JP6251463B1 - 脆性亀裂伝播停止特性に優れる溶接構造体 - Google Patents

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Abstract

板厚50mm以上の被接合部材の表面に、板厚tdと板幅Wdとの比td/Wdが2未満のダブラー部材を重ね合わせて隅肉溶接により接合し、さらに隅肉溶接したダブラー部材表面に接合部材を溶接により接合して、溶接構造体とする。ダブラー部材の表面と被接合部材の表面とを重ね合わせた面に、継手断面でダブラー部材の板厚tdの95%以上の未溶着部を形成する。そして、隅肉溶接条件を調整して、隅肉溶接金属の破面遷移温度vTrs(℃)が、隅肉脚長Lに応じて、被接合部材の板厚tfとの関係で、L≧20mmの場合、vTrs≦−5L+65−1.5(tf−75)‥‥(1b)、L<20mmの場合、vTrs≦−35−1.5(tf−75)‥‥(1c)を満足するように、隅肉溶接金属の靭性を調整する。これにより、被接合部材あるいは接合部材から発生した脆性亀裂の伝播を隅肉溶接金属部で阻止することができるようになり、船体構造用として好適な、脆性亀裂伝播停止特性に優れる溶接構造体を提供することができる。

Description

本発明は、例えば、大型コンテナ船やバルクキャリアーなどの、厚鋼板を用いて溶接施工された溶接鋼構造物に係り、とくに厚鋼板母材あるいは溶接継手部から発生した脆性亀裂の伝播を、構造物の大規模破壊に至る前に停止させることができる、脆性亀裂伝播停止特性に優れる溶接構造体に関する。
コンテナ船やバルクキャリアーは、積載能力の向上や荷役効率の向上等のため、例えば、タンカー等とは異なり、船倉内に仕切り壁が少なく、船上部の開口部を大きくとった構造を有している。そのため、コンテナ船やバルクキャリアーでは、特に船体外板を、高強度化または厚肉化する必要がある。
また、コンテナ船は、近年、大型化し、6,000〜22,000TEUといった大型船が建造されるようになってきている。ここに、TEU(Twenty feet Equivalent Unit)とは、長さ20フィートのコンテナに換算した個数を表し、コンテナ船の積載能力の指標を示している。このような船の大型化に伴い、船体外板は、板厚:50mm以上で、降伏強さ:390N/mm2級以上の厚鋼板が使用される傾向にある。
船体外板となる鋼板は、近年、施工期間の短縮という観点から、例えばエレクトロガスアーク溶接等の大入熱溶接により突合せ溶接されることが多くなっている。このような大入熱溶接では、溶接熱影響部において大幅な靭性低下が生じやすく、溶接継手部からの脆性亀裂発生の一つの原因となっていた。
船体構造においては、従来から安全性という観点から、万一、脆性破壊が発生した場合でも、脆性亀裂の伝播を大規模破壊に至る前に停止させ、船体分離を防止することが必要であるとされている。
このような考え方を受けて、非特許文献1に、板厚50mm未満の造船用鋼板における溶接部の脆性亀裂伝播挙動についての実験的な検討結果が報告されている。
この非特許文献1では、溶接部で強制的に発生させた脆性亀裂の伝播経路、伝播挙動を実験的に調査し、溶接部の破壊靱性がある程度確保されていれば、溶接残留応力の影響により脆性亀裂は溶接部から母材側に逸れてしまうことが多いという結果が記載されているが、溶接部に沿って脆性亀裂が伝播した例も複数例確認されている。このことは、脆性破壊が溶接部に沿って直進伝播する可能性が無いとは言い切れないことを示唆している。
しかしながら、非特許文献1で適用した溶接と同等の溶接を板厚50mm未満の鋼板に適用して建造された船舶が何ら問題なく就航しているという多くの実績があることに加え、靱性が良好な鋼板母材(造船E級鋼など)は脆性亀裂を停止する能力を十分に保持しているとの認識から、とくに、造船用鋼材の溶接部の脆性亀裂伝播停止特性は船級規則等には要求されてこなかった。
しかし、近年の6,000TEUを超える大型コンテナ船では、使用する鋼板の板厚は50mmを超え、板厚増大による破壊靱性の低下に加え、溶接入熱がより大きな大入熱溶接が採用されてきたことから、溶接部の破壊靭性が一層低下する傾向にある。このような厚肉大入熱溶接継手では、溶接部から発生した脆性亀裂が、母材側に反れずに直進し、また骨材等の鋼板母材部でも停止しない可能性があることが示されている(例えば非特許文献2)。このため、板厚50mm以上の厚肉高強度鋼板を適用した船体構造では、その安全性確保が大きな問題となっている。
