JP6250461B2 - ダンパーブレース - Google Patents

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本発明は、構造物に用いるダンパーブレースに軸力が生じた場合に、剪断力に変換して軸力を吸収する剪断パネルの変形を確認できるようにする技術に関する。
近年、鉄橋などの構造物には、地震のエネルギーを吸収することで構造物の耐震性を向上させるダンパーが用いられるようになった。構造物に用いられるダンパーは多種存在するが、橋梁などには構造的に筋交い形状をしたダンパーブレースが用いられるケースが多い。ダンパーブレースは通常時や震動レベルの低い段階では、一般材同様に降伏せず所定の安全率が確保されるように設計され、弾性部材として機能する。震動レベルが高くなった段階で、芯材が降伏して塑性変形を繰り返すことで地震エネルギーを吸収して振動を減衰させる。この結果、構造物に作用する荷重や変位を低減する効果を発揮する。
特許文献1には、鉄骨構造の耐震構造物及び耐震改修方法についての技術が開示されている。トラス鉄骨構造に設置された既存ブレースの端部側の両方又は一方の一部を切断又は切削して断面積を既存ブレースの一般部より縮小し、この断面積縮小部に局部座屈防止用補剛具を取り付ける。局部座屈防止用補剛具は、例えばH形のブレースに対してI形鋼とL形鋼を組み合わせてボルト締めする構成が例示されている。この様な構造を採用することで、場所の制約を受けることなく既存のブレースを改造して耐震性を付与することが可能となる。
特許文献2には、座屈拘束ブレース及びそれを用いた耐力フレームについての技術が開示されている。座屈拘束ブレースは、軸力を負担する長尺板状のブレース芯材と、ブレース芯材の両面から挟む様に溶接された第1の補剛材と第2の補剛材と、その周囲を覆う補剛材とを備えている。そして、第1の補剛材と第2の補剛材とは離間して設けられ、第1の補剛材の端部と第2の補剛材の端部がそれぞれ構造物に設けられたプレートに固定されている。この様な構造であるので、品質を低下させることなく安価に製造可能な座屈拘束ブレースを提供できる。
特開2003−213815号公報 特開2010−168865号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に示される構造のダンパーは、軸力降伏形であるために座屈拘束する機能を必要とする。この為、構造が複雑となる上にダンパーの主部材は外から観察がし難くなる。地震が発生してダンパーが機能した場合に、振動エネルギーを吸収するダンパーの主部材は、塑性変形して座屈あるいは降伏する。しかし、軸力降伏形であるが故にその変形は確認しづらく、加えて座屈拘束を行う部材でダンパーの主部材の周囲を固めるため、ダンパーの主部材の変形状態を確認するのは困難となる。また、構造の複雑化によってコストが高くなる点も問題である。
そこで、本発明はこのような課題を解決するために、ダンパーの主部材の変形を観察可能なダンパーブレースを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の一態様によるダンパーブレースは、以下のような特徴を有する。
(1)構造物に対して設置され、複数の剪断パネルを有して構成されるダンパー部材と直線上に伸びるブレースとを備え、前記構造物に生じる横揺れを抑えるために、前記ブレースから前記ダンパー部材に伝達された軸方向の力を前記剪断パネルが剪断変形することによって吸収するダンパーブレースにおいて、前記ブレースは第1ブレースと第2ブレースを含み、前記第1ブレースと前記第2ブレースは同軸上に、前記構造物に筋交い状に配置され、前記第1ブレースの一端部と前記第2ブレースの一端部とが向かい合って配置されると共に、前記ダンパー部材を介して連結され、前記第1ブレースの他端部と前記第2ブレースの他端部の少なくともどちらか一方が、前記構造物に連結され、前記ダンパー部材は、前記第1ブレースの一端部の外面に、第1の前記剪断パネルが接合され、前記第1の剪断パネルは前記軸方向に沿って放射線状に前記第1ブレースから突設され、前記第1の剪断パネルの外方端部が連結部材の一方と接合され、前記第2ブレースの一端部の外面に、第2の前記剪断パネルが接合され、前記第2の剪断パネルは前記軸方向に沿って放射線状に前記第2ブレースから突設され、前記第2の剪断パネルの外方端部が前記連結部材の他方と接合され、前記剪断パネルは、前記連結部材と前記第1ブレース又は前記第2ブレースの外周面との間に中央部の厚みが薄い薄肉部を有し、前記薄肉部の周囲に前記薄肉部より厚みのあるフランジ部を有すること、を特徴とする。
上記(1)に記載の態様により、棒状のダンパーブレースに軸力が働いた結果、剪断パネルに剪断力が生じる。この際に剪断パネルは軸方向に沿って突設され、第1剪断パネルと第2剪断パネルとが連結部材に接合されているので、ダンパーブレースから軸力を受けると剪断パネルには剪断力が働く。一方で、剪断パネルは中央部に厚みを薄く周囲にフランジ部を有するものを配置しており、この剪断パネルが剪断変形することによりダンパーブレースに働く軸力を吸収するダンパー効果を得ることができる。剪断パネルにはフランジ部が形成されていることで、剪断力は剪断パネルに均等に働くこととなる。また、フランジ部とブレースとが接合される構成となっているので、接合部に応力集中が発生することを抑制することができる。このため、このダンパーブレースによってダンパーの履歴を目視で確認できる。
(2)(1)に記載のダンパーブレースにおいて、前記第1ブレースの他端部と前記第2ブレースの他端部の少なくともどちらか一方に、前記ダンパー部材が接続され、前記ダンパー部材を介して第3ブレースの一端が連結され、前記第1ブレースと前記第3ブレースは同軸上に配置されていること、が好ましい。
上記(2)に記載の態様により、複数のダンパー部材を並列に配置することが可能となる。従来技術では、設計変位量を多くとるためにはダンパー部分を大きくするという手法が必要であったが、複数のダンパー部材を並列に配置できれば、変位量を増やすことが可能となる。このため、ダンパー部材の設計変位量を多くとることが可能となる。よって、設計自由度を向上させることに貢献する。
(3)構造物に対して設置され、複数の剪断パネルを有して構成されるダンパー部材と直線状に伸びるブレースとを備え、前記構造物に生じる横揺れを抑えるために、前記ブレースから前記ダンパー部材に伝達された軸方向の力を前記剪断パネルが剪断変形することによって吸収するダンパーブレースにおいて、前記ブレースの一端部に前記ダンパー部材が連結され、前記ダンパー部材は、前記ブレースの一端部の外面に、第1の前記剪断パネルが接合され、前記第1の剪断パネルは前記軸方向に沿って前記ブレースから放射線状に突設され、前記第1の剪断パネルの外方端部が連結部材の一方と接合され、第2の前記剪断パネルには前記構造物と接続する接続部が備えられ、前記第2の剪断パネルは前記軸方向に沿って放射線状に配置され、前記第2の剪断パネルの外方端部が前記連結部材の他方と接合され、前記剪断パネルは、前記連結部材と前記ブレースの外周面との間に中央部の厚みが薄い薄肉部を有し、前記薄肉部の周囲に前記薄肉部より厚みのあるフランジ部を有すること、を特徴とする。
上記(3)に示す態様により、(1)同様に、棒状のダンパーブレースに軸力が働いた結果、剪断パネルに均等に剪断力が働き、その履歴を剪断パネルの塑性変形として目視で確認することが可能となる。また、剪断パネルと接続部とを一体化することで、レイアウトの自由度を上げることが可能となる。
(4)(3)に記載のダンパーブレースにおいて、前記ブレースの他端部に、前記ダンパー部材が接続され、前記ダンパー部材を介して別の前記ブレースの一端が連結され、前記ブレースは何れも同軸上に配置されていること、が好ましい。
