JP2017185500A - 液冷ジャケットの製造方法 - Google Patents
液冷ジャケットの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017185500A JP2017185500A JP2016073865A JP2016073865A JP2017185500A JP 2017185500 A JP2017185500 A JP 2017185500A JP 2016073865 A JP2016073865 A JP 2016073865A JP 2016073865 A JP2016073865 A JP 2016073865A JP 2017185500 A JP2017185500 A JP 2017185500A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- sealing body
- auxiliary member
- jacket
- manufacturing
- rotary tool
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Cooling Or The Like Of Semiconductors Or Solid State Devices (AREA)
- Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)
Abstract
【課題】接合部の金属不足を防ぐとともにバリを容易に除去することができる液冷ジャケットの製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】封止体3と、枠状の周壁部11を有するジャケット本体2を準備する準備工程と、封止体3を周壁部11の端面11aに載置して重合部J1を形成する重合工程と、周壁部11と封止体3とで構成された内隅に補助部材30を配置する配置工程と、内隅に接合用回転ツールFを挿入し、攪拌ピンF2のみをジャケット本体2、封止体3及び補助部材30に接触させた状態で重合部J1に摩擦攪拌を行う摩擦攪拌工程と、バリが形成された補助部材30を除去する除去工程と、を含み、摩擦攪拌工程では、内隅に沿って接合用回転ツールFを封止体3の回りに一周させることを特徴とする。【選択図】図9
Description
本発明は、液冷ジャケットの製造方法に関する。
金属部材同士を接合する方法として、摩擦攪拌接合(FSW=Friction Stir Welding)が知られている。摩擦攪拌接合とは、回転ツールを回転させつつ金属部材同士の突合せ部に沿って移動させ、回転ツールと金属部材との摩擦熱により突合せ部の金属を塑性流動させることで、金属部材同士を固相接合させるものである。
近年、パーソナルコンピュータに代表される電子機器は、その性能が向上するにつれて、搭載されるCPU(発熱体)の発熱量が増大しており、CPUの冷却が重要になっている。従来、CPUを冷却するために、空冷ファン方式のヒートシンクが使用されてきたが、ファン騒音や、空冷方式での冷却限界といった問題がクローズアップされるようになり、次世代冷却方式として、液冷ジャケットが注目されている。
このような液冷ジャケットの製造方法として、金属製の構成部材同士を摩擦攪拌接合によって接合する技術が特許文献1で開示されている。従来の液冷ジャケットは、上方が開放された箱状のジャケット本体と、ジャケット本体の開口部を封止する板状の封止体とで構成されている。
従来の液冷ジャケットの製造方法では、ジャケット本体の段差部に板厚の封止体を載置し、ジャケット本体と封止体との内隅から回転ツールの攪拌ピンを挿入し、回転ツールを封止体の周囲に一周させるというものである。
従来の液冷ジャケットの製造方法では、攪拌ピンのみを内隅に挿入した状態で摩擦攪拌を行うため、塑性流動材が外部に溢れ出し、接合部が金属不足になるというおそれがある。また、回転ツールのショルダ部で金属を押さえないためバリが多く発生し、バリを除去する工程が煩雑になるという問題がある。
そこで、本発明は、接合部の金属不足を防ぐとともにバリを容易に除去することができる液冷ジャケットの製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、熱輸送流体が流れる凹部を有するジャケット本体と、前記凹部の開口部を封止する封止体とで構成される液冷ジャケットの製造方法であって、底部及び前記底部の周縁から立ち上る枠状の周壁部を有する前記ジャケット本体と、前記封止体とを準備する準備工程と、前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて重合部を形成する重合工程と、前記周壁部の端面と前記封止体の側面とで構成された内隅に補助部材を配置する配置工程と、前記内隅に攪拌ピンを備えた回転ツールを挿入し、前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体、前記封止体及び前記補助部材に接触させた状態で前記重合部に摩擦攪拌を行う摩擦攪拌工程と、バリが形成された前記補助部材を前記ジャケット本体及び前記封止体の少なくとも一方から除去する除去工程と、を含み、前記摩擦攪拌工程では、前記内隅に沿って前記回転ツールを前記封止体の回りに一周させて前記重合部を接合することを特徴とする。
