JP6226617B2 - 細胞管状組織の作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞管状組織を効率的に作製する方法、及びそのための器材に関する。
従来から細胞生物学の分野では細胞培養が不可欠である。近年、幹細胞研究や再生医療研究が盛んになるに伴い、ますます細胞培養の技術開発の重要性が高まっている。細胞をシート状に培養し、トリプシンなどの酵素を使用せずに温度を低下させるだけで細胞をシート状に回収する「細胞シート工学」という技術が再生医療分野で注目されている。その際に使用されるのが、温度応答性ポリマーを結合させた温度応答性細胞培養基材である。
細胞シート工学によって得られる細胞シートは角膜や歯周組織などの再生医療で既に一定の治療効果も確認され欧州で既に臨床研究や治験が進められている。また、複数の種類からなる細胞シートを積層することによる三次元組織モデルの作製や血管組織を伴う成熟した組織を生体外で作製することも可能であり今後ますます本技術をベースにした研究や治療が期待される。
特許文献1には、筋芽細胞からなる心臓疾患に適用するためのシート状三次元構造体が記載されている。しかし、この構造体はシート状であり、細胞を管状に組織化することについては記載されていない。
非特許文献1には、細胞を管状に組織化することによって、例えば、心筋細胞を管状に組織化することによって心筋細胞シートを作製し、これを生体の動脈に巻きつけて心臓のポンプ機能を補助させ、心機能を改善する方法などが開示されている。しかし、非特許文献1に記載の方法は、得られた細胞シートを単独で支持体に巻きつける方法であるため、細胞シートの脆弱性によりハンドリングが困難であるという問題があった。
特開2012−139541号公報
Circulation,2006 Jul 4;114(1 Suppl):I87−93
本発明は上記問題を鑑みて開発されたものであり、細胞シートを管状に組織化するにあたり、ハンドリングを容易にするための方法及びそのための手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、一方の面に細胞培養層を有し、他方の面の端部に接着剤層を有するフィルムを準備し、該フィルムの細胞培養層上で細胞を培養することにより細胞シートを作製し、細胞シートをフィルムごと管化することにより、細胞シートを効率的に管状に組織化できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)第1の面に細胞培養層を有し、第1の面とは反対側の第2の面の端部に接着剤層を有するフィルムからなり、第2の面の接着剤層を、第2の面において接着剤層が存在する端部に対する遠位端に対向する第1の面の端部に接着させることにより管状構造を形成可能に構成されている、前記細胞培養基材。
(2)フィルムが、第2の面の接着剤層を接着させる第1の面の端部に細胞接着阻害領域を有する、(1)記載の細胞培養基材。
(3)細胞培養層が、刺激により細胞の接着性が変化する刺激応答性層である、(1)又は(2)記載の細胞培養基材。
(4)容器と、該容器底部に配置された(1)〜(3)のいずれかに記載の細胞培養基材とを備えた細胞培養容器であって、
細胞培養基材が、細胞培養層が露出するように容器底部に配置されている、前記細胞培養容器。
(5)細胞管状組織を作製する方法であって、
a)(1)〜(3)のいずれかに記載の細胞培養基材の細胞培養層上で細胞を培養して細胞シートを作製する工程、及び
b)細胞シートを細胞培養基材とともに管化して細胞管状組織を形成する工程
を含む、前記方法。
(6)工程b)において、細胞シートを細胞培養基材とともに支持体に巻きつけることにより管化する、(5)記載の方法。
(7)細胞培養層が刺激により細胞の接着性が変化する刺激応答性層であり、細胞管状組織を細胞培養基材から刺激により剥離する工程をさらに含む、(5)又は(6)記載の方法。
本発明により管状の細胞組織構造物の作製効率が向上し、移植効率を向上させることができる。
