JP6248672B2 - リレー制御装置 - Google Patents

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Description

リレースイッチの閉異常及び開異常を判定するリレー制御装置に関する。
リレースイッチの開閉制御を行う制御装置において、そのリレースイッチの閉異常を判定するものが知られている(例えば、特許文献1)
特開2010−238576号公報
電源装置と電気負荷とを接続する経路上に設けられるリレースイッチにおいて、電気負荷を確実に駆動状態にするために、複数のリレースイッチをそれぞれ並列に設け、電気負荷への給電経路を冗長化する構成が考えられる。リレースイッチを並列に設けた場合に、各リレースイッチを同時に開状態又は閉状態に制御するだけでは、各リレースイッチの開異常及び閉異常を個別に検出できない。そこで、電源装置から電気負荷への電力供給を行いながら、各リレースイッチに対し個々のリレースイッチを開状態又は閉状態に制御する異常判定信号を入力する構成が考えられる。
ここで、異常判定信号を用いて各リレースイッチをそれぞれを開閉制御する場合に、リレースイッチを制御する制御装置の誤動作やノイズの混入などによって、全リレースイッチが同時に開状態になるおそれが生じる。全リレースイッチが同時に開状態になると、リレースイッチの入力側と出力側とが遮断状態となり、リレースイッチを経由して電源装置から電気負荷に対して電力供給を実施している場合に、電気負荷が電源失陥となる懸念が生じる。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、複数のリレースイッチをそれぞれ並列に接続するリレー装置について、リレー装置の入力側と出力側との導通状態を確保しつつ、各リレースイッチの異常を判定可能なリレー制御装置を提供することを目的とする。
電源装置(20)と電気負荷(43)とを導通状態又は遮断状態に切り替えるリレー装置(70)を制御するリレー制御装置(60,80)において、前記リレー装置は、並列接続された複数のリレースイッチ(SW1,SW2)を備え、前記リレースイッチは、それぞれ、閉接点(A2)及び開接点(A3)と共通接点(A1)とを備え、前記共通接点と前記閉接点とを接続する閉状態、又は、前記共通接点と前記開接点とを接続する開状態とされ、前記リレー装置は、前記各共通接点及び前記電源装置が接続される入力端子(Pin)と、前記各閉接点及び前記電気負荷が接続される第1出力端子(Pc)と、前記各開接点が接続される第2出力端子(Po)と、を備え、前記電源装置から前記電気負荷への電力供給中において、前記複数のリレースイッチのうち一部のリレースイッチを開状態とする異常判定信号(S1,S2)を出力するとともに、その信号出力状態での前記第1出力端子及び前記第2出力端子の電圧の検出値に基づいて、前記複数のリレースイッチの異常を判定する異常判定部(60)と、前記異常判定部と前記リレー装置との間に設けられ、前記異常判定信号が前記複数のリレースイッチのうち全部のリレースイッチを開状態とする信号である場合に、前記複数のリレースイッチのうち少なくとも1つが閉状態となるように前記異常判定信号を変換する信号変換部(80,90)と、を備えることを特徴とする。
電気負荷を駆動状態としたままリレースイッチの異常を判定する場合に、異常判定信号によってリレースイッチのうち一部のリレースイッチを開状態とすると、リレースイッチの冗長性が低下する。この場合に、異常判定部の誤動作やノイズなどによって、複数のリレースイッチのうち全部のリレースイッチを開状態とする信号がリレー装置に入力される懸念がある。全部のリレースイッチが開状態とされると、電気負荷が電源失陥となってしまう。そこで、異常判定部とリレー装置との間に信号変換部を設け、全リレースイッチを開状態とするような異常判定信号が信号変換部に対して入力される場合に、信号変換部において全リレースイッチのうち少なくとも1つが閉状態となるように信号を変換して出力する構成とした。このような構成とすることで、リレー装置の入力端子と第1出力端子との導通状態を確保しつつ、各リレースイッチの異常を判定することができる。
電源システムの回路図。 制御部とリレー装置との接続を示す図。 異常判定処理を示すフローチャート。 独立駆動信号と各スイッチの状態との対応を示す図。 変形例における信号変換部、及び、独立駆動信号と各スイッチの状態との対応を示す図。
図1に示すように、本電源システムは、回転機10、電源装置としての鉛蓄電池20、リチウムイオン蓄電池30、スタータ41、各種の電気負荷42,43、MOSスイッチ51、SMRスイッチ52を備えている。鉛蓄電池20、リチウムイオン蓄電池30、スタータ41、電気負荷42,43は、給電線15により回転機10に対して並列に電気接続されている。この給電線15により、上記の各電気要素について相互の給電経路が形成されている。
