JP2015075427A - 放射線検出器 - Google Patents

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Hiromichi Tonami
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Abstract

【課題】シンチレータ結晶で生じた蛍光の発生位置を高さ方向について弁別できる構成の放射線検出器において、蛍光の発生位置の弁別が正確にできる放射線検出器を提供する。
【解決手段】本発明の放射線検出器のシンチレータ結晶cの表面は粗面となっている。これにより、シンチレータ結晶cの間で起こる予期しない蛍光の反射を抑制することができ、蛍光の発生位置を正確に弁別できる放射線検出器1を提供することができる。また、シンチレータ結晶cのうち反射板に結合している反射板結合領域は、研磨処理された平滑面となっているので、結晶から出射した蛍光が反射板で反射されてもとの結晶に戻る際に蛍光の減衰が生じない。この様に結晶の一部を平滑面とすることによりシンチレータ2で生じる蛍光の減衰を極力抑制し、放射線の検出感度が改善された放射線検出器1を提供することができる。
【選択図】図1

Description

この発明は、シンチレータ結晶が2次元または3次元的に配列された放射線検出器に関し、特に、深さ方向の蛍光の発生位置を区別するための反射板を備えた放射線検出器に関する。
γ線などの放射線を検出する放射線検出器には外見が図19のようなものがある。この様な放射線検出器51は、シンチレータ結晶cが縦、横、高さ方向に3次元的に配列したシンチレータ52と、シンチレータ52から発した蛍光を検出する光検出器53とを有している。シンチレータ52から発せられる蛍光は、放射線が変換されたものである(例えば特許文献1参照)。
放射線検出器51は、蛍光を測定する際に蛍光がシンチレータ52のどの部分で発したかを区別する機能を有している。この様な機能は、蛍光の位置弁別機能と呼ばれる。放射線検出器51は、シンチレータ52を構成するシンチレータ結晶cのどの結晶が蛍光を発したのかを特定することにより、蛍光の位置を弁別する。
シンチレータ結晶cを単に配列してシンチレータ52を構成しただけでは、蛍光の位置弁別を正確に行うことができない。特に、蛍光を発した結晶が図19の網掛けで示す高さ方向に配列した結晶のうちどれであるかを区別できるようにするには、シンチレータ52を構成する結晶の隙間に蛍光を反射する反射板54を設ける必要がある。
反射板54の構成について説明する。反射板54は、結晶と同じ高さを有しており、横方向に伸びるものと縦方向に伸びるものとの2種類がある。そして、横方向に伸びる反射板54と縦方向に伸びる反射板54とは、互いに嵌め合わされることにより反射板54が格子状となった反射板枠体を構成している。結晶はこの反射板枠体にはめ込まれるように配列している。
ところで、近年になって、新しい構造のシンチレータ52が開発されてきている。すなわち、図20に示すように図19におけるシンチレータ結晶cが高さ方向に一体化したようなシンチレータ52である。この様なシンチレータ52を用いることにより、放射線検出器51の感度が向上する。すなわち、図20のシンチレータ52は、図19のような4層のシンチレータ結晶層を有する構成とは異なり、蛍光が確実に光検出器53に到達させることができる(例えば特許文献2参照)。
この様な図20で説明したシンチレータ52においても、反射板54から構成される4つの反射板枠体が備えられている。この反射板枠体により、放射線検出器51は、高さ方向についての蛍光の発生位置を弁別することができる。
特開2004−279057号公報 国際公開WO2009/101730号公報
しかしながら、従来の放射線検出器は次のような問題がある。すなわち、従来の放射線検出器によれば、高さ方向についての蛍光の発生位置の弁別を正確に行うことができない。
従来の放射線検出器は、シンチレータ結晶のどの層で蛍光が発生したのかを弁別するのに、各層の間で光学的な環境が異なることを利用している。すなわち、反射板54は、シンチレータ結晶の4側面の全てを覆う様にはなっていないのである。例えば、あるシンチレータ結晶の第1層には、反射板54は、シンチレータ結晶の4側面のうち、図21に示す上側に位置する側面と、左側に位置する側面とに設けられている。
このようなシンチレータ結晶の第1層における発生点から発生した蛍光は、この発生点を中心として放射状に拡散しようとするものの、実際は反射板54に阻まれて、反射板54から逃げるように右下方向に広がる。一方、シンチレータ結晶の第2層には、反射板54は、シンチレータ結晶の4側面のうち、図21に示す下側に位置する側面と、左側に位置する側面とに設けられている。このようなシンチレータ結晶の第2層における発生点から発生した蛍光は、この発生点を中心として放射状に拡散しようとするものの、実際は反射板54に阻まれて、反射板から逃げるように右上方向に広がる。
このように、第1層で生じた蛍光は、右下方向に広がり、第2層で生じた蛍光は、右上方向に広がる。すなわち、シンチレータ結晶のどこで蛍光が発生するかによって、蛍光が広がる方向が違うのである。従来の放射線検出器はこの様な原理に基づいて、蛍光がシンチレータ結晶のどの層から発したのかを区別するようになっている。
この様な高さ方向についての蛍光の発生位置の弁別は、蛍光が理想通りに拡散することが前提となる。その点、シンチレータ結晶で生じた蛍光の拡散光は、反射板54に入射すると確実に反射される。
しかしながら、シンチレータ結晶の側面のうち反射板54が設けられていない面では、理想から外れた現象が起こる。すなわち、蛍光があるシンチレータ結晶で生じたとして、これが反射板54が設けられていない面を通じて隣の結晶に拡散するときに、結晶表面で拡散光の一部が反射してしまうのである。図22は、この蛍光の反射を模式的に表している。このような拡散光の反射は、蛍光の高さ方向の弁別をする上で想定していないものであり、図21で説明したような蛍光の広がりを乱すものである。すなわち、結晶間で生じる蛍光の反射は、特に高さ方向についての蛍光の位置弁別に悪影響を与える。すなわち、蛍光の位置弁別が不正確なものとなってしまうのである。
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、シンチレータ結晶で生じた蛍光の発生位置を高さ方向について弁別できる構成の放射線検出器において、蛍光の発生位置の弁別が正確にできる放射線検出器を提供することにある。
本発明は上述の課題を解決するために次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る放射線検出器は、放射線を蛍光に変換するシンチレータ結晶が縦横に配列し、高さ方向に第1層ないし第4層の4つの層を有するシンチレータと、シンチレータに光学的に接続された光検出器とを備えた放射線検出器であって、互いに隣接するシンチレータ結晶の隙間に蛍光を反射する横方向または縦方向に伸びた複数の反射板を有し、第1層および第2層に備えられた反射板のうち横方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列しているとともに、第2層および第3層に備えられた反射板のうち横方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列しており、第3層および第4層に備えられた反射板のうち横方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列しており、第1層および第2層に備えられた反射板のうち縦方向に伸びるものは、出現する位置が2つの層の間で同じとなるようにシンチレータ結晶2個分の周期で横方向に配列しているとともに、第2層および第3層に備えられた反射板のうち縦方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で横方向に配列しており、第3層および第4層に備えられた反射板のうち縦方向に伸びるものは、出現する位置が2つの層の間で同じとなるようにシンチレータ結晶2個分の周期で横方向に配列していており、シンチレータ結晶が有する面のうち、透過材を介して反射板に結合している反射板結合領域は、研磨処理された平滑面となっており、透過材を介して隣のシンチレータ結晶に結合している結晶結合領域は研磨処理された平滑面より粗く磨りガラス状の粗面となっていることを特徴とするものである。