また、非特許文献2には、とくに発生した脆性亀裂の伝播停止のために、特別な脆性亀裂伝播停止特性を有する厚鋼板を必要とするとの指摘もある。
このような問題に対し、例えば特許文献1には、好ましくは板厚50mm以上の船殻外板である溶接構造体において、突合せ溶接部に交差するように骨材を配置し、隅肉溶接で接合した溶接構造体が記載されている。
この特許文献1に記載された技術では、骨材(補強材)として、表層部および裏層部で3mm以上の厚みにわたり0.5〜5μmの平均円相当粒径を有しさらに板厚面に平行な面で(100)結晶面のX線面強度比が1.5以上である、ミクロ組織を有する鋼板を用いるとしている。このようなミクロ組織を有する鋼板を補強材として隅肉溶接した構造とすることにより、突合せ溶接継手部に脆性亀裂が発生しても、補強材である骨材で脆性破壊を停止でき、溶接構造体が破壊するような致命的な損傷を防止できるとしている。
また、特許文献2には、接合部材(ウェブ)を被接合部材(フランジ)に隅肉溶接してなる隅肉溶接継手を備え、脆性亀裂伝播停止特性に優れた溶接構造体が記載されている。
この特許文献2に記載された溶接構造体では、隅肉溶接継手断面におけるウェブの、フランジとの突合せ面に未溶着部を残存させ、その未溶着部の幅と、隅肉溶接部の左右の脚長とウェブ板厚との和との比、Xが、被接合部材(フランジ)の脆性亀裂伝播停止性能Kcaと特別な関係式を満足するように、未溶着部の幅を調整する。これにより、被接合部材(フランジ)として板厚:50mm以上の厚物材を用いたとしても、接合部材(ウェブ)で発生した脆性亀裂の伝播を、隅肉溶接部のウェブとフランジの突合せ面で停止させ、被接合部材(フランジ)への脆性亀裂の伝播を阻止することができるとしている。
また、特許文献3〜5にも、接合部材(ウェブ)を被接合部材(フランジ)に隅肉溶接してなる隅肉溶接継手を備え、脆性亀裂伝播停止特性に優れた溶接構造体が記載されている。
特許文献3には、接合部材の端面を板厚50mm以上の被接合部材の表面に突合わせ、前記接合部材と前記被接合部材とを隅肉溶接により接合してなる溶接脚長もしくは溶着幅の少なくとも一方が16mm以下の隅肉溶接継手を備えた溶接構造体であって、隅肉溶接継手における接合部材の端面と被接合部材の表面とを突合わせた面に、隅肉溶接継手の断面で該接合部材の板厚twの95%以上の未溶着部を有し、さらに隅肉溶接継手における隅肉溶接金属のシャルピー衝撃試験破面遷移温度vTrsが、被接合部材の板厚tfとの関係で、vTrs≦−1.5tf+70を、および/または、隅肉溶接金属のシャルピー衝撃試験の試験温度:−20℃における吸収エネルギーvE-20(J)が、被接合部材の板厚tfとの関係で、vE-20≧2.75tf−105を満足する、隅肉溶接金属を有する溶接構造体が記載されている。
そして、このような溶接構造体であれば、被接合部材で発生した脆性亀裂を、大規模破壊に至る前に隅肉溶接金属で伝播阻止することができるとしている。
また、特許文献4には、接合部材の端面を板厚50mm以上の被接合部材の表面に突合わせ、前記接合部材と前記被接合部材とを隅肉溶接により接合してなる溶接脚長もしくは溶着幅の少なくとも一方が16mm以下の隅肉溶接継手を備えた溶接構造体であって、隅肉溶接継手における接合部材の端面と被接合部材の表面とを突合わせた面に、隅肉溶接継手の断面で該接合部材の板厚twの95%以上の未溶着部を有し、さらに隅肉溶接継手における隅肉溶接金属のシャルピー衝撃試験破面遷移温度vTrsが、被接合部材の板厚tfとの関係で、vTrs(℃)≦−1.5tf+90を、および/または、隅肉溶接金属のシャルピー衝撃試験の試験温度:−20℃における吸収エネルギーvE-20(J)が、被接合部材の板厚tfとの関係で、50≦tf(mm)≦53の場合にはvE-20≧5.75、tf(mm)>53の場合にはvE-20(J)≧2.75tf−140を満足する、隅肉溶接金属を有し、加えて接合部材を、脆性亀裂伝播停止靭性Kcaが共用温度で2500N/mm2/3以上である鋼板で構成する、溶接構造体が記載されている。
