JP6248790B2 - 摩擦攪拌接合方法 - Google Patents

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Description

本発明は、摩擦攪拌によって金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法に関する。
一対の金属部材同士を接合する方法として、摩擦攪拌接合(FSW=Friction Stir Welding)が知られている。摩擦攪拌接合は、回転ツールを金属部材同士の突合せ部に沿って移動させ、回転ツールと金属部材との摩擦熱により突合せ部の金属を塑性流動させることで、金属部材同士を固相接合するものである。
特許文献1には、摩擦攪拌装置に連結される連結部と、連結部から垂下する攪拌ピンとを備えた本接合用回転ツールを用いて摩擦攪拌を行う技術が開示されている。当該摩擦攪拌接合方法では、従来のように金属部材にショルダ部を接触させずに、攪拌ピンのみを金属部材に接触させた状態で摩擦攪拌を行うため、回転ツールの操作性を向上させることができる。
また、当該摩擦攪拌接合方法によれば、金属部材にショルダ部を接触させないため、摩擦攪拌装置に大きな負荷が作用しない状態で、金属部材の深い位置まで摩擦攪拌を行うことができる。
特開2013−39613号公報
しかし、当該摩擦攪拌接合方法では、ショルダ部を金属部材に接触させないため、塑性流動化した金属が金属部材の表面に溢れ出やすくなり、接合部が金属不足になるおそれがある。
そこで、本発明は、回転ツールの操作性を向上させることができるとともに、摩擦攪拌による金属不足を防ぐことができる摩擦攪拌接合方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、攪拌ピンを備え、摩擦攪拌装置に連結された回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、前記金属部材同士を突き合わせて第一突合せ部を形成する突合せ工程と、前記第一突合せ部に沿って形成された凹部に、当該凹部の深さよりも厚く形成された断面矩形状を呈する板状の補助部材を配置して前記第一突合せ部を覆う補助部材配置工程と、前記補助部材の表面から回転した前記攪拌ピンを挿入し、前記摩擦攪拌装置及び前記回転ツールのうち、前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記補助部材及び前記両金属部材、又は、前記補助部材のみに接触させ摩擦熱を発生させた状態で前記第一突合せ部を摩擦攪拌する第一の本接合工程と、を含み、前記回転ツールの前記攪拌ピンの外周面には螺旋溝が刻設されており、前記回転ツールを右回転させる場合は、前記螺旋溝を基端から先端に向かうにつれて左回りに形成し、前記回転ツールを左回転させる場合は、前記螺旋溝を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することを特徴とする。
かかる方法によれば、凹部の深さよりも厚く形成された補助部材の表面から回転ツールの攪拌ピンを挿入して第一の本接合工程を行うため、金属不足を防ぐことができる。また、補助部材を凹部に配置することで第一の本接合工程を安定して行うことができる。また、攪拌ピンのみを補助部材及び両金属部材、又は、補助部材のみに接触させた状態で摩擦攪拌を行うため、回転ツールの操作性を向上させることができる。
また、前記第一の本接合工程後に、前記金属部材の表面から突出する前記補助部材を切除する切除工程を含むことが好ましい。
かかる接合方法によれば、金属部材の表面を平滑にすることができる。
また、前記第一の本接合工程を行う前に、前記補助部材と前記金属部材とを仮接合する補助部材仮接合工程を含むことが好ましい。
かかる接合方法によれば、補助部材が金属部材に固定されるため、第一の本接合工程をより安定して行うことができる。
また、本発明は、攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、前記金属部材同士を突き合わせて第一突合せ部を形成する突合せ工程と、前記第一突合せ部に沿って形成された凹部に、当該凹部の深さよりも厚く形成された補助部材を配置して前記第一突合せ部を覆う補助部材配置工程と、前記補助部材の表面から回転した前記攪拌ピンを挿入し、前記補助部材及び前記両金属部材、又は、前記補助部材のみに前記攪拌ピンのみを接触させた状態で前記第一突合せ部を摩擦攪拌する第一の本接合工程と、前記第一の本接合工程後に、前記金属部材の表面から突出する前記補助部材を切除する切除工程と、前記切除工程後に、前記補助部材と前記両金属部材とが突き合わされた一対の第二突合せ部に対して摩擦攪拌を行う補修工程を含むことを特徴とする。
さらに、本発明は、攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、前記金属部材同士を突き合わせて第一突合せ部を形成する突合せ工程と、前記第一突合せ部に沿って形成された凹部に、当該凹部の深さよりも厚く形成された補助部材を配置して前記第一突合せ部を覆う補助部材配置工程と、前記補助部材の表面から回転した前記攪拌ピンを挿入し、前記補助部材及び前記両金属部材、又は、前記補助部材のみに前記攪拌ピンのみを接触させた状態で前記第一突合せ部を摩擦攪拌する第一の本接合工程と、前記第一の本接合工程後に、前記金属部材の表面から突出する前記補助部材を切除する切除工程と、前記第一の本接合工程を行う前に、前記補助部材と前記金属部材とを仮接合する補助部材仮接合工程と、前記切除工程後に、前記補助部材と前記両金属部材とが突き合わされた一対の第二突合せ部に対して摩擦攪拌を行う補修工程と、を含むことを特徴とする
