JP6256459B2 - 電磁流量計 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁流量計に関する。
様々な設備を持つプラントには、プラント内に配置されたそれぞれの設備が稼働している状態の監視や設備の運転の制御を行うことを目的として、フィールド機器と呼ばれる複数の現場機器(測定器や操作器)が設置されている。フィールド機器の中の測定器の一つである電磁流量計は、プラントに配置された配管などに設置され、設置されている配管の中を流れる導電性の流体の流量を計測し、計測した流量の情報を出力する。この電磁流量計が出力した流体の流量の情報は、フィールド機器の中の操作器の一つであるポンプやバルブによって流体を配管に流す際の制御(ポンプの駆動やバルブの開閉の制御)に用いられる。
また、プラントにおいては、安全に操業を行うために、それぞれの設備に対する日常的または定期的な点検作業、故障や不具合などのトラブルに対応する作業が行われている。これらの作業には、それぞれの設備に設置されたフィールド機器の健全性を保つため、つまり、フィールド機器によって設備が稼働している状態を正確に計測することができるようにするための点検作業も含まれている。そして、従来から、フィールド機器の健全性を検証するための様々な技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、流量を測定するために流体中に配置される複数の電極(測定電極)の絶縁劣化を診断する電磁流量計の技術が開示されている。特許文献1に開示された技術では、検出した流体の流量に応じてそれぞれの測定電極から出力される流量信号に基づいてそれぞれの測定電極ごとに個別に流量値を算出し、算出したそれぞれの流量値の相対誤差に基づいて、それぞれの測定電極ごとに絶縁劣化を診断している。
特開2002−195861号公報
ところで、特許文献1に開示された電磁流量計の構成では、電磁流量計が計測した結果として出力する流体の流量値を、測定電極から出力されたそれぞれの流量信号の差分をとることによって求めている。このとき、それぞれの流量信号の差分をとる処理は、差動増幅器を用いて行っている。このため、特許文献1に開示された構成の電磁流量計からは、それぞれの流量信号に含まれる同相成分のノイズ(例えば、商用ノイズなど)が差動増幅器によって除去された状態で求められた流量値が、計測した結果として出力される。
しかしながら、特許文献1に開示された電磁流量計の構成では、絶縁劣化を診断するための個別の流量値を、それぞれの測定電極から出力された流量信号から直接的に求めている。つまり、特許文献1に開示された構成の電磁流量計では、それぞれの流量信号に含まれる商用ノイズなどノイズが除去されていない状態で個別の流量値を求めている。そして、それぞれの測定電極が出力する流量信号においては、本来検出する流体の実際の流量の情報が、ノイズに埋もれてしまっているということも考えられる。このため、特許文献1に開示された構成の電磁流量計では、それぞれの流量信号に含まれるノイズの影響によって、本来求めるべきそれぞれの測定電極ごとの個別の流量値を、正確に求めることができない。このことから、特許文献1に開示された技術では、電磁流量計のそれぞれの測定電極における絶縁劣化の状態を正確に診断することができない、という問題がある。
本発明は、上記の課題に基づいてなされたものであり、電磁流量計において流量を検出するための電極の異常を、正確に診断することができる電磁流量計を提供することを目的としている。
上記の課題を解決するため、本発明の電磁流量計は、測定管内に形成された磁界の中を流れる計測対象の流体の速度を計測する電磁流量計であって、前記流体によって発生された起電力を検出し、該検出した起電力の大きさの第1の流量信号を出力する第1の検出電極と、該検出した起電力の大きさの第2の流量信号を出力する第2の検出電極と、前記第1の流量信号と前記第2の流量信号との差分をとった差分流量信号を出力する差分回路と、前記第1の検出電極とアース電極との間に第1の交流電流を流し、前記第2の検出電極と前記アース電極との間に前記第1の交流電流と周波数が同じで逆相の第2の交流電流を流す交流信号発生回路と、前記第1の交流電流および前記第2の交流電流が流された状態で出力された前記第1の流量信号と前記第2の流量信号とによる前記差分流量信号に基づいて、前記第1の検出電極と前記第2の検出電極との間の第1の抵抗値を算出し、該算出した前記第1の抵抗値に基づいて、少なくとも前記第1の検出電極および前記第2の検出電極のいずれか一方の異常を診断する診断部と、を備える、ことを特徴とする。
また、本発明の電磁流量計における前記診断部は、前記磁界を前記測定管内に形成させる励磁回路が出力する励磁電流の周波数を表す励磁電流タイミング信号と、前記第1の交流電流の周波数を表す第1の交流電流タイミング信号と、前記第2の交流電流の周波数を表す第2の交流電流タイミング信号とを出力するタイミング信号生成部、を備え、前記第1の交流電流タイミング信号および前記第2の交流電流タイミング信号の周波数は、前記励磁電流タイミング信号の周波数の整数倍である、ことを特徴とする。
また、本発明の電磁流量計における前記診断部は、前記磁界を前記測定管内に形成させる励磁回路が出力する励磁電流の周波数を表す励磁電流タイミング信号と、前記第1の交流電流の周波数を表す第1の交流電流タイミング信号とを出力するタイミング信号生成部、を備え、前記交流信号発生回路は、前記第1の交流電流タイミング信号で表された周波数の前記第1の交流電流を前記第1の検出電極と前記アース電極との間に流し、前記第1の交流電流タイミング信号で表された周波数と同じ周波数で逆相の前記第2の交流電流を前記第2の検出電極と前記アース電極との間に流し、前記第1の交流電流タイミング信号の周波数は、前記励磁電流タイミング信号の周波数の整数倍である、ことを特徴とする。
また、本発明の電磁流量計における前記診断部は、当該電磁流量計の設置段階で算出した前記第1の抵抗値と、当該電磁流量計の運用段階で算出した前記第1の抵抗値との差である第1の抵抗値差に基づいて、少なくとも前記第1の検出電極および前記第2の検出電極のいずれか一方の異常を診断する、ことを特徴とする。
また、本発明の電磁流量計における前記診断部は、前記第1の抵抗値差が、予め定めた閾値よりも小さい場合に、少なくとも前記第1の検出電極および前記第2の検出電極のいずれか一方が異常であると判定する、ことを特徴とする。
また、本発明の電磁流量計における前記診断部は、前記第1の交流電流のみが流された状態で出力された前記第1の流量信号と前記第2の流量信号とによる前記差分流量信号に基づいて、前記第1の検出電極に対応した第2の抵抗値を算出し、前記第2の交流電流のみが流された状態で出力された前記第1の流量信号と前記第2の流量信号とによる前記差分流量信号に基づいて、前記第2の検出電極に対応した第3の抵抗値を算出し、前記第2の抵抗値に基づいた前記第1の検出電極の異常の診断、または前記第3の抵抗値に基づいた前記第2の検出電極の異常の診断の少なくともいずれか一方を行う、ことを特徴とする。
また、本発明の電磁流量計における前記診断部は、当該電磁流量計の設置段階で算出した前記第2の抵抗値と、当該電磁流量計の運用段階で算出した前記第2の抵抗値との差である第2の抵抗値差に基づいた前記第1の検出電極の異常の診断、または前記設置段階で算出した前記第3の抵抗値と、前記運用段階で算出した前記第3の抵抗値との差である第3の抵抗値差に基づいた前記第2の検出電極の異常の診断の少なくともいずれか一方を行う、ことを特徴とする。
また、本発明の電磁流量計における前記診断部は、前記第2の抵抗値差が、予め定めた範囲内であり、前記第3の抵抗値差が、予め定めた閾値よりも小さい場合に、前記第2の検出電極が異常であると判定する、ことを特徴とする。
また、本発明の電磁流量計における前記診断部は、前記第2の抵抗値差が、予め定めた閾値よりも小さく、前記第3の抵抗値差が、予め定めた範囲内である場合に、前記第1の検出電極が異常であると判定する、ことを特徴とする。
また、本発明の電磁流量計における前記診断部は、当該電磁流量計の運用段階で算出した前記第1の抵抗値である第1の運用抵抗値、前記運用段階で算出した前記第2の抵抗値である第2の運用抵抗値、および前記運用段階で算出した前記第3の抵抗値である第3の運用抵抗値の組み合わせによって、前記第1の検出電極または前記第2の検出電極の異常を診断する、ことを特徴とする。
また、本発明の電磁流量計における前記診断部は、前記第1の運用抵抗値の半分の値が、前記第2の運用抵抗値よりも大きい場合、前記第1の運用抵抗値と、前記第3の運用抵抗値との差が、予め定めた範囲内である場合、前記第2の運用抵抗値と、前記第3の運用抵抗値との差が、予め定めた閾値よりも小さい場合、のいずれかの場合に、前記第1の検出電極が異常であると判定する、ことを特徴とする。
また、本発明の電磁流量計における前記診断部は、前記第1の運用抵抗値の半分の値が、前記第3の運用抵抗値よりも大きい場合、前記第1の運用抵抗値と、前記第2の運用抵抗値との差が、予め定めた範囲内である場合、前記第2の運用抵抗値と、前記第3の運用抵抗値との差が、予め定めた閾値よりも大きい場合、のいずれかの場合に、前記第2の検出電極が異常であると判定する、ことを特徴とする。
また、本発明の電磁流量計は、測定管内に形成された磁界の中を流れる計測対象の流体の速度を計測する電磁流量計であって、前記流体によって発生された起電力を検出し、該検出した起電力の大きさの第1の流量信号を出力する第1の検出電極と、該検出した起電力の大きさの第2の流量信号を出力する第2の検出電極と、前記第1の流量信号と前記第2の流量信号との差分をとった差分流量信号を出力する差分回路と、前記第1の検出電極とアース電極との間に第1の交流電流を流し、前記第2の検出電極と前記アース電極との間に前記第1の交流電流と周波数が同じで逆相の第2の交流電流を流す交流信号発生回路と、前記第1の交流電流のみが流された状態で出力された前記第1の流量信号と前記第2の流量信号とによる前記差分流量信号に基づいて、前記第1の検出電極に対応した第1の抵抗値を算出し、前記第2の交流電流のみが流された状態で出力された前記第1の流量信号と前記第2の流量信号とによる前記差分流量信号に基づいて、前記第2の検出電極に対応した第2の抵抗値を算出し、前記第1の抵抗値に基づいた前記第1の検出電極の異常の診断、または前記第2の抵抗値に基づいた前記第2の検出電極の異常の診断の少なくともいずれか一方を行う診断部と、を備える、ことを特徴とする。
本発明によれば、電磁流量計において流量を検出するための電極の異常を、正確に診断することができるという効果が得られる。
本発明の第1の実施形態における電磁流量計の概略構成を示したブロック図である。 本第1の実施形態の電磁流量計において電極の異常を診断するためのそれぞれの信号のタイミングの一例を示したタイミングチャートである。 本第1の実施形態の電磁流量計において一方の電極の異常を診断するためのそれぞれの信号のタイミングの一例を示したタイミングチャートである。 本発明の第2の実施形態における電磁流量計の概略構成を示したブロック図である。
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における電磁流量計の概略構成を示したブロック図である。電磁流量計100は、センサ1と、バッファ回路2Aおよびバッファ回路2Bと、差動増幅回路3と、流量信号A/D変換回路4と、励磁回路5と、処理部6と、クロック回路7と、メモリ8と、出力回路9と、交流信号発生回路10Aおよび交流信号発生回路10Bとを含んで構成される。なお、センサ1は、1対の検出電極(検出電極1Aおよび検出電極1B)と、励磁コイル1Cと、アース電極1Eと、測定管1Pとを含んで構成される。また、処理部6は、分周回路61を含んで構成される。
電磁流量計100は、プラント内に配置された配管などの設備に設置される現場機器である。なお、プラントとしては、石油の精製や化学製品の生産を行う工業プラントの他、ガス田や油田などの井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力などの発電を管理制御するプラント、太陽光や風力などの環境発電を管理制御するプラント、上下水やダムなどを管理制御するプラントなどが含まれる。以下の説明においては、電磁流量計100が、プラント内に配置された配管に設置され、測定管1Pの中を流れる計測対象の流体である導電性の液体(例えば、工業用水や薬品などの液体状の製品あるいは半製品)の速度(流体速度)を計測するものとして説明する。
電磁流量計100は、センサ1が計測した流量信号(電圧信号)に基づいて、測定管1Pの中を流れる液体の流体速度を算出し、算出した流体速度を表す計測信号を出力する。なお、電磁流量計100では、センサ1を構成する励磁コイル1Cが、測定管1Pの外部に配置され、センサ1を構成する1対の検出電極である検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれが、測定管1P内で液体が接する面の対向した位置(図1に示した位置aまたは位置b)に配置されている。しかし、図1においては、説明を容易にするため、位置aに配置された検出電極1Aおよび位置bに配置された検出電極1Bのそれぞれを抜き出して、対応するバッファ回路2Aまたはバッファ回路2Bに隣接する位置に示している。また、電磁流量計100では、センサ1を構成するアース電極1Eは、測定管1Pの接地レベルの位置に配置されている。なお、アース電極1Eは、検出電極1Aとアース電極1Eとの距離、および検出電極1Bとアース電極1Eとの距離が同等の距離となる位置に配置されることが望ましい。
