JP6253591B2 - 抗がん剤、及び併用抗がん剤 - Google Patents
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Description
このような状況下、より有用な新たな抗がん剤の探索が行われており、その速やかな提供が強く求められている。
<1> エラジタンニンを含有することを特徴とする抗がん剤である。
<2> 前記<1>に記載の抗がん剤と、アントラサイクリン類を含有する抗がん剤とを併用することを特徴とする併用抗がん剤である。
<3> がんを予防又は治療するための方法であって、個体に、前記<1>に記載の抗がん剤、及び前記<2>に記載の併用抗がん剤の少なくともいずれかを投与することを特徴とする方法である。
本発明の抗がん剤(以下、「エラジタンニン含有抗がん剤」と称することがある)は、エラジタンニンを少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
前記エラジタンニンは、植物界に広く存在し、強い抗酸化作用を有することが知られている物質である。
前記エラジタンニンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも分子内に1つのヘキサヒドロキシジフェノイル基(下記「式I」参照)を有することが好ましい。前記少なくとも分子内に1つのヘキサヒドロキシジフェノイル基を有するエラジタンニンは、加水分解されるとエラグ酸が生成される。
これらの中でも、ゲラニイン、カスアリクチン、オイゲニイン、テリマグランジンI、1,3−ジ−O−ガロイル−4,6−O−ヘキサヒドロキシジフェノイルグルコース、ストリクチニンが好ましく、ゲラニイン、オイゲニインがより好ましい。
前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩などが挙げられる。
前記酸付加塩の具体例としては、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩などの有機酸塩が挙げられる。
前記金属塩の具体例としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩などが挙げられる。
前記アンモニウム塩の具体例としては、アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などが挙げられる。
前記有機アミン付加塩の具体例としては、モルホリン付加塩、ピペリジン付加塩などが挙げられる。
前記アミノ酸付加塩の具体例としては、グリシン付加塩、フェニルアラニン付加塩、アスパラギン酸付加塩、グルタミン酸付加塩、リジン付加塩などが挙げられる。
前記植物の一部は、民間薬や香辛料として利用されているので、これらから抽出することもできる。前記民間薬や香辛料として利用されている植物としては、例えば、フウロソウ属に属するゲンノショウコ、アカメガシワ属に属するアカメガシワ、フトモモ属に属するチョウジなどが挙げられる。これらの中でも、ゲンノショウコが好ましい。
例えば、前記植物抽出物の抽出原料は、原料である植物の果実、種子、葉、茎、根、根茎などを、適当な時期に採取した後、そのまま、又は空気乾燥などの乾燥に付すことにより、調製することができる。
前記抽出原料からエラジタンニンを抽出する方法としては、例えば、前記抽出原料を粉砕若しくは細切した後、抽出溶媒を用いて抽出する方法が挙げられる。
前記抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、アルコール類、ケトン類、エステル類、酸を添加した水などが挙げられる。
前記アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。
前記ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
前記エステル類の具体例としては、酢酸メチル、酢酸エチルなどが挙げられる。
前記酸を添加した水の具体例としては、クエン酸水、酢酸水、酒石酸水などが挙げられる。
前記抽出溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記抽出の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0℃〜100℃が挙げられる。
前記抽出の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1時間〜10日間程度が挙げられる。
前記抽出溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾燥原料あたり、1倍質量〜30倍質量とすることが挙げられる。
