本発明の一実施形態に係る作業車両1の全体構造について、図1を用いて説明する。なお、本実施形態で示す作業車両1は、作業機の一例であるロータリ耕耘装置14を備える作業車両の一例であり、構成はこれに限定するものではなく、作業機を備える作業車両であればよい。作業機は、ロータリ耕耘装置14の他に、芝刈装置や、掘削装置であっても良い。1は作業車両で、機体の前後部に前輪2・2と後輪3・3とを備え、ミッションケース4の上部には油圧シリンダケース5を固着して設けている。油圧シリンダケース5内には、油圧シリンダ6が設けられており、油圧シリンダケース5の左右両側には油圧シリンダ6の伸縮により回動するリフトアーム7・7を配置している。また、図4及び図5に示すように、リフトアーム7・7の回動基部には、リフトアーム7・7の角度を検出して、後述する昇降制御装置50にリフトアーム7・7の回動量を伝達するフィードバックリンク45及びけん制ロッド46の一端が取り付けられている。
また、図1に示すように、トップリンク10、ロワーリンク11・11からなる3点リンク機構12の後端部には、作業機の一例であるロータリ耕耘装置14がリフトアーム7・7にて昇降自在に連結されている。したがって、油圧シリンダ6を伸縮させることによって、リフトアーム7・7に連結されるロータリ耕耘装置14が上昇又は下降制御されることになる。
ロータリ耕耘装置14について簡単に説明すると、ロータリ耕耘装置14は、図1から図3に示すように、耕耘爪を回動して耕耘する耕耘部34と、耕耘部34の上方を覆う耕耘カバー35と、耕耘カバー35の後部に設けられたリアカバー36と、を備える。リアカバー36は、リアカバー36の回動基部36bを中心として上下方向に回動する。また、リアカバーの後上面には、後述する昇降制御装置50にリアカバー36の回動量を伝達するリアカバーリンクロッド47の一端が取り付けられている。より詳細には、図2及び図3に示すように、リアカバーリンクロッド47の一端が、リアカバー36の後上面に固定された回動支持アーム36aに回動可能に固設されている。また、リアカバーリンクロッド47の他端は、耕耘カバー35に回動可能に固設された回動リンク部材49に回動可能に固設されている。
また、リアカバーリンクロッド47は、屈折部47aを設ける。屈折部47aは、二か所設けられており、リアカバー36が図2の位置にあるとき、側面視において、リアカバーリンクロッド47は、回動支持アーム36aから前上方に延び、屈折部47aにおいて屈折して前上方へ延び、屈折部47aにおいて屈折して前下方へ延びて、回動リンク部材49に連結されるものである。回動リンク部材49は、リアカバーリンクロッド側アーム49aとプッシュブルワイヤ側アーム49bとから構成されており、リアカバーリンクロッド側アーム49a及びプッシュブルワイヤ側アーム49bは同一の回動部49cに固設され、回動部49cを中心に相対位置を変えずに回動可能に構成されている。プッシュブルワイヤ側アーム49bには、プッシュブルワイヤ48の一端が固定されている。
次に、ロータリ耕耘装置14の昇降制御装置50について図4から図9を用いて説明する。昇降制御装置50は、ロータリ耕耘装置14の昇降を機械的に制御する装置であり、昇降制御バルブ51を用いてロータリ耕耘装置14を昇降制御して耕深を安定維持するよう構成したものである。昇降制御バルブ51は、油圧シリンダ6へ流入する油量を調節するための調節弁であり、昇降制御バルブ51を開閉することにより、油圧シリンダ6の伸縮量を調節し、リフトアーム7・7の回動量を調節するものである。
昇降制御バルブ51は、昇降制御バルブ51の開度を調整するスプール51aを備える。スプール51aは、前後方向へ摺動する摺動部材51bに連結されており、摺動部材51bの他端は、揺動軸51cの側面中途部に連結されている。揺動軸51cは、上下方向を長手方向とする円筒状の部材であり、前後方向へ移動可能に構成されている。また、揺動軸51cの上端には後述する第一の揺動リンク機構58が回動可能に軸支されており、揺動軸51cの下端には後述する第二の揺動リンク機構59が回動可能に軸支されている。