センサ1は、励磁コイル1Cによって測定管1Pに対して磁場を形成し、励磁コイル1Cによって形成された磁界の中を流れる液体、つまり、測定管1Pの中を流れる液体によって発生した起電力(電圧)を、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれによって検出する。そして、検出電極1Aは、検出した起電力の大きさ(電圧値)の流量信号を、対応するバッファ回路2Aに出力する。また、検出電極1Bは、検出した起電力の大きさ(電圧値)の流量信号を、対応するバッファ回路2Bに出力する。
励磁回路5は、センサ1を構成する励磁コイル1Cに測定管1Pに対する磁場を形成させるために必要な交流の励磁電流を出力する励磁回路である。励磁回路5は、処理部6に備えた分周回路61から出力された励磁電流タイミング信号TEXの周波数(例えば、300Hz以下)の励磁電流を、励磁コイル1Cに出力する。これにより、励磁コイル1Cによって、励磁電流タイミング信号TEXの周波数に応じた磁場が、測定管1Pの周辺に形成される。そして、検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれから、励磁回路5が出力した励磁電流に応じて励磁コイル1Cが形成した磁界の中を流れる液体によって発生した起電力の大きさ(電圧値)の流量信号が、対応するバッファ回路2Aまたはバッファ回路2Bのいずれかに出力される。
バッファ回路2Aおよびバッファ回路2Bのそれぞれは、対応する検出電極1Aまたは検出電極1Bに出力された流量信号を、差動増幅回路3に受け渡すための緩衝回路である。バッファ回路2Aおよびバッファ回路2Bのそれぞれは、対応する検出電極1Aまたは検出電極1Bから出力された流量信号のインピーダンスを変換し、インピーダンス変換した後の流量信号を差動増幅回路3に出力する。
差動増幅回路3は、バッファ回路2Aおよびバッファ回路2Bとのそれぞれから出力されたインピーダンス変換した後の流量信号の差分をとり、さらに差分をとった流量信号の信号レベルを増幅して、流量信号A/D変換回路4に出力する。以下の説明においては、差動増幅回路3が流量信号A/D変換回路4に出力する差分をとった流量信号を、「差分流量信号」という。差動増幅回路3が、バッファ回路2Aおよびバッファ回路2Bとのそれぞれから出力されたそれぞれの流量信号の差分をとることによって、電磁流量計100では、それぞれの流量信号に含まれる、例えば、商用ノイズなどの同相成分のノイズが除去された差分流量信号が、流量信号A/D変換回路4に出力される。
流量信号A/D変換回路4は、差動増幅回路3から出力された差分流量信号(アナログ信号)をアナログデジタル変換し、センサ1が検出した流量信号の信号レベルの大きさに応じたデジタル値のデジタル信号(以下、「差分デジタル流量信号」という)を生成する。流量信号A/D変換回路4は、生成した差分デジタル流量信号を、処理部6に出力する。流量信号A/D変換回路4が出力した差分デジタル流量信号は、電磁流量計100における通常の計測動作において、測定管1Pの中を流れる液体の流体速度を算出する演算処理に用いられる。また、流量信号A/D変換回路4が出力した差分デジタル流量信号は、電磁流量計100における電極の診断動作において、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断する演算処理にも用いられる。
クロック回路7は、クロックを発振し、発振したクロックの信号を、処理部6が動作するクロック信号として処理部6に供給する。なお、クロック回路7が処理部6に供給するクロック信号は、発振した原発振クロックの信号や、原発振クロックを分周した分周クロックの信号など、複数のクロック信号であってもよい。
処理部6は、クロック回路7から出力されたクロック信号に基づいて動作し、電磁流量計100に備えたそれぞれの構成要素を制御する制御部である。処理部6は、例えば、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)などによって構成され、電磁流量計100の機能を実現するためのアプリケーションプログラムやデータに応じて、電磁流量計100に備えたそれぞれの構成要素の全体を制御する。また、処理部6は、実行されたアプリケーションプログラムに応じて、電磁流量計100における通常の計測動作において流体速度を算出する予め定めた演算処理、および電磁流量計100における電極の診断動作において少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断する演算処理を行う演算処理部でもある。処理部6は、演算処理を行った結果、つまり、測定管1Pの中を流れる液体の流体速度や、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断した結果を表すデジタル信号を、出力回路9に出力する。
また、処理部6は、分周回路61によって、励磁回路5、交流信号発生回路10A、および交流信号発生回路10Bが動作するそれぞれのタイミング信号を生成し、生成したそれぞれのタイミング信号を出力する。このとき、分周回路61は、クロック回路7から入力されたクロック信号を分周して、励磁回路5と、交流信号発生回路10Aおよび交流信号発生回路10Bとのそれぞれの動作に必要な周波数のタイミング信号を生成する。より具体的には、分周回路61は、励磁回路5に出力する励磁電流タイミング信号TEXと、交流信号発生回路10Aに出力する交流電流タイミング信号TAと、交流信号発生回路10Bに出力する交流電流タイミング信号TBとのそれぞれのタイミング信号を、クロック回路7から入力されたクロック信号を予め定めた分周比で分周することによって生成する。なお、分周回路61は、交流電流タイミング信号TAと交流電流タイミング信号TBとを、励磁電流タイミング信号TEXの周波数の整数倍(例えば、2倍)の周波数にする。また、分周回路61は、交流電流タイミング信号TAと、交流電流タイミング信号TBとを、同じ周波数で極性が逆(逆の位相、つまり、位相が180度ずれたもの。「逆相」ともいう)の信号にする。分周回路61は、生成したそれぞれのタイミング信号(励磁電流タイミング信号TEX、交流電流タイミング信号TA、および交流電流タイミング信号TB)を、励磁回路5と、交流信号発生回路10Aおよび交流信号発生回路10Bとのそれぞれに出力する。
メモリ8は、処理部6が実行するアプリケーションプログラムや、演算処理を実行している途中のデータなどを記憶する記憶部である。メモリ8は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの種々のメモリで構成される。メモリ8は、処理部6からの制御に応じて、データの記憶(書き込み)やデータの出力(読み出し)が行われる。
出力回路9は、処理部6から出力された演算処理した後のデジタル信号(測定管1Pの中を流れる液体の流体速度や、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断した結果)を、電磁流量計100が計測した計測信号として、電磁流量計100の外部に出力する。なお、出力回路9は、処理部6から出力されたデジタル信号が表すデジタル値を、例えば、予め定めた範囲のデジタル値に変換して、デジタル信号の計測信号として出力してもよい。また、出力回路9は、計測信号を、例えば、4mA〜20mAの範囲の直流アナログ信号に変換し、アナログ信号(電流信号)として出力してもよい。この場合、出力回路9は、処理部6から出力されたデジタル信号が表すデジタル値を、4mA〜20mAの範囲の信号レベルで表す直流アナログ信号にデジタルアナログ変換して出力する。
また、出力回路9は、直流アナログ信号の計測信号を、プラント内に専用に構築された通信ネットワークによる通信よって、例えば、プラントにおいて設備の運転を制御する制御装置などの電磁流量計100の外部に出力してもよい。なお、プラントにおいて構築された通信ネットワークは、例えば、ISA100.11aなどの工業用の無線規格、センサネットワークシステムなどの無線規格、Wireless/Wired HART(登録商標)などの無線と有線とが混在した通信規格、MODBUS(登録商標)などのマスター/スレーブ方式の通信規格、FOUNDATION(登録商標)フィールドバス、PROFIBUS(PROCESS FIELD BUS)(登録商標)などのフィールドバス規格など、種々の通信規格や方式によって電磁流量計100と制御装置との間でデータなどの送受信を行う通信ネットワークである。
なお、通信ネットワークは、例えば、一般的なWiFi(登録商標)の無線規格によって電磁流量計100と制御装置との間で送受信を行う通信ネットワークであってもよい。この場合、出力回路9は、処理部6から出力されたデジタル信号を、直流アナログ信号にデジタルアナログ変換せずに、デジタル信号の計測信号として、制御装置などの電磁流量計100の外部に出力(送信)することができる。
交流信号発生回路10Aおよび交流信号発生回路10Bのそれぞれは、電磁流量計100における電極の診断動作において、予め定めた信号レベル(電流値)の交流信号(交流電流)を、対応する検出電極1Aまたは検出電極1Bと、配管(接地レベル)との間に出力する同期整流回路である。交流信号発生回路10Aは、電磁流量計100において検出電極1Aの異常を診断する際に、処理部6に備えた分周回路61から出力された交流電流タイミング信号TAの周波数で、予め定めた電流値の交流信号を出力し、対応する検出電極1Aとアース電極1Eとの間に交流電流を流す。また、交流信号発生回路10Bは、電磁流量計100において検出電極1Bの異常を診断する際に、処理部6に備えた分周回路61から出力された交流電流タイミング信号TBの周波数で、予め定めた電流値の交流信号を出力し、対応する検出電極1Bとアース電極1Eとの間に交流電流を流す。
ここで、交流信号発生回路10Aに入力される交流電流タイミング信号TAと、交流信号発生回路10Bに入力される交流電流タイミング信号TBとのそれぞれは、上述したように、励磁回路5に励磁電流タイミング信号TEXを出力するのと同じ分周回路61から出力されたタイミング信号であり、その周波数は、励磁電流タイミング信号TEXの整数倍の周波数である。そして、交流電流タイミング信号TAと交流電流タイミング信号TBとは、逆相である。このため、交流信号発生回路10Aおよび交流信号発生回路10Bのそれぞれが対応する検出電極1Aまたは検出電極1Bとアース電極1Eとの間に出力する交流信号は、励磁回路5が励磁コイル1Cに出力する励磁電流の周波数(例えば、300Hz以下)の整数倍(例えば、2倍)の周波数で同期した(位相があった)、逆相の交流信号となる。従って、交流信号発生回路10Aと交流信号発生回路10Bとのそれぞれが出力する交流信号は、励磁コイル1Cによって測定管1Pに形成された磁界に対して影響を及ぼさない信号である。
なお、電磁流量計100における電極の診断動作は、通常の計測動作を行っていない期間やタイミングのときに行うのが望ましい。例えば、通常の計測動作と電極の診断動作とを交互に行うようにしてもよい。しかしながら、上述したように、交流信号発生回路10Aと交流信号発生回路10Bとのそれぞれが出力する交流信号は、励磁コイル1Cによって測定管1Pに形成された磁界に対して影響を及ぼさない信号である。このため、電磁流量計100では、それぞれの交流信号が、センサ1を構成する検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれが液体の流体速度に応じて出力する流量信号(直流電圧)に対して影響を及ぼすことなく、励磁コイル1Cによって形成された磁界の中を流れる液体の流体速度を計測する通常の計測動作を行っているときにも、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断することができる。つまり、電磁流量計100では、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれが出力する流量信号には、通常の計測動作において検出した直流電圧で表される検出値(電圧値)と、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断する電極の診断動作において検出した交流電圧で表される検出値(電圧値)との両方が含まれていてもよい。これにより、電磁流量計100では、通常の計測動作と電極の診断動作とを同時期に行うことができる。なお、電磁流量計100では、それぞれの交流信号の信号レベル(電流値)を必要以上に高くしない、つまり、それぞれの交流信号の信号レベル(電流値)を低くしておくことが望ましい。