本発明の細胞培養基材の一実施形態の垂直切断面を示す概略図である。 本発明の細胞培養基材の一実施形態の垂直切断面を示す概略図である。 本発明の細胞培養基材の一実施形態の上面図を示す概略図である。 本発明の細胞培養基材の一実施形態の垂直切断面を示す概略図である。 本発明の細胞培養基材の一実施形態の垂直切断面を示す概略図である 本発明の細胞培養基材の一実施形態の上面図を示す概略図である。 本発明の細胞培養基材及び細胞培養容器の一実施形態を示す概略図である。 本発明の細胞管状組織の作製方法の一実施形態を示す概略図である。 本発明の細胞管状組織の作製方法の一実施形態を示す概略図である。 本発明の細胞管状組織の作製方法の一実施形態を示す概略図である。
本発明の細胞培養基材Aは、例えば図1に示すように、第1の面1に細胞培養層Bを有し、第1の面1の反対側の面である第2の面2の端部3に接着剤層Cを有するフィルム4からなる。そして、例えば図2に示すように、第2の面2の接着剤層Cを第1の面1の端部5に接着させることにより管状構造を形成可能に構成されている。接着剤層Cを接着させる第1の面1の端部5には、細胞培養層Bが形成されていてもよいが、より容易に接着させる観点から、細胞培養層が存在せず、フィルムが露出している方が好ましい。
本発明の細胞培養基材の一実施形態のフィルム平面に垂直な切断面を図1に、当該実施形態の第2の面の上面図を図3に示す。図1に示されるように、フィルム4において、細胞培養層Bが存在する第1の面1は、接着剤層Cが存在する第2の面2の反対側の面(裏面)に相当する。フィルムの形状は、管状構造を形成可能である限り特に制限されないが、通常、略四角形であり、好ましくは略長方形である。フィルムのサイズは、形成しようとする細胞管状組織に基づいて適宜決定されるが、好ましくは一辺(例えば、図3における辺の長さX及びY)が、それぞれ同一又は異なって、10〜200mm、より好ましくは20〜90mmの長方形、好ましくは正方形である。上記サイズであれば、一般的に使用される細胞培養容器の底面に配置しやすくなる。
フィルムの厚みは、可撓性を有する限り特に制限されず、フィルムの材料によって適宜選択されるが、通常10〜200μm、好ましくは30〜100μmである。上記厚みであれば、ピンセットなどを介して容易に管状に変形させることが可能となる。
フィルムの材料は、可撓性を有する限り特に制限されないが、好ましくはプラスチックフィルムである。プラスチックとしては、特に制限されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、TAC(トリアセチルセルロース)、ポリイミド(PI)、ナイロン(Ny)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、アクリル等が挙げられる。
細胞培養基材により形成される管状構造の形状は、形成しようとする細胞管状組織の形状と略同一であり、細長く、内部が空洞で、両端が外に開口している形状を有するものであれば特に制限されない。管状構造の長さは、通常、フィルムの一辺Xの長さと等しいものとなる。フィルムを一辺Yと平行に任意の幅で切断して使用することも可能であり(例えば、図3の点線で切断)、その場合は、切断した幅(X')が、管状構造の長さとなる。
管状構造の断面形状は特に制限されないが、好ましくは図2に示すような略円形である。略円形には、円形にゆがみや凹凸部を有するものや楕円形などが包含され、好ましくは円形である。断面の空洞部分の寸法は、フィルムの一辺の長さYに依存し、かつ管化したときに第1の面と第2の面が重複する幅に依存するが、好ましくは外径が5〜30mmの円形である。上記範囲であれば、前述の好ましいフィルムサイズにおいて、良好に管状への変形が可能となる。
接着剤層は、接着剤を含む層であり、第2の面2の少なくとも端部に存在する。フィルム片面の少なくとも端部3に接着剤層を設けることにより、第2の面2の接着剤層Cを、第1の面1の端部に接着させて管状構造を形成することができる。接着剤層Cは、管状構造形成のために第2の面2の端部3に存在するが、端部とは、いわゆるのりしろ部分をさす。端部とは、実質的に端部であればよく、必ずしも最端部である必要はない。フィルムが略四角形の場合は、いずれかの辺に沿った帯状領域をさす。帯状領域の幅、例えば図3における幅Zは、四角形の一辺の長さYに対し、好ましくは20〜50%程度、より好ましくは30〜45%程度の長さである。より具体的には、帯状領域の幅、例えば図3における幅Zは、好ましくは10〜40mm、より好ましくは15〜30mmである。上記範囲であれば、フィルムの第1の面と第2の面を接着させるのに十分であると考えられる。また、40mm以下とすることで細胞の有効面積を十分に確保できる。接着剤層Cは、管状構造を形成できる限り、上記帯状領域の全面に形成されていてもよいし、部分的に形成されていてもよく、例えば縞状やドット状に形成されていてもよい。