昇降制御装置50は、図9に示すように、第一のリンク機構52と、第二のリンク機構53と、スプール51a(図4参照)と、第一のフィードバック側リンク機構56と、第二のフィードバック側リンク機構57と、第一のリンク機構52とスプール51aとの間に設けられる第一の揺動リンク機構58と、第二のリンク機構53とスプール51aとの間に設けられる第二の揺動リンク機構59と、を備える。第一のリンク機構52は、操作側第一リンク部材61と、操作側第二リンク部材62と、を備える。第二のリンク機構53は、操作側第三リンク部材63と、操作側第四リンク部材64と、を備える。第一のフィードバック側リンク機構56は、フィードバック側第一リンク部材71を備える。第二のフィードバック側リンク機構57は、フィードバック側第二リンク部材72を備える。
第一のリンク機構52について説明する。第一のリンク機構52は、ポジションレバー41から昇降制御バルブ51の開度を調整するスプール51aへ連結する機構である。操作側第一リンク部材61は、ポジションレバー41と連結する第一駆動アーム61aと、第一当接アーム61bと、第一回動部61cと、を有する。第一駆動アーム61aは、操作者が操作するポジションレバー41と連結されており、第一回動部61cに固定されており、中心軸を中心として回動可能に構成されている。第一当接アーム61bは、第一駆動アーム61aに連動して回動することで第一被当接アーム62aに作用する部材であり、第一回動部61cに固定されており、中心軸を中心として回動可能に構成されている。第一回動部61cは、回動軸62cに嵌合された筒状の部材であり、回動軸62cを中心として回動可能に構成されている。第一駆動アーム61aを前方へ回動すると、第一当接アーム61bは後方へ回動する。ここで第一駆動アーム61aを前方へ回動する方向が、リフトアーム7・7を下降させる方向である。
操作側第二リンク部材62は、第一被当接アーム62aと、第一の揺動リンク機構58の操作側端部58aと当接する第二当接アーム62bと,回動軸62cと、を有する。第一被当接アーム62aは、回動軸62cに固定されており、中心軸を中心として回動可能に構成されている。第二当接アーム62bは、回動軸62cに固定されており、中心軸を中心として回動可能に構成されている。また、第二当接アーム62bの端部には突起が設けられており、突起は、第一の揺動リンク機構58の操作側端部58aと当接可能に構成されている。回動軸62cは、円柱状の部材であり、第一回動部61c、後述する第二回動部63c、及び第三回動部64eを回動可能に軸支する。
第二のリンク機構53について説明する。第二のリンク機構53は、オートレバー42から昇降制御バルブ51の開度を調整するスプール51aへ連結する機構である。操作側第三リンク部材63は、オートレバー42と連結する第二駆動アーム63aと、第三当接アーム63bと,第二回動部63cと、を有する。第二駆動アーム63aは、操作者が操作するオートレバー42と連結されており、第二回動部63cに固定されており、中心軸を中心として回動可能に構成されている。第三当接アーム63bは、第二駆動アーム63aに連動して回動することで後述する第二被当接アーム64aに作用する部材であり、第二回動部63cに固定されており、中心軸を中心として回動可能に構成されている。第二回動部63cは、回動軸62cに嵌合された筒状の部材であり、回動軸62cを中心として回動可能に構成されている。第二駆動アーム63aを前方へ回動すると第三当接アーム63bは後方へ回動する。ここで第二駆動アーム63aを前方へ回動する方向が、リフトアーム7・7を下降させる方向である。
操作側第四リンク部材64は、第二被当接アーム64aと、第四当接アーム64bと、第五当接アーム64cと、第一フィードバックアーム64dと、第三回動部64eと、を有する。第二被当接アーム64aは、第三回動部64eに固定されており、第三当接アーム63bと当接可能に構成されている。第二被当接アーム64aが、第三当接アーム63bと当接すると、第三当接アーム63bの動作と連動して回動するように構成されている。第二被当接アーム64aは付勢部材81により前方へ付勢されている。第四当接アーム64bは、第三回動部64eに固定されており、中心軸を中心として回動可能に構成されている。また、第四当接アーム64bの端部には突起が設けられており、突起は、第二の揺動リンク機構59の操作側端部59aと当接可能に構成されている。第五当接アーム64cは、第二被当接アーム64aと連続する部材である。第五当接アーム64cは、所定以上回動すると第一被当接アーム62aと当接可能に構成されている。第一フィードバックアーム64dは、第三回動部64eに固定されており、中心軸を中心として回動可能に構成されている。第一フィードバックアーム64dの先端は、けん制ロッド46に連結されている。