かかる製造方法によれば、内隅に補助部材を配置して、ジャケット本体と封止体に加え補助部材も同時に摩擦攪拌することにより接合部の金属不足を防ぐことができる。また、除去工程によって、補助部材ごとバリを除去することができるため、バリを容易に除去することができる。
また、前記摩擦攪拌工程では、前記バリが前記補助部材に発生するように接合条件を設定することが好ましい。かかる製造方法によれば、バリをより容易に除去することができる。
また、前記摩擦攪拌工程では、前記回転ツールの回転中心軸を外側に傾斜させた状態で摩擦攪拌を行うことが好ましい。かかる製造方法によれば、回転ツールを内隅に容易に挿入することができる。
また、前記準備工程では、前記底部に、前記周壁部の端面と面一の端面を備えた支持部を立設するとともに、当該支持部の端面に突出部を形成し、前記封止体の裏面に凹溝を形成し、前記重合工程では、前記凹溝に前記突出部を挿入しつつ、前記周壁部の端面及び前記支持部の端面を覆うように前記封止体を載置し、前記摩擦攪拌工程では、前記凹溝と前記突出部とが嵌め合わされた嵌合部に対して、前記回転ツールを前記封止体のみ、又は、前記封止体及び前記突出部に接触させた状態で摩擦攪拌することが好ましい。
かかる製造方法によれば、封止体を支持部で支持するとともに、支持部と封止体も摩擦攪拌接合するため、液冷ジャケットの強度を高めることができる。また、凹溝に突出部を挿入することにより封止体の位置決め作業を容易に行うことができる。
また、前記摩擦攪拌工程では、前記回転ツールの攪拌ピンを前記突出部に沿って一周以上相対移動させた後、前記回転ツールを前記封止体から離脱させることが好ましい。
かかる製造方法によれば、接合強度を高めることができるとともに、水密性及び気密性を高めることができる。
本発明に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、接合部の金属不足を防ぐことができるとともに、バリを容易に除去することができる。
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法及び液冷ジャケットについて、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法では、準備工程と、重合工程と、配置工程と、摩擦攪拌工程と、除去工程とを行う。なお、以下の説明における「表面」とは、「裏面」の反対側の面という意味である。
本発明の第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法及び液冷ジャケットについて、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法では、準備工程と、重合工程と、配置工程と、摩擦攪拌工程と、除去工程とを行う。なお、以下の説明における「表面」とは、「裏面」の反対側の面という意味である。
準備工程は、図1に示すように、ジャケット本体2と封止体3とを用意する工程である。ジャケット本体2は、底部10と、周壁部11と、支持部12とから構成されている。ジャケット本体2の材料は、摩擦攪拌可能な金属であればよいが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金等摩擦攪拌可能な金属で形成されている。ジャケット本体2は、上方が開口した箱状部材である。底部10は、平面視矩形を呈する。周壁部11は、底部10の周縁から立ち上っており、矩形枠状を呈する。
周壁部11は、壁部11A,11B,11C,11Dで構成されている。壁部11A,11Bは互いに対向しており短辺部となっている。壁部11C,11Dは、互いに対向しており長辺部となっている。ジャケット本体2の内部には凹部13が形成されている。
支持部12は、底部10から立ち上るとともに、周壁部11の壁部11Bから延設されている。支持部12は、周壁部11から離間して形成されていてもよいし、省略してもよい。支持部12の端面12aは、周壁部11の端面11aと面一になっている。支持部12の端面12aには、突出部12bが形成されている。突出部12bは、本実施形態では円柱状を呈する。突出部12bは、封止体3に嵌め合わされる部位である。