接着剤層を設けることにより、フィルムを巻いて管化する際に、フィルムの重なり部分を固定して、管状構造をしっかりと維持することが可能であり、細胞管状組織の形成において有利である。また、フィルムを巻く前に、フィルムの細胞培養層上で細胞を培養して細胞シートを形成する段階においては、接着剤層は、細胞培養層とは反対の面に存在するため、接着剤成分の溶出等による細胞培養に与える影響も少ない。
接着剤層を構成する接着剤は、細胞培養を阻害しないものであれば特に制限されないが、例えば、シリコーン系、アクリル系の接着剤が好ましい。一般的に市販されているシリコーン系(脱オキシムタイプ)の接着剤を用いて細胞培養を実施しても特に細胞毒性は見られない。
接着剤層の厚みは、用いる接着剤に応じて適宜決定され、フィルムの第1の面と第2の面とを接着可能である限り特に制限されないが、通常5〜50μm、好ましくは10〜30μmである。50μm以下とすることで、管状に変形したあとに段差の影響で細胞シートが破断するリスクを抑制できる。5μm以上とすることで、接着剤としての機能が不足し管状の構造を維持できなくなるリスクを抑制できる。
細胞培養層は、その表面において細胞を培養するための層であり、少なくとも細胞培養時においてその表面が細胞接着性を発現している層である。細胞培養層としては、例えば、常に細胞接着性を発現している細胞接着性層、および刺激により細胞の接着性が変化する刺激応答性層を使用できる。常に細胞接着性を発現している細胞接着性層は、細胞接着性材料を含む層である。細胞接着性材料としては、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン及びエラスチンなどの細胞接着性タンパク質が挙げられる。刺激応答性層については後述する。
細胞接着性を発現しているとは、細胞が接着、伸展しやすく、細胞接着伸展率が高い状態、具体的には、細胞接着伸展率が60%以上、好ましくは80%以上である状態をいう。また、細胞非接着性を発現している場合とは、細胞が接着、伸展しにくく、細胞接着伸展率が低い状態、具体的には、細胞接着伸展率が5%以下、好ましくは2%以下である状態をいう。
細胞接着伸展率は、播種密度が4000cells/cm以上30000cells/cm未満の範囲内でたとえば、ウシ血管内皮細胞を播種し、37℃インキュベーター内(CO濃度5%)に保管し、3時間培養した時点で接着伸展している細胞の割合({(接着している細胞数)/(播種した細胞数)}×100(%))を表す。
細胞培養層を有するフィルム上に細胞を播種すると、細胞は細胞培養層に接着して増殖することから、フィルム上の細胞培養層が存在する領域に細胞シートが形成されることとなる。したがって、フィルムの第1の面において細胞培養層は、形成しようとする細胞シートの平面形状と同様の平面形状で適宜形成される。細胞培養層は、フィルムの第1の面の全面に形成されていてもよいし、パターン状に形成されていてもよい。パターンの形状は、得られる細胞シートを細胞培養基材とともに管化して細胞管状組織を形成可能な限り特に制限されず、例えば、四角形を含む多角形、楕円を含む円形、格子形状及び網目形状などが挙げられる。また、細胞接着層は、任意の切出し位置に合わせて多面付けされていてもよい。
接着剤層Cを接着させる第1の面の端部は、例えば図1に示すように、第2の面2において接着剤層が存在する端部3に対する遠位端に対向する、第1の面1上の端部5である。接着剤層Cが接着する第1の面の端部5には、細胞接着阻害領域が存在することが好ましい。細胞接着阻害領域は、細胞非接着性の領域であり、細胞培養層と細胞接着阻害領域を有するフィルムの第1の面に細胞を播種すると、細胞培養層には細胞が接着して増殖し細胞シートが形成されるが、細胞接着阻害領域には細胞が接着しないため、細胞シートが形成されない。