交流信号発生回路10Aによって検出電極1Aとアース電極1Eとの間に交流信号が出力されると(交流電流が流されると)、測定管1P内で検出電極1Aとアース電極1Eとの間の液体の抵抗RA(以下、「液体抵抗RA」という)によって発生した起電力(電圧値)が検出電極1Aによって検出され、検出した起電力の大きさ(電圧値)の流量信号として検出電極1Aから出力される。また、交流信号発生回路10Bによって検出電極1Bとアース電極1Eとの間に交流信号が出力されると(交流電流が流されると)、測定管1P内で検出電極1Bとアース電極1Eとの間の液体の抵抗RB(以下、「液体抵抗RB」という)によって発生した起電力(電圧値)が検出電極1Bによって検出され、検出した起電力の大きさ(電圧値)の流量信号として検出電極1Bから出力される。
なお、交流信号発生回路10Aおよび交流信号発生回路10Bのそれぞれが交流信号を出力しない(交流電流を流さない)、電磁流量計100における通常の計測動作では、つまり、電磁流量計100が測定管1Pの中を流れる液体の流体速度を計測する場合には、測定管1P内で検出電極1Aと検出電極1Bとの間を流れる液体の抵抗によって発生した起電力(電圧値)が、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれによって検出される。そして、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれは、検出した起電力の大きさ(電圧値)の流量信号を出力する。
次に、電磁流量計100におけるそれぞれの動作について説明する。まず、電磁流量計100において測定管1Pの中を流れる液体の流体速度を計測する通常の計測動作について説明する。通常の計測動作において、電磁流量計100は、交流信号発生回路10Aおよび交流信号発生回路10Bのそれぞれが交流信号を出力していない(交流電流を流していない)状態で、励磁コイル1Cによって形成した磁界の中を液体が流れることによって発生した起電力(電圧)を1対の検出電極(検出電極1Aおよび検出電極1B)によって検出する。そして、差動増幅回路3が、検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれが出力した流量信号の差分をとって同相成分のノイズを除去した差分流量信号を出力し、流量信号A/D変換回路4が、差分流量信号(アナログ信号)をアナログデジタル変換した差分デジタル流量信号を出力する。その後、処理部6が、流量信号A/D変換回路4が出力した差分デジタル流量信号に基づいて流体速度を算出し、出力回路9が計測信号として、電磁流量計100の外部に出力する。なお、電磁流量計100における通常の計測動作は、一般的な電磁流量計において液体の流体速度を計測する計測動作と同様である。従って、電磁流量計100の通常の計測動作に関する詳細な説明は省略する。
続いて、電磁流量計100において少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断する電極の診断動作について説明する。電磁流量計100における電極の診断動作では、交流信号発生回路10Aと交流信号発生回路10Bとのそれぞれが交流信号を出力し、対応する検出電極1Aまたは検出電極1Bとアース電極1Eとの間にそれぞれの交流電流を流す。これにより、検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれは、励磁コイル1Cによって形成した磁界の中で、アース電極1Eとの間の液体の液体抵抗RAまたは液体抵抗RBによって発生した起電力(電圧値)を検出し、検出した起電力の大きさ(電圧値)の流量信号を出力する。そして、電磁流量計100における通常の計測動作と同様に、差動増幅回路3が、検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれが出力した流量信号の差分をとって同相成分のノイズを除去した差分流量信号を出力し、流量信号A/D変換回路4が、差分流量信号(アナログ信号)をアナログデジタル変換した差分デジタル流量信号を出力する。その後、処理部6が、流量信号A/D変換回路4が出力した差分デジタル流量信号に基づいて、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の抵抗値を算出し、算出した抵抗値に基づいて、検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれの異常を診断する。そして、処理部6は、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断した結果を出力回路9に出力して、出力回路9が計測信号(診断結果信号)として、電磁流量計100の外部に出力する。
ここで、電磁流量計100における電極の診断動作について、さらに詳細に説明する。図2は、本第1の実施形態の電磁流量計100において検出電極(少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方)の異常を診断するためのそれぞれの信号のタイミングの一例を示したタイミングチャートである。図2には、分周回路61、交流信号発生回路10A、交流信号発生回路10B、検出電極1A、検出電極1B、および差動増幅回路3が出力する信号に着目し、電極の診断動作において、検出電極1Aおよび検出電極1Bの異常を診断する際のそれぞれの信号のタイミングおよび信号レベルを示している。なお、上述したように、電磁流量計100では、電極の診断を、通常の計測動作を行っているときに行うこともできる。このため、電磁流量計100における電極の診断を、測定管1Pの中を液体が流れているときに行った場合には、測定管1Pの中を流れる液体によって発生した起電力(電圧値)も同時に検出されて、検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれが出力する流量信号に含まれることになる。しかし、以下の説明においては、説明を容易にするため、検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれが出力する流量信号には、液体の流れによる起電力(電圧値)が含まれていない、つまり、測定管1Pの中を液体が流れていない状態であるものとして説明する。
以下の説明においては、交流信号発生回路10Aが検出電極1Aとアース電極1Eとの間に出力する交流信号を「交流信号IA」といい、交流信号IAの信号レベル(電流値)を「交流電流Ia」とし、検出電極1Aが検出して出力する流量信号を「流量信号VA」といい、流量信号VAの信号レベル(電圧値)を「検出電圧Va」とし、液体抵抗RAの抵抗値を「電極抵抗Ra」とする。また、交流信号発生回路10Bが検出電極1Bとアース電極1Eとの間に出力する交流信号を「交流信号IB」といい、交流信号IBの信号レベル(電流値)を「交流電流Ib」とし、検出電極1Bが検出して出力する流量信号を「流量信号VB」といい、流量信号VBの信号レベル(電圧値)を「検出電圧Vb」とし、液体抵抗RBの抵抗値を「電極抵抗Rb」とする。
図2には、処理部6に備えた分周回路61が、交流信号発生回路10Aおよび交流信号発生回路10Bのそれぞれに出力する交流電流タイミング信号TAおよび交流電流タイミング信号TBのタイミングを示している。また、図2には、交流信号発生回路10Aおよび交流信号発生回路10Bのそれぞれが、交流電流タイミング信号TAまたは交流電流タイミング信号TBに応じて、対応する検出電極1Aまたは検出電極1Bとアース電極1Eとの間に出力する交流信号IAおよび交流信号IBのタイミングを示している。なお、図2においては、交流電流タイミング信号TAに応じて電流値=Id1と電流値=Id2とが交互に切り替わる交流信号IAを示し、交流電流タイミング信号TBに応じて電流値=Id1と電流値=Id2とが、交流信号IAと反対の電流値に交互に切り替わる逆相の交流信号IBを示している。また、図2には、交流信号IAまたは交流信号IBが出力されたことによって検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれが検出して出力する流量信号VAおよび流量信号VBのタイミングを示している。なお、図2においては、流量信号VAおよび流量信号VBの高さによって、流量信号VAおよび流量信号VBのそれぞれの信号レベル(電圧値)、すなわち、検出電圧Vaおよび検出電圧Vbを模式的に示している。また、図2には、差動増幅回路3が、検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれが出力した流量信号VAおよび流量信号VBの差分をとって同相成分のノイズを除去した差分流量信号(以下、「差分流量信号VA−VB」という)のタイミングを示し、その高さによって、差分流量信号VA−VBの信号レベル(電圧値)を模式的に示している。なお、図2においては、説明を容易にするため、差動増幅回路3において流量信号VAと流量信号VBとの差分をとった後に増幅する増幅率を「1」としている。
図2に示した信号のタイミングを参照して、電極の診断動作において、検出電極1Aおよび検出電極1Bの異常を診断する場合の動作を説明する。上述したように、電磁流量計100における電極の診断動作では、交流信号発生回路10Aが、交流電流タイミング信号TAに応じた交流信号IAを出力して、検出電極1Aとアース電極1Eとの間に交流電流Iaの交流電流を流す。また、電磁流量計100における電極の診断動作では、交流信号発生回路10Bが、交流電流タイミング信号TBに応じた交流信号IBを出力して、検出電極1Bとアース電極1Eとの間に交流電流Ibの交流電流を流す。
これにより、検出電極1Aは、液体抵抗RAによって発生した起電力(電圧値)を検出し、検出電圧Vaの流量信号VAを出力する。また、検出電極1Bは、液体抵抗RBによって発生した起電力(電圧値)を検出し、検出電圧Vbの流量信号VBを出力する。なお、図2に示したように、流量信号VAと流量信号VBとは、交流信号IAと交流信号IBとが逆相の交流信号であることから、逆相の流量信号である。ところで、検出電圧Vaと検出電圧Vbとのそれぞれは、下式(1)の関係にある。このため、交流信号発生回路10Aが流した交流電流Iaおよび検出電極1Aから出力された検出電圧Vaと、交流信号発生回路10Bが流した交流電流Ibおよび検出電極1Bから出力された検出電圧Vbとから、液体抵抗RAの抵抗値である電極抵抗Raと、液体抵抗RBの抵抗値である電極抵抗Rbとを、下式(2)によって算出することができる。
Va = Ia×Ra
Vb = Ib×Rb ・・・(1)
Ra = Va/Ia
Rb = Vb/Ib ・・・(2)
また、電磁流量計100における電極の診断動作でも、差動増幅回路3は、電磁流量計100における通常の計測動作と同様に、検出電極1Aから出力された流量信号VAと、検出電極1Bから出力された流量信号VBとの差分をとって同相成分のノイズを除去した差分流量信号VA−VBを出力する。なお、差動増幅回路3が出力する差分流量信号VA−VBの信号レベル(電圧値)(以下、「検出電圧V1」という)は、上式(1)から、下式(3)で表される。
V1 = Va−Vb
= Ia×Ra−Ib×Rb ・・・(3)
ここで、交流信号発生回路10Aに入力される交流電流タイミング信号TAと、交流信号発生回路10Bに入力される交流電流タイミング信号TBとは、上述したように、逆相のタイミング信号である(図2参照)。従って、図2に示したように、交流信号IAと交流信号IBとは、逆相の交流信号となる。ただし、交流信号IAと交流信号IBとは、共に、電流値=Id1と電流値=Id2との間で電流値が切り替わるため、同じ信号レベル(電流値)である。従って、交流電流Iaと交流電流Ibとは、下式(4)の関係であるといえる。
Ia = −Ib ・・・(4)
このことから、上式(3)で表される検出電圧V1に上式(4)を適用すると、検出電圧V1は、下式(5)で表すことができる。
V1 = Ia×Ra−(−Ia)×Rb
= Ia×(Ra+Rb) ・・・(5)
上式(5)に基づいて、上式(2)と同様に、検出電極1Aと検出電極1Bとの間の液体の抵抗値(以下、「電極抵抗R1」という)を表すと、電極抵抗R1は、下式(6)のように表すことができる。
R1 = V1/Ia
= Ra+Rb ・・・(6)
上式(6)より、検出電極1Aと検出電極1Bとの間の液体の抵抗値である電極抵抗R1は、電極抵抗Raと電極抵抗Rbとの和で表されることがわかる。
これにより、処理部6は、上式(2)および上式(6)によって、電極抵抗R1を算出する。そして、処理部6は、算出した電極抵抗R1に基づいて、検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれの異常を診断する。なお、アース電極1Eは、検出電極1Aとの距離、および検出電極1Bとの距離が同等の距離となる位置に配置されている。従って、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれが異常でない(正常である)場合には、電極抵抗Raと電極抵抗Rbとはほぼ等しい抵抗値であると想定される。
このように、電磁流量計100では、電極の診断動作において、交流信号発生回路10Aと交流信号発生回路10Bとによって検出電極1Aまたは検出電極1Bとアース電極1Eとの間に交流電流を流し、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれから出力された流量信号に基づいて、検出電極1Aと検出電極1Bとの間の液体の抵抗値である電極抵抗R1を算出する。このとき、電磁流量計100では、通常の計測動作と同様に、差動増幅回路3が、検出電極1Aと検出電極1Bとから出力されたそれぞれの流量信号の差分をとることによって同相成分のノイズを除去する。これにより、電磁流量計100では、処理部6が、従来の電磁流量計よりも正確に、検出電極1Aおよび検出電極1Bの異常を診断することができる。
