本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態におけるキャブ仕様の油圧ショベルの構造を表す側面図であり、図2は、上面図である。図3は、本実施形態における旋回フレーム及び枠部材の構造を表す斜視図である。図4は、本実施形態における運転室ユニットの要部構造を表す斜視図である。図5は、本実施形態におけるフロア部材及びフロア側ブラケットの構造を表す斜視図である。図6は、本実施形態における運転室ユニットのチルトアップ状態を表すとともに傾転機構の構造を表す側面図(但し、便宜上、ストッパ機構を図示せず)である。なお、以降、油圧ショベルが図1及び図2に示す状態にて運転者が運転席に着座した場合における運転者の前側(図1及び図2中左側)、後側(図1及び図2中右側)、左側(図2中下側)、右側(図2中上側)を、単に前側、後側、左側、右側と称する。
本実施形態の油圧ショベルは、超小旋回型のミニショベルである。この油圧ショベルは、クローラ式の下部走行体1と、下部走行体1の上側に旋回可能に設けられた上部旋回体2と、上部旋回体2に連結されたオフセット式の作業装置3とを備えている。そして、走行用油圧モータ(図示せず)の回転駆動により、下部走行体1が走行する。旋回用油圧モータ(図示せず)の回転駆動により、上部旋回体2が旋回するようになっている。
作業装置3は、上部旋回体2(詳細には、後述する旋回フレーム14のブームブラケット23)に上下方向に回動可能に連結されたロアブーム4と、ロアブーム4に左右方向に回動可能に連結されたアッパブーム5と、アッパブーム5に左右方向に回動可能に連結されたステー6と、ステー6に上下方向に回動可能に連結されたアーム7と、アーム7に上下方向に回動可能に連結されたバケット8とを備えている。ロアブーム4とステー6の間には連結ロッド9が連結されており、この連結ロッド9は、ロアブーム4、アッパブーム5、及びステー6と共に平行リンクを構成している。
そして、ブーム用油圧シリンダ10の伸縮駆動により、ロアブーム4が上下方向に回動する。オフセット用油圧シリンダ11の伸縮駆動により、アッパブーム5が左右方向に回動して、ステー6が左右方向に平行移動する。アーム用油圧シリンダ12の伸縮駆動により、アーム7が上下方向に回動する。作業具用油圧シリンダ13の伸縮駆動により、バケット8が上下方向に回動するようになっている。なお、標準装備の作業具であるバケット8に代えて、オプション装備の作業具(詳細には、例えばオプション用油圧アクチュエータが組込まれた作業具)を取付可能としている。
上部旋回体2は、その下部基礎構造をなす旋回フレーム14と、旋回フレーム14上の左側に設けられたキャブタイプの運転室ユニット15と、旋回フレーム14上の運転室ユニット15以外の部分を覆う複数の外装カバー16と、旋回フレーム14の後側に設けられたカウンタウェイト17とを備えている。
ここで、上部旋回体2の旋回中心Oから上部旋回体2のカウンタウェイト17の後端面までの旋回半径をRとすると、上部旋回体2は、旋回半径Rの仮想円C内にほぼ収まるように構成されている。すなわち、上部旋回体2の大部分が、旋回半径Rの仮想円C内に収まるように、上方からみて略円形状となるように構成されている。しかし、キャブタイプの運転室ユニット15の左前角部Aが、旋回半径Rの仮想円Cからはみ出している。なお、後述するキャノピ仕様の油圧ショベル(図20参照)では、キャノピタイプの運転室ユニット15Aを含め上部旋回体2の全体が、旋回半径Rの仮想円C内に収まるように、上方からみて略円形状となるように構成される。
旋回フレーム14は、キャブ仕様の油圧ショベルと後述するキャノピ仕様の油圧ショベルで共通して用いることが可能になっている。すなわち、旋回フレーム14(共通フレーム)は、旋回半径Rの仮想円C内に収まるように、上方からみて略円形状となるように構成されている。そして、キャブ仕様の油圧ショベルでは、キャブタイプの運転室ユニット15の左前角部Aに対応するための枠部材18(図3では便宜上、点線で示す)を旋回フレーム14に取付け、キャノピ仕様の油圧ショベルでは、枠部材18を旋回フレーム14から取外すようになっている。
旋回フレーム14は、大別して、センタフレーム19と、センタフレーム19の左側(図3中右側)に設けられた左サイドフレーム20と、センタフレーム19の右側(図3中左側)に設けられた右サイドフレーム21とで構成されている。
