JP6256261B2 - 助手席エアバッグ装置 - Google Patents

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本発明は、助手席エアバッグ装置に関する。
助手席用のエアバッグ装置において、一対の膨出部における乗員の頭部又は肩部に対応する高さの部位から、一対の延長部が車両後側に向けて延長されて構成された装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、前席3人掛けのシートに対するエアバッグ装置が知られている(例えば、特許文献2、3参照)。
特開2012−56371号公報 特開平6−72276号公報 特開平6−24282号公報
特許文献1の構成では、運転席の側への斜め衝突の際に、斜め前方の衝突側へ移動する助手席の乗員を拘束することができる。
ところで、車両の斜め衝突時に斜め前方へ移動する乗員の頭部がエアバッグに接触すると、頭部が上下方向に沿った軸回りに回転する懸念がある。
本発明は、運転席の側への斜め衝突又は微小ラップ衝突に対して助手席の乗員を拘束する際に、乗員頭部の回転を抑制することができる助手席エアバッグ装置を得ることが目的である。
請求項1記載の発明に係る助手席エアバッグ装置は、ガス供給を受けて、車両前後方向の後端側を成す後壁が助手席の側を向くように該助手席の車両前方で膨張展開される助手席エアバッグと、前記助手席エアバッグと一体に形成され、ガス供給を受けて前記助手席エアバッグに対する車幅方向中央側で膨張展開され、膨張展開状態で前記後壁の車両上下方向の上部に対する後方に位置する側壁が車幅方向で前記助手席の側を向くセンタエアバッグと、前記助手席エアバッグ及びセンタエアバッグの膨張展開状態で前記後壁の少なくとも前記上部における前記側壁の側の部分を覆って展開される別布を含み、前記別布に接触した乗員頭部の前記後壁に対する車幅方向の相対変位を促進する変位促進構造と、を備えている。
この助手席エアバッグ装置では、例えば斜め衝突又は微小ラップ衝突の際に助手席エアバッグ、センタエアバッグがガス供給を受けて膨張展開される。助手席エアバッグは後壁を助手席(乗員)に向けて膨張展開され、センタエアバッグは助手席エアバッグに対する車幅方向中央側(運転席の側)で膨張展開される。これにより、運転席の側への斜め衝突又は微小ラップ衝突の際には、斜め前方の衝突側へ移動する助手席の乗員が助手席エアバッグ、センタエアバッグにて拘束される。この際、上記の通り斜め前方へ移動する乗員頭部は、主に助手席エアバッグの後壁の上部、センタエアバッグの側壁に接触する。
ところで、助手席エアバッグ及びセンタエアバッグを有するエアバッグ装置では、乗員頭部と後壁との摩擦力(衝突側への移動に対する制動力)が、乗員頭部と側壁との摩擦力(前方への移動に対する制動力)よりも大きくなりやすい。これらの摩擦力の差を小さくすることで、乗員頭部の回転抑制に寄与する。ここで、本助手席エアバッグ装置では、別布に接触した乗員頭部は、変位促進構造によって助手席エアバッグの後壁に対する変位(位置ずれ)が促進されるので、変位促進構造を備えない構成と比較して、助手席エアバッグの後壁との摩擦力が小さくなる。このため、変位促進構造を備えない構成と比較して、乗員頭部と後壁との摩擦力と、乗員頭部と側壁との摩擦力の差が小さくなる。したがって、本助手席エアバッグ装置では、乗員頭部の回転が効果的に抑制される。
このように、請求項1の構成では、運転席の側への斜め衝突又は微小ラップ衝突に対して助手席の乗員を拘束する際に、乗員頭部の回転を抑制することができる。
請求項2記載の発明に係る助手席エアバッグ装置は、請求項1の構成において、前記変位促進構造は、前記別布と、前記助手席エアバッグ及びセンタエアバッグの膨張展開状態で、前記別布が前記後壁に対し車幅方向の少なくとも前記側壁の側へ移動可能な態様で展開されるように、該別布を少なくとも前記助手席エアバッグに接続する接続構造と、を含んで構成されている。
この助手席エアバッグ装置では、接続構造によって助手席エアバッグの後壁に接続された別布が、該後壁に対し移動可能な態様で展開される。このため、別布に接触した乗員頭部は、別布と共に助手席エアバッグの後壁に対しセンタエアバッグの側へ変位(移動)する。これにより、上記の通り乗員頭部と後壁との摩擦力と、乗員頭部と側壁との摩擦力の差が小さくなる。
請求項3記載の発明に係る助手席エアバッグ装置は、請求項2の構成において、前記別布は、前記後壁を成す基布よりも摩擦係数が低い低摩擦材にて構成されるか、又は該別布と膨張展開状態の前記助手席エアバッグの前記後壁との間に低摩擦剤が塗布されている。
この助手席エアバッグ装置では、別布が低摩擦材にて構成されず、かつ該別布と後壁との間に低摩擦剤が塗布されていない比較構成と比較して、別布が助手席エアバッグの後壁に対し滑りやすい。このため、上記の比較構成と比較して乗員頭部と後壁との摩擦力が減じられるので、乗員頭部の回転が効果的に抑制される。
請求項4記載の発明に係る助手席エアバッグ装置は、請求項2又は請求項3の構成において、前記接続構造は、前記別布における少なくとも車幅方向における前記側壁の側と反対側の部分を前記助手席エアバッグに対し非接続とするか、前記別布を、該別布が受ける車幅方向の荷重により破断される低強度の糸により縫製するか、又は、前記別布から車両上下方向の両側に延出され、前記別布が受ける車幅方向の荷重により変形又は破断する延出部を介して前記助手席エアバッグに接続することで、展開状態の前記別布を前記後壁に対し車幅方向の前記側壁の側へ移動可能としている。
この助手席エアバッグ装置では、簡単な構造で、助手席エアバッグ及びセンタエアバッグの膨張展開に伴って、別布を、後壁に対する移動可能な態様で展開させる接続構造を得ることができる。なお、上記の構成から解る通り、移動可能な態様とは、別布の一部が助手席エアバッグの後壁に対し非接続(自由)な態様だけでなく、別布が所要の荷重を受けて後壁に対する接続状態が解消されることで、該後壁に対し移動し得る態様を含むものである。
請求項5記載の発明に係る助手席エアバッグ装置は、請求項2〜4の何れか1項の構成において、前記別布は、前記後壁から前記側壁にかけての範囲に沿って展開される構成であり、前記接続構造は、前記別布の車幅方向における前記側壁の側の縁部を上下方向に沿って前記側壁に接続し、前記別布の前記センタエアバッグの側から助手席エアバッグの側への前記側壁に沿った移動を制限する制限構造を有する。
この助手席エアバッグ装置では、接続構造によって助手席エアバッグ及びセンタエアバッグに接続された別布は、後壁に沿った側壁の側への移動が許容される一方、側壁に沿った後壁の側への移動が制限構造によって制限される。すなわち、上記の通り乗員頭部と後壁との摩擦力が小さくなる一方、乗員頭部と側壁との摩擦力は別布によって小さくなることが制限される。このため、本制限構造を有する接続構造にて助手席エアバッグ及びセンタエアバッグに接続された別布を備えない構成と比較して、乗員頭部と後壁との摩擦力と、乗員頭部と側壁との摩擦力の差が小さくなる。したがって、本助手席エアバッグ装置では、乗員頭部の回転が効果的に抑制される。
請求項6記載の発明に係る助手席エアバッグ装置は、請求項4又は請求項5の構成において、膨張展開状態の前記センタエアバッグの前記側壁と、膨張展開状態の前記助手席エアバッグの前記後壁とで、後方及び車幅方向外側を共に向く頭部拘束壁が形成され、前記別布は、前記頭部拘束壁と共に展開される構成である。
この助手席エアバッグ装置では、助手席エアバッグの後壁とセンタエアバッグの側壁とが、後方及び車幅方向外側を共に向く頭部拘束壁を成している。換言すれば、後壁(の少なくとも側壁の側の一部)は後方及び車幅方向外側を共に向き、側壁(の少なくとも後壁の側の一部)は後方及び車幅方向外側を共に向いて展開される。このため、後壁と側壁とで平面視で直角を成す構成と比較して、後壁及び側壁に作用する張力の方向が近づく。この頭部拘束壁に上記の別布が設けられているため、乗員頭部と後壁との摩擦力と、乗員頭部と側壁との摩擦力の差が一層小さくなる。
請求項7記載の発明に係る助手席エアバッグ装置は、請求項1の構成において、前記変位促進構造は、前記助手席エアバッグの後壁を構成する基布よりも乗員頭部に対する摩擦係数の小さい前記別布が前記後壁に固定されて構成されている。
この助手席エアバッグ装置では、展開された別布と乗員頭部との間で滑りが生じることで、該別布に接触した乗員頭部は、助手席エアバッグの後壁に対しセンタエアバッグの側へ変位することとなる。これにより、上記の通り乗員頭部と後壁との摩擦力と、乗員頭部と側壁との摩擦力の差が小さくなる。
請求項8記載の発明に係る助手席エアバッグ装置は、ガス供給を受けて、車両前後方向の後端側を成す後壁が助手席の側を向くように該助手席の車両前方で膨張展開される助手席エアバッグと、前記助手席エアバッグと一体に形成され、ガス供給を受けて前記助手席エアバッグに対する車幅方向中央側で膨張展開され、膨張展開状態で前記後壁の車両上下方向の上部に対する後方に位置する側壁が車幅方向で前記助手席の側を向くセンタエアバッグと、前記後壁の少なくとも前記上部における前記側壁の側の部分の乗員頭部に対する摩擦係数を、前記側壁の乗員頭部に対する摩擦係数よりも小とする摩擦差設定構造と、を備えている。