リチウムイオン蓄電池30と、2つのスイッチ51,52と、制御部60(電子制御装置)とは筐体(収容ケース)に収容されることで一体化され、電池ユニットUとして構成されている。電池ユニットUは、回転機10、鉛蓄電池20、スタータ41及び電気負荷42が接続される第1端子P1と、電気負荷43が接続される第2端子P2を備えている。
鉛蓄電池20は周知の汎用蓄電池である。これに対し、リチウムイオン蓄電池30は、鉛蓄電池20に比べて、充放電における電力損失が少なく、出力密度、及び、エネルギ密度の高い高密度蓄電池である。リチウムイオン蓄電池30は、複数の単電池を直列に接続してなる組電池により構成されている。
本電源システムは、給電経路に2つのスイッチ51,52を備えている。これらスイッチ51,52は、いずれも2つのMOSFETを備え、その2つのMOSFETの寄生ダイオードが互いに逆向きになるように直列に接続されている。この寄生ダイオードによって、各スイッチ51,52を開状態とした場合には、そのスイッチが設けられた経路に流れる電流を完全に遮断できる。
MOSスイッチ51は、給電線15において、第2端子P2及びリチウムイオン蓄電池30と、第1端子P1との間に設けられている。MOSスイッチ50は、第1端子P1及び第2端子P2の接続の導通と遮断を切り替えるスイッチとして機能する。また、SMRスイッチ52は、リチウムイオン蓄電池30、MOSスイッチ50及び第2端子が接続されている接続点Xと、リチウムイオン蓄電池30との間に設けられている。SMRスイッチ52は、第2端子P2とリチウムイオン蓄電池30との接続の導通及び遮断を切り替えるスイッチとして機能する。
蓄電池20,30の放電時において、スイッチ51,52は、基本的に鉛蓄電池20及びリチウムイオン蓄電池30の接続を遮断するように制御されており、鉛蓄電池20からリチウムイオン蓄電池30に電流が流れること、及び、リチウムイオン蓄電池30から鉛蓄電池20に対して電流が流れることを抑制する。これにより、一方の蓄電池から他方の蓄電池へ電流が流れることに伴う電力損失を抑制することができる。
制御部60は、スイッチ51,52の閉作動(導通作動)と開作動(遮断作動)との切替を行う。また、制御部60は、電池ユニット外のECU100(電子制御装置)に接続されている。つまり、これら制御部60及びECU100は、CAN等の通信ネットワークにより接続されて相互に通信可能となっており、制御部60及びECU100に記憶される各種データが互いに共有できるものとなっている。
電気負荷43は、供給電力の電圧が概ね一定であるか、又は、電圧変動が所定範囲内であり安定していることが要求される定電圧要求電気負荷であり、MOSスイッチ51に対してリチウムイオン蓄電池30の側に電気接続されている。これにより、定電圧要求電気負荷である電気負荷43への電力供給は、主にリチウムイオン蓄電池30が分担することとなる。
電気負荷43の具体例としては車載ナビゲーション装置や車載オーディオ装置が挙げられる。例えば、供給電力の電圧が一定ではなく大きく変動している場合、又は、前記所定範囲を超えて大きく変動している場合には、電圧が瞬時的に最低動作電圧よりも低下して、車載ナビゲーション装置等の動作がリセットする不具合が生じる。そこで、電気負荷43へ供給される電力は、電圧が最低動作電圧よりも低下することのない一定の値に安定していることが要求される。
電気負荷42は、電気負荷43(定電圧要求電気負荷)及びスタータ41以外の一般的な電気負荷である。電気負荷42の具体例としてはヘッドライト、フロントウインドシールド等のワイパ、空調装置の送風ファン、リヤウインドシールドのデフロスタ用ヒータ等が挙げられる。また、電気負荷42には、所定の駆動条件が成立すると駆動する駆動負荷が含まれる。駆動負荷は例えば、パワーステアリングや、パワーウィンドウなどである。スタータ41及び電気負荷42は、MOSスイッチ51に対して鉛蓄電池20の側に電気接続されている。これにより、スタータ41及び電気負荷42への電力供給は主に鉛蓄電池20が分担することとなる。
回転機10は、エンジンのクランク軸の回転エネルギにより発電するものである。回転機10で発電した電力は、電気負荷42,43へ供給されるとともに、鉛蓄電池20及びリチウムイオン蓄電池30へ供給される。エンジンの駆動が停止して回転機10で発電が実施されていない場合には、鉛蓄電池20及びリチウムイオン蓄電池30から回転機10、スタータ41及び電気負荷42,43へ電力が供給される。鉛蓄電池20及びリチウムイオン蓄電池30から回転機10、スタータ41及び電気負荷42〜43への放電量、及び、回転機10から各蓄電池20,30への充電量は、各蓄電池20,30のSOC(State of charge:充電状態、即ち、満充電時の充電量に対する実際の充電量の割合)が過充放電とならない範囲(適正範囲)となるよう制御される。