かかる方法によれば、凹部の深さよりも厚く形成された補助部材の表面から回転ツールの攪拌ピンを挿入して第一の本接合工程を行うため、金属不足を防ぐことができる。また、補助部材を凹部に配置することで第一の本接合工程を安定して行うことができる。また、攪拌ピンのみを補助部材及び両金属部材、又は、補助部材のみに接触させた状態で摩擦攪拌を行うため、回転ツールの操作性を向上させることができる。
また、第二突合せ部が摩擦攪拌されることで水密性及び気密性を向上させることができる。また、補助部材仮接合工程を行った後は、第二突合せ部の周辺に接合痕が残存するおそれがあるが、補修工程を行うことで当該接合痕を補修することができる。
また、本発明は、攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、前記金属部材同士を突き合わせて第一突合せ部を形成する突合せ工程と、前記第一突合せ部に沿って形成された凹部に、当該凹部の深さよりも厚く形成された補助部材を配置して前記第一突合せ部を覆う補助部材配置工程と、前記補助部材配置工程を行う前に、前記第一突合せ部に仮接合を行う金属部材仮接合工程と、前記補助部材の表面から回転した前記攪拌ピンを挿入し、前記補助部材及び前記両金属部材、又は、前記補助部材のみに前記攪拌ピンのみを接触させた状態で前記第一突合せ部を摩擦攪拌する第一の本接合工程と、を含むことを特徴とする。
かかる方法によれば、凹部の深さよりも厚く形成された補助部材の表面から回転ツールの攪拌ピンを挿入して第一の本接合工程を行うため、金属不足を防ぐことができる。また、補助部材を凹部に配置することで第一の本接合工程を安定して行うことができる。また、攪拌ピンのみを補助部材及び両金属部材、又は、補助部材のみに接触させた状態で摩擦攪拌を行うため、回転ツールの操作性を向上させることができる。
また、かかる接合方法によれば、第一の本接合工程を行う際の第一突合せ部の目開きを防ぐことができる。
また、前記第一突合せ部に対して前記金属部材の裏面側から摩擦攪拌を行う第二の本接合工程を含み、前記第二の本接合工程では、前記第一の本接合工程で形成された塑性化領域と前記第二の本接合工程で形成された塑性化領域とを接触させることが好ましい。
かかる接合方法によれば、接合部の水密性及び気密性を向上させることができるとともに、接合強度を高めることができる。
また、前記第一突合せ部の脇にタブ材を配置するタブ材配置工程を含み、前記第一の本接合工程では、前記タブ材に形成された下穴に前記回転ツールの前記攪拌ピンを挿入して摩擦攪拌を行うことが好ましい。
かかる接合方法によれば、タブ材を用いることで第一の本接合工程を容易に行うことができる。また、第一の本接合工程後にタブ材を切除することで、金属部材の側面をきれいに仕上げることができる。
また、本発明は、攪拌ピンを備え、摩擦攪拌装置に連結された回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、前記金属部材同士を突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、前記突合せ部を覆うように前記金属部材の表面に断面矩形状を呈する板状の補助部材を配置する補助部材配置工程と、前記補助部材の表面から回転した前記攪拌ピンを挿入し、前記摩擦攪拌装置及び前記回転ツールのうち、前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記補助部材及び前記両金属部材、又は、前記補助部材のみに接触させ摩擦熱を発生させた状態で前記突合せ部を摩擦攪拌する第一の本接合工程と、を含み、前記回転ツールの前記攪拌ピンの外周面には螺旋溝が刻設されており、前記回転ツールを右回転させる場合は、前記螺旋溝を基端から先端に向かうにつれて左回りに形成し、前記回転ツールを左回転させる場合は、前記螺旋溝を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することを特徴とする。
かかる接合方法によれば、補助部材の表面から回転ツールの攪拌ピンを挿入して第一の本接合工程を行うため、金属不足を防ぐことができる。また、攪拌ピンのみを補助部材及び両金属部材、又は、補助部材のみに接触させた状態で摩擦攪拌を行うため、回転ツールの操作性を向上させることができる。
また、前記第一の本接合工程後に、前記金属部材の表面から突出する前記補助部材を切除する切除工程を含むことが好ましい。
かかる接合方法によれば、金属部材の表面を平滑にすることができる。
また、前記第一の本接合工程を行う前に、前記補助部材と前記金属部材とを仮接合する補助部材仮接合工程を含むことが好ましい。
かかる接合方法によれば、補助部材が金属部材に固定されるため、第一の本接合工程をより安定して行うことができる。
また、本発明は、攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、前記金属部材同士を突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、前記突合せ部を覆うように前記金属部材の表面に補助部材を配置する補助部材配置工程と、前記補助部材配置工程を行う前に、前記突合せ部に仮接合を行う金属部材仮接合工程と、前記補助部材の表面から回転した前記回転ツールを挿入し、前記補助部材及び前記両金属部材、又は、前記補助部材のみに前記攪拌ピンのみを接触させた状態で前記突合せ部を摩擦攪拌する第一の本接合工程と、を含むことを特徴とする
かかる方法によれば、凹部の深さよりも厚く形成された補助部材の表面から回転ツールの攪拌ピンを挿入して第一の本接合工程を行うため、金属不足を防ぐことができる。また、補助部材を凹部に配置することで第一の本接合工程を安定して行うことができる。また、攪拌ピンのみを補助部材及び両金属部材、又は、補助部材のみに接触させた状態で摩擦攪拌を行うため、回転ツールの操作性を向上させることができる。
