JP6255425B2 - 自動車のステアリングコラム用の盗難防止装置 - Google Patents

Description

本発明は、自動車のステアリングコラム機構を保護する盗難防止装置に関する。

この種の盗難防止装置では、ステアリングコラムから空間的に隔たっているロック解除位置と、ステアリングコラムを不動にしているロック位置との間で可動であるロック用舌片が、盗難防止装置本体内に取り付けられている。

ロック用舌片の変位は、螺旋状の傾斜部においてロック用舌片と組み合っている回転カムによって制御される。この回転カムは、ステアリングコラム機構の回転を阻止するために、弾性的に付勢されて、盗難防止装置のケーシングの開口から前方に向かって突き出ている前進位置と、ケーシングの後方に後退している後退位置との間で軸方向に変位するように、ロック用舌片の変位を制御する。

回転カムは、ロック用舌片に備えられている制御ピンと組み合うことができるカム輪郭を有している。制御ピンは、カム輪郭に押し付けられている。このカム輪郭は、制御ピンの軸方向の変位を阻止するために、したがって、ロック用舌片の弾性付勢体に抗する、ロック用舌片の後退位置に向かう変位を阻止するために、例えば半径方向に肩部を有している。したがって、この半径方向の肩部によって、悪意のある人間が、ロック用舌片の弾性付勢体に抗して、ロック用舌片を押し戻すことにより、ステアリングコラムの回転を可能にすることを阻止することができる。

本発明は、従来技術におけるよりも、容易に製造することができる盗難防止装置を提供することを１つの目的としている。

この目的を達成するために、本発明は、次の要素を具備している、自動車のステアリングコラムをロックするための盗難防止装置を提供するものである。
− ステアリングコラムから空間的に隔たっているロック解除位置と、ステアリングコラムの回転を阻止しているロック位置との間で、軸方向に可動であるロック用舌片と、
− 回転駆動されるようになっている歯車を有し、ロック用舌片を軸方向に変位させるための回転カム。
回転カムは、歯車に固定されている第１の端部、および歯車から半径方向に突き出ている、自由端である第２の端部を有する弾性復帰手段を備えており、この第２の端部は、ロック用舌片がロック位置にあるときに、ロック用舌片が、ロック用舌片の弾性付勢体に抗して軸方向に変位することを阻止するために、ロック用舌片に設けられているロック用押し当て部と組み合わされている。

したがって、弾性復帰手段の第２の端部は、ロック用舌片が、後退位置に向かって変位することを阻止し、これによって、悪意のある人間が、ロック用舌片の弾性付勢体に抗してロック用舌片を押し戻すことにより、ステアリングコラムを回転させることを防いでいる。

歯車（回転カム）の弾性復帰手段を用いているため、複雑な製造作業および組み立て作業が必要とされる従来技術による盗難防止装置に必要なカム輪郭の機械加工、およびロックピンの製造を回避することができ、盗難防止装置の製造が容易になる。

さらに、ロック用舌片が、ステアリングコラムの連続する２つのくぼみの間に位置しているときに、回転カムを、回転カムの回転行程の最後まで回転させるために要する力は、少なくとも、弾性復帰手段の復帰力を超えていなければならない。しかしながら、従来技術による盗難防止装置においては、ロックピンの束縛は、ロック用舌片が、ケーシング内に押し戻されないほどに、十分なものでなければならないということを考えると、超えなければならない復帰力は、従来技術による盗難防止装置において、圧縮応力が作用しているロックピンが、カム輪郭に対する摩擦力に打ち勝つのに必要な力ほど大きくはない。

さらに、ロック位置に向かう歯車の回転によって、弾性復帰手段に圧縮応力が作用し、したがって、弾性復帰手段の保持力が増す。

最後に、盗難防止装置がロック解除状態になったときに、弾性復帰手段は元の状態に戻されるから、弾性復帰手段によって蓄積されたエネルギーは、無駄に失われない。

本発明の一実施形態によれば、ロック用舌片の軸方向の変位を阻止するべく、弾性復帰手段が、歯車の回転行程の終了時点において圧縮されているように、弾性復帰手段の第２の端部は、歯車の回転中に、ロック用押し当て部と組み合わされている。

ロック用押し当て部は、弾性復帰手段の第２の端部と、ロック用押し当て部とを組み合わせることによって、一方では、ねじりばねの第２の端部に対する回転止めが形成され、他方では、ロック用舌片の軸方向の変位を阻止する軸方向変位止めが形成されるようになっている、例えば引っ込み段状部を有している。