[作用・効果]本発明の放射線検出器のシンチレータ結晶の表面は粗面となっている。これにより、シンチレータ結晶の間で起こる予期しない蛍光の一部が反射することを抑制することができ、シンチレータで発生する蛍光の広がりを理想通りとすることができる。したがって、本発明によれば、蛍光の発生位置を正確に弁別できる放射線検出器を提供することができる。
また、シンチレータ結晶のうち反射板に結合している反射板結合領域は、研磨処理された平滑面となっているので、結晶から出射した蛍光が反射板で反射されてもとの結晶に戻る際に蛍光の減衰が生じない。この様に結晶の一部を平滑面とすることによりシンチレータで生じる蛍光の減衰を極力抑制し、放射線の検出感度が改善された放射線検出器を提供することができる。
また、上述の放射線検出器において、シンチレータを構成する互いに隣接するシンチレータ結晶は、屈折率がシンチレータ結晶を構成する材料よりも小さい透過材により光学的に結合されていればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は本発明の放射線検出器を具体的に表したものとなっている。すなわち、屈折率の小さい透過材を屈折率の大きい2つのシンチレータ結晶で挟みこむことで、結晶同士が光学的に結合されている構成となっていると、シンチレータ結晶から透過材に向けて進む蛍光の一部が結晶表面で反射してしまう。本発明によれば、シンチレータ結晶の表面が粗面となっているので、結晶表面における蛍光の反射を抑制することができる。
また、上述の放射線検出器において、シンチレータにおける光検出器に接続されている面が研磨処理された平滑面より粗く磨りガラス状の粗面となっていればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は本発明の放射線検出器を具体的に表したものとなっている。シンチレータの光検出器に接続されている面が粗面となっていれば、シンチレータで発生した蛍光の一部がシンチレータの表面で反射することなく確実に光検出器に入射するので、シンチレータと光検出器が理想通りに光学的に結合することになる。上述の構成は、放射線検出器の蛍光の正確な測定に寄与するものである。
また、上述の放射線検出器において、シンチレータ結晶が有する粗面の粗さの程度は、シンチレータ結晶の表面を100番以上600番以下の研磨紙で研削した程となっていればより望ましい。
また、上述の放射線検出器において、シンチレータ結晶が有する粗面の粗さの程度は、光学研磨したシンチレータ結晶の表面よりも粗いものとなっていればより望ましい。
また、上述の放射線検出器において、シンチレータ結晶が有する粗面の粗さの程度は、ケミカルエッチング処理をしたシンチレータ結晶の表面よりも粗いものとなっていればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は本発明の放射線検出器を具体的に表したものとなっている。シンチレータ結晶の粗面の程度が上述に示した程度となっていれば、本発明の効果を十分に発揮することができる放射線検出器が提供できる。
また、上述の放射線検出器において、シンチレータに配列されているシンチレータ結晶は、第1層ないし第4層に跨って設けられていればより望ましい。
また、上述の放射線検出器において、シンチレータに配列されているシンチレータ結晶には、第1層および第2層に跨って設けられているものと、第3層および第4層に跨って設けられているものとの二種類があり、第1層および第2層に係る結晶の各面のうち、第3層および第4層に係る結晶に透過材を介して光学的に結合されている面は粗面となっていればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は本発明の放射線検出器を具体的に表したものとなっている。本発明は、様々は態様の放射線検出器に適用することができる。特に、シンチレータに配列されているシンチレータ結晶が上側の段と下側の段とで2つに分かれている構成においては、上側の結晶の各面のうち、下側の結晶に透過材を介して光学的に結合されている面は粗面となっているので、蛍光が上側の結晶から下側の結晶に突入するときに、上側の結晶の表面で反射が抑制される。この様に構成することにより、シンチレータの光学的特性を結晶が第1層ないし第4層に跨って設けられている構成のものに近づけることができる。この様にシンチレータの光学的特性を変更することができるようになれば、シンチレータのとりうる構成の選択肢が増えることになり、高性能な放射線検出器の提供を助ける。
また、上述の放射線検出器において、第1層および第2層に係る結晶の材料と第3層および第4層に係る結晶の材料とが互いに異なり、第1層および第2層に係る結晶の材料のエネルギー分解能は、第3層および第4層に係る結晶の材料のエネルギー分解能よりも高ければより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は本発明の放射線検出器を具体的に表したものとなっている。本発明は、SPECT撮影とPET撮影ができる兼用の断層撮影装置に適した構成となっている。本発明はこのように多様な用途に応じて構成を最適化することができる。
また、上述の放射線検出器のシンチレータを構成するシンチレータ結晶には、平滑面に変更された結晶結合領域または粗面に変更された反射板結合領域を有するものが含まれているような構成とすることもできる。
[作用・効果]上述の構成は本発明の放射線検出器を具体的に表したものとなっている。結晶結合領域または反射板結合領域の表面の状況を変更することによりシンチレータの光学的特性を最適化することができるので高性能な放射線検出器を提供することができる。
また、上述の放射線検出器において、シンチレータ結晶の結晶結合領域における粗面は、表面が結晶インゴットを切り出した状態のままの状態となっていればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は本発明の放射線検出器を具体的に表したものとなっている。シンチレータを構成するシンチレータ結晶は、円筒形状の結晶インゴットをワイヤーソーやダイジングソーで切り分けて製造される。切り分けられた直後のシンチレータ結晶は、6面とも粗面となっている。そこで、表面が粗面のままとなっているシンチレータ結晶を組み立ててシンチレータを製造すれば、隣り合うシンチレータ結晶同士の光学的な結合面で反射が抑制されることになる。つまり上述の構成によれば、本発明の効果を有するシンチレータが得られる。さらに、上述の構成によれば、シンチレータ結晶の表面を研磨する工程が必要でないので、製造工程が短縮され低コストな放射線検出器が提供できる。
本発明の放射線検出器のシンチレータ結晶の表面は粗面となっている。これにより、シンチレータ結晶の間で起こる予期しない蛍光の反射を抑制することができ、シンチレータで発生する蛍光の広がりを理想通りとすることができる。したがって、本発明によれば、蛍光の発生位置を正確に弁別できる放射線検出器を提供することができる。また、シンチレータ結晶のうち反射板に結合している反射板結合領域は、研磨処理された平滑面となっているので、結晶から出射した蛍光が反射板で反射されてもとの結晶に戻る際に蛍光の減衰が生じない。この様に結晶の一部を平滑面とすることによりシンチレータで生じる蛍光の減衰を極力抑制し、放射線の検出感度が改善された放射線検出器を提供することができる。
実施例1に係る放射線検出器の全体構成を説明する斜視図である。 実施例1に係る反射板の構成について説明する平面図である。 実施例1に係る放射線検出器の高さ方向についての蛍光の発生位置の区別方法について説明する模式図である。 実施例1に係る放射線検出器の高さ方向についての蛍光の発生位置の区別方法について説明する模式図である。 実施例1に係るシンチレータ反射板の構成について説明する断面図である。 実施例1に係るシンチレータ結晶について説明する斜視図である。 実施例1に係るシンチレータ結晶の特性について説明する模式図である。 実施例1に係るシンチレータ結晶の特性について説明する模式図である。 実施例1に係るシンチレータ結晶について説明する斜視図である。 実施例1に係るシンチレータ結晶について説明する斜視図である。 実施例1に係るシンチレータ結晶について説明する斜視図である。 実施例1に係る放射線検出器の効果について説明する模式図である。 実施例1に係る放射線検出器の効果について説明する模式図である。 実施例1に係る放射線検出器の効果について説明する模式図である。 本発明に係る放射線検出器の1変形例について説明する断面図である。 本発明に係る放射線検出器の1変形例について説明する斜視図である。 本発明に係る放射線検出器の1変形例について説明する断面図である。 本発明に係る放射線検出器の1変形例について説明する断面図である。 従来装置に係る放射線検出器の構成を説明する斜視図である。 従来装置に係る放射線検出器の構成を説明する斜視図である。 従来装置に係る放射線検出器の構成を説明する斜視図である。 従来装置に係る放射線検出器の問題点を説明する模式図である。
