JP6248617B2 - 細胞シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は細胞組織利用医薬品に関する分野、たとえば再生医療などの治療分野、創薬分野、診断分野、検査分野などで用いることができる、細胞シートの製造方法に関する。
従来から細胞生物学の分野では細胞培養が不可欠である。近年、幹細胞研究や再生医療研究が盛んになるに伴い、ますます細胞培養の技術開発の重要性が高まっている。
細胞をシート状に培養し、トリプシンなどの酵素を使用せずに細胞をシート状に回収するという技術が再生医療分野で注目されている。その際に使用される培養基材として、温度応答性ポリマーを結合させた温度応答性培養基材が知られている。特許文献1には、温度応答性ポリマーで基材表面を被覆した細胞培養基材上において、細胞を温度応答性ポリマーの上限臨界溶解温度未満または下限臨界溶解温度以上で培養し、その後上限臨界溶解温度以上または下限臨界溶解温度未満にすることにより酵素処理なくして培養細胞を剥離させる方法が記載されている。
細胞シートは角膜や歯周組織などの再生医療で既に一定の治療効果も確認され海外で臨床研究や治験が進められようとしている。また、複数の種類からなる細胞シートを積層することによる三次元組織モデルの作製や血管組織を伴う成熟した組織を生体外で作製することも可能であり今後ますます本技術をベースにした研究や治療が期待される。
特公平6−104061号公報
培養基材上で培養した細胞シートは、培養基材上で伸展しており、剥離時には細胞シートが収縮するため、得られる細胞シートが培養基材に比べて小さくなってしまうという問題があった。また、市販の培養皿のサイズの制約や、製造装置上の制約、面内安定性の観点から、大きな細胞培養面を有する細胞培養基材の作製は困難であった。
本発明は、大きな細胞培養面を有する細胞培養基材を用いることなく、従来法により製造される細胞シートよりサイズの大きな細胞シートを製造する手段を提供することを目的とする。
本発明者は、細胞シートを原料として用い、これに細胞を加えて一緒に播種して培養することにより、従来の方法で得られる細胞シートよりもサイズの大きな細胞シートが得られることを見出した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)細胞シートの製造方法であって、
a)原料細胞シートと細胞とを細胞培養基材上に播種して培養する工程、
b)工程aで得られた細胞シートを回収する工程、
を含む、前記方法。
(2)工程bで回収される細胞シートの面積が、原料細胞シートの面積より大きい、(1)記載の方法。
(3)細胞培養基材が刺激応答性材料層を有し、
工程aが、刺激応答性材料層上に原料細胞シートと細胞とを播種して培養する工程であり、
工程bが、刺激応答性材料層からの細胞シートの剥離を含む、
(1)または(2)記載の方法。
(4)工程aの前に、原料細胞シートを製造する工程a’をさらに含み、
工程a’が、刺激応答性材料層を有する細胞培養基材上に細胞を播種して培養し、得られた原料細胞シートを刺激応答性材料層から剥離する工程を含む、
(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)刺激応答性材料が、温度応答性ポリマーである、(3)または(4)記載の方法。
(6)温度応答性ポリマーが、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミドである、(5)記載の方法。
本発明により、大きな細胞培養面を有する細胞培養基材を用いることなく、従来法により製造される細胞シートよりサイズの大きな細胞シートを作製することが可能になる。
本発明の細胞シート製造方法の一実施形態を示す概略図である。
一実施形態において、本発明の細胞シートの製造方法は、図1に示すように、
a)原料細胞シート1と細胞2とを細胞培養基材3上に播種して培養する工程、
b)工程aで得られた細胞シート4を回収する工程、
を含む。細胞培養基材3として、好ましくは刺激応答性材料層5を有するものを用いる。
本発明の方法は、工程aの前に、原料細胞シートを製造する工程を含んでいてもよい。原料細胞シートを製造する工程としては、例えば図1に示すように、刺激応答性材料層5を有する細胞培養基材3上に細胞2を播種して培養し、得られた原料細胞シート1を刺激応答性材料層5から剥離する工程a’が挙げられる。