第１の実施形態によれば、回転カムの弾性復帰手段は、ねじりばねを備えている。

ねじりばねは、例えば歯車の円筒状受け孔内に巻かれており、円筒状受け孔は、歯車に相対的な第２の端部の変位を可能にするように、第２の端部が突き出ている横方向開口を備えている。

第２の実施形態によれば、回転カムの弾性復帰手段は、圧縮ばねを備えている。

圧縮バネは、歯車内に形成されている、例えば内部ガイド、特におおむね円弧状の内部ガイドを囲むように配置されている。

自動車のステアリングコラムをロックするための、第１の実施形態による盗難防止装置の、ロック位置にあるときの断面図である。 図１の盗難防止装置の回転カムの一実施形態の斜視図である。 回転カムのカバーが外されている状態の、図２の回転カムの斜視図である。 上半分のケーシングが外されている状態の、図１の盗難防止装置の、ロックしようとしている位置にあるときの一部の上方斜視図である。 回転カムがロック位置に向かって回転駆動されているときの、図４の盗難防止装置の一部の上方斜視図である。 回転カムの行程終了時の、図４の盗難防止装置の一部の上方斜視図である。 上側半分のケーシングが外されている状態の、第２の実施形態による盗難防止装置の一部の平面図である。

添付図面を参照して、例示的かつ非限定的に示す以下の説明を読むことによって、本発明の他の目的、特徴および利点が明らかになると思う。

添付図面において、同等の要素には、同一の符号を付してある。

図１は、自動車のステアリングコラムをロックするための盗難防止装置１を示している。

盗難防止装置１のケーシング４内には、ロック用舌片２、およびロック用舌片２を作動させるための回転カム３が収容されている。

１つ、またはいくつかの組立部品から成るロック用舌片２は、ケーシング４内に、ケーシング４の開口から軸方向に突き出ているロック位置（図５および図６）と、ケーシング４の内部に引っ込んだ後退位置を占めているロック解除位置との間で軸方向にスライド可能に取り付けられている。

ロック用舌片２は、ロック位置において、ステアリングコラムの外周に配置されているリング状部材に、放射状に形成されているくぼみの１つに挿入されて、ステアリングコラムを不動にするように、伸縮ばねである弾性付勢体５によって、弾性的に付勢されている。

中間位置（「ロックしようとしている位置」と呼ぶ）においては（図４）、ロック用舌片２は、例えばステアリングコラムのリング状部材の、連続する２つのくぼみの間に形成されている歯部に押し当てられている。したがって、ロック用舌片２をくぼみの１つに嵌め込むためには、ステアリングコラムのさらなる回転が必要となる。

図２および図３によりよく示されているように、回転カム３は、ロック用舌片２を軸方向に変位させるための、より詳細には、ロック解除位置において、ロック用舌片２をケーシング４内に持ち上げておくための、螺旋状の形斜面１４を有する歯車６を備えている。

図示の例においては、歯車６は、歯車７によって回転駆動され、一方、歯車７は、ウォームねじ１２を介して、盗難防止装置１のモータ８によって駆動される（図４）。図示していないが、本発明は、歯車７が機械的に駆動される、例えばキーを回転させる手動操作によって駆動される盗難防止装置にも適用することができる。

回転カム３は、さらに、ロック位置において、弾性付勢体５に抗して、ロック用舌片２が軸方向に変位することを阻止するために、歯車６に固定されている第１の端部（図４においては、隠れていて見えない）と、歯車６から半径方向に突き出ており、ロック用舌片２に設けられているロック用押し当て部１５と組み合っている、自由端である第２の端部９ｂとを有する弾性復帰手段を備えている。

図１〜図６に示す第１の実施形態において、回転カム３の弾性復帰手段は、ねじりばね９を備えている。螺旋形のねじりばね９は、歯車６の回転軸と平行な軸を有する、歯車６の中央部の円筒状受け孔１０内に受容されている（図３）。ねじりばね９の各ターンは、円筒状受け孔１０の内壁に押し当てられている。第１の端部は、例えば溶接によって、例えば円筒状受け孔１０に形成されている溝内に固定されている。

円筒状受け孔１０は、さらに、横方向開口を備えており、この横方向開口を貫通して、ねじりばね９の第２の端部９ｂが突き出ている。この横方向開口により、歯車６と相対的な、第２の端部９ｂの変位が可能である。