(1)放射線検出器1の概略構成
図1に示すように、実施例1に係る放射線検出器は、放射線を蛍光に変換するシンチレータ結晶cが縦横に配列し、高さ方向に第1層L1ないし第4層L4の4つの層を有するシンチレータ2と、シンチレータ2に光学的に接続されたシリコン・フォト・マルチプライア・アレイ(以下、SiPMA3よぶ)と、シンチレータ2とSiPMA3との間に介在する位置に配置されたライトガイド4とを備えた放射線検出器である。このSiPMA3は、蛍光を検出する半導体素子シリコン・フォト・マルチプライアが2次元マトリックス状に配列されており、入射した蛍光のx,およびy(横および縦)についての位置を弁別することができる。ライトガイド4は、シンチレータ2で生じた蛍光をSiPMA3に導くために設けられている。したがって、ライトガイド4は、シンチレータ2とSiPMA3とに光学的に結合されている。SiPMA3は、本発明の光検出器に相当する。
(2)シンチレータの構成
シンチレータ2は、放射線を蛍光に変換するシンチレータ結晶cがx,y方向に二次元的に配列して構成され、z方向に第1層L1ないし第4層L4の4つの層を有している。すなわち、シンチレータ2は、z方向(高さ方向)に細長状となっている4角柱形状のシンチレータ結晶cが二次元的に配列されることにより構成されている。シンチレータ結晶cの各々は、Ceが拡散したLu2(1−X)Gd2XSiO(以下、LGSOとよぶ)によって構成されている。また、シンチレータ結晶cの各々は、例えば、x方向の幅が3mm,y方向の幅が3mm,z方向の高さが20mmの直方体をしている。また、シンチレータ2の4側端面は、図示しない反射膜で被覆されている。シンチレータ結晶cは、シンチレータ2の第1層L1ないし第4層L4に跨って設けられている。
なお、シンチレータ2で発した蛍光は、ライトガイド4を介してシンチレータ2に光学的に接続された蛍光を検出するSiPMA3によって弁別される。すなわち、SiPMA3は、シンチレータ2で発した蛍光がどのシンチレータ結晶cから発生したものであるのかを区別することができるのである。つまり、SiPMA3は、シンチレータ2のx方向およびy方向について蛍光の発生位置の弁別能を有している。
SiPMA3は、シンチレータ2のz方向についても蛍光の発生位置の弁別をすることができる。すなわち、SiPMA3は、シンチレータ2が有する4つの層のうち、どの層から蛍光が発したのかを弁別することができるのである。すなわち、シンチレータ2は、z方向について4つの領域に区分けすることができる。このときの区分けを順番に第1層L1,第2層L2,第3層L3,第4層L4と呼ぶことにする。これら4層のうち、シンチレータ2における放射線が入射する面である入射面側に位置する層を第1層L1であるものとし、シンチレータ2におけるライトガイド4側に位置する層を第4層L4であるものとする。シンチレータ2を構成するシンチレータ結晶cは、この各層L1,L2,L3,L4に跨って存在しているということになる。各層L1,L2,L3,L4のz方向の高さは、それぞれ5mmに設定されている。
互いに隣接するシンチレータ結晶cに挟まれる位置には、蛍光を透過する透過材tが設けられている。透過材tは、シンチレータ結晶cと反射板RX,RYとの間にも形成されている。この透過材tは、シンチレータ結晶cや反射板を結合してシンチレータ2を形作る役割も果たしている。この透過材tの厚さは、シンチレータ結晶cと反射板RX,RYとの間において25μm程度であり、材料としては、シリコン樹脂からなる熱硬化性樹脂が使用できる。
シンチレータ結晶cを構成するLGSOは、比較的屈折率の高い物質であり、LGSOの屈折率は、1.82程度である。透過材tを構成するシリコン樹脂は、比較的屈折率の低い物質であり、シリコン樹脂の屈折率は1.41程度となっている。このように、シンチレータ2を構成する互いに隣接するシンチレータ結晶cは、屈折率がシンチレータ結晶cを構成する材料よりも小さい透過材tにより光学的に結合されている。
(3)反射板の構成
次に、反射板について説明する。シンチレータ2には、互いに隣接するシンチレータ結晶cの隙間に蛍光を反射するx方向(横方向)に伸びる反射板RXおよびy方向(縦方向)に伸びる反射板RYとが設けられている。反射板RX,RYは、図1に示すように、互いに隣接するシンチレータ結晶cの間に介在する位置には、例えばポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムで構成され、厚さは、例えば125μmとなっている。反射板RXは、本発明の横方向に伸びた反射板に相当し、反射板RYは、本発明の縦方向に伸びた反射板に相当する。
<反射板RXについて>
まず、反射板RXについて説明する。図2の左側は、実施例1に係るシンチレータをそのyz側端面から見たときの平面図である。図2の左側の示すように、いずれの反射板RXも、x方向、およびz方向に伸びた板状であり、シンチレータ結晶cの隙間に挿入されている。しかも、そのz方向の高さは例えば層1段分の5mmに設定されている。このように、反射板RXと各層L1,L2,L3,L4の高さは等しい。
反射板RX1は、第1層L1のシンチレータ結晶cの隙間に挿入される反射板であり、反射板RX2は、第2層L2のシンチレータ結晶cの隙間に挿入される反射板である。また、反射板RX1は、y方向に配列された8個のシンチレータ結晶cのうち、例えば、c(8,2)とc(8,3)との間に挿入される。この様に、反射板RX1の左隣は、y方向について偶数番のシンチレータ結晶cが位置し、反射板RX1の右隣は、y方向について奇数番のシンチレータ結晶cが位置している。一方、反射板RX2は、シンチレータ結晶層において、反射板RX2とは異なる位置に挿入される。すなわち、反射板RX2の左隣は、y方向について奇数番のシンチレータ結晶cが位置し、反射板RX2の右隣は、y方向について偶数番のシンチレータ結晶cが位置している。なお、この反射板RX1は、第1層L1において3枚設けられ、反射板RX2は、第2層L2において4枚設けられる。このように、反射板RX1,RX2は、シンチレータ2の第1層L1と第2層L2との間で交互に出現するようにシンチレータ結晶c1個分の周期でy方向に配列している。反射板RX1の高さは、第1層L1の高さに等しく、反射板RX2の高さは、第2層L2の高さに等しい。
反射板RX3は、第3層L3のシンチレータ結晶cの隙間に挿入される反射板であり、シンチレータ2における反射板RX3の挿入位置は、反射板RX1と同様なものとなっている。同様に、反射板RX4は、第4層L4のシンチレータ結晶cの隙間に挿入される反射板であり、シンチレータ2における反射板RX4の挿入位置は、反射板RX2と同様なものとなっている。すなわち、反射板RX3の左隣は、y方向について偶数番のシンチレータ結晶cが位置し、反射板RX3の右隣は、y方向について奇数番のシンチレータ結晶cが位置している。そして、反射板RX4の左隣は、y方向について奇数番のシンチレータ結晶cが位置し、反射板RX4の右隣は、y方向について偶数番のシンチレータ結晶cが位置している。なお、この反射板RX3は、第3層L3において3枚設けられ、反射板RX4は、第4層L4において4枚設けられる。このように、反射板RX3,RX4は、シンチレータ2の第3層L3と第4層L4との間で交互に出現するようにシンチレータ結晶c1個分の周期でy方向に配列している。反射板RX3の高さは、第3層L3の高さに等しく、反射板RX4の高さは、第4層L4の高さに等しい。