前記抽出操作としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、攪拌、浸漬放置などが挙げられる。
前記抽出操作の回数は、1回であってもよいし、複数回繰り返してもよい。
前記エラジタンニンを精製する原料としては、例えば、上記抽出操作で得られた粗抽出液から不溶性残渣を濾過若しくは遠心分離により取り除いた抽出液、植物の搾汁液や樹液などが挙げられる。
前記二相溶媒分配法の具体例としては、前記エラジタンニンを精製する原料から油溶性成分や色素をクロロホルム、エチルエーテル、n−ヘキサン、石油エーテル等により抽出除去する方法、前記エラジタンニンを精製する原料から酢酸エチル、n−ブタノール、メチルエチルケトン等の溶媒と水との分配により、溶媒相へエラジタンニンを回収する方法などが挙げられる。
前記カラムクロマトグラフィー法の具体例としては、担体として順相系シリカゲル、逆相系シリカゲル、ダイヤイオンHP−20、セパビーズSP−207などを用いる吸着カラムクロマトグラフィー法、担体としてセファデックスLH−20などを用いるゲル濾過法などが挙げられる。
前記分取高速液体クロマトグラフィー法の具体例としては、オクタデシルシリカなどを用いる逆相系のカラムを用いる方法、シリカゲルなどを用いる順相系のカラムを用いる方法などがあげられる。
上記精製方法により、塩類等水溶性のイオン性物質、糖類、多糖類等の非イオン性物質、油分、色素等が前記エラジタンニンを精製する原料から除去され、精製されたエラジタンニンを得ることができる。
前記エラジタンニン含有抗がん剤における前記その他の成分としては、特に制限はなく、例えば、薬理学的に許容され得る担体の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、添加剤、補助剤、水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記エラジタンニン含有抗がん剤の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固形剤、半固形剤、液剤などが挙げられる。
前記固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内用剤として用いられる場合、例えば、錠剤、チュアブル錠、発泡錠、口腔内崩壊錠、トローチ剤、ドロップ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、ドライシロップ剤、浸剤などが挙げられる。
前記固形剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、坐剤、パップ剤、プラスター剤などが挙げられる。
前記半固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内用剤として用いられる場合、例えば、舐剤、チューインガム剤、ホイップ剤、ゼリー剤などが挙げられる。
前記半固形剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ムース剤、インヘラー剤、ナザールジェル剤などが挙げられる。
前記液剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内用剤として用いられる場合、例えば、シロップ剤、ドリンク剤、懸濁剤、酒精剤などが挙げられる。
前記液剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、液剤、点眼剤、エアゾール剤、噴霧剤などが挙げられる。
前記エラジタンニン含有抗がん剤の投与方法、投与量、投与時期、及び投与対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記投与方法としては、例えば、局所投与法、経腸投与法、非経口投与法などが挙げられる。
前記投与量としては、例えば、投与対象個体の年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬や薬剤の投与の有無など、様々な要因を考慮して適宜選択することができる。
前記投与対象となる動物種としては、例えば、ヒト、サル、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、トリなどが挙げられるが、これらの中でもヒトに好適に用いることができる。
本発明の併用抗がん剤は、前記エラジタンニン含有抗がん剤と、アントラサイクリン類を含有する抗がん剤(以下、「アントラサイクリン類含有抗がん剤」と称することがある)とを少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
前記エラジタンニン含有抗がん剤の詳細としては、前記した本発明の抗がん剤の項目に記載したとおりである。