上記(4)に示す態様により、(2)と同様に、複数のダンパー部材を並列に配置することが可能となる。従来技術では、設計変位量を多くとるためにはダンパー部分を大きくするという手法が必要であったが、複数のダンパー部材を並列に配置できれば、変位量を増やすことが可能となる。このため、ダンパー部材の設計変位量を多くとることが可能となる。よって、設計自由度を向上させることに貢献する。
第1実施形態の、耐震構造を有する構造物の正面図である。 第1実施形態の、ダンパーブレースの側面断面図である。 第1実施形態の、ダンパー部の斜視図である。 第1実施形態の、ダンパー部の分解斜視図である。 第1実施形態の、ダンパー部の断面図である。 第1実施形態の、取付部の部分拡大図である。 第1実施形態の、ダンパー部の圧縮変形状態の断面図である。 第1実施形態の、ダンパー部の引っ張り変形状態の断面図である。 (A)第1実施形態の、一定振幅の低サイクル疲労試験の結果を表すグラフである。(B)第1実施形態の、一定振幅の低サイクル疲労解析の結果を表すグラフである。 (A)第1実施形態の、漸増振幅の低サイクル疲労試験の結果を表すグラフである。(B)第1実施形態の、漸増振幅の低サイクル疲労解析の結果を表すグラフである。 第2実施形態の、ダンパーブレースの側面断面図を示す。 第2実施形態の、ダンパー部の断面図である。
まず、本発明の第1の実施形態であるダンパーブレース構造について、図面を用いて説明する。
図1に、第1実施形態の耐震構造を有する構造物を示す。構造物は鉄道車両の線路を支持する高架橋100であり、地面から垂直に立設している2本の橋脚102と、その上に渡された横梁103とを有するラーメン構造となっている。そして、2本の橋脚102にはダンパーブレース10が備えられている。ダンパーブレース10は、2本の橋脚102の間に筋交い状に配置されて設けられている。高架橋100にダンパーブレース10を設けることで、地震による水平方向の揺れに対して、制振効果を得ることが可能である。
図2に、ダンパーブレース10の側面断面図を示す。図2は、部分断面図としてダンパー部30の断面を示すように構成されている。ダンパーブレース10は2本のブレース20(第1ブレース21、第2ブレース22)と、ダンパー部30を備えている。第1ブレース21及び第2ブレース22は例えば一般構造用炭素鋼鋼管(例えばSTK490)、或いは一般構造用圧延鋼材(例えばSS400)を用いた角型鋼管を用いるのが望ましい。第1実施形態では鋼管を用いた様子を示している。第1ブレース21の一端部である端部21Bには切欠部21bが、第2ブレース22の一端部である端部22Bには切欠部22bがそれぞれ円周を4等分するように設けられている。切欠部21b及び切欠部22bには、それぞれ継手25が組み込まれる。
継手25は、継手プレート25aが十字になるように組まれたものであり、継手プレート25aには橋脚102と接合するためのボルト孔25bが設けられている。継手25は第1ブレース21の端部21Bに設けられた切欠部21b、及び第2ブレース22の端部22Bに設けられた切欠部22bにそれぞれ差し込まれて、溶接されて固定される。継手25の材質は建築構造用鋼材(例えばSN400、SN490)などが望ましい。図3に、ダンパー部30の斜視図を示す。図4に、ダンパー部30の分解斜視図を示す。ダンパー部30は、芯材となるダンパーユニット55と、ダンパーユニット55同士を繋ぐ連結部材31と、連結部材31と連結部材31を繋ぐように配置される外板32を有する。
ダンパーユニット55は、1枚の剪断パネル部材56と2枚の剪断パネル部材57を組み合わせて形成されているユニットである。剪断パネル部材56及び剪断パネル部材57は、十数mmの板厚の低降伏点鋼(例えばLY225)を用いて形成されるのが望ましい。この剪断パネル部材56には、板厚が3mmの剪断パネル部56aが2カ所に備えられている。又、剪断パネル部材57には剪断パネル部57aが1カ所に備えられている。又、剪断パネル部56a又は剪断パネル部57aの周囲にはフランジ部56b又はフランジ部57bが設けられている。