本発明においては、細胞培養層上に細胞シートを形成後、接着剤層Cを有する第2の面の端部を第1の面の端部に接着させて管状構造を形成し、それによって細胞管状組織を形成する。接着剤層Cを接着させる第1の面の端部に細胞が存在していても、接着時に細胞を破壊することにより第1の面の端部と第2の面の端部を接着させることは可能であるが、細胞が存在しない方が、フィルムの重なり部分を固定し、管状構造を維持する観点から好ましい。また、細胞シートの一部を損傷させないという観点からも好ましい。
細胞接着阻害領域は、例えば図4に示すように、その表面が細胞非接着性である細胞接着阻害層Dを有する領域である。細胞接着阻害層Dは、図4aに示すように、第1の面1において細胞培養層B上に形成されていてもよいし、図4bに示すように、第1の面1上に直接形成されていてもよい。あるいはフィルム自体が細胞非接着性である場合は、単に細胞培養層が存在せずフィルムが露出している領域であってもよい。図4aに示す細胞培養基材において、第2の面の接着剤層を第1の面の端部の細胞接着阻害層Dに接着させることにより管状構造を形成した場合の切断面を図5に示す。
細胞接着阻害領域は、第1の面1の少なくとも端部に存在する。第2の面2の接着剤層Cを、第1の面1の端部5に存在する細胞接着阻害領域に接着させて管状構造を形成することから、端部5は、第2の面において接着剤層Cが存在する端部3に対する遠位端であって、第1の面に存在するいわゆるのりしろ部分をさす。端部とは、実質的に端部であればよく、必ずしも最端部である必要はない。図4aに示す実施形態の、第1の面の上面図を図6に示す。図6に示すように、細胞接着阻害領域は、フィルムが略四角形の場合は、接着剤層Cの帯状領域が存在する辺の対辺に沿った帯状領域であり、かつ第1の面上に存在する帯状領域である。帯状領域の幅、例えば図6における幅Wは、四角形の一辺の長さYに対し、好ましくは10〜30%程度、より好ましくは15〜25%程度の長さである。より具体的には、帯状領域の幅、例えば図6における幅Wは、好ましくは5〜20mm、より好ましくは7〜15mmである。上記範囲であれば、培養細胞と接着剤が接することなく良好に管状の組織を得ることが可能となる。20mm以下とすることで、細胞接着領域を十分に確保できる。また、5mm以上とすることで、管状に変形したあとの接着領域の不足を防止できる。細胞接着阻害領域は、管状構造を形成できる限り、上記帯状領域の全面に形成されていてもよいし、部分的に形成されていてもよく、例えば縞状やドット状に形成されていてもよい。
細胞接着阻害層を構成する細胞非接着性材料としては、親水性ポリマーが挙げられる。親水性ポリマーの具体例としては、ポリアルキレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミドなどやこれらと他のモノマーとの共重合体や、グラフト重合体などが挙げられる。中でもポリアルキレングリコールは様々な分子量のものが市販されており、かつ生体適合性に優れているので好適に用いることができる。ポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー、ポリエチレングリコールジアクリレートなどが挙げられ、ポリエチレングリコールが好適に用いられる。細胞接着阻害層の厚みは、材料によって細胞接着阻害機能を発揮するのに必要な段差が異なるため特に制限されない。例えばポリエチレングリコールの場合は1〜5nmの範囲であれば十分である。ポリアクリルアミド(ゲル)やポリエチレングリコールゲルの場合は、1μm〜20μmの範囲であれば細胞接着阻害機能を十分発揮する。
フィルム上に、細胞培養層、接着剤層、細胞接着阻害層等を形成する方法としては、特に限定されるものではない。具体的には、各層を構成する材料を含む組成物をスピンコート等の公知の塗布方法を用いてフィルム上に塗布する。フィルム上で各層のパターンを形成する場合は、フォトリソグラフィー法によりパターニングする方法や、グラビア印刷やフレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット法などの公知のパターン塗布法を用いてパターン状に塗布する方法を使用できる。貫通孔(スルーホール)を有するメタルマスク等を介して、パターン状に電子線や紫外線処理することによって作製してもよい。