なお、電磁流量計100における電極の診断では、電磁流量計100を設備に設置(計装)したときなどの設置段階で算出した電極抵抗R1をメモリ8に記憶しておく。そして、処理部6は、電磁流量計100を設置して運用しているときなどの運用段階において算出した電極抵抗R1、つまり、今回実施した電極の診断において算出した電極抵抗R1(以下、「電極抵抗R1n」という)と、メモリ8に記憶しておいた電極抵抗R1とに基づいて、検出電極1Aおよび検出電極1Bの異常を診断する。
ここで、仮に、運用段階で実施した電極の診断において、検出電極1Aが検出して出力した流量信号VAと、検出電極1Bが検出して出力した流量信号VBとに、商用ノイズなどノイズが含まれていた場合を考える。以下の説明においては、流量信号VAに含まれるノイズの成分(電圧値)を「ノイズNa」とし、流量信号VBに含まれるノイズの成分(電圧値)を「ノイズNb」とする。
流量信号VAにノイズNaが含まれ、流量信号VBにノイズNbが含まれている場合において、差動増幅回路3が出力する差分流量信号VA−VBの検出電圧V1(以下、「検出電圧V1n」という)は、上式(3)から、下式(7)のように表すことができる。
V1n = (Ia×Ra+Na)−(Ib×Rb+Nb) ・・・(7)
この場合も、交流電流Iaと交流電流Ibとは、上式(4)の関係であるといえる。このことから、上式(7)で表される検出電圧V1nに上式(4)を適用すると、検出電圧V1nは、下式(8)で表すことができる。
V1n = Ia×(Ra+Rb)+(Na−Nb) ・・・(8)
ここで、ノイズNaおよびノイズNbは、同相成分のノイズである。このため、ノイズNaとノイズNbとは、下式(9)の関係であるといえる。
Na ≒ Nb ・・・(9)
このことから、上式(8)に含まれる上式(5)と同様の検出電圧V1の成分(電圧値)と、ノイズの成分(電圧値)とは、下式(10)のような関係であるということができる。
(Na−Nb) ≪ Ia×(Ra+Rb) ・・・(10)
上式(10)より、上式(8)は、上式(5)とほぼ等しいといえる。これは、検出電極1Aが出力する流量信号VAと検出電極1Bが出力する流量信号VBとのそれぞれに商用ノイズなどノイズが含まれている場合でも、差動増幅回路3が、検出電極1Aから出力された流量信号VAと、検出電極1Bから出力された流量信号VBとの差分をとることによって、同相成分のノイズを除去していることを表している。
これにより、処理部6は、上式(2)および上式(6)と同様の演算によって、運用段階で実施した電極の診断において検出電極1Aおよび検出電極1Bが出力した流量信号VAと流量信号VBとに基づいた、検出電極1Aと検出電極1Bとの間の液体の現在の抵抗値である電極抵抗R1nを算出することができる。そして、処理部6は、算出した電極抵抗R1nと、設置段階で算出してメモリ8に記憶しておいた電極抵抗R1とに基づいて、検出電極1Aおよび検出電極1Bの異常を診断する。この診断は、例えば、電極抵抗R1と電極抵抗R1nとの差が、予め定めた検出電極が異常であると判断するための抵抗値の閾値内であるか否かなどによって判定することができる。この判定の結果、電極抵抗R1と電極抵抗R1nとの差が予め定めた閾値内である場合には、検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれは異常ではない、つまり、検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれは正常であると判断して、その診断結果を表す診断結果信号(計測信号)を電磁流量計100の外部に出力する。一方、電極抵抗R1と電極抵抗R1nとの差が予め定めた閾値内でない場合には、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方が異常であると判断して、その診断結果を表す診断結果信号(計測信号)を電磁流量計100の外部に出力する。
なお、上述した電極抵抗R1と電極抵抗R1nとの比較による電極の診断動作において少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方が異常であると診断された場合でも、この段階では、検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれが異常であるのか、検出電極1Aまたは検出電極1Bのいずれか一方が異常であるのかまでは診断していない(特定できていない)。電磁流量計100では、検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれが異常であるのか、検出電極1Aまたは検出電極1Bのいずれか一方が異常であるのかを診断(特定)する、つまり、検出電極1Aと検出電極1Bとを切り分けて、それぞれの検出電極ごとに異常の診断をすることができる。
次に、電磁流量計100において検出電極1Aと検出電極1Bとを切り分けて異常を診断する電極の診断動作について説明する。図3は、本第1の実施形態の電磁流量計100において一方の検出電極(検出電極1Aまたは検出電極1B)の異常を診断するためのそれぞれの信号のタイミングの一例を示したタイミングチャートである。図3においても、図2に示したタイミングチャートと同様に、分周回路61、交流信号発生回路10A、交流信号発生回路10B、検出電極1A、検出電極1B、および差動増幅回路3が出力する信号に着目し、一方の電極の診断動作において、検出電極1Aまたは検出電極1Bの異常を診断する際のそれぞれの信号のタイミングおよび信号レベルを示している。なお、図3(a)には、一方の電極の診断動作において、検出電極1Aの異常を診断する際のそれぞれの信号のタイミングおよび信号レベルを示し、図3(b)には、一方の電極の診断動作において、検出電極1Bの異常を診断する際のそれぞれの信号のタイミングおよび信号レベルを示している。
図3(a)および図3(b)のそれぞれには、図2に示したタイミングチャートと同様に、交流電流タイミング信号TA、交流電流タイミング信号TB、交流信号IA、交流信号IB、流量信号VA、流量信号VB、および差分流量信号VA−VBのタイミングを示し、その高さによって、それぞれの信号の信号レベル(電流値または電圧値)を模式的に示している。なお、電磁流量計100では、一方の電極の診断も、通常の計測動作を行っているときに行うことができる。このため、電磁流量計100における一方の電極の診断を、測定管1Pの中を液体が流れているときに行った場合にも、測定管1Pの中を流れる液体によって発生した起電力(電圧値)が、検出電極1Aと検出電極1Bとの両方に同時に検出されて、検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれが出力する流量信号に含まれることになる。しかし、以下の説明においては、図2に示したタイミングチャートを説明したときと同様に説明を容易にするため、検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれが出力する流量信号には、液体の流れによる起電力(電圧値)が含まれていない(測定管1Pの中を液体が流れていない状態である)ものとして説明する。
電磁流量計100における一方の電極の診断動作では、処理部6または処理部6が分周回路61を制御して、診断する対象の検出電極に対応する交流信号発生回路10Aまたは交流信号発生回路10Bのいずれか一方にのみ交流信号を出力させ、対応する検出電極1Aまたは検出電極1Bとアース電極1Eとの間に交流電流を流させる(図3(a)および図3(b)参照)。これにより、交流信号が出力された検出電極1Aまたは検出電極1Bのいずれか一方の診断対象の検出電極のみが、励磁コイル1Cによって形成した磁界の中で、その検出電極とアース電極1Eとの間の液体の液体抵抗によって発生した起電力(電圧値)を検出し、検出した起電力の大きさ(電圧値)の流量信号を出力する(図3(a)および図3(b)参照)。なお、交流信号が出力されていない検出電極1Aまたは検出電極1Bのいずれか他方の検出電極(診断対象ではない検出電極)からは、その検出電極とアース電極1Eとの間の液体の液体抵抗による起電力(電圧値)が発生しないため、起電力の大きさ(電圧値)を表す流量信号は出力されない。つまり、一定の信号レベル(電圧値)の流量信号が出力される(図3(a)および図3(b)参照)。この一定の信号レベル(電圧値)の流量信号は、例えば、商用ノイズなどのノイズの成分に相当する。なお、電磁流量計100が通常の計測動作を行っているときに一方の電極の診断をしている場合には、一定の信号レベル(電圧値)の流量信号は、測定管1Pの中を流れる液体によって発生した起電力(電圧値)を検出した流量信号(ノイズの成分)である。そして、電磁流量計100における一方の電極の診断動作でも、上述した電磁流量計100における電極の診断動作と同様に、差動増幅回路3が検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれが出力した流量信号の差分をとって同相成分のノイズを除去した後に、流量信号A/D変換回路4がアナログデジタル変換する。そして、処理部6が診断対象の検出電極の抵抗値を算出し、算出した抵抗値に基づいて、検出電極1Aまたは検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断する。
まず、図3(a)に示した信号のタイミングを参照して、電磁流量計100における一方の電極の診断動作において、検出電極1Aの異常を診断する場合の動作を説明する。上述したように、電磁流量計100における検出電極1Aの診断動作では、交流信号発生回路10Aのみが、交流電流タイミング信号TAに応じた交流信号IAを出力して、検出電極1Aとアース電極1Eとの間に交流電流Iaの交流電流を流す。これにより、検出電極1Aは、液体抵抗RAによって発生した起電力(電圧値)を検出し、検出電圧Vaの流量信号VAを出力する。一方、検出電極1Bは、検出電極1Aとアース電極1Eとの間に交流電流が流れていないため、液体抵抗RBがない(0Ωである)ものとして起電力(電圧値)を検出せず、図3(a)に示したように、一定の信号レベル(電圧値=0V)の流量信号VBを出力する。
なお、以下の説明においては、仮に、流量信号VAにノイズNaが含まれ、流量信号VBにノイズNbが含まれているものとする。つまり、流量信号VAには、測定管1P内で検出電極1Aとアース電極1Eとの間の液体の液体抵抗RAによって発生した起電力(電圧値)とノイズNaとが含まれ、流量信号VBには、ノイズNbのみが含まれているものとする。
この場合、差動増幅回路3が出力する差分流量信号VA−VBの検出電圧V1nは、上式(7)から、下式(11)のように表すことができる。
V1n = (Ia×Ra+Na)−(Nb) ・・・(11)
そして、上式(11)の検出電圧V1nは、下式(12)で表すことができる。
V1n = Ia×(Ra)+(Na−Nb) ・・・(12)
ここでも、ノイズNaとノイズNbとは同相成分のノイズであるため、ノイズNaとノイズNbとの関係は、上式(9)の関係であるといえる。このことから、上式(12)に含まれる上式(5)と同様の検出電圧V1の成分(電圧値)と、ノイズの成分(電圧値)とは、下式(13)のような関係であるということができる。
(Na−Nb) ≪ Ia×(Ra) ・・・(13)
上式(13)より、上式(11)は、上式(5)において電極抵抗Rbが0Ωである場合とほぼ等しいといえる。これは、差動増幅回路3が、検出電極1Aから出力された流量信号VAと、検出電極1Bから出力された流量信号VBとの差分をとることによって、検出電極1Aの異常を診断する場合においても、同相成分のノイズを除去していることを表している。つまり、検出電圧V1nは、下式(14)のように表すことができる。
V1n ≒ Ia×Ra ・・・(14)
これにより、処理部6は、上式(14)に対して上式(2)と同様の演算を適用して、電極抵抗Raを算出する。そして、処理部6は、算出した電極抵抗Raに基づいて、検出電極1Aの異常を診断する。なお、電磁流量計100における検出電極1Aの診断では、電磁流量計100において検出電極1Aおよび検出電極1Bの異常を診断する場合と同様の方法によって行う。より具体的には、まず、処理部6は、電磁流量計100を設備に設置(計装)したときなどの設置段階で算出した電極抵抗Raをメモリ8に記憶しておく。そして、処理部6は、電磁流量計100を設置して運用しているときなどの運用段階において算出した電極抵抗Ra、つまり、今回実施した電極の診断において算出した電極抵抗Ra(以下、「電極抵抗Ran」という)と、メモリ8に記憶しておいた電極抵抗Raとに基づいて、検出電極1Aの異常を診断する。そして、処理部6は、診断結果を表す診断結果信号(計測信号)を電磁流量計100の外部に出力する。
