JP6256477B2 - 放射線検出器およびその製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明に係る放射線検出器は、放射線を蛍光に変換するシンチレータ結晶が縦横に配列し、高さ方向に第1層ないし第4層の4つの層を有するシンチレータと、シンチレータに光学的に接続された光検出器とを備えた放射線検出器であって、互いに隣接するシンチレータ結晶の隙間に蛍光を反射する横方向または縦方向に伸びた複数の反射板を有し、第1層および第2層に備えられた反射板のうち横方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列しているとともに、第2層および第3層に備えられた反射板のうち横方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列しており、第3層および第4層に備えられた反射板のうち横方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列しており、第1層および第2層に備えられた反射板のうち縦方向に伸びるものは、出現する位置が2つの層の間で同じとなるようにシンチレータ結晶2個分の周期で横方向に配列しているとともに、第2層および第3層に備えられた反射板のうち縦方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で横方向に配列しており、第3層および第4層に備えられた反射板のうち縦方向に伸びるものは、出現する位置が2つの層の間で同じとなるようにシンチレータ結晶2個分の周期で横方向に配列していており、前記シンチレータが有する面のうち前記光検出器が光学的に結合されている面を底面としたとき、前記シンチレータ結晶が有する面のうち前記シンチレータの側面をなす面が平滑面となっており、シンチレータ結晶が有する面のうち隣のシンチレータ結晶に対向する面が前記平滑面より粗く磨りガラス状の粗面となっていることを特徴とするものである。
シンチレータ結晶の6面が平滑面となっていると、シンチレータを組み立てる際にシンチレータ結晶の向きを気にしないでよくなり、シンチレータの製造が容易となる。また、シンチレータ結晶の一部の面が平滑面となっていると、隣の結晶との光学的な結合が理想通りとなり、正確な蛍光の測定ができる放射線検出器が提供できる。
図1に示すように、実施例1に係る放射線検出器は、放射線を蛍光に変換するシンチレータ結晶cが縦横に配列し、高さ方向に第1層L1ないし第4層L4の4つの層を有するシンチレータ2と、シンチレータ2に光学的に接続されたシリコン・フォト・マルチプライア・アレイ(以下、SiPMA3よぶ)と、シンチレータ2とSiPMA3との間に介在する位置に配置されたライトガイド4とを備えた放射線検出器である。このSiPMA3は、蛍光を検出する半導体素子シリコン・フォト・マルチプライアが2次元マトリックス状に配列されており、入射した蛍光のx,およびy(横および縦)についての位置を弁別することができる。ライトガイド4は、シンチレータ2で生じた蛍光をSiPMA3に導くために設けられている。したがって、ライトガイド4は、シンチレータ2とSiPMA3とに光学的に結合されている。SiPMA3は、本発明の光検出器に相当する。
シンチレータ2は、放射線を蛍光に変換するシンチレータ結晶cがx,y方向に二次元的に配列して構成され、z方向に第1層L1ないし第4層L4の4つの層を有している。すなわち、シンチレータ2は、z方向(高さ方向)に細長状となっている4角柱形状のシンチレータ結晶cが二次元的に配列されることにより構成されている。シンチレータ結晶cの各々は、Ceが拡散したLu2(1−X)Gd2XSiO5(以下、LGSOとよぶ)によって構成されている。また、シンチレータ結晶cの各々は、例えば、x方向の幅が3mm,y方向の幅が3mm,z方向の高さが20mmの直方体をしている。また、シンチレータ2の4側端面は、図示しない反射膜で被覆されている。シンチレータ結晶cは、シンチレータ2の第1層L1ないし第4層L4に跨って設けられている。
次に、反射板について説明する。シンチレータ2には、互いに隣接するシンチレータ結晶cの隙間に蛍光を反射するx方向(横方向)に伸びる反射板RXおよびy方向(縦方向)に伸びる反射板RYとが設けられている。反射板RX,RYは、図1に示すように、互いに隣接するシンチレータ結晶cの間に介在する位置には、例えばポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムで構成され、厚さは、例えば125μmとなっている。反射板RXは、本発明の横方向に伸びた反射板に相当し、反射板RYは、本発明の縦方向に伸びた反射板に相当する。
まず、反射板RYについて説明する。図2は、実施例1に係るシンチレータをそのzx側端面から見たときの平面図である。図2の示すように、いずれの反射板RYも、y方向、およびz方向に伸びた板状となっている。第1層L1,第2層L2には、y方向に伸びる反射板RYaがシンチレータ結晶cの隙間に挿入されている。この反射板RYaは、x方向に配列された32個のシンチレータ結晶cのうち、例えば、c(2,1)とc(3,1)との間に挿入される。この様に、反射板RYaの左隣は、x方向について偶数番のシンチレータ結晶cが位置し、反射板RYaの右隣は、x方向について奇数番のシンチレータ結晶cが位置している。この反射板RYaの各々は、第1層L1,第2層L2に跨って設けられており、シンチレータ2全体では15枚設けられる。反射板RYaは、シンチレータ2の第1層L1と第2層L2とに跨っているとともにシンチレータ結晶c2個分の周期でx方向に配列している。反射板RYaのz方向の高さは例えば層2段分の10mmに設定されている。このように、反射板RYaの高さは第1層L1と第2層L2との合計の高さに等しい。