この助手席エアバッグ装置では、例えば斜め衝突又は微小ラップ衝突の際に助手席エアバッグ、センタエアバッグがガス供給を受けて膨張展開される。助手席エアバッグは後壁を助手席(乗員)に向けて膨張展開され、センタエアバッグは助手席エアバッグに対する車幅方向中央側(運転席の側)で膨張展開される。これにより、運転席の側への斜め衝突又は微小ラップ衝突の際には、斜め前方の衝突側へ移動する助手席の乗員が助手席エアバッグ、センタエアバッグにて拘束される。この際、上記の通り斜め前方へ移動する乗員頭部は、主に助手席エアバッグの後壁の上部、センタエアバッグの側壁に接触する。
ところで、助手席エアバッグ及びセンタエアバッグを有するエアバッグ装置では、乗員頭部と後壁との摩擦力(衝突側への移動に対する制動力)が、乗員頭部と側壁との摩擦力(前方への移動に対する制動力)よりも大きくなりやすい。これらの摩擦力の差を小さくすることで、乗員頭部の回転抑制に寄与する。ここで、本助手席エアバッグ装置では、摩擦差設定構造によって後壁の乗員頭部に対する摩擦係数が側壁の乗員頭部に対する摩擦係数よりも小さくなっている。このため、後壁に接触した乗員頭部は該後壁に対し滑り易く、該後壁からの乗員頭部の摩擦力が小さくなる。このため、摩擦差設定構造を備えない構成と比較して、後壁及び側壁からの摩擦力の差が小さくなる。したがって、本助手席エアバッグ装置では、乗員頭部の回転が効果的に抑制される。
このように、請求項8の構成では、運転席の側への斜め衝突又は微小ラップ衝突に対して助手席の乗員を拘束する際に、乗員頭部の回転を抑制することができる。
請求項9記載の発明に係る助手席エアバッグ装置は、請求項8の構成において、前記摩擦差設定構造は、前記センタエアバッグの前記側壁を構成する基布よりも、前記乗員頭部に対する摩擦係数の小さい基布を、前記後壁の少なくとも前記上部における前記側壁の側の部分に用いて構成されている。
この助手席エアバッグ装置では、助手席エアバッグの後壁を成す基布と、センタエアバッグの側壁を成す基布とで摩擦係数を異ならせる簡単な構成で、摩擦差設定構造が構成されている。
請求項10載の発明に係る助手席エアバッグ装置は、請求項8の構成において、前記摩擦差設定構造は、前記後壁を構成する基布とは別の布材より成り、前記助手席エアバッグ及びセンタエアバッグの膨張展開状態で前記後壁の少なくとも前記上部における前記側壁の側の部分及び前記側壁の少なくとも一方と共に展開される別布を設けて構成されている。
この助手席エアバッグ装置では、別布を設けることで、基布の種類(素材)や処理に依存せずに摩擦差設定構造が構成される。
請求項11記載の発明に係る助手席エアバッグ装置は、ガス供給を受けて、車両前後方向の後端側を成す後壁が助手席の側を向くように該助手席の車両前方で膨張展開される助手席エアバッグと、前記助手席エアバッグと一体に形成され、ガス供給を受けて前記助手席エアバッグに対する車幅方向中央側で膨張展開され、膨張展開状態で前記後壁の車両上下方向の上部に対する後方に位置する側壁が車幅方向で前記助手席の側を向くセンタエアバッグと、乗員頭部の一方側から他方側への移動時の摩擦係数が、前記乗員頭部の他方側から一方側への移動時の摩擦係数よりも小である特性を有する布材が、前記助手席エアバッグ及びセンタエアバッグの膨張展開状態で、前記後壁の側を前記一方側として該後壁から前記側壁にかけての範囲に沿って展開されるように設けられて構成されている摩擦差設定構造と、を備えている。
この助手席エアバッグ装置では、例えば斜め衝突又は微小ラップ衝突の際に助手席エアバッグ、センタエアバッグがガス供給を受けて膨張展開される。助手席エアバッグは後壁を助手席(乗員)に向けて膨張展開され、センタエアバッグは助手席エアバッグに対する車幅方向中央側(運転席の側)で膨張展開される。これにより、運転席の側への斜め衝突又は微小ラップ衝突の際には、斜め前方の衝突側へ移動する助手席の乗員が助手席エアバッグ、センタエアバッグにて拘束される。この際、上記の通り斜め前方へ移動する乗員頭部は、主に助手席エアバッグの後壁の上部、センタエアバッグの側壁に接触する。
ところで、助手席エアバッグ及びセンタエアバッグを有するエアバッグ装置では、乗員頭部と後壁との摩擦力(衝突側への移動に対する制動力)が、乗員頭部と側壁との摩擦力(前方への移動に対する制動力)よりも大きくなりやすい。これらの摩擦力の差を小さくすることで、乗員頭部の回転抑制に寄与する。ここで、本助手席エアバッグ装置では、布材(エアバッグ基布または別布)が上記特性を有するため、乗員頭部は、後壁の側から側壁の側への移動の際の摩擦力が、側壁の側から後壁の側への移動の際の摩擦力よりも小さくなる。これにより、簡単な構造で摩擦差設定構造が構成されている。
以上説明したように本発明に係る助手席エアバッグ装置は、運転席の側への斜め衝突又は微小ラップ衝突に対して助手席の乗員を拘束する際に、乗員頭部の回転を抑制することができるという優れた効果を有する。
第1の実施形態に係る助手席エアバッグ装置を構成するエアバッグ及び滑り布の概略展開状態を示す斜視図である。 第1の実施形態に係る助手席エアバッグ装置の概略全体構成を示す平面図である。 第1の実施形態に係る助手席エアバッグ装置による乗員の頭部の回転抑制作用を説明するための図であって、(A)は第1の比較形態における乗員の頭部の回転発生作用を説明する模式的な平面図、(B)は第2の比較形態における乗員の頭部の回転抑制作用を説明する模式的な平面図、(C)は第1の実施形態における乗員の頭部の回転抑制作用を説明する模式的な平断面図である。 第1の実施形態に係る助手席エアバッグ装置を構成する助手席エアバッグ及び滑り布の変形例を示す図1に対応する斜視図である。 第1の実施形態に係る助手席エアバッグ装置を構成する滑り布の助手席エアバッグへの接続構造の変形例を模式的に示す図であって、(A)は一例を示す背面図、(B)は他例を示す背面図である。 第1の実施形態に係る助手席エアバッグ装置を構成する滑り布の滑り構造の変形例を模式的に示す図であって、(A)は一例を示す背面図、(B)は他例を示す背面図である。 第1の実施形態に係る助手席エアバッグ装置を構成する滑り布の滑り構造のさらなる変形例を模式的に示す図であって、(A)は一例を示す背面図、(B)は他例を示す背面図である。 第2の実施形態に係る助手席エアバッグ装置を構成するエアバッグ及び滑り布の概略展開状態を示す図1に対応する斜視図である。 第2の実施形態に係る助手席エアバッグ装置による乗員の頭部の回転抑制作用を説明するための図であって、(A)は乗員の頭部のエアバッグへの接触初期の状態を模式的にかつ拡大して示す平断面図、(B)は乗員の頭部の回転抑制状態を模式的にかつ拡大して示す平断面図である。 第2の実施形態に係る助手席エアバッグ装置による乗員の頭部の回転抑制効果を比較例との比較により説明するための図であって、頭部の回転速度の時間変化を示す線図である。 第2の実施形態に係る助手席エアバッグ装置を構成する滑り布の助手席エアバッグへの接続構造の変形例を模式的に示す背面図である。 第2の実施形態に係る助手席エアバッグ装置を構成する滑り布の滑り構造の変形例を模式的に示す図であって、(A)は滑り前の背面図、(B)は滑り状態の背面図である。 第3の実施形態に係る助手席エアバッグ装置を構成するエアバッグ及び滑り布の概略展開状態を示す図1に対応する斜視図である。 第4の実施形態に係る助手席エアバッグ装置を構成するエアバッグ及び滑り布の概略展開状態を一部切り欠いて示す図1に対応する斜視図である。
本発明の実施形態に係る助手席エアバッグ装置10について、図1〜図3に基づいて説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印RHは、それぞれ助手席エアバッグ装置10が適用された自動車V(図2参照)の前方向、上方向、車幅方向の一方側である右側を示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、車両(前方を向いた場合)の左右を示すものとする。
[自動車V内部の概略構成]
図2には、助手席エアバッグ装置10が適用された自動車VにおけるキャビンC内の前側の一部が模式的な平面図にて示されている。なお、図2には、後述する助手席エアバッグ26、及びセンタエアバッグ28の膨張展開状態が示されている。この図に示されるように、キャビンC内には、助手席である車両用シート12が配置されている。車両用シート12は、シートクッション14と、該シートクッション14の後端に下端が接続されたシートバック16とを含んで構成されている。
この実施形態では、車両用シート12は、自動車Vの車幅方向中央に対し右側に配置されている。図示は省略するが、自動車Vの車幅方向中央に対する左側には運転席である車両用シートが配置されており、該運転席と助手席との間にはセンタコンソールが配置されている。すなわち、本実施形態における助手席エアバッグ装置10が適用された自動車Vは、運転席と助手席との間に中央座席が配置されない構成とされている。センタコンソールの前端は、車両用シート12の前方で車幅方向に延びるインストルメントパネル18の車幅方向中央部に繋がっている。なお、センタコンソールを備えない構成(例えば、左右の車両用シート12間を通路とし得る構成)としても良い。