また、かかる接合方法によれば、第一の本接合工程を行う際の突合せ部の目開きを防ぐことができる。
また、前記突合せ部に対して前記金属部材の裏面側から摩擦攪拌を行う第二の本接合工程を含み、前記第二の本接合工程では、前記第一の本接合工程で形成された塑性化領域と前記第二の本接合工程で形成された塑性化領域とを接触させることが好ましい。
かかる接合方法によれば、接合部の水密性及び気密性を向上させることができるとともに、接合強度を高めることができる。
また、前記突合せ部の脇にタブ材を配置するタブ材配置工程を含み、前記第一の本接合工程では、前記タブ材に形成された下穴に前記回転ツールの前記攪拌ピンを挿入して摩擦攪拌を行うことが好ましい。
かかる接合方法によれば、タブ材を用いることで第一の本接合工程を容易に行うことができる。また、第一の本接合工程後にタブ材を切除することで、金属部材の側面をきれいに仕上げることができる。
本発明に係る摩擦攪拌接合方法によれば、回転ツールの操作性を向上させることができるとともに、摩擦攪拌による金属不足を防ぐことができる。
本接合用回転ツールを示す側面図である。 本発明の第一実施形態に係る摩擦攪拌接合方法を示す断面図であって、(a)は突合せ工程を示し、(b)は凹部形成工程及び金属部材仮接合工程を示し、(c)は補助部材配置工程を示す。 第一実施形態に係る補助部材仮接合工程及びタブ材配置工程を示す斜視図である。 第一実施形態に係る第一の本接合工程を示す図であって、(a)は縦断面図を示し、(b)は横断面図を示す。 (a)は第一実施形態に係る第一の本接合工程後を示す断面図であり、(b)は第一実施形態に係る切除工程を示す断面図である。 第一実施形態に係る補修工程を示す斜視図である。 (a)は第一実施形態に係る第二の本接合工程を示す断面図であり、(b)は第一実施形態に係る第二の本接合工程後を示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係る摩擦攪拌接合方法を示す断面図であって、(a)は突合せ工程、金属部材仮接合工程、補助部材配置工程及び補助部材仮接合工程を示し、(b)は第一の本接合工程を示す。 (a)は第二実施形態に係る第一の本接合工程後を示す断面図であり、(b)は第二実施形態に係る切除工程を示す断面図である。 第二実施形態に係る第二の本接合工程を示す断面図である。
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まずは、本実施形態で用いる本接合用回転ツールについて説明する。
図1に示すように、本接合用回転ツールFは、連結部F1と、攪拌ピンF2とで構成されている。本接合用回転ツールFは、特許請求の範囲の「回転ツール」に相当する。本接合用回転ツールFは、例えば工具鋼で形成されている。連結部F1は、摩擦攪拌装置の回転軸に連結される部位である。連結部F1は円柱状を呈し、ボルトが締結されるネジ孔B,Bが形成されている。
攪拌ピンF2は、連結部F1から垂下しており、連結部F1と同軸になっている。攪拌ピンF2は連結部F1から離間するにつれて先細りになっている。
攪拌ピンF2の外周面には螺旋溝F3が刻設されている。本実施形態では、本接合用回転ツールFを右回転させるため、螺旋溝F3は、基端から先端に向かうにつれて左回りに形成されている。言い換えると、螺旋溝F3は、螺旋溝F3を基端から先端に向けてなぞると上から見て左回りに形成されている。
なお、本接合用回転ツールFを左回転させる場合は、螺旋溝F3を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することが好ましい。言い換えると、この場合の螺旋溝F3は、螺旋溝F3を基端から先端に向けてなぞると上から見て右回りに形成されている。螺旋溝F3をこのように設定することで、摩擦攪拌の際に塑性流動化した金属が螺旋溝F3によって攪拌ピンF2の先端側に導かれる。これにより、被接合金属部材(金属部材1,1)の外部に溢れ出る金属の量を少なくすることができる。
本接合用回転ツールFを用いて摩擦攪拌接合をする際には、被接合金属部材に回転した攪拌ピンF2のみを挿入し、被接合金属部材と連結部F1とは離間させつつ移動させる。本接合用回転ツールFの詳細な接合形態については後記する。
[第一実施形態]
次に、第一実施形態に係る摩擦攪拌接合方法について説明する。図2の(a)に示すように、本実施形態では、金属部材1,1同士を突き合わせて形成された第一突合せ部J1を摩擦攪拌によって接合する。金属部材1,1は、金属製の板状部材であって、同等の形状になっている。金属部材1,1は、少なくとも突き合わされる部分が同等の形状であればよい。
金属部材1,1は同等の材料で形成されている。金属部材1の材料は、摩擦攪拌可能な金属であれば特に制限されないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、 マグネシウム、マグネシウム合金等から適宜選択すればよい。
第一本実施形態に係る接合方法では、表面接合工程と、裏面接合工程とを行う。表面接合工程は、金属部材1,1の表面1b,1b側から接合する工程である。裏面接合工程は、裏面1c,1c側から接合する工程である。
表面接合工程は、突合せ工程と、凹部形成工程と、金属部材仮接合工程と、補助部材配置工程と、補助部材仮接合工程と、タブ材配置工程と、第一の本接合工程と、切除工程と、補修工程と、を行う。
突合せ工程は、金属部材1,1を突き合わせる工程である。図2の(a)に示すように、突合せ工程では、金属部材1,1の端面1a,1a同士を突き合わせる。突合せ工程によって第一突合せ部J1が形成される。金属部材1,1の表面1b,1b及び裏面1c,1cはいずれも面一になっている。