次に、本各実施例に係るシンチレータの有するyz側の側端面について説明する。図3は、実施例1に係るシンチレータをそのyz側端面から見たときの平面図である。図3の示すように、各層におけるシンチレータ結晶cの隙間には、x方向に伸びた反射板RXが挿入されている。しかも、そのz方向の高さは例えば層1段分の5mmに設定されている。いずれの反射板RXも、x方向、およびz方向に伸びた板状である。このように、反射板RXと各層L1,L2,L3,L4の高さは等しい。
次に、実施例1に係る放射線検出器1のx,y,z方向における蛍光の発生位置の弁別方法について説明する。シンチレータ2に入射したγ線は、4領域のいずれかで蛍光に変換される。この蛍光は、ライトガイド4の方向に進み、ライトガイド4を介してSiPMA3に入射する。SiPMA3は、マルチアノードタイプであり、入射位置に応じて出力される検出信号の電圧が段階的に変化する構成となっている。こうして、蛍光がSiPMA3に入射したx,およびy方向の位置を弁別することができる。
直方体となっているシンチレータ2は6つの面を有する。そのうち1つの面は、ライトガイド4と結合している蛍光の出射面となっている。シンチレータ2が有する6つの面のうち出射面以外の5つの面の各々には、図6に示すように、各面を覆うようにシンチレータ反射板Sが設けられている。シンチレータ反射板Sは、シンチレータ結晶cの隙間に設けられた反射板RX,RYと同じ材質で構成され、シリコン樹脂が硬化した透過材tを介してシンチレータ2と一体化している。このシンチレータ反射板Sは、シンチレータ2で生じた蛍光が出射面以外の面から散逸してしまうことを防止する目的で設けられている。このように、シンチレータ反射板Sは、SiPMA3に蛍光を集光させる役割を担っている。
続いて本発明における最も特徴的な構成について説明する。すなわち、本発明は、シンチレータ2を構成するシンチレータ結晶cの構成に特徴がある。シンチレータ結晶cは、図7に示すように直方体となっており、6つの面を有している。本発明のシンチレータ結晶はcは、6つの面のいずれもが粗面となっているのである。粗面とは、表面が研磨処理された平滑面よりも粗いザラついた面をいい、見た目としては磨りガラスのような質感となっている。なお、平滑面とは、結晶の内部が透けて見える程度に研磨された面である。図7においては、シンチレータ結晶cの表面が粗面となっている様子を網掛けで表している。このように、シンチレータ2を構成するシンチレータ結晶cが有する面のうち隣のシンチレータ結晶cに対向する面が粗面となっている。したがって実施例1の構成によれば、粗面同士が透過材tを介して結合することによりシンチレータ結晶cの光学的な結合がなされることになる。
シンチレータ2を構成するシンチレータ結晶cには、透過材tを介して反射板RX,RYに接している部分と、透過材tを介して隣のシンチレータ結晶cに接している部分とがある。従って、いずれの部分も透過材tに接していることになる。この透過材tの屈折率は、シンチレータ結晶cの屈折率よりも小さいものとなっている。このようなシンチレータ結晶cと透過材tとの間で見られる屈折率の違いは、蛍光の一部が反射を引き起こす原因となる。
本発明によれば、放射線検出器1の高さ方向についての空間分解能が改善されるのでこれについて説明する。この説明に先立って、まずは、従来通りのシンチレータ2における高さ方向の位置弁別の原理について詳細する。従来通りとは、シンチレータ2を構成するシンチレータ結晶cが平滑面となっている場合のことである。図10は、シンチレータ2の中心付近を描写している。図中の符号Gは、シンチレータ2の中心点であり、x方向とy方向の両方についてシンチレータ2の中心となっている。シンチレータ2は、この中心点Gを囲む符号A,B,C,Dで示す4つのシンチレータ結晶cを有している。以降、この4つのシンチレータ結晶cが蛍光を発した場合について考える。
シンチレータ2における蛍光がSiPMA3に向けて出射する出射面は、透過材tを介してライトガイド4に光学的に接続されている。シンチレータ2を構成するシンチレータ結晶cは、6面が粗面となっているから、シンチレータ2の出射面もまた粗面となっている。出射面に結合している透過材tの屈折率は、シンチレータ結晶の屈折率よりも小さい。
t 透過材
L1 第1層
L2 第2層
L3 第3層
L4 第4層
RX,RY 反射板
S シンチレータ反射板
2 シンチレータ
3 SiPMA(光検出器)
Claims (9)
- 放射線を蛍光に変換するシンチレータ結晶が縦横に配列し、高さ方向に第1層ないし第4層の4つの層を有するシンチレータと、前記シンチレータに光学的に接続された光検出器とを備えた放射線検出器であって、
互いに隣接する前記シンチレータ結晶の隙間に蛍光を反射する横方向または縦方向に伸びた複数の反射板を有し、
第1層および第2層に備えられた反射板のうち横方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列しているとともに、
第2層および第3層に備えられた反射板のうち横方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列しており、
