JP6248794B2 - 放熱性粘着樹脂組成物、及び、それを成形してなる放熱性粘着シート - Google Patents

放熱性粘着樹脂組成物、及び、それを成形してなる放熱性粘着シート Download PDF

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Description

本発明は、放熱性、自己粘着性に優れた樹脂組成物、及び、当該樹脂組成物を成形してなるシートに関する。
トランジスター、コンデンサー等の電子、電気部品は熱に弱く、またこれら電子、電機部品が発熱し、性能の低下や製品寿命が短くなるという問題に加え、発火による火災の恐れがある。特に、近年は電子、電気部品の高性能化・薄型化による発熱量の増大に伴い、このようなリスクも大きくなってきている。
このような電子・電気部品等の発熱対策として、シリコーン系ゴムに金属酸化物粉末などを混合してペースト状やシート状にしたものなどを介して電子・電気部品と、アルミニウム製などの放熱フィンを接着し、電子部品等から発生する熱をフィンに伝え、放熱させる手法が広く採用されている。しかしながら、シリコーン系ゴムを用いたペーストやシートにおいてはシリコーン中に低分子量シロキサン化合物が含まれ、リレー接点等の付着した低分子量シロキサン化合物の分解により生成したシリカが接点不良の原因となるなどの問題がある。
そこで、低分子量シロキサンを含まない放熱材料として、特許文献1には、結晶性高級α−オレフィン共重合体と熱伝導性フィラーからなる熱伝導性樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2には、水添共役ジエン系ブロック共重合体と軟化剤、可塑剤、液状重合体から選択される液状成分と熱伝導性フィラーからなるエラストマー組成物が開示されている。
特開2006−111848号公報 特開2011−236365号公報
特許文献1および2に開示されている技術においては、優れた放熱性は得られるものの、α−オレフィン共重合体や共役ジエン系ブロック共重合体をマトリックス樹脂として使用した場合には自己粘着性が不十分であり、使用時における被着体の種類によっては十分な粘着性が得られない場合がある。
そこで、このような従来技術の課題に鑑み、本発明は放熱性と自己粘着性を両立する新たな放熱性粘着樹脂組成物、及び、当該樹脂組成物を成形してなる放熱性粘着シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、本発明者は以下の発明を完成させた。
すなわち本発明は、スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)、平均粒径が0.070〜0.120mmである熱伝導性フィラー(B)、及び、流動パラフィン(C)を含む組成物であって、前記(B)の割合が70〜85質量%であり、前記(C)の割合が1〜10質量%であることを特徴とする放熱性粘着樹脂組成物である。
本発明に係る樹脂組成物によれば、優れた放熱性、自己粘着性を有する放熱性粘着シートを提供できる。当該シートは、例えば、電気・電子機器向けの放熱用シートとして好適に用いることができる。
以下、本発明の実施形態の一例としての放熱性粘着樹脂組成物、放熱性粘着シート、及び、放熱性粘着多層シートについて説明する。ただし、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<放熱性粘着樹脂組成物>
本発明に係る放熱性粘着樹脂組成物は、スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)、平均粒径が0.070〜0.120mmである熱伝導性フィラー(B)、及び、流動パラフィン(C)を含有する。
(スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A))
本発明に用いるスチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)中に占めるスチレンの含有量は、10モル%以上、35モル%以下であることが好ましく15モル%以上、30モル%以下であることがより好ましい。スチレンの含有量が10モル%以上であれば十分な熱可塑性が得られ、一方、スチレンの含有量が35モル%以下であれば、熱伝導性フィラーを高充填した場合においても、流動パラフィンとの組み合わせにより十分な自己粘着性が得られる。このように、本発明においては、スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)中に占めるスチレンの含有量を10モル%以上、35モル%以下の範囲とすることで、十分な熱可塑性を有し、かつ、優れた自己粘着性を有する樹脂組成物が得られる。
本発明に用いるスチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)としては、スチレン−イソブチレンブロック共重合体(SIB)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)などが挙げられ、またこれらの水素添加物であってもよい。
なお、本発明において、スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)は、前述のSIBおよびSIBSの少なくとも1つを含むものであることが好ましく、これら2種類以上の混合物であってもよい。中でも、粘着性の点からSIBを含むことが特に好ましい。