前記アントラサイクリン類含有抗がん剤は、アントラサイクリン類を少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
前記アントラサイクリン類は、7,8,9,10−テトラヒドロ−5,12−テトラセンキノン(7,8,9,10−tetrahydro−5,12−tetracenequinone)を母核とする配糖体であり、様々ながんに対して抗腫瘍効果を示すことが知られている物質が含まれる。
前記アントラサイクリン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、ミトキサントロンが好ましく、ドキソルビシンがより好ましい。前記アントラサイクリン類は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アントラサイクリン類は、塩であってもよい。
前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸塩などが挙げられる。
前記アントラサイクリン類は、化学合成により得られたものであってもよいし、微生物の培養液から精製したものであってもよい。また、前記アントラサイクリン類は、市販品を用いることもできる。
前記アントラサイクリン類含有抗がん剤における前記アントラサイクリン類の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記アントラサイクリン類含有抗がん剤は、アントラサイクリン類そのものであってもよい。
前記アントラサイクリン類含有抗がん剤における前記その他の成分としては、特に制限はなく、例えば、薬理学的に許容され得る担体の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、添加剤、補助剤、水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記添加剤、補助剤としては、前記したエラジタンニン含有抗がん剤のその他の成分の項目に記載したものと同様のものが挙げられる。
前記アントラサイクリン類含有抗がん剤における前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記併用抗がん剤の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記したエラジタンニン含有抗がん剤の剤型の項目に記載したものと同様のものが挙げられる。
前記エラジタンニン含有抗がん剤と、前記アントラサイクリン類含有抗がん剤とは、同一の剤型であってもよいし、異なる剤型であってもよい。
前記併用抗がん剤の投与方法、投与量、投与時期、及び投与対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記したエラジタンニン含有抗がん剤の剤型の項目に記載したものと同様のものが挙げられる。
前記併用抗がん剤では、前記エラジタンニン含有抗がん剤と、前記アントラサイクリン類含有抗がん剤とを別々の剤型として投与してもよいし、両者を1つの製剤中に含む単剤として投与してもよい。
前記エラジタンニン含有抗がん剤と、前記アントラサイクリン類含有抗がん剤とを別々の剤型とする場合、両者は同時に投与してもよいし、時間を置いて別々に投与してもよい。
前記エラジタンニン含有抗がん剤と、前記アントラサイクリン類含有抗がん剤とを時間を置いて別々に投与する場合の投与順序としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記エラジタンニン含有抗がん剤、及び前記アントラサイクリン類含有抗がん剤の投与経路としては、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記エラジタンニン含有抗がん剤、及び前記併用抗がん剤は、がんを患う個体に投与することにより、がん細胞の増殖を効果的に抑制し、がんを予防又は治療することができる。したがって、本発明は、個体に、前記エラジタンニン含有抗がん剤、及び前記併用抗がん剤の少なくともいずれかを投与することを特徴とする、がんの予防又は治療方法にも関する。
対象とする前記がんとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、骨肉腫、肺がんに好適に利用可能である。
エラジタンニンによる各種がん細胞株の増殖抑制活性を以下のようにして測定した。
下記がん細胞株を、10液量%FBS(シグマアルドリッチ社製)を含むDMEM培地(日水製薬株式会社製)を用いて、1ウェルに5×103細胞/100μLで96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2の雰囲気下で24時間培養して細胞を完全にプレートに接着させた。