さらに、図示は省略するが、車両用シート12には、乗員拘束用のシートベルト装置が設けられており、このシートベルト装置は所謂3点式シートベルト装置とされている。このため、車両用シート12の乗員である助手席乗員P(以下、「乗員P」という)の腰部がラップベルトによって拘束され、乗員Pの上体がショルダベルトによって拘束されるようになっている。
[助手席エアバッグ装置の一般構成]
図2に示されるように、助手席エアバッグ装置10は、車両用シート12に対する前方のインストルメントパネル18内に設けられている。この助手席エアバッグ装置10は、エアバッグ20と、ガス供給手段としてのインフレータ22と、エアバッグケース(モジュールケース)24とを備えている。エアバッグ20は、後述する助手席エアバッグ26とセンタエアバッグ28とを含んで構成されている。なお、本実施形態では、2つのインフレータ22が備えられている。
エアバッグ20は、その基端部(膨張展開状態の前下端部)内にインフレータ22を内蔵した状態で折り畳まれ、該インフレータ22と共にエアバッグケース24に収納されている。このようにエアバッグ20及びインフレータ22がモジュール化されたエアバッグケース24は、インストルメントパネル18内で図示しないインストルメントパネルリインフォース等に支持されている。すなわち、助手席エアバッグ装置10は、全体としてインストルメントパネル18内に配置されている。なお、図示は省略するが、インストルメントパネル18におけるエアバッグケース24を覆う部分には、エアバッグドアが形成されている。
助手席エアバッグ装置10は、後述するエアバッグECU32によってインフレータ22が作動されると、該インフレータ22が発生したガス供給を受けたエアバッグ20が膨張展開される構成である。エアバッグ20は、膨張展開に伴ってエアバッグドア(インストルメントパネル18)を開裂させ、インストルメントパネル18に対する車両用シート12側で膨張展開されるようになっている。
また、助手席エアバッグ装置10は、制御装置としてのエアバッグECU32を備えている。エアバッグECU32は、衝突センサ(又はセンサ群)34と電気的に接続されている。また、エアバッグECU32は、2つのインフレータ22のそれぞれと電気的に接続されている。このエアバッグECU32は、衝突センサ34からの信号に基づいて、適用された自動車Vに対する各種前面衝突(の発生又は不可避であること)を区別することなく(又は衝突形態毎に)検知又は予測可能とされている。
エアバッグECU32は、衝突センサ34からの情報に基づいて前面衝突を検知又は予測すると、各インフレータ22を略同時に作動させるようになっている。なお、エアバッグECU32がインフレータ22を作動させる前面衝突の形態には、斜め衝突及び微小ラップ衝突等の車幅方向一方側にオフセットした位置への前面衝突が含まれる。
ここで、斜め衝突(MDB斜突、オブリーク衝突)とは、例えばNHSTAにて規定される斜め前方からの衝突(一例として、衝突相手方との相対角15°、車幅方向のラップ量35%程度の衝突)とされる。この実施形態では、一例として相対速度90km/hrでの斜め衝突が想定されている。また、微小ラップ衝突とは、自動車Vの前面衝突のうち、例えばIIHSにて規定される衝突相手方との車幅方向のラップ量が25%以下の衝突とされる。例えば車体骨格であるフロントサイドメンバに対する車幅方向外側への衝突が微小ラップ衝突に該当する。この実施形態では、一例として相対速度64km/hrでの微小ラップ衝突が想定されている。なお、IIHSとは、米国道路安全保険協会(Insurance Institute for Highway Safety)の略称であり、NHSTAとは、米国の国家道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration)の略称である。
[助手席エアバッグ装置の要部構成]
次に、助手席エアバッグ装置を構成するエアバッグ20の膨張展開形状について説明する。ここでは、エアバッグ20が乗員Pと接触しない(乗員Pを拘束しない)状態である非拘束状態での膨張展開形状を説明する。エアバッグ20について、まず助手席エアバッグ26、センタエアバッグ28の構成を説明し、次いで滑り布30の構成を説明することとする。
(助手席エアバッグの膨張展開形状)
図2に示されるように、助手席エアバッグ26は、インストルメントパネル18から車両用シート12に向けて膨張展開され、該膨張展開状態で後壁26Rを助手席である車両用シート12(の乗員P)に向ける構成とされている。具体的には、図1に示されるように、助手席エアバッグ26は、天壁26T、右側壁26S、底壁26B、及び後壁26Rを有する袋状を成しており、該後壁26Rが助手席エアバッグ26の後端を成している。なお、助手席エアバッグ26は、後述するセンタエアバッグ28が一体化されるため、右側壁26Sと車幅方向に対向する左側壁は有しない構成とされている。
図示は省略するが、助手席エアバッグ26は、天壁26Tがウインドシールドガラスに接触すると共に、底壁26Bがインストルメントパネル18に接触することで、乗員Pを拘束する際の反力が支持されるようになっている。
(センタエアバッグ)
図1及び図2に示されるように、センタエアバッグ28は、助手席エアバッグ26に一体に形成されており、該助手席エアバッグ26と共に折り畳まれてエアバッグケース24内に収納されている(図示省略)。このセンタエアバッグ28は、助手席エアバッグ26に対する車幅方向中央側、すなわち運転席の側で、助手席エアバッグ26に隣接して膨張展開される構成である。この実施形態では、助手席エアバッグ26とセンタエアバッグ28とは、単一の袋体として構成されており、エアバッグ20において、助手席エアバッグ26とセンタエアバッグ28とに明確な境界は存在しない。
センタエアバッグ28は、平面視では前後に長い矩形状を成しており、その後端を成す後壁28Rは助手席エアバッグ26の後壁26Rよりも後方に突出している。また、図1及び図2に示されるように、センタエアバッグ28は、側面視で助手席エアバッグ26と似た形状を成す本体部28Mと、本体部28Mの上後端から後方に突出された頭部拘束部28Hとを含んで構成されている。詳細は後述するが、上記したセンタエアバッグ28の後壁28Rは、頭部拘束部28Hの後端ともされている。
本体部28Mは、その後端面の前後方向の位置が助手席エアバッグ26の後壁26Rの前後方向における位置と略一致されている。頭部拘束部28Hは、図1に示されるように、車幅方向における助手席エアバッグ26側すなわち車両用シート12の乗員Pを向く側壁としての内側壁28Sを有する。内側壁28Sは、その前端が助手席エアバッグ26の後壁26Rの車幅方向内端と繋がっている。
(変位促進構造)
また、図1に示されるように、エアバッグ20を構成する助手席エアバッグ26の後壁26Rには、別布としての滑り布30が設けられている。滑り布30は、助手席エアバッグ26の後壁26Rを成す基布よりも摩擦係数が低い低摩擦材としての低摩擦布にて構成されている。このような低摩擦布としては、フッ素繊維を用いて構成された布を採用することができ、このような布として例えば東レ株式会社製のトヨフロン(登録商標)等が挙げられる。
この滑り布30は、助手席エアバッグ26の後壁26Rに対し移動(相対移動)可能に接続されている。この滑り布30は、エアバッグ20と共に折り畳まれてエアバッグケース24内に収納されており、エアバッグ20の膨張展開に伴って、助手席エアバッグ26の後壁26Rに沿って展開されるようになっている。具体的には、滑り布30は、展開状態における背面視で矩形状を成しており、接続構造31によって助手席エアバッグ26の後壁26Rにおける上部に接続されている。以下の説明では、矩形状を成す滑り布30の4つの縁部のうち、上側の縁部を上縁部30U、下側の縁部を下縁部30L、車幅方向中央(内側壁28S)側の縁部を内縁部30C、車幅方向外側の縁部を外縁部30Eということとする。
この実施形態では、接続構造31は、滑り布30の上縁部30Uを縫製部30Sによって助手席エアバッグ26の後壁26Rの上部に接続している。この構成により接続構造31は、エアバッグ20の膨張展開に伴って滑り布30を後壁26Rの上部に沿って展開させ、かつ該後壁26Rに対する滑り布30の移動(滑り)を許容する態様で、滑り布30を助手席エアバッグ26に接続している。すなわち、滑り布30は、外縁部30Eが助手席エアバッグ26の後壁26Rに対し非接続とされた構成によって、少なくとも車幅方向の外縁部30Eから内縁部30C側への移動が許容される態様で、助手席エアバッグ26に接続されている。この実施形態では、滑り布30は、その下縁部30L及び内縁部30Cが助手席エアバッグ26の後壁26Rに対しても非接続とされることで、該後壁26Rに対する移動に伴う抵抗が小さく移動可能量が大きい構成とされている。