前記スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)の数平均分子量は、30,000以上、80,000以下の範囲であることが好ましく、40,000以上、70,000以下の範囲であることがより好ましい。数平均分子量が30,000以上、80,000以下の範囲であれば、熱伝導性フィラーを高充填した場合においても機械強度や流動性に優れた樹脂組成物が得られる。
なお、分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ分析にて、Waters社製GPCシステム(カラム:昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)、移動相:クロロホルム)を用い、分子量標準物質としてポリスチレンを使用して測定することができる。
スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)の具体的な商品としては、例えば、カネカ(株)製「SIBSTAR」シリーズ等があげられる。
(熱伝導性フィラー(B))
本発明に用いる熱伝導性フィラーの平均粒径は0.070mm以上であることが重要である。平均粒径が0.070mm以上であることにより、本発明の樹脂組成物に優れた熱伝導性を付与することができる。かかる観点から、0.080mm以上であることがより好ましく、0.090mm以上であることがさらに好ましい。
一方、上限は、0.120mm以下であることが重要である。平均粒径が0.120mm以下であれば、本発明の樹脂組成物の機械強度を低下させることがない。かかる観点から、0.110mm以下であることがより好ましく、0.105mm以下であることがさらに好ましい。
前記熱伝導性フィラー(B)の具体例としては、銅、アルミニウム、銀、鉄などの金属や、アルミナ、酸化マグネシウム、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、ムライト、グラファイト、ダイアモンドなどのセラミックスがあげられる。この中でも、熱伝導性とコストのバランスや、電気絶縁性に優れる酸化マグネシウムを用いることが特に好ましい。
さらに本発明の効果を損なわない範囲で、前記熱伝導性フィラー(B)に表面処理を施すことができる。表面処理剤の具体例としては、エポキシシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン、アミノシラン、イソシアネートシラン等のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、高級脂肪酸等があげられる。これらの表面処理剤を用いて表面処理を施すことによって、熱伝導性フィラー(B)の分散性が向上し、本発明の放熱性粘着樹脂組成物の放熱性をさらに向上することができる。
(流動パラフィン(C))
本発明に用いる流動パラフィン(C)は、常温で液状のパラフィン系炭化水素を含むオリゴマー状重合体である。さらには、パラフィン系炭化水素とアルキルナフテン炭化水素の混合物である。前記流動パラフィンの製造方法は特に限定されないが、一般的には水添法やスルホン化法が採用される。水添法は、触媒の存在下において鉱物油に水素ガスを混合し、鉱物油に含まれる芳香族炭化水素等の不飽和炭化水素を水素と反応させ、飽和炭化水素とする方法である。一方、スルホン化法は鉱物油に無水硫酸を混合し、鉱物油に含まれる芳香族炭化水素等の不飽和炭化水素と反応させて、石油スルホン酸を生成、分離することで飽和炭化水素を回収する方法である。
前記流動パラフィン(C)の具体的な商品としては、エクソンモービル社製クリストール、プライモール、出光興産(株)製ダイアナプロセスオイルなどがあげられる。
前記流動パラフィン(C)は、前記スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)との相溶性が良い。よって、本発明の樹脂組成物に、前記流動パラフィン(C)を混合することにより、加工時や使用時におけるブリードアウトを生じることなく、スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)の自己粘着性をより一層向上させることができる。
(その他の添加物)
なお、本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)以外の樹脂、例えば、ポリオレフィン系やポリスチレン系の熱可塑性エラストマーや、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、滑剤、顔料、染料等の添加剤を配合することができる。
(各成分の含有割合)
スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)、平均粒径が0.070〜0.120mmである熱伝導性フィラー(B)、及び、流動パラフィン(C)の混合物中に占める(B)の割合は70質量%以上であることが重要である。前記(B)の割合が70質量%以上であることにより、本発明の樹脂組成物に優れた熱伝導性を付与することができる。かかる観点から、73質量%以上であることがより好ましく75質量%以上であることがさらに好ましい。一方、上限は、85質量%以下であることが重要である。前記(B)の割合が85質量%以下であれば、本発明の樹脂組成物の自己粘着性を低下させるおそれがない。かかる観点から、83質量%以下であることがより好ましく80質量%以下であることがさらに好ましい。
また、前記混合物中に占める流動パラフィン(C)の割合は1質量%以上であることが重要である。前記(C)の割合が1質量%以上であることにより、本発明の樹脂組成物に優れた自己粘着性を付与することができる。かかる観点から、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましい。一方、上限は、10質量%以下であることが重要である。前記(C)の割合が10質量%以下であれば、本発明の樹脂組成物の機械強度を低下させるおそれがない。かかる観点から、9質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下であることがさらに好ましい。