剪断パネル部56a又は剪断パネル部57aは機械加工によって切削されて形成されており、フランジ部56b又はフランジ部57bの幅は数mm程度に設定されている。そして、フランジ部56b又はフランジ部57bが四方に配置されるように剪断パネル部材56と剪断パネル部材57を十字に組み合わせたものがダンパーユニット55となる。つまり、剪断パネル部材56と剪断パネル部材57はダンパーユニット55の中心から放射状に配置されることとなる。
図5に、図2のAA断面図を示す。ダンパーユニット55は、第1ブレース21の他端部となる端部21Aに設けられた切欠部21a、又は第2ブレース22の他端となる端部22Aに設けられた切欠部22aに差し込まれて溶接される。この際に、切欠部21a又は切欠部22aは、剪断パネル部材56のフランジ部56b又は剪断パネル部材57のフランジ部57bに溶接される。そして、ダンパーユニット55の外周側、つまり外方端部と連結部材31とが溶接される。つまり、ダンパーユニット55は、図3に示される様に2つ並べられて連結部材31に溶接される。そして、その周囲に外板32が接合されている。
図6に、接続部の部分拡大図を示す。高架橋100の橋脚102には、定着部材40を用いてダンパーブレース10を取り付けている。定着部材40は、橋脚102に抱き付くように固定されている。定着部材40は高架橋100に対して対角の位置に配置されるように固定され、定着部材40にはプレート45が備えられている。プレート45と継手25とは接合プレート46を用い、図示しないボルトで結合される。したがって、高架橋100に対して対角にダンパーブレース10が備えられる。
第1実施形態のダンパーブレース10は上記構成で高架橋100に備えられるので、以下に説明する作用及び効果を奏する。
第1実施形態のダンパーブレース10を高架橋100に用いることで、ダンパー部30の剪断パネル部材56又は剪断パネル部材57が変形することを観察可能となる。これは、高架橋100に備えられたダンパーブレース10が、以下の構成を有するためである。高架橋100に対して設置され、剪断パネル部材56と剪断パネル部材57を有して構成されるダンパー部30と直線上に伸びるブレース20とを備え、高架橋100に生じる横揺れを抑えるために、ブレース20からダンパー部30に伝達された軸方向の力を剪断パネル部材56又は剪断パネル部材57が剪断変形することによって吸収するダンパーブレース10の構造において、ブレース20は第1ブレース21と第2ブレース22を含み、第1ブレース21と第2ブレース22は同軸上に配置されている。
高架橋100に筋交い状に配置され、第1ブレース21の一端部となる端部21Aと第2ブレース22の一端部となる端部22Aが向かい合って配置され、ダンパー部30を介して連結され、第1ブレース21の他端部となる端部21Bと第2ブレースの他端部となる端部22Bの少なくともどちらか一方が、高架橋100に連結され、ダンパー部30は、第1ブレース21の一端部の外面に、第1の剪断パネル部材56又は第1の剪断パネル部材57の内方端部が接合され、第1の剪断パネル部材56及び第1の剪断パネル部材57は軸方向に沿って放射線状に突設され、第1の剪断パネル部材56又は第1の剪断パネル部材57の外方端部と連結部材31の一方とが接合され、第2ブレース22の一端部の外面に、第2の剪断パネル部材56又は第2の剪断パネル部材57の内方端部が接合され、第2の剪断パネル部材56及び第2の剪断パネル部材57は軸方向に沿って放射線状に突設され、第2の剪断パネル部材56又は第2の剪断パネル部材57の外方端部と連結部材31の他方とが接合され、剪断パネル部材56又は剪断パネル部材57は、中央部に厚みが薄い薄肉部として設けられた剪断パネル部56a又は剪断パネル部57aを有し、周囲に厚みが厚いフランジ部56b又はフランジ部57bを有する。