凹部形成工程は、第一突合せ部J1に沿って凹部10を形成する工程である。図2の(b)に示すように、凹部形成工程では、第一突合せ部J1に沿って断面矩形状の凹部10を形成する。凹部形成工程では、例えば、エンドミル等を用いて金属部材1,1の一部を切削して形成する。凹部10は、底面10aと、底面10aの両端から立ち上がる側壁10b,10bとで構成されている。凹部10の形状は、本実施形態では断面矩形状にしたが、後記する補助部材11が隙間なく配置されるように、補助部材11の形状に合わせて適宜形成すればよい。
なお、本実施形態では、凹部10を切削により形成したが、これに限定されるものではない。例えば、予め切欠き部が形成された金属部材同士を突き合わせて凹部10を形成してもよい。
金属部材仮接合工程は、金属部材1,1を仮接合する工程である。図2の(b)に示すように、金属部材仮接合工程では、凹部10の底面10aに露出する第一突合せ部J1に沿って摩擦攪拌により仮接合を行う。金属部材仮接合工程は、第一突合せ部J1に対して連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。また、金属部材仮接合工程では、どのような回転ツールを用いてもよいが、本実施形態では小型回転ツール(図示省略)を用いる。小型回転ツールの移動軌跡には塑性化領域Wが形成される。
なお、金属部材仮接合工程は、溶接で行ってもよい。また、金属部材仮接合工程は省略してもよい。
補助部材配置工程は、凹部10に補助部材11を配置する工程である。図2の(c)及び図3に示すように、補助部材11は、断面矩形状を呈する板状部材である。補助部材11の材料は摩擦攪拌可能であれば特に制限されないが、金属部材1と同等の材料で形成することが好ましい。
補助部材11の幅は、凹部10の幅と略同等に形成されている。補助部材11の高さは、凹部10の深さよりも大きく形成されている。補助部材11の高さは、本実施形態では凹部10の深さの二倍程度になっている。補助部材11の長さは適宜設定すればよいが、本実施形態では第一突合せ部J1の長さと同等になっている。補助部材11はほぼ隙間のない状態で凹部10に配置される。補助部材11を配置することによって塑性化領域W(突合せ部J1)が覆われる。
補助部材仮接合工程は、金属部材1,1に補助部材11を仮接合する工程である。図3に示すように、補助部材仮接合工程では、金属部材1の表面1bと補助部材11の側面11cとで構成された入隅部に対して溶接を行う。溶接の種類は特に制限されないが、本実施形態ではTIG溶接又はMIG溶接等の肉盛溶接を行う。肉盛溶接は、連続的に行ってもよいが、本実施形態では断続的に行っている。肉盛溶接を行うことにより、入隅部には複数の溶接金属W0が形成される。なお、補助部材仮接合工程は省略してもよい。
タブ材配置工程は、金属部材1,1の脇にタブ材TB,TBを配置する工程である。図3に示すように、タブ材配置工程では、金属部材1,1の側面に露出する第一突合せ部J1を覆うようにタブ材TB,TBを配置する。タブ材TBの高さは、金属部材1の高さと同等になっている。タブ材TBの側面と金属部材1の側面とで構成された入隅部に溶接により仮接合を行うことで金属部材1,1に対してタブ材TBを固定することができる。タブ材TBの表面TBaと金属部材1の表面1bは面一になるとともに、裏面TBbと金属部材1の裏面1cは面一になる。
また、タブ材配置工程では、タブ材TBの表面TBa及び裏面TBbに下穴Zを形成する。下穴Zは、本接合用回転ツールFを挿入する際の挿入抵抗を軽減するための穴である。下穴Zは、第一突合せ部J1の延長線上に形成されている。下穴Zの形状や大きさ等は適宜設定すればよい。なお、タブ材配置工程は省略してもよい。
第一の本接合工程は、金属部材1,1の表面1b,1b側から本接合用回転ツールFを挿入して摩擦攪拌を行う工程である。第一の本接合工程では、まず、図3に示す一方のタブ材TBに形成された下穴Zに回転した攪拌ピンF2を所定の深さまで挿入する。そして、深さを一定に保った状態で他方のタブ材TBまで相対移動させる。
図4の(a)及び(b)に示すように、第一の本接合工程では、補助部材11を貫通し攪拌ピンF2の先端を第一突合せ部J1の半分程度の深さまで挿入する。第一の本接合工程では、金属部材1,1及び補助部材11に回転した攪拌ピンF2のみを挿入し、補助部材11と連結部F1とは離間させつつ相対移動させる。言い換えると、攪拌ピンF2の基端部は露出させた状態で摩擦攪拌接合を行う。本接合用回転ツールFの移動軌跡には摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域W1が形成される。他方のタブ材TBまで本接合用回転ツールFを相対移動させたら、他方のタブ材TB上で本接合用回転ツールFを離脱させる。
図5の(a)に示すように、第一の本接合工程を行うと、補助部材11の表面11aには凹溝12が形成されるとともに、凹溝12の周囲にバリVが形成される。本実施形態では、ショルダ部で塑性流動化した金属を押さえないで本接合工程を行うため、摩擦攪拌によって形成される凹溝12が深くなる傾向にあるとともにバリVが多く発生しやすい。
第一の本接合工程によって形成される凹溝12の底面12aは、金属部材1の表面1bよりも上方に位置している。補助部材11の厚さや形状等は、第一の本接合工程によって形成された凹溝12の底面12aが金属部材1の表面1bよりも上方に位置するように設定することが好ましい。
切除工程は、補助部材11、バリV及び溶接金属W0を切除する工程である。切除工程では、図5の(a)に示すように、金属部材1の表面1bを含む基準面に沿って、補助部材11、バリV及び溶接金属W0を切除する。これにより、図5の(b)に示すように、金属部材1の表面1bと切除後の補助部材11の表面11a’は面一になる。また、補助部材11の側面11cと金属部材1,1とがそれぞれ突き合わされた第二突合せ部J2,J2が露出する。