センタフレーム19は、底板22と、底板22上に設けられたブームブラケット23及びシリンダブラケット24とを有している。ブームブラケット23にはロアブーム4が回動可能に連結され、シリンダブラケット24にはブーム用油圧シリンダ10が回動可能に連結される。また、センタフレーム19は、ブームブラケット23の後部と左サイドフレーム20の間で接続されて左右方向に延在する後側支持板25を有している。センタフレーム19上の後側支持板25より後側(図3中上側)には、エンジン(図示せず)が搭載され、このエンジンを跨ぐように後側支持部材(図示せず)が設けられている。
右サイドフレーム21は、左右方向に延在する右前枠26と、旋回半径Rの仮想円Cに沿って円弧状に延在する右曲げ枠27とを有している。
左サイドフレーム20は、左右方向に延在する左前枠28と、旋回半径Rの仮想円Cに沿って円弧状に延在する左曲げ枠29とを有している。また、左サイドフレーム20は、左前枠28上に設けられた前側支持部材30と、前側支持部材30と後側支持板25の間で接続され、左曲げ枠29に沿って延在する左側支持板31とを有している。
運転室ユニット15は、フロア部材32と、フロア部材32上に設けられて運転者が着座する運転席33(図1参照)と、運転席33の周囲を覆うキャブ34とを備えている。また、図4では示さないものの、ブーム用油圧シリンダ10の駆動及び作業具用油圧シリンダ13の駆動を指示する十字操作式の作業用操作装置と、アーム用油圧シリンダ12の駆動及び旋回用油圧モータの駆動を指示する十字操作式の作業用操作装置と、オフセット用油圧シリンダ11の駆動を指示するオフセット用操作装置と、オプション用油圧アクチュエータの駆動を指示するオプション用操作装置と、走行用油圧モータの駆動を指示する走行用操作装置なども備えている。
キャブ34は、前面部35、後面部36、左側面部37、右側面部38、上面部39、及び底枠部(図4では示さず)を有している。キャブ34の左側面部37には乗降口40が形成され、この乗降口40には開閉可能なドア41(図1参照)が設けられている。
フロア部材32は、キャブタイプの運転室ユニット15と後述するキャノピタイプの運転室ユニット15Aで共通して用いることが可能になっている。すなわち、フロア部材32(共通部材)は、旋回半径Rの仮想円C内に収まるように構成されている。そして、キャブタイプの運転室ユニット15では、キャブ34の左前角部に対応するためのフロア側ブラケット42(図5では便宜上、点線で示す)をフロア部材32に取付けるようになっている。
フロア部材32は、床板43、操作装置取付板44、ブラケット取付板45、前側建屋取付板46、運転席台座47、後側建屋取付板48、及び傾転ブラケット49を有している。フロア部材32の操作装置取付板44には、上述した走行用操作装置、オフセット用操作装置、及びオプション用操作装置が取付けられ、運転席台座47には、運転席33が取付けられる。
フロア部材32のブラケット取付板45には、フロア側ブラケット42が取付けられる。フロア側ブラケット42は、キャブ34の底枠部のうちフロア部材32からはみ出した部分を支持する機能を有している。ブラケット取付板45は、その強度を高めるため、操作装置取付板44だけでなく、前側建屋取付板46及び補強パイプ50(後述の図17及び図18参照)にも接合されている。そして、キャブ34の底枠部は、フロア部材32の後側建屋取付板48、前側建屋取付板46、及び床板43並びにフロア側ブラケット42にボルトを介して固定される。
フロア部材32の前側建屋取付板46は、ヒンジ機構51(図5では示さないものの、後述の図22参照)を介して旋回フレーム14の前側支持部材30に上下方向に回動可能に連結されている。これにより、フロア部材32(ひいては、運転室ユニット15)は、前側を支点として傾転可能(チルトアップ・チルトダウン可能)としている。なお、チルトダウンした状態のフロア部材32の前側部分(詳細には、床板43等)は、旋回フレーム14の前側支持部材30、左側支持板31、および後側支持板25で支持され、後側部分(詳細には、後側建屋取付板48)は、旋回フレーム14の後側支持部材で支持されるようになっている。
フロア部材32の傾転ブラケット49と旋回フレーム14の後側支持部材の間には、傾転機構52が接続されている。傾転機構52は、後側支持部材に回動可能に連結されたガイドレール53と、ガイドレール53に沿って延在して回転可能に設けられたねじ軸54と、ねじ軸54に螺合されるとともにフロア部材32の傾転ブラケット49に取付けられた移動部材(図示せず)とを有している。そして、作業者が傾転機構52のねじ軸54に工具を連結し、この工具を用いてねじ軸54を回転させて、移動部材をねじ軸54の軸方向に移動させる。これにより、運転室ユニット15を任意の角度でチルトアップさせるとともに、その状態を保持可能としている。