そして、このような溶接構造体とすることにより、脆性亀裂は、隅肉溶接部または接合部材の母材で伝播停止できるとしている。
また、特許文献5には、接合部材の端面を板厚50mm以上の被接合部材の表面に突合わせ、前記接合部材と前記被接合部材とを隅肉溶接により接合してなる溶接脚長もしくは溶着幅の少なくとも一方が16mm以下の隅肉溶接継手を備えた溶接構造体であって、接合部材および被接合部材をともに突合せ溶接継手部を有する部材とし、突合せ溶接継手部の溶接金属が、vTrsで−65℃以下、および/または、vE-20で140J以上の靭性を有し、隅肉溶接継手における接合部材の突合せ溶接継手部の溶接部端面を、被接合部材の突合せ溶接継手部の溶接部表面に突合わせ、突合わせた面に、隅肉溶接継手の突合せ溶接継手断面で該接合部材の板厚twの95%以上の未溶着部を有し、さらに隅肉溶接継手における隅肉溶接金属のシャルピー衝撃試験破面遷移温度vTrsが、被接合部材の板厚tfとの関係で、vTrs(℃)≦−1.5tf+90を、および/または、隅肉溶接金属のシャルピー衝撃試験の試験温度:−20℃における吸収エネルギーvE-20(J)が、被接合部材の板厚tfとの関係で、50≦tf(mm)≦53の場合には、vE-20≧5.75、tf(mm)>53の場合には、vE-20(J)≧2.75tf−140を満足する、隅肉溶接金属を有する、溶接構造体が記載されている。
そして、このような溶接構造体とすることにより、脆性亀裂は、隅肉溶接部または接合部材の母材で停止できるとしている。
また、このような溶接構造体とすることにより、被接合部材溶接部から発生した脆性亀裂、または接合部材溶接部から発生した脆性亀裂を、隅肉溶接部あるいは接合部材の溶接部または被接合部材の溶接部で伝播阻止することができるとしている。
特開2004−232052号公報 特開2007−326147号公報 特許5395985号公報 特許5365761号公報 特許5408396号公報
日本造船研究協会第147研究部会:「船体用高張力鋼板大入熱継手の脆性破壊強度評価に関する研究」、第87号(1978年2月),p.35〜53、日本造船研究協会 山口欣弥ら:「超大型コンテナ船の開発―新しい高強度極厚鋼板の実用―」、日本船舶海洋工学会誌、第3号(2005)、p.70〜76、平成17年11月 日本造船研究協会第169委員会報告(「船体構造の破壊管理制御設計に関する研究―報告書―」、(1979)、p.118〜136、日本造船研究協会第169委員会)
しかしながら、特許文献1に記載された技術で使用する、補強材である骨材は、所望の組織を形成させた鋼板とするために、複雑な工程を必要とし、生産性が低下し、安定して所望の組織を有する鋼板を確保することが難しいという問題があった。
また、特許文献2に記載された技術は、接合部材(以下、ウェブともいう)で発生した脆性亀裂を、構造の不連続性と、被接合部材(以下、フランジともいう)の脆性亀裂伝播停止性能との組合せで、阻止しようとする技術である。しかし、非特許文献3に示されるように、一般に、隅肉溶接継手の被接合部材(フランジ)で発生した脆性亀裂を接合部材(ウェブ)で伝播停止させることは、接合部材(ウェブ)で発生した脆性亀裂を被接合部材(フランジ)で伝播停止させることに比べて、難しいことが実験的に確認されている。
この理由は明確には解明されていないが、一因としてT継手部に亀裂が突入するときの破壊駆動力(応力拡大係数)が被接合部材(フランジ)に突入する場合よりも接合部材(ウェブ)に突入する場合のほうが大きくなることが考えられる。
このようなことから、特許文献2に記載された技術では、接合部材(ウェブ)の脆性亀裂伝播停止特性等が不十分であるため、被接合部材(フランジ)で発生した脆性亀裂を接合部材(ウェブ)で伝播停止させることができる十分な技術であるとは言えない。すなわち、特許文献2に記載された技術は、例えば、NK船級の「脆性亀裂アレスト設計指針」(2009年9月制定)で想定されている、大型コンテナ船の強力甲板(フランジに相当)で発生した脆性亀裂がハッチサイドコーミング(ウェブに相当)に伝播するようなケースに対して、十分な亀裂伝播停止特性を有しているとはいえない。