本実施形態では、車両の回生エネルギにより回転機10を発電させて両蓄電池20,30(主にはリチウムイオン蓄電池30)に充電させる減速回生を行っている。この減速回生は、車両が減速状態であること、エンジンへの燃料噴射をカットしていること等の条件が成立した時にECU100の制御により実施される。
ここで、駐車時つまりIGオフ時において、MOSFETの駆動に用いられる電力の消費を抑制するためにMOSスイッチ51及びSMRスイッチ52はそれぞれ開状態とされる。つまり、MOSスイッチ51及びSMRスイッチ52を介する給電線15において、電気負荷43と、鉛蓄電池20及びリチウムイオン蓄電池30との接続は遮断される。
そこで、IGオフ時における電気負荷43への電力供給(いわゆる暗電流供給)を行うために、MOSスイッチ51と並列にバイパス経路16を設け、そのバイパス経路16上にノーマリークローズ式のリレー装置70を設ける構成とする。IGオフ時において、リレー装置70が閉状態とされることでバイパス経路16が導通状態となり、鉛蓄電池20から電気負荷43への暗電流供給が実施される。また、IGオン時においてリレー装置70は基本的に開状態とされる。
また、MOSスイッチ51に開異常(常時オフ異常)が生じることが考えられる。MOSスイッチ51に開異常が生じると、リチウムイオン蓄電池30に対して回転機10から電力を供給し充電することができなくなる。この場合、リチウムイオン蓄電池30から電気負荷43に対して放電が行われ続けることで、リチウムイオン蓄電池30の残存容量が低下していき、やがて電気負荷43は電源失陥になる。そこで、MOSスイッチ51に開異常が生じた場合に、リレー装置70を閉状態にすることで、電気負荷43及びリチウムイオン蓄電池30に対して鉛蓄電池20又は回転機10からバイパス経路16を介して電力を供給することが可能になる。このため、電気負荷43の電源失陥を抑制することができる。
本実施形態におけるリレー装置70とリレー制御装置としての制御部60との接続形態を図2に示す。リレー装置70は並列接続された2つのリレースイッチであるスイッチSW1,SW2から構成されている。スイッチSW1,SW2の入力側は、リレー装置70の入力端子Pinを介して電池ユニットUの第1端子P1にそれぞれ接続されている。スイッチSW1,SW2は、それぞれノーマリークローズ式(常閉式)のリレースイッチである。スイッチSW1,SW2の接触片は共通接点A1と閉接点A2又は開接点A3と接触状態になるように設けられており、スイッチSW1,SW2を構成するソレノイドに電流が流れることで磁力が生じ、閉接点A2に接触している接触片が開接点A3に接触する。
スイッチSW1,SW2の各閉接点A2は、リレー装置70の第1出力端子Pcに接続されている。そして、第1出力端子Pcは電池ユニットUの第2端子P2に接続されている。また、スイッチSW1,SW2の各開接点A3は、リレー装置70の第2出力端子Poに接続されている。第2出力端子Poはコンデンサ(図示略)を介して接地電位に接続されている。
制御部60は、リレー装置70に対して、スイッチSW1,SW2を共通に駆動させる共通駆動信号Scを出力する。リレー装置70に入力される共通駆動信号Scがロー状態からハイ状態にされると、各スイッチSW1,SW2の状態が閉状態から開状態へと変化する。共通駆動信号Scは、IGオン時において基本的にハイ状態とされる。共通駆動信号Scは、MOSスイッチ51及びSMRスイッチ52の両方を開状態にする場合に、ハイ状態からロー状態とされ、リレー装置70が閉状態とされる。こうしてスイッチSW1,SW2をまとめて開閉させることで、バイパス経路16の冗長性が付与されている。
ここで、スイッチSW1,SW2のいずれか一方において、開異常(常時オフ異常)又は閉異常(常時オン異常)が生じることが懸念される。共通駆動信号Scを用いて、スイッチSW1,SW2の状態を同時に変化させるだけでは、いずれのスイッチに異常が生じたのかを特定することができない。
そこで、本実施形態の制御部60は、スイッチSW1,SW2のどちらに開異常又は閉異常が生じているのかを判定するために、リレー装置70に対し第1独立駆動信号S1、及び、第2独立駆動信号S2を出力する。独立駆動信号S1,S2は、いずれか一方をハイ状態、他方をロー状態として出力される信号であり、その信号に応じてスイッチSW1,SW2が独立して開閉される。リレー装置70に入力される第1独立駆動信号S1がロー状態からハイ状態にされると、第1スイッチSW1が閉状態から開状態へと変化する。同様に、リレー装置70に入力される第2独立駆動信号S2がロー状態からハイ状態にされると、第2スイッチSW2が閉状態から開状態へと変化する。