そして、展開状態の滑り布30は、助手席エアバッグ26の後壁26Rの上部、具体的には後壁26Rにおける乗員Pの頭部H(以下、「乗員頭部H」という場合がある)を前方から拘束(支持)する部位を背面側から覆う構成である。この滑り布30の機能は、乗員頭部Hを助手席エアバッグ26の後壁26Rに対し車幅方向に変位し(滑り)易くすることとされる。ここで、滑り布30が設けられたエアバッグ20は、乗員頭部Hと後壁26Rとが直接接触する構成と比較して、乗員頭部Hと滑り布30との摩擦係数及び滑り布30と後壁26Rとの摩擦係数が低い(摩擦力が小さい)。
これにより、エアバッグ20は、後壁26Rに対する乗員頭部Hの滑りが生じ易い構成とされている。すなわち、滑り布30及び接続構造31は、乗員頭部Hが直接的に助手席エアバッグ26の後壁に接触する構成と比較して、滑り布30に接触した乗員頭部Hの後壁26Rに対する車幅方向の相対変位を促進する構成とされている。したがって、滑り布30及び接続構造31を含んで、本発明の変位促進構造が構成されている。
[作用]
次に、第1の実施形態の作用を説明する。
以下、エアバッグECU32が、運転席の側への微小ラップ衝突又は斜め衝突を検知した場合の作用について説明することとする。
エアバッグECU32は、衝突センサ34からの信号に基づいて微小ラップ衝突又は斜め衝突を検知すると、助手席エアバッグ装置10のインフレータ22を作動させる。すると、インフレータ22からガス供給を受けた助手席エアバッグ26、センタエアバッグ28が、それぞれ図1及び図2に示されるように膨張展開される。また、助手席エアバッグ26、センタエアバッグ28の膨張展開に伴って、滑り布30が助手席エアバッグ26の後壁26Rの上部を覆うように該後壁26Rに沿って展開される。
ところで、運転席の側への微小ラップ衝突や斜め衝突の場合、助手席である車両用シート12の乗員Pは、車体に対して前方へ移動し、さらに車幅方向中央側すなわち衝突側にも移動する(図2の矢印A参照)。
(比較形態における頭部の回転)
図3(A)に示される助手席エアバッグ装置100は、センタエアバッグを備えていない。この場合、斜め前方の衝突側へ移動する乗員頭部Hは、助手席エアバッグ26の後壁26Rにおける衝突側(図示例では左側)の部分に接触し、後向きの反力F1を受ける。この反力方向と乗員頭部Hの移動方向の相違に起因して該乗員頭部Hには、後部を衝突側に向かわせる時計回りのモーメントM1が作用する。別の見方をすれば、乗員頭部Hは、助手席エアバッグ26の後壁26Rとの摩擦により該後壁26Rに沿う車幅方向外向きの摩擦力(制動力)Frが作用し、該摩擦力Frに起因して上記のモーメントM1が作用する。
一方、図3(B)に示す助手席エアバッグ装置200は、助手席エアバッグ26及びセンタエアバッグ28を備えている。センタエアバッグ28の内側壁28Sに接触した乗員頭部Hは、反衝突側への反力F2を受ける。この反力方向と乗員頭部Hの移動方向の相違に起因して該乗員頭部Hには、後部を反衝突側に向かわせる反時計回りのモーメントM2が作用する。別の見方をすれば、乗員頭部Hは、内側壁28Sとの摩擦により該内側壁28Sに沿う後向きの摩擦力(制動力)Fsを受け、該摩擦力Fsに起因して上記のモーメントM2が作用する。すなわち、助手席エアバッグ26の後壁26Rとの接触による生じるモーメントM1を打ち消す方向のモーメントM2が作用する。このため、センタエアバッグ28を備えた助手席エアバッグ装置200では、センタエアバッグ28を備えない構成と比較して、乗員頭部Hの回転を抑制することができる。
ところで、センタエアバッグ28を備えた助手席エアバッグ装置200においても、乗員頭部Hの回転をさらに抑制する観点から改善の余地がある。この助手席エアバッグ装置200では、上記したモーメントM1、M2が乗員頭部Hに作用するものの、該乗員頭部Hの時計回りの回転が生じる。すなわち、上記したモーメントM1がモーメントM2よりも大きくなる。補足すると、助手席エアバッグ26及びセンタエアバッグ28の膨張展開状態で、助手席エアバッグ26の後壁26Rに作用する車幅方向の張力に対して、センタエアバッグ28の内側壁28Sに作用する前後方向の張力が小さくなる。この後壁26Rと内側壁28Sとの張力差に起因して、摩擦力Fr(反力F1)が摩擦力Fs(反力F2)よりも大きくなるためと推定される。
(第1の実施形態による頭部の回転抑制作用)
上記の検討によれば、乗員頭部Hの回転を抑制するためには、該乗員頭部Hに作用するモーメントM1、M2の差すなわち摩擦力Frと摩擦力Fsとの差を小さくすればよい。
ここで、助手席エアバッグ装置10では、上記した通り、助手席エアバッグ26及びセンタエアバッグ28の膨張展開に伴って、滑り布30が助手席エアバッグ26の後壁26Rに沿って展開される(図1参照)。この滑り布30は助手席エアバッグ26の後壁26Rに対し車幅方向に移動可能とされているため、乗員頭部Hは、図3(C)に示されるように、助手席エアバッグ26の後壁26Rとの間に滑り布30を挟んで助手席エアバッグ26に拘束される(接触する)。この際、滑り布30と助手席エアバッグ26の後壁26Rとの間で滑りが生じるため、該後壁26Rと乗員頭部Hとの摩擦力Frが、助手席エアバッグ装置200における後壁26Rと乗員頭部Hとの摩擦力Frよりも小さくなる。
これにより、上記比較形態に係る助手席エアバッグ装置200と比較して、摩擦力Frと摩擦力Fsとの差、すなわちモーメントM1、M2の差が小さく抑えられ、乗員頭部Hの回転が効果的に抑制される。
このように、助手席エアバッグ装置10では、運転席の側への斜め衝突又は微小ラップ衝突に対し助手席である車両用シート12の乗員Pを拘束する際に、該乗員頭部Hの回転を抑制することができる。
しかも、滑り布30が低摩擦布であるため、滑り布30と助手席エアバッグ26の後壁26Rとの間で滑りが生じ易く、乗員頭部Hの回転が効果的に抑制される。
(助手席の側への微小ラップ衝突又は斜め衝突について補足)
助手席の側への微小ラップ衝突又は斜め衝突の場合、車両用シート12の乗員Pは、車体に対して前方へ移動し、さらに車幅方向外側すなわち衝突側にも移動する。この際、乗員Pは、助手席エアバッグ26及び図示しないカーテンエアバッグ装置のカーテンエアバッグにて拘束、保護される。乗員頭部Hが助手席エアバッグ26にて拘束される際には、滑り布30と助手席エアバッグ26の後壁26Rとの間で滑りが生じるため、乗員頭部Hを回転させる方向のモーメント(上記したモーメントM1とは逆向きのモーメント)が小さく抑えられる。したがって、この場合にも、上記比較形態に係る助手席エアバッグ装置200と比較して、乗員頭部Hの回転が抑制される。
[変形例]
(第1変形例)
上記した第1の実施形態では、滑り布30がフッ素繊維を用いた低摩擦布である例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、滑り布30として、エアバッグ20の基布と同種の布を用いても良い。この場合、滑り布30と助手席エアバッグ26の後壁26Rとの間の滑り性を向上するために、該滑り布30と後壁26Rとの間に低摩擦剤を塗布等により介在させても良い。低摩擦剤としては、例えば滑石の粉末(タルク)等を用いることができる。
(第2変形例)
上記した第1の実施形態では、助手席エアバッグ26が単一の膨張部(チャンバ)を有する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図4に示されるように、所謂ツインチャンバタイプの助手席エアバッグ36を備えた構成としても良い。具体的には、助手席エアバッグ36は、左バッグ36Lと右バッグ36Rとを有して構成されており、平面視でほぼ左右対称を成す形状に膨張展開される構成とされている。左バッグ36Lと右バッグ36Rとの境界線は、車両用シート12のシート幅(車幅)方向の中心線CL(図1参照)にほぼ一致する構成とされている。
この膨張展開状態で、左バッグ36Lの後端は乗員Pの左肩の前方に位置し、右バッグ36Rの後端は乗員Pの右肩の前方に位置するようになっている。また、左バッグ36L及び右バッグ36Rの後端間に形成される凹部36Nは、乗員Pの頭部の前方に位置するようになっている。
そして、以上説明した助手席エアバッグ36における左バッグ36L、右バッグ36Rの各後壁36LR、36RRには、それぞれ滑り布30が接続されている。運転席の側への微小ラップ衝突又は斜め衝突の際には、乗員頭部Hは、主に左バッグ36Lの後壁36LRに接続された滑り布30に接触する。一方、助手席の側への微小ラップ衝突又は斜め衝突の際には、乗員頭部Hは、主に右バッグ36Rの後壁36RRに接続された滑り布30に接触する。これにより、第2変形例に係る助手席エアバッグを備えた構成によっても、第1の実施形態と同様に、乗員頭部Hの回転を抑制することができる。
なお、本変形例では、左バッグ36L、右バッグ36Rの各後壁36LR、36RRにそれぞれ滑り布30が接続された例を示したが、例えば左バッグ36Lの後壁36LRだけに滑り布30を接続した構成としても良い。
(第3変形例)