第三回動部64eは、回動軸62cに嵌合された筒状の部材であり、回動軸62cを中心として回動可能に構成されている。
第一のフィードバック側リンク機構56は、リフトアーム7・7の回動量をフィードバックして昇降制御バルブ51の開度を制御するための機械的な機構である。フィードバック側リンク第一部材71は、第一フィードバックアーム71aと、第一フィードバック側当接アーム71bと、回動軸71cと、を有する。第一フィードバックアーム71aは、回動軸71cに固定されており、中心軸を中心として回動可能に構成されている。また、第一フィードバックアーム71aの先端は、フィードバックリンク45に連結されている。第一フィードバック側当接アーム71bは、回動軸71cに固定されており、回動軸71cを中心として回動可能に構成されている。第一フィードバック側当接アーム71bの先端は、第一の揺動リンク機構58のフィードバック側端部58bと当接可能に構成されている。回動軸71cは、円柱状の部材であり、後述するフィードバック側回動部72cを回動可能に軸支する。
第二のフィードバック側リンク機構57は、リアカバー36の開放量をフィードバックして昇降制御バルブ51の開度を制御するための機械的な機構である。フィードバック側第二リンク部材72は、第二フィードバックアーム72aと、第二フィードバック側当接アーム72bと、フィードバック側回動部72cと、を有する。第二フィードバックアーム72aは、第二フィードバックアーム用リンクロッド75の端部と連結されている。第二フィードバックアーム用リンクロッド75の他端は、プッシュブルワイヤ48と図示せぬリンク機構を介して連結される。第二フィードバックアーム72aは、フィードバック側回動部72cに固定されており、中心軸を中心として回動可能に構成されている。第二フィードバック側当接アーム72bは、フィードバック側回動部72cに固定されており、中心軸を中心として回動可能に構成されている。第二フィードバック側当接アーム72bの先端は、第二の揺動リンク機構59のフィードバック側端部59bと当接可能に構成されている。フィードバック側回動部72cは、回動軸71cに嵌合された筒状の部材であり、回動軸71cを中心として回動可能に構成されている。
第一の揺動リンク機構58は、操作側端部58aと、フィードバック側端部58bと、揺動軸孔58cと、を備える。第二の揺動リンク機構は、操作側端部59aと、フィードバック側端部59bと、回動軸孔59cと、を備える。揺動軸51cは、第一の揺動リンク機構58及び第二の揺動リンク機構59を前後方向へ揺動可能に軸支する部材である。揺動軸51cの上下方向中途部側面には、摺動部材51bが固設されており、摺動部材51bが前後方向へ移動すると、スプール51aが連動して前後方向へ移動し、昇降制御バルブ51の開度を増減するものである。なお、本実施形態においては、スプール51aが後方へ移動した場合、昇降制御バルブ51が閉方向へ移動し、油圧シリンダ6へ流れる油量を減少させ、リフトアーム7・7を下降させる。
次に、ポジションレバー41を操作した時の昇降制御装置50の動きについて図10を用いて説明する。図10(a)に示すように、ポジションレバー41を操作すると、ポジションレバー41と連結した第一駆動アーム61aを介して、第一当接アーム61bが第一回動部61cを中心として回動する。ここで、図10(a)に示すように、第一駆動アーム61aを前方へ回動させると、第一当接アーム61bは後方へと回動する。図10(b)に示すように、第一当接アーム61bは、通常時において、第一被当接アーム62aと当接しており、第一当接アーム61bが後方へと回動すると、第一被当接アーム62aも後方へと回動する。これにより、第一被当接アーム62aを介して回動軸62cを中心として第二当接アーム62bが後方へ回動する。第二当接アーム62bは、通常時において、第一の揺動リンク機構58の操作側端部58aと当接する。図10(c)に示すように、操作側端部58aが、第二当接アーム62bによって、後方へ押された場合、揺動軸51cも後方へと移動するためスプール51aは後方へ移動する。これにより、昇降制御バルブ51を閉め、油圧シリンダ6へ流れる油量を減少させ、リフトアーム7・7を下降させる。