封止体3は、ジャケット本体2の開口部を覆う金属部材である。封止体3の材料は特に制限されないが、本実施形態では、ジャケット本体2と同じ材料で形成されている。封止体3は、平面視矩形状を呈する板状部材である。封止体3の裏面3bには、凹溝4が3つ形成されている。凹溝4は、突出部12bに対応する位置において、突出部12bが挿入されるように形成されている。凹溝4の中空部の形状は、本実施形態では円柱状を呈するが、突出部12bが挿入可能な形状であればよい。
重合工程は、図2に示すように、ジャケット本体2と封止体3とを重ね合わせる工程である。図3に示すように、重合工程では、周壁部11の端面11aに封止体3を載置する。周壁部11の端面11aと封止体3の裏面3bとが重ね合わされて重合部J1が形成される。重合部J1は、封止体3の全周に亘って形成される。また、周壁部11の端面11aと、封止体3の4つの側面3cとで内隅が形成される。また、重合工程では、支持部12の突出部12bに、封止体3の凹溝4を嵌め合わせる。これにより、嵌合部J2が形成される。
配置工程は、図4に示すように、ジャケット本体2に補助部材30を配置する工程である。補助部材30は、平面視矩形の中空部31が形成された板状部材である。補助部材30の板厚寸法は、後記する第二摩擦攪拌工程において接合部に金属不足が起こらない程度に適宜設定する。中空部31は、封止体3の平面形状と同じ形状になっている。補助部材30の材料は、摩擦攪拌可能な金属であれば特に制限されないが、本実施形態ではジャケット本体2及び封止体3と同じ材料になっている。補助部材30の一部には、幅方向に連続するスリット32が形成されている。
配置工程では、図5に示すように、周壁部11の端面11aに補助部材30を配置する。これにより、端面11aは、補助部材30によって覆われる。補助部材30の内周縁は、封止体3の側面3cに面接触するか、若しくは微細な隙間をあけて配置される。なお、本実施形態では端面11aの全体を補助部材30で覆っているが、端面11aの一部が覆われるように補助部材30の大きさを調節してもよい。
摩擦攪拌工程は、ジャケット本体2と封止体3とを接合用回転ツールFを用いて摩擦攪拌接合する工程である。接合用回転ツールFは、図6及び図7に示すように、連結部F1と、攪拌ピンF2とで構成されている。接合用回転ツールFは、特許請求の範囲の「回転ツール」に相当する。接合用回転ツールFは、例えば工具鋼で形成されている。連結部F1は、摩擦攪拌装置の回転軸(図示省略)に連結される部位である。連結部F1は円柱状を呈している。
攪拌ピンF2は、連結部F1から垂下しており、連結部F1と同軸になっている。攪拌ピンF2は連結部F1から離間するにつれて先細りになっている。攪拌ピンF2の外周面には螺旋溝が刻設されている。本実施形態では、接合用回転ツールFを右回転させるため、螺旋溝は、基端から先端に向かうにつれて左回りに形成されている。言い換えると、螺旋溝は、螺旋溝を基端から先端に向けてなぞると上から見て左回りに形成されている。
なお、接合用回転ツールFを左回転させる場合は、螺旋溝を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することが好ましい。言い換えると、この場合の螺旋溝は、螺旋溝を基端から先端に向けてなぞると上から見て右回りに形成されている。螺旋溝をこのように設定することで、摩擦攪拌の際に塑性流動化した金属が螺旋溝によって攪拌ピンF2の先端側に導かれる。これにより、被接合金属部材(ジャケット本体2、封止体3及び補助部材30)の外部に溢れ出る金属の量を少なくすることができる。螺旋溝は省略してもよい。
接合用回転ツールFは、マシニングセンタ等の摩擦攪拌装置に取り付けてもよいが、例えば、先端にスピンドルユニット等の回転手段を備えたアームロボットに取り付けてもよい。アームロボットに接合用回転ツールFを取り付けることにより接合用回転ツールFの回転中心軸Fcの傾斜角度を容易に変更することができる。
本実施形態の摩擦攪拌工程では、第一摩擦攪拌工程と、第二摩擦攪拌工程とを行う。第一摩擦攪拌工程は、支持部12と封止体3とを接合する工程である。図6に示すように、第一摩擦攪拌工程では、封止体3の表面3aに設定した開始位置Sp1に、右回転させた接合用回転ツールFの攪拌ピンF2を挿入する。開始位置Sp1は突出部12bの外縁に対応する位置に設定する。
図7に示すように、第一摩擦攪拌工程では、攪拌ピンF2が突出部12bに達するか、若しくは攪拌ピンF2を封止体3のみに接触させた状態で突出部12bと凹溝4との嵌合部J2を摩擦攪拌接合する。接合用回転ツールFの移動軌跡には、塑性化領域W1が形成される。接合用回転ツールFを突出部12b回りに一周以上させたら、接合用回転ツールFを離脱させる。同様の工程を各突出部12b(嵌合部J2)ごとに行う。なお、この際に、封止体3の表面3aに接合用回転ツールFの抜き穴が形成されるが、当該抜き穴に肉盛溶接を行って補修してもよい。もしくは、抜き穴が形成されないように接合用回転ツールFを相対移動させながら徐々に引き抜いてもよい。