上記した第1の実施形態では、滑り布30の上縁部30Uを縫製部30Sによって助手席エアバッグ26の後壁26Rの上部に接続する接続構造31を備えた例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図5(A)に示されるように、滑り布30をティアシーム38による縫製にて助手席エアバッグ26の後壁26Rに接続する構成としても良い。ティアシーム38は、縫製部30Sで用いた糸よりも強度の低い(低荷重で切れる)糸による縫製部とされている。この実施形態では、接続構造31は、滑り布30の上下の縁部30U、30Lを、ティアシーム38にて助手席エアバッグ26の後壁26Rに接続している。
この第3変形例では、上記の通り図2の矢印A方向へ移動する乗員頭部Hが滑り布30に接触すると、滑り布30は車幅方向中央に向けて荷重を受け、ティアシーム38の糸が切れる。これにより、ティアシーム38による助手席エアバッグ26の後壁26Rへの滑り布30の接続状態が解消される。このため、乗員頭部Hの移動に伴って助手席エアバッグ26の後壁26Rに対する滑り布30の滑り(移動)が生じる。その後の作用効果は、第1の実施形態の作用効果と同様である。
なお、滑り布30の上下の縁部30U、30Lをティアシーム38にて助手席エアバッグ26の後壁26Rに接続する構成に代えて、図5(B)に示される構成を採用しても良い。すなわち、滑り布30の上縁部30Uを縫製部30Sにて助手席エアバッグ26に接続すると共に、滑り布30の下縁部30Lをティアシーム38にて助手席エアバッグ26の後壁26Rに接続する接続構造31を採用しても良い。なお、上記した各変形例の構成から解る通り、展開された滑り布30が助手席エアバッグ26の後壁26Rに対し移動可能な態様は、滑り布30の一部が助手席エアバッグ26の後壁26Rに対し非接続(自由)な態様には限られない。この移動可能な態様には、滑り布30が乗員頭部Hから所要の荷重を受けることで該滑り布30の助手席エアバッグ26の後壁26Rに対する少なくとも一部の接続状態が解消され得る態様が含まれる。
(第4変形例)
上記した第1の実施形態及び各変形例では、滑り布30の下縁側が助手席エアバッグ26の後壁26Rに対し非接続とされるか又は乗員頭部Hの接触に伴い接続状態が解消される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図6(A)に示されるように、滑り布30の上下の縁部30U、30Lをそれぞれ縫製部30Sにて助手席エアバッグ26の後壁26Rに接続する接続構造35を備えた構成としても良い。
この第4変形例では、滑り布30の外縁部30E及び内縁部30Cが助手席エアバッグ26の後壁26Rに対し非接続とされている。このため、図2の矢印A方向へ移動する乗員頭部Hが滑り布30に接触すると、図6(A)に想像線にて示すように、滑り布30が変形する。すなわち、滑り布30における助手席エアバッグ26の後壁26Rへの非接続部である上下方向中央部が車幅方向中央側に張り出すように変形し、乗員頭部Hの移動に伴って滑り布30の後壁26Rに対する滑り(移動)が生じる。その後の作用効果は、第1の実施形態の作用効果と同様である。
なお、図6(A)の例では、滑り布30が1枚の布で構成された例を示したが、これに限られず、図6(B)に示されるように、滑り布30及び上下の縫製部30Sを車幅方向に分割した構成としても良い。この構成では、滑り布30が上下に長い短冊状の単位布30Pが並列された集合体として構成されているので、図6(A)の構成と比較して、乗員頭部Hの移動に伴う助手席エアバッグ26の後壁26Rに対する滑り(移動)が生じ易い。
(第5変形例)
上記した第4変形例では、滑り布30が変形して助手席エアバッグ26の後壁26Rに対する滑りを生じるように該滑り布30の上下の縁部30U、30Lを助手席エアバッグ26に接続する接続構造35を備えた例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図7(A)に示されるように、矩形状に展開される滑り布30の四隅にそれぞれタブ30Tを設け、各タブ30Tを縫製部30Sにて助手席エアバッグ26の後壁26Rに接続する接続構造37を備えた構成としても良い。上側のタブ30Tは、例えば助手席エアバッグ26の天壁26Tに接続されても良い。
この第5変形例では、上記の通り図2の矢印A方向へ移動する乗員頭部Hが滑り布30に接触すると、滑り布30は車幅方向中央に向けて荷重を受け、図7(A)に想像線にて示されるように、各タブ30Tが傾くように変形する。このため、乗員頭部Hの移動に伴って助手席エアバッグ26の後壁26Rに対する滑り布30の移動が生じる。その後の作用効果は、第1の実施形態の作用効果と同様である。
なお、図7(A)の例では、タブ30Tが傾くように変形する構成としたが、これに限られず、図7(B)に示されるように、タブ30Tの根元部に他の部分よりも幅狭のティア部30Ttを形成した構成としても良い。この構成では、滑り布30が乗員頭部Hから荷重を受けると、各タブ30Tがティア部30Ttにおいて破断されることで、助手席エアバッグ26の後壁26Rへの滑り布30の接続状態が解消される。その後の作用効果は、第1の実施形態の作用効果と同様である。
<他の実施形態>
次に、他の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態又は先行する実施形態と基本的に同様の構成、作用については、第1の実施形態又は先行する実施形態と同一の符号を付与し、その説明及び図示を省略する場合がある。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る助手席エアバッグ装置40について、図8に基づいて説明する。この図8に示されるように、助手席エアバッグ装置40は、滑り布30に代えて、滑り布42を備える点で、助手席エアバッグ装置10とは異なる。滑り布42は、助手席エアバッグ26の後壁26Rからセンタエアバッグ28の内側壁28Sまで至る点で、助手席エアバッグ26の後壁26Rに沿って展開される滑り布30とは異なる。また、助手席エアバッグ装置40を構成するエアバッグ44は、助手席エアバッグ26の後壁26Rとセンタエアバッグ28の内側壁28Sとで、後方及び車幅方向外側を共に向く頭部拘束壁44Hが形成されている点で、エアバッグ20とは異なる。以下、具体的に説明する。
頭部拘束壁44Hは、その前端でかつ車幅方向の外側部分が助手席エアバッグ26の後壁26Rの上部(頭部拘束壁44Hを構成しない部分)に連続しており、その後端はセンタエアバッグ28の後壁28Rに至っている。この頭部拘束壁44Hは、平面視で後方及び車両用シート12側(車幅方向外側)を共に向く形状とされている。ここで、図示は省略するが、平面視で後方及び車幅方向外側を共に向く壁とは、平面視における法線の方向が前後方向及び車幅方向に対し、後側が前側に対し車幅方向外側に位置するように傾斜する面である。頭部拘束壁44Hが平面視で直線以外の形状を成す場合には、該頭部拘束壁44Hの平面視での中央部を挟む特定の2点を結ぶ仮想直線の法線の方向が、前後方向及び車幅方向に対し、後側が前側に対し車幅方向外側に位置するように傾斜していれば良い。
滑り布42は、矩形状に形成されており、助手席エアバッグ26及びセンタエアバッグ28の膨張展開に伴って、乗員P側から見て該頭部拘束壁44Hのほぼ全面を覆うように、主に頭部拘束壁44Hに沿って展開されるようになっている。この滑り布42は、接続構造46にてエアバッグ44に接続されている。以下の説明では、矩形状を成す滑り布42の4つの縁部のうち、上側の縁部を上縁部42U、下側の縁部を下縁部42L、後(車幅方向中央)側の縁部を後縁部42R、前(車幅方向外)側の縁部を前縁部42Fということとする。
具体的には、接続構造46は、滑り布42の後縁部42Rを縫製によって頭部拘束壁44Hに接続する縫製部46Sと、滑り布42の上縁部42U、下縁部42L、前縁部42Fを弱い縫製によって接続するティアシーム46Tとを含んで構成されている。ティアシーム46Tは、縫製部46Sで用いる糸よりも強度の低い(低荷重で切れる)糸による縫製部である。この構成により接続構造46は、エアバッグ44の膨張展開に伴って滑り布42を助手席エアバッグ26の後壁26Rの上部に沿って展開させ、かつ後壁26Rに対する滑り布42の移動を許容する態様で、滑り布30を助手席エアバッグ26に接続している。
具体的には、接続構造46によってエアバッグ44に接続された滑り布42は、後縁部42R側から前縁部42F側に向かう方向の荷重に対しては、縫製部46Sによる接続が維持されるので、頭部拘束壁44Hに対する移動が生じ難い。すなわち、縫製部46Sは、滑り布42の頭部拘束壁44Hに対する移動を制限する構成とされている。この縫製部46Sは、本発明の接続構造を構成する制限構造に相当する。
一方、滑り布42は、前縁部42F側から後縁部42R側に向かう方向の荷重を受けた場合、ティアシーム46T(の糸)が切れることで、頭部拘束壁44Hへの接続状態が解消されるようになっている。すなわち、滑り布42は、ティアシーム46T(接続構造46)によって、前縁部42F側から後縁部42R側への移動が許容される態様で、エアバッグ44に接続されている。