本発明はまた、上記細胞培養基材を備えた細胞培養容器に関する。本発明の細胞培養容器は、例えば図7に示すように、培養皿などの容器6と、フィルムからなる細胞培養基材Aとを用意し、細胞培養基材の細胞培養層Bが存在する第1の面が露出するように、細胞培養基材を容器底面に配置して製造することができる。細胞培養基材は、細胞培養後に、細胞シートとともに取り出すことから、容器底面から取り出し可能に配置される。例えば、細胞培養基材は、容器底面に着脱可能に配置される。具体的には、細胞培養面を上にして、PDMS(ポリジメチルシロキサン)で作製した四角形状の側壁を設けるようにして内側に培養液を入れた際に培養液が漏れないような系で培養を行う。
細胞培養基材を配置する容器としては、底面が単一平面であり、直径が30〜60mmのシャーレが好ましく用いられる。これは従来の細胞培養に用いられているシャーレと同等のものであり、汎用のシャーレから簡便に作製できること、および既存の培養装置等に適合しやすいことから好ましい。細胞培養容器の容器を構成する材料としては、金属、ガラス、セラミック、プラスチック、エラストマー等やこれらの複合材を用いることができるがこれらには限定されない。特に透明な材料が望ましい。細胞の顕微鏡観察を容易にするからである。金等の蒸着層も厚さ50nm程度なら光透過性を有するので好適に用いることができる。プラスチックの例については、上記と同様である。
本発明はまた、細胞管状組織を作製する方法に関し、該方法は、例えば図8に示すように、
a)上記細胞培養基材Aの細胞培養層B上で細胞7を培養して細胞シートを作製する工程、及び
b)細胞シートを細胞培養基材Aとともに管化して細胞管状組織を形成する工程
を含む。
本発明の方法においては、細胞シートを細胞培養基材とともに管化して細胞管状組織を形成することから、脆弱な細胞シートを支持しながら管構造を形成することができ、効率的に細胞管状組織を作製することができる。細胞シートは、細胞間結合で細胞同士が少なくとも単層で結合され、シートを形成しているものである。
細胞シートを細胞培養基材とともに管化する工程においては、図8bに示すように、細胞シートが管の内側になるように管化してもよいし、図8b'に示すように、細胞シートが管の外側になるように管化してもよいが、好ましくは細胞シートが管の内側になるように管化する。細胞シートが内側にある方が管状にしたあとに基材を除去しやすいなどのメリットがある。細胞シートが細胞接着層から剥がれると収縮すると考えられ、管状の細胞シートの外径は、管状基材の内径よりも小さくなり、除去しやすくなると考えられる。
細胞管状組織は、細胞培養基材上に形成された細胞シートを、細胞培養基材とともに管化することにより形成されることから、その形状は、上記の細胞培養基材による管状構造と略同一である。すなわち、細長く、内部が空洞で、両端が外に開口している形状を有し、細胞管状組織の長さは、通常、フィルムの一辺の長さXとほぼ等しいものとなる。フィルムを一辺Yと平行に任意の幅で切断して使用する場合は、切断した幅(X')と細胞管状組織の長さはほぼ等しいものとなる。フィルムの切断は、細胞シートを形成する前に行ってもよいし、細胞シートを形成した後で細胞シートとフィルムを一緒に切断してもよい。
工程b)においては、例えば図9に示すように、細胞シートを細胞培養基材とともに支持体8に巻きつけることにより管化することが好ましい。細胞シートを、例えば動脈などの生体由来の支持体に巻きつけて心臓のポンプ機能を補助させ、これを移植することにより心機能を改善することが可能である。細胞シートを巻きつけて細胞管状組織を形成する観点から、生体由来の支持体としては、血管などの棒状または管状の支持体が好ましい。
生体由来の支持体として生体から取得した組織を用い、支持体への巻きつけを生体外で行い、その後生体内に移植することができる。あるいは、細胞シートを、生体に由来しない支持体に巻きつけて管化することにより、モデル構造を構築してアッセイに用いることもできる。その場合の支持体としては、細胞培養に通常用いられる材料、例えば、金属、ガラス、セラミック、プラスチック、エラストマー等やこれらの複合材の棒状支持体や管状支持体を使用できるが、これらに限定されない。