ここに、下記エラジタンニンを、終濃度が、100μg/mL、50μg/mL、25μg/mL、12.5μg/mL、6.25μg/mL、3.13μg/mL、1.56μg/mL、0.78μg/mLとなるように添加し、3日間、37℃、5%CO2雰囲気下で培養した。
また、比較対照として、がん細胞を接着させた96ウェルプレートにおいて、エラジタンニンを添加せずに3日間、37℃、5%CO2雰囲気下で培養した。
3日間培養後、MTT法を用いて細胞増殖を測定した。前記MTT法は、MTT溶液(MTT(3−(4,5−dimethylthiazol−2−yl)−2,5−diphenyltetrazolium bromide)を5mg/mLの濃度で含有するPBS溶液)10μLを各ウェルに加え4時間培養し、産生されたフォルマザン産物を、20%SDS溶液100μLを各ウェルに添加して溶解し、570nmの吸光度をラボシステムズ マルチスキャンMS(DSファーマバイオメディカル株式会社製)で測定することにより行った。
前記エラジタンニンを添加した系の吸光度を「A」とし、前記比較対照の系の吸光度を「B」として、下記式(1)により、細胞増殖阻害率(%)を算出した。
細胞増殖阻害率(%)={(B−A)/B}×100 ・・・ 式(1)
次に、前記細胞増殖阻害率より、細胞の増殖を50%抑制する濃度(IC50値)を判定した。結果を表1に示す。
<がん細胞株>
・ ヒト骨肉腫 SJSA−1細胞(ATCCより入手)
・ ヒト肺がん NCI−H460細胞(ATCCより入手)
<エラジタンニン>
・ ゲラニイン(Chengdu Biopurify Phytochemicals社製)
・ カスアリクチン(長良サイエンス株式会社製)
・ オイゲニイン(長良サイエンス株式会社製)
・ テリマグランジンI(長良サイエンス株式会社製)
・ 1,3−ジ−O−ガロイル−4,6−O−ヘキサヒドロキシジフェノイルグルコース(長良サイエンス株式会社製)
・ ストリクチニン(長良サイエンス株式会社製)
エラジタンニンとしてゲラニイン(Chengdu Biopurify Phytochemicals社製)を用い、以下のようにして抗腫瘍活性を調べた。
下記がん細胞株を1×107個/100μLになるようにDMEM培地を含む50体積%のマトリゲル(ベックトン・ディッキンソン社製)で調製し、この100μLを体重約18gの雌のBALB/c/nu/nuマウス(ヌードマウス)の皮下に移植した。
前記移植後1週間後から、ゲラニインを週に2回(3日又は4日おき)、マウスの尾静脈に投与した。ゲラニインは、5%DMSO及び0.5%Tween80が入った生理食塩水に溶解させ、投与液量として、ゲラニインが、12.5mg/kgとなるように調製した。
また、比較対照として、前記移植後1週間後から、5%DMSO及び0.5%Tween80が入った生理食塩水(Saline)を週に2回(3日又は4日おき)、マウスの尾静脈に投与した。
なお、試験に用いたマウスの数は、がん細胞株として、ヒト骨肉腫 SJSA−1細胞を用いた試験では一群10匹とし、ヒト肺がん NCI−H460細胞を用いた試験では一群5匹とした。
前記ゲラニインによる抗腫瘍効果の評価は、細胞移植後の腫瘍の増殖状況を観察して行った。即ち、腫瘍の長径と短径をノギスで計測し、下記式(2)から腫瘍体積を測定し、その平均及び標準誤差を求め、比較対照群に対するゲラニイン投与群の効果を判定した。結果を図1及び図2に示す。
腫瘍体積=長径×(短径)2÷2 ・・・ 式(2)
<がん細胞株>
・ ヒト骨肉腫 SJSA−1細胞(ATCCより入手)
・ ヒト肺がん NCI−H460細胞(ATCCより入手)
図1及び図2中、「*」は有意差0.05%以下を示し、「**」は有意差0.01%以下を示し、「***」は有意差0.001%以下を示し、「●」は生理食塩水(Saline)を投与した群の結果を示し、「○」はゲラニイン投与群の結果を示す。
図1及び図2の結果から、ヒト骨肉腫 SJSA−1細胞を移植したマウスにおける腫瘍体積、及びヒト肺がん NCI−H460細胞を移植したマウスにおける腫瘍体積は、ゲラニイン投与群では、比較対照群に対して有意に小さく、エラジタンニンであるゲラニインが、抗がん作用を有することが判明した。
エラジタンニンとしてオイゲニイン(長良サイエンス株式会社製)を用い、以下のようにして抗腫瘍活性を調べた。
がん細胞株であるヒト骨肉腫 SJSA−1細胞(ATCCより入手)を1×107個/100μLになるようにDMEM培地を含む50体積%のマトリゲル(ベックトン・ディッキンソン社製)で調製し、この100μLを体重約18gの雌のBALB/c/nu/nuマウス(ヌードマウス)の皮下に移植した。