制御部60は、第1独立駆動信号S1及び第2独立駆動信号S2を用いて各スイッチSW1,SW2の開閉状態を変更し、各開閉状態における入力端子Pinの電圧の検出値Vin、第1出力端子Pcの電圧の検出値Vc及び第2出力端子Poの電圧の検出値Voを取得する。そして、それらの検出値Vin,Vc,Voに基づいて各スイッチSW1,SW2の異常を判定する。
具体的には、制御部60は、各スイッチSW1,SW2の異常判定を行うために、共通駆動信号Scをロー状態にした上で、第1独立駆動信号S1をハイ状態にし、第2独立駆動信号S2をロー状態にする。この場合、両スイッチSW1,SW2に異常が生じていなければ、検出値Vin,Vc,Voが全て等しくなる。また、仮に第1スイッチSW1に閉異常が生じていれば、検出値Vinと検出値Vcが等しく、検出値Vin及びVcと検出値Voとが異なる値となる。また、仮に第2スイッチSW2に開異常が生じていれば、検出値Vinと検出値Voとが等しく、検出値Vin及び検出値Voと検出値Vcとが異なる値となる。つまり、独立駆動信号S1,S2は組み合わされて用いられ、異常判定信号として制御部60からリレー装置70へ出力される。
また、制御部60は、共通駆動信号Scをロー状態にした上で、第1独立駆動信号S1をロー状態とし、第2独立駆動信号S2をハイ状態とする。この場合、両スイッチSW1,SW2に異常が生じていなければ、検出値Vin,Vc,Voが全て等しくなる。また、仮に第1スイッチSW1に開異常が生じていれば、検出値Vinと検出値Voとが等しく、検出値Vin及び検出値Voと検出値Vcとが異なる値となる。また、仮に第2スイッチSW2に閉異常が生じていれば、検出値Vinと検出値Vcとが等しく、検出値Vin及び検出値Vcと検出値Voとが異なる値となる。
このように、各独立駆動信号S1,S2の状態と、各検出値Vin,Vo,Vcに基づいて、各スイッチSW1,SW2の開異常及び閉異常を判定することが可能になる。
ここで、第1独立駆動信号S1及び第2独立駆動信号S2をリレー装置70に入力する構成とした場合に、第1独立駆動信号S1及び第2独立駆動信号S2が同時にハイ状態にされると、両スイッチSW1,SW2が開状態、つまり、リレー装置70が開状態となる。暗電流供給中やフェイルセーフ時などバイパス経路16を介して鉛蓄電池20から電気負荷43に電力を供給している際に、リレー装置70が開状態となり電池ユニットUの第1端子P1と第2端子P2とが遮断状態とされると、電気負荷43に対して電力が供給できなくなるという問題が生じる。
そこで、本実施形態では、制御部60とリレー装置70との間に信号変換部80を設ける構成とした。
信号変換部80は、独立駆動信号S1,S2のうち一方がハイ状態、他方がロー状態である場合に、そのハイ/ローの状態のまま独立駆動信号S1,S2をリレー装置70に出力する。また、独立駆動信号S1,S2の両方がハイ状態である場合に、その両信号S1,S2をいずれもロー状態に変換して70に出力する。つまり、独立駆動信号S1,S2は、鉛蓄電池20から電気負荷43への電力供給状態を維持したまま、スイッチSW1,SW2の一方を開、他方を閉にすることによる異常判定を実施するものであるが、仮にノイズの混入等により独立駆動信号S1,S2が共にハイ状態となると、それに起因してスイッチSW1,SW2が共に開状態になり、電気負荷43への電力供給が意図せず停止されてしまう。この点、ノイズの混入等により独立駆動信号S1,S2が共にハイ状態となっても、信号変換部80によりスイッチSW1,SW2が共に開状態になることが抑制される。これにより、異常判定の実施期間における意図しない電力供給停止(電源失陥)を防止できる。
補足すると、異常判定状態では、共通駆動信号Scに代えて独立駆動信号S1,S2によりリレー装置70が駆動されることにより、本来付与されているリレー駆動の冗長さが無くされることになるが、その冗長さが無くなった分、信号変換部80にて電源失陥の抑制が図られている。
信号変換部80は図2に示すように、第1独立駆動信号S1及び第2独立駆動信号S2の論理積を出力するAND回路81と、そのAND回路81の出力を反転するNOT回路82と、第1独立駆動信号S1とNOT回路82の出力との論理積を出力するAND回路83と、第2独立駆動信号S2とNOT回路82の出力との論理積を出力するAND回路84とを備える。これらの論理演算素子81〜84により、第1独立駆動信号S1及び第2独立駆動信号S2のいずれか一方のみがハイ状態とされた場合に、そのハイ状態とされた信号をリレー装置70に対して出力し、第1独立駆動信号S1及び第2独立駆動信号S2の両方がハイ状態とされた場合に、リレー装置70に対して入力される信号をロー状態とすることができる。