<放熱性粘着シート>
本発明の放熱性粘着シートは、本発明の樹脂組成物を成形することにより得られるものであり、厚み方向の熱伝導率が0.7W/m・K以上であることを特徴とする。また、アルミニウムとの剥離強度が0.1〜0.5N/10mmであることを特徴とする。
本発明の放熱性粘着シートの厚み方向の熱伝導率は0.7W/m・K以上であることが好ましく、0.8W/m・K以上であることがより好ましく、0.9W/m・K以上であることがさらに好ましい。厚み方向の熱伝導率が0.7W/m・K以上であれば、十分な放熱性が発現し、電気・電子部品の耐久性向上、長寿命化を図ることができる。なお、シートの厚み方向の熱伝導率は、後述の方法により算出することができる。
上述のように、厚み方向の熱伝導率を所望の範囲にするためには、前記放熱性粘着樹脂組成物中に熱伝導性フィラー(B)を70〜85質量%含んでいればよく、かつ、シート製造時に単軸又は二軸押出機等を用いて十分に混練することが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物を成形してなるシートのアルミニウムに対する剥離強度は0.10〜0.50N/10mmであることが好ましく、0.15〜0.45N/10mmであることがより好ましく、0.20〜0.40N/10mmであることがさらに好ましい。剥離強度がかかる範囲内であれば、アルミニウムに対して適度な粘着性が得られ、加工工程におけるリワーク性と、使用時における十分な粘着性を両立することができる。なお、アルミニウムとの剥離強度は後述の方法により測定することができる。
上述のように、シートのアルミニウムに対する剥離強度を所望の範囲にするためには、前記放熱性粘着樹脂組成物中に流動パラフィン(C)を1〜10質量%含んでいればよく、かつ、シート製造時に単軸又は二軸押出機等を用いて十分に混練することが好ましい。なお、前記流動パラフィン(C)の割合が10質量%を超えると、シートを製造する際に形状を保持できないため、前記流動パラフィン(C)の割合は10質量%以下であることが好ましい。
(放熱性粘着シートの製造方法)
本発明の放熱性粘着シートの製造方法としては、公知の方法により成形することが出来る。具体的には、スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)、流動パラフィン(B)、熱伝導性フィラー(C)、及び、その他添加剤等を混合した後、単軸又は二軸押出機などで溶融した後、口金から押し出すと同時に、保護フィルムを両側から貼り合わせることで、粘着シートが得られる。
<放熱性粘着多層シート>
本発明の放熱性粘着多層シートは、本発明の放熱性粘着シートを放熱性粘着シート(X)としたとき、その片面に、スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)、平均粒径が0.070〜0.120mmである熱伝導性フィラー(B)、及び、樹脂(D)との混合物からなるシート(Y)を設けてなり、前記樹脂(D)が、石油樹脂、テルペン樹脂、又は、それらの水素添加誘導体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
前記シート(Y)を構成する混合物のうち、前記スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)、前記熱電伝導性フィラー(B)については、放熱性粘着シート(X)と同様のもの、すなわち、前述のものを使用することができる。樹脂(D)については、以下に詳述する。
(樹脂(D))
本発明の放熱性粘着多層シートにおいて、前記シート(Y)に用いる樹脂(D)は、石油樹脂、テルペン樹脂、又は、それらの水素添加誘導体から選ばれる少なくとも1種類の樹脂である。上記以外にも、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、又は、それらの水素添加誘導体等を使用することができる。また、必要に応じて上記のうち2種類以上の樹脂を混合して用いてもよい。
前記樹脂(D)をスチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)に混合することにより、スチレン及びイソブチレンからなる共重合体のガラス転移温度が向上し、常温域における剛性が高くなるため、自己粘着性を抑制することができる。すなわち、本発明の放熱性粘着シート(X)の片面に、スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)、平均粒径が0.070mm以上、0.120mm以下である熱伝導性フィラー(B)、及び、前記樹脂(D)からなるシート(Y)を設けることにより、片面のみ粘着性を有する放熱性粘着多層シートを得ることができる。
前記樹脂(D)のうち、石油樹脂としては、シクロペンタジエンもしくはその二量体からの脂環式石油樹脂、C9成分からの芳香族石油樹脂等が挙げられ、テルペン樹脂としては、β−ピネンからのテルペン−フェノール樹脂が挙げられ、ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリン、ペンタエリスリトールなどで変性したエステル化ロジン樹脂等が挙げられる。
前記樹脂(D)は、スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)に混合した場合に良好な相溶性を示すが、色調、熱安定性、相溶性、耐透湿性などの観点から、水素添加物誘導体、特に水素添加率(以下「水添率」という)が95%以上であり、かつ水酸基、カルボキシル基、ハロゲンなどの極性基、あるいは二重結合などの不飽和結合を実質上含有しない、石油樹脂、又は、テルペン樹脂を用いることが好ましい。