図7に、ダンパー部30の圧縮変形状態の断面を示す。図8に、ダンパー部30の引っ張り変形状態の断面を示す。図7及び図8には、ダンパーブレース10に軸力が発生した場合に生じる変化を模式的に示している。第1ブレース21及び第2ブレース22に、図7に示すようにダンパー部30の内向きに荷重P1(圧縮荷重)がかかる、或いは図8に示すようにダンパー部30の外向きに荷重P2(引っ張り荷重)がかかる場合に、ダンパー部30に備えられた剪断パネル部材56又は剪断パネル部材57が剪断変形することで、ダンパー部30はダンパー機能を発揮する。この結果、ダンパーユニット55の剪断変形によって剪断パネル部材56又は剪断パネル部材57は変形し、目視がし易くなる。
また、剪断パネル部材56に剪断パネル部56aが設けられ、その周囲にフランジ部56bが形成され、又は剪断パネル部材57に剪断パネル部57aが設けられ、その周囲にフランジ部57bが形成されているので、剪断パネル部材56又は剪断パネル部材57は均等に変形すると考えられる。図9(A)に、一定振幅の低サイクル疲労試験の結果をグラフに示す。縦軸に軸力[kN]を、横軸に変位[mm]を示している。この試験は、試験体に所定の応力を繰り返し与えることで、試験体に発生する累積塑性変形を確認することができる。低サイクル疲労試験は3度行い、それぞれに対応して解析を行っている。試験1は一回目の試験結果を、試験2は2回目の試験結果を、試験3は3回目の試験結果を示している。図9(B)は、一定振幅の低サイクル疲労試験の解析結果である。図9(A)と図9(B)はほぼ同様の結果を示している。
1回目は12回の繰り返し試験を行い、剪断パネル部材56又は剪断パネル部材57に累積する累積ひずみは450%となった。2回目は4回の繰り返し試験を行い、累積ひずみは600%となった。3回目は4回の繰り返し試験を行い、累積ひずみは750%となった。そして3回の試験を行った結果、ダンパーブレース10に備えるダンパー部30は、破損することなく機能を維持できていることが確認できた。1回の大地震で生じる累積ひずみは93%程度と見込まれるため、750%で凡そ8回の大地震に相当する。つまり、この試験結果から、凡そ8回の大地震に耐えてなお使用が可能であることを示している。一方、フランジ部56b又はフランジ部57bを設けない場合は、同条件の試験において、早々に剪断パネル部材56又は剪断パネル部材57と連結部材31との接合部分に応力集中が発生して破断することが確認されている。
図10(A)に、漸増振幅低サイクル疲労試験の結果をグラフに示す。図9(A)同様に、縦軸に軸力[kN]を、横軸に変位[mm]を示している。この試験は、徐々にワークに与える応力を増やしていくことで、その挙動を確認する試験である。図10(B)は、漸増振幅低サイクル疲労解析の結果をグラフに示している。この結果、ダンパーブレース10の目標性能である最大塑性変形12%を大きく上回り、19%に至っても耐荷力低下は認められず亀裂発生も無かった事が確認された。
図9(A)及び図10(A)の試験結果より、ダンパーブレース10に備えられるダンパー部30の性能は、目標値よりも高い。これは剪断パネル部材56に剪断パネル部56aとフランジ部56bを設け、剪断パネル部材57に剪断パネル部57aとフランジ部57bを設けることで、剪断パネル部56a又は剪断パネル部57aにかかる応力が均等に分散される結果だと考えられる。つまり、図9(A)、図10(A)で示される試験結果によって、地震後にダンパー部30に残留変形を生じてもダンパー部30を交換する必要が無いという結果が示されている。
剪断パネル部材56にフランジ部56bを設けない場合、又は剪断パネル部材57にフランジ部57bを設けない場合には、剪断パネル部分で破断してしまっている。このことから、第1実施形態のダンパーブレース10は、上記構成を採ることで耐久性が向上したことが分かる。