上述した傾転機構52は、運転室ユニット15のチルトアップ状態を保持可能としている。しかし、万一、運転室ユニット15のチルトアップ状態を保持できなくなって、運転室ユニット15が落下する可能性も考慮しなければならない。そのため、運転室ユニット15と旋回フレーム14の間にストッパ機構を設けている。
本実施形態のストッパ機構を、図7〜図9を用いて説明する。図7は、本実施形態におけるストッパ及びフロア側ブラケットの配置を表す、外側から見た斜視図であり、図8は、図7中VIII部の部分拡大斜視図である。図9は、本実施形態におけるフレーム側ブラケットの配置を表す、内側から見た斜視図である。
本実施形態のストッパ機構は、パイプ状のストッパ55と、旋回フレーム14の左側支持板31に取付けられたフレーム側ブラケット56と、運転室ユニット15のフロア部材32のブラケット取付板45に取付けられた上記のフロア側ブラケット42とで構成されている。フレーム側ブラケット56は、ストッパ55の下端部を着脱可能に支持する。フロア側ブラケット42は、上述したキャブ34の底枠部を支持する機能に加えて、ストッパ55の上端部を着脱可能に受ける機能を有している。ストッパ55、フレーム側ブラケット56、及びフロア側ブラケット42の詳細構造を、図10〜図16を用いて説明する。
図10は、ストッパ55の詳細構造を表す側面図である。図11は、フレーム側ブラケット56の詳細構造を表す斜視図である。図12は、図11中矢印XII方向から見たフレーム側ブラケット56の上面図であり、図13は、図11中矢印XIII方向から見たフレーム側ブラケット56の側面図である。図14は、フロア側ブラケット42の詳細構造を表す斜視図である。図15は、図14中矢印XV方向から見たフロア側ブラケット42の側面図であり、図16は、図14中矢印XVI方向から見たフロア側ブラケット42の下面図である。
ストッパ55は、金属製のパイプ材57と、パイプ材57の上端側開口に取付けられたゴム材58とを有している。
フレーム側ブラケット56は、下板59と、下板59に直立するとともに互いに平行配置された前板60及び後板61と、下板59に直立するとともに前板60及び後板61の間で接続された中板62と、前板60、後板61、及び中板62の上端に接合され、中板62から外側(図12中上側)に向かって延在する上板63と、上板63から下側(図13中下側)に延在するとともに中板62に対して平行配置された側板64とを有している。
フレーム側ブラケット56の上板(固定板)63には、2つの貫通孔65が形成され、それらの下側には2つのナット66が溶接されている。そして、上述の図9で示すように、旋回フレーム14の左側支持板31に形成された貫通孔(図示せず)とフレーム側ブラケット56の上板63の貫通孔65にボルト67を挿通しつつ、ナット66にボルト67を螺合することにより、フレーム側ブラケット56の上板63が旋回フレーム14の左側支持板31に固定される。なお、フレーム側ブラケット56の下板59の周縁には断面円形状の棒材68が溶接されており、フレーム側ブラケット56の周囲にある部品の破損を防止するようになっている(上述の図9参照)。
フレーム側ブラケット56の下板59、前板60、後板61、及び中板62は箱型構造をなし、ストッパ55の下端部を着脱可能に支持する。このとき、前板60の上端が後板61の上端より低くなるように形成されているため、ストッパ55を前板60側に傾斜させるようになっている(上述の図9参照)。なお、ストッパ55の傾斜角度は、いくらか調整可能である。また、ストッパ55の支持支点となる前板60の上端側には断面円形状の棒材69が溶接されており、ストッパ55の破損を防止するようになっている。
フレーム側ブラケット56の中板62及び側板64は、断面円形状の規制部材70を回転可能に支持している。この規制部材70は、その先端部が屈曲されてL字状に形成されている。前板60には、規制部材70の先端部と係合可能な切欠き71が形成されている。そして、上述の図9で示すように、規制部材70の先端部を切欠き71に係合させれば、ストッパ55の横移動を規制するようになっている。一方、規制部材70を後板61側に回転させれば、ストッパ55が容易に着脱可能となる。