次に、操作側のオートレバー42を操作した時の耕深制御の動きについて図11を用いて説明する。オートレバー42による耕深制御を行う時には、原則として、ポジションレバー41は、リフトアーム7・7を最も下降させる位置(最下位置)に移動させておく。本実施形態においては、ポジションレバー41を最も前方へ回動させた位置が、最下位置である。図11(a)に示すように、オートレバー42を前方へ操作すると、オートレバー42と連結した第二駆動アーム63aを介して、第三当接アーム63bが第二回動部63cを中心として後方へ回動する。また、第二被当接アーム64aは、付勢部材81によって前方へ付勢されているため、第二駆動アーム63aと第二被当接アーム64aは通常時において常に当接している。第三当接アーム63bが後方へ回動すると、第二被当接アーム64aは、第三回動部64eを中心として後方へ回動する。これにより、第二被当接アーム64aを介して第三回動部64eを中心として第四当接アーム64bが後方へ回動する。
第四当接アーム64bは、通常時において、第二の揺動リンク機構59の操作側端部59aと当接する。第四当接アーム64bが後方へ移動した場合、操作側端部59aは後方へと移動する。これにより揺動軸51cも後方へと移動するためスプール51aは後方へ移動する。これにより、昇降制御バルブ51が閉方向へ移動し、油圧シリンダ6へ流れる油量を減少させ、リフトアーム7・7を下降させる。
第一のフィードバック側リンク機構56によるフィードバックが行われた際の昇降制御装置50の動きについて図12を用いて説明する。例えば、図12(a)に示すように、ロータリ耕耘装置14が下降することでリフトアーム7・7が下降した場合、リフトアーム7・7の回動部に固定されたフィードバックリンク45が前方向へ押される。これにより、フィードバックリンク45に連結された第一フィードバックアーム71aを介して、第一フィードバック側当接アーム71bが回動軸71cを中心として前方へ回動する。
図12(b)に示すように、第一フィードバック側当接アーム71bが前方へ回動すると、第一の揺動リンク機構58のフィードバック側端部58bも前方へ移動する。これにより、スプール51aは前方へ戻されるので、昇降制御バルブ51を開け、油圧シリンダ6へ流れる油量を増加させ、リフトアーム7・7を上昇させる。
次に、第二のフィードバック側リンク機構57によるフィードバックが行われた際の昇降制御装置50の動きについて図13及び図14を用いて説明する。例えば、図13(a)及び図1(b)に示すように、ロータリ耕耘装置14が地中に沈んだ場合に、リアカバー36の開放量が増加する(開放する)と、リアカバー36の回動支持アーム36aに固定されたリアカバーリンクロッド47が移動する。図14(a)及び(b)に示すように、リアカバーリンクロッド47が移動すると、リアカバーリンクロッド47の端部に連結されたリアカバーリンクロッド側アーム49aが回動部49cを中心として回動し、プッシュブルワイヤ側アーム49bが、リアカバーリンクロッド側アーム49aとの相対位置を変えずに回動する。そして、プッシュブルワイヤ48が引かれ、プッシュブルワイヤ48が引かれることにより、図示せぬリンク機構を介して第二フィードバックアーム用リンクロッド75を押し、第二フィードバックアーム72aが前方へ押される、そして、第二フィードバックアーム72aが前方へ押されると第二フィードバック側当接アーム72bがフィードバック側回動部72cを中心として回動する。
図13(b)に示すように、第二フィードバック側当接アーム72bが前方へ回動すると、第二の揺動リンク機構59のフィードバック側端部59bも前方へ移動する。これにより、スプール51aは前方へ戻されるので、昇降制御バルブ51を開け、油圧シリンダ6へ流れる油量を増加させ、リフトアーム7・7を上昇させる。
ここで、リアカバー36の開度(回転角度)とプッシュブルワイヤ48の移動量について図14を用いて説明する。プッシュブルワイヤ48の移動量が大きいと、第二フィードバックアーム用リンクロッド75の移動量も大きくなり、第二フィードバックアーム72aの移動量も大きくなる。図14(a)に示すように、リアカバー36が最下位置にある場合において、リアカバーリンクロッド47の一端(回動支持アーム36aと連結している側の端部)と他端(リアカバーリンクロッド側アーム49aと連結している端部)とを結ぶ直線上にリアカバー36の回動中心が配置されている。ここで、リアカバーリンクロッド47は、屈折部47aを設けているので、リアカバーリンクロッド47とリアカバー36とが接触することなく、リアカバーリンクロッド47の一端と他端と、リアカバー36の回動基部36b(回動中心)とが一直線上になるように構成することができる。