このように、電磁流量計100では、検出電極1Aの異常を診断する場合、検出電極1Aに対応する交流信号発生回路10Aによって交流信号を出力し、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれから出力された流量信号に基づいて同相成分のノイズを除去した後に、検出電極1Aの異常を診断することができる。
続いて、図3(b)に示した信号のタイミングを参照して、電磁流量計100における一方の電極の診断動作において、検出電極1Bの異常を診断する場合の動作を説明する。電磁流量計100における検出電極1Bの診断動作は、上述した検出電極1Aの診断動作における検出電極1Aを検出電極1Bに代えることによって、同様に考えることができる。つまり、電磁流量計100における検出電極1Bの診断動作では、交流信号発生回路10Bのみが、交流電流タイミング信号TBに応じた交流信号IBを出力して、検出電極1Bとアース電極1Eとの間に交流電流Ibの交流電流を流し、検出電極1Bが液体抵抗RBによって発生した起電力(電圧値)を検出して出力した検出電圧Vbの流量信号VBに基づいて検出電圧V1nを算出する。電磁流量計100における検出電極1Bの診断動作において検出電圧V1nは、下式(15)のように表すことができる。
V1n ≒ Ib×Rb ・・・(15)
これにより、処理部6は、上式(15)に対して上式(2)と同様の演算を適用して、電極抵抗Rbを算出し、算出した電極抵抗Rbに基づいて、検出電極1Bの異常を診断する。なお、電磁流量計100における検出電極1Bの診断も、検出電極1Aの診断と同様に、処理部6は、電磁流量計100を設置して運用しているときなどの運用段階において算出した電極抵抗Rb(以下、「電極抵抗Rbn」という)と、メモリ8に記憶しておいた、電磁流量計100を設備に設置(計装)したときなどの設置段階で算出した電極抵抗Rbとに基づいて、検出電極1Bの異常を診断する。そして、処理部6は、診断結果を表す診断結果信号(計測信号)を電磁流量計100の外部に出力する。
このように、電磁流量計100では、検出電極1Bの異常を診断する場合、検出電極1Bに対応する交流信号発生回路10Bによって交流信号を出力し、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれから出力された流量信号に基づいて同相成分のノイズを除去した後に、検出電極1Bの異常を診断することができる。
このように、電磁流量計100では、一方の検出電極の異常を診断する場合でも、診断対象の検出電極に対応する交流信号発生回路10Aまたは交流信号発生回路10Bのいずれか一方が交流信号を出力し、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれから出力された流量信号に基づいて同相成分のノイズを除去することによって、診断対象の検出電極の異常を診断する。この診断結果は、差動増幅回路3が、検出電極1Aと検出電極1Bとから出力されたそれぞれの流量信号の差分をとることによって同相成分のノイズを除去した差分流量信号に基づいて診断した結果であり、より正確に診断対象の検出電極の異常を診断した結果である。
なお、電磁流量計100において一方の検出電極の異常を診断する場合、最初にいずれか一方の検出電極の異常を診断し、この一方の検出電極が正常であると診断された場合に、他方の検出電極の異常を診断するようにしてもよい。例えば、電極抵抗R1と電極抵抗R1nとの比較による電極の診断動作において少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方が異常であると診断された場合、まず、検出電極1Aに対する異常の診断を行い、検出電極1Aが正常であると診断された場合に、続いて、検出電極1Bに対する異常の診断を行うようにしてもよい。
上記に述べたように、電磁流量計100では、検出電極1Aに対応する交流信号発生回路10Aと、検出電極1Bに対応する交流信号発生回路10Bとを備え、交流信号発生回路10Aと交流信号発生回路10Bとのそれぞれが交流信号を出力することによって、対応する検出電極1Aまたは検出電極1Bとアース電極1Eとの間にそれぞれの交流電流を流す。そして、電磁流量計100では、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれから出力された流量信号に基づいて、検出電極1Aと検出電極1Bとの間の液体の抵抗値である電極抵抗R1を算出し、算出した電極抵抗R1に基づいて、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断する。このとき、電磁流量計100では、通常の計測動作と同様に、差動増幅回路3が、検出電極1Aと検出電極1Bとから出力されたそれぞれの流量信号の差分をとることによって同相成分のノイズを除去した後の差分流量信号VA−VBに基づいて電極抵抗R1を算出する。これにより、電磁流量計100では、従来の電磁流量計よりも正確に、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断することができる。
さらに、電磁流量計100では、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方が異常であると診断された場合、交流信号発生回路10Aおよび交流信号発生回路10Bによる交流信号の出力を制御し、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれから出力された流量信号に基づいて、検出電極1Aとアース電極1Eとの間の液体の抵抗値である電極抵抗Ra、または検出電極1Bとアース電極1Eとの間の液体の抵抗値である電極抵抗Rbを算出する。これにより、電磁流量計100では、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方が異常であると診断された場合に、検出電極1Aと検出電極1Bとを切り分けて、異常である検出電極を個別に診断、つまり、異常である検出電極を特定することができる。しかも、電磁流量計100では、検出電極1Aと検出電極1Bとを切り分けて個別に異常を診断する場合でも、通常の計測動作と同様に、差動増幅回路3によって同相成分のノイズを除去した後の差分流量信号VA−VBに基づいて、電極抵抗Raまたは電極抵抗Rbを算出する。これにより、電磁流量計100では、検出電極1Aと検出電極1Bとの異常を個別に診断する場合でも、従来の電磁流量計よりも正確に、検出電極1Aおよび検出電極1Bのそれぞれが異常であるのか、検出電極1Aまたは検出電極1Bのいずれか一方が異常であるのかを診断(特定)することができる。
なお、電磁流量計100における検出電極の異常の診断では、電磁流量計100を設備に設置(計装)したときなどの設置段階で算出した電極抵抗R1、電極抵抗Ra、および電極抵抗Rbをメモリ8に記憶しておき、今回実施した電極の診断において算出した電極抵抗R1n、電極抵抗Ran、および電極抵抗Rbnとの比較によって、それぞれの検出電極の異常を診断する。ここで、電極抵抗R1、電極抵抗Ra、および電極抵抗Rbを区別せずに「電極抵抗R」とし、電極抵抗R1n、電極抵抗Ran、および電極抵抗Rbnを区別せずに「電極抵抗Rn」として言い換えると、電磁流量計100における検出電極の異常の診断では、メモリ8に記憶している電極抵抗Rを基準として、今回実施した電極の診断において算出した電極抵抗Rnと比較することによって、それぞれの検出電極の異常を診断していた。つまり、電磁流量計100では、それぞれの検出電極が正常である場合には、電極抵抗Rと電極抵抗Rnとはほぼ等しいということを利用して、それぞれの検出電極の異常を診断していた。以下の説明においては、電極抵抗R1、電極抵抗Ra、および電極抵抗Rbを区別せずに表す場合に「電極抵抗R」といい、電極抵抗R1n、電極抵抗Ran、および電極抵抗Rbnを区別せずに表す場合に「電極抵抗Rn」といって説明する。
ところで、上述したように、電磁流量計100において検出電極の異常を診断するために交流信号発生回路10Aと交流信号発生回路10Bとのそれぞれが出力する交流信号は、電磁流量計100の通常の計測動作における液体の流体速度の計測に影響を及ぼさずに、それぞれの端子の異常の診断を行うことができる。このため、電磁流量計100では、交流信号発生回路10Aと交流信号発生回路10Bとのそれぞれが出力する交流信号の信号レベル(電流値)を、電極抵抗Rおよび電極抵抗Rnの算出が十分に行える信号レベル(電流値)まで低くて、通常の計測動作と同時期に、検出電極の異常の診断(例えば、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方、検出電極1Aのみ、検出電極1Bのみなど)を定期的に行ってもよい。この場合、電磁流量計100は、定期的に行った異常の診断において算出した電極抵抗Rnを、メモリ8に記憶している電極抵抗Rに代わる新たな基準の電極抵抗Rとして、メモリ8に記憶(更新)する構成にしてもよい。また、電磁流量計100は、定期的な検出電極の異常の診断において算出した電極抵抗Rnを、複数回分メモリ8に記憶して、それぞれの電極抵抗Rnを、検出電極の異常の進み具合を診断するための情報として用いる構成にしてもよい。
なお、上記の説明では、電磁流量計100を設備に設置(計装)したときなどの設置段階で算出した電極抵抗Rと、電磁流量計100を設置して運用しているときなどの運用段階で算出した電極抵抗Rnとを比較することによって異常を診断する電極の診断方法を説明した。より具体的には、電極抵抗Rと電極抵抗Rnとの差が抵抗値の閾値内であるか否かによって、検出電極が正常であるか異常であるかを判断(診断)する方法を説明した。しかし、電磁流量計100における検出電極の異常の診断方法は、電極抵抗Rと電極抵抗Rnとの比較による診断方法に限定されるものではない。例えば、電磁流量計100において、電極抵抗Rと電極抵抗Rnとから検出電極の異常を診断(判定)することができる条件を、判定条件として予め設定し、電極抵抗Rと電極抵抗Rnとに対して予め定めた判定条件を適用することによって、検出電極が正常であるか異常であるかを判断(診断)してもよい。
ここで、電磁流量計100において、予め定めた判定条件に基づいて検出電極の異常を診断する診断方法の一例について説明する。なお、電極抵抗Rnの大きな変化など、電極抵抗Rと電極抵抗Rnとから検出電極の異常を診断(判定)することができる異常の原因としては、検出電極の絶縁劣化、検出電極の腐食、検出電極への異物の付着など、様々な状態が考えられる。以下の説明においては、検出電極の絶縁劣化の状態を異常として診断(判定)する場合の判定条件について説明する。
一般的に、検出電極の絶縁劣化が発生すると、その検出電極の抵抗値は小さくなる。そこで、電磁流量計100では、このことを利用して検出電極の絶縁劣化を診断することができる判定条件として、例えば、以下に示すような判定条件を設定する。
(判定条件1):下式(16)が成り立つ場合に、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方に絶縁劣化が発生したと判定する。
R1n−R1 ≪ 0 ・・・(16)
(判定条件2):下式(17)かつ下式(18)が成り立つ場合に、検出電極1Bに絶縁劣化が発生したと判定する。なお、この判定条件2が成り立つ場合には、検出電極1Aには絶縁劣化が発生していない、つまり、検出電極1Aは正常であると判定することもできる。
Ran−Ra ≒ 0 ・・・(17)
Rbn−Rb ≪ 0 ・・・(18)
(判定条件3):下式(19)かつ下式(20)が成り立つ場合に、検出電極1Aに絶縁劣化が発生したと判定する。なお、この判定条件3が成り立つ場合には、検出電極1Bには絶縁劣化が発生していない、つまり、検出電極1Bは正常であると判定することもできる。
Ran−Ra ≪ 0 ・・・(19)
Rbn−Rb ≒ 0 ・・・(20)
なお、判定条件1の上式(16)、判定条件2の上式(18)、および判定条件3の上式(19)のそれぞれにおける右辺の値は、絶縁劣化が発生したと判定するための抵抗値の閾値としてもよい。また、判定条件2の上式(17)、および判定条件3の上式(20)のそれぞれにおける右辺の値は、電極抵抗Rと電極抵抗Rnとの差を許容することができる範囲を表す値や割合(%)としてもよい。
上述した判定条件1〜判定条件3の条件に従って順次判定することによって、電磁流量計100では、検出電極の絶縁劣化を診断することができる。なお、上述した判定条件は、電極抵抗Rと電極抵抗Rnとに基づいて検出電極の絶縁劣化を診断するための条件であるが、電磁流量計100では、例えば、電磁流量計100を設備に設置(計装)したときなどの設置段階における電極抵抗Rをメモリ8に記憶していないなどの理由によって、電極抵抗Rを判定条件に含めることができない場合であっても、検出電極の絶縁劣化を診断することができる。つまり、電磁流量計100では、電磁流量計100を設置して運用しているときなどの運用段階において算出した電極抵抗Rnのみでも、電極抵抗R1n、電極抵抗Ran、および電極抵抗Rbnの組み合わせによって、検出電極の絶縁劣化を診断することができる。この場合、電磁流量計100では、電極抵抗Rnのみで検出電極の絶縁劣化を診断するための判定条件として、例えば、以下に示すような判定条件を設定する。
(判定条件4):下式(21)〜下式(23)のいずれかが成り立つ場合に、検出電極1Aに絶縁劣化が発生したと判定する。
R1n/2 ≫ Ran ・・・(21)