本明細書における細胞シートは、典型的には細胞が単層で連結したシート状細胞培養物を指すが、これに限らず、複数層が積層された積層物でもよい。
工程aにおいては、原料細胞シートと細胞とを細胞培養基材上に播種して培養する。原料細胞シートは、最終的に製造される細胞シートと同様に、典型的には細胞が単層で連結したシート状細胞培養物を指すが、これに限らず、複数層が積層された積層物でもよい。原料細胞シートには、培養細胞をトリプシン等のタンパク質分解酵素で処理することにより回収されるような、フラグメント状の細胞塊は含まれない。したがって、原料細胞シートは、好ましくは1.0×10個以上、より好ましくは2.0×10個以上、さらに好ましくは4.0×10個以上、通常1.0×10個以下の細胞を含む。細胞シートは収縮性を有することから、原料細胞シートの面積は、細胞培養基材に接着している状態と剥離した状態で異なるが、剥離した上で平面上に配置した状態で、好ましくは1cm以上、より好ましくは2cm以上、さらに好ましくは4cm以上であり、好ましくは50cm以下、より好ましくは20cm以下、さらに好ましくは10cm以下である。
原料細胞シートとして、一定以上の面積を有するものを用いることにより、最終的に得られる細胞シートについても、目的とする比較的大きい面積を確保することができ、かつ表裏を間違えることなくハンドリングすることが容易となる。また、原料細胞シートは、一定以下の面積のものであれば、比較的容易に製造することができ、かつ培養皿上に皺なく配置することが容易となる。
本発明の方法では、その面積が、原料細胞シートの面積より大きい細胞シートを最終的に得ることができる。細胞シートの面積も、原料細胞シートと同様に、細胞培養基材に接着している状態と剥離した状態で異なるが、剥離した上で平面上に配置した状態で、好ましくは1.5cm以上、より好ましくは3cm以上、さらに好ましくは6cm以上であり、好ましくは75cm以下、より好ましくは30cm以下、さらに好ましくは15cm以下である。あるいは、細胞シートは、好ましくは2.0×10個以上、より好ましくは4.0×10個以上、さらに好ましくは8.0×10個以上、通常3.0×10個以下の細胞を含む。
細胞シートとして、一定以上の面積を有するものが得られることにより、比較的面積の広い部位の移植等にもそのまま用いることができ有利である。また何枚もの細胞シートを移植する必要性を回避することができる点でも有利である。一方、細胞シートは、一定以下の面積のものであれば、取扱いが容易である。
細胞シートに含まれる細胞の個数は、例えば、細胞シートをトリプシン等の酵素で処理してカウントすることにより測定することができる。細胞シートは、典型的には、細胞が単層で連結したシートであることから、細胞シートの面積と細胞シートに含まれる細胞の個数との間には、一定の比例関係があると考えられる。
原料細胞シートは、予め製造されたものが用いられるが、細胞培養基材から剥離されたものを播種する。工程aにおいて、原料細胞シートと細胞とを播種する細胞培養基材として、原料細胞シートを製造した細胞培養基材をそのまま用いてもよいが、原料細胞シートが細胞培養基材に接着した状態で得られる場合は、原料細胞シートを細胞培養基材から剥離した上で、さらに細胞を播種することにより、原料細胞シートと細胞とを一緒に培養する。あるいは、細胞培養基材を用いて製造および回収した原料細胞シートを、別の細胞培養基材に、細胞とともに播種してもよい。
原料細胞シートは、一枚のみを播種してもよいし、複数枚を播種してもよい。複数枚を播種する場合は、その枚数は、用いる細胞培養基材の培養面のサイズや目的とする細胞シートのサイズに依存する。複数枚の原料細胞シートを播種することにより、一緒に播種する細胞が原料細胞シート同士をつなぎ合わせることができ、より面積の大きい細胞シートを製造することが可能になる。さらに、同じ大きさの細胞シートを製造する場合、原料細胞シートを一枚のみ播種するよりも、複数枚播種した方が培養時間を短縮でき、結果として細胞シートの製造時間を短縮することができる。