さらに、特許文献3〜5に記載された技術では、隅肉溶接脚長(もしくは溶着幅)を16mm以下に制限する必要があるため、隅肉溶接部強度確保の観点から接合部材(ウェブ)および被接合部材(フランジ)の適用最大板厚は80mmが限界であった。しかし、最近の大型コンテナ船では、部材の極厚化がさらに進み、板厚100mmの鋼材が適用されつつある。このような80mmを超える厚肉部材の場合には、特許文献3〜5に記載された技術を適用することがほぼ不可能という問題があった。
また、部材の板厚が80mm未満の場合であっても、現場での実施工においては、隅肉溶接部の脚長のバラツキが大きいため、隅肉溶接部の強度確保(隅肉脚長確保)と脆性亀裂阻止性能の確保(隅肉脚長16mm以下に制限)とを両立させることは、現場での施工管理上多大な労力を要すると共に、手直し等の追加コストがかさむという問題があった。
本発明は、上記した従来技術の問題を解決し、被接合部材(フランジ)に発生した脆性亀裂の接合部材(ウェブ)への伝播、および接合部材(ウェブ)に発生した脆性亀裂の接合部材(フランジ)への伝播のいずれをも、大規模破壊に至る前に、停止(阻止)することができる、脆性亀裂伝播停止特性に優れた溶接構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、脆性亀裂を停止させる隅肉溶接部の施工において、隅肉溶接部の脚長のバラツキを少なくする方策について、鋭意検討した。
その結果、基本溶接構造を従来の隅肉溶接構造から、接合部材と被接合部材との間に、ダブラー部材を配設したダブラー部材付き隅肉溶接構造とし、脆性亀裂の伝播は、ダブラー部材と被接合部材の隅肉溶接金属部で阻止することに想到した。この隅肉溶接構造であれば、脆性亀裂を停止させる隅肉溶接部の施工を工場内で溶接することができる。また、これにより、隅肉溶接部の脚長のばらつきを所定の範囲内とすることが容易となり、現場での実施工コストの大幅な低減に繋がることを知見した。
そして、これにより、施工管理が厳しい現場で行う、接合部材とダブラー部材との接合は、接合部材の端面をダブラー部材の表面に突き合わせて、施工管理の容易な溶接条件(部分溶込み、完全溶込み等)で施工できるようになることを知見した。
また、本発明者らは、さらに、ダブラー部材付き隅肉溶接構造における脆性亀裂伝播停止特性に及ぼす各種要因について鋭意検討した。
その結果、被接合部材(フランジ)から発生した脆性亀裂の伝播を阻止(停止)するには、被接合部材(フランジ)とダブラー部材との重ね合せ面に不連続部を確保すると共に、被接合部材(フランジ)の板厚tf(mm)が大きくなると脆性亀裂先端のエネルギー解放率(亀裂進展駆動力)が増加し、脆性亀裂が停止しにくくなることに鑑みて、被接合部材(フランジ)の板厚tf(mm)に関連した、隅肉溶接部の靭性向上が必須となることに想到した。
そしてさらに、隅肉溶接部の脚長もしくは溶着幅が長くなると、脆性亀裂の伝播が容易となるため、隅肉溶接脚長(もしくは溶着幅)に応じて隅肉溶接金属の靭性を確保する必要があることも知見した。
一方、接合部材(ウェブ)から発生した脆性亀裂の伝播の阻止(停止)については、被接合部材(フランジ)から発生した脆性亀裂の伝播の阻止(停止)よりも容易である場合が多いが、ダブラー部材の板厚tdがダブラー部材の板幅Wdに対して2倍以上と大きくなると、接合部材(ウェブ)から発生した脆性亀裂の伝播の阻止(停止)の方が、被接合部材(フランジ)から発生した脆性亀裂の伝播の阻止(停止)よりも厳しくなることも知見した。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。
すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)接合部材の端面が、ダブラー部材の表面に突き合わせ溶接接合され、かつ前記ダブラー部材が板厚50mm以上の被接合部材の表面に隅肉溶接接合された隅肉溶接継手を備えるダブラー部材付き隅肉溶接構造体であって、前記隅肉溶接継手における前記ダブラー部材の表面と前記被接合部材の表面とを重ね合わせた面に、前記隅肉溶接継手の断面でダブラー部材の板幅Wdの95%以上の未溶着部を有し、さらに前記ダブラー部材が、板厚tdと板幅Wdとの比td/Wdが下記(1a)式を満足し、さらに前記隅肉溶接継手の隅肉溶接金属を、該隅肉溶接金属のシャルピー衝撃試験破面遷移温度vTrs(℃)が、隅肉脚長もしくは溶着幅Lに対応して、前記被接合部材の板厚tfと隅肉脚長もしくは溶着幅Lとの関係で下記(1b)式または下記(1c)式を満足する隅肉溶接金属とする、脆性亀裂伝播停止特性に優れる溶接構造体。