このように、第1層L1および第2層L2に備えられた反射板RX1,RX2は、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列している。同様に、第2層L2および第3層L3に備えられた反射板RX2,RX3は、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列している。同様に、第3層L3および第4層L4に備えられた反射板RX3,RX4は、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列している。
<反射板RYについて>
続いて、反射板RYについて説明する。図2の右側は、実施例1に係るシンチレータをそのzx側端面から見たときの平面図である。図2の右側の示すように、いずれの反射板RYも、y方向、およびz方向に伸びた板状であり、シンチレータ結晶cの隙間に挿入されている。第1層L1および第2層L2に跨って設けられている反射板RYaのz方向の高さは例えば層2段分の10mmに設定されている。このように、反射板RYaの高さは第1層L1と第2層L2との合計の高さに等しい。同様に、第3層L3および第4層L4に跨って設けられている反射板RYbのz方向の高さは例えば層2段分の10mmに設定されている。このように、反射板RYbの高さは第3層L3と第4層L4との合計の高さに等しい。
第1層L1,第2層L2には、y方向に伸びる反射板RYaがシンチレータ結晶cの隙間に挿入されている。この反射板RYaは、x方向に配列された8個のシンチレータ結晶cのうち、例えば、c(2,1)とc(3,1)との間に挿入される。この様に、反射板RYaの左隣は、x方向について偶数番のシンチレータ結晶cが位置し、反射板RYaの右隣は、x方向について奇数番のシンチレータ結晶cが位置している。この反射板RYaの各々は、第1層L1,第2層L2に跨って設けられており、シンチレータ2全体では3枚設けられる。反射板RYaは、シンチレータ2の第1層L1と第2層L2とに跨っているとともにシンチレータ結晶c2個分の周期でx方向に配列している。
同様に、第3層L3,第4層L4には、y方向に伸びる反射板RYbがシンチレータ結晶cの隙間に挿入されている。しかし、その挿入位置は、反射板RYaとは異なるものとなっている。すなわち、反射板RYbの左隣は、x方向について奇数番のシンチレータ結晶cが位置し、反射板RYbの右隣は、x方向について偶数番のシンチレータ結晶cが位置している。この反射板RYbの各々は、第3層L3,第4層L4に跨って設けられており、シンチレータ2全体では4枚設けられる。反射板RYbは、シンチレータ2の第3層L3と第4層L4とに跨っているとともにシンチレータ結晶c2個分の周期でx方向に配列している。
このように、第1層L1および第2層L2に備えられた反射板RYaは、出現する位置が2つの層の間で同じとなるようにシンチレータ結晶2個分の周期で横方向に配列している。同様に、第2層L2および第3層L3に備えられた反射板RYa,RYbは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で横方向に配列している。同様に、第3層L3および第4層L4に備えられた反射板RYbは、出現する位置が2つの層の間で同じとなるようにシンチレータ結晶2個分の周期で横方向に配列している。
<蛍光の発生位置の弁別方法>
次に、実施例1に係る放射線検出器1のx,y,z方向における蛍光の発生位置の弁別方法について説明する。シンチレータ2に入射したγ線は、4領域のいずれかで蛍光に変換される。この蛍光は、ライトガイド4の方向に進み、ライトガイド4を介してSiPMA3に入射する。SiPMA3は、マルチアノードタイプであり、入射位置に応じて出力される検出信号の電圧が段階的に変化する構成となっている。こうして、蛍光がSiPMA3に入射したx,およびy方向の位置を弁別することができる。
次に、図3,図4を参照しながら、放射線検出器1のz方向における蛍光の発生位置の弁別方法について説明する。図3,図4に示すように、シンチレータ2の4領域において、反射板RXと反射板RYの挿入位置が互いに異なるものとなっている。図3,図4を通じて(2,2)に位置するシンチレータ結晶c(2,2)(図3,図4中に斜線で示す)に注目すると、4領域における反射板RX,RYの挿入方向は、互いに異なったものとなっている。シンチレータ結晶cで生じた蛍光は、x,およびy方向に広がりながらSiPMA3に到達するが、反射板RX,RYを設けることによって、その広がり方に方向性が付加される。しかも、x,yの位置が同一な各層L1,L2,L3,L4で発した蛍光の各々を比較すれば、それらが広がる方向は互いに異なったものとなっている。つまり、シンチレータ2のz方向における蛍光発生位置の違いは、蛍光のx,y方向の位置の違いに変換されることになる。SiPMA3は、このz方向の位置の違いに起因する蛍光のx,y方向のわずかなずれを検知し、そこから蛍光のz方向に関する発生位置が各層L1,L2,L3,L4の中のどこかを割り出すことができる。
(4)シンチレータ反射板Sについて
直方体となっているシンチレータ2は6つの面を有する。そのうち1つの面は、ライトガイド4と結合している蛍光の出射面となっている。シンチレータ2が有する6つの面のうち出射面以外の5つの面の各々には、図5に示すように、各面を覆うようにシンチレータ反射板Sが設けられている。シンチレータ反射板Sは、シンチレータ結晶cの隙間に設けられた反射板RX,RYと同じ材質で構成され、シリコン樹脂が硬化した透過材tを介してシンチレータ2と一体化している。このシンチレータ反射板Sは、シンチレータ2で生じた蛍光が出射面以外の面から散逸してしまうことを防止する目的で設けられている。このように、シンチレータ反射板Sは、SiPMA3に蛍光を集光させる役割を担っている。
(5)シンチレータ結晶cの表面の構成について:本発明における最も特徴的な構成
続いて本発明における最も特徴的な構成について説明する。すなわち、本発明は、シンチレータ2を構成するシンチレータ結晶cの構成に特徴がある。シンチレータ結晶cは、図6に示すように直方体となっており、表面の一部が平滑面質となっており、残りの部分が粗面質となっているのである。粗面とは、表面が研磨処理された平滑面よりも粗いザラついた面をいい、見た目としては磨りガラスのような質感となっている。なお、平滑面とは、結晶の内部が透けて見える程度に研磨された面である。図6においては、シンチレータ結晶cの表面のうち粗面質となっている領域を網掛けで表し、平滑面質となっている領域を網掛け無しで表している。
シンチレータ結晶cが有する粗面質の粗さの程度は、シンチレータ結晶cの表面を100番以上600番以下の研磨紙で研削した程度となっている。したがって、シンチレータ結晶cが有する粗面質の粗さの程度は、光学研磨したシンチレータ結晶cの表面よりも粗く、ケミカルエッチング処理をしたシンチレータ結晶cの表面よりも粗いものとなっている。
シンチレータ結晶cの表面に粗面を設けた理由について説明する。従来のシンチレータ結晶cの表面には、平滑面とするような磨き加工がなされている。この様な磨き加工を行う理由としては、組み立ての容易性や、シンチレータ結晶cから出射する蛍光の減衰を防ぐことなどがある。しかし、シンチレータ結晶cの表面を平滑面としてしまうと、シンチレータ結晶表面で蛍光の一部が反射するという問題点が起こる。
この問題点について説明する。
シンチレータ2を構成するシンチレータ結晶cには、透過材tを介して反射板RX,RYに接している部分と、透過材tを介して隣のシンチレータ結晶cに接している部分とがある。従って、いずれの部分も透過材tに接していることになる。この透過材tの屈折率は、シンチレータ結晶cの屈折率よりも小さいものとなっている。このようなシンチレータ結晶cと透過材tとの間で見られる屈折率の違いは、蛍光の一部が反射を引き起こす原因となる。
すなわち、屈折率の大きいシンチレータ結晶cの内部を進む蛍光が屈折率の小さな透過材tに突入するときに、蛍光成分の一部が透過材tに進入できずに反射してしまう場合があるのである。すなわち、図7に示すように、シンチレータ結晶cの内部を進む蛍光成分がシンチレータ結晶cの屈折率と透過材tの屈折率で決まる臨界角よりも大きい入射角θで透過材tに向かうと、この蛍光成分は、シンチレータ結晶cの表面で全反射し、シンチレータ結晶cから出射できずにシンチレータ結晶cの表面で折り返してしまい、透過材tに入射しない。この反射光は、透過材tに入射していった透過光とは異なる経路を辿ってSiPMA3で検出されることにはなる。したがって、反射光も検出されるのだから、界面で蛍光の全反射が起こっても特に問題はないのではないかとも思われる。しかし、このような反射は、本来想定されているものではなく、次のような問題を引き起こす。すなわち、シンチレータ結晶cの内側で蛍光の反射が起こると、透過材tを介して光学的に結合された2つのシンチレータ結晶cの間で光学的な環境の差が想定よりも大きくなってしまう。