第二摩擦攪拌工程は、周壁部11と封止体3とを接合する工程である。図8に示すように、まず、補助部材30に設定した開始位置Sp2に右回転させた接合用回転ツールFの攪拌ピンF2を挿入し、内隅に向けて相対移動させる。攪拌ピンF2が内隅に達したら図9に示すように、接合用回転ツールFの回転中心軸Fcを封止体3に対して外側に傾斜させる。そして、接合用回転ツールFを傾斜させた状態で封止体3の周囲に亘って相対移動させて重合部J1を摩擦攪拌接合する。接合用回転ツールFの移動軌跡には、塑性化領域W2が形成される。
第二摩擦攪拌工程では、重合部J1に右回転させた攪拌ピンF2のみを挿入し、被接合金属部材と連結部F1とは離間させつつ相対移動させる。言い換えると、攪拌ピンF2の基端部は露出させた状態で摩擦攪拌接合を行う。そして、ジャケット本体2、封止体3及び補助部材30と攪拌ピンF2とを接触させた状態で重合部J1に沿って接合用回転ツールFを相対移動させる。
本実施形態では、接合用回転ツールFの進行方向右側に補助部材30が位置するように接合用回転ツールFの進行方向を設定する。接合用回転ツールFの回転方向及び進行方向は前記したものに限定されるものではなく適宜設定すればよい。例えば、接合用回転ツールFの進行方向右側に補助部材30を配置しつつ、接合用回転ツールFを左回転させてもよい。もしくは、接合用回転ツールFの進行方向左側に補助部材30を配置し、接合用回転ツールFを左右いずれかに回転させてもよい。接合用回転ツールFの回転方向等の条件と補助部材30との好ましい位置関係については後記する。
攪拌ピンF2の挿入深さは、攪拌ピンF2と重合部J1とが接触するように設定すればよい。図8に示すように、接合用回転ツールFを封止体3の周囲に一周させて、塑性化領域W2をオーバーラップさせたら、補助部材30に設定された終了位置Ep2で接合用回転ツールFを離脱させる。
除去工程は、図10に示すように、補助部材30をジャケット本体2から除去する工程である。補助部材30は、スリット32(図8参照)を境にして補助部材30の端部をめくり上げるとともに、図11に示すように、周壁部11の端面11aから離間する方向に補助部材30を折り曲げて、周壁部11から補助部材30を除去する。以上の製造方法によって液冷ジャケット1が形成される。
液冷ジャケット1は、中空部を備えた金属製の中空部材である。液冷ジャケット1の中空部に熱輸送流体(例えば、水)を流通させることにより、ジャケット本体2又は封止体3に設置された発熱体(図示省略)と熱交換を行うことができる。
以上説明した液冷ジャケットの製造方法及び液冷ジャケットによれば、内隅に補助部材30を配置して、ジャケット本体2と封止体3に加え補助部材30も同時に摩擦攪拌することにより接合部(塑性化領域W2)の金属不足を防ぐことができる。また、除去工程によって、補助部材30ごとバリVを除去することができるため、バリVを容易に除去することができる。
また、第二摩擦攪拌工程では、接合用回転ツールFの回転中心軸Fcを外側に傾斜させた状態で摩擦攪拌を行うことにより、接合用回転ツールFを内隅に容易に挿入することができる。また、支持部12は省略してもよいが、本実施形態のように支持部12を設け、支持部12(突出部12b)と封止体3とを接合することで、液冷ジャケット1の強度を高めることができる。また、重合工程において、支持部12の突出部12bを封止体3の凹溝4に嵌め合わせるようにしたため、封止体3の位置決め作業を容易に行うことができる。また、第一摩擦攪拌工程において封止体3の位置ずれを防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、第二摩擦攪拌工程によって補助部材30にバリVが形成されるが、除去工程において補助部材30ごと取り除くことができる。補助部材30は除去装置等を用いてもよいが、本実施形態では手作業で容易に補助部材30を取り除くことができる。
また、本実施形態では、攪拌ピンF2のみを被接合金属部材に接触させるため、回転ツールのショルダ部を接触させる場合に比べて摩擦攪拌装置に作用する負荷を低減することができる。また、接合用回転ツールFの攪拌ピンF2のみをジャケット本体2及び封止体3に接触させた状態で摩擦攪拌を行うため、重合部J1の深い位置まで攪拌ピンF2を挿入することができる。これにより、ジャケット本体2と封止体3とを好適に接合することができる。