原料細胞シートと細胞を播種する際には、原料細胞シートが細胞培養基材の培養面の中央付近に配置されるよう播種することが好ましい。細胞シートは、剥離時にシート全体に張力が働き、これが細胞シートの剥離を手助けしていると考えられる。既に収縮済みで収縮しない原料細胞シートを中央付近に配置すれば、その周囲に播種した細胞から新たな細胞シートが形成されることとなり、新たな細胞シートは剥離時に収縮することから、結果として細胞シート全体を容易に剥離することが可能になる。
原料細胞シートと細胞は、一緒に播種してもよいし、別々に播種してもよい。別々に播種する場合、播種の順番は特に制限されないが、好ましくは原料細胞シートを先に播種することが好ましい。細胞を先に播種した場合は、細胞が培養皿の全面に接着してしまい、原料細胞シート全体が培養皿へ接着することが困難となる場合がある。
原料細胞シートとともに播種する細胞は、組織や器官から直接採取した初代細胞でもよく、あるいは、それらを何代か継代させたものでもよい。さらにこれら細胞は、未分化細胞である胚性幹細胞、多分化能を有する間葉系幹細胞などの多能性幹細胞、単分化能を有する血管内皮前駆細胞などの単能性幹細胞、分化が終了した細胞の何れであってもよい。また、細胞は単一種を播種してもよいし二種以上の細胞を播種してもよい。これらの細胞を、通常の方法で予備培養して増殖させ、酵素処理することにより剥離および回収した上で、原料細胞シートとともに播種することが好ましい。
細胞の播種方法や播種量については特に制限はなく、例えば、朝倉書店発行「日本組織培養学会編組織培養の技術」に記載されている方法が使用できる。通常、10cells/cm〜10cells/cmのオーダーで細胞が含まれるように播種するのが好ましい。細胞は、培養液中の細胞懸濁液として播種することが好ましい。
培養液としては、当技術分野で通常用いられる細胞培養用培地であれば特に制限なく用いることができる。例えば、用いる細胞の種類に応じて、MEM培地、BME培地、DME培地、αMEM培地、IMDM培地、ES培地、DM−160培地、Fisher培地、F12培地、WE培地およびRPMI1640培地等の基礎培地を用いることができる。さらに、基礎培地に血清(ウシ胎児血清等)、各種増殖因子、抗生物質、アミノ酸等を加えてもよい。また、Gibco無血清培地(インビトロジェン社)等の市販の無血清培地等を用いることができる。培養温度は、通常37℃である。CO細胞培養装置などを利用して、5%程度のCO濃度雰囲気下で培養するのが好ましい。培養は、細胞がコンフルエントになるまで実施することが好ましい。コンフルエントにすることで細胞シートとして回収することができる。培養時間は、通常1〜7日間である。
工程aにおいて用いる細胞培養基材としては、刺激応答性材料層を有するものを用い、刺激応答性材料層上に原料細胞シートと細胞とを播種して培養することが好ましい。そのような細胞培養基材は、基材上に刺激により細胞の接着性が変化する刺激応答性材料層を形成することにより製造できる。刺激応答性材料層とは、所定の刺激によって表面の細胞の接着度合いが変化する、すなわち細胞接着性から細胞非接着性へと変化することが可能な刺激応答性材料を含む層である。刺激応答性材料としては、温度応答性材料、pH応答性材料、光応答性材料などを挙げることができる。なかでも温度応答性材料が、刺激の付与が容易であることから好ましい。
細胞接着性は、実際に細胞培養した際の細胞接着伸展率を指標に判断できる。細胞接着性の表面は、細胞接着伸展率が60%以上の表面であることが好ましく、細胞接着伸展率が80%以上の表面であることが更に好ましい。細胞接着伸展率が高いと、効率的に細胞を培養することができる。本発明における細胞接着伸展率は、播種密度が4000cells/cm以上30000cells/cm未満の範囲内で培養しようとする細胞を測定対象表面に播種し、37℃、CO濃度5%のインキュベータ内に保管し、14.5時間培養した時点で接着伸展している細胞の割合({(接着している細胞数)/(播種した細胞数)}×100(%))と定義する。
一方、細胞非接着性とは、細胞が接着しにくい性質をいう。細胞非接着性は、表面の化学的性質や物理的性質等によって細胞の接着や伸展が起こりにくいか否かで決定される。細胞非接着性の表面は、上記で定義した細胞接着伸展率が60%未満の表面であることが好ましく、40%未満の表面であることがより好ましく、5%以下の表面であることが更に好ましく、2%以下の表面であることが最も好ましい。