なお、切除工程では、金属部材1の表面1bを含む基準面よりも上方(凹溝12側)の位置で切除してもよい。つまり、切除工程では、金属部材1の表面1bから突出する補助部材11の一部を切除するだけでもよい。また、切除工程は省略してもよい。
補修工程は、第二突合せ部J2,J2に対して摩擦攪拌接合を行う工程である。図6に示すように、補修工程では、小型回転ツールHを用いて第二突合せ部J2に対して摩擦攪拌を行う。補修工程では、タブ材TBに小型回転ツールHを挿入した後、第二突合せ部J2,J2に沿って小型回転ツールHを相対移動させつつ他方のタブ材TBまで相対移動させる。小型回転ツールHは、ショルダ部とショルダ部に突設された攪拌ピンとで構成されている。
補修工程では、小型回転ツールHのショルダ部を金属部材1,1に数ミリ程度押し込んで摩擦攪拌を行う。小型回転ツールHの移動軌跡には塑性化領域W2,W2が形成される。なお、補修工程は省略してもよい。
次に、金属部材1,1を裏返し、裏面接合工程を行う。裏面接合工程は、凹部形成工程と、金属部材仮接合工程と、補助部材配置工程と、補助部材仮接合工程と、第二の本接合工程と、切除工程と、補修工程と、を行う。
凹部形成工程、金属部材仮接合工程、補助部材配置工程及び補助部材仮接合工程は、金属部材1,1の裏面1c,1cに対して行うことを除いて表面接合工程と略同等であるため説明を省略する。
第二の本接合工程は、金属部材1,1の裏面1c,1c側から第一突合せ部J1に対して摩擦攪拌接合を行う工程である。図7の(a)は第一実施形態に係る第二の本接合工程を示す断面図であり、(b)は第一実施形態に係る第二の本接合工程後を示す断面図である。図7では、表面側接合工程と同じ部材には同等の符号を付している。
図7の(a)に示すように、第二の本接合工程では、補助部材11を貫通し攪拌ピンF2の先端を塑性化領域W1に入り込む深さまで挿入する。第二の本接合工程では、金属部材1,1及び補助部材11に回転した攪拌ピンF2のみを挿入し、補助部材11と連結部F1とは離間させつつ移動させる。言い換えると、攪拌ピンF2の基端部は露出させた状態で摩擦攪拌接合を行う。本接合用回転ツールFの移動軌跡には摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域W3が形成される。
図7の(b)に示すように、第二の本接合工程を行うと、補助部材11の表面11aには凹溝12が形成されるとともに、凹溝12の周囲にバリVが形成される。本実施形態では、ショルダ部で塑性流動化した金属を押さえないで本接合工程を行うため、摩擦攪拌によって形成される凹溝12が深くなる傾向にあるとともにバリVが多く発生しやすい。
第二の本接合工程によって形成される凹溝12の底面12aは、金属部材1の裏面1cよりも上方に位置している。補助部材11の厚さや形状等は、第二の本接合工程によって形成された凹溝12の底面12aが金属部材1の裏面1cよりも上方に位置するように設定することが好ましい。
裏面接合工程の切除工程及び補修工程は、金属部材1,1の裏面1c,1c側に行うことを除いて第一実施形態と同等であるため説明を省略する。
以上説明した第一本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法によれば、凹部10の深さよりも厚く形成された補助部材11を配置するとともに、補助部材11の表面11aから本接合用回転ツールFの攪拌ピンF2を挿入して第一の本接合工程及び第二の本接合工程を行うため、金属不足を防ぐことができる。
また、凹部10に補助部材11を配置することで補助部材11の位置決めが容易になるとともに、第一の本接合工程及び第二の本接合工程を安定して行うことができる。また、本実施形態では補助部材仮接合工程を行って金属部材1,1に対して補助部材11を固定するため、より安定して第一の本接合工程及び第二の本接合工程を行うことができる。
また、攪拌ピンF2のみを補助部材11及び金属部材1,1に接触させた状態で摩擦攪拌を行うため、本接合用回転ツールFの操作性を向上させることができる。つまり、攪拌ピンF2のみを補助部材11及び金属部材1,1に接触させた状態で摩擦攪拌を行うことで、金属部材1,1との摩擦を軽減することができるため、摩擦攪拌装置Dに作用する負荷を軽減することができる。これにより、摩擦攪拌装置Dに作用する負荷を軽減した状態で第一突合せ部J1の深い位置を接合することができる。
また、本実施形態では切除工程を行うことで、金属部材1,1の表面1b,1b及び裏面1c,1cを平滑にすることができる。また、切除工程を行うことで、金属部材1,1の表面1b,1bが平滑になるため、金属部材1,1を裏返して裏面接合工程を行う際にガタつくことなく安定して行うことができる。
また、補修工程を行うことで、補助部材11と金属部材1,1とが突き合わされて形成された第二突合せ部J2,J2が摩擦攪拌される。これにより、金属部材1,1の水密性及び気密性を向上させることができる。また、本実施形態のように補助部材仮接合工程を溶接によって行う場合、切除工程を行っても金属部材1の表面1b及び裏面1cが変色していたり、改質したりする場合があるが、補修工程を行うことでこれらの変色箇所や改質箇所等の接合痕W0’(図6参照)を補修することができる。
また、補助部材配置工程を行う前に、第一突合せ部J1に金属部材仮接合工程を行うことで、第一の本接合工程及び第二の本接合工程を行う際の第一突合せ部J1の目開きを防ぐことができる。
また、第一の本接合工程で形成された塑性化領域W1と第二の本接合工程で形成された塑性化領域W3とを接触させることで接合部の気密性及び水密性を向上させることができるとともに接合強度を高めることができる。第二の本接合工程の攪拌ピンG2の挿入深さは適宜設定すればよいが、本実施形態では、攪拌ピンG2を塑性化領域W1に入り込ませつつ摩擦攪拌を行うため、塑性化領域W1の先端側に形成された接合欠陥を再度摩擦攪拌することができる。これにより、接合部の水密性及び気密性をより向上させることができる。