リアカバー36の回転角度が大きくなるに従い、プッシュブルワイヤ48の移動量の変化量が大きくなるように構成されている。すなわち、図15に示すように、プッシュブルワイヤ48の移動量とリアカバー36の開度との関係を表すグラフにおいて、リアカバー36の回転角度が大きくなるに従い、傾きが大となる曲線状になるように構成されるものである。
例えば、図14(b)に示すように、リアカバー36が最下位置から角度θ回転した場合には、回動リンク部材49の回転角度はΦ1となる。次に、図15(c)に示すように、図15(b)の位置からさらに角度θ回転した場合には、回動リンク部材49の回転角度はΦ2となる。ここでΦ1<Φ2である。回動リンク部材49の回転角度が大きくなるに従い、プッシュブルワイヤ48の移動量も大きくなる。これにより、リアカバー36の回転角度が大きくなるに従い、プッシュブルワイヤ48の移動量の変化量が大きくなるように構成されている。
また、図16(a)に示すように、ポジションレバー41を最下位置にした場合において、オートレバー42を所定量以上後方へ操作した場合には、第五当接アーム64cは、第一被当接アーム62aとも当接する。このように構成することにより、ポジションレバー41が、最下位置にある場合に、オートレバー42の操作位置によっては、フィードバックによる移動量を少なくすることが可能となる。例えば、耕耘時に前輪2・2がぬかるみにはまってしまい、機体の前半分が下降した場合には、図16(b)に示すように、機体の後方にあるロータリ耕耘装置14が上昇し、リアカバー36の開放量が減少する(遮閉する)。この場合、リアカバー36に固定されたプッシュブルワイヤ48が押され、図示せぬリンクを介して、フィードバックアーム用リンクロッド75が後方へ引かれる。フィードバックアーム用リンクロッド75に連結された第二フィードバックアーム72aを介して、第二フィードバック側当接アーム72bがフィードバック側回動部72cを中心として後方へ回動する。
図16(c)に示すように、第二フィードバック側当接アーム72bが後方へ回動すると、第二の揺動リンク機構59のフィードバック側端部59bも後方へ移動する。これにより、スプール51aは後方へ戻されるので、昇降制御バルブ51を閉め、油圧シリンダ6へ流れる油量を減少させ、リフトアーム7・7を下降させる。
そして、図17(a)に示すように、リフトアーム7・7が下降すると、リフトアーム7・7の回動部に固定されたフィードバックリンク45が前方向へ押される。これにより、フィードバックリンク45に連結された第一フィードバックアーム71aを介して、第一フィードバック側当接アーム71bが回動軸71cを中心として前方へ回動する。
図17(b)に示すように、第一フィードバック側当接アーム71bが前方へ回動すると、第一の揺動リンク機構58のフィードバック側端部58bも前方へ移動し、操作側端部58aは後方へ移動する。操作側端部58aと当接する第二当接アーム62bは後方へ押され、これに連動して、第二当接アーム62bも後方へと移動する。このように構成することにより、フィードバックによって操作側第二リンク部材62が操作側第一リンク部材61及び操作側第四リンク部材64側へ回動した場合において、操作側第二リンク部材62は、最下位置にある操作側第一リンク部材61よりも先に操作側第四リンク部材64と当接することができる。
しかし、オートレバー42の回動量が所定の位置よりも上昇側へ移動している場合には、図17(c)に示すように、操作側第二リンク部材62の第二当接アーム62bを、操作側第四リンク部材64の第五当接アーム64cで操作することになるため、図17(c)の点線で示すリフトアーム7・7が最も下降した位置まで下降するのを防止することができる。
このため、耕耘時にリフトアーム7・7が頻繁に移動するのを防止して、耕深を比較的一定に保つことができるのである。