回転カム３は、さらに、円筒状受け孔１０内にねじりばね９を閉じ込めておくために、歯車６に設けられている固定手段と組み合わされている相補的な固定手段を有するカバー１３を備えている場合がある。

ロック用押し当て部１５は、ねじりばね９の第２の端部９ｂと、ロック用押し当て部１５とを組み合わせることによって、ロック位置において、一方では、ねじりばね９の第２の端部９ｂに対する回転止めが形成され、他方では、弾性付勢体５に抗する、ロック用舌片２の軸方向の変位を阻止する軸方向変位止めが形成されるように構成された引っ込み段部を有している（図５および図６）。

さらに、第２の端部９ｂは、歯車６の回転行程が終了した時点、ロック用舌片２がロック位置に達した時点において、ねじりばね９が圧縮されているように、歯車６の回転中にロック用押し当て部１５と組み合わされる（図６）。

したがって、ステアリングコラムをロックしようとしている動作段階（図４）においては、ロック用舌片２は、ステアリングコラムから空間的に隔たっている。ねじりばね９の、自由端部である第２の端部９ｂは、ロック用舌片２に接する。

次に、歯車６を回転させる（図４の矢印Ｒによって示されている時計回りの向きに）ことによって、ロック用舌片２を、ケーシング４の開口から「前方」に突き出た位置にスライドさせることができる。

歯車６が回転しており（図５の矢印Ｒの向きに）、ロック用舌片２が下降している間に、歯車６から突き出ている、ねじりばね９の第２の端部９ｂは、ロック用舌片２のロック用押し当て部１５と組み合わされ、後退位置に向かう、ロック用舌片２の再上昇を阻止する。

歯車６をロック位置に向かって回転させると、ねじりばね９に圧縮力が与えられ、したがって、ロック用舌片２に対する保持力が増す。

ロック位置において、すなわち、歯車６の回転行程の最後において（図６）、ロック用舌片２は、ステアリングコラムのリング状部材のくぼみの１つの中に嵌め込まれる。

このロック位置において、ねじりばね９には圧縮応力が与えられており、ねじりばね９の第２の端部９ｂは、後退位置に向かう、ロック用舌片２の軸方向の変位を阻止する。したがって、ねじりばね９の第２の端部９ｂは、悪意のある人間が、弾性付勢体５に抗して、ロック用舌片２を押し戻すことによって、ステアリングコラムを回転させることを防ぐ。

ねじりばね９を用いることによって、複雑な製造工程および組み立て工程を必要とする従来技術の盗難防止装置に要求される、カム輪郭の機械加工、およびロックピンの製造を不要にすることができ、盗難防止装置の製造が容易になる。

さらに、ロック用舌片２が、ステアリングコラムのリング状部材の、連続する２つのくぼみの間に配置されているときに、回転カム３を、回転カム３の回転行程の最後まで回転させるために要する力は、少なくとも、ねじりばね９のねじりの復帰力を超過しなければならない。しかしながら、従来技術による盗難防止装置においては、ロックピンの束縛は、ロック用舌片が、ケーシング内に押し戻されないほどに十分なものでなければならないということを考えると、ねじりばね９のねじりの復帰力は、従来技術による盗難防止装置において、圧縮応力を与えられているロックピンの、カム輪郭に対する摩擦に打ち勝つために必要な力ほど大きくはない。

最後に、盗難防止装置１がロック解除状態になったそのときに、ねじりばね９が元の状態に戻されるから、ねじりばね９によって蓄積されたエネルギーは無駄に失われない。

図７に示す第２の実施形態によれば、回転カム３の弾性復帰手段は、圧縮ばね１６を備えている。

圧縮ばね１６の第１の端部は、歯車６に固定されており、第２の端部１６ｂは、歯車６から半径方向に突き出ている。

この第２の実施形態によれば、圧縮ばね１６は、歯車６内に形成されている内部ガイド１７を囲むように配置されている。内部ガイド１７の、断面は円筒状である場合がある。内部ガイド１７は、おおむね円弧状を呈している場合がある。内部ガイド１７の形状に従って、圧縮ばね１６を圧縮したり、伸長させたりすることができる。