また、タブ材配置工程を行うことで、第一の本接合工程、第二の本接合工程及び補修工程を容易に行うことができる。また、第二の本接合工程を行った後にタブ材TBを切除することで、金属部材1の側面をきれいに仕上げることができる。また、タブ材TBの表面TBa(又は裏面TBb)の高さは補助部材11の表面11aの高さと面一となるように設定してもよいが、本実施形態のように、タブ材TBの表面TBaと金属部材1の表面1b(又は裏面TBbと裏面1c)とが面一となるように設定することで、補修工程を行う際にもタブ材TBを利用することができる。
以上本発明の第一実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。例えば、第一実施形態では、第一の本接合工程を行う際に、金属部材1,1及び補助部材11の両方に攪拌ピンF2を接触させた状態で摩擦攪拌を行ったが、補助部材11のみに攪拌ピンF2を接触させた状態で摩擦攪拌を行ってもよい。この場合は、攪拌ピンF2と補助部材11との接触によって生じた摩擦熱で、金属部材1,1が塑性流動化されることにより、第一突合せ部J1が接合される。
また、第一実施形態の第二の接合工程は、第一の接合工程と同じ工程としたが、これに限定されるものではない。第二の接合工程は、第二の接合工程で形成される塑性化領域が第一の接合工程で形成される塑性化領域W1と接触するように接合することが好ましいが、少なくとも金属部材1,1の裏面1c,1cに露出する第一突合せ部J1を接合可能であればよい。第二の本接合工程では、補助部材11を省略してもよい。また、第一実施形態の第二の本接合工程では、本接合用回転ツールFを用いて摩擦攪拌を行ったが、どのような形態の回転ツールを用いてもよい。
また、前記した第一実施形態では、補助部材仮接合工程及び補修工程の両方を行ったが、両者のうち補助部材仮接合工程を省略して補修工程のみを行ってもよい。
また、本実施形態では、前記した順番で工程を行ったがこれに限定されるものではない。例えば、凹溝形成工程及び金属部材仮接合工程を金属部材1,1の表裏面に行った後に、表面接合工程の補助部材配置工程、補助部材仮接合工程、タブ材配置工程及び第一の本接合工程を行ってもよい。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。第二本実施形態に係る接合方法では、表面接合工程と、裏面接合工程を行う。第二実施形態は、主に凹部10を形成しない点で第一実施形態と相違する。第二実施形態では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
表面接合工程は、突合せ工程と、金属部材仮接合工程と、補助部材配置工程と、補助部材仮接合工程と、タブ材配置工程と、第一の本接合工程と、切除工程と、を行う。
図8の(a)に示すように、突合せ工程では、金属部材1,1の端面1a,1a同士を突き合わせて突合せ部Jを形成する。
金属部材仮接合工程では、突合せ部Jに沿って小型回転ツール(図示省略)を用いて仮接合を行う。小型回転ツールの移動軌跡には塑性化領域Wが形成される。
補助部材配置工程は、金属部材1,1の表面1b,1bに補助部材11を配置する工程である。補助部材配置工程では、塑性化領域W(突合せ部J)を覆うように補助部材11の裏面11bを金属部材1,1の表面1b,1bに接触させる。補助部材11は、断面矩形状を呈する板状部材である。
補助部材仮接合工程では、金属部材1,1と補助部材11とを肉盛溶接で仮接合する。
タブ材配置工程は、具体的な図示は省略するが、図3を参照するように、金属部材1,1の両脇にタブ材を配置する。
第一の本接合工程は、金属部材1,1の表面1b,1b側から本接合用回転ツールFを挿入して摩擦攪拌を行う工程である。第一の本接合工程では、一方のタブ材に形成された下穴に回転した攪拌ピンF2を所定の深さまで挿入する。そして、深さを一定に保った状態で他方のタブ材TBまで相対移動させる。
図8の(b)に示すように、第一の本接合工程では、補助部材11を貫通し攪拌ピンF2の先端を突合せ部Jの半分程度の深さまで挿入する。第一の本接合工程では、金属部材1,1及び補助部材11に回転した攪拌ピンF2のみを挿入し、補助部材11と連結部F1とは離間させつつ移動させる。言い換えると、攪拌ピンF2の基端部は露出させた状態で摩擦攪拌接合を行う。本接合用回転ツールFの移動軌跡には摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域W1が形成される。他方のタブ材まで本接合用回転ツールFを相対移動させたら、他方のタブ材上で本接合用回転ツールFを離脱させる。
図9の(a)に示すように、第一の本接合工程を行うと、補助部材11の表面11aには凹溝12が形成されるとともに、凹溝12の周囲にバリVが形成される。本実施形態では、ショルダ部で塑性流動化した金属を押さえないで本接合工程を行うため、摩擦攪拌によって形成される凹溝12が深くなる傾向にあるとともにバリVが多く発生しやすい。
第一の本接合工程によって形成される凹溝12の底面12aは、金属部材1の表面1bよりも上方に位置している。補助部材11の厚さや形状等は、第一の本接合工程によって形成された凹溝12の底面12aが金属部材1の表面1bよりも上方に位置するように設定することが好ましい。
切除工程は、補助部材11、バリV及び溶接金属W0を切除する工程である。切除工程では、図9の(b)に示すように、金属部材1の表面1bを含む基準面に沿って、補助部材11、バリV及び溶接金属W0を切除する。これにより、金属部材1の表面1bと切除後の塑性化領域W1の表面W1aは面一になる。
なお、切除工程では、金属部材1の表面1bを含む基準面よりも上方(凹溝12側)の位置で切除してもよい。つまり、切除工程では、金属部材1の表面1bから突出する補助部材11の一部を切除するだけでもよい。また、切除工程は省略してもよい。