この理由としては、フランジ部56b又はフランジ部57bによる応力分散効果で、剪断パネル部56a又は剪断パネル部57aの塑性変形が均一に行われることと、接合部分の応力集中が防げることが挙げられる。剪断パネル部材56又は剪断パネル部材57と連結部材31或いは第1ブレース21、第2ブレース22とは、溶接によって接合されている。剪断パネル部材56、57にフランジ部56b、57bが設けられない場合には、溶接によって鋼材の靱性が低下し、溶接部分に応力集中が発生して破壊に至ったと考えられる。一方、剪断パネル部材56にフランジ部56bを設け、剪断パネル部材57にフランジ部57bを設けることで、剪断パネル部56a又は剪断パネル部57aには応力が集中しにくい構造となる。この結果、ダンパーブレース10の低サイクル疲労強度を向上させたものと推測される。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2実施形態は第1実施形態の構成とほぼ同じであるが、ダンパーブレース11に2つのダンパー部30を備える点や、細部において若干構成が異なるので、その点について図面を用いて説明を行う。
図11に、第2実施形態のダンパーブレース11の側面断面図を示す。図11は、図2同様に部分断面図としてダンパー部30の断面を示すように構成されている。図12は、図11のBB断面に相当する断面図を示す。また、図11のAA断面は図5と同じとなるので割愛する。図11に示すように、第2実施形態のダンパーブレース11は、継手25の側にそれぞれダンパー部30が設けられている。即ち、ダンパーブレース11には2つのダンパー部30が設けられている。
そして、第3ブレース23の両側にダンパーユニット55がそれぞれ溶接され、ダンパーユニット55の外側端部には連結部材31が溶接される。連結部材31の両端側にダンパーユニット55が溶接され、継手25と一体となったダンパーユニット55がダンパーブレース11の両端に使用されている。なお、継手25と一体になったダンパーユニット55は図12に示すように、周囲に外平板27が溶接されて設けられている。
第2実施形態のダンパーブレース11は上記構成である為、第1実施形態のダンパーブレース10と同等の効果を奏する。ただし、ダンパーブレース10にはダンパー部30が2カ所に設けられることで、ダンパーブレース11の変位量は2倍となる。つまり、ダンパーブレース11の設計変位量を多くとることが可能となり、設計自由度を向上させることができる。
通常、ダンパーブレース10の設計変位量を大きくする場合、ダンパーの主部材となる剪断パネル部材56又は剪断パネル部材57のサイズを大きくするという手法が一般的である。しかしながら、第1実施形態や第2実施形態のダンパーブレース10を用いれば、ダンパー部30を複数並列に接続することができるため、剪断パネル部材56又は剪断パネル部材57を大きくすることなく、設計変位量を大きく設定することが可能となる。この結果、設計自由度を向上させることが可能となる。また、ダンパーユニット55と継手25とを一体化して形成していることでも、ダンパー部30を配置するレイアウトの自由度を広くしている。
以上、本実施形態に則して発明を説明したが、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更することにより実施することもできる。例えば、第1実施形態では第1ブレース21の端部21Bと第2ブレース22の端部22Bとには継手25を接合しているが、ブレースを増やしてダンパー部30を増やす事を妨げないし、第2実施形態と組み合わせてダンパー部30を増やす事を妨げない。
また、第1実施形態及び第2実施形態で示した第1ブレース21乃至第3ブレース23は何れも円管材を用いて居るが、角型鋼管を用いることを妨げない。さらに連結部材31同士を外板32で接続しているが、これはダンパー部30のねじれを防止することを目的として設けられているものの、必ずしも設置する必要性は無い。また、実施例には構造物として高架橋100を紹介しているが、ビルなどの建物や大型建造物など様々な構造物に適用が可能である。また、第1実施形態及び第2実施形態に剪断パネル等の寸法を示したが、この数値に限定されるものではない。