前記石油樹脂の具体的な商品として、例えば、三井化学社製「ハイレッツ」シリーズ、「ペトロジン」シリーズ、荒川化学工業社製「アルコン」シリーズ、出光石油化学社製「アイマーブ」シリーズ、トーネックス社製「エスコレッツ」シリーズ等が挙げられる。また、前記テルペン樹脂の具体的な商品として、ヤスハラケミカル社製「クリアロン」シリーズ等が挙げられる。
(各成分の含有割合)
前記シート(Y)を構成する組成物中に占める前記熱電伝導性フィラー(B)の割合は70〜85質量%以下であることが好ましく、73〜83質量%であることがより好ましく、75〜80質量%以下であることがさらに好ましい。熱導電性フィラー(B)の配合量がかかる範囲内であれば、自己粘着性を低下させることなく、優れた熱伝導性を付与することができる。
また、前記シート(Y)を構成する混合物中に占める前記樹脂(D)の割合は1〜10質量%であることが好ましく、2〜9質量%であることがより好ましく、3〜8質量%であることがさらに好ましい。前記樹脂(D)の配合量がかかる範囲内であれば、機械特性を低下させることなく、粘着性を抑制することができる。
(放熱性粘着多層シートの製造方法)
本発明の放熱性粘着多層シートの製造方法としては、公知の方法により成形することが出来る。具体的には、前記放熱性粘着シート(X)と前記シート(Y)を、共押出、押出ラミネート、熱ラミネート、ドライラミネート等により積層することにより成形することができる。
<用語の説明>
一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。他方、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、「主成分」と表現した場合、特にことわらない限り、主成分が1つである場合には、全体成分の50%(モル%、質量%、体積%)以上を占める成分の意味であり、全体成分の50%(モル%、質量%、体積%)以上を占める成分がない場合は、全体成分の中で最も含有量が多い成分の意味である。
本発明において、「X〜Y」(X、Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
<評価方法>
以下の実施例・比較例で示される種々の測定値、及び、評価は次のようにして行った。ここでフィルムの押出機からの流れ方向を縦方向、その直行方向を横方向と呼ぶ。
(1)放熱性(厚み方向の熱伝導率)
本発明の放熱性粘着シート、又は、放熱性粘着多層シートの放熱性(厚み方向の熱伝導率)は、シートの23℃における密度、23℃における比熱、厚み方向の熱拡散率の積によって算出した。
なお、23℃における密度は、Micromeritics社製AccuPycII1340を用い、比重びん法によって測定した。また、23℃における比熱は、パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC−7型を用いて測定した。また、厚み方向の熱拡散率はアルバック理工社製熱定数測定装置TC−9000型を用いて測定した。厚み方向の熱伝導率は0.7W/m・K以上を合格とした。
(2)粘着性(剥離強度)
本発明の放熱性粘着シート、又は、放熱性粘着多層シートと、厚さ0.1mmのアルミニウムシートとを、23℃、1kg荷重で貼り合わせた後、長さ15mm、幅10mmの短冊状試験片を切り出した。次に、インテスコ社製恒温槽付き材料試験器201Xを用いて、放熱性粘着シートとアルミニウム間の剥離強度を測定した。測定方法は、T型剥離試験により測定を行なった(JISK6854−3 1999)。評価用サンプル10mm幅のものを使用し、雰囲気温度23℃、剥離速度200mm/分でT型剥離試験を実施した。剥離強度は0.1〜0.5N/10mmの範囲内にあるものを合格とした。
<使用した材料>
(スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A))
(A)−1:カネカ(株)製SIBSTAR062M(SIB/SIBS、スチレン含有量:23質量%)
(A)−2:カネカ(株)製SIBSTAR102T(SIBS、スチレン含有量:15質量%)
(熱伝導性フィラー(B))
(B)−1:宇部マテリアルズ(株)製RF−70C−SC(ビニルシランカップリング処理酸化マグネシウム、平均粒径:0.094mm)
(B)−2:電気化学工業(株)製DAM−70(アルミナ、平均粒径:0.071mm)
(流動パラフィン(C))
(C)−1:ナカライテスク(株)製流動パラフィン
(樹脂(D))
(D)−1:荒川化学(株)製アルコンP125(水素添加石油樹脂、軟化温度:125℃)
(実施例1)
(A)−1、(B)−1、及び、(C)−1を、混合質量比24:70:6の割合でドライブレンドした後、φ40mm同方向二軸押出機を用いて200℃で混練した後、T型ダイよりシート状に押し出すと同時に、保護フィルムとして三菱樹脂(株)製ダイヤホイルMRF−100(シリコーンコーティング二軸延伸PETフィルム、厚み:0.1mm)両側から貼り合わせることにより、厚み1mmの粘着性シートを得た。得られたシートについて放熱性、自己粘着性の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
(A)−1、(B)−1、及び、(C)−1を、混合質量比20:75:5とした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
