JP6252202B2 - 口腔内塗布用固形スティック製剤 - Google Patents
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しかし、口腔内での使用に適する水溶性基剤を用いてスティック製剤を調製すると、十分な成形性が得られず、比較的高温の保存条件下で溶解し形状を保持できなくなり、デザインが崩れたり、輸送時にトラブルが生じる問題や、口腔内に塗布時に形状が崩れたり折れてスティック形状を維持できず、連続使用できなくなるという問題があった。また一方、成形性を高めると口腔内に滑らかに塗布することができなくなり、口腔内使用に適さなくなるという問題が生じた。
また更に、薬効成分等の油溶性薬効成分(D)を配合すると、上記効果が優れると共に(D)成分由来の効果を有効に付与することができる。
〔1〕
水溶性基剤として組成中に含まれるポリエチレングリコールの平均分子量が1,500〜10,000であり、平均分子量2,600〜25,000のポリエチレングリコール(A)を30〜80質量%、平均分子量190〜630のポリエチレングリコール(B)を10〜50質量%、及びグリセリン(C)を5〜40質量%含有し、水の含有量が0〜5質量%であることを特徴とする口腔内塗布用固形スティック製剤。
〔2〕
(A)成分のポリエチレングリコールとして、ポリエチレングリコール6000を(A)成分全体に対して50〜100質量%含有する〔1〕に記載の口腔内塗布用固形スティック製剤。
〔3〕
(B)成分のポリエチレングリコールとしてポリエチレングリコール400を含有する〔1〕又は〔2〕に記載の口腔内塗布用固形スティック製剤。
〔4〕
(A)成分/(B)成分が質量比として1〜5である〔1〕、〔2〕又は〔3〕に記載の口腔内塗布用固形スティック製剤。
〔5〕
更に、油溶性薬効成分(D)を含有する〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の口腔内塗布用固形スティック製剤。
〔6〕
円柱状又は四角柱状であり、長さが20〜100mm、かつ両端部の面積がそれぞれ7〜100mm2である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の口腔内塗布用固形スティック製剤。
〔7〕
歯面又は歯肉への塗布用である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の口腔内塗布用固形スティック製剤。
組成中に含まれるポリエチレングリコールの平均分子量を上記範囲内にすると共に本発明の効果を与えるには、ポリエチレングリコール(A)を適切量含有することが重要である。
これらのポリエチレングリコールは、例えば三洋化成工業(株)から入手することができる市販品を使用でき、平均分子量が上記範囲内のものを使用できる。
ポリエチレングリコールの市販品は、商品によっては例えばポリエチレングリコール#4000等のように、ポリエチレングリコールと数値の間に#がつく場合がある。
更にこの場合、(A)成分のポリエチレングリコール6000と、(B)成分のポリエチレングリコール400との含有割合は、ポリエチレングリコール6000/ポリエチレングリコール400が質量比として0.5〜5、特に1〜5、さらには2〜3、とりわけ2.5〜3.0であることが好ましく、この範囲内であると、本発明の効果がさらに優れる。
(C)成分のグリセリンを配合する場合、その配合量は、組成全体の5〜40%が好ましく、より好ましくは10〜30%、さらに好ましくは15〜25%である。5%以上配合することが、滑らかな塗り心地かつ良好な味を与えるには好適であり、配合量が40%以下であることが、成形性の低下を防ぐには好適である。
油溶性薬効成分としては、口腔用製剤に通常配合される各種薬効成分等を配合できる。具体的には、イソプロピルメチルフェノール等の非イオン性殺菌剤、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等のカチオン性殺菌剤、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸等のビタミン類等が挙げられる。
なお、上記油溶性薬効成分は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量配合できるが、組成全体の10%以下が好ましく、より好ましくは0.01〜1%である。
スティック製剤は、口腔内、特に歯面や歯肉に直接塗布することができ、塗布後に唾液によって溶解可能な固形状のものであれば、その形状は特に制限されず、使用目的等に応じて円柱状、四角柱状などの形状に調製できるが、両端部の面積がそれぞれ7〜100mm2、特に7〜30mm2であり、長さ(高さ)が20〜100mm、特に30〜80mmのものが、携帯し易く、口腔内使用に適することから望ましい。なお、円柱状の場合は、両端部がそれぞれ直径3〜10mm、特に3〜5mmの円形であることが好ましい。
また、スティック製剤は、携帯し易い適宜な形態、形状のプラスチック容器に、押し出し可能に収容することが好ましい。適用時には収容容器から塗布可能な適量を押し出し口腔内に使用することができる。具体的には口紅、リップクリーム等と同様の形態に調製できる。