また、図9に示すように、本実施形態に係る第二摩擦攪拌工程では進行方向右側に補助部材30を配置するとともに接合用回転ツールFを右回転させるため、補助部材30側がRe側となる。Re側とは、接合用回転ツールFの外周における接線速度の大きさから送り速度の大きさが減算される側である。一方、Re側の反対側がAd側となる。Ad側とは、接合用回転ツールFの外周における接線速度の大きさから送り速度の大きさが加算される側である。
例えば、接合用回転ツールFの回転速度が遅い場合では、塑性化領域W2のRe側に比べてAd側の方が塑性流動材の温度が上昇しやすくなるため、Ad側にバリVが多く発生する傾向にある。一方、例えば、接合用回転ツールFの回転速度が速い場合、Ad側の方が塑性流動材の温度が上昇するものの、回転速度が速い分、Re側にバリVが多く発生する傾向にある。
本実施形態では、接合用回転ツールFの回転速度を速く設定しているため、Re側即ち補助部材30側にバリVが発生する。つまり、本実施形態ではバリVが補助部材30側に多く形成されるように接合用回転ツールFの回転速度、回転方向及び進行方向等を設定している。これにより、補助部材30に形成されたバリVは、補助部材30ごと除去されるため、バリ除去工程をより容易に行うことができる。また、接合用回転ツールFの回転速度を速く設定することにより、接合用回転ツールFの移動速度(送り速度)を高めることができる。これにより、接合サイクルを短くすることができる。
上記したように、摩擦攪拌工程の際に、接合用回転ツールFの進行方向のどちら側にバリVが発生するかは接合条件によって異なる。当該接合条件とは、接合用回転ツールFの回転速度、回転方向、移動速度(送り速度)、攪拌ピンF2の傾斜角度(テーパー角度)、ジャケット本体2、封止体3及び補助部材30の材料、各部材の厚さ等の各要素とこれらの要素の組み合わせで決定される。接合条件に応じて、バリVが発生する側又はバリVが多く発生する側に補助部材30を配置するようにすれば、バリ除去工程を容易に行うことができるため好ましい。
また、補助部材30にスリット32を設けているため、除去工程の際に、スリット32を起点に補助部材30を容易に除去することができる。また、本実施形態の第二摩擦攪拌工程ように、塑性化領域W2の始端と終端側とを重複(オーバーラップ)させることで、液冷ジャケット1の水密性及び気密性をより高めることができる。
[第二実施形態]
次に、第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。本実施形態に係る接合方法では、準備工程と、重合工程と、配置工程と、摩擦攪拌工程と、除去工程と、を行う。第二実施形態では、図12に示すように、補助部材40を封止体3の側面3cに面接触させる点で、第一実施形態と主に相違する。本実施形態に係る説明では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
次に、第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。本実施形態に係る接合方法では、準備工程と、重合工程と、配置工程と、摩擦攪拌工程と、除去工程と、を行う。第二実施形態では、図12に示すように、補助部材40を封止体3の側面3cに面接触させる点で、第一実施形態と主に相違する。本実施形態に係る説明では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
準備工程は、第一実施形態と同等であるため説明を省略する。重合工程は、第一実施形態と同じ要領でジャケット本体2と封止体3とを突き合わせて重合部J1を形成する工程である。図12に示すように、周壁部11の端面11aと、封止体3の側面3cとで内隅が形成される。
配置工程は、補助部材40を内隅に配置する工程である。補助部材40は、平面視矩形の中空部41を備えた枠状部材である。補助部材40には、高さ方向に連続するスリット42が形成されている。補助部材40の板厚は、後記する第二摩擦攪拌接合の際に、接合部が金属不足にならないように適宜設定される。中空部41は、封止体3の平面形状と同じ形状になっている。配置工程では、図13に示すように、補助部材40の端面を周壁部11の端面11aに当接させるとともに、補助部材40の内周面を封止体3の4つの側面3cに面接触させる。
補助部材40の高さ寸法は、封止体3の側面3cの高さ寸法と同じになっている。本実施形態では、側面3cの全部が補助部材40で覆われるようになっているが、一部が覆われるようにしてもよい。
摩擦攪拌工程は、図14及び図15に示すように、接合用回転ツールFを用いてジャケット本体2と封止体3とを摩擦攪拌接合する工程である。本実施形態に係る摩擦攪拌工程では、第一摩擦攪拌工程と、第二摩擦攪拌工程とを行う。第一摩擦攪拌工程は、第一実施形態と同等であるため詳細な説明は省略する。