前記移植後1週間後から、オイゲニインを週に2回(3日又は4日おき)、マウスの尾静脈に投与した。オイゲニインは、5%DMSO及び0.5%Tween80が入った生理食塩水に溶解させ、投与液量として、オイゲニインが、12.5mg/kg、6.25mg/kg、又は3.13mg/kgとなるように調製した。
また、比較対照として、前記移植後1週間後から、5%DMSO及び0.5%Tween80が入った生理食塩水(Saline)を週に2回(3日又は4日おき)、マウスの尾静脈に投与した。
なお、試験に用いたマウスの数は、一群7匹とした。
前記オイゲニインによる抗腫瘍効果の評価は、前記試験例2−1と同様にして行った。結果を図3に示す。
図3中、「*」は有意差0.05%以下を示し、「**」は有意差0.01%以下を示し、「●」は生理食塩水(Saline)を投与した群の結果を示し、「○」はオイゲニインの投与量を12.5mg/kgとした群の結果を示し、「△」はオイゲニインの投与量を6.25mg/kgとした群の結果を示し、「□」はオイゲニインの投与量を3.13mg/kgとした群の結果を示す。
図3の結果から、ヒト骨肉腫 SJSA−1細胞を移植したマウスにおける腫瘍体積は、オイゲニイン投与群では、比較対照群に対して有意に小さく、エラジタンニンであるオイゲニインが、抗がん作用を有することが判明した。
エラジタンニンとして、以下のようにして調製したゲラニインを含有するゲンノショウコ抽出物を用い、以下のようにして抗腫瘍活性を調べた。
ゲンノショウコ(株式会社栃本天海堂製)500gに対して、3Lのエタノールを加えて24時間静置後、ろ過し、ろ液を乾固させたものをゲンノショウコ抽出物とした。
−ゲンノショウコ抽出物中のゲラニイン含量の測定−
前記ゲンノショウコ抽出物をHPLCで分析した。
カラム : Nucrosil C18(直径4.6mm×250mm)(ジーエルサイエンス株式会社製)
検出波長 : 220nm
流速 : 0.5mL/分間
移動相 A液 : 0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)
移動相 B液 : 100%アセトニトリル
グラジエント条件 : (A液100%、B液0%、0分間)→(A液70%、B液30%、50分間)→(A液0%、B液100%、70分間)で行った。
前記HPLCで分析したゲラニインのピーク面積を「A」とし、すべてのピーク面積を合計した値を「B」として、下記式(3)により、ゲラニインの含有量(質量%)を算出した。その結果、前記ゲンノショウコ抽出物中に、ゲラニインは8.5質量%含まれていた。
ゲラニイン含有量(質量%)=A/B×100 ・・・ 式(3)
がん細胞株であるヒト骨肉腫 SJSA−1細胞(ATCCより入手)を5×106個/100μLになるようにDMEM培地を含む50体積%のマトリゲル(ベックトン・ディッキンソン社製)で調製し、この100μLを体重約18gの雌のBALB/c/nu/nuマウス(ヌードマウス)の皮下に移植した。
前記移植後1週間後から、ゲンノショウコ抽出物を週に2回(3日又は4日おき)、マウスの尾静脈に投与した。ゲンノショウコ抽出物は、5%DMSO及び0.5%Tween80が入った生理食塩水に溶解させ、投与液量として、ゲンノショウコ抽出物が、125mg/kg(ゲラニインは、10.6mg/kg)、62.5mg/kg(ゲラニインは、5.3mg/kg)、又は31.3mg/kg(ゲラニインは、2.7mg/kg)となるように調製した。
また、比較対照として、前記移植後1週間後から、5%DMSO及び0.5%Tween80が入った生理食塩水(Saline)を週に2回(3日又は4日おき)、マウスの尾静脈に投与した。
なお、試験に用いたマウスの数は、一群7匹とした。
前記ゲンノショウコ抽出物による抗腫瘍効果の評価は、前記試験例2−1と同様にして行った。結果を図4に示す。
図4中、「**」は有意差0.01%以下を示し、「***」は有意差0.001%以下を示し、「●」は生理食塩水(Saline)を投与した群の結果を示し、「○」はゲンノショウコ抽出物の投与量を125mg/kgとした群の結果を示し、「△」はゲンノショウコ抽出物の投与量を62.5mg/kgとした群の結果を示し、「□」はゲンノショウコ抽出物の投与量を31.3mg/kgとした群の結果を示す。
図4の結果から、ヒト骨肉腫 SJSA−1細胞を移植したマウスにおける腫瘍体積は、ゲンノショウコ抽出物投与群では、比較対照群に対して有意に小さく、エラジタンニンであるゲラニインを含有するゲンノショウコ抽出物が、抗がん作用を有することが判明した。
エラジタンニンと、既存の抗がん剤であるアントラサイクリン類含有抗がん剤とを併用した場合の抗腫瘍活性を以下のようにして調べた。
前記エラジタンニンは、ゲラニイン(Chengdu Biopurify Phytochemicals社製)を用いた。前記アントラサイクリン類含有抗がん剤は、ドキソルビシン塩酸塩溶液(協和発酵キリン株式会社製)を用いた。