次に、金属部材1,1を裏返し、裏面接合工程を行う。裏面接合工程は、金属部材仮接合工程と、補助部材配置工程と、補助部材仮接合工程と、第二の本接合工程と、切除工程と、を行う。
金属部材仮接合工程、補助部材配置工程及び補助部材仮接合工程は、金属部材1,1の裏面1c,1cに対して行うことを除いて表面接合工程と略同等であるため説明を省略する。
第二の本接合工程は、金属部材1,1の裏面1c,1c側から突合せ部Jに対して摩擦攪拌接合を行う工程である。図10に示すように、第二の本接合工程では、本接合用回転ツールFを用いて行う。
第二の本接合工程では、補助部材11を貫通し攪拌ピンF2の先端を塑性化領域W1に入り込む深さまで挿入する。第二の本接合工程では、金属部材1,1及び補助部材11に回転した攪拌ピンF2のみを挿入し、補助部材11と連結部F1とは離間させつつ移動させる。言い換えると、攪拌ピンF2の基端部は露出させた状態で摩擦攪拌接合を行う。本接合用回転ツールFの移動軌跡には摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域W3が形成される。
第二の本接合工程を終了したら、切除工程を行う。切除工程は、金属部材1,1の裏面1c,1cに対して行うことを除いては、表面接合工程と同等である。
以上説明した第二実施形態に係る摩擦攪拌接合方法によれば、突合せ部Jを覆うように補助部材11を配置するとともに、補助部材11の表面11aから本接合用回転ツールFの攪拌ピンF2を挿入して第一の本接合工程及び第二の本接合工程を行うため、金属不足を防ぐことができる。つまり、第一実施形態のように凹部10を設けずに、補助部材11を金属部材1の表面1b及び裏面1cに配置する構成としても第一実施形態と略同等の効果を得ることができる。
また、第二実施形態においても、第一の本接合工程及び第二の本接合工程を行う際に、金属部材1,1及び補助部材11の両方に攪拌ピンF2を接触させた状態で摩擦攪拌を行ったが、補助部材11のみに攪拌ピンF2を接触させた状態で摩擦攪拌を行ってもよい。この場合は、攪拌ピンF2と補助部材11との接触によって生じた摩擦熱で、金属部材1,1が塑性流動化されることにより、突合せ部Jが接合される。
1 金属部材
1a 端面
1b 表面
1c 裏面
10 凹部
11 補助部材
J1 第一突合せ部
J2 第二突合せ部
J 突合せ部
H 小型回転ツール
F 本接合用回転ツール
F1 連結部
F2 攪拌ピン
W1,W2,W3 塑性化領域
Z 下穴

Claims (14)

  1. 攪拌ピンを備え、摩擦攪拌装置に連結された回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、
    前記金属部材同士を突き合わせて第一突合せ部を形成する突合せ工程と、
    前記第一突合せ部に沿って形成された凹部に、当該凹部の深さよりも厚く形成された断面矩形状を呈する板状の補助部材を配置して前記第一突合せ部を覆う補助部材配置工程と、
    前記補助部材の表面から回転した前記攪拌ピンを挿入し、前記摩擦攪拌装置及び前記回転ツールのうち、前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記補助部材及び前記両金属部材、又は、前記補助部材のみに接触させ摩擦熱を発生させた状態で前記第一突合せ部を摩擦攪拌する第一の本接合工程と、を含み、
    前記回転ツールの前記攪拌ピンの外周面には螺旋溝が刻設されており、前記回転ツールを右回転させる場合は、前記螺旋溝を基端から先端に向かうにつれて左回りに形成し、前記回転ツールを左回転させる場合は、前記螺旋溝を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  2. 前記第一の本接合工程後に、前記金属部材の表面から突出する前記補助部材を切除する切除工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の摩擦攪拌接合方法。
  3. 前記第一の本接合工程を行う前に、前記補助部材と前記金属部材とを仮接合する補助部材仮接合工程を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摩擦攪拌接合方法。
  4. 攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、
    前記金属部材同士を突き合わせて第一突合せ部を形成する突合せ工程と、
    前記第一突合せ部に沿って形成された凹部に、当該凹部の深さよりも厚く形成された補助部材を配置して前記第一突合せ部を覆う補助部材配置工程と、
    前記補助部材の表面から回転した前記攪拌ピンを挿入し、前記補助部材及び前記両金属部材、又は、前記補助部材のみに前記攪拌ピンのみを接触させた状態で前記第一突合せ部を摩擦攪拌する第一の本接合工程と、
    前記第一の本接合工程後に、前記金属部材の表面から突出する前記補助部材を切除する切除工程と、
    前記切除工程後に、前記補助部材と前記両金属部材とが突き合わされた一対の第二突合せ部に対して摩擦攪拌を行う補修工程を含むことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  5. 攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、
    前記金属部材同士を突き合わせて第一突合せ部を形成する突合せ工程と、
    前記第一突合せ部に沿って形成された凹部に、当該凹部の深さよりも厚く形成された補助部材を配置して前記第一突合せ部を覆う補助部材配置工程と、