第二摩擦攪拌工程は、ジャケット本体2の周壁部11と封止体3とを接合用回転ツールFを用いて摩擦攪拌接合する工程である。まず、周壁部11の端面11aに設定した開始位置Sp2に左回転させた接合用回転ツールFの攪拌ピンF2を挿入し、内隅に向けて相対移動させる。そして、攪拌ピンF2が内隅に達したら図15に示すように、接合用回転ツールFの回転中心軸Fcを外側に傾斜させる。そして、傾斜させた状態で接合用回転ツールFを封止体3の周囲に亘って相対移動させて重合部J1を摩擦攪拌接合する。接合用回転ツールFの移動軌跡には、塑性化領域W2が形成される。
第二摩擦攪拌工程では、重合部J1に左回転させた攪拌ピンF2のみを挿入し、被接合金属部材と連結部F1とは離間させつつ相対移動させる。言い換えると、攪拌ピンF2の基端部は露出させた状態で摩擦攪拌接合を行う。そして、ジャケット本体2、封止体3及び補助部材40と攪拌ピンF2とを接触させた状態で重合部J1に沿って接合用回転ツールFを相対移動させる。
本実施形態では、接合用回転ツールFの進行方向左側に補助部材40が位置するように接合用回転ツールFの進行方向を設定する。また、接合用回転ツールFの回転速度は、Re側にバリVが発生する程度に高速回転させる。攪拌ピンF2の挿入深さは、攪拌ピンF2と重合部J1とが接触するように設定すればよい。図14に示すように、接合用回転ツールFを封止体3の周囲に一周させて、塑性化領域W2をオーバーラップさせたら、周壁部11の端面11aに設定された終了位置Ep2で接合用回転ツールFを離脱させる。
除去工程は、図16に示すように、補助部材40を封止体3から除去する工程である。除去工程では、封止体3の側面3cから離間する方向に補助部材40を折り曲げて、封止体3から補助部材40を除去する。以上の工程によって液冷ジャケット1が形成される。
本実施形態に係る接合方法によれば、ジャケット本体2と封止体3とが接合されるとともに、ジャケット本体2と封止体3に加え、補助部材40も同時に摩擦攪拌接合することにより、接合部(塑性化領域W2)の金属不足を防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、摩擦攪拌工程によって補助部材40にバリVが形成されるが、除去工程において補助部材40ごと取り除くことができる。これにより、バリVを除去する作業を容易に行うことができる。補助部材40は除去装置等を用いてもよいが、本実施形態では手作業で容易に補助部材40を取り除くことができる。また、本実施形態では、攪拌ピンF2のみを被接合金属部材に接触させるため、回転ツールのショルダ部を接触させる場合に比べて摩擦攪拌装置に作用する負荷を低減することができる。
また、図15に示すように、本実施形態に係る第二摩擦攪拌工程では接合用回転ツールFの進行方向左側に補助部材40を配置するとともに、接合用回転ツールFを左回転させるため、補助部材40側がRe側となる。本実施形態では、接合用回転ツールFの回転速度を速く設定しているため、Re側即ち補助部材40側にバリVが発生する。つまり、本実施形態ではバリVが補助部材40側に多く形成されるように接合用回転ツールFの回転速度、回転方向及び進行方向等を設定している。これにより、補助部材40に形成されたバリVは、補助部材40ごと除去されるため、バリ除去工程をより容易に行うことができる。また、接合用回転ツールFの回転速度を速く設定することにより、接合用回転ツールFの移動速度(送り速度)を高めることができる。これにより、接合サイクルを短くすることができる。また、本実施形態の配置工程のように、封止体3の側面3cに沿うようにして、内隅に補助部材40を配置してもよい。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲おいて適宜設計変更が可能である。例えば、前記した実施形態では、内隅の片側に補助部材を配置したが、内隅の両側に補助部材を配置してもよい。この場合の除去工程では、塑性化領域を挟だ両側において、バリが形成された補助部材をそれぞれ除去する。つまり、本発明に係る除去工程では、ジャケット本体2及び封止体3の少なくとも一方から補助部材を除去すればよい。
また、本実施形態では、支持部12に突出部12bを設けたが、突出部12bを省略して、支持部12と封止体3とを接合してもよい。また、本実施形態では、液冷ジャケット1を外観視直方体としたが、例えば、外観視円柱状、他の断面多角形の柱状体としてもよい。また、封止体3の裏面に複数のフィンを設けてもよい。フィンが形成されることで、熱交換効率を高めることができる。
1 液冷ジャケット
2 ジャケット本体
3 封止体
10 底部
11 周壁部
12 支持部
13 凹部
23 凹溝
30 補助部材
F 接合用回転ツール(回転ツール)
F1 連結部
F2 攪拌ピン
Fc 回転中心軸
J1 突合せ部
V バリ
W1 塑性化領域
W2 塑性化領域
2 ジャケット本体
3 封止体