td/Wd<2 ‥‥(1a)
L≧20mmの場合、 vTrs≦−5L+65−1.5(tf−75) ‥‥(1b)
L<20mmの場合、 vTrs≦−35−1.5(tf−75) ‥‥(1c)
ここで、vTrs:隅肉溶接金属のシャルピー衝撃試験破面遷移温度(℃)、
tf:被接合部材の板厚(mm)、
td:ダブラー部材の板厚(mm)、
Wd:ダブラー部材の板幅(mm)、
L:隅肉脚長もしくは溶着幅(mm)
(2)前記被接合部材が、前記接合部材に交差する向きに突合せ溶接継手部を有する前記(1)に記載の溶接構造体。
(3)前記接合部材が突合せ溶接継手部を有し、該接合部材の突合せ溶接継手部が前記被接合部材の突合せ溶接継手部と交差するように該接合部材を配設してなる前記(2)に記載の溶接構造体。
本発明によれば、従来困難とされた板厚が50mm以上、さらには板厚が80mmを超える厚鋼板からなる被接合部材(フランジ)に発生した脆性亀裂の接合部材(ウェブ)への伝播、および接合部材(ウェブ)に発生した脆性亀裂の被接合部材(フランジ)への伝播、の両方を、大規模破壊に至る前に、停止ないし阻止することができる。
従って、本発明によれば、鋼構造物、とくに、大型コンテナ船やバルクキャリアーなどにおける船体分離などの大規模な脆性破壊の危険性を回避することができ、船体構造の安全性を確保するうえで大きな効果をもたらし、産業上格段の効果を奏する。
また、本発明によれば、施工時に、ダブラー部材の寸法および隅肉溶接金属の靭性を調整することにより、特殊な鋼板を使用することなく、また安全性を損ねることなしに、容易に、脆性亀裂伝播停止特性に優れた溶接構造体を製造できるという効果もある。
隅肉溶接継手の断面構成を模式的に説明する説明図である。(a)は接合部材(ウェブ)1とダブラー部材10および被接合部材(フランジ)2が直交している場合、(b)は接合部材(ウェブ)1とダブラー部材10および被接合部材(フランジ)2が斜めに交差している場合を示す。 隅肉溶接継手の構成の他の一例を模式的に示す説明図である。(a)は外観図、(b)は断面図である。 隅肉溶接継手の構成の他の一例を模式的に示す説明図である。(a)は外観図、(b)は断面図である。 実施例で使用した、被接合部材(フランジ)から発生・伝播する脆性亀裂を対象とした超大型構造モデル試験体の形状を模式的に示す説明図である。(a)は被接合部材(フランジ)2が鋼板母材のみからなる場合、(b)は被接合部材(フランジ)2が突合せ溶接継手部を有する場合、(c)は接合部材(ウェブ)1および被接合部材(フランジ)2が突合せ溶接継手部を有する場合である。 実施例で使用した、接合部材(ウェブ)から発生・伝播する脆性亀裂を対象とした超大型構造モデル試験体の形状を模式的に示す説明図である。(a)は接合部材(ウェブ)1が鋼板母材のみからなる場合、(b)は接合部材(ウェブ)1が突合せ溶接継手部を有する場合、(c)は接合部材(ウェブ)1および被接合部材(フランジ)2が突合せ溶接継手部を有する場合である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の溶接構造体は、接合部材1の端面をダブラー部材10の表面に突き合わせ、接合部材1とダブラー部材10とを接合してなり、かつダブラー部材10を板厚50mm以上の被接合部材2の表面に重ね合わせ、隅肉溶接により接合されてなる隅肉溶接継手を備えた溶接構造体である。この溶接構造体は、溶接脚長3もしくは溶着幅13がLmmの隅肉溶接金属5を有する隅肉溶接継手を備え、該隅肉溶接継手のダブラー部材10と被接合部材(フランジ)2との重ね合わせ面には、構造不連続部となる、未溶着部4を存在させる。なお、本発明溶接構造体では、接合部材1の端面をダブラー部材10の表面に突き合わせた突合せ面には、構造不連続部を含めてもよい。