    前記補助部材の表面から回転した前記攪拌ピンを挿入し、前記補助部材及び前記両金属部材、又は、前記補助部材のみに前記攪拌ピンのみを接触させた状態で前記第一突合せ部を摩擦攪拌する第一の本接合工程と、
    前記第一の本接合工程後に、前記金属部材の表面から突出する前記補助部材を切除する切除工程と、
    前記第一の本接合工程を行う前に、前記補助部材と前記金属部材とを仮接合する補助部材仮接合工程と、
    前記切除工程後に、前記補助部材と前記両金属部材とが突き合わされた一対の第二突合せ部に対して摩擦攪拌を行う補修工程と、を含むことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  6. 攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、
    前記金属部材同士を突き合わせて第一突合せ部を形成する突合せ工程と、
    前記第一突合せ部に沿って形成された凹部に、当該凹部の深さよりも厚く形成された補助部材を配置して前記第一突合せ部を覆う補助部材配置工程と、
    前記補助部材配置工程を行う前に、前記第一突合せ部に仮接合を行う金属部材仮接合工程と、
    前記補助部材の表面から回転した前記攪拌ピンを挿入し、前記補助部材及び前記両金属部材、又は、前記補助部材のみに前記攪拌ピンのみを接触させた状態で前記第一突合せ部を摩擦攪拌する第一の本接合工程と、を含むことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  7. 前記第一突合せ部に対して前記金属部材の裏面側から摩擦攪拌を行う第二の本接合工程を含み、
    前記第二の本接合工程では、前記第一の本接合工程で形成された塑性化領域と前記第二の本接合工程で形成された塑性化領域とを接触させることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の摩擦攪拌接合方法。
  8. 前記第一突合せ部の脇にタブ材を配置するタブ材配置工程を含み、
    前記第一の本接合工程では、前記タブ材に形成された下穴に前記回転ツールの前記攪拌ピンを挿入して摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の摩擦攪拌接合方法。
  9. 攪拌ピンを備え、摩擦攪拌装置に連結された回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、
    前記金属部材同士を突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、
    前記突合せ部を覆うように前記金属部材の表面に断面矩形状を呈する板状の補助部材を配置する補助部材配置工程と、
    前記補助部材の表面から回転した前記攪拌ピンを挿入し、前記摩擦攪拌装置及び前記回転ツールのうち、前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記補助部材及び前記両金属部材、又は、前記補助部材のみに接触させ摩擦熱を発生させた状態で前記突合せ部を摩擦攪拌する第一の本接合工程と、を含み、
    前記回転ツールの前記攪拌ピンの外周面には螺旋溝が刻設されており、前記回転ツールを右回転させる場合は、前記螺旋溝を基端から先端に向かうにつれて左回りに形成し、前記回転ツールを左回転させる場合は、前記螺旋溝を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  10. 前記第一の本接合工程後に、前記金属部材の表面から突出する前記補助部材を切除する切除工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の摩擦攪拌接合方法。
  11. 前記第一の本接合工程を行う前に、前記補助部材と前記金属部材とを仮接合する補助部材仮接合工程を含むことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の摩擦攪拌接合方法。
  12. 攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、
    前記金属部材同士を突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、
    前記突合せ部を覆うように前記金属部材の表面に補助部材を配置する補助部材配置工程と、
    前記補助部材配置工程を行う前に、前記突合せ部に仮接合を行う金属部材仮接合工程と、
    前記補助部材の表面から回転した前記回転ツールを挿入し、前記補助部材及び前記両金属部材、又は、前記補助部材のみに前記攪拌ピンのみを接触させた状態で前記突合せ部を摩擦攪拌する第一の本接合工程と、を含むことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  13. 前記突合せ部に対して前記金属部材の裏面側から摩擦攪拌を行う第二の本接合工程を含み、
    前記第二の本接合工程では、前記第一の本接合工程で形成された塑性化領域と前記第二の本接合工程で形成された塑性化領域とを接触させることを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれか一項に記載の摩擦攪拌接合方法。
  14. 前記突合せ部の脇にタブ材を配置するタブ材配置工程を含み、
    前記第一の本接合工程では、前記タブ材に形成された下穴に前記回転ツールの前記攪拌ピンを挿入して摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項9乃至請求項13のいずれか一項に記載の摩擦攪拌接合方法。
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