また、信号変換部80は、AND回路83の出力及び共通駆動信号Scが入力されるOR回路85と、AND回路84の出力及び共通駆動信号Scが入力されるOR回路86とを備える。異常判定時には、OR回路85,86に入力される共通駆動信号Scをロー状態にすることで、独立駆動信号S1,S2に応じたスイッチSW1,SW2が開状態とされる。つまり、異常判定時には、独立駆動信号S1,S2が共通駆動信号Scに優先されて、スイッチSW1,SW2の開閉状態が変更される。また、異常判定を行わない通常動作時には、OR回路85,86に入力される独立駆動信号S1,S2をともにロー状態にすることで、共通駆動信号Scに応じてスイッチSW1,SW2の開閉状態が変更される。つまり、通常動作時には、共通駆動信号Scが独立駆動信号S1,S2に優先されて、スイッチSW1,SW2の開閉状態が変更される。また、共通駆動信号Scがハイ状態とされた場合に、第1独立駆動信号S1及び第2独立駆動信号S2の状態に関わらず、スイッチSW1,SW2の両方が開状態とされる。
図3に異常判定処理に係るフローチャートを示す。この異常判定処理は、制御部60によって所定周期ごとに実施される。
ステップS11において、異常判定実施条件が成立しているか否かを判定する。異常判定実施条件は、例えば、鉛蓄電池20から電気負荷43に対する暗電流供給中やフェイルセーフ時などにおいて、前回異常判定を実施してから所定の時間が経過したことである。暗電流供給中及びフェイルセーフ時において、MOSスイッチ51及びSMRスイッチ52は開状態とされ、共通駆動信号Scはロー状態にされている。異常判定実施条件が成立していない場合(S11:NO)、処理を終了する。
異常判定実施条件が成立していると判定されると(S11:YES)、ステップS12において、ステップS13〜S18における第1判定が終了しているか否かを判定する。第1判定が終了していないと判定されると(S12:NO)、ステップS13において、第1独立駆動信号S1をハイ状態、第2独立駆動信号S2をロー状態にする。そして、ステップS14において、電圧の検出値VoとVcとを比較する。検出値VoとVcとが等しいと判定された場合(S14:NO)、ステップS18において第1判定が終了している旨を示すフラグをオンとし、ステップS19において両独立駆動信号S1,S2をロー状態として処理を終了する。
検出値VoとVcとが異なると判定されると(S14:YES)、ステップS15において、検出値VoとVinとの比較を行う。検出値VoとVinとが異なると判定されると(S15:NO)、ステップS16において、第1スイッチSW1に閉異常が生じていると判定する。また、検出値VoとVinとが等しいと判定されると(S15:YES)、ステップS17において、第2スイッチSW2に開異常が生じていると判定する。ステップS16,S17の後、ステップS19において両独立駆動信号S1,S2をロー状態として処理を終了する。
ステップS12において、第1判定が終了していると判定されると(S12:YES)、ステップS20において、第1独立駆動信号S1をロー状態、第2独立駆動信号S2をハイ状態に設定する。そして、ステップS21において、検出値VoとVcとの比較を行う。検出値VoとVcとが等しいと判定されると(S21:NO)、ステップS22において、両スイッチSW1,SW2が正常であると判定する。検出値VoとVcとが異なると判定されると(S21:YES)、ステップS23において、検出値VoとVinとの比較を行う。検出値VoとVinとが等しいと判定されると(S23:YES)、ステップS24において、第1スイッチSW1に開異常が生じていると判定する。また、検出値VoとVinとが異なると判定されると(S23:NO)、ステップS25において、第2スイッチSW2に閉異常が生じていると判定する。ステップS22,S24,S25の後、ステップS19において、両独立駆動信号S1,S2をロー状態として処理を終了する。
なお、上記ステップS15及びS23において、検出値Voとの比較に検出値Vinを用いなくてもよく、検出値Voと鉛蓄電池20の出力電圧として想定される電圧値とを比較する構成としてもよい。
上記のごとくリレー装置70の異常判定が実施される場合における信号出力の状態について、図4に示す表を用いて説明する。異常判定時には共通駆動信号Scがロー状態となっており、この状態で独立駆動信号S1,S2の一方がハイ、他方がローとなると、その独立駆動信号S1,S2によりスイッチSW1,SW2の一方が開、他方が閉の状態となる。この状態下では、電気負荷43への給電状態が維持されつつ、個別の開異常及び閉異常の判定が可能となっている。また、ノイズの混入等により独立駆動信号S1,S2が共にハイ状態となる場合には、信号変換部80によって独立駆動信号S1,S2が共にロー状態に変換され、これにより両スイッチSW1,SW2が閉状態となる。この状態下では、異常判定よりも電気負荷43への給電が優先され、その給電状態が維持される。