また、図18及び図19に示すように、けん制ロッド46は、オートレバー42を上昇側に所定量以上操作した状態において、リフトアーム7・7が所定以下の高さとなるまで、昇降制御バルブ51を下降側に移動するように、第二のリンク機構53に作用するものである。本実施形態においては、図18(a)に示すように、オートレバー42の所定量とは、最上位置まで移動させたものである。このような状態で、図18(a)に示すように、ポジションレバー41を下降側へ操作した場合には、リフトアーム7・7が下降しようとするが、この際、図18(b)及び図18(c)に示すように、第二のフィードバック側リンク機構57が働き、リフトアーム7・7を上昇させるようにフィードバック制御する。
ここで、けん制ロッド46は、リフトアーム7・7が所定の高さ(回動角度が図19(a)の回動角度θ1)以下になるまで第一フィードバックアーム64dを前方へ押すことにより、図19(b)に示すように、第四当接アーム64bが後方へ移動し、操作側端部59aが後方へと移動する。これにより揺動軸51cも後方へと移動するためスプール51aは後方へ移動する。これにより、昇降制御バルブ51が閉方向へ移動し、油圧シリンダ6へ流れる油量を減少させ、リフトアーム7・7を下降させる。これにより、第二のフィードバック側リンク機構57の動きを抑制し、オートレバー42を上昇させた状態(最上位置まで移動させた状態)で、ポジションレバー41によるリフトアーム7・7の昇降制御をスムーズに行うことができる。
また、けん制ロッド46とリフトアーム7との間には、リフトアーム7の移動量が一定以上であればけん制ロッド46へ作用する遊び機構46aを設ける(図4及び図5参照)。遊び機構46aは、けん制ロッド46を長手方向に一定の長さ摺動可能に挿通する孔と、けん制ロッド46に設けられた摺動方向への移動を制限する他の部分よりも直径の大きな大径部とから構成されている。リフトアーム7が下降した場合であっても一定以下の移動量であれば、けん制ロッド46は移動せず、スプール51aが後方へ移動しない。そして、リフトアーム7が一定以上下降した場合にのみスプール51aを後方へ移動させ、リフトアーム7・7を下降させるものである。このように構成することにより、第二のフィードバック側リンク機構57によるリフトアーム7の上昇とけん制ロッド46によるリフトアーム7の下降とが、頻繁に入れ替わりリフトアーム7のがたつきが発生するのを防止することができる。
以上のように、昇降制御バルブ51を用いてロータリ耕耘装置14を昇降制御して、耕深を安定維持するよう構成した機械式の昇降制御装置50を備え、昇降制御装置50は、昇降制御バルブ51を切り替えてリフトアーム7・7を昇降するポジションレバー41と、ポジションレバー41を最下位置に操作した状態で、リアカバー36を昇降して自動耕深制御時の目標耕深を設定調節するオートレバー42と、を備え、ポジションレバー41から、昇降制御バルブ51の開度を調整するスプール51aへ連結する第一のリンク機構52と、オートレバー42から、スプール51aへ連結する第二のリンク機構53と、を有し、ポジションレバー41を下降側に所定量以上操作した状態において、オートレバー42は、第一のリンク機構52とも連携するものである。このように構成することにより、ポジションレバー41を下降側に操作した状態において、オートレバー42の操作でリフトアーム7・7昇降用の昇降制御バルブ51を切り替えることができるので、オートレバー42によってロータリ耕耘装置14の昇降を行うことができる。これにより、リフトアーム7・7の昇降によるフィードバックが頻繁に行われるのを防止することができる。
また、昇降制御装置50は、第一のリンク機構52とスプール51aとの間に設けられる第一の揺動リンク機構58と、第二のリンク機構53とスプール51aとの間に設けられる第二の揺動リンク機構59と、を備え、第一のリンク機構52は、ポジションレバー41に連動する操作側第一リンク部材61と、操作側第一リンク部材61と連動可能に構成され、第一の揺動リンク機構58の操作側端部58aと当接可能に構成される操作側第二リンク部材62と、を備え、第二のリンク機構53は、オートレバー42に連動する操作側第三リンク部材63と、操作側第三リンク部材63と連動可能に構成され、第二の揺動リンク機構59の操作側端部59aと当接可能に構成される操作側第四リンク部材64と、を備え、操作側第四リンク部材64は、操作側第一リンク部材61が所定量以上回動した状態において、操作側第二リンク部材62と当接可能となるものである。このように構成することにより、ポジションレバー41を下降側に操作した状態において、オートレバー42の操作でリフトアーム7・7昇降用の昇降制御バルブ51を機械的に切り替えることができる。