フロア側ブラケット42の本体72は、フロア部材32のブラケット取付板45に取付けられ、キャブ34の底枠部のうちフロア部材32からはみ出した部分を支持する機能を有している。このブラケット本体72は、大別して、固定板73、床板延長部74、及び操作装置取付板延長部75で構成されている。固定板73には、2つの貫通孔76が形成されている。そして、上述の図8並びに後述の図17及び図18で示すように、フロア部材32のブラケット取付板45に形成された貫通孔(図示せず)とフロア側ブラケット42の固定板73の貫通孔76にボルト77を挿通し、ボルト77の先端側にナット78を螺合することにより、フロア側ブラケット42の固定板73がフロア部材32のブラケット取付板45に固定される。
フロア側ブラケット42の床板延長部74は、フロア部材32の床板43を延長する部分であり、操作装置取付板延長部75は、フロア部材32の操作装置取付板44を延長する部分である。床板延長部74及び操作装置取付板延長部75は、それらの強度を高めるため、リブ構造をなしている。また、床板延長部74及び操作装置取付板延長部75には、2つの貫通孔(図示せず)が形成され、それらの下側には2つのナット79が溶接されている。そして、後述の図17及び図18で示すように、キャブ34の底枠部に形成された貫通孔(図示せず)とフロア側ブラケット42の本体72の貫通孔にボルト80を挿通しつつ、ナット79にボルト80を螺合することにより、キャブ34の底枠部がフロア側ブラケット42の本体72に固定される。
また、フロア側ブラケット42は、固定板73から横方向に延在する横板81と、横板81からフロア部材32の下面に向かって延在する縦板82と、横板81及び縦板82に接合されたL字状の曲げ板83とを有している。横板81は、フロア部材32の下面より下側に離間されており、ストッパ55の上端部を挿通する位置決め穴84を有している。曲げ板83は、フロア部材32の下面より下側に離間されており、ストッパ55の上端部を着脱可能に受ける窪み部85を形成している。
なお、縦板82の後側(図15及び16中左側)には断面円形状の棒材86が溶接されており、周囲の部品の破損を防止するようになっている。また、フロア部材32の下面に当接する可能性がある縦板82先端側(図15中上側)には、ゴム部材87が取付けられている。
次に、本実施形態の作用効果について、図17及び図18を用いて説明する。図17は、本実施形態におけるフロア部材32の下面に取付けられた部品とともにフロア側ブラケット42を表す図である。図18は、フロア側ブラケット42の周辺の部品を表す斜視図である。
図17で示すように、フロア部材32の下面には、走行用操作装置の油圧パイロット弁88A、オフセット用操作装置の油圧パイロット弁88B、及びオプション用操作装置の油圧パイロット弁88Cが取付けられ、パイロット弁88A,88B,88Cにそれぞれ接続された油圧ホース89A,89B,89Cも取付けられている。さらに、運転室ユニット15内の電子機器に接続されたハーネス90が取付けられている。
ここで、本体72だけを有するフロア側ブラケットを設けた場合にて、ストッパ55の取付作業を想定すると、油圧ホース89A〜89Cやハーネス90等を避けるようにストッパ55の上端部を配置しなければならず、手間がかかる。したがって、ストッパ55の取付作業が容易でない。
これに対し、本実施形態では、本体72だけでなく位置決め穴84及び窪み部85を有するフロア側ブラケット42を設けることにより、ストッパ55の取付作業を容易に行うことができる。具体的な手順としては、まず、ストッパ55の上端部をフロア側ブラケット42の位置決め穴84に挿通して窪み部85に差し込み、その後、ストッパ55の下端部をフレーム側ブラケット56に差し込み、規制部材を回転させてその先端部を切欠きに係合させればよい。フロア側ブラケット42の窪み部85は、フロア部材32の下面より下側に離間されているので、フロア部材32の下面に取付けられた部品とストッパ55の上端部との干渉を容易に防止することができる。別の言い方をすれば、フロア側ブラケット42の窪み部85の上側に、ハーネス90のスペースを確保することができる。
なお、万一、傾転機構52が運転室ユニット15のチルトアップ状態を保持できなくなって、運転室ユニット15が落下しようとした場合には、ストッパ55の上端部とフロア側ブラケット42の窪み部85(言い換えれば、曲げ板83)が当接し、これに伴い横板81が撓んで縦板82の先端側のゴム部材87とフロア部材32の下面が当接する(図19参照)。そのため、縦板82の先端側のゴム部材87は、ハーネス90等を避けるように配置しておけばよい。