温度応答性材料として、例えば、細胞を培養する温度では細胞接着性を示し、細胞を剥離する時の温度では細胞非接着性を示す温度応答性ポリマーが好ましく用いられる。例えば、温度応答性ポリマーは、臨界溶解温度未満の温度では周囲の水に対する親和性が向上し、ポリマーが水を取り込んで膨潤して表面に細胞を接着しにくくする性質(細胞非接着性)を示し、同温度以上の温度ではポリマーから水が脱離することでポリマーが収縮して表面に細胞を接着しやすくする性質(細胞接着性)を示すものを用いるとよい。このような臨界溶解温度は、下限臨界溶解温度と呼ばれる。下限臨界溶解温度Tが0℃〜80℃、さらに好ましくは0℃〜50℃である温度応答性ポリマーを用いるとよい。
本発明に好適に使用できる温度応答性ポリマーとして、具体的にはアクリル系ポリマーまたはメタクリル系ポリマーが挙げられ、より具体的にはポリ−N−イソプロピルアクリルアミド(T=32℃)、ポリ−N−n−プロピルアクリルアミド(T=21℃)、ポリ−N−n−プロピルメタクリルアミド(T=32℃)、ポリ−N−エトキシエチルアクリルアミド(T=約35℃)、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド(T=約28℃)、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド(T=約35℃)、およびポリ−N,N−ジエチルアクリルアミド(T=32℃)等が挙げられる。また、これらのポリマーを形成するためのモノマーが2種以上組み合わされて重合された共重合体であってもよい。
光応答性材料としては、光照射の有無により細胞の接着性が変化するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、特開2005−210936号公報に開示されるような、光触媒や、アゾベンゼン、ジアリールエテン、スピロピラン、スピロオキサジン、フルギド及びロイコ色素等の光応答成分を含むものを用いることができる。
電位応答性材料としては、電位の印加により、細胞の接着性が変化するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、特開2008−295382号公報に開示されるような、電極と、RGD配列を含むペプチド等の細胞接着性部分を有し、上記電極表面にチオレートを介して結合するアルカンチオール、システイン、アルカンジスルフィド等のスペーサ物質とを有するものを挙げることができる。
磁力応答性材料としては、磁力の付与・除去により細胞の接着性が変化するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、特開2005−312386号公報に開示されるような、フェライト等の磁性粒子を正電荷リポソームに封入した磁性粒子封入正電荷リポソームを挙げることができる。
刺激応答性材料層の形成方法としては、特に限定されるものではない。具体的には、刺激応答性材料を含む組成物をスピンコート等の公知の塗布方法を用いて基材上に塗布する。刺激応答性材料のパターンを形成する場合は、フォトリソグラフィー法によりパターニングする方法や、グラビア印刷やフレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット法などの公知のパターン塗布法を用いてパターン状に塗布する方法を使用できる。貫通孔(スルーホール)を有するメタルマスク等を介して、パターン状に刺激応答性材料層を電子線や紫外線処理することによって作製してもよい。
刺激応答性材料層を形成する基材を構成する材料は特に制限されず、金属、ガラス、セラミック、シリコン等の無機材料、ならびに公知または市販のプラスチックを適用できる。プラスチックとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、酸変性ポリオレフィン系樹脂、およびこれらの樹脂の混合物等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
細胞培養基材上に播種した原料細胞シートと細胞は、細胞接着性の刺激応答性材料層に接着し、一緒になって細胞シートを形成する。そして、特定の刺激により刺激応答性材料層を細胞非接着性に変化させることにより、形成された細胞シートを剥離し、回収することができる。細胞非接着性に変化しない細胞接着性の細胞培養基材を用いる場合でも、トリプシン等の酵素を用いる方法など、当技術分野で公知の方法により、細胞シートを細胞培養基材から剥離することは可能である。