この状態を、継手断面で図1に示す。なお、図1(a)は、接合部材(ウェブ)1を被接合部材(フランジ)2に対して直立して取り付けた場合を示すが、本発明ではこれに限定されることはない。例えば、図1(b)に示すように、接合部材(ウェブ)1を被接合部材(フランジ)2に対して角度θだけ傾けて取り付けてもよい。
本発明の溶接構造体は、上記したように、ダブラー部材10と被接合部材(フランジ)2との重ね合わせ面で、構造が不連続となる、未溶着部4を有する。本発明の溶接構造体において、ダブラー部材10と被接合部材(フランジ)2との重ね合わせ面は、脆性亀裂の伝播面となるので、本発明では、重ね合わせ面に未溶着部4を存在させる。未溶着部4が存在することにより、接合部材(ウェブ)1あるいは被接合部材(フランジ)2を伝播してきた脆性亀裂先端のエネルギー解放率(亀裂進展駆動力)が低下し、重ね合わせ面において、脆性亀裂は停止しやすくなる。
そこで、本発明では、所定以上の靭性を保持する隅肉溶接金属5を形成し、脆性亀裂を、隅肉溶接金属5で停止させる。
なお、脆性亀裂は、欠陥の少ない鋼板母材部で発生することは極めて稀である。過去の脆性破壊事故の多くは、溶接部で発生している。そのため、例えば、被接合部材(フランジ)2を突合せ溶接継手22で接合された鋼板とし、接合部材(ウェブ)をその突合せ溶接継手の溶接部(突合せ溶接継手部)22と交差するように隅肉溶接した、図2に示すような隅肉溶接継手、あるいは接合部材(ウェブ)1および被接合部材(フランジ)2がともに、突合せ溶接継手部12、22を有する鋼板とし、被接合部材(フランジ)2の突合せ溶接継手部22と接合部材(ウェブ)1の突合せ溶接継手部12とが交差するようにした、図3に示すような隅肉溶接継手では、いずれも、突合せ溶接継手部12あるいは22から発生する脆性亀裂の伝播を阻止するためには、まず、構造の不連続部を存在させることが重要である。
そのため、本発明では隅肉溶接部における被接合部材とダブラー部材との重ね合せ面に未溶着部(構造の不連続部)4を存在させるのである。
なお、図2(a)は、隅肉溶接継手の外観を示し、図2(b)は突合せ溶接継手部22における断面形状を示す。また、図3は、接合部材(ウェブ)1および被接合部材(フランジ)2がともに、突合せ溶接継手部12、22を有する鋼板である場合で、被接合部材(フランジ)2の突合せ溶接継手部22と接合部材(ウェブ)1の突合せ溶接継手部12とが交差する隅肉溶接継手を示す。図3(a)は隅肉溶接継手の外観を、図3(b)は突合せ溶接継手部12、22における継手断面形状を示す。
なお、図2、図3では、突合せ溶接継手部22とウェブ1とが直交する場合を示したが、本発明ではこれに限定されない。斜めに交差させてもよいことは言うまでもない。
また、溶接構造体の製造方法はとくに限定する必要はなく、常用の製造方法がいずれも適用できる。例えば、フランジ用鋼板同士、ウェブ用鋼板同士を突合せ溶接し、得られた突合せ溶接継手をダブラー部材を介して隅肉溶接して溶接構造体を製造してもよい。また、突合せ溶接前の一組のウェブ用鋼板をフランジ表面のダブラー部材に仮付溶接しついでウェブ用鋼板同士を突合せ溶接し、得られた突合せ溶接継手をフランジに溶接して溶接構造体を製造してもよい。
本発明では、隅肉溶接継手断面における未溶着部4の寸法は、脆性亀裂の伝播抑制のため、ダブラー部材幅Wdの95%以上とする。未溶着部4の寸法(幅B)16が、ダブラー部材幅Wdの95%未満では、隅肉溶接金属における塑性変形が抑制され、隅肉溶接金属に突入した脆性亀裂の亀裂先端近傍が高応力となり、脆性亀裂を停止ないし阻止することが困難となる。このため、未溶着部4の寸法(幅B)16は、脆性亀裂の伝播抑制のため、ダブラー部材幅Wdの95%以上に限定した。なお、好ましくは96%以上100%以下である。
また、本発明では、ダブラー部材の板厚tdとダブラー部材の板幅Wdとの比、td/Wd、が次(1a)式
td/Wd<2 ‥‥(1a)
を満足するように、ダブラー部材の寸法を調整する。ダブラー部材の板厚tdとダブラー部材の板幅Wdが(1a)式を満足しない場合には、接合部材(ウェブ)から発生した脆性亀裂の伝播の停止ないし阻止の方が、被接合部材(フランジ)から発生した脆性亀裂の伝播の停止ないし阻止よりも厳しくなり、接合部材(ウェブ)および被接合部材(フランジ)から発生した脆性亀裂の伝播をともに、停止ないし阻止することができなくなる。