(A)−1、(B)−1、及び、(C)−1を、混合質量比16:80:4とした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
(A)−1、(B)−2、及び、(C)−1を、混合質量比16:80:4でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
(A)−2、(B)−1、及び、(C)−1を、混合質量比16:80:4でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
流動パラフィンを添加せず、(A)−1、及び、(B)−1を、混合質量比20:80でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)の代わりに、旭化成ケミカルズ(株)製タフテックH1041(スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体、スチレン含有量:30質量%、以下(J)−1と略す)を用い、(J)−1、(B)−1、及び、(C)−1を、混合質量比16:80:4でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
熱伝導性フィラーとして、RF−98(未処理酸化マグネシウム、平均粒径:61μm、以下(K)−1と略す)を用い、(A)−1、(K)−1、及び、(C)−1を、混合質量比20:75:5でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
(A)−1、(B)−1、及び、(C)−1を、混合質量比32:60:8とした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
放熱性粘着シート(X)として、(A)−1、(B)−1、及び、(C)−1を混合質量比16:80:4の割合でドライブレンドしたものと、シート(Y)として、(A)−1、(B)−1、及び、(D)−1を混合質量比10:80:10の割合でドライブレンドしたものとを、それぞれφ40mm同方向二軸押出機に供給し、各押出機において200℃で混練した後、2種2層のマルチマニホールド式の口金より2層構成になるように押出した。この時、放熱性粘着シート(X)とシート(Y)の厚み比が(X):(Y)=7:3となるように溶融樹脂の吐出量を調整した。この多層シートがT型ダイより押し出されると同時に保護フィルムとして三菱樹脂(株)製ダイヤホイルMRF−100を両側から貼り合わせることにより、厚み1mmの放熱性粘着多層シートを得た。得られたシート(Y)側には自己粘着性がなく、放熱性粘着シート(X)側の剥離強度は実施例3と同様で0.23N/10mmであった。また、厚み方向の熱伝導率は1.27W/m・Kであった。
Figure 0006248794
表1の結果より、実施例1〜5は、スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)、平均粒径が0.070〜0.120mmである熱伝導性フィラー(B)、及び、流動パラフィン(C)を含む組成物であり、かつ、前記(B)と前記(C)を所定の割合で含む樹脂組成物であることにより、優れた放熱性と自己粘着性を有する放熱性粘着シートが得られることがわかった。
これに対し、流動パラフィン(C)を含まない場合や(比較例1)、(A)成分であるスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体の代わりに、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体を用いた場合(比較例2)には、所望の剥離強度を得ることができなかった。また、平均粒径が規定値を満たさない熱伝導性フィラーを用いた場合(比較例3)には、所望の熱伝導率(放熱性)を得ることができなかった。さらに、熱伝導性フィラー(B)の含有量が規定値を満たさない場合(比較例4)には、熱伝導率(放熱性)、剥離強度ともに所望の値を得ることができなかった。

Claims (5)

  1. スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)、平均粒径が0.070〜0.120mmである熱伝導性フィラー(B)、及び、流動パラフィン(C)を含む組成物であって、前記(B)の割合が70〜85質量%であり、前記(C)の割合が1〜10質量%であることを特徴とする放熱性粘着樹脂組成物。
  2. 前記スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)中に占めるスチレンの割合が10〜35モル%であることを特徴とする請求項1に記載の放熱性粘着樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の放熱性粘着樹脂組成物を成形してなり、かつ、厚み方向の熱伝導率が0.7W/m・K以上であることを特徴とする放熱性粘着シート。
  4. 請求項1又は2に記載の放熱性粘着樹脂組成物を成形してなり、かつ、アルミニウムとの剥離強度が0.1〜0.5N/10mmであることを特徴とする放熱性粘着シート。
  5. 請求項3又は4に記載の放熱性粘着シート(X)の片面に、スチレン及びイソブチレンからなる共重合体(A)、平均粒径が0.070〜0.120mmである熱伝導性フィラー(B)及び樹脂(D)との混合物からなるシート(Y)を設けてなり、前記樹脂(D)が、石油樹脂、テルペン樹脂、又は、それらの水素添加誘導体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする放熱性粘着多層シート。
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