R1n−Rbn ≒ 0 ・・・(22)
Ran−Rbn ≪ 0 ・・・(23)
(判定条件5):下式(24)〜下式(26)のいずれかが成り立つ場合に、検出電極1Bに絶縁劣化が発生したと判定する。
R1n/2 ≫ Rbn ・・・(24)
R1n−Ran ≒ 0 ・・・(25)
Ran−Rbn ≫ 0 ・・・(26)
上述した判定条件4および判定条件5の判定条件によって順次判定することによって、電磁流量計100では、検出電極の絶縁劣化を診断することができる。なお、上述した判定条件4および判定条件5の判定条件は、電磁流量計100においてアース電極1Eは、検出電極1Aとの距離、および検出電極1Bとの距離が同等の距離となる位置に配置されていることから、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれが異常でない(正常である)場合には、電極抵抗Ranと電極抵抗Rbnとはほぼ等しい抵抗値であると想定されることに基づいて検出電極の絶縁劣化を診断する条件である。つまり、電極抵抗Ranと電極抵抗Rbnとは、電極抵抗R1nの半分ずつの抵抗値であると想定した場合の診断の条件である。
なお、判定条件4および判定条件5におけるそれぞれの式も、右辺の値を、絶縁劣化が発生したと判定するための抵抗値の閾値や、許容することができる差の範囲を表す値や割合(%)としてもよい。ただし、この場合には、判定条件4の上式(21)は、例えば、下式(27)のように変形し、判定条件5の上式(24)は、例えば、下式(28)のように変形する。
R1n/2−Ran ≫ 0 ・・・(27)
R1n/2−Rbn ≫ 0 ・・・(28)
なお、上述した判定条件の説明では、絶縁劣化が検出電極の異常の原因である場合の判定条件について説明したが、検出電極の腐食や検出電極への異物の付着などの他の様々な状態を原因とした異常を診断(判定)するための条件も、上述した絶縁劣化を検出電極の異常の原因として診断(判定)するための条件を同様の考え方に基づいて設定することによって、様々な状態を原因とする異常の診断(判定)を行うことができる。つまり、電極抵抗Rと電極抵抗Rn、または電極抵抗Rnを利用して診断(判定)することができる異常の原因であれば、その異常の原因に対応した条件を設定することによって、検出電極の様々な異常を診断(判定)することができる。
上記に述べたように、第1の実施形態の電磁流量計100では、検出電極1Aに対応する交流信号発生回路10Aと、検出電極1Bに対応する交流信号発生回路10Bとを備える。そして、第1の実施形態の電磁流量計100では、交流信号発生回路10Aによって検出電極1Aとアース電極1Eとの間に予め定めた電流値の交流電流を流し、交流信号発生回路10Bによって検出電極1Bとアース電極1Eとの間に予め定めた電流値の交流電流を流す。そして、第1の実施形態の電磁流量計100では、交流電流が流れたことによって検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれが検出して出力したそれぞれの流量信号に基づいて、検出電極1Aと検出電極1Bとの間の液体の抵抗値である電極抵抗R1を算出する。そして、第1の実施形態の電磁流量計100では、設置段階で算出した電極抵抗R1をメモリ8に記憶し、記憶した電極抵抗R1と、運用段階で算出した電極抵抗R1とに基づいて少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断する。このとき、第1の実施形態の電磁流量計100がそれぞれの段階で算出する電極抵抗R1は、通常の計測動作と同様に、差動増幅回路3が、検出電極1Aと検出電極1Bとから出力されたそれぞれの流量信号の差分をとることによって同相成分のノイズを除去した後の差分流量信号VA−VBに基づいて算出した電極抵抗R1である。このため、第1の実施形態の電磁流量計100では、従来の電磁流量計よりも正確に、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断することができる。
さらに、第1の実施形態の電磁流量計100では、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方が異常であると診断された場合、交流信号発生回路10Aおよび交流信号発生回路10Bを制御して、検出電極1Aとアース電極1Eとの間、または検出電極1Bとアース電極1Eとの間のいずれか一方に予め定めた電流値の交流電流を流す。そして、第1の実施形態の電磁流量計100では、いずれか一方に交流電流が流れた状態で検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれが検出して出力したそれぞれの流量信号に基づいて、交流電流を流したいずれか一方の検出電極とアース電極1Eとの間の液体の抵抗値である電極抵抗Rを算出する。つまり、第1の実施形態の電磁流量計100では、交流電流を流す検出電極を切り替えることによって、検出電極1Aとアース電極1Eとの間の液体の抵抗値である電極抵抗Ra、または検出電極1Bとアース電極1Eとの間の液体の抵抗値である電極抵抗Rbを、個別に算出する。そして、第1の実施形態の電磁流量計100では、設置段階で算出した電極抵抗Rをメモリ8に記憶し、記憶した電極抵抗Rと、運用段階で個別に算出した電極抵抗Rとに基づいて、検出電極1Aと検出電極1Bと個別に異常を診断する。つまり、第1の実施形態の電磁流量計100では、検出電極1Aと検出電極1Bとを切り分けて異常を診断することによって、異常である検出電極を特定することができる。しかも、第1の実施形態の電磁流量計100では、検出電極1Aと検出電極1Bとの電極抵抗Rを個別に算出する場合でも、それぞれの段階で算出する電極抵抗Rは、通常の計測動作と同様に、差動増幅回路3が、検出電極1Aと検出電極1Bとから出力されたそれぞれの流量信号の差分をとることによって同相成分のノイズを除去した後の差分流量信号VA−VBに基づいて算出した電極抵抗Rである。このため、第1の実施形態の電磁流量計100では、検出電極1Aと検出電極1Bとの電極抵抗Rを個別に算出する場合でも、従来の電磁流量計のようにノイズが含まれている状態で算出するよりも正確に、個別の電極抵抗Rを算出することができる。これにより、第1の実施形態の電磁流量計100では、検出電極1Aと検出電極1Bとの個別の異常を高い精度で診断することができ、従来の電磁流量計よりも正確に、検出電極1Aまたは検出電極1Bの異常を診断して、異常である検出電極を特定することができる。
なお、第1の実施形態の電磁流量計100では、処理部6に備えた分周回路61が、クロック回路7から入力されたクロック信号を分周することによって、励磁回路5、交流信号発生回路10A、および交流信号発生回路10Bのそれぞれの動作に必要な周波数のタイミング信号(励磁電流タイミング信号TEX、交流電流タイミング信号TA、および交流電流タイミング信号TB)を生成する構成を示した。しかし、電磁流量計100においてそれぞれのタイミング信号を生成する構成は、図1に示した構成に限定されるものではない。例えば、処理部6に備えたカウンタ回路やタイマー回路によって、それぞれのタイミング信号を生成する構成にしてもよい。この構成の場合も、カウンタ回路およびタイマー回路が、クロック回路7から入力されたクロック信号のタイミングに基づいて動作することによって、分周回路61が生成するそれぞれのタイミング信号と同様のタイミング信号を生成することができる。
また、第1の実施形態の電磁流量計100では、検出電極1Aに対応する交流信号発生回路10Aと、検出電極1Bに対応する交流信号発生回路10Bとを備え、交流信号発生回路10Aが交流信号IAを出力して検出電極1Aとアース電極1Eとの間に交流電流Iaを流し、交流信号発生回路10Bが交流信号IBを出力して検出電極1Bとアース電極1Eとの間に交流電流Ibを流す構成を示した。しかし、電磁流量計100において検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれに対応する交流信号(交流電流)を出力する構成は、図1に示した構成に限定されるものではなく、1つの回路によって検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれに対応する交流信号(交流電流)を生成して出力する構成であってもよい。例えば、電磁流量計100に1つの同期整流回路を交流信号発生回路として備え、交流電流タイミング信号TAの周波数で予め定めた電流値の交流信号(交流電流)を生成して検出電極1Aとアース電極1Eとの間に出力し、生成した交流信号(交流電流)を反転した交流信号(交流電流)をさらに生成して検出電極1Bとアース電極1Eとの間に出力する構成であってもよい。また、例えば、電磁流量計100に1つのスイッチング回路を交流信号発生回路として備え、交流電流タイミング信号TAに応じた切り替え動作を行うことによって、交流電流タイミング信号TAの周波数で予め定めた電流値の交流信号(交流電流)と、反転した交流信号(交流電流)とを生成し、生成したそれぞれの反転交流信号(交流電流)を、検出電極1Aまたは検出電極1Bとアース電極1Eとの間に出力する構成であってもよい。
また、第1の実施形態の電磁流量計100では、交流電流タイミング信号TAと交流電流タイミング信号TBとが、逆相の交流電流タイミング信号であるものとして説明した。しかし、例えば、交流信号発生回路10Aと交流信号発生回路10Bとが、入力された交流電流タイミング信号を反転して動作する機能を備えている場合には、交流信号発生回路10Aまたは交流信号発生回路10Bのいずれか一方の機能を有効にすることによって、交流電流タイミング信号TAと交流電流タイミング信号TBとは逆相の交流電流タイミング信号としない構成にしてもよい。つまり、この場合には、交流電流タイミング信号TAと交流電流タイミング信号TBとを、同じ交流電流タイミング信号とする構成にしてもよい。
このように、第1の実施形態の電磁流量計100では、分周回路61が1つの交流電流タイミング信号(例えば、交流電流タイミング信号TA)を生成して出力し、この1つの交流電流タイミング信号に基づいて1つの交流信号発生回路(例えば、交流信号発生回路10A)が、検出電極1Aとアース電極1Eとの間に交流電流Iaを流すための交流信号IAと、検出電極1Bとアース電極1Eとの間に交流電流Ibを流すための交流信号IBとを生成して出力する構成であってもよい。
また、第1の実施形態の電磁流量計100では、処理部6が演算処理を行った結果(測定管1Pの中を流れる液体の流体速度や、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断した結果)を表すデジタル信号を出力回路9に出力し、出力回路9が、電磁流量計100が計測した計測信号として電磁流量計100の外部に出力する構成を示した。しかし、電磁流量計100において測定管1Pの中を流れる液体の流体速度や、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断した結果を出力する構成は、図1に示した構成に限定されるものではない。例えば、電磁流量計100に備えた表示部に、流体速度や、それぞれの検出電極の異常を診断した結果(例えば、それぞれの検出電極をまとめた診断結果、またはそれぞれの検出電極のごとの診断結果)を表示させる構成であってもよい。
なお、第1の実施形態の電磁流量計100では、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方が異常であると診断された場合に、検出電極1Aと検出電極1Bとを切り分けて異常を診断することによって、異常である検出電極を特定する場合の動作を説明した。しかし、異常である検出電極を特定する動作は、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方が異常であると診断された場合に行うことに限定されるものではない。例えば、電磁流量計100における電極の診断動作の最初の段階、つまり、検出電極1Aまたは検出電極1Bの異常が診断されていない段階で、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれを切り分けて異常を診断してもよい。
また、第1の実施形態の電磁流量計100では、検出電極1Aと検出電極1Bとの2つの検出電極を備えた電磁流量計の構成を示した。しかし、電磁流量計100に備える検出電極の数は、図1に示した数に限定されるものではなく、例えば、4つ以上の検出電極を備えた電磁流量計など、図1に示した第1の実施形態の電磁流量計100よりもさらに多くの検出電極を備えた電磁流量計の構成であってもよい。そして、図1に示した第1の実施形態の電磁流量計100よりもさらに多くの検出電極を備えた電磁流量計の構成であっても同様に、電磁流量計100においてそれぞれの検出電極ごとに異常を診断する考え方を適用することができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図4は、本発明の第2の実施形態における電磁流量計の概略構成を示したブロック図である。電磁流量計200は、センサ1と、バッファ回路2Aおよびバッファ回路2Bと、差動増幅回路3と、流量信号A/D変換回路4と、励磁回路5と、処理部6と、クロック回路7と、メモリ8と、出力回路9と、交流信号発生回路11Aおよび交流信号発生回路11Bと、電流制御回路20Aおよび電流制御回路20Bとを含んで構成される。