本発明のように、シンチレータ結晶cの表面が粗面であると、図8に示すように、シンチレータ結晶cの蛍光が透過材tに向けて臨界角よりも大きい入射角θで入射したとしても、シンチレータ結晶cの表面で全反射が起こりにくなる。このように結晶表面で反射が抑えられる理由としては、シンチレータ結晶cの内部と透過材tとの間にザラついたシンチレータ結晶cの表層があると、この表層がシンチレータ結晶cと透過材tとの間にあった屈折率の不連続性を緩和し、結晶と透過材との間の屈折率の相違による特性が薄れるというメカニズムが考えられる。
<平滑面について>
本発明に係るシンチレータ結晶cは、表面の全てが粗面質となっているわけではない。シンチレータ結晶cの表面は、粗面質となっている領域と、研磨処理された平滑面質となっている領域とが混在している。この平滑面質となっている領域は、結晶を光学研磨処理またはケミカルエッチング処理を施して得られるものである。
図9は、シンチレータ結晶cにおいて粗面質と平滑面質との分布について説明している。シンチレータ結晶cにおいて粗面質となっているのは、透過材tを介して隣のシンチレータ結晶cに光学的に結合する結晶結合領域Rcおよび、透過材tを介してライトガイド4に光学的に結合する面である。シンチレータ結晶cにおいて粗面質が上述のような分布となっているのは、図7,図8を用いて説明したように蛍光の反射を抑制する必要性からである。
また、シンチレータ結晶cにおいて、平滑面質となっているのは、透過材tを介して反射板RX,RYに結合する反射板結合領域Rrおよび、透過材tを介してシンチレータ反射板Sに結合する面である。シンチレータ結晶cにおいて平滑面質が上述のような分布となっているのは、シンチレータ結晶cの内部の蛍光が透過材tを通過して反射板RX,RYまたはシンチレータ反射板Sに至り、そこで反射した蛍光が、再び透過材tを通過してシンチレータ結晶cに戻ってくる過程で減衰しないようにする必要性からである。シンチレータ結晶cの表面が粗面となっていると、シンチレータ結晶cを行き来する蛍光は、表面で減衰してしまう。シンチレータ結晶cを部分的に平滑面質とすることで、この蛍光の減衰を極力抑制することができる。
なお、シンチレータ結晶cを平滑面質とすると、結晶から透過材tに向けて蛍光が出射するときに、結晶表面で蛍光の反射が起こってしまう。この反射が放射線検出器の性能に影響を与えるようにも思われる。しかし、実際はそうではない。確かに、結晶の平滑面では、結晶から透過材tに向けて出射しようとする蛍光は、透過材t側に透過する透過成分と、平滑面で反射する反射成分とに分解される。このときの透過光成分は、反射板RX,RYまたはシンチレータ反射板Sで反射し、結局元の結晶に戻される運命にある。したがって、透過光成分と反射成分は、もといたシンチレータ結晶cの中で再び一緒になり、あたかも全成分が反射板RX,RYまたはシンチレータ反射板Sで反射したかのような結果となるのである。以上のような理由から、結晶の平滑面質で蛍光の反射が生じても放射線検出器の性能には影響しない。ちなみに、上述の過程のうちの後半の過程である反射板で反射した蛍光の拡散光が透過材tからシンチレータ結晶cに向かうときには、反射が生じない。シンチレータ結晶cの屈折率が透過材tのものよりも大きいからである。
<シンチレータ結晶を製造する方法>
上述のように本発明のシンチレータ結晶cの表面は、透過材tを介して反射板RX,Ry,シンチレータ反射板Sに結合している反射板結合領域Rrが研磨処理された平滑面となっている一方、透過材tを介して隣のシンチレータ結晶cに結合している結晶結合領域Rcが研磨処理された平滑面より粗く磨りガラス状の粗面となっている。このような粗面と平滑面とが混在した表面を持つシンチレータ結晶を製造するのには、まず結晶に光学研磨処理またはケミカルエッチング処理を施して全面を平滑面とする方法が考えられる。結晶の粗面となっている領域は、結晶の表面のうち平滑面となるべき領域にマスクを行った上で研磨紙を用いた研磨、サンドブラスト法による削り込み、またはレーザエッチングによる削り込みを行うことで得られる。
<シンチレータ結晶の種類について>
本発明に係るシンチレータ2はどのようなシンチレータ結晶cにより構成されるのかについて説明する。図10は、シンチレータ2を構成する8種類のシンチレータ結晶cの表面を展開図として表している。8種類の結晶のうちパターン1,1mの結晶は、全域が平滑面となっている側面が2つあり、シンチレータ2の4隅に配置されるものである。パターン2,2m,3,3mの結晶は、全域が平滑面となっている側面が1つあり、シンチレータ2の側面に配置されるものである。パターン4,4mは、全域が平滑面となっている側面はなく、シンチレータ2の内部に配列されるものである。
なお、シンチレータ結晶の側面とは、結晶におけるライトガイド4の接続面を底面とし、底面に対向する放射線の入射面を上面としたときの結晶の側面を意味し、一つの結晶に4つある。なお、結晶の底面はいずれもパターン1,1m,2,2m,3,3m,4,4mにおいてもライトガイド4に結合される粗面となっており、上面はいずれのパターン1,1m,2,2m,3,3m,4,4mにおいてもシンチレータ反射板Sに結合される平滑面となっている。
パターン1の結晶とパターン1mの結晶は互いに鏡像体の関係にあり、パターン2の結晶とパターン2mの結晶は互いに鏡像体の関係にある。同様に、パターン3の結晶とパターン3mの結晶は互いに鏡像体の関係にあり、パターン4の結晶とパターン4mの結晶は互いに鏡像体の関係にある。
<シンチレータ結晶の配列方法について>
このように異なるパターンのシンチレータ結晶cがシンチレータ2にどのように配列されているのかについて説明する。図11は、シンチレータ2に配列される結晶の並びを示している。パターン1,1m,2,2m,3,3m,4,4mの結晶は、図11に示すように配列され一つのシンチレータ2を形作る。一つのシンチレータ2を製造するには、パターン1,1mの結晶がそれぞれ2本ずつ、パターン2,2m,3,3mの結晶がそれぞれ6本ずつ、パターン4,4mの結晶がそれぞれ18本ずつ、計64本の結晶が必要である。透過材tを介してこれら64本の結晶が一体化してシンチレータ2が製造される。
<高さ方向についての空間分解能の改善について:結晶に粗面を設けたことによる効果>
本発明によれば、結晶に粗面を設けることにより、放射線検出器1の高さ方向についての空間分解能が改善されるのでこれについて説明する。図12は、SiPMA3が出力するシンチレータ2で生じた蛍光の発生位置を示したマップである。このマップは、時間をかけて取得されたものであり、シンチレータ2を構成する各シンチレータ結晶cが蛍光を発したときに得られる像が累積的に表されている。単一の蛍光がシンチレータ2で発生した場合、このときSiPMA3が出力するマップには、この蛍光の発生位置を示す1つの明点が現れるのみである。図12のマップは、SiPMA3が出力しうる明点の全てを網羅したものとなっており、実際の検出時には、図12のマップに配列された明点のうちの一つがマップに現れることになる。
図12のマップ中4つの明点を太枠で囲んだ矩形の領域は、同じシンチレータ結晶で発生した蛍光に由来する明点を囲んだものとなっている。すなわち、実施例1の放射線検出器1によれば、シンチレータ結晶cにおける蛍光の発生位置に応じて明点の現れる位置が4通りに変化する。すなわち、シンチレータ結晶cにおける第1層L1〜第4層L4のいずれで蛍光が発生したかに応じて、マップ上で明点の発生する位置が右上にずれたり、右下にずれたり、左上にずれたり、左下にずれたりする。
図13の左側は、上述の図12における太枠で囲んだ4つの明点を抜き出して表したものである。この4つの明点は、同じシンチレータ結晶に由来する。ただし4つの明点の間で蛍光の発生層が異なっている。各層L1,L2,L3,L4に由来する明点のそれぞれは、図13の左側において、1a,2a,3a,4aで表されている。図13においては、明点1a,2a,3a,4aがシンチレータ結晶のどこに由来するのかも示してもいるのでこれも参照されたい。