なお、滑り布42が頭部拘束壁44Hに対して前縁部42F側から後縁部42R側へ移動すると、図9(B)に示されるように、滑り布42における縫製部46Sにて接続された後縁部42R側には皺Sが生じる。助手席エアバッグ装置40の他の部分は、図示しない部分を含め、助手席エアバッグ装置10の対応する部分と同様に構成されている。
[作用]
次に、第2の実施形態の作用における第1の実施形態の作用とは異なる部分を主に説明する。以下の説明では、乗員頭部Hが、先ず頭部拘束壁44Hにおける後縁部42R側の部分(内側壁28Sが構成する部分)に接触する場合について主に説明する。
図9(A)に示されるように、乗員頭部Hは、微小ラップ衝突又は斜め衝突の際に、エアバッグ44における頭部拘束壁44H(の後縁部42R側の部分)に先ず接触する。このため、乗員頭部Hには、摩擦力Fsに基づくモーメントM2が作用し、該乗員頭部Hは反時計回りに回転する。この際、滑り布42は、乗員頭部Hから前縁部42F側に向かう方向の荷重を受けるが、縫製部46Sによる接続が維持されるので、頭部拘束壁44Hに対する移動(接触位置のずれ)は殆ど生じないか、移動量がごく小さい。
乗員頭部Hが助手席エアバッグ26の後壁26R(頭部拘束壁44Hの前縁部42F側の部分)に至ると、乗員頭部Hには、摩擦力Frに基づくモーメントM1が作用し、該乗員頭部Hは時計回りに回転する。この際、滑り布42は、乗員頭部Hから車幅方向の中央側すなわち後縁部42R側に向かう方向の荷重を受け、この荷重によりティアシーム46Tが破断される。すると、滑り布42のエアバッグ44への接続状態が解消され、該滑り布42が頭部拘束壁44Hに対し移動する。すなわち、滑り布42は、頭部拘束壁44Hへの接続状態が維持される縫製部46S側で緩みを生じながら、滑りにより頭部拘束壁44Hに対し車幅方向の中央側へ移動する。
これにより、エアバッグ44の助手席エアバッグ26の後壁26Rと乗員頭部Hとの摩擦力FrすなわちモーメントM1が小さく抑えられ、乗員頭部Hの回転が抑制される。この点について図10に示す線図を参照しつつ補足する。図10は、時間に対する乗員頭部Hの回転速度を示しており、時計回りの回転速度を正、反時計回りの回転速度を負として示している。また、破線にて示す線図は、滑り布42を備えない第1比較例の線図であり、一点鎖線にて示す線図は、滑り布42の上縁部42Uだけを縫製部46Sにて頭部拘束壁44Hに接合した第2比較例の線図である。そして、実線にて示す線図は、第2の実施形態の線図である。
第1比較例では、先ず頭部拘束壁44Hに接触した乗員頭部Hが反時計回りに回転する(この点は上記した実施形態と同様である)。そして、乗員頭部Hが助手席エアバッグ26の後壁26Rに至ると、乗員頭部Hは、モーメントM1によって時計回りに回転する。この際、滑り布42を備えない第1比較例では、摩擦力Frが抑制されず、乗員頭部Hが高速で時計回りに回転する。
一方、第2比較例では、滑り布42は前縁部42F側、後縁部42R側の何れの荷重によっても頭部拘束壁44Hに対し滑りにより移動することとなる。このため、滑り布42に接触した乗員頭部Hは、第1比較例と比較して、頭部拘束壁44Hへの接触初期のモーメントM2による反時計回りの回転速度、及びその後のモーメントM1による時計回りの回転速度の何れも抑制される。図10の例では、反時計回りの回転が生じていない。この第2比較例においては、モーメントM1が小さくなるものの、該モーメントM1を打ち消すべきモーメントM2も小さくなるため、乗員頭部Hの回転をさらに抑制する観点から改善の余地がある。
これに対して第2の実施形態では、乗員頭部Hは、頭部拘束壁44Hへの接触初期のモーメントM2による反時計回りの回転速度は第1比較例と同等とされる一方、その後のモーメントM1による時計回りの回転速度は第1比較例と比較して減じられる。また、第2の実施形態では、反時計回りの回転速度の最大値(絶対値)と時計回りの回転速度の最大値との差は、第2比較例における時計回りの回転速度の絶対値と同等であるものの、時計回りの回転速度の絶対値は、第2比較例よりも小さい。
すなわち、本実施形態では、第2比較例と比較して、乗員頭部Hの時計回りの回転を打ち消すモーメントM2の大きさがモーメントM1の大きさに近づくため、乗員頭部Hの回転速度が低減される。このため、第2の実施形態では、第1比較例、第2比較例の何れに対しても、乗員頭部Hの回転が効果的に抑制される。このように、第2の実施形態では、モーメントM1、M2の差が小さくなることで乗員頭部Hの回転が効果的に抑制されるものである。したがって、第2の実施形態では、乗員頭部Hが頭部拘束壁44Hにおける後縁部42R側に先ず接触する形態だけでなく、乗員頭部Hが頭部拘束壁44Hにおける前縁部42F側に先ず接触する形態においても、該乗員頭部Hの回転を抑制することができる。
ここで、乗員頭部Hの回転抑制効果を乗員頭部Hの回転速度(の絶対値)に基づいて評価する理由について補足する。例えば、乗員頭部Hの直線移動では、乗員頭部Hに作用する荷重は、主に加速度と乗員頭部Hの質量とに依存する。一方、乗員頭部Hの回転運動では、該乗員頭部Hに遠心力すなわち回転速度と乗員頭部Hの質量とに依存する荷重が作用する。この荷重を小さく抑えるためには回転速度の絶対値を小さく抑えることが有効である。したがって、上記した図10に示されるように、時計回りの回転速度の絶対値を第1、第2比較例に対し低く抑えることができる第2の実施形態では、乗員頭部Hの回転が効果的に抑制されることとなる。
また、助手席エアバッグ装置40では、助手席エアバッグ26の後壁26Rとセンタエアバッグ28の内側壁28Sとが、後方及び車幅方向外側を共に向く頭部拘束壁44Hを成している。換言すれば、後壁26R(の少なくとも内側壁28S側の一部)は後方及び車幅方向外側を共に向き、内側壁28S(の少なくとも後壁26R側の一部)は後方及び車幅方向外側を共に向いて展開される。このため、例えば後壁26Rと内側壁28Sとで平面視で直角を成す構成と比較して、後壁26R及び内側壁28Sの張力方向が近づき、該後壁26Rと内側壁28Sとの張力差すなわち摩擦力Fr、Fsの差が小さくなる。この後壁26Rと内側壁28Sとで形成される頭部拘束壁44Hに上記滑り布42が接続されているため、乗員頭部Hと後壁26Rとの摩擦力Frと、乗員頭部Hと内側壁28Sとの摩擦力の差が一層小さくなる。
また、微小ラップ衝突又は斜め衝突の衝突形態に応じて、乗員頭部Hが移動する方向が異なり、該乗員頭部は所要の角度範囲で斜め前方の衝突側に移動し得る。ここで、頭部拘束壁44Hが後方及び車幅方向外側を共に向くため、頭部拘束壁44Hは、乗員頭部Hの接触から短時間で、該乗員頭部Hの重心を通る移動軌跡を挟む両側から該乗員頭部Hに対し接触しやすい。すなわち、後壁26R及び内側壁28Sの何れか一方だけが乗員頭部Hに接触して該頭部Hが回転する空転時間が短くなり、これによっても乗員頭部Hの回転抑制に寄与する。
[変形例]
(第1変形例)
上記した第2の実施形態では、縫製部46Sとティアシーム46Tとで滑り布42を頭部拘束壁44Hに接続する接続構造46を備えた例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図11に示されるように、滑り布42の上縁部42U、下縁部42L、前縁部42Fを助手席エアバッグ26の後壁26Rに接続するティアシーム46Tに代えて、上縁部42Uを後壁26Rに接続する縫製部48Sを備えた接続構造48を採用しても良い。すなわち、第1変形例では、滑り布42の後縁部42R及び上縁部42Uが縫製部46S、48Sにて頭部拘束壁44H及び助手席エアバッグ26の後壁26Rに接続され、前縁部42F及び下縁部42Lは後壁26Rに対し非接続とされている。なお、縫製部48Sで用いる糸は、縫製部46Sで用いる糸と同種の糸とされる。
以上説明した第1変形例では、後縁部42R側から前縁部42F側に向かう方向の荷重による頭部拘束壁44Hに対する滑り布42の移動は、後縁部42Rの縫製部46Sによって制限される。一方、前縁部42F側から後縁部42R側に向かう方向の荷重による頭部拘束壁44Hに対する滑り布42の移動は、第1の実施形態の滑り布30と同様に許容される。
したがって、第1変形例における接続構造48は、接続構造の主機能を果たす縫製部48Sと、制限構造としての縫製部46Sとを含んで構成されている。滑り布42は、前縁部42F及び下縁部42Lが助手席エアバッグ26の後壁26Rに対し非接続とされた構成によって、前縁部42F側から後縁部42R側への移動が許容される態様で、エアバッグ44に接続されている。
(第2変形例)
上記した第2の実施形態では、ティアシーム46Tによって滑り布42の頭部拘束壁44Hに対する移動が許容される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図12(A)に示されるように、滑り布42における上下の縁部42U、42Lから延出された複数の延出部としてのタブ42Tを設け、該タブ42Tを縫製部46Sで用いる糸と同種の糸を用いた縫製部50Sにて助手席エアバッグ26の後壁26Rに接続する接続構造50を採用しても良い。
この変形例では、図2の矢印A方向へ移動する乗員頭部Hが滑り布42に接触すると、図12(B)に示されるように、各タブ42Tが変形することで、滑り布42が頭部拘束壁44Hに対して前縁部42F側から後縁部42R側へ移動する。その後の作用効果は、第2の実施形態の作用効果と同様である。