図4に示した電磁流量計200は、図1に示した第1の実施形態の電磁流量計100に、電流制御回路20Aおよび電流制御回路20Bを、さらに備えた構成である。この電流制御回路20Aと電流制御回路20Bとの追加に伴って電磁流量計200では、第1の実施形態の電磁流量計100に備えた交流信号発生回路10Aが交流信号発生回路11Aに、交流信号発生回路10Bが交流信号発生回路11Bに、それぞれ代わっている。なお、電磁流量計200に備えたその他の構成要素は、図1に示した第1の実施形態の電磁流量計100に備えた対応する構成要素と同じ構成要素である。従って、以下の説明においては、電磁流量計200の構成要素において、電磁流量計100に備えた構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付与して、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略し、電磁流量計200において電磁流量計100と異なる構成要素および動作についてのみを説明する。
電磁流量計200も、第1の実施形態の電磁流量計100と同様に、プラント内に配置された配管などの設備に設置され、測定管1Pの中を流れる計測対象の流体である導電性の液体の速度(流体速度)を計測する現場機器である。つまり、電磁流量計200も、電磁流量計100と同様に、センサ1が計測した流量信号(電圧信号)に基づいて、測定管1Pの中を流れる液体の流体速度を算出し、算出した流体速度を表す計測信号を出力する。
なお、電磁流量計200においても、図1に示した電磁流量計100と同様に、説明を容易にするため、位置aに配置された検出電極1Aおよび位置bに配置された検出電極1Bのそれぞれを抜き出して、対応するバッファ回路2Aまたはバッファ回路2Bに隣接する位置に示している。
処理部6は、クロック回路7から出力されたクロック信号に基づいて動作し、電磁流量計200に備えたそれぞれの構成要素を制御する制御部である。処理部6は、実行されたアプリケーションプログラムに応じて、電磁流量計200における通常の計測動作において流体速度を算出する予め定めた演算処理、および電磁流量計200における電極の診断動作において少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断する演算処理を行う。また、処理部6は、分周回路61によって生成したそれぞれのタイミング信号(励磁電流タイミング信号TEX、交流電流タイミング信号TA、および交流電流タイミング信号TB)を、励磁回路5と、交流信号発生回路11Aおよび交流信号発生回路11Bとのそれぞれに出力する。
また、電磁流量計200において処理部6は、電磁流量計200において電極の診断動作を行う際に、交流信号発生回路11Aおよび交流信号発生回路11Bが出力する交流信号(交流電流)の電流値を、電流制御回路20Aおよび電流制御回路20Bによって制御する。このため、処理部6は、交流信号発生回路11Aと交流信号発生回路11Bとのそれぞれが出力する交流信号(交流電流)の電流値を表す電流制御信号CCを、電流制御回路20Aおよび電流制御回路20Bのそれぞれに出力する。より具体的には、処理部6は、算出した電極抵抗Rの大きさに基づいて、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれが出力する流量信号に含まれる液体抵抗RAおよび液体抵抗RBによって発生した起電力(電圧値)が、電極抵抗Rの算出が十分に行える信号レベル(電流値)となるように、交流信号発生回路11Aおよび交流信号発生回路11Bが出力する交流信号IAおよび交流信号IBの信号レベル(電流値)を決定する。
例えば、処理部6は、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれが出力する流量信号の信号レベル(電圧値)が低い場合には、電極抵抗R1、電極抵抗Ra、および電極抵抗Rbのそれぞれを正確に算出することができように、交流信号発生回路11Aおよび交流信号発生回路11Bが出力する交流信号IAおよび交流信号IBの信号レベル(電流値)を、高い電流値に決定する。これにより、例えば、検出電極が異常となる原因が絶縁劣化であった場合や、計測対象の液体の導電率が高い場合において、劣化の進度に応じて抵抗値が小さくなっても、交流信号IAおよび交流信号IBの信号レベル(電流値)を高くすることによって検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれが出力する流量信号の信号レベル(電圧値)を高くすることができる。このことにより、商用ノイズなどのノイズ(電圧値)に本来検出するべき起電力(電圧値)が隠れて(埋もれて)しまうのを回避することができる。言い換えれば、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれが出力する流量信号におけるS/N(Signal/Noise)を高くすることができる。
また、例えば、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれが出力する流量信号の信号レベル(電圧値)が必要以上に高い場合、検出電極の異常を診断するのに十分な電極抵抗R1、電極抵抗Ra、および電極抵抗Rbを算出することができるレベルまで、交流信号発生回路11Aおよび交流信号発生回路11Bが出力する交流信号IAおよび交流信号IBの信号レベル(電流値)を、低い電流値に決定する。これにより、例えば、検出電極が腐食したり、検出電極に異物が付着したりして抵抗値が大きくなった場合には、交流信号IAおよび交流信号IBの信号レベル(電流値)を低くすることによって検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれが出力する流量信号の信号レベル(電圧値)を低くすることができる。このことにより、必要以上に高い流量信号が出力されてしまうのを回避することができる。また、交流信号IAおよび交流信号IBの信号レベル(電流値)を低くすることによって、例えば、腐食性の強い液体が測定管1Pの中を流れている場合に、検出電極1Aまたは検出電極1Bとアース電極1Eとの間に必要以上の交流電流を流したことによって少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の腐食が進んでしまうのを回避することもできる。
そして、処理部6は、決定した信号レベル(電流値)の交流信号IAおよび交流信号IBを交流信号発生回路11Aおよび交流信号発生回路11Bが出力するように制御するための電流制御信号CCを、交流信号発生回路11Aに対応する電流制御回路20Aと、交流信号発生回路11Bに対応する電流制御回路20Bとのそれぞれに出力する。
電流制御回路20Aは、電磁流量計200において検出電極1Aの異常を診断する際に、対応する交流信号発生回路11Aが出力する交流信号IAの交流電流Iaが、処理部6から出力された電流制御信号CCが表す電流値となるように、交流信号発生回路11Aを設定する。また、電流制御回路20Bは、電磁流量計200において検出電極1Bの異常を診断する際に、対応する交流信号発生回路11Bが出力する交流信号IBの交流電流Ibが、処理部6から出力された電流制御信号CCが表す電流値となるように、交流信号発生回路11Bを設定する。なお、電流制御回路20Aおよび電流制御回路20Bのそれぞれは、対応する交流信号発生回路11Aまたは交流信号発生回路11Bの構成要素として含まれる構成であってもよい。
交流信号発生回路11Aおよび交流信号発生回路11Bは、第1の実施形態の電磁流量計100に備えた交流信号発生回路10Aおよび交流信号発生回路10Bにおいて予め定められていた電流値を、電流制御回路20Aまたは電流制御回路20Bによって設定された電流値に変更することができる構成にした同期整流回路である。交流信号発生回路11Aは、電磁流量計200において検出電極1Aの異常を診断する際に、処理部6に備えた分周回路61から出力された交流電流タイミング信号TAの周波数で、電流制御回路20Aによって設定された電流値=交流電流Iaの交流信号IAを出力し、対応する検出電極1Aとアース電極1Eとの間に交流電流Iaの交流電流を流す。また、交流信号発生回路11Bは、電磁流量計200において検出電極1Bの異常を診断する際に、処理部6に備えた分周回路61から出力された交流電流タイミング信号TBの周波数で、電流制御回路20Bによって設定された電流値=交流電流Ibの交流信号IBを出力し、対応する検出電極1Bとアース電極1Eとの間に交流電流Ibの交流電流を流す。
なお、交流信号発生回路11Aおよび交流信号発生回路11Bのそれぞれが出力する交流信号(交流電流)は、信号レベル(電流値)が異なる以外は、第1の実施形態の電磁流量計100に備えた交流信号発生回路10Aおよび交流信号発生回路10Bと同様である。従って、交流信号発生回路11Aによって検出電極1Aとアース電極1Eとの間に交流信号IAが出力されると(交流電流Iaが流されると)、測定管1P内で検出電極1Aとアース電極1Eとの間の液体の液体抵抗RAによって発生した起電力(電圧値)が検出電極1Aによって検出され、検出電極1Aは、検出した起電力の大きさ(電圧値)=検出電圧Vaの流量信号VAを出力する。また、交流信号発生回路11Bによって検出電極1Bとアース電極1Eとの間に交流信号IBが出力されると(交流電流Ibが流されると)、測定管1P内で検出電極1Bとアース電極1Eとの間の液体の液体抵抗RBによって発生した起電力(電圧値)が検出電極1Bによって検出され、検出電極1Bは、検出した起電力の大きさ(電圧値)=検出電圧Vbの流量信号VBを出力する。
なお、電磁流量計200においても、交流信号発生回路11Aおよび交流信号発生回路11Bのそれぞれが交流信号を出力しない(交流電流を流さない)、つまり、電磁流量計200における通常の計測動作は、第1の実施形態の電磁流量計100における通常の計測動作と同様である。つまり、電磁流量計200における通常の計測動作では、測定管1P内で検出電極1Aと検出電極1Bとの間を流れる液体の電極抵抗R1によって発生した起電力(電圧値)が、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれによって検出され、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれは、検出した起電力の大きさ(電圧値)の流量信号を出力する。
次に、電磁流量計200におけるそれぞれの動作について説明する。電磁流量計200における通常の計測動作は、第1の実施形態の電磁流量計100と同様である。また、電磁流量計200における電極の診断動作も、交流信号発生回路11Aおよび交流信号発生回路11Bのそれぞれが出力する交流信号(交流電流)の信号レベル(電流値)が異なる以外は、第1の実施形態の電磁流量計100と同様に考えることができる。より具体的には、電磁流量計200では、交流信号発生回路11Aが出力する交流信号IAの交流電流Iaと、交流信号発生回路11Bが出力する交流信号IBの交流電流Ibとを、対応する電流制御回路20Aまたは電流制御回路20Bによって設定された電流値とし、図2および図3を用いて説明した電磁流量計100の動作と同様に動作して演算処理を行うことによって、検出電極の異常を診断することができる。従って、電磁流量計100の通常の計測動作および電極の診断動作に関する詳細な説明は省略する。なお、電磁流量計200の電極の診断動作における判定条件も、第1の実施形態の電磁流量計100の電極の診断動作における判定条件と同様に考えることができる。
上記に述べたように、第2の実施形態の電磁流量計200でも、第1の実施形態の電磁流量計100と同様に、検出電極1Aに対応する交流信号発生回路11Aと検出電極1Bに対応する交流信号発生回路11Bとのそれぞれが交流信号を出力し、差動増幅回路3が、検出電極1Aと検出電極1Bとから出力されたそれぞれの流量信号の差分をとることによって同相成分のノイズを除去して電極抵抗Rを算出する。これにより、第2の実施形態の電磁流量計200でも、第1の実施形態の電磁流量計100と同様に、従来の電磁流量計よりも正確に、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断することができる。そして、第2の実施形態の電磁流量計200でも、第1の実施形態の電磁流量計100と同様に、検出電極1Aと検出電極1Bとの異常を個別に高い精度で診断して、異常である検出電極を特定することができる。
さらに、第2の実施形態の電磁流量計200では、検出電極1Aまたは検出電極1Bとアース電極1Eとの間に出力する交流信号(交流電流)の信号レベル(電流値)を設定する(変更する)ことができる。これにより、第2の実施形態の電磁流量計200では、電極の診断動作の状況に応じて、適切な信号レベル(電流値)でそれぞれの検出電極の異常を診断することができる。