なお、td/Wdがあまりに小さくなると、ダブラー部材の縦方向剛性が低下する問題が生じるので、td/Wdの下限値は0.2とすることが好ましい。
さらに、本発明では、隅肉脚長もしくは溶着幅Lに対応して、被接合部材の板厚tfと隅肉脚長もしくは溶着幅Lとの関係で次(1b)式または次(1c)式
L≧20mmの場合、 vTrs≦−5L+65−1.5(tf−75) ‥‥(1b)
L<20mmの場合、 vTrs≦−35−1.5(tf−75) ‥‥(1c)
(ここで、vTrs:隅肉溶接金属のシャルピー衝撃試験破面遷移温度(℃)、tf:被接合部材の板厚(mm)、L:隅肉脚長もしくは溶着幅(mm))
を満足するように隅肉溶接金属の靭性を調整する。なお、Lは隅肉脚長、溶着幅のうち小さい方を用いる。
隅肉溶接金属の靭性が、被接合部材(フランジ)の板厚tf、隅肉脚長Lと関連して、上記した(1b)式または(1c)式を満足させることにより、被接合部材(フランジ)および接合部材(ウェブ)の板厚が50mm以上の溶接構造体について、所望の脆性亀裂伝播阻止性能を確保した溶接構造体とすることができる。隅肉溶接金属の靭性が、上記した(1b)式または(1c)式を満足しない場合には、隅肉溶接金属の靭性が不足して、被接合部材(フランジ)あるいは接合部材(ウェブ)で発生し伝播してきた脆性亀裂を隅肉溶接金属部で阻止することができない。
このように、ダブラー部材が上記した(1a)式を、隅肉溶接金属が、被接合部材(フランジ)の板厚tf、隅肉脚長(溶着幅)Lとの関係で、上記した(1b)式または(1c)式を満足する溶接構造体であれば、被接合部材(フランジ)で発生した脆性亀裂、および接合部材(ウェブ)で発生した脆性亀裂の伝播をともに、隅肉溶接金属で阻止することができる。
なお、本発明の溶接構造体は、上記した隅肉溶接継手を備えるものであり、例えば、船舶の船体外板をフランジとし、隔壁をウェブとする船体構造、あるいはデッキをフランジとし、ハッチをウェブとする船体構造などに適用可能である。
以下、実施例に基づき、本発明を詳細に説明する。
表1−1および表1−2に示す板厚の厚鋼板を接合部材(ウェブ)、ダブラー部材および被接合部材(フランジ)として用いて、図4(a)、(b)、(c)および図5(a)、(b)、(c)に示す形状の実構造サイズの大型溶接構造継手を作製した。図4(a)、(b)、(c)は、被接合部材(フランジ)から脆性亀裂が発生・伝播するケース、図5(a)、(b)、(c)は、接合部材(ウェブ)から脆性亀裂が発生・伝播するケースを想定したものである。なお、作製した隅肉溶接継手では、ダブラー部材10と被接合部材2との突合わせ面に、図1(a)に示すような未溶着部4を、未溶着部の比率Y(=(未溶着部の幅B/ダブラー部材の板幅Wd))を変化させて、存在させた。なお、接合部材(ウェブ)とダブラー部材の突合せ面には未溶着部は残留させなかった。
なお、図4のケースの被接合部材(フランジ)は、厚鋼板(母材のみ)(図4(a))または突合せ溶接継手を有する厚鋼板(図4(b))とし、接合部材(ウェブ)は、厚鋼板(母材のみ)(図4(a)、(b))、または突合せ溶接継手を有する厚鋼板(図4(c))とした。図5のケースの接合部材(ウェブ)も同様に、厚鋼板(母材のみ)(図5(a))または突合せ溶接継手を有する厚鋼板(図5(b))とし、被接合部材(フランジ)は、厚鋼板(母材のみ)(図5(a)、(b))、または突合せ溶接継手を有する厚鋼板(図5(c))とした。なお、突合せ溶接継手は、1パス大入熱エレクトロガスアーク溶接(1電極EGW、2電極EGW、SEGARC、2電極SEGARC)または多層CO2溶接により作製した。
なお、隅肉溶接継手は、溶接材料および溶接入熱、シールドガス等の溶接条件を変化させて、種々の靭性、種々の隅肉脚長もしくは溶着幅の隅肉溶接金属を有する隅肉溶接継手とした。隅肉脚長、溶着幅はいずれも両側の平均値である。なお、隅肉溶接金属の靭性は、隅肉溶接金属もしくは隅肉溶接と同じ条件で作製した突合せ溶接継手からシャルピー衝撃試験片(10mm厚)を採取し、JIS Z 2242の規定に準拠して破面遷移温度vTrs(℃)を求めた。