第3層および第4層に備えられた反射板のうち横方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列しており、
第1層および第2層に備えられた反射板のうち縦方向に伸びるものは、出現する位置が2つの層の間で同じとなるようにシンチレータ結晶2個分の周期で横方向に配列しているとともに、
第2層および第3層に備えられた反射板のうち縦方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で横方向に配列しており、
第3層および第4層に備えられた反射板のうち縦方向に伸びるものは、出現する位置が2つの層の間で同じとなるようにシンチレータ結晶2個分の周期で横方向に配列していており、
前記シンチレータが有する面のうち前記光検出器が光学的に結合されている面を底面としたとき、前記シンチレータ結晶が有する面のうち前記シンチレータの側面をなす面が平滑面となっており、
前記シンチレータ結晶が有する面のうち隣のシンチレータ結晶に対向する面が前記平滑面よりも粗く磨りガラス状の粗面となっていることを特徴とする放射線検出器。 - 請求項1に記載の放射線検出器において、
前記シンチレータを構成する互いに隣接する前記シンチレータ結晶は、屈折率が前記シンチレータ結晶を構成する材料よりも小さい透過材により光学的に結合されていることを特徴とする放射線検出器。 - 請求項1または請求項2に記載の放射線検出器において、
前記シンチレータにおける前記光検出器に接続されている面が前記平滑面よりも粗く磨りガラス状の粗面となっていることを特徴とする放射線検出器。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線検出器を製造するための放射線検出器の製造方法において、
前記シンチレータ結晶が有する前記磨りガラス状の粗面は、前記シンチレータ結晶の表面を100番以上600番以下の研磨紙で研削されて形成されていることを特徴とする放射線検出器の製造方法。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線検出器において、
前記シンチレータに配列されている前記シンチレータ結晶は、第1層ないし第4層に跨って設けられていることを特徴とする放射線検出器。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線検出器において、
前記シンチレータに配列されている前記シンチレータ結晶には、第1層および第2層に跨って設けられているものと、第3層および第4層に跨って設けられているものとの二種類があることを特徴とする放射線検出器。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線検出器において、
前記シンチレータが有する面のうち前記光検出器が光学的に結合されている面を底面としたとき、前記シンチレータの側面および上面を覆うように設けられたシンチレータ反射板を備え、
前記シンチレータの側面を構成する前記シンチレータ結晶は、全ての面が平滑面となっていることを特徴とする放射線検出器。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線検出器において、
前記シンチレータが有する面のうち前記光検出器が光学的に結合されている面を底面としたとき、前記シンチレータの側面および上面を覆うように設けられたシンチレータ反射板を備え、
前記シンチレータ結晶が有する面のうち前記シンチレータの側面をなす面のみが平滑面となっていることを特徴とする放射線検出器。 - 放射線を蛍光に変換するシンチレータ結晶が縦横に配列し、高さ方向に第1層ないし第4層の4つの層を有するシンチレータと、前記シンチレータに光学的に接続された光検出器とを備えた放射線検出器を製造するための放射線検出器の製造方法であって、
互いに隣接する前記シンチレータ結晶の隙間に蛍光を反射する横方向または縦方向に伸びた複数の反射板を有し、
第1層および第2層に備えられた反射板のうち横方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列しているとともに、
第2層および第3層に備えられた反射板のうち横方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列しており、
第3層および第4層に備えられた反射板のうち横方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列しており、
第1層および第2層に備えられた反射板のうち縦方向に伸びるものは、出現する位置が2つの層の間で同じとなるようにシンチレータ結晶2個分の周期で横方向に配列しているとともに、
第2層および第3層に備えられた反射板のうち縦方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で横方向に配列しており、
第3層および第4層に備えられた反射板のうち縦方向に伸びるものは、出現する位置が2つの層の間で同じとなるようにシンチレータ結晶2個分の周期で横方向に配列していており、
前記シンチレータ結晶は、表面が結晶インゴットを切り出した状態のまま未加工となっていることを特徴とする放射線検出器の製造方法。
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