本発明の方法においては、細胞培養層として、刺激により細胞の接着性が変化する刺激応答性層を用いることにより、例えば図10に示すように、細胞管状組織9を細胞培養基材Aから刺激により剥離することができる。刺激応答性層は、刺激により細胞の接着性を変化させることにより培養する細胞の接着及び剥離を行うことができるものである。刺激応答性層は、好ましくは、特定の刺激により細胞の接着性が高い細胞接着性を発現している状態から、細胞の接着性が低い細胞非接着性を発現している状態に変化し得るものである。
刺激応答性層に細胞を播種すると、細胞接着性を発現している際には細胞が刺激応答性層に接着するが、細胞非接着性を発現している際には細胞の刺激応答性層への接着が阻害されるため、接着していた細胞を剥離することができる。したがって、細胞接着性を発現している刺激応答性領域に細胞を播種して接着させ培養することにより細胞シートを形成し、これを管化して細胞管状組織を形成した後、特定の刺激により刺激応答性領域を細胞非接着性を発現している状態に変化させることにより、細胞管状組織を剥離して取得することができる。
細胞培養基材から細胞管状組織を剥離することにより、細胞管状組織のみを取得することができ、生体への移植に好適に使用できる。細胞培養基材を構成するフィルム、細胞培養層および接着剤層が生体適合性であれば、細胞培養基材を除去することなく生体に移植することも可能であるが、心筋細胞のように拍動させることにより心臓のポンプ機能を補助させる場合などは、細胞培養基材を取り除いてから移植した方が、細胞の機能をより効率的に発現させる上で好ましい。
刺激応答性層は、刺激応答性材料を含む層である。刺激応答性材料としては、刺激の有無により細胞の接着性が変化し、培養する細胞の接着及び剥離を行うことができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、温度、光、pH、電位及び磁力によりそれぞれ細胞の接着性が変化する温度応答性材料、光応答性材料、pH応答性材料、電位応答性材料、及び磁力応答性材料等を挙げることができる。本発明においては、なかでも、温度応答性材料であることが好ましい。
温度応答性材料は、温度変化により、細胞の接着性が変化するものであれば特に限定されるものではない。温度応答性材料の細胞接着性を発揮する温度領域が、10℃〜45℃の範囲内であることが好ましく、なかでも、33℃〜40℃の範囲内であることが好ましい。温度領域が上述の範囲内であることにより、細胞を安定的に培養することができるからである。温度応答性材料の細胞非接着性を発揮する温度領域が、1℃〜36℃の範囲内であることが好ましく、なかでも、4℃〜32℃の範囲内であることが好ましい。温度領域が上述の範囲内であることにより、細胞へのダメージの少ないものとすることができる。
温度応答性材料としては、具体的には、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド(PIPAAm)、ポリ−N−n−プロピルアクリルアミド、ポリ−N−n−プロピルメタクリルアミド、ポリ−N−エトキシエチルアクリルアミド、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド、及び、ポリ−N,N−ジエチルアクリルアミド等の温度応答性ポリマーを挙げることができ、なかでもPIPAAm、ポリ−N−n―プロピルメタクリルアミド、ポリ−N,N−ジエチルアクリルアミドを好ましく用いることができ、特に、PIPAAmを好ましく用いることができる。細胞接着性を有する温度領域及び細胞非接着性を有する温度領域が上述の温度領域であり、ダメージの少ないものとすることができるからである。
温度応答性材料は1種類のみからなるものであってもよく、2種類以上含むものであってもよい。また、温度領域の調整するため、温度応答性材料同士及び/又はその他のポリマーと共重合したものを用いるものであってもよい。
光応答性材料としては、光照射の有無により細胞の接着性が変化するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、特開2005−210936号公報に開示されるような、光触媒や、アゾベンゼン、ジアリールエテン、スピロピラン、スピロオキサジン、フルギド及びロイコ色素等の光応答成分を含むものを用いることができる。