以上のように、本実施形態においては、運転室ユニット15のフロア部材32の下面に取付けられた部品とストッパ55の上端部との干渉を防止しつつ、ストッパ55の取付作業を容易に行うことができる。
また、本実施形態においては、フロア側ブラケット42は、ストッパ55の上端部を着脱可能に受ける機能とキャブ34の底枠部のうちフロア部材32からはみ出した部分を支持する機能を有している。そのため、各機能を有するフロア側ブラケットを別々に設けた場合と比べ、部品点数を削減することができる。また、ストッパ55の上端部を受ける構造の強度を高めることができる。
本発明の第2の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態において、上記第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
図19は、本実施形態におけるキャノピ仕様の油圧ショベルの構造を表す側面図であり、図20は、上面図である。図21は、本実施形態における運転室ユニットの要部構造を表す斜視図である。図22は、本実施形態におけるフロア部材及びスカートカバーの構造を表す斜視図(但し、便宜上、フロア側ブラケットを図示せず)である。図23は、本実施形態における運転室ユニットのチルトアップ状態を表すとともに傾転機構の構造を表す側面図(但し、便宜上、ストッパ機構を図示せず)である。
本実施形態の油圧ショベルは、上述したキャブタイプの運転室ユニット15に代えて、キャノピタイプの運転室ユニット15Aを備えている。
運転室ユニット15Aは、フロア部材32と、フロア部材32上に設けられた運転席33(図19参照)と、運転席33の右側及び上側を覆うキャノピ91とを備えている。また、ブーム用油圧シリンダ10の駆動及び作業具用油圧シリンダ13の駆動を指示する十字操作式の作業用操作装置(図示せず)と、アーム用油圧シリンダ12の駆動及び旋回用油圧モータの駆動を指示する十字操作式の作業用操作装置92(図19参照)と、オフセット用油圧シリンダ11の駆動を指示するオフセット用操作装置(図示せず)と、オプション用油圧アクチュエータの駆動を指示するオプション用操作装置(図示せず)と、走行用油圧モータの駆動を指示する走行用操作装置93(図19参照)なども備えている。
キャノピ91は、前側支柱94及び後側支柱95と、前側支柱94の上部と後側支柱95の上部の間で接続されたU字状の梁96と、梁96の支持を補助する補助支柱97と、前側支柱94、後側支柱95、及び梁96の間に設けられ、運転席33の右側及び上側を覆う保護壁98と、前側支柱94の下部に接続された保護バー99とを有している。
前側支柱94及び保護バー99の下側には前側固定部100が設けられ、この前側固定部100がフロア部材32の前側建屋取付板46にボルトを介して固定される。後側支柱95及び補助支柱97の下側には後側固定部101が設けられ、この後側固定部101がフロア部材32の後側建屋取付板48にボルトを介して固定される。
キャノピ仕様の運転室ユニット15Aでは、フロア部材32の床板43の左側にスカートカバー102が取付けられる。そのため、フロア部材32のブラケット取付板45には、スカートカバー102を支持する機能を有するフロア側ブラケット103が取付けられる。
フロア部材32の前側建屋取付板46は、ヒンジ機構51を介して旋回フレーム14の前側支持部材30に上下方向に回動可能に連結されている。これにより、フロア部材32(ひいては、運転室ユニット15A)は、前側を支点として傾転可能(チルトアップ・チルトダウン可能)としている。また、フロア部材32の傾転ブラケット49と旋回フレーム14の後側支持部材の間には、傾転機構52が接続されている。そして、作業者が傾転機構52のねじ軸54に工具を連結し、この工具を用いてねじ軸54を回転させて、移動部材をねじ軸54の軸方向に移動させる。これにより、運転室ユニット15Aを任意の角度でチルトアップさせるとともに、その状態を保持可能としている。
上述した傾転機構52は、運転室ユニット15Aのチルトアップ状態を保持可能としている。しかし、万一、運転室ユニット15Aのチルトアップ状態を保持できなくなって、運転室ユニット15Aが落下する可能性も考慮しなければならない。そのため、運転室ユニット15Aと旋回フレーム14の間にストッパ機構を設けている。