本発明の細胞シートの製造方法は、さらに、原料細胞シートを製造する工程を含んでいてもよい。原料細胞シートは、当技術分野で公知の方法で製造することができる。例えば、上記と同様に、刺激応答性材料層を有する細胞培養基材を用い、刺激応答性材料層上に細胞を播種して培養し、刺激を印加することにより、得られた原料細胞シートを刺激応答性材料層から剥離して回収することにより製造できる。同様に、刺激応答性材料層として、温度応答性ポリマー層を有する細胞培養基材を用いることが好ましい。細胞の播種方法、播種量、培養液や培養条件等については、上記と同様である。このようにして得られた原料細胞シートは剥離の際に既に収縮しており、さらに収縮しにくい。したがって、原料細胞シートに細胞を加えてさらに培養することにより、原料細胞シートよりも面積の大きな細胞シートを得ることができる。
原料細胞シートは、細胞を培養容器に添加し、培養容器の内底面方向への遠心力を作用させながら細胞培養を行うことにより製造することもできる。この方法では、遠心力により細胞が内底面の形状に応じて内底面に密着した状態で、細胞同士が接着し、所望の形状の原料細胞シートを形成することができる。内底面方向とは、好ましくは内底面に垂直な方向である。内底面に垂直な方向とは、内底面に対し厳密に垂直であることを意図するものではなく、例えば、厳密に垂直な方向に対し、30°以内のずれがあってもよい。
遠心力の大きさは、細胞の機能に悪影響を与えることなく細胞シートの形成が可能な範囲で適宜選択することができる。好ましくは2〜2000G、より好ましくは10〜1000G、より好ましくは50〜800Gで遠心力を付与する。遠心力処理においては、細胞懸濁液を収容した培養容器を遠心器に設置し、遠心操作を行うことで遠心力を付与することができる。遠心時間に関しても、細胞の機能に悪影響を与えることなく細胞シートの形成が可能な範囲で適宜選択することができる。好ましくは5分以上、より好ましくは60分以上、さらに好ましくは90分以上であり、好ましくは840分以内、より好ましくは720分以内、さらに好ましくは360分以内である。細胞間接着性をさらに向上させるために、遠心後にインキュベーションを行ってもよい。原料細胞シートの回収は、ピペッティング操作などの簡単な物理的な操作によって、培養容器の内底面から細胞を剥離することにより実施できる。遠心処理で用いる培養容器は内底面が細胞非接着性であることが好ましく、その場合、細胞シートの剥離回収を容易に実施できる。その他、細胞の播種方法、播種量、培養液や培養条件等については、上記と同様である。
ここで、原料細胞シートの製造に用いる細胞も、組織や器官から直接採取した初代細胞でもよく、あるいは、それらを何代か継代させたものでもよい。さらにこれら細胞は、未分化細胞である胚性幹細胞、多分化能を有する間葉系幹細胞などの多能性幹細胞、単分化能を有する血管内皮前駆細胞などの単能性幹細胞、分化が終了した細胞の何れであってもよい。また、細胞は単一種を培養してもよいし二種以上の細胞を共培養してもよい。これらの細胞を、通常の方法で予備培養して増殖させ、酵素処理することにより剥離および回収した上で、原料細胞シートの製造のために使用することが好ましい。
原料細胞シートを構成する細胞の種類としては、生体に存在するあらゆる組織とそれに由来する細胞を用いることができる。接着性の細胞で原料細胞シートを構成することが好ましい。具体的には、生体内の各組織、臓器を構成する上皮細胞や内皮細胞、収縮性を示す骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、神経系を構成するニューロン、グリア細胞、繊維芽細胞、生体の代謝に関係する肝実質細胞、非肝実質細胞や脂肪細胞、分化能を有する細胞として、種々組織に存在する幹細胞、さらには骨髄細胞、ES細胞等を用いることができる。細胞は、一種類のみであってもよく、二種類以上用いるものであってもよい。細胞が由来する動物も特に限定されず、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジなどが含まれる。