また、得られた大型隅肉溶接継手を用いて、図4および図5に示す超大型構造モデル試験体を作製し、脆性亀裂伝播停止試験を実施した。なお、図4の超大型構造モデル試験体は、ダブラー付き大型隅肉溶接継手9の被接合部材(フランジ)2の下方に仮付け溶接8で、被接合部材(フランジ)2と同じ板厚の鋼板を溶接した。また、図5の超大型構造モデル試験体は、ダブラー付き大型隅肉溶接継手9の接合部材(ウェブ)1の下方に仮付け溶接8で、接合部材(ウェブ)1と同じ板厚の鋼板を溶接した。
そして、機械ノッチ7の先端を、接合部材(ウェブ)1または被接合部材(フランジ)2の母材、突合せ溶接継手部12、22のBOND部または溶接金属WMとなるように加工した。
また、脆性亀裂伝播停止試験は、機械ノッチに打撃を与え脆性亀裂を発生させ、伝播した脆性亀裂が、隅肉溶接部で停止するか否かを調査した。
いずれの試験も、試験応力100〜283N/mm2、温度:−10℃の条件で実施した。試験応力100N/mm2は、船体に定常的に作用する応力の平均的な値であり、試験応力257N/mm2は、船体に適用されている降伏強度390N/mm2級鋼板の最大許容応力相当の値、試験応力283N/mm2は、船体に適用されている降伏強度460N/mm2級鋼板の最大許容応力相当の値である。温度−10℃は船舶の設計温度である。
得られた結果を表2−1および表2−2に示す。
Figure 0006251463
Figure 0006251463
Figure 0006251463
Figure 0006251463
表2−1および表2−2に示したとおり、本発明例では、脆性亀裂を被接合部材(フランジ)から伝播させた場合においても、あるいは、脆性亀裂を接合部材(フランジ)から伝播させた場合においても、いずれも、亀裂は、隅肉溶接部の隅肉溶接金属に突入して停止した。
一方、本発明の範囲を外れる比較例では、脆性亀裂を被接合部材(フランジ)から伝播させた場合において、または脆性亀裂を接合部材(フランジ)から伝播させた場合において、あるいは両方の場合において、脆性亀裂は隅肉溶接部で停止することなく伝播し、隅肉溶接金属で脆性亀裂の伝播を阻止することができなかった。
1 接合部材(ウェブ)
2 被接合部材(フランジ)
3 脚長
4 未溶着部
5 隅肉溶接金属
7 機械ノッチ
8 仮付け溶接
9 ダブラー部材付き大型隅肉溶接継手
10 ダブラー部材
12 ウェブ突合せ溶接継手部
13 溶着幅
16 未溶着幅(B)
22 フランジ突合せ溶接継手部
θ 交差角

Claims (3)

  1. 接合部材の端面が、ダブラー部材の表面に突き合わせ溶接接合され、かつ前記ダブラー部材が板厚50mm以上の被接合部材の表面に隅肉溶接接合された隅肉溶接継手を備えるダブラー部材付き隅肉溶接構造体であって、前記隅肉溶接継手における前記ダブラー部材の表面と前記被接合部材の表面とを重ね合わせた面に、前記隅肉溶接継手の断面でダブラー部材の板幅Wdの95%以上の未溶着部を有し、さらに前記ダブラー部材が、板厚tdと板幅Wdとの比td/Wdが下記(1a)式を満足し、さらに前記隅肉溶接継手の隅肉溶接金属を、該隅肉溶接金属のシャルピー衝撃試験破面遷移温度vTrs(℃)が、隅肉脚長もしくは溶着幅Lに対応して、前記被接合部材の板厚tfと隅肉脚長もしくは溶着幅Lとの関係で下記(1b)式または下記(1c)式を満足する隅肉溶接金属とする、脆性亀裂伝播停止特性に優れる溶接構造体。

    td/Wd<2 ‥‥(1a)
    L≧20mmの場合、 vTrs≦−5L+65−1.5(tf−75)
    ‥‥(1b)
    L<20mmの場合、 vTrs≦−35−1.5(tf−75) ‥‥(1c)
    ここで、vTrs:隅肉溶接金属のシャルピー衝撃試験破面遷移温度(℃)、
    tf:被接合部材の板厚(mm)、
    td:ダブラー部材の板厚(mm)、
    Wd:ダブラー部材の板幅(mm)、
    L:隅肉脚長もしくは溶着幅(mm)
  2. 前記被接合部材が、前記接合部材に交差する向きに突合せ溶接継手部を有する請求項1に記載の溶接構造体。
  3. 前記接合部材が突合せ溶接継手部を有し、該接合部材の突合せ溶接継手部が前記被接合部材の突合せ溶接継手部と交差するように該接合部材を配設してなる請求項2に記載の溶接構造体。
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