以下、本実施形態における効果を述べる。
電気負荷43を駆動状態としたままスイッチSW1,SW2の異常を判定する場合に、独立駆動信号S1,S2によってスイッチSW1,SW2のうちの一方を開状態とすると、リレー装置70の冗長性が低下する。この場合に、制御部60の誤動作やノイズなどによって、両スイッチSW1,SW2を開状態とする信号がリレー装置70に入力される懸念がある。スイッチSW1,SW2の両方が開状態とされると、電気負荷43が電源失陥となってしまう。そこで、制御部60とリレー装置70との間に信号変換部80を設け、スイッチSW1,SW2の両方を開状態とするような独立駆動信号S1,S2が信号変換部80に対して入力される場合に、信号変換部80においてスイッチSW1,SW2のうち少なくとも1つが閉状態となるように信号を変換して出力する構成とした。このような構成とすることで、リレー装置70の入力端子Pinと第1出力端子Pcとの導通状態を確保しつつ、各スイッチSW1,SW2の異常を判定することができる。
上記構成では、独立駆動信号S1,S2が正常信号である場合には、電気負荷43への電力供給とスイッチSW1,SW2の異常判定とを両立して実施できる。また、独立駆動信号S1,S2が異常信号(共にハイ)である場合には、スイッチSW1,SW2の異常判定よりも電気負荷43への電力供給を優先的に実施できる。
信号変換部80は、論理演算素子81〜84を備え、独立駆動信号S1,S2を変換する論理演算回路により構成されている。独立駆動信号S1,S2はハイアクティブ信号であり、独立駆動信号S1,S2の論理積(AND)の否定(NOT)を演算することで、独立駆動信号S1,S2がともにハイ状態とされた場合においてロー状態となる信号に変換する。そして、その変換された信号と、独立駆動信号S1,S2の信号それぞれとの論理積を演算して出力する。
リレー装置70には、鉛蓄電池20から電気負荷43に対して暗電流を供給するに際し、スイッチSW1及びSW2をともに閉状態とする共通駆動信号Scが入力される。ここで、信号変換部80は、スイッチSW1及びSW2をともに閉状態にするような共通駆動信号Scが出力され、スイッチSW1を開状態にするような第1独立駆動信号S1が入力される場合に、第1独立駆動信号S1を優先し、スイッチSW1を開状態にするように信号を出力する。また、スイッチSW1及びSW2をともに閉状態にするような共通駆動信号Scが出力され、スイッチSW2を開状態にするような第2独立駆動信号S2が入力される場合に、第2独立駆動信号S2を優先し、スイッチSW2を開状態にするように信号を出力する。これにより、鉛蓄電池20から電気負荷43に対して電力を供給しながら、各スイッチSW1,SW2の異常を判定することが可能となる。
具体的には、スイッチSW1,SW2として、入力信号がハイとされると開状態になるノーマリークローズ型のリレースイッチを用いる。ノーマリークローズ型のリレースイッチを用いると、制御部60からリレー装置70に対する出力がない場合、つまり、共通駆動信号Sc、独立駆動信号S1,S2が全てロー状態の場合に、リレー装置70は閉状態とされる。これにより、制御部60が動作しない場合であっても、鉛蓄電池20から電気負荷43に対する電力供給が可能になるため、電気負荷43の電源失陥を好適に抑制できる。そして、OR回路85,86に対して、共通駆動信号Scと独立駆動信号S1及びS2とを入力し、その出力をスイッチSW1,SW2に出力する構成とする。この構成にすることで、電気負荷43への電力供給中に独立駆動信号S1,S2が入力された場合に、スイッチSW1及びSW2の異常判定を実施することが可能になる。
(他の実施形態)
・スイッチSW1,SW2としてノーマリークローズ型のリレースイッチを用いたが、これを変更し、ノーマリーオープン型のリレースイッチを用いる構成としてもよい。この場合、図2に示す信号変換部80に代えて、図5(a)に示す信号変換部90を用いるとよい。ノーマリーオープン型のリレースイッチSW1a,SW2aを備えるリレー装置70aは、制御部60(図示略)から入力される共通駆動信号Scaがハイ状態からロー状態にされると、各スイッチSW1a,SW2aの状態が閉状態から開状態へと変化する。共通駆動信号Scaは、IGオン時において基本的にロー状態とされる。