10 底部
11 周壁部
12 支持部
13 凹部
23 凹溝
30 補助部材
F 接合用回転ツール(回転ツール)
F1 連結部
F2 攪拌ピン
Fc 回転中心軸
J1 突合せ部
V バリ
W1 塑性化領域
W2 塑性化領域
Claims (5)
- 熱輸送流体が流れる凹部を有するジャケット本体と、前記凹部の開口部を封止する封止体とで構成される液冷ジャケットの製造方法であって、
底部及び前記底部の周縁から立ち上る枠状の周壁部を有する前記ジャケット本体と、前記封止体とを準備する準備工程と、
前記周壁部の端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて重合部を形成する重合工程と、
前記周壁部の端面と前記封止体の側面とで構成された内隅に補助部材を配置する配置工程と、
前記内隅に攪拌ピンを備えた回転ツールを挿入し、前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体、前記封止体及び前記補助部材に接触させた状態で前記重合部に摩擦攪拌を行う摩擦攪拌工程と、
バリが形成された前記補助部材を前記ジャケット本体及び前記封止体の少なくとも一方から除去する除去工程と、を含み、
前記摩擦攪拌工程では、前記内隅に沿って前記回転ツールを前記封止体の回りに一周させて前記重合部を接合することを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。 - 前記摩擦攪拌工程では、前記バリが前記補助部材に発生するように接合条件を設定することを特徴とする請求項1に記載の液冷ジャケットの製造方法。
- 前記摩擦攪拌工程では、前記回転ツールの回転中心軸を外側に傾斜させた状態で摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液冷ジャケットの製造方法。
- 前記準備工程では、前記底部に、前記周壁部の端面と面一の端面を備えた支持部を立設するとともに、当該支持部の端面に突出部を形成し、前記封止体の裏面に凹溝を形成し、
前記重合工程では、前記凹溝に前記突出部を挿入しつつ、前記周壁部の端面及び前記支持部の端面を覆うように前記封止体を載置し、
前記摩擦攪拌工程では、前記凹溝と前記突出部とが嵌め合わされた嵌合部に対して、前記回転ツールを前記封止体のみ、又は、前記封止体及び前記突出部に接触させた状態で摩擦攪拌することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。 - 前記摩擦攪拌工程では、前記回転ツールの攪拌ピンを前記突出部に沿って一周以上相対移動させた後、前記回転ツールを前記封止体から離脱させることを特徴とする請求項4に記載の液冷ジャケットの製造方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016073865A JP2017185500A (ja) | 2016-04-01 | 2016-04-01 | 液冷ジャケットの製造方法 |
CN201680049474.2A CN108025391A (zh) | 2016-01-06 | 2016-12-08 | 接合方法及液冷套筒的制造方法 |
PCT/JP2016/086583 WO2017119232A1 (ja) | 2016-01-06 | 2016-12-08 | 接合方法及び液冷ジャケットの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016073865A JP2017185500A (ja) | 2016-04-01 | 2016-04-01 | 液冷ジャケットの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017185500A true JP2017185500A (ja) | 2017-10-12 |
Family
ID=60045980
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016073865A Pending JP2017185500A (ja) | 2016-01-06 | 2016-04-01 | 液冷ジャケットの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017185500A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20210031988A (ko) * | 2018-10-25 | 2021-03-23 | 닛폰 하츠죠 가부시키가이샤 | 접합체 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001246482A (ja) * | 2000-03-02 | 2001-09-11 | Honda Motor Co Ltd | 溶接方法 |