がん細胞株であるヒト骨髄腫SJSA−1細胞(ATCCより入手)を5×106個/100μLになるようにDMEM培地を含む50体積%のマトリゲル(ベックトン・ディッキンソン社製)で調製し、この100μLを体重約18gの雌のBALB/c/nu/nuマウス(ヌードマウス)の皮下に移植した。
前記移植の翌日から、(1)ゲラニイン、(2)ドキソルビシン塩酸塩溶液、又は(3)ゲラニイン及びドキソルビシン塩酸塩の混合溶液を週に2回(3日又は4日おき)、マウスの尾静脈に投与した。
(1)ゲラニインは、5%DMSO及び0.5%Tween80が入った生理食塩水にゲラニインを溶解させ、投与液量として、ゲラニインが、12.5mg/kgとなるように調製した。(2)ドキソルビシン塩酸塩溶液は、生理食塩水にドキソルビシン塩酸塩を溶解させ、投与液量として、ドキソルビシン塩酸塩が、2.5mg/kgとなるように調製した。(3)ゲラニイン及びドキソルビシン塩酸塩の混合溶液は、それぞれ溶液を、投与液量として、ゲラニインが12.5mg/kg、ドキソルビシン塩酸塩が2.5mg/kgとなるように調製した。
また、比較対照として、前記移植後1週間後から、5%DMSO及び0.5%Tween80が入った生理食塩水(Saline)を週に2回(3日又は4日おき)マウスの尾静脈に投与した。
なお、試験に用いたマウスの数は、一群5匹とした。
前記(1)ゲラニイン、(2)ドキソルビシン塩酸塩溶液、又は(3)ゲラニイン及びドキソルビシン塩酸塩の混合溶液による抗腫瘍効果の評価は、前記試験例2−1と同様にして行った。結果を図5に示す。
図5中、「*」は有意差0.05%以下を示し、「**」は有意差0.01%以下を示し、「***」は有意差0.001%以下を示し、「●」は生理食塩水(Saline)を投与した群の結果を示し、「□」は(1)ゲラニイン(Geraniin 12.5mg/kg)を投与した群の結果を示し、「△」は(2)ドキソルビシン塩酸塩溶液(Doxorubicin 2.5mg/kg)を投与した群の結果を示し、「◇」は(3)ゲラニイン及びドキソルビシン塩酸塩の混合溶液(Geraniin 12.5mg/kg+Doxorubicin 2.5mg/kg)を投与した群の結果を示す。
図5の結果から、ヒト骨肉腫 SJSA−1細胞を移植したマウスにおける腫瘍体積は、(3)ゲラニイン及びドキソルビシン塩酸塩の混合溶液を投与した群では、(1)ゲラニインを投与した群、及び(2)ドキソルビシン塩酸塩溶液を投与した群に対して有意に小さく、エラジタンニンであるゲラニインと、アントラサイクリン類含有抗がん剤であるドキソルビシン塩酸塩とを併用することにより、顕著な抗腫瘍活性を示すことが判明した。
<1> エラジタンニンを含有することを特徴とする抗がん剤である。
<2> エラジタンニンが、ゲラニイン、カスアリクチン、オイゲニイン、テリマグランジンI、1,3−ジ−O−ガロイル−4,6−O−ヘキサヒドロキシジフェノイルグルコース、及びストリクチニンから選択される少なくとも1種である前記<1>に記載の抗がん剤である。
<3> エラジタンニンが、ゲラニイン、及びオイゲニインの少なくともいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載の抗がん剤である。
<4> エラジタンニンが、ゲンノショウコ抽出物に含まれる前記<1>から<3>のいずれかに記載の抗がん剤である。
<5> がんが、骨肉腫、及び肺がんのいずれかである前記<1>から<4>のいずれかに記載の抗がん剤である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の抗がん剤と、アントラサイクリン類を含有する抗がん剤とを併用することを特徴とする併用抗がん剤である。
<7> アントラサイクリン類が、ドキソルビシンである前記<6>に記載の併用抗がん剤である。
<8> がんが、骨肉腫、及び肺がんのいずれかである前記<6>から<7>のいずれかに記載の併用抗がん剤である。
<9> がんを予防又は治療するための方法であって、個体に、前記<1>から<5>のいずれかに記載の抗がん剤、及び前記<6>から<8>のいずれかに記載の併用抗がん剤の少なくともいずれかを投与することを特徴とする方法である。
Claims (3)
- 骨肉腫の腫瘍体積を減少させるために用いられる抗がん剤であって、
ゲラニインを含有することを特徴とする抗がん剤。 - ゲラニインを含有する抗がん剤と、ドキソルビシンを含有する抗がん剤とを含むことを特徴とする併用抗がん剤組成物。
- ゲラニインを含有する抗がん剤と、ドキソルビシンを含有する抗がん剤とを併用することを特徴とする併用抗がん剤であって、前記併用抗がん剤が多剤である併用抗がん剤。
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