一方、図13の右側は、図12における点線で囲んだ4つの明点を抜き出して表したものである。この4つの明点は、同じ第1層L1で発した蛍光ではあるものの、由来するシンチレータ結晶が異なる。異なる4つのシンチレータに由来する明点のそれぞれは、図13の右側において、1a,1b,1c,1dで表されている。これら明点の由来となった4つの結晶は、シンチレータの中で縦2列横2列に並んでおり、互いに隣り合うシンチレータ結晶となっている。図13においては、明点1a,1b,1c,1dがシンチレータ結晶のどこに由来するのかも示してもいるのでこれも参照されたい。
本発明によれば、蛍光の高さ方向についての空間分解能が改善されるので、その詳細を説明する。図14の上側は、従来通りシンチレータ結晶cが平滑面となっている場合である。この場合、図14の左上に示すように、縦2列横2列に配列された4つのシンチレータ結晶A,B,C,Dの表面では蛍光の反射が盛んに起こっている。この結晶の表面でおこる反射により各シンチレータ結晶A,B,C,Dが光学的に隔絶されている。
SiPMA3が出力するマップは、光学的に異なる環境から生じた蛍光に由来する明点を互いに離間させて配置する構成となっている。従来構成においては、結晶の表面で起こる反射によりシンチレータ結晶A,B,C,Dが光学的に隔絶されている。したがって、SiPMA3は、図14の右上に示すように第1層L1で生じた蛍光由来の明点1a,1b,1c,1dを互いに引き離すように配置する。
一方、シンチレータ結晶Aの各層L1,L2,L3,L4は、1つのシンチレータ結晶Aにより構成されており、各層L1,L2,L3,L4の間を蛍光が素通りする。この様に、シンチレータ結晶Aの各層L1,L2,L3,L4は光学的に近い関係にある。したがって、SiPMA3は、2×2のマトリックス状に現れるシンチレータ結晶Aの各層L1,L2,L3,L4で生じた蛍光由来の明点1a,2a,3a,4aを1カ所にまとめてマップに配置する。この様な事情は、他のシンチレータ結晶B,C,Dでも同じである。
従って、従来構成においては、シンチレータで生じた蛍光がどのシンチレータ結晶で生じたかを区別することはできるとしても、蛍光がどの層L1,L2,L3,L4で生じたものかを区別するのは難しい構成となっている。各層L1,L2,L3,L4で生じた蛍光に由来する明点がマップ上で近い位置に配置されるからである。
図14の下側は、本発明に係るシンチレータ結晶cが粗面となっている場合である。この場合、図14の左下に示すように、互いに隣り合うシンチレータ結晶A,B,C,Dの表面では蛍光の反射が抑えられる。結晶の表面で起こる反射がないだけ各シンチレータ結晶A,B,C,Dが光学的に近い関係にある。
SiPMA3が出力するマップは、光学的に近い環境から生じた蛍光に由来する明点を互いに近づけて配置する構成となっている。本発明に係る構成においては、結晶の表面で起こる反射が抑えられることによりシンチレータ結晶A,B,C,Dが光学的に近似している。したがって、SiPMA3は、図14の右下に示すように2×2のマトリックス状に現れるシンチレータ結晶A,B,C,Dの第1層L1で生じた蛍光由来の明点1a,1b,1c,1dを互いに近づけるように配置する。マップ上で明点1a,1b,1c,1dが近づいた分だけ、シンチレータ結晶Aの第1層L1で生じた蛍光由来の明点1aが、第2層L2,第3層L3,第4層L4で生じた蛍光由来の明点2a,3a,4aから遠ざかる。
図14の右下に図示はしていないが、同様の効果はシンチレータ2の第2層L2,第3層L3,第4層L4についても起こる。2×2の2次元マトリックス状に配列されている4つのシンチレータ結晶の第2層L2で生じた蛍光由来の4つの明点は、図14で説明した第1層L1の場合と同様に縦2列横2列に並んでマップ上に現れる。シンチレータ結晶cの表面を粗面としたことにより、第2層由来の4つの明点は、マップ上で互いに近づけられて配置される。
また、2×2の2次元マトリックス状に配列されている4つのシンチレータ結晶の第3層L3で生じた蛍光由来の4つの明点は、図14で説明した第1層L1の場合と同様に縦2列横2列に並んでマップ上に現れる。シンチレータ結晶cの表面を粗面としたことにより、第3層由来の4つの明点は、マップ上で互いに近づけられて配置される。
また、2×2の2次元マトリックス状に配列されている4つのシンチレータ結晶の第4層L4で生じた蛍光由来の4つの明点は、図14で説明した第1層L1の場合と同様に縦2列横2列に並んでマップ上に現れる。シンチレータ結晶cの表面を粗面としたことにより、第4層由来の4つの明点は、マップ上で互いに近づけられて配置される。
このような事情は、高さ方向の蛍光の発生位置の区別をする点で有利となるのでこれについて説明する。上述のようにマップ上に互いに隣接する明点のうち、同じ層で異なる結晶由来の明点同士が近づく現象が発生すると、それだけ同じ結晶で異なる層由来の明点同士が互いに引き離されるのである。つまり、マップ上におけるシンチレータ結晶Aで生じた各層L1,L2,L3,L4で生じた蛍光由来の明点1a,2a,3a,4aのそれぞれが互いに離れた位置に配置されることになり、シンチレータ結晶のどの層で蛍光が発生したのかが区別しやすくなる。このような原理に基づいて本発明に係る放射線検出器1は、空間分解能が向上することになる。
なお、マップ上で各明点1a,1b,1c,1dが近づくことにより各明点の区別はつきにくくはなるが、各明点1a,1b,1c,1dは、異なるシンチレータ結晶に由来しているので、マップ上において十分に離れた位置に出現する性質があり、本来的に区別されやすい。したがって、結晶の表面を粗面とすることでマップ上で各明点1a,1b,1c,1dが近づいても空間分解能が悪化することはない。この事情は他の層由来の明点でも同様である。
このような空間分解能の向上は、特にマップの端部で顕著である。図12に示すマップの端部に注目すれば、明点が混み合っていることに気が付く。明点がマップの端部で混み合う理由は、シンチレータ2の端部で生じた蛍光が広がることにできる空間がシンチレータ2の中央部で生じた蛍光のものよりも狭いことにある。このようなマップの端部は、明点が重なりやすく、それだけ蛍光の発生位置を正確に特定するのが難しい。本発明に係る放射線検出器1のようにシンチレータ結晶cの表面を粗面とすれば、マップの端部において重なり合った明点が分散し、より空間分解能が向上する。
<シンチレータ2とライトガイド4との結合について:結晶に粗面を設けたことによる効果>
シンチレータ2における蛍光がSiPMA3に向けて出射する出射面は、透過材tを介してライトガイド4に光学的に接続されている。このシンチレータ2の出射面もまた粗面質となっている。出射面に結合している透過材tの屈折率は、シンチレータ結晶の屈折率よりも小さい。この様な構成とすることで、蛍光がライトガイド4に入射する前にシンチレータ2の表面で反射することを防ぐことができる。
<蛍光の反射について:結晶に平滑面を設けたことによる効果>
本発明の構成によれば、シンチレータ結晶の表面のうち、反射板RX,RY,シンチレータ反射板Sに結合する反射板結合領域Rrが平滑面となっている。これにより、シンチレータ結晶内部の蛍光が反射板RX,RY,シンチレータ反射板Sで反射され再びもといた結晶に戻る際に光の減衰が起こらない。従って、本発明の放射線検出器によれば、シンチレータ2の蛍光を極力減衰させない検出する構成となっており、空間分解能、エネルギー分解能が改善されている。
以上のように、本発明の放射線検出器のシンチレータ結晶cのうち隣の結晶に光学的に結合している結晶結合領域Rcは粗面質となっている。これにより、シンチレータ結晶cの間で起こる予期しない蛍光の一部が反射することを抑制することができ、シンチレータ2で発生する蛍光の広がりを理想通りとすることができる。したがって、本発明によれば、蛍光の発生位置を正確に弁別できる放射線検出器を提供することができる。
また、シンチレータ結晶cのうち反射板RX,Ry,シンチレータ反射板Sに結合している反射板結合領域Rrは、研磨処理された平滑面質となっているので、結晶から出射した蛍光が反射板RX,Ry,シンチレータ反射板Sで反射されてもといた結晶に戻る際に蛍光の減衰が生じない。この様に結晶の一部を平滑面とすることによりシンチレータで生じる蛍光の減衰を極力抑制し、放射線の検出感度が改善された放射線検出器を提供することができる。