表1〜3に示す組成の口腔内用固形スティック製剤を下記方法で調製した。得られた製剤を試験製剤として下記評価を行った。結果を表に併記する。
表に示す組成中、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセリン、サッカリンナトリウム、水を予め加熱融解し混合して冷却し、固化する直前で、その他の成分を添加、混合した。この混合物を内径4mm、長さ70mmの円筒状のモールドに流し込んで室温まで冷却し、固化させた。得られたスティック(直径4mm、長さ70mm)をモールドから取り出し、プラスチック製円筒容器に充填した。なお、比較例の製剤は、上記方法に準じて調製した。これを試験製剤として使用した。
試験製剤を、アプリケーターを用い、被験者の歯面及び歯肉に押しつけ滑らせながら3回往復させて塗布し、塗布した際に滑らかに所定部位になじませることができるかを評価した。「非常に良い」を4点、「良い」を3点、「やや良い」を2点、「悪い」を1点として、10名の被験者の平均点から以下の基準で使用時の滑らかさを評価した。◎、○〜◎、○のものを使用時に滑らかに所定部位になじませることができるものであると判断した。
◎ :3.5点以上
○〜◎:3.0点以上3.5点未満
○ :2.5点以上3.0点未満
△〜○:2.0点以上2.5点未満
△ :1.5点以上2.0点未満
× :1.0点以上1.5点未満
試験製剤を、アプリケーターを用い、被験者の歯面及び歯肉に押しつけ滑らせながら3回往復させて塗布し、塗布して使用時の形状変化について以下の基準で評価し、成形性を評価した。◎、○のものを適度な硬さで成形性がよいものであると判断した。
◎:使用時に強く適用部位に押し当ててもスティック形状が崩れない。
○:使用時にスティック形状が崩れない。
△:使用時にスティック形状が崩れることがある。
×:モールドから取り出す際にスティック形状が崩れ、使用できない。
試験製剤を試験管に入れ、室温で一晩静置後、恒温槽内に入れ昇温し、製剤が溶解してスティック形状が崩れる温度を目視にて測定した。以下の基準で高温安定性を評価した。◎、○〜◎、○のものを高温安定性がよいものであると判断した。
溶解温度
◎ :60℃以上
○〜◎:55℃以上60℃未満
○ :45℃以上55℃未満
△ :35℃以上45℃未満
× :35℃未満
(A)PEG4000
PEG−4000S、固体状(フレーク状)、平均分子量3400、
三洋化成工業(株)製
(A)PEG6000
PEG−6000S、固体状(フレーク状)、平均分子量8,300、
三洋化成工業(株)製
(A)PEG20000
PEG−20000、固体状(フレーク状)、平均分子量20,000、
三洋化成工業(株)製
(B)PEG400
PEG−400、液状、平均分子量400、三洋化成工業(株)製
(C)グリセリン
阪本薬品工業(株)製
(D)イソプロピルメチルフェノール(IPMP)
大阪化成(株)製
(D)塩化セチルピリジニウム(CPC)
和光純薬工業(株)製
PEG1000
PEG−1000、パラフィン状、平均分子量1,000、
三洋化成工業(株)製
PEG6000 60%
PEG400 20
グリセリン バランス
バニリルブチルエーテル 0.05
サッカリンナトリウム 0.2
香 料 1
合 計 100.0%
組成中に含まれるPEGの平均分子量;6,325
水分含量;0%
PEG4000 10%
PEG6000 50
PEG400 20
グリセリン バランス
酢酸トコフェロール 0.05
サッカリンナトリウム 0.2
香 料 1
合 計 100.0%
組成中に含まれるPEGの平均分子量;5,713
水分含量;0%
Claims (7)
- 水溶性基剤として組成中に含まれるポリエチレングリコールの平均分子量が1,500〜10,000であり、平均分子量2,600〜25,000のポリエチレングリコール(A)を30〜80質量%、平均分子量190〜630のポリエチレングリコール(B)を10〜50質量%、及びグリセリン(C)を5〜40質量%含有し、水の含有量が0〜5質量%であることを特徴とする口腔内塗布用固形スティック製剤。
- (A)成分のポリエチレングリコールとして、ポリエチレングリコール6000を(A)成分全体に対して50〜100質量%含有する請求項1記載の口腔内塗布用固形スティック製剤。
- (B)成分のポリエチレングリコールとしてポリエチレングリコール400を含有する請求項1又は2記載の口腔内塗布用固形スティック製剤。
- (A)成分/(B)成分が質量比として1〜5である請求項1、2又は3記載の口腔内塗布用固形スティック製剤。
- 更に、油溶性薬効成分(D)を含有する請求項1乃至4のいずれか1項記載の口腔内塗布用固形スティック製剤。
- 円柱状又は四角柱状であり、長さが20〜100mm、かつ両端部の面積がそれぞれ7〜100mm2である請求項1乃至5のいずれか1項記載の口腔内塗布用固形スティック製剤。
- 歯面又は歯肉への塗布用である請求項1乃至6のいずれか1項記載の口腔内塗布用固形スティック製剤。
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JP2014010000A JP6252202B2 (ja) | 2014-01-23 | 2014-01-23 | 口腔内塗布用固形スティック製剤 |
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