なお、第2の実施形態の電磁流量計200においては、それぞれの検出電極の異常を診断する電極の診断動作を、短い時間で行うことが望ましい。つまり、第2の実施形態の電磁流量計200では、第1の実施形態の電磁流量計100のように、通常の計測動作と電極の診断動作とを同時期に行わずに、予め定めた期間の間隔で定期的な短い時間ごと、または、プラントにおいて点検作業を行う作業員による手動(マニュアル)操作に応じた短い時間で行うことが望ましい。また、第2の実施形態の電磁流量計200において第1の実施形態の電磁流量計100と同様に、通常の計測動作と電極の診断動作とを同時期に行う場合には、必要なとき以外は、検出電極1Aまたは検出電極1Bとアース電極1Eとの間に出力する交流信号(交流電流)の信号レベル(電流値)を低い電流値にしておくことが望ましい。これは、検出電極1Aまたは検出電極1Bとアース電極1Eとの間に出力する交流信号(交流電流)の信号レベル(電流値)を高い電流値にすることによって、出力する交流信号(交流電流)によって検出電極1Aまたは検出電極1Bの異常が進んでしまうのを回避するための一つの手段であると考えられるからである。
なお、第2の実施形態の電磁流量計200においても、第1の実施形態の電磁流量計100と同様に、励磁回路5、交流信号発生回路11A、および交流信号発生回路11Bに出力するタイミング信号(励磁電流タイミング信号TEX、交流電流タイミング信号TA、および交流電流タイミング信号TB)を生成する構成や、検出電極1Aと検出電極1Bとのそれぞれに対応する交流信号(交流電流)を出力する構成は、図4に示した構成に限定されるものではない。また、第2の実施形態の電磁流量計200においても、第1の実施形態の電磁流量計100と同様に、処理部6が演算処理を行った結果(測定管1Pの中を流れる液体の流体速度や、少なくとも検出電極1Aおよび検出電極1Bのいずれか一方の異常を診断した結果)を、例えば、電磁流量計200に備えた表示部に表示させる構成であってもよい。
また、第2の実施形態の電磁流量計200においても、第1の実施形態の電磁流量計100と同様に、電磁流量計200に備える検出電極の数は、図4に示した数に限定されるものではなく、さらに多くの検出電極を備えた電磁流量計の構成であっても、電磁流量計200においてそれぞれの検出電極ごとに異常を診断する考え方を適用することができる。
上記に述べたとおり、本発明を実施するための形態によれば、電磁流量計内に、測定管の中を流れる流体によって発生した起電力(電圧)を検出するそれぞれの検出電極とアース電極との間に予め定めた電流値の交流信号(交流電流)を出力する交流信号発生回路を備える。そして、本発明を実施するための形態では、検出電極の異常を診断する診断動作においても、通常の計測動作と同様に、差動増幅回路によって、それぞれの検出電極が出力した流量信号の差分をとることによって同相成分のノイズを除去した後の流量信号に基づいて電極抵抗を算出する。これにより、本発明を実施するための形態の電磁流量計では、従来の電磁流量計よりも正確に、それぞれの検出電極の異常を診断することができる。しかも、本発明を実施するための形態では、それぞれの検出電極の異常を個別に診断する場合でも、同相成分のノイズを除去した後の流量信号に基づいて、それぞれの検出電極ごとに電極抵抗を算出する。これにより、本発明を実施するための形態の電磁流量計では、従来の電磁流量計よりも正確に、異常である検出電極を特定することができる。
また、本発明を実施するための形態では、交流信号発生回路が対応する検出電極とアース電極との間に出力する交流信号(交流電流)の電流値を、電極抵抗の算出に必要十分な流量信号がそれぞれの検出電極から出力されるような電流値に変更するための電流制御回路を備える。これにより、本発明を実施するための形態では、電極抵抗を算出する際に障害となる要因を回避し、より正確に高い精度で電極抵抗を算出して、それぞれの検出電極の異常を診断することができる。
また、本発明を実施するための形態では、それぞれの検出電極が異常となる状態ごとに、算出した電極抵抗を利用して異常であるか否かを診断(判定)するための判定条件を設定する。これにより、本発明を実施するための形態では、それぞれの検出電極における様々な状態を原因とした異常を診断(判定)することができる。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
100,200・・・電磁流量計
1・・・センサ
1A・・・検出電極(第1の検出電極)
1B・・・検出電極(第2の検出電極)
1C・・・励磁コイル(励磁回路)
1E・・・アース電極
1P・・・測定管
2A・・・バッファ回路
2B・・・バッファ回路
3・・・差動増幅回路(差分回路)
4・・・流量信号A/D変換回路(差分回路)
5・・・励磁回路(励磁回路)
6・・・処理部(診断部)
61・・・分周回路(診断部,タイミング信号生成部)
7・・・クロック回路(診断部)
8・・・メモリ(診断部)
9・・・出力回路
10A,10B・・・交流信号発生回路(交流信号発生回路)
11A,11B・・・交流信号発生回路(交流信号発生回路)
20A,20B・・・電流制御回路(交流信号発生回路)

Claims (13)

  1. 測定管内に形成された磁界の中を流れる計測対象の流体の速度を計測する電磁流量計であって、
    前記流体によって発生された起電力を検出し、該検出した起電力の大きさの第1の流量信号を出力する第1の検出電極と、該検出した起電力の大きさの第2の流量信号を出力する第2の検出電極と、
    前記第1の流量信号と前記第2の流量信号との差分をとった差分流量信号を出力する差分回路と、
    前記第1の検出電極とアース電極との間に第1の交流電流を流し、前記第2の検出電極と前記アース電極との間に前記第1の交流電流と周波数が同じで逆相の第2の交流電流を流す交流信号発生回路と、
    前記第1の交流電流および前記第2の交流電流が流された状態で出力された前記第1の流量信号と前記第2の流量信号とによる前記差分流量信号に基づいて、前記第1の検出電極と前記第2の検出電極との間の第1の抵抗値を算出し、該算出した前記第1の抵抗値に基づいて、少なくとも前記第1の検出電極および前記第2の検出電極のいずれか一方の異常を診断する診断部と、
    を備える、
    ことを特徴とする電磁流量計。
  2. 前記診断部は、
    前記磁界を前記測定管内に形成させる励磁回路が出力する励磁電流の周波数を表す励磁電流タイミング信号と、前記第1の交流電流の周波数を表す第1の交流電流タイミング信号と、前記第2の交流電流の周波数を表す第2の交流電流タイミング信号とを出力するタイミング信号生成部、
    を備え、
    前記第1の交流電流タイミング信号および前記第2の交流電流タイミング信号の周波数は、
    前記励磁電流タイミング信号の周波数の整数倍である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電磁流量計。
  3. 前記診断部は、
    前記磁界を前記測定管内に形成させる励磁回路が出力する励磁電流の周波数を表す励磁電流タイミング信号と、前記第1の交流電流の周波数を表す第1の交流電流タイミング信号とを出力するタイミング信号生成部、
    を備え、
    前記交流信号発生回路は、
    前記第1の交流電流タイミング信号で表された周波数の前記第1の交流電流を前記第1の検出電極と前記アース電極との間に流し、前記第1の交流電流タイミング信号で表された周波数と同じ周波数で逆相の前記第2の交流電流を前記第2の検出電極と前記アース電極との間に流し、
    前記第1の交流電流タイミング信号の周波数は、
    前記励磁電流タイミング信号の周波数の整数倍である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電磁流量計。
  4. 前記診断部は、
    当該電磁流量計の設置段階で算出した前記第1の抵抗値と、当該電磁流量計の運用段階で算出した前記第1の抵抗値との差である第1の抵抗値差に基づいて、少なくとも前記第1の検出電極および前記第2の検出電極のいずれか一方の異常を診断する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1の項に記載の電磁流量計。
  5. 前記診断部は、
    前記第1の抵抗値差が、予め定めた閾値よりも小さい場合に、少なくとも前記第1の検出電極および前記第2の検出電極のいずれか一方が異常であると判定する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の電磁流量計。
  6. 前記診断部は、
    前記第1の交流電流のみが流された状態で出力された前記第1の流量信号と前記第2の流量信号とによる前記差分流量信号に基づいて、前記第1の検出電極に対応した第2の抵抗値を算出し、
    前記第2の交流電流のみが流された状態で出力された前記第1の流量信号と前記第2の流量信号とによる前記差分流量信号に基づいて、前記第2の検出電極に対応した第3の抵抗値を算出し、
    前記第2の抵抗値に基づいた前記第1の検出電極の異常の診断、または前記第3の抵抗値に基づいた前記第2の検出電極の異常の診断の少なくともいずれか一方を行う、
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1の項に記載の電磁流量計。
  7. 前記診断部は、
    当該電磁流量計の設置段階で算出した前記第2の抵抗値と、当該電磁流量計の運用段階で算出した前記第2の抵抗値との差である第2の抵抗値差に基づいた前記第1の検出電極の異常の診断、または前記設置段階で算出した前記第3の抵抗値と、前記運用段階で算出した前記第3の抵抗値との差である第3の抵抗値差に基づいた前記第2の検出電極の異常の診断の少なくともいずれか一方を行う、
    ことを特徴とする請求項6に記載の電磁流量計。
  8. 前記診断部は、
    前記第2の抵抗値差が、予め定めた範囲内であり、前記第3の抵抗値差が、予め定めた閾値よりも小さい場合に、前記第2の検出電極が異常であると判定する、
    ことを特徴とする請求項7に記載の電磁流量計。
  9. 前記診断部は、
    前記第2の抵抗値差が、予め定めた閾値よりも小さく、前記第3の抵抗値差が、予め定めた範囲内である場合に、前記第1の検出電極が異常であると判定する、
    ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の電磁流量計。
  10. 前記診断部は、
    当該電磁流量計の運用段階で算出した前記第1の抵抗値である第1の運用抵抗値、前記運用段階で算出した前記第2の抵抗値である第2の運用抵抗値、および前記運用段階で算出した前記第3の抵抗値である第3の運用抵抗値の組み合わせによって、前記第1の検出電極または前記第2の検出電極の異常を診断する、
    ことを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか1の項に記載の電磁流量計。
  11. 前記診断部は、
    前記第1の運用抵抗値の半分の値が、前記第2の運用抵抗値よりも大きい場合、
    前記第1の運用抵抗値と、前記第3の運用抵抗値との差が、予め定めた範囲内である場合、
    前記第2の運用抵抗値と、前記第3の運用抵抗値との差が、予め定めた閾値よりも小さい場合、
    のいずれかの場合に、前記第1の検出電極が異常であると判定する、
    ことを特徴とする請求項10に記載の電磁流量計。
  12. 前記診断部は、
    前記第1の運用抵抗値の半分の値が、前記第3の運用抵抗値よりも大きい場合、
    前記第1の運用抵抗値と、前記第2の運用抵抗値との差が、予め定めた範囲内である場合、
    前記第2の運用抵抗値と、前記第3の運用抵抗値との差が、予め定めた閾値よりも大きい場合、
    のいずれかの場合に、前記第2の検出電極が異常であると判定する、
    ことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の電磁流量計。
  13. 測定管内に形成された磁界の中を流れる計測対象の流体の速度を計測する電磁流量計であって、
    前記流体によって発生された起電力を検出し、該検出した起電力の大きさの第1の流量信号を出力する第1の検出電極と、該検出した起電力の大きさの第2の流量信号を出力する第2の検出電極と、
    前記第1の流量信号と前記第2の流量信号との差分をとった差分流量信号を出力する差分回路と、
    前記第1の検出電極とアース電極との間に第1の交流電流を流し、前記第2の検出電極と前記アース電極との間に前記第1の交流電流と周波数が同じで逆相の第2の交流電流を流す交流信号発生回路と、
    前記第1の交流電流のみが流された状態で出力された前記第1の流量信号と前記第2の流量信号とによる前記差分流量信号に基づいて、前記第1の検出電極に対応した第1の抵抗値を算出し、前記第2の交流電流のみが流された状態で出力された前記第1の流量信号と前記第2の流量信号とによる前記差分流量信号に基づいて、前記第2の検出電極に対応した第2の抵抗値を算出し、前記第1の抵抗値に基づいた前記第1の検出電極の異常の診断、または前記第2の抵抗値に基づいた前記第2の検出電極の異常の診断の少なくともいずれか一方を行う診断部と、
    を備える、
    ことを特徴とする電磁流量計。
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