WO2015114975A1 (ja) * | 2014-01-28 | 2015-08-06 | 日本軽金属株式会社 | 摩擦攪拌接合方法 |
JP2015213928A (ja) * | 2014-05-08 | 2015-12-03 | 日本軽金属株式会社 | 摩擦攪拌接合方法 |
JP2016002558A (ja) * | 2014-06-16 | 2016-01-12 | 日本軽金属株式会社 | 液冷ジャケットの製造方法 |
-
2016
- 2016-04-01 JP JP2016073865A patent/JP2017185500A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001246482A (ja) * | 2000-03-02 | 2001-09-11 | Honda Motor Co Ltd | 溶接方法 |
WO2015114975A1 (ja) * | 2014-01-28 | 2015-08-06 | 日本軽金属株式会社 | 摩擦攪拌接合方法 |
JP2015213928A (ja) * | 2014-05-08 | 2015-12-03 | 日本軽金属株式会社 | 摩擦攪拌接合方法 |
JP2016002558A (ja) * | 2014-06-16 | 2016-01-12 | 日本軽金属株式会社 | 液冷ジャケットの製造方法 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20210031988A (ko) * | 2018-10-25 | 2021-03-23 | 닛폰 하츠죠 가부시키가이샤 | 접합체 |
KR102534903B1 (ko) * | 2018-10-25 | 2023-05-26 | 닛폰 하츠죠 가부시키가이샤 | 접합체 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6489219B2 (ja) | 接合方法、液冷ジャケットの製造方法及び液冷ジャケット | |
JP6443391B2 (ja) | 液冷ジャケットの製造方法及び液冷ジャケット | |
WO2017119232A1 (ja) | 接合方法及び液冷ジャケットの製造方法 | |
JP6337632B2 (ja) | 液冷ジャケットの製造方法 | |
WO2017033849A1 (ja) | 液冷ジャケットの製造方法及び液冷ジャケット | |
JP5136072B2 (ja) | 液冷ジャケットの製造方法 | |
JP2013121622A (ja) | 液冷ジャケットの製造方法 | |
US11311963B2 (en) | Method for producing liquid-cooled jacket | |
JP2017159351A (ja) | 液冷ジャケットの製造方法 | |
JP5062155B2 (ja) | 液冷ジャケットの製造方法および摩擦攪拌接合方法 | |
CN108472762B (zh) | 接合方法、中空容器的制造方法以及液冷套筒的制造方法 | |
JP2018051625A (ja) | 液冷ジャケットの製造方法 | |
JP6665647B2 (ja) | 液冷ジャケットの製造方法 | |
JP6617834B2 (ja) | 伝熱板の製造方法 | |
JP2017185500A (ja) | 液冷ジャケットの製造方法 | |
JP6740960B2 (ja) | 接合方法 | |
WO2018216248A1 (ja) | 接合方法 | |
JP2017121639A (ja) | 接合方法 | |
JP6665648B2 (ja) | 接合方法、中空容器の製造方法及び液冷ジャケットの製造方法 | |
JP6740964B2 (ja) | 接合方法 | |
JP6662210B2 (ja) | 接合方法 | |
JP2018176207A (ja) | 液冷ジャケットの製造方法 | |
JP2021154301A (ja) | 液冷ジャケットの製造方法 | |
JP6662207B2 (ja) | 接合方法 | |
JP2021154300A (ja) | 液冷ジャケットの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180801 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190611 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20191203 |