10 ダンパーブレース
20 ブレース
21 第1ブレース
22 第2ブレース
23 第3ブレース
25 継手
27 外平板
30 ダンパー部
31 連結部材
32 外板
40 定着部材
45 プレート
46 接合プレート
55 ダンパーユニット
56、57 剪断パネル部材
56a、57a 剪断パネル部
56b、57b フランジ部

Claims (4)

  1. 構造物に対して設置され、複数の剪断パネルを有して構成されるダンパー部材と直線上に伸びるブレースとを備え、前記構造物に生じる横揺れを抑えるために、前記ブレースから前記ダンパー部材に伝達された軸方向の力を前記剪断パネルが剪断変形することによって吸収するダンパーブレースにおいて、
    前記ブレースは第1ブレースと第2ブレースを含み、前記第1ブレースと前記第2ブレースは同軸上に、前記構造物に筋交い状に配置され、
    前記第1ブレースの一端部と前記第2ブレースの一端部とが向かい合って配置されると共に、前記ダンパー部材を介して連結され、
    前記第1ブレースの他端部と前記第2ブレースの他端部の少なくともどちらか一方が、前記構造物に連結され、
    前記ダンパー部材は、
    前記第1ブレースの一端部の外面に、第1の前記剪断パネルが接合され、前記第1の剪断パネルは前記軸方向に沿って放射線状に前記第1ブレースから突設され、前記第1の剪断パネルの外方端部が連結部材の一方と接合され、
    前記第2ブレースの一端部の外面に、第2の前記剪断パネルが接合され、前記第2の剪断パネルは前記軸方向に沿って放射線状に前記第2ブレースから突設され、前記第2の剪断パネルの外方端部が前記連結部材の他方と接合され、
    前記剪断パネルは、前記連結部材と前記第1ブレース又は前記第2ブレースの外周面との間に中央部の厚みが薄い薄肉部を有し、前記薄肉部の周囲に前記薄肉部より厚みのあるフランジ部を有すること、
    を特徴とするダンパーブレース。
  2. 請求項1に記載のダンパーブレースにおいて、
    前記第1ブレースの他端部と前記第2ブレースの他端部の少なくともどちらか一方に、前記ダンパー部材が接続され、前記ダンパー部材を介して第3ブレースの一端が連結され、
    前記第1ブレースと前記第3ブレースは同軸上に配置されていること、
    を特徴とするダンパーブレース。
  3. 構造物に対して設置され、複数の剪断パネルを有して構成されるダンパー部材と直線状に伸びるブレースとを備え、前記構造物に生じる横揺れを抑えるために、前記ブレースから前記ダンパー部材に伝達された軸方向の力を前記剪断パネルが剪断変形することによって吸収するダンパーブレースにおいて、
    前記ブレースの一端部に前記ダンパー部材が連結され、
    前記ダンパー部材は、
    前記ブレースの一端部の外面に、第1の前記剪断パネルが接合され、前記第1の剪断パネルは前記軸方向に沿って前記ブレースから放射線状に突設され、前記第1の剪断パネルの外方端部が連結部材の一方と接合され、
    第2の前記剪断パネルには前記構造物と接続する接続部が備えられ、前記第2の剪断パネルは前記軸方向に沿って放射線状に配置され、前記第2の剪断パネルの外方端部が前記連結部材の他方と接合され、
    前記剪断パネルは、前記連結部材と前記ブレースの外周面との間に中央部の厚みが薄い薄肉部を有し、前記薄肉部の周囲に前記薄肉部より厚みのあるフランジ部を有すること、
    を特徴とするダンパーブレース。
  4. 請求項3に記載のダンパーブレースにおいて、
    前記ブレースの他端部に、前記ダンパー部材が接続され、前記ダンパー部材を介して別の前記ブレースの一端が連結され、
    前記ブレースは何れも同軸上に配置されていること、
    を特徴とするダンパーブレース。
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