本実施形態のストッパ機構は、パイプ状のストッパ55と、旋回フレーム14の左側支持板31に取付けられたフレーム側ブラケット56と、運転室ユニット15Aのフロア部材32のブラケット取付板45に取付けられた上記のフロア側ブラケット103とで構成されている。すなわち、上記第1の実施形態のフロア側ブラケット42に代えて、フロア側ブラケット103を備えている。フロア側ブラケット103は、上述したスカートカバー102を支持する機能に加えて、ストッパ55の上端部を着脱可能に受ける機能を有している。フロア側ブラケット103の詳細構造を、図24〜図26を用いて説明する。
図24は、フロア側ブラケット103の詳細構造を表す斜視図である。図25は、図24中矢印XXV方向から見たフロア側ブラケット103の側面図であり、図26は、図24中矢印XXVI方向から見たフロア側ブラケット103の下面図である。
フロア側ブラケット103の本体104は、フロア部材32のブラケット取付板45に取付けられ、スカートカバー102を支持する機能を有している。このブラケット本体104は、大別して、固定板105、上側支持部106、及び下側支持部107で構成されている。上側支持部106及び下側支持部107は、スカートカバー102を支持する部分である。
フロア側ブラケット103の固定板105には、2つの貫通孔108が形成されている。そして、図示しないものの、フロア部材32のブラケット取付板45に形成された貫通孔とフロア側ブラケット102の固定板105の貫通孔108にボルトを挿通し、ボルトの先端側にナットを螺合することにより、フロア側ブラケット103の固定板105がフロア部材32のブラケット取付板45に固定される。
また、フロア側ブラケット103は、上記第1の実施形態のフロア側ブラケット42と同様、固定板105から横方向に延在する横板81と、横板81からフロア部材32の下面に向かって延在する縦板82と、横板81及び縦板82に接合されたL字状の曲げ板83とを有している。横板81は、フロア部材32の下面より下側に離間されており、ストッパ55の上端部を挿通する位置決め穴84を有している。曲げ板83は、フロア部材32の下面より下側に離間されており、ストッパ55の上端部を着脱可能に受ける窪み部85を形成している。
なお、縦板82の後側(図25及び図26中左側)には断面円形状の棒材86が溶接されており、周囲の部品の破損を防止するようになっている。また、フロア部材32の下面に当接する可能性がある縦板82先端側(図25中上側)には、ゴム部材87が取付けられている。
以上のように構成された本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様、運転室ユニット15Aのフロア部材32の下面に取付けられた部品とストッパ55の上端部との干渉を防止しつつ、ストッパ55の取付作業を容易に行うことができる。
また、本実施形態においては、フロア側ブラケット103は、ストッパ55の上端部を着脱可能に受ける機能とスカートカバー102を支持する機能を有している。そのため、各機能を有するフロア側ブラケットを別々に設けた場合と比べ、部品点数を削減することができる。また、ストッパ55の上端部を受ける構造の強度を高めることができる。
なお、上記第1の実施形態のフロア側ブラケット42は、ストッパ55の上端部を着脱可能に受ける機能とキャブ34の底枠部のうちフロア部材32からはみ出した部分を支持する機能を有する場合を例にとり、上記第2の実施形態のフロア側ブラケット103は、ストッパ55の上端部を着脱可能に受ける機能とスカートカバー102を支持する機能を有する場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で変形が可能である。すなわち、部品点数が増加するものの、各機能を有するフロア側ブラケットを別々に設けてもよい。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、フロア側ブラケット42,103は、窪み部85及び位置決め穴84を有する場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で変形が可能である。すなわち、窪み部だけでもストッパ55の上端部の位置決めがある程度行えることから、窪み部を有するものの位置決め穴を有しないような構造としてもよい。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、パイプ状(中空構造)のストッパ55を用いた場合を例にとって説明したが、これに代えて、棒状(中実構造)のストッパを用いてもよい。
以上においては、本発明の適用対象の一例として、超小旋回型のミニショベルを例にとって説明したが、これに限られず、他の建設機械に適用してもよいことは言うまでもない。