また、実施例の構成のように屈折率の小さい透過材tを屈折率の大きい2つのシンチレータ結晶cで挟みこむことで、結晶同士が光学的に結合されている構成となっていると、シンチレータ結晶cから透過材tに向けて進む蛍光が結晶表面で反射してしまう。本発明によれば、シンチレータ結晶cの表面が粗面となっているので、結晶表面における蛍光の一部が反射することを抑制することができる。
また、シンチレータ2のSiPMA3に接続されている面が粗面となっていれば、シンチレータ2で発生した蛍光がシンチレータ2の表面で反射することなく確実にSiPMA3に入射するので、シンチレータ2とSiPMA3が理想通りに光学的に結合することになる。上述の構成は、放射線検出器の蛍光の正確な測定に寄与するものである。
本発明は、上述の構成に限られず、下記のように変形実施することができる。
(1)上述の実施例では、シンチレータ2は、第1層L1から第4層L4までに跨る一体もののシンチレータ結晶cから構成されていたが、この構成に変えて、図15のようにシンチレータ2を第1層L1と第2層L2とに跨るシンチレータ結晶と、第3層L3と第4層L4とに跨るシンチレータ結晶とによって構成するようにしてもよい。本変形例におけるシンチレータ2に配列されているシンチレータ結晶cには、第1層L1および第2層L2に跨って設けられているものと、第3層L3および第4層L4に跨って設けられているものとの二種類がある。このように本発明は、様々な態様の放射線検出器に適用することができる。
この変形例におけるシンチレータ結晶は、結晶の継ぎ目に特徴があるのでこれについて説明する。図16に示すように、第1層L1および第2層L2に係る結晶と第3層L3および第4層L4に係る結晶は上述の透過材tを介して光学的に結合されている。そして、第1層L1および第2層L2に係る結晶の各面のうち、第3層L3および第4層L4に係る結晶に透過材tを介して光学的に結合されている面は粗面となっている。この様にすることで、第1層L1および第2層L2に係る結晶で生じた蛍光は、結晶の表面で反射を起こさずに透過材tに進入することができる。この蛍光は、第3層L3および第4層L4に係る結晶およびライトガイド4を通過してSiPMA3で検出されることになる。
また、図16に示すように、第3層L3および第4層L4に係る結晶における透過材tを介して第1層L1および第2層L2に係る結晶に光学的に結合される面は、平滑面となっている。第1層L1および第2層L2に係る結晶における放射線の入射面は、シンチレータ反射板Sが透過材tを介して光学的に結合する面でありこれも平滑面となっている。そして、第3層L3および第4層L4に係る結晶における透過材tを介してライトガイド4に光学的に接続されている面は、粗面となっている。
本変形例に係るシンチレータ結晶cが上側の段と下側の段とで2つに分かれている構成においては、上側の結晶の各面のうち、下側の結晶に透過材tを介して光学的に結合されている面は粗面となっているので、蛍光が上側の結晶から下側の結晶に突入するときに、上側の結晶の表面で反射が抑制される。この様に構成することにより、シンチレータの光学的特性を結晶が第1層L1ないし第4層L4に跨って設けられている構成のものに近づけることができる。この様にシンチレータ2の光学的特性を変更することができるようになれば、シンチレータのとりうる構成の選択肢が増えることになり、高性能な放射線検出器の提供を助ける。
(2)図15で説明した変形例では、第1層L1および第2層L2に係る結晶と第3層L3および第4層L4に係る結晶とは同じLGSOで構成されていたが本発明はこの構成に限られない。本発明は互いの結晶の材料を違えた構成にも適用できる。具体的な材料としては、第1層L1および第2層L2に係る結晶の材料にGAGG,GPS,NaIなどを選択することができ、第3層L3および第4層L4に係る結晶の材料にGSOZ,BGOなどを選択することができる。GAGG,GPS,NaIは、放射線は強い蛍光に変換されるので、蛍光の検出を行う上で有利である一方、放射線が結晶の中を素通りしてしまう可能性が高く、放射線の数え落としが起こってしまう。一方、GSOZ,BGOは、放射線が結晶の中を素通りする可能性が小さく、結晶に入射した放射線を確実に蛍光に変換する。しかし、その一方で、発する蛍光が弱く、蛍光の検出を行う上で不利である。
本変形例は、放射線が入射する入射面側に強い蛍光を発する結晶を配置し、ライトガイド4の接続面側にストッピングパワーが強い結晶を配置することで互いの弱点を補われた放射線検出器となっている。ストッピングパワーとは、放射線を止める能力を表す用語である。このように、本変形例に係る第1層L1および第2層L2に係る結晶の材料のエネルギー分解能は、第3層L3および第4層L4に係る結晶の材料のエネルギー分解能よりも高くなっており、第3層L3および第4層L4に係る結晶の材料のストッピングパワーは、第1層L1および第2層L2に係る結晶の材料のストッピングパワーよりも高くなっている。このような放射線検出器のシンチレータ2は、図17に示すように、入射面側の結晶の高さよりも接続面側の結晶の高さのほうが長く設定される。この様にすることで、放射線検出器の空間分解能が向上する。この様な放射線検出器は、特にSPECT撮影とPET撮影ができる兼用の断層撮影装置に適した構成となっている。
図17に示す本変形例に係るシンチレータ2も、図16で説明したように、第1層L1および第2層L2に係る結晶と第3層L3と第4層L4に係る結晶は上述の透過材tを介して光学的に結合され、変形例に係る第1層L1および第2層L2に係る結晶の各面のうち、第3層L3および第4層L4に係る結晶に透過材tを介して光学的に結合されているライトガイド4側の面は粗面となっている。これにより、本変形例についても(1)で説明したのと同様な効果を得ることができる。なお、(1)の変形例と同様、第1層L1および第2層L2に係る結晶における放射線の入射面と第3層L3および第4層L4に係る結晶における第1層L1および第2層L2に光学的に結合されている面は平滑面となっている。また、第3層L3および第4層L4に係る結晶におけるライトガイド4に結合されている面は粗面となっている。
(3)上述の実施例では、シンチレータ結晶cの側面に粗面質の領域を有している構成であったが本発明はこの構成に限られない。本発明の構成は図18に示すように、シンチレータ結晶cの4側面が全て反射板RX,RYで覆われるような構成としてもよい。この反射板RX,RYは、シンチレータ2のz方向の高さと同じ高さを有し、反射板RXは、x方向に伸びた反射板であり、反射板RYはy方向に伸びた反射板である。反射板RX,RYは互いにかみ合って単一の反射板枠体を形作っている。
この様な構成においては、シンチレータ結晶cの4側面の全域が透過材tを介して反射板RX,RYに結合しているので、4側面の全域が平滑面となっている。また、図18に示す本変形例に係るシンチレータ2は、z方向に積み重ねれた2層構造となっている。そして、放射線が入射する側に位置する第1層と、ライトガイド4側に位置する第2層の間で結晶の材料を変えることができる。第1層を構成する結晶の材料としてGAGG,GPS,NaIなどを選択することができる。また、第2層を構成する結晶の材料としてGSOZ,BGOなどを選択することができる。この様な材料選択により、上述の(2)に係る変形例と同様な効果を得ることができる。
図18に示す本変形例に係るシンチレータ2も、図16で説明したように、第1層に係る結晶と第2層に係る結晶は上述の透過材tを介して光学的に結合され、変形例に係る第1層に係る結晶の各面のうち、第2層に係る結晶に透過材tを介して光学的に結合されているライトガイド4側の面は粗面となっている。これにより、本変形例についても(1)で説明したのと同様な効果を得ることができる。なお、(1)の変形例と同様、第1層に係る結晶における放射線の入射面と第2層に係る結晶における第1層に光学的に結合されている面は平滑面となっている。また、第2層に係る結晶におけるライトガイド4に結合されている面は粗面となっている。
(4)上述の実施例では、シンチレータ2は、第1層L1から第4層L4までに跨る一体もののシンチレータ結晶cから構成されていたが、この構成に変えて、図19に示すように、シンチレータ2の各層L1,L2,L3,L4の各々に位置する4種類のシンチレータ結晶によって構成するようにしてもよい。変形例に係るシンチレータ2は、第1層L1,第2層L2,第3層L3,第4層L4に係る結晶は、上述の透過材tを介してz方向に光学的に結合される。図16で説明したように、この変形例に係る第1層L1,第2層L2,第3層L3,第4層L4に係る結晶の各面のうち、ライトガイド4側の面は粗面となっている。これにより、本変形例についても(1)で説明したのと同様な効果を得ることができる。