電位応答性材料としては、電位の印加により、細胞の接着性が変化するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、特開2008−295382号公報に開示されるような、電極と、RGD配列を含むペプチド等の細胞接着性部分を有し、上記電極表面にチオレートを介して結合するアルカンチオール、システイン、アルカンジスルフィド等のスペーサ物質とを有するものを挙げることができる。
磁力応答性材料としては、磁力の付与・除去により細胞の接着性が変化するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、特開2005−312386号公報に開示されるような、フェライト等の磁性粒子を正電荷リポソームに封入した磁性粒子封入正電荷リポソームを挙げることができる。
刺激応答性材料の層の膜厚としては、刺激応答性や細胞接着性を発揮することができるものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、0.5nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、なかでも1nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。また、刺激応答性材料の層の被覆量として、0.3〜6.0μg/cm2であることが好ましい。細胞接着性材料についても同様である。
細胞シートおよび細胞管状組織を構成する細胞としては、血球系等の非接着性細胞、細胞間結合の弱い細胞以外なら、生体に存在するあらゆる組織とそれに由来する細胞を用いることができる。具体的には、生体内の各組織、臓器を構成する上皮細胞や内皮細胞、収縮性を示す骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、神経系を構成するニューロン、グリア細胞、繊維芽細胞、生体の代謝に関係する肝実質細胞、非肝実質細胞や脂肪細胞、分化能を有する細胞として、種々組織に存在する幹細胞、さらには骨髄細胞、ES細胞等を用いることができる。細胞は、1種類のみであってもよく、2種類以上用いるものであってもよい。
本発明により、細胞シートを細胞培養基材ごとハンドリングが可能であるため、生体への輸送や移植が格段に容易となり、生着性も改善され、組織の移植効率を大幅に向上させることが可能になる。
A:細胞培養基材
B:細胞培養層
C:接着剤層
D:細胞接着阻害層
1:フィルムの第1の面
2:フィルムの第2の面
3:第2の面の端部
4:フィルム
5:第1の面の端部
6:容器
7:細胞
8:支持体
9:細胞管状組織

Claims (7)

  1. 第1の面に細胞培養層を有し、第1の面とは反対側の第2の面の端部に接着剤層を有するフィルムからなり、第2の面の接着剤層を、第2の面において接着剤層が存在する端部に対する遠位端に対向する第1の面の端部に接着させることにより管状構造を形成可能に構成されており、細胞培養層が、刺激により細胞の接着性が変化することにより、培養する細胞の接着及び剥離を行うことができる刺激応答性層である、細胞培養基材。
  2. フィルムが、第2の面の接着剤層を接着させる第1の面の端部に細胞接着阻害領域を有する、請求項1記載の細胞培養基材。
  3. 刺激応答性層が、温度変化により細胞の接着性が変化する温度応答性材料を含む層である、請求項1又は2記載の細胞培養基材。
  4. 容器と、該容器底部に配置された請求項1〜3のいずれか1項記載の細胞培養基材とを備えた細胞培養容器であって、
    細胞培養基材が、細胞培養層が露出するように容器底部に配置されている、前記細胞培養容器。
  5. 細胞管状組織を作製する方法であって、
    a)請求項1〜3のいずれか1項記載の細胞培養基材の細胞培養層上で細胞を培養して細胞シートを作製する工程、及び
    b)細胞シートを細胞培養基材とともに管化して細胞管状組織を形成する工程
    を含む、前記方法。
  6. 工程b)において、細胞シートを細胞培養基材とともに支持体に巻きつけることにより管化する、請求項5記載の方法。
  7. 胞管状組織を細胞培養基材から刺激により剥離する工程をさらに含む、請求項5又は6記載の方法。
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