また、各スイッチSW1a,SW2aの異常判定を目的として、各スイッチSW1a,SW2aの開閉状態を変更するために独立駆動信号S1a,S2aがリレー装置70aに入力されている。各スイッチSW1a,SW2aの異常判定は、共通駆動信号Scaがハイ状態とされている場合に制御部60によって行われる。共通駆動信号Scaがハイ状態とされている場合に、各独立駆動信号S1a,S2aがロー状態とされることで、各独立駆動信号S1a,S2aに応じたスイッチSW1a,SW2がそれぞれ開状態にされる。
ここで、信号変換部90は、共通駆動信号Scaがハイ状態、独立駆動信号S1a,S2aがともにロー状態とされた場合に、スイッチSW1a,SW2aが閉状態となるように信号を変換する。
具体的には、信号変換部90は、第1独立駆動信号S1a,第2独立駆動信号S2aをそれぞれ反転するNOT回路91,92を備える。また、信号変換部90は、NOT回路91及びNOT回路92の出力の論理積を出力するAND回路93を備える。AND回路93の出力は、両独立駆動信号S1a,S2aがともにロー状態とされた場合にハイ状態となる。また、信号変換部90は、第1独立駆動信号S1a,第2独立駆動信号S2aのそれぞれと、AND回路93の出力との論理和を出力するOR回路94,95を備える。OR回路94,95は、基本的には、両独立駆動信号S1a,S2aをそのまま出力するが、両独立駆動信号S1a,S2aがともにロー状態とされた場合に、それぞれの出力がハイ状態となる。また、信号変換部90は、OR回路94,95のそれぞれの出力と、共通駆動信号Scaとの論理積を出力するAND回路96,97を備える。
共通駆動信号Scaがハイ状態とされている場合に、独立駆動信号S1a,S2aのいずれか一方がロー状態とされると、各スイッチSW1a,SW2aに入力されるAND回路96,97の出力は、独立駆動信号S1a,S2aに応じたものとなる。このため、ロー状態とされた独立駆動信号S1a,S2aに応じたスイッチSW1a,SW2aが開状態とされる。つまり、異常判定時では、各独立駆動信号S1a,S2aが共通駆動信号Scaより優先されて各スイッチSW1a,SW2aの開閉状態が変更される。
また、異常判定を行わない通常動作時において、各独立駆動信号S1a,S2aはともにハイ状態とされている。この場合、各スイッチSW1a,SW2aに入力されるAND回路96,97の出力は、共通駆動信号Scaに応じたものとなる。このため、共通駆動信号Scaがハイ状態とされるとスイッチSW1a,SW2aがともに閉状態、共通駆動信号Scaがロー状態とされるとスイッチSW1a,SW2aがともに開状態とされるようになっている。つまり、通常動作時では、共通駆動信号Scaが独立駆動信号S1a,S2aより優先されて各スイッチSW1a,SW2aの開閉状態が変更される。
リレー装置70aの異常判定が実施される場合における信号出力の状態について、図5(b)に示す表を用いて説明する。異常判定時には共通駆動信号Scaがハイ状態となっており、この状態で独立駆動信号S1a,S2aの一方がロー、他方がハイとなると、その独立駆動信号S1a,S2aによりスイッチSW1a,SW2aの一方が開、他方が閉の状態となる。この状態下では、電気負荷43への給電状態が維持されつつ、個別の開異常及び閉異常の判定が可能となっている。また、ノイズの混入等により独立駆動信号S1a,S2aが共にロー状態となる場合には、信号変換部90によって独立駆動信号S1a,S2aが共にハイ状態に変換され、これにより両スイッチSW1a,SW2aが閉状態となる。この状態下では、異常判定よりも電気負荷43への給電が優先され、その給電状態が維持される。
・信号変換部80とリレー装置70とを一体として設ける構成としてもよい。また、信号変換部80と制御部60とを一体として設ける構成としてもよい。
・独立駆動信号S1,S2の両方がハイとされた場合に、信号変換部80において、両スイッチSW1,SW2に入力される信号がローなるように信号を変換し、スイッチSW1,SW2の両方が閉状態となるような構成とした。これを変更し、独立駆動信号S1,S2の両方がハイとされた場合に、スイッチSW1,SW2に入力される信号のいずれか一方がローになるように信号を変換し、スイッチSW1,SW2のいずれか一方のみが閉状態となるような構成としてもよい。
・リレー装置70が2つのスイッチSW1,SW2を備える構成としたが、これを変更し、3つ以上のリレースイッチを備える構成としてもよい。この場合、信号変換部は、リレー装置に対し全てのリレースイッチが開状態となるように独立駆動信号が入力された場合に、1又は複数のリレースイッチが閉状態となるように信号を出力するものであればよい。なお、この構成の場合、異常判定対象のスイッチのみが開状態又は閉状態になるように独立駆動信号を入力すれば、その異常判定対象のリレースイッチにおいて開異常又は閉異常が生じていることを判定することができる。