したがって、第2変形例における接続構造50は、接続構造の主機能を果たすタブ42T及び縫製部50Sと、制限構造としての縫製部46Sとを含んで構成されている。なお、上側のタブ42Tは、助手席エアバッグ26の天壁26T(一部はセンタエアバッグの天壁とも捉えられる部分)に接続されても良い。
なお、第2変形例では、接続構造50が延出部としてのタブ42Tを有する例を示したが、これに限られず、例えば、上記した第1の実施形態の第5変形例(図7(B)の構成)のように、タブ42Tの根元にティア部を設けた構成を採用しても良い(図示省略)。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態に係る助手席エアバッグ装置55について、図13に基づいて説明する。この図13に示されるように、助手席エアバッグ装置55は、助手席エアバッグ26の後壁26Rに対し移動可能な態様で展開される滑り布30、42に代えて、後壁26Rに固定された変位促進構造の別布56を備える点で、第1、第2の実施形態とは異なる。
別布56は、例えば滑り布30と同様の低摩擦布にて構成されており、乗員頭部Hに対する摩擦係数が、助手席エアバッグ26の後壁26Rを構成する基布の乗員頭部Hに対する摩擦係数よりも小さい。なお、別布56、助手席エアバッグ26を構成する基布の乗員頭部Hに対する摩擦係数の大小は、各布と衝突ダミー人形の頭部(を構成する材料)との摩擦係数の大小として設定(特定)することができる。衝突ダミー人形としては、例えばWorldSID(国際統一側面衝突ダミー:World Side Impact Dummy)のダミー人形を採用することができる。
この別布56は、滑り布30と同様の矩形状に形成されており、その周縁部が縫製部30Sと同等の糸による縫製部58にて助手席エアバッグ26の後壁26Rに接続されている。別布56の上縁部は、例えば助手席エアバッグ26の天壁26Tに接続されても良い。
この別布56及び縫製部58は、乗員頭部Hが直接的に助手席エアバッグ26の後壁に接触する構成と比較して、別布56に接触した乗員頭部Hの後壁26Rに対する車幅方向の相対変位を促進する構成とされている。したがって、別布56及び縫製部58を含んで、本発明の変位促進構造が構成されている。助手席エアバッグ装置55の他の部分は、図示しない部分を含め、助手席エアバッグ装置10の対応する部分と同様に構成されている。
[作用]
次に、第3の実施形態の作用における第1の実施形態の作用とは異なる部分を主に説明する。
助手席エアバッグ装置55では、微小ラップ衝突又は斜め衝突の際に、乗員頭部Hが別布56に接触すると、該乗員頭部Hが別布56に対し滑りつつ、助手席エアバッグ26の後壁26Rに対し車幅方向の衝突側に変位される。これにより、第1の実施形態と同様に、後壁26Rと乗員頭部Hとの摩擦力Frが小さくなり、乗員頭部Hの回転が抑制される。また、助手席エアバッグ装置55では、低摩擦材より成る別布56によって助手席エアバッグ26の後壁26Rと乗員頭部Hとの摩擦力Frが低減される。このため、助手席エアバッグ26の後壁26Rを構成する基布の一部に部分的に低摩擦処理を施した比較例と比較して、エアバッグ20の製造が簡単である。
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態に係る助手席エアバッグ装置60について、図14に基づいて説明する。この図14に示されるように、助手席エアバッグ装置60は、別布としての滑り布30、42、又は別布56を備えない点で、第1、第2の実施形態とは異なる。
助手席エアバッグ装置60を構成するエアバッグ62は、助手席エアバッグ26の後壁26Rと、センタエアバッグ28の内側壁28Sとで、乗員頭部Hに対する摩擦係数が異なっている。具体的には、助手席エアバッグ26の後壁26Rは、摩擦差設定構造によって、内側壁28Sよりも乗員頭部Hに対する摩擦係数が小さい構成とされている。
この実施形態では、助手席エアバッグ26の後壁26Rを構成する基布64がシリコンコートを施さないノンコート布とされ、内側壁28Sを構成する基布66としてシリコンコートを施したコート布とされている。これにより、上記の通り後壁26Rと内側壁28Sとに摩擦係数の差が設定される。すなわち、この実施形態では、摩擦差設定構造は、センタエアバッグ28の内側壁28Sを構成する基布66よりも、乗員頭部Hに対する摩擦係数の小さい基布64を、助手席エアバッグ26の後壁26Rに用いることで構成されている。
なお、各基布64、66の乗員頭部Hに対する摩擦係数の大小は、各基布64、66と上記した衝突ダミー人形の頭部(を構成する材料)との摩擦係数の大小として設定(特定)することができる。助手席エアバッグ装置60の他の部分は、図示しない部分を含め、助手席エアバッグ装置10の対応する部分と同様に構成されている。
[作用]
次に、第4の実施形態の作用における第1の実施形態の作用とは異なる部分を主に説明する。
第1の実施形態の説明において述べた通り、乗員頭部Hの回転を抑制するためには、乗員頭部Hに作用するモーメントM1、M2の差すなわち摩擦力Frと摩擦力Fsとの差を小さくすればよい。
ここで、助手席エアバッグ装置60では、助手席エアバッグ26の後壁26Rの乗員頭部Hに対する摩擦係数が、センタエアバッグ28における内側壁28Sの乗員頭部Hに対する摩擦係数が小さい。このため、助手席エアバッグ装置60では、例えば助手席エアバッグ26の後壁26Rの乗員頭部Hに対する摩擦係数が内側壁28Sの乗員頭部Hに対する摩擦係数と同等である構成と比較して、摩擦力Frと摩擦力Fsとの差が小さくなる。
これにより、第4の実施形態に係る助手席エアバッグ装置60によっても、運転席の側への斜め衝突又は微小ラップ衝突に対し助手席である車両用シート12の乗員Pを拘束する際に、該乗員頭部Hの回転を抑制することができる。
(第1変形例)
上記した第4の実施形態では、助手席エアバッグ26の後壁26Rを構成する基布64と内側壁28Sを構成する基布66とで、乗員頭部Hに対する摩擦係数を異ならせることで摩擦差設定構造が構成された例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、助手席エアバッグ26の後壁26R及び内側壁28Sの少なくとも一方に接続した別布によって、摩擦差設定構造が構成されても良い。
このような構成の第1例として、例えば、助手席エアバッグ26の後壁26Rを構成する基布及び内側壁28Sを構成する基布としてノンコート布を用い、内側壁28Sにノンコート布よりも乗員頭部Hに対する摩擦係数の高い別布を接続する構成を採り得る。また第2例として、例えば、助手席エアバッグ26の後壁26Rを構成する基布及び内側壁28Sを構成する基布としてコート布を用い、該後壁26Rにコート布よりも乗員頭部Hに対する摩擦係数の低い別布を接続する構成を採り得る。さらに第3例として、例えば、相対的に乗員頭部Hに対する摩擦係数の低い別布を助手席エアバッグ26の後壁26Rに接続すると共に、相対的に乗員頭部Hに対する摩擦係数の高い別布を内側壁28Sに接続する構成を採り得る。
なお、上記のような別布は、基本的に周縁部(矩形状であれば4辺)をすべて縫製にて助手席エアバッグ26の後壁26R、センタエアバッグ28の内側壁28Sに接続されることが望ましい。このような構成では、後壁26Rを構成する基布及び内側壁28Sを構成する基布の乗員頭部Hに対する摩擦係数を同等とすることが可能である。すなわち、別布を設けることで、助手席エアバッグ26、センタエアバッグ28の各部の基布の種類(素材)や処理等に依存することなく、上記機能を果たす摩擦差設定構造が構成される。また、後壁26Rにおける乗員頭部Hが接触する範囲(上部)だけを内側壁28Sよりも乗員頭部Hに対し低い摩擦係数とすることができる。
(第2変形例)
上記した第4の実施形態及びその第1変形例では、基布又は別布の乗員頭部Hに対する摩擦係数を部位毎に異ならせることで摩擦差設定構造が構成された例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、助手席エアバッグ26の後壁26Rの上部から内側壁28Sにかけての部分にサメ肌特性を有する別布を接続した構成としても良い。
ここで、サメ肌特性を有する別布とは、乗員頭部Hの一方側から他方側への移動(摺動)に伴う摩擦係数が、乗員頭部Hの他方側から一方側への移動に伴う摩擦係数よりも小さい特性を有する布材とされる。この別布を、一方側が助手席エアバッグ26の後壁26R側で他方側がセンタエアバッグの内側壁28S側となるように、後壁26Rから内側壁28Sにかけての範囲に接続すれば良い。なお、このような特性を有する別布として、例えば、表面に設けた起毛や凹凸の配向等により摺動方向によって摩擦係数が異なる布材を用いることができる。また、このようなサメ肌特性を有する別布に代えて、エアバッグ62における少なくとも助手席エアバッグ26の後壁26Rの上部から内側壁28Sにかけての部分を、サメ肌特性を有する基布にて構成しても良い。このように、本変形例は、簡単な構造で摩擦差設定構造を構成することができる。