圧縮ばね１６の第２の端部１６ｂと、ロック用押し当て部１５とを組み合わせることによって、ロック位置において、一方では、圧縮ばね１６の第２の端部１６ｂに対する回転止めが形成され、他方では、弾性付勢体５に抗する、ロック用舌片２の軸方向の変位を阻止する軸方向変位止めが形成される。

さらに、歯車６の回転行程が終了した時点、ロック用舌片２がロック位置に達した時点において、圧縮ばね１６が圧縮されているように、第２の端部１６ｂは、歯車６の回転中に、ロック用押し当て部１５と組み合わされる。

したがって、動作中に、第１の実施形態の場合と同様に、この例においても、時計回りの向き（図７の矢印Ｒによって示されている）に、歯車６が回転することによって、ロック用舌片２は、ケーシング４の開口から外側に突き出る。圧縮ばね１６の第２の端部１６ｂは、ロック用舌片２のロック用押し当て部１５と組み合わされ、ロック用舌片２が後退位置に向かって上昇するのを阻止する。歯車６を、ロック位置に向かって回転させることによって、圧縮ばね１６は圧縮され、それによって、ロック用舌片２に対する保持力が増す。

１ 盗難防止装置
２ ロック用舌片
３ 回転カム
４ ケーシング
５ 弾性付勢体
６、７ 歯車
８ モータ
９ ねじりばね
９ｂ、１６ｂ 第２の端部
１０ 円筒状受け孔
１２ ウォームねじ
１３ カバー
１４ 螺旋状の形斜面
１５ ロック用押し当て部
１６ 圧縮ばね
１７ 内部ガイド
Ｒ 矢印

Claims (7)

1. 自動車のステアリングコラムをロックするための盗難防止装置であって、
   − 前記ステアリングコラムから空間的に隔たっているロック解除位置と、前記ステアリングコラムの回転を阻止しているロック位置との間で軸方向に可動であるロック用舌片（２）と、
   − 回転駆動されるようになされている歯車（６）を有し、前記ロック用舌片（２）を軸方向に変位させるための回転カム（３）とを具備している盗難防止装置において、
   前記回転カム（３）は、前記歯車（６）に固定されている第１の端部、および前記歯車（６）から半径方向に突き出ている、自由端である第２の端部（９ｂ、１６ｂ）を有する弾性復帰手段（９、１６）を備えており、該第２の端部（９ｂ、１６ｂ）は、前記ロック用舌片（２）が前記ロック位置にあるときに、前記ロック用舌片（２）が、前記ロック用舌片（２）の弾性付勢体（５）に抗して軸方向に変位することを阻止するために、前記ロック用舌片（２）に設けられているロック用押し当て部（１５）と組み合わされていることを特徴とする盗難防止装置。
2. 前記ロック用舌片（２）の軸方向の変位の阻止のために、前記弾性復帰手段（９、１６）が、前記歯車（６）の回転行程の終了時点において圧縮されているように、前記弾性復帰手段（９、１６）の第２の端部（９ｂ、１６ｂ）は、前記歯車（６）の回転中に、前記ロック用押し当て部（１５）と組み合わされるようになっていることを特徴とする、請求項１に記載の盗難防止装置。
3. 前記ロック用押し当て部（１５）は、前記弾性復帰手段（９）の第２の端部（９ｂ、１６ｂ）と、前記ロック用押し当て部（１５）とを組み合わせることによって、一方では、ねじりばね（９）の第２の端部（９ｂ、１６ｂ）に対する回転止めが形成され、他方では、前記ロック用舌片（２）の軸方向の変位を阻止する軸方向変位止めが形成されるように構成された引っ込み段部を有していることを特徴とする、請求項１または２に記載の盗難防止装置。
4. 前記回転カム（３）の弾性復帰手段は、ねじりばね（９）を備えていることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか１つに記載の盗難防止装置。
5. 前記ねじりばね（９）は、前記歯車（６）の円筒状受け孔（１０）内に巻かれており、該円筒状受け孔（１０）は、前記歯車（６）に相対的な前記第２の端部（９ｂ）の変位を可能にするように、前記第２の端部（９ｂ）が突き出ている横方向開口を備えていることを特徴とする、請求項４に記載の盗難防止装置。
6. 前記回転カム（３）の弾性復帰手段は、圧縮ばね（１６）を備えていることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか１つに記載の盗難防止装置。
7. 前記圧縮ばね（１６）は、前記歯車（６）内に形成されている内部ガイド（１７）を囲むように配置されていることを特徴とする、請求項６に記載の盗難防止装置。

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