(5)上述の実施例では、シンチレータ2を構成するシンチレータ結晶cが研磨紙で研磨されたものであると説明しているが、本発明はこの構成に限らない。すなわち、LGSO結晶インゴットから切り出されたシンチレータ結晶cの表面の結晶結合領域Rcに当たる部分を無加工のまま組み立ててシンチレータ2を構成するようにしてもよい。シンチレータ2を構成するシンチレータ結晶cは、円筒形状のLGSOインゴットをワイヤーソーやダイジングソーで切り分けて製造される。切り分けられた直後のシンチレータ結晶cは、6面とも粗面となっている。そこで、表面が粗面のままの部分を残しながら必要に応じて平滑化処理を行って仕上げたシンチレータ結晶を組み立ててシンチレータ2を製造すれば、隣り合うシンチレータ結晶同士の光学的な結合面で反射が抑制されることになる。本変形例によれば、本発明の効果を有するシンチレータ2が得られる。
(6)上述の実施例では、反射板RYa,RYbがシンチレータ2の2層に跨っている構成となっていたが、本発明はこれに代えて、反射板RYa,RYbの一方または両方がシンチレータ2の各層で分割された構成とした放射線検出器に適用することができる。
(7)上述の実施例では、シンチレータ結晶の表面のうち隣のシンチレータ結晶に光学的に結合されている部分が粗面であり、反射板RX,RY,シンチレータ反射板Sに光学的に結合されている部分が平滑面となっていたが、本発明はこのような構成に限られない。図12で説明したマップに現れる明点の位置を調整する目的で、図9で説明した結晶結合領域Rcを平滑面に変えた結晶をシンチレータ2の一部で用いるようにしてもよいし、逆に反射板結合領域Rrを粗面に変えた結晶をシンチレータ2の一部で用いるようにしてもよい。また、結晶の表面上に存在する複数の結晶結合領域Rcのうちどれを平滑面とするかは、適宜選択することができる。同様に、結晶の表面上に存在する複数の反射板結合領域Rrのうちどれを平滑面とするかも適宜選択することができる。また、平滑面に変更された結晶結合領域Rcと粗面に変更された反射板結合領域Rrの両方を有するシンチレータ結晶をシンチレータ2で用いるようにしてもよい。
(8)上述の実施例では、結晶の材料としてLGSOを用いていたが本発明はこれに限られず、Lu2(1−X)2XSiO(LYSO),GSOなどの他の材料を用いてもよい。また、光検出器としてSiPMA以外の他のデバイスを用いてもよい。
c シンチレータ結晶
t 透過材
L1 第1層
L2 第2層
L3 第3層
L4 第4層
Rc 結晶結合領域
Rr 反射板結合領域
RX,RY 反射板
S シンチレータ反射板
2 シンチレータ
3 SiPMA(光検出器)

Claims (11)

  1. 放射線を蛍光に変換するシンチレータ結晶が縦横に配列し、高さ方向に第1層ないし第4層の4つの層を有するシンチレータと、前記シンチレータに光学的に接続された光検出器とを備えた放射線検出器であって、
    互いに隣接する前記シンチレータ結晶の隙間に蛍光を反射する横方向または縦方向に伸びた複数の反射板を有し、
    第1層および第2層に備えられた反射板のうち横方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列しているとともに、
    第2層および第3層に備えられた反射板のうち横方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列しており、
    第3層および第4層に備えられた反射板のうち横方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で縦方向に配列しており、
    第1層および第2層に備えられた反射板のうち縦方向に伸びるものは、出現する位置が2つの層の間で同じとなるようにシンチレータ結晶2個分の周期で横方向に配列しているとともに、
    第2層および第3層に備えられた反射板のうち縦方向に伸びるものは、2つの層の間で交互に出現するようにシンチレータ結晶1個分の周期で横方向に配列しており、
    第3層および第4層に備えられた反射板のうち縦方向に伸びるものは、出現する位置が2つの層の間で同じとなるようにシンチレータ結晶2個分の周期で横方向に配列していており、
    前記シンチレータ結晶が有する面のうち、透過材を介して前記反射板に結合している反射板結合領域は、研磨処理された平滑面となっており、前記透過材を介して隣のシンチレータ結晶に結合している結晶結合領域は研磨処理された平滑面より粗く磨りガラス状の粗面となっていることを特徴とする放射線検出器。
  2. 請求項1に記載の放射線検出器において、
    前記シンチレータを構成する互いに隣接する前記シンチレータ結晶は、屈折率が前記シンチレータ結晶を構成する材料よりも小さい透過材により光学的に結合されていることを特徴とする放射線検出器。
  3. 請求項1または請求項2に記載の放射線検出器において、
    前記シンチレータにおける前記光検出器に接続されている面が研磨処理された平滑面より粗く磨りガラス状の粗面となっていることを特徴とする放射線検出器。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線検出器において、
    前記シンチレータ結晶が有する粗面の粗さの程度は、前記シンチレータ結晶の表面を100番以上600番以下の研磨紙で研削した程となっていることを特徴とする放射線検出器。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線検出器において、
    前記シンチレータ結晶が有する粗面の粗さの程度は、光学研磨した前記シンチレータ結晶の表面よりも粗いものとなっていることを特徴とする放射線検出器。
  6. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線検出器において、
    前記シンチレータ結晶が有する粗面の粗さの程度は、ケミカルエッチング処理をした前記シンチレータ結晶の表面よりも粗いものとなっていることを特徴とする放射線検出器。
  7. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線検出器において、
    前記シンチレータに配列されている前記シンチレータ結晶は、第1層ないし第4層に跨って設けられていることを特徴とする放射線検出器。
  8. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線検出器において、
    前記シンチレータに配列されている前記シンチレータ結晶には、第1層および第2層に跨って設けられているものと、第3層および第4層に跨って設けられているものとの二種類があり、第1層および第2層に係る結晶の各面のうち、第3層および第4層に係る結晶に前記透過材を介して光学的に結合されている面は粗面となっていることを特徴とする放射線検出器。
  9. 請求項8に記載の放射線検出器において、
    第1層および第2層に係る結晶の材料と第3層および第4層に係る結晶の材料とが互いに異なり、第1層および第2層に係る結晶の材料のエネルギー分解能は、第3層および第4層に係る結晶の材料のエネルギー分解能よりも高いことを特徴とする放射線検出器。
  10. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線検出器において、
    前記シンチレータを構成するシンチレータ結晶には、平滑面に変更された前記結晶結合領域または粗面に変更された前記反射板結合領域を有するものが含まれていることを特徴とする放射線検出器。
  11. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線検出器において、
    前記シンチレータ結晶の結晶結合領域における粗面は、表面が結晶インゴットを切り出した状態のままの状態となっていることを特徴とする放射線検出器。
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