このように、本発明の摩擦差設定構造は、乗員頭部Hの移動方向によらず摩擦差が設定される構成には限られない。本変形例のように、摩擦差を生じさせる部位(後壁26R、内側壁28S)毎の、運転席側への微小ラップ衝突又は斜め衝突時の乗員頭部Hの移動方向を考慮して決められても良い。
以上説明した第2変形例に係る構成は、サメ肌特性を有する別布又は基布が摩擦差設定構造を構成する点で、第4の実施形態の変形例として説明したが、機能的には第2の実施形態の変形例として捉えることも可能である。すなわち、頭部拘束壁44Hに接触した乗員頭部Hの内側壁28S側から後壁26R側への移動を制限し、該乗員頭部Hの内側壁28S側から後壁26R側への移動を許容する構成と捉えることも可能である。したがって、サメ肌特性の別布又は基布は、エアバッグ44の頭部拘束壁44Hに設けることが好ましい。
<その他の変形例>
なお、上記した第2の実施形態では、助手席エアバッグ26の後壁26Rとセンタエアバッグ28の内側壁28Sとが頭部拘束壁44Hを形成する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1の実施形態に係るエアバッグ20に第2の実施形態に係る滑り布42を適用しても良い。また逆に、第2の実施形態に係るエアバッグ44に第1の実施形態に係る滑り布30等を適用しても良く、さらに例えば、第2の実施形態に係るエアバッグ44に第4の実施形態又は各変形例に係る各種の摩擦差設定構造を適用しても良い。
さらに、上記した実施形態では、接続構造31、35、37、46、48、50が主に縫製部30S、46S、48S、50S、及びティアシーム38、46Tにより構成された例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、接続構造31等の一部として、接着や、助手席エアバッグ26やセンタエアバッグ28の基布との一体化等を採用しても良い。すなわち、本発明の別布は、助手席エアバッグ26やセンタエアバッグ28の膨張展開部(袋部)を構成する部分とは別の部分であれば足り、基布と一体に形成されても良く、基布とは別の布材とされても良い。
さらに、上記した実施形態では、助手席エアバッグ26及びセンタエアバッグ28がエアバッグ20、44、52として一体の袋状に形成されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、助手席エアバッグ26とセンタエアバッグ28とを別体の袋状に形成して、両者を縫製等によって一体化してもよい。この場合には、助手席エアバッグ26とセンタエアバッグ28とが、少なくとも前端側において連通する構成にされる。
またさらに、上記した実施形態では、2つのインフレータ22が略同時に作動される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、単一のインフレータを備えた構成としても良く、エアバッグECU32が複数のインフレータを所定の時間差で作動させる構成としても良い。
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で各種変形して実施可能であることは言うまでもない。
10 助手席エアバッグ装置
12 車両用シート(助手席)
26 助手席エアバッグ
26R 後壁
28 センタエアバッグ
28S 内側壁(側壁)
30 滑り布(別布、変位促進構造)
31・35・37 接続構造(変位促進構造)
36 助手席エアバッグ
36RR、36LR 後壁
40・55・60 助手席エアバッグ装置
42 滑り布(別布)
44H 頭部拘束壁
46・48・50 接続構造(変位促進構造)
46S 縫製部(制限構造)
56 別布(変位促進構造)
58 縫製部(変位促進構造)
64 基布(乗員頭部に対する摩擦係数の小さい基布、摩擦差設定構造)
66 基布(センタエアバッグの側壁を構成する基布、摩擦差設定構造)
H 乗員頭部

Claims (11)

  1. ガス供給を受けて、車両前後方向の後端側を成す後壁が助手席の側を向くように該助手席の車両前方で膨張展開される助手席エアバッグと、
    前記助手席エアバッグと一体に形成され、ガス供給を受けて前記助手席エアバッグに対する車幅方向中央側で膨張展開され、膨張展開状態で前記後壁の車両上下方向の上部に対する後方に位置する側壁が車幅方向で前記助手席の側を向くセンタエアバッグと、
    前記助手席エアバッグ及びセンタエアバッグの膨張展開状態で前記後壁の少なくとも前記上部における前記側壁の側の部分を覆って展開される別布を含み、前記別布に接触した乗員頭部の前記後壁に対する車幅方向の相対変位を促進する変位促進構造と、
    を備えた助手席エアバッグ装置。
  2. 前記変位促進構造は、
    前記別布と、
    前記助手席エアバッグ及びセンタエアバッグの膨張展開状態で、前記別布が前記後壁に対し車幅方向の少なくとも前記側壁の側へ移動可能な態様で展開されるように、該別布を少なくとも前記助手席エアバッグに接続する接続構造と、
    を含んで構成されている請求項1記載の助手席エアバッグ装置。
  3. 前記別布は、前記後壁を成す基布よりも摩擦係数が低い低摩擦材にて構成されるか、又は該別布と膨張展開状態の前記助手席エアバッグの前記後壁との間に低摩擦剤が塗布されている請求項2記載の助手席エアバッグ装置。
  4. 前記接続構造は、
    前記別布における少なくとも車幅方向における前記側壁の側と反対側の部分を前記助手席エアバッグに対し非接続とするか、
    前記別布を、該別布が受ける車幅方向の荷重により破断される低強度の糸により縫製するか、
    又は、前記別布から車両上下方向の両側に延出され、前記別布が受ける車幅方向の荷重により変形又は破断する延出部を介して前記助手席エアバッグに接続することで、
    展開状態の前記別布を前記後壁に対し車幅方向の前記側壁の側へ移動可能としている請求項2又は請求項3記載の助手席エアバッグ装置。
  5. 前記別布は、前記後壁から前記側壁にかけての範囲に沿って展開される構成であり、
    前記接続構造は、前記別布の車幅方向における前記側壁の側の縁部を上下方向に沿って前記側壁に接続し、前記別布の前記センタエアバッグの側から助手席エアバッグの側への前記側壁に沿った移動を制限する制限構造を有する請求項2〜請求項4の何れか1項記載の助手席エアバッグ装置。
  6. 膨張展開状態の前記センタエアバッグの前記側壁と、膨張展開状態の前記助手席エアバッグの前記後壁とで、後方及び車幅方向外側を共に向く頭部拘束壁が形成され、
    前記別布は、前記頭部拘束壁と共に展開される構成である請求項5記載の助手席エアバッグ装置。
  7. 前記変位促進構造は、前記助手席エアバッグの後壁を構成する基布よりも乗員頭部に対する摩擦係数の小さい前記別布が前記後壁に固定されて構成されている請求項1記載の助手席エアバッグ装置。
  8. ガス供給を受けて、車両前後方向の後端側を成す後壁が助手席の側を向くように該助手席の車両前方で膨張展開される助手席エアバッグと、
    前記助手席エアバッグと一体に形成され、ガス供給を受けて前記助手席エアバッグに対する車幅方向中央側で膨張展開され、膨張展開状態で前記後壁の車両上下方向の上部に対する後方に位置する側壁が車幅方向で前記助手席の側を向くセンタエアバッグと、
    前記後壁の少なくとも前記上部における前記側壁の側の部分の乗員頭部に対する摩擦係数を、前記側壁の乗員頭部に対する摩擦係数よりも小とする摩擦差設定構造と、
    を備えた助手席エアバッグ装置。
  9. 前記摩擦差設定構造は、前記センタエアバッグの前記側壁を構成する基布よりも、前記乗員頭部に対する摩擦係数の小さい基布を、前記後壁の少なくとも前記上部における前記側壁の側の部分に用いて構成されている請求項8記載の助手席エアバッグ装置。
  10. 前記摩擦差設定構造は、前記後壁を構成する基布とは別の布材より成り、前記助手席エアバッグ及びセンタエアバッグの膨張展開状態で前記後壁の少なくとも前記上部における前記側壁の側の部分及び前記側壁の少なくとも一方と共に展開される別布を設けて構成されている請求項8記載の助手席エアバッグ装置。
  11. ガス供給を受けて、車両前後方向の後端側を成す後壁が助手席の側を向くように該助手席の車両前方で膨張展開される助手席エアバッグと、
    前記助手席エアバッグと一体に形成され、ガス供給を受けて前記助手席エアバッグに対する車幅方向中央側で膨張展開され、膨張展開状態で前記後壁の車両上下方向の上部に対する後方に位置する側壁が車幅方向で前記助手席の側を向くセンタエアバッグと、
    乗員頭部の一方側から他方側への移動時の摩擦係数が、前記乗員頭部の他方側から一方側への移動時の摩擦係数よりも小である特性を有する布材が、前記助手席エアバッグ及びセンタエアバッグの膨張展開状態で、前記後壁の側を前記一方側として該後壁から前記側壁にかけての範囲に沿って展開されるように設けられて構成されている摩擦差設定構造と、
    を備えた助手席エアバッグ装置。
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