原料細胞シートとともに播種する細胞も、生体に存在するあらゆる組織とそれに由来する細胞を用いることができる。接着性の細胞を播種することが好ましい。細胞の具体例は、上記と同様である。細胞は、一種類のみであってもよく、二種類以上用いてもよい。細胞が由来する動物も特に限定されず、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジなどが含まれる。
原料細胞シートを構成する細胞と別途播種する細胞は、同種のものでも別種のものでもよいが、好ましくは同種の細胞を用いる。原料細胞シートを構成する細胞と別途播種する細胞が同種のものである場合、最終的に得られる細胞シートは一種類の細胞のみから構成されることとなり、別種のものである場合は、最終的に得られる細胞シートは複数種の細胞から構成されることになる。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例の範囲に限定されるものではない。
<実施例1>
(1)細胞シートの作製
セルシード社製温度応答性培養皿UpCellディッシュ(3.5cm)にウシ血管内皮細胞(HH)を4×10cells/dishとなるように播種し、3日培養後30分低温処理することで細胞シートを得た。
(2)細胞シートの再播種
培地を除去後、4.3×10cells/mlのHHを0.5ml加え、2時間培養することで浮遊していた細胞シートをUpCell底面に接着させた。その後、さらに4.3×10cells/mlを2ml加え培養した。
(3)細胞シートの再剥離
培養1日後コンフルエントとなった細胞シートを再度剥離させたところ、1枚の細胞シートとして回収することができた。
(4)細胞数の計測
回収した細胞シートをトリプシン処理し、細胞数を数えたところ、2.4×10細胞であった。
<実施例2>
(1)細胞シートの作製
セルシード社製温度応答性培養皿UpCellディッシュ(3.5cm)2枚にウシ血管内皮細胞(HH)を4×10cells/dishとなるように播種し、3日培養後30分低温処理することで細胞シートを2枚得た。
(2)細胞シートの再播種
2枚の細胞シートを1枚のUpCellディッシュ(3.5cm)に移し替え、培地除去後、4×10cells/mlのHHを0.5ml加え、2時間培養することで浮遊していた細胞シートをUpCell底面に接着させた。その後、さらに4×10cells/mlを2ml加え培養した。
(3)細胞シートの再剥離
培養1日後コンフルエントとなった細胞シートを再度剥離させたところ、1枚の細胞シートとして回収することができた。
(4)細胞数の計測
回収した細胞シートをトリプシン処理し、細胞数を数えたところ、3.1×10細胞であった。
<比較例1>
(1)細胞シートの作製
セルシード社製温度応答性培養皿UpCellディッシュ(3.5cm)にウシ血管内皮細胞(HH)を4×10cells/dishとなるように播種し、7日培養後30分低温処理することで細胞シートを得た。
(2)細胞数の計測
回収した細胞シートをトリプシン処理し、細胞数を数えたところ、1.3×10細胞であった。
1:原料細胞シート
2:細胞
3:細胞培養基材
4:細胞シート
5:刺激応答性材料層

Claims (5)

  1. 細胞シートの製造方法であって、
    a)原料細胞シートと細胞とを細胞培養基材上に播種して培養する工程、
    b)工程aで得られた細胞シートを回収する工程、
    を含
    工程bで回収される細胞シートの面積が、原料細胞シートの面積より大きい、
    前記方法。
  2. 細胞培養基材が刺激応答性材料層を有し、
    工程aが、刺激応答性材料層上に原料細胞シートと細胞とを播種して培養する工程であり、
    工程bが、刺激応答性材料層からの細胞シートの剥離を含む、
    請求項記載の方法。
  3. 工程aの前に、原料細胞シートを製造する工程a’をさらに含み、
    工程a’が、刺激応答性材料層を有する細胞培養基材上に細胞を播種して培養し、得られた原料細胞シートを刺激応答性材料層から剥離する工程を含む、
    請求項1または2に記載の方法。
  4. 刺激応答性材料が、温度応答性ポリマーである、請求項または記載の方法。
  5. 温度応答性ポリマーが、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミドである、請求項記載の方法。
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