と直角となるようにした。また、比較例4は、裏金(SPCC)付多孔質焼結層(Cu+Sn)にPTFE樹脂組成物(炭素繊維10体積%入り)を含浸した3層型の滑り軸受(板厚2.5mm,樹脂層0.05mm)を縦25mm、横50mm、高さ17mmの台座に固定して試験片を製作し、アルミニウム合金製の相手材を用いて同様の往復動試験を行ない、結果を表6に示した。

[試験条件]
試験機 :NTN製往復動試験機
面圧 :45MPa
最大加振速度:3m/min
振幅 :+−50mm
温度 :室温(25℃)
潤滑条件 :油潤滑
試験時間 :往復2000回(初期、500回、1000回の時に摩擦係数を測定する。)
Figure 2013204463
本発明による実施例21は、往復動試験において、試験終了時まで低摩擦係数であり、樹脂層の状態に変化はみられなかった。これにより実施例のクレイドルガイドは、可変容量型ピストンポンプの長期使用に耐えられるものであり、30MPa以上の耐荷重性、耐摩耗性および低摩擦特性を全て満足できるものであることが確認された。一方、比較例4は、往復1000回で摩擦係数が上昇したため試験を中断した。
本発明のクレイドルガイドは、製造が容易で低コストでありながら、30MPa以上の耐荷重性、耐摩耗性および低摩擦特性を全て満足できるので、油圧ショベルなどの建設機械や一般産業機械の油圧源として備えられる油圧ポンプまたは油圧モータ等に用いる可変容量型アキシャルピストンポンプにおいて好適に利用できる。
1 クレイドルガイド
1a 焼結金属製部材
1b 樹脂層
1c クレイドルガイド本体
1d、1e 支持面
1f 凹部
1g 凸部
2 ピストン
3 クレイドル
4 繊維状充填材
5、6 ハウジング
7 回転軸
8 シリンダブロック
8a ピストン収容室
9 弁板
9a 吸入ポート
9b 吐出ポート
10、13 押圧バネ
11 リテーナ
12 シュー
14 油圧制御装置
15 シリンダ

Claims (10)

  1. 可変容量型アキシャルピストンポンプにおけるピストンストロークを調整するクレイドルに摺接し、このクレイドルが揺動可能であるように保持するクレイドルガイドであって、
    前記クレイドルガイドは、焼結金属製部材と、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からなる樹脂層とを有し、
    前記樹脂層は、前記焼結金属製部材の少なくとも前記クレイドルと摺接する表面に0.1〜0.7mmの厚さで射出成形により重ねて一体に設けられたことを特徴とする可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド。
  2. 前記樹脂組成物が繊維状充填材を含み、前記樹脂層において該繊維状充填材が、繊維の長さ方向をクレイドルガイドの摺動方向に対して45〜90度に交差するように配向していることを特徴とする請求項1記載の可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド。
  3. 前記焼結金属製部材が、クレイドルガイド本体であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド。
  4. 前記クレイドルガイドが、溶製金属製のクレイドルガイド本体を有し、該クレイドルガイド本体に前記焼結金属製部材が設置されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド。
  5. 前記焼結金属製部材の理論密度比が、0.7〜0.9であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド。
  6. 前記焼結金属製部材が、鉄を主成分とする焼結金属からなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド。
  7. 前記繊維状充填材が、炭素繊維であることを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれか1項記載の可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド。
  8. 前記樹脂組成物が、該樹脂組成物全体に対して、前記炭素繊維を5〜30体積%、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を1〜30体積%含むことを特徴とする請求項7記載の可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド。
  9. 前記樹脂組成物が、樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における溶融粘度50〜200Pa・sの樹脂組成物であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項記載の可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項記載のクレイドルガイドを備えることを特徴とする可変容量型アキシャルピストンポンプ。
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