・上記実施形態では、異常判定実施条件は、鉛蓄電池20から電気負荷43に対する暗電流供給中及びフェイルセーフ時において、前回異常判定を実施してから所定の時間が経過したことであるとしたが、これを変更して、異常判定を暗電流供給中にのみ実施する構成としてもよい。暗電流供給時においてリレー装置70に流れる電流は、通常動作時に比べて小さく、個々のスイッチSW1,SW2の電流容量を超えないと考えられるため、暗電流供給時は異常判定を実施するのに好適である。
20…鉛蓄電池、43…電気負荷、60…制御部、70…リレー装置、80,90…信号変換部、A1…共通接点、A2…閉接点、A3…開接点、Pin…入力端子、Pc…第1出力端子、Po…第2出力端子、SW1…第1スイッチ、SW2…第2スイッチ。

Claims (5)

  1. 電源装置(20)と電気負荷(43)とを導通状態又は遮断状態に切り替えるリレー装置(70)を制御するリレー制御装置(60,80)において、
    前記リレー装置は、並列接続された複数のリレースイッチ(SW1,SW2)を備え、
    前記リレースイッチは、それぞれ、閉接点(A2)及び開接点(A3)と共通接点(A1)とを備え、前記共通接点と前記閉接点とを接続する閉状態、又は、前記共通接点と前記開接点とを接続する開状態とされ、
    前記リレー装置は、前記各共通接点及び前記電源装置が接続される入力端子(Pin)と、前記各閉接点及び前記電気負荷が接続される第1出力端子(Pc)と、前記各開接点が接続される第2出力端子(Po)と、を備え、
    前記電源装置から前記電気負荷への電力供給中において、前記複数のリレースイッチのうち一部のリレースイッチを開状態とする異常判定信号(S1,S2)を出力するとともに、その信号出力状態での前記第1出力端子及び前記第2出力端子の電圧の検出値に基づいて、前記複数のリレースイッチの異常を判定する異常判定部(60)と、
    前記異常判定部と前記リレー装置との間に設けられ、前記異常判定信号が前記複数のリレースイッチのうち全部のリレースイッチを開状態とする信号である場合に、前記複数のリレースイッチのうち少なくとも1つが閉状態となるように前記異常判定信号を変換する信号変換部(80,90)と、
    を備えることを特徴とするリレー制御装置。
  2. 前記信号変換部は、前記異常判定信号が前記複数のリレースイッチの少なくとも1つを閉状態とする信号である場合に、前記異常判定信号の変換を実施せず、前記異常判定信号が前記複数のリレースイッチの全てを開状態とする信号である場合に、前記異常判定信号の変換を実施することを特徴とする請求項1に記載のリレー制御装置。
  3. 前記異常判定信号は、前記リレースイッチに対してそれぞれ入力され、ロー状態及びハイ状態のいずれか一方の状態にされる二値信号であり、
    前記信号変換部は、入力される前記異常判定信号としての二値信号を論理演算することで、前記異常判定部から出力される前記異常判定信号が前記複数のリレースイッチのうち全部のリレースイッチを開状態とする信号である場合に、前記複数のリレースイッチのうち少なくとも1つが閉状態となるように前記異常判定信号を変換する論理演算回路により構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のリレー制御装置。
  4. 前記電源装置から前記電気負荷への電力供給中において、前記複数のリレースイッチの全てをまとめて開閉させる共通駆動信号(Sc)を出力するリレー制御部(60)を備え、
    前記信号変換部は、前記異常判定部及び前記リレー制御部と前記リレー装置との間に設けられ、前記共通駆動信号として前記複数のリレースイッチの全てをまとめて閉状態とさせる信号と、前記異常判定信号として前記複数のリレースイッチのうち一部のリレースイッチを開状態とする信号とがともに入力された場合に、前記異常判定信号を優先し、前記複数のリレースイッチのうち一部のリレースイッチが開状態となるように信号を出力することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリレー制御装置。
  5. 前記各リレースイッチは、通常時において閉状態とされ前記共通駆動信号又は前記異常判定信号が入力されることで開状態とされる常閉式のリレースイッチであって、
    前記信号変換部は、前記共通駆動信号及び前記異常判定信号の論理和を出力することで、前記異常判定信号を優先して前記リレー装置に出力することを特徴とする請求